JP2957089B2 - クランプ取付治具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クランプ本体間で電線
を挟むことにより電線に取付けられるクランプの取付治
具に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のクランプ１は、図７のように、
一方及び他方のクランプ本体３，５を有し、他方のクラ
ンプ本体５の外面には図示外の車体等に取付けられるク
リップ７が突設されている。両クランプ本体３，５は板
体状に形成され、一端３ａ，５ａ同士がヒンジ９を介し
て開閉自在に接続されている。一方のクランプ本体３の
他端３ｂ側には、ロック突起１１を有する係止突部１３
が突設され、他方のクランプ本体５の他端５ｂ側には、
穴状の係合部１５が形成されている。クランプ１を開状
態から閉状態にすると、一方のクランプ本体３の係止突
部１３が他方のクランプ本体５の係合部１５に挿入され
て、係止突部１３のロック突起１１が係合部１５に係止
し、クランプ本体３，５が相互にロックされる。

【０００３】両クランプ本体３，５の中間部３ｃ，５ｃ
には、クランプ本体３，５の開閉方向と交叉する方向に
沿った溝状の電線挟持部１７，１９が、閉状態で相対向
するように設けられている。一方の電線挟持部１７の略
中央には突起部２１が設けられ、他方の電線挟持部１９
の略中央には突起部２１に対応して穴部２３が形成され
ている。このクランプ１は、電線挟持部１７，１９がク
リップ７とずれた位置に設けられた、いわゆる方向性を
有するものであり、電線２５への取付に際しては、所定
の方向に取付ける必要がある。

【０００４】クランプ１を電線２５に取付けるには、一
方及び他方の電線挟持部１７，１９で前記電線２５を挟
むようにクランプ本体３，５を閉じてロックする。この
とき、突起部２１及び穴部２３によって電線２５が屈曲
されるので、クランプ１が電線２５に対して軸方向にず
れ難く、クランプ１が電線２５に確実に保持される。

【０００５】クランプ１の取付けに際しては、電線２５
に対するクランプ１の保持力やクランプ１のロック力等
に応じて強い押圧力が必要とされるため、図８のように
ペンチ２７等の治具を使用している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ワイヤハー
ネスＷの製造時に布線板２７上でクランプ１を取付ける
場合、図９のようにクランプの取付位置を、所定の基準
位置からスケール等によって都度測長して求めなければ
ならず、作業が煩雑であった。

【０００７】また、ペンチ２７によってクリップを取付
けると、図１０のように、一方のクランプ本体３の係止
突部１３が他方のクランプ本体５の係合部１５に挿入さ
れた際に、係止突部１３の先端がペンチ２７の押圧面２
７ａに当接してしまい、ロック突起１１が係合部１５に
完全に係止しない恐れがあった。

【０００８】さらに、クリップ７によるクランプ１の車
両等への取付けに方向性がある場合、クランプ１を誤っ
て反対方向に向けて取付けてしまう恐れもあった。

【０００９】本発明は、上記事情を考慮し、クランプを
ワイヤハーネスの製造時に布線板上で所定の位置に簡単
に電線に取付けることができるクランプ取付治具の提供
を目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
一端同士がヒンジを介して開閉自在に接続され閉状態で
相互にロックされる一方及び他方のクランプ本体と他部
品に連結されるクリップとを有するクランプを、前記ク
ランプ本体間で電線を挟みロックすることによって前記
電線に取付けるクランプ取付治具であって、前記クラン
プを支持するクランプ支持部と、前記支持された開状態
のクランプに対し所定の位置で前記電線を支持する電線
支持部とを有し、布線板上に固定される治具本体と、前
記治具本体に設けられ、前記支持された開状態のクラン
プのクランプ本体を押圧して相互にロックさせる押圧部
とを備えたことを特徴としている。

【００１１】請求項２記載の発明は、請求項１記載のク
ランプ取付治具であって、前記クランプは、一方及び他
方のクランプ本体の中間部で前記電線を挟み、前記クラ
ンプ本体は、一方のクランプ本体の他端側に突設した係
止突部を他方のクランプ本体の他端側に設けた係合部に
係止することによって相互にロックされ、前記クランプ
支持部は、前記他方のクランプ本体の少なくとも他端側
を支持し、前記押圧部は、前記一方のクランプ本体を前
記クランプ支持部に支持された他方のクランプ本体側に
押圧し、前記クランプ支持部に、前記係止突部の前記ク
ランプ支持部側への突出を許容する凹部を設けたことを
特徴としている。

【００１２】請求項３記載の発明は、請求項２記載のク
ランプ取付治具であって、前記押圧部は、前記クランプ
支持部に支持されたクランプのヒンジの近傍を中心とし
て回動自在に設けたことを特徴としている。

【００１３】請求項４記載の発明は、請求項１〜請求項
３記載のクランプ取付治具であって、前記クランプ支持
部に、前記クリップを収容する収容部を設けたことを特
徴としている。

【００１４】

【作用】請求項１記載の発明では、クランプを電線に取
付ける場合、布線板上に固定された治具本体のクランプ
支持部にクランプを開状態で支持させ、電線支持部に電
線を支持させて、押圧部によってクランプ本体を押圧し
て相互にロックさせる。これにより、クランプを簡単な
作業で電線の所望の位置に確実に取付けることができ
る。

【００１５】請求項２記載の発明では、請求項１記載の
発明の作用に加えて、押圧部によるクランプ本体の押圧
時に、クランプ支持部が係合部を設けたクランプ本体の
他端側を支持すると共に、クランプ支持部に設けた凹部
が係止突部のクランプ支持部側への突出を許容するの
で、係止突部と係合部との確実な係合状態が得られ、ク
ランプのロックをより確実に行うことができる。

【００１６】請求項３記載の発明では、請求項２記載の
発明の作用に加えて、押圧部が、クランプ支持部に支持
されたクランプのヒンジの近傍を中心に回転し、てこの
作用によって一方のクランプ本体を良好に押圧するの
で、簡単な構成でクランプ本体に強い押圧力を付与する
ことができる。

【００１７】請求項４記載の発明では、請求項１〜請求
項３記載の発明の作用に加えて、クランプ本体に設けた
収容部にクリップを収容させることにより、電線に対す
るクランプの方向を常に同方向とすることができ、方向
性を有するクランプを誤方向に向けて取付けるのを確実
に防止することができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。図１は
本実施例のクランプ取付治具３１を示す全体斜視図であ
り、従来と同一の部分には同一の符号を付してその説明
を省略する。

【００１９】同図のように、クランプ取付治具３１は、
治具本体３７と、治具本体３７に回動自在に設けられた
押圧部３９を備え、治具本体３７は、クランプ１を支持
するクランプ支持部３３と、支持された開状態のクラン
プ１に対し所定の位置で電線２５を支持する電線支持部
３５とを有している。

【００２０】クランプ支持部３３は、治具本体３７の長
手方向に沿って溝状に形成され、治具本体３７の長手方
向に沿った側壁部３７ｂに区画されている。側壁部３７
ｂ間のクランプ支持部３３の幅はクランプ本体３，５の
幅とほぼ同じかそれよりも僅かに大きく形成され、治具
本体３７の上面３７ａ側と長手方向一端３７ｃ側は開口
している。クランプ支持部３３の底面は、クランプ１の
他方のクランプ本体５の底部形状に合わせて形成され、
この底面には、クランプ１のクリップ７を収容可能な穴
状の収容部４０が形成されている。クリップ７を収容部
４０に合わせ、他方のクランプ本体５の他端５ｂ側をク
ランプ本体３７の一端３７ｃ側に向けて、上方からクラ
ンプ１をクランプ支持部３３に挿入すると、他方のクラ
ンプ本体５の他端５ｂ側がクランプ支持部３３の一端部
４１で支持される。このクランプ支持部の一端部４１に
は、クランプ１の係合部１５の下方を開放する凹部４３
が設けられ、凹部４３は、係合部１５に挿入された係止
突部１３のクランプ支持部３３側への突出を許容する。

【００２１】電線支持部３５は、治具本体３７の両側壁
部３７ｂに溝状に形成され、上方から電線支持部３３内
に電線２５を収容可能となっている。この電線支持部３
５は、クランプ支持部３３にクランプ１を開状態で支持
させて電線支持部３５に電線２５を収容したときに、電
線２５が電線挟持部１９上を通るような位置に形成され
ている。

【００２２】治具本体３７の下方には棒状固定部４７が
取付けられ、棒状固定部４７の下端はボルト４９によっ
て布線板２７に締結されている。これにより、治具本体
３７は布線板２７上の所定の高さに固定されている。

【００２３】押圧部３９は、一側５１ａが治具本体３７
の他端３７ｄ側に軸部４５を介して回動自在に接続され
た基部５１と、基部５１の他側５１ｂに設けられた操作
部５３とを備えている。押圧部３９の回動中心である軸
部４５は、クランプ支持部３３に支持されたクランプ１
のヒンジ９の近傍に位置するように設けられている。開
状態のクランプ１をクランプ支持部３３に支持させ、操
作部５３を掴んで押圧部３９を治具本体３７側に回転さ
せると、基部５１の押圧面５５が、クランプ１の一方の
クランプ本体３を、クランプ支持部３３に支持された他
方のクランプ本体５側に押圧され、係止突起１３が係合
部１５に係合してロックさせる。

【００２４】次に、作用を説明する。

【００２５】布線板上において、クランプ１を電線２５
に取付ける場合、図２のように、布線板２７上に固定さ
れた治具本体３７のクランプ支持部３３に、クランプ１
を開状態で支持させた後、電線支持部３５に電線２５を
支持させる。次いで、図３及び図４のように、押圧部３
９を回転させて一方のクランプ本体３を押圧し、クラン
プ１をロックさせる。そして、図５のように、押圧部３
９を元の状態に戻し、図６のように、クランプ１を電線
２５ごとクランプ支持部３３から取外す。これにより、
クランプ１を簡単な作業で電線２５の所望の位置に確実
に取付けることができる。

【００２６】また、押圧部３９による一方のクランプ本
体３の押圧時には、係合部１５を有する他方のクランプ
本体５の他端５ｂ側は、クランプ支持部３３の一端部４
１によって支持され、且つ、この一端部４１に設けた凹
部４３は、係合部１５に挿入された係止突部１３のクラ
ンプ支持部３３側への突出を許容するので、係止突部１
３が係合部１５に十分に挿入される。従って、係止突部
１３と係合部１５との確実な係合状態が得られ、クラン
プ１のロックをより確実に行うことができる。

【００２７】また、押圧部３９は、クランプ支持部３３
に支持されたクランプ１のヒンジ９の近傍を中心に回転
し、てこの作用によって一方のクランプ本体３を良好に
押圧するので、簡単な構成でクランプ本体３に強い押圧
力を付与することができる。

【００２８】さらに、クランプ本体３７に設けた収容部
４０にクリップ７を収容させることにより、電線２５に
対するクランプ１の方向を常に同方向とすることがで
き、方向性を有するクランプ１を誤方向に向けて取付け
るのを確実に防止することができる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明によれば、治具本体のクランプ支持部にクランプを開
状態で支持させ、電線支持部に電線を支持させて、押圧
部によってクランプ本体を押圧して相互にロックさせる
ことにより、簡単な作業で電線の所望の位置にクランプ
を確実に取付けることができる。

【００３０】請求項２記載の発明によれば、請求項１記
載の発明の効果に加えて、係止突部と係合部との確実な
係合状態が得られ、クランプのロックをより確実に行う
ことができる。

【００３１】請求項３記載の発明によれば、請求項２記
載の発明の効果に加えて、簡単な構成でクランプ本体に
強い押圧力を付与することができる。

【００３２】請求項４記載の発明によれば、請求項１〜
請求項３記載の発明の効果に加えて、方向性を有するク
ランプを誤方向に向けて取付けるのを確実に防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の斜視図である。

【図２】本発明の一実施例の電線取付前の状態を示す斜
視図である。

【図３】本発明の一実施例の押圧時の状態を示す斜視図
である。

【図４】図３の側面図である。

【図５】本発明の一実施例の押圧後の状態を示す斜視図
である。

【図６】本発明の一実施例の電線取付後の状態を示す斜
視図である。

【図７】クリップを示す斜視図である。

【図８】従来例の斜視図である。

【図９】従来例の斜視図である。

【図１０】従来例の側面図である。

【符号の説明】

１ クランプ ３ 一方のクランプ本体 ３ａ 一端 ３ｂ 他端 ３ｃ 中間部 ５ 他方のクランプ本体 ５ａ 一端 ５ｂ 他端 ５ｃ 中間部 ７ クリップ ２７ 布線板 １３ 係止突部 １５ 係合部 ３１ クランプ取付治具 ３３ クランプ支持部 ３９ 押圧部 ４０ 収容部 ４３ 凹部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端同士がヒンジを介して開閉自在に接
   続され閉状態で相互にロックされる一方及び他方のクラ
   ンプ本体と他部品に連結されるクリップ７とを有するク
   ランプ１を、前記クランプ本体間で電線を挟みロックす
   ることによって前記電線に取付けるクランプ取付治具で
   あって、 前記クランプを支持するクランプ支持部と、前記支持さ
   れた開状態のクランプに対し所定の位置で前記電線を支
   持する電線支持部とを有し、布線板上に固定される治具
   本体と、 前記治具本体に設けられ、前記支持された開状態のクラ
   ンプのクランプ本体を押圧して相互にロックさせる押圧
   部とを備えたことを特徴とするクランプ取付治具。
2. 【請求項２】 請求項１記載のクランプ取付治具であっ
   て、 前記クランプは、一方及び他方のクランプ本体の中間部
   で前記電線を挟み、 前記クランプ本体は、一方のクランプ本体の他端側に突
   設した係止突部を他方のクランプ本体の他端側に設けた
   係合部に係止することによって相互にロックされ、 前記クランプ支持部は、前記他方のクランプ本体の少な
   くとも他端側を支持し、 前記押圧部は、前記一方のクランプ本体を前記クランプ
   支持部に支持された他方のクランプ本体側に押圧し、 前記クランプ支持部に、前記係止突部の前記クランプ支
   持部側への突出を許容する凹部を設けたことを特徴とす
   るクランプ取付治具。
3. 【請求項３】 請求項２記載のクランプ取付治具であっ
   て、 前記押圧部は、前記クランプ支持部に支持されたクラン
   プのヒンジの近傍を中心として回動自在に設けたことを
   特徴とするクランプ取付治具。
4. 【請求項４】 請求項１〜請求項３記載のクランプ取付
   治具であって、 前記クランプ支持部に、前記クリップを収容する収容部
   を設けたことを特徴とするクランプ取付治具。