JP2956471B2 - 動力伝達クラッチの油圧制御回路 - Google Patents

動力伝達クラッチの油圧制御回路

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JP2956471B2
JP2956471B2 JP4756794A JP4756794A JP2956471B2 JP 2956471 B2 JP2956471 B2 JP 2956471B2 JP 4756794 A JP4756794 A JP 4756794A JP 4756794 A JP4756794 A JP 4756794A JP 2956471 B2 JP2956471 B2 JP 2956471B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力伝達クラッチの油
圧制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の無段変速機の制御装置として、例
えば特開昭61ー105353号公報に示されるものが
ある。この従来装置は、流体伝動装置、前後進切換機
構、Vベルト式無段変速機構を備えた装置であって、前
後進切換機構の前進用クラッチ及び後進用ブレーキへの
クラッチ圧を調圧するクラッチ圧調圧弁と、与えられる
電気信号に応じてクラッチ圧調圧弁の調圧状態を変化さ
せて前進用クラッチと後進用ブレーキの締結状態を制御
可能な電磁弁を有する装置である。そして、前記電磁弁
は、車速が所定以下のエンジンアイドリング状態におい
ては、クラッチが所定のクリープトルクのみが伝達可能
な状態となるようにクラッチ圧調圧弁を介してクラッチ
圧を制御するようになっている。これにより従来装置で
は、電磁弁によってクラッチ圧が制御されるので、車両
がほぼ停止したエンジンアイドリング状態においては、
クラッチ圧をクラッチが僅かに締結される低い油圧とす
ることによって、所定のクリープトルクを得ることがで
き(クリープトルクの制御が可能)、それとともに、シ
フトレバーをNレンジからDレンジにシフトした場合の
ショックも低減することができる。また、この従来装置
においては、マニュアル弁と前進用クラッチとの間の油
路に、前進用クラッチにクラッチ圧が供給される場合に
のみ絞り効果を有する一方向オリフィス(供給方向オリ
フィス)が設けられており、前進用クラッチへのクラッ
チ圧の上昇が徐々に行われ、NレンジからDレンジへの
シフト時のショックがさらに低減されるようになってい
る。
【0003】ところが、車両が走行状態から停止状態と
なった後に、DレンジからNレンジにシフトする場合に
は、上記従来の装置にあっては、前進用クラッチのクラ
ッチ圧が供給方向絞りオリフィスを一気に通過してマニ
ュアル弁側に抜けてしまい、DレンジからNレンジへの
シフト時のショックを防止することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、Nレンジから
Dレンジへのシフト時及びDレンジからNレンジへのシ
フト時のショックの低減を同時に防止する構造は、例え
ば、日産自動車株式会社発行による新型車解説書(R3
3ー1)(発行年月平成5年8月)のCー24ページ記
載の変速機の油圧回路に採用されている。この油圧回路
と本発明の要旨との比較を容易とするために、油圧回路
のショック防止回路のみを図11に示す。
【0005】図11に示す構造では、マニュアル弁1と
前進用クラッチ2との間に、パイロト圧Pp により前進
用クラッチ2に対してクラッチ圧の供給制御が可能な制
御弁3が配設されている。そして、制御弁3と前進用ク
ラッチ2との間には、前進用クラッチ2にクラッチ圧が
供給される場合にのみ絞り効果を有する供給方向オリフ
ィス4と、前進用クラッチ2からクラッチ圧が抜ける場
合にのみ絞り効果を有する戻り方向オリフィス5とが直
列に接続されている。
【0006】これにより、マニュアル弁1のNレンジか
らDレンジへのシフト時には、マニュアル弁1から制御
弁3を介してクラッチ圧が前進用クラッチ2に供給され
るが、供給されたクラッチ圧は供給方向絞りオリフィス
4を通過することにより、前進用クラッチ2へのクラッ
チ圧の上昇が徐々に行われ、NレンジからDレンジシフ
ト時のショックを低減することができる。
【0007】また、DレンジからNレンジへのシフト時
には、パイロット圧Pp の変更により制御弁3の出力ポ
ート3aとドレーンポート3bとが連通し、前進用クラ
ッチ2から出た作動油は、戻り方向オリフィス5を通過
してドレーンポート3b側に流出することにより前進用
クラッチ2のクラッチ圧の低下が徐々に行われ、Dレン
ジからNレンジシフト時のショックも低減させることが
できる。
【0008】ところで、近年、車両には、車輪のロック
を防止して良好な制動状態を得ることが可能なアンチス
キッド制御装置が備えられてきている。そこで、アンチ
スキッド装置作動中は、車輪とエンジンとを切り離すこ
とにより、車輪へのエンジン負荷の影響を無くすことが
提案されている。しかしながら、上述した油圧構造で
は、車両制動時にアンチスキッド制御が開始されると、
ドレーンポート3bへ流出する作動油は戻り方向オリフ
ィス5を通過するので前進用クラッチ2のクラッチ圧が
一気に低下せず、それにより、車輪速の変動による負荷
がエンジンに作用することを回避することができないと
いう問題がある。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、中立レンジから前進走行レンジへのシフト時にお
けるクラッチ圧の上昇が徐々に行われ、且つ前進走行レ
ンジから中立レンジへのシフト時におけるクラッチ圧の
低下が徐々に行われることによりショックを防止し、そ
れと同時に、アンチスキッド制御装置を備えた車両にも
好適な動力伝達クラッチの油圧制御回路を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
動力伝達クラッチの油圧制御回路は、車輪とエンジンと
の間に設けた動力伝達クラッチに所定のクラッチ圧を出
力することにより締結若しくは開放状態とする動力伝達
クラッチの油圧制御回路において、所定のレンジが選択
されることにより入力されたライン圧を動力伝達クラッ
チ側に出力するとともに、中立レンジ状態の場合に前進
走行レンジポートと連通するドレーンポートを設けたマ
ニュアル弁と、マニュアル弁の前進走行レンジポートと
動力伝達クラッチとの間に配設され、所定の制御圧が供
給されることにより入力ポートと出力ポートを連通して
所定のクラッチ圧を動力伝達クラッチに供給し、変更さ
れた制御圧が供給されることにより出力ポートとドレー
ンポートとを連通して動力伝達クラッチのクラッチ圧を
排出させることが可能な動力伝達クラッチ制御弁と、動
力伝達クラッチ制御弁に対して前記制御圧を供給するこ
とにより、動力伝達クラッチ制御弁によるクラッチ圧入
力制御を行うとともに、マニュアル弁が走行レンジ状態
の場合に動力伝達クラッチ制御弁の入力ポートと出力ポ
ートとを連通させ、アンチスキッド制御時において動力
伝達クラッチ制御弁の出力ポートとドレーンポートとを
連通させる制御を行うデューティ制御電磁弁と、動力伝
達クラッチ制御弁と動力伝達クラッチとの間に配設さ
れ、作動油が前進用クラッチ側へ流れる場合のみ作動油
の流量を絞る供給方向オリフィス手段と、マニュアル弁
と動力伝達クラッチ制御弁との間に配設され、作動油が
マニュアル弁側へ流れる場合のみ作動油の流量を絞る戻
り方向オリフィス手段とを備えることを特徴とする回路
である。
【0011】また、請求項2記載の動力伝達クラッチの
油圧制御回路は、流体伝動装置、前後進切換装置、無段
変速機構を備え、前後進切換装置を構成する前進用クラ
ッチ、後進用ブレーキに対して所定のクラッチ圧を出力
することにより締結状態若しくは開放状態とし、回転駆
動系から流体伝動装置を介して入力軸に伝達される回転
力を無段変速機構の出力軸に伝達する動力伝達クラッチ
の油圧制御回路において、所定のレンジが選択されるこ
とにより入力されたライン圧を前進用クラッチ側若しく
は後進用ブレーキ側に出力するとともに、中立レンジ状
態の場合に前進走行レンジポートと連通するドレーンポ
ートを設けたマニュアル弁と、マニュアル弁の前進走行
レンジポートと前進用クラッチとの間に配設され、所定
の制御圧が供給されることにより入力ポートと出力ポー
トを連通して所定のクラッチ圧を前進用クラッチに供給
し、変更された制御圧が供給されることにより出力ポー
トとドレーンポートとを連通して前進用クラッチのクラ
ッチ圧を排出させることが可能な前進用クラッチ制御弁
と前進用クラッチ制御弁に対して前記制御圧を供給する
ことにより、前進用クラッチ制御弁によるクラッチ圧入
力制御を行うとともに、マニュアル弁が走行レンジ状態
の場合に前進用クラッチ制御弁の入力ポートと出力ポー
トとを連通させ、アンチスキッド制御時において前進用
クラッチ制御弁の出力ポートとドレーンポートとを連通
させる制御を行うデューティ制御電磁弁と、前進用クラ
ッチ制御弁と前進用クラッチとの間に配設され、作動油
が前進用クラッチ側へ流れる場合のみ作動油の流量を絞
る供給方向オリフィス手段と、マニュアル弁と前進用ク
ラッチ制御弁との間に配設され、作動油がマニュアル弁
側へ流れる場合のみ作動油の流量を絞る戻り方向オリフ
ィス手段とを備えることを特徴とする回路である。
【0012】また、請求項3記載の動力伝達クラッチの
油圧制御回路は、請求項1若しくは2記載の回路におい
て、供給方向オリフィス手段が、絞り弁と、この絞り弁
と並列配置されて前進用クラッチに流入する作動油を阻
止する逆止弁とで構成されていることを特徴とする回路
である。さらに、請求項4記載の動力伝達クラッチの油
圧制御回路は、請求項1、2若しくは3記載の回路にお
いて、戻り方向オリフィス手段が、絞り弁と、この絞り
弁と並列配置されてマニュアル弁に流入する作動油を阻
止する逆止弁とで構成されていることを特徴とする回路
である。
【0013】
【作用】本発明の請求項1記載の動力伝達クラッチの油
圧制御回路によれば、マニュアル弁が中立レンジから前
進走行レンジにシフトした場合には、クラッチ制御弁か
ら動力伝達クラッチに向けてクラッチ圧が供給されてい
くが、動力伝達クラッチ制御弁と動力伝達クラッチとの
間に配設されている供給方向オリフィス手段が、クラッ
チ圧を徐々に上昇させていくので、中立レンジから前進
走行レンジにシフトした場合のショックが防止される。
【0014】また、マニュアル弁が前進走行レンジから
中立レンジにシフトした場合には、デューティ制御電磁
弁の制御により動力伝達クラッチ制御弁は入力ポート及
び出力ポートが連通し、動力伝達クラッチのクラッチ圧
が動力伝達クラッチ制御弁を介してマニュアル弁の前進
走行レンジポートからドレーンポートに戻されてくる
が、マニュアル弁と動力伝達クラッチ制御弁との間に配
設されている戻り方向オリフィス手段が、クラッチ圧を
徐々に低下させていくので、前進走行レンジから中立レ
ンジにシフトした場合のショックが防止される。
【0015】さらに、アンチスキッド制御時には、デュ
ーティ制御電磁弁の制御により動力伝達クラッチ制御弁
は出力ポートとドレーンポートとが連通し、動力伝達ク
ラッチのクラッチ圧は一気に低下するので、車輪速の変
動による負荷は回転駆動系に作用しない。また、請求項
2記載の動力伝達クラッチの油圧制御回路によれば、マ
ニュアル弁が中立レンジから前進走行レンジにシフトし
た場合には、クラッチ制御弁から前進用クラッチに向け
てクラッチ圧が供給されていくが、前進用クラッチ制御
弁と前進用クラッチとの間に配設されている供給方向オ
リフィス手段が、クラッチ圧を徐々に上昇させていくの
で、中立レンジから前進走行レンジにシフトした場合の
ショックが防止される。
【0016】また、マニュアル弁が前進走行レンジから
中立レンジにシフトした場合には、デューティ制御電磁
弁の制御により前進用クラッチ制御弁は入力ポート及び
出力ポートが連通し、前進用クラッチのクラッチ圧が前
進用クラッチ制御弁を介してマニュアル弁の前進走行レ
ンジポートからドレーンポートに戻されてくるが、マニ
ュアル弁と前進用クラッチ制御弁との間に配設されてい
る戻り方向オリフィス手段が、クラッチ圧を徐々に低下
させていくので、前進走行レンジから中立レンジにシフ
トした場合のショックが防止される。
【0017】さらに、アンチスキッド制御時には、デュ
ーティ制御電磁弁の制御により前進用クラッチ制御弁は
出力ポートとドレーンポートとが連通し、前進用クラッ
チのクラッチ圧は一気に低下するので、車輪速の変動に
よる負荷は回転駆動系に作用しない。また、請求項3、
4記載の動力伝達クラッチの油圧制御回路によれば、請
求項1若しくは2記載の装置の作用に加えて、簡便な構
造により作動油の流れを規制することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の一実施例を示す無段変速機の動力
伝達機構を示すスケルトン図である。図中、10は回転
駆動源としてのエンジンであって、その出力軸10aに
流体伝動装置であるフルードカップリング12が連結さ
れている。このフルードカップリング12は、ロックア
ップ機構付きのものであり、ロックアップ油室12aの
油圧を制御することにより、入力側のポンプインペラー
12bと出力側のターピンランナー12cとを機械的に
連結し又は切り離し可能である。フルードカップリング
12の出力側は回転軸13と連結されている。回転軸1
3は前後進切換機構15と連結されている。前後進切換
機構15は、遊星歯車機構17、前進用クラッチ40及
び後進用ブレーキ50を有している。
【0019】遊星歯車機構17は、サンギヤ19と、2
つのピニオンギヤ21及び23を有するピニオンキャリ
ア25と、インターナルギヤ27とから構成されてい
る。2つのピニオンギヤ21及び23は互いに噛合して
おり、ピニオンギヤ21はサンギヤ19と噛合してお
り、またピニオンギヤ23はインターナルギヤ27と噛
合している。サンギヤ19は常に回転軸13と一体に回
転するように連結されている。ピニオンキャリア25は
前進用クラッチ40によって回転軸13と連結可能であ
る。また、インターナルギヤ27は後進用ブレーキ50
によって静止部に対して固定可能である。ピニオンキャ
リア25は回転軸13の外周に配置された駆動軸14と
連結され、この駆動軸14には駆動プーリ16が設けら
れている。
【0020】駆動プーリ16は、駆動軸14と一体に回
転する固定円錐板18と、固定円錐板18に対向配置さ
れてV字状プーリ溝を形成すると共に、駆動プーリシリ
ンダ室20に作用する油圧によって駆動軸14の軸方向
に移動可能である可動円錐板22とから構成されてい
る。なお、駆動プーリシリンダ室20は、室20a及び
20bの2室からなり、後述する従動プーリシリンダ室
32の2倍の受圧面積を有している。駆動プーリ16は
Vベルト24によって従動プーリ26と伝動可能に連結
されている。
【0021】従動プーリ26は、従動軸28上に設けら
れている。従動プーリ26は、従動軸28と一体に回転
する固定円錐板30と、固定円錐板30に対向配置され
てV字状プーリ溝を形成すると共に、従動プーリシリン
ダ室32に作用する油圧によって従動軸28の軸方向に
移動可能である可動円錐板34とから構成されている。
これらの駆動プーリ16、Vベルト24及び従動プーリ
26により、Vベルト式無段変速機構29が構成され
る。従動軸28には駆動ギヤ46が固着されており、こ
の駆動ギヤ46はアイドラ軸52上のアイドラギヤ48
と噛合している。アイドラ軸52に設けられたピニオン
ギヤ54はファイナルギヤ44と常に噛合している。フ
ァイナルギヤ44には、作動装置56を構成する一対の
ピニオンギヤ58及び60が取付けられており、このピ
ニオンギヤ58及び60と一対のサイドギヤ62及び6
4が噛合しており、サイドギヤ62及び64は夫々出力
軸66及び68と連結されている。
【0022】上記のような動力伝達機構にエンジン10
の出力軸10aから入力された回転力は、フルードカッ
プリング12及び回転軸13を介して前後進切換機構1
5に伝達され、前進用クラッチ40が締結されると共
に、後進用ブレーキ50が解放されている場合には一体
回転状態となっている遊星歯車機構17を介して回転軸
13の回転力が同じ回転方向のまま駆動軸14に伝達さ
れ、一方前進用クラッチ40が解放されると共に、後進
用ブレーキ50が締結されている場合には遊星歯車機構
17の作用により回転軸13の回転力は回転方向が逆に
なった状態で駆動軸14に伝達される。駆動軸14の回
転力は駆動プーリ16、Vベルト24、従動プーリ2
6、従動軸28、駆動ギヤ46、アイドラギヤ48、ア
イドラ軸52、ピニオンギヤ54及びファイナルギヤ4
4を介して差動装置56に伝達され、出力軸66及び6
8が前進方向又は後進方向に回転する。なお、前進用ク
ラッチ40及び後進用ブレーキ50の両方が解放されて
いる場合には動力伝達機構は中立状態となる。
【0023】上記のような動力伝達の際に、駆動プーリ
16の可動円錐板22及び従動プーリ26の可動円錐板
34を軸方向に移動させてVベルト24との接触位置半
径を変えることにより、駆動プーリ16と従動プーリ2
6との回転比を変えることができる。例えば、駆動プー
リ16のV字状プーリ溝の幅を拡大すると共に、従動プ
ーリ26のV字状プーリ溝の幅を縮小すれば、駆動プー
リ16側のVベルトを接触位置半径は小さくなり、従動
プーリ26側のVベルトを接触位置半径は大きくなり、
結局大きな変速比が得られることになる。可動円錐板2
2及び34を逆方向に移動させれば上記と全く逆に変速
比は小さくなる。
【0024】次に、この無段変速機の油圧制御装置につ
いて説明する。油圧制御装置は、図2に示すように、オ
イルポンプ101、ライン圧調圧弁102、マニュアル
弁104、変速制御弁106、変速モータとしてのステ
ップモータ108、変速比圧弁110、変速操作機構1
12、切換弁114、プレッシャーモディファイ弁11
6、一定圧調圧弁118、モディファイ用デューティ弁
120、クラッチリリーフ弁122、トルクコンバータ
リリーフ弁124、ロックアップ制御弁126、ロック
アップ用デューティ弁128、クラッチ接離制御用デュ
ーティ弁129等で構成されている。
【0025】オイルポンプ101は、タンク130内の
油をストレーナ131を介して吸引し、油路132に吐
出する。油路132の吐出油は、ライン圧調圧弁102
のポート102a,102bに供給されて、このライン
圧調圧弁102で所定圧力のライン圧として調整され、
この調整されたライン圧が従動プーリシリンダ室32、
変速制御弁106のポート106a及び切換弁114の
ポート114aに夫々供給される。なお、油路132に
は、ライン圧の異常高圧を抑制するパイロットリリーフ
弁133が設けられている。
【0026】切換弁114は、ライン圧が供給される入
力ポート114a、ライン圧調圧弁102のポート10
2fに連通された出力ポート114b、タンク130に
連通されたドレーンポート114c及びモディファイ用
デューティ弁120の出力圧がパイロット圧として供給
されるパイロットポート114dと、スプール114e
とを備え、パイロットポート114dのパイロット圧が
略零であるときに入力ポート114a、出力ポート11
4b及びドレーンポート114cが連通状態となるが、
パイロットポート114dのパイロット圧が高くなると
ドレーンポート114cがスプール114eによって閉
鎖される。なお、切換弁114の入力ポート114a
は、油路132に連通する油路133がその途中にセパ
レータ133sを介装することにより遮断されていると
共に、出力ポート114bとライン圧調圧弁102のパ
イロットポート102fとを連通する油路134がその
途中にセパレータ134sを介装することにより遮断さ
れている。
【0027】プレッシャーモディファイ弁116は、ラ
イン圧調圧弁102のポート102fに連通されたポー
ト116a、モディファイ用デューティ弁120の出力
圧がパイロット圧として供給されるパイロットポート1
16b、タンク130に連通されたドレーンポート11
6c及びライン圧調圧弁102の出力ポート102dに
連通された入力ポート116dと、2つのランド116
e,116fを有するスプール116gと、このスプー
ル116gをパイロットポート116b側に付勢するリ
ターンスプリング116hとを備えており、パイロット
ポート116bのパイロット圧が略零であるときにポー
ト116aとドレーンポート116cとを連通状態とな
るが、パイロット圧が高くなるとこれに応じてスプール
116gが上動してポート116a及び116d間が連
通状態となる。
【0028】一定圧調圧弁118は、ライン圧調圧弁1
02の出力ポート102dに連通された入力ポート11
8a、出力ポート118b、出力ポート118bの出力
圧がフィルタ118cを介してパイロット圧として供給
されるパイロットポート118d及びタンク130に連
通されたドレーンポート118eと、2つのランド11
8f及び118gを有するスプール118hと、スプー
ル118hをパイロットポート118d側に付勢するリ
ターンスプリング118iを備えており、パイロットポ
ート118dの入口にはオリフィス118jが設けられ
ている。この一定圧調圧弁118は、周知のパイロット
圧による調圧作用によりスプリング118iの付勢力に
対応した一定の油圧を調圧し、これを出力ポート118
bを介してモディファイ用デューティ弁120、ロック
アップ用デューティ弁128及びクラッチ接離制御用デ
ューティ弁130に供給する。
【0029】モディファイ用デューティ弁120は、入
力ポート120aが前記一定圧調圧弁118の出力ポー
ト118bに連通され、出力ポート120bが切換弁1
14のパイロットポート114d、プレッシャーモディ
ファイ弁116のパイロットポート116b、クラッチ
リリーフ弁122の外部パイロットポート122dに連
通され、ドレーンポート120cがタンク130に連通
され、後述する変速制御装置300から供給される目標
変速比に対応したデューティ比の駆動電流によって、出
力ポート120bからデューティ比に応じたモディファ
イ制御圧を出力する。
【0030】ロックアップ用デューティ弁128は、入
力ポート128aが前記一定圧調整弁118の出力ポー
ト118bに接続され、出力ポート128bが後述する
変速指令弁150の入力ポート150aに接続され、さ
らにライン圧調圧弁102のパイロットポート102
e、及びクラッチリリーフ弁122のパイロットポート
122cに接続され、ドレーンポート128cがタンク
130に接続され、後述する変速制御装置300から供
給される所定デューティ比の駆動電流よって、出力ポー
ト128bからロックアップ制御圧を出力する。ここ
で、出力ポート128bとライン圧調圧弁102のパイ
ロットポート102e及びクラッチリリーフ弁122の
パイロットポート122cとの間を接続する油路135
及び136がそれらの途中に介装されたセパレータ13
5s及び136sによって遮断されている。
【0031】クラッチ制御用デューティ弁129は、入
力ポート129aが前記一定圧調整弁118の出力ポー
ト118bに連通され、出力ポート129bが後述する
後進用ブレーキ制御弁140及び前進用クラッチ制御弁
142のパイロットポート140h及び142hに連通
され、ドレーンポート129cがタンク130に連通さ
れ、後述する変速制御装置300からクリープ制御時及
びアンチスキッド制御時に供給される所定デューティ比
の駆動電流よって、出力ポート129bからデューティ
比に応じたクラッチ制御圧PCCを出力する。
【0032】ライン圧調圧弁102は、大径孔部102
gに形成された入力ポート102a,パイロットポート
102c、大径孔部102gに連通する中径孔部102
hに形成されたパイロットポート102e、この中径孔
部102hに連通する小径孔部102iに形成されたパ
イロットポート102b及びこの小径孔部102iに連
通する特大径孔部102jに形成されたパイロットポー
ト102fと、各孔部102g〜102jに対応するラ
ンド102o,102p,102q,102rを有する
スプール102sとで形成され、各パイロットポート1
02b,102c,102e及び102fに供給される
パイロット圧と受圧面積による推力バランスによってス
プール102sが左右動して入力ポート102a及び出
力ポート102e間の開口面積を調整してライン圧を調
圧する。
【0033】マニュアル弁104は、ライン圧調圧弁1
02の出力ポート102dに連通する入力ポート104
a、Rレンジポート104b、Dレンジポート104
c、Lレンジポート104d及び両端のドレーンポート
104e,104fと、2つのランド104g,104
hを有するスプール104iとから構成されている。ス
プール104iは、運転席近傍に設けたセレクトレバー
(図示せず)によって動作され、P,R,N,D,Lレ
ンジの5つの停止位置を有している。そして、Rレンジ
ポート104bが後進用ブレーキ制御弁140を介して
後進用ブレーキ50に連通され、Dレンジポート104
c及びLレンジポート104dが前進用クラッチ制御弁
142を介して前進用クラッチ40に連通されている。
【0034】後進用ブレーキ制御弁140は、マニュア
ル弁104のRレンジポート104bに連通する入力ポ
ート140a、後進用ブレーキ50にオリフィス140
b及び140cを介して連通する出力ポート140d、
タンク130に連通するドレーンポート140e、出力
ポート140dの出力圧がオリフィス140fを介して
パイロット圧として供給されるパイロットポート140
g及びクラッチ制御用デューティ弁129の出力ポート
129bに連通されたパイロットポート140hと、3
つのランド140i,140j,140kを有するスプ
ール140mと、このスプール140mをパイロットポ
ート140g,140h側に付勢するリターンスプリン
グ140nとから構成されている。なお、オリフィス1
40b及び140cには、これらとと並列に後進用ブレ
ーキ50から後進用ブレーキ制御弁140に流出する作
動油を阻止する逆止弁140o及び後進用ブレーキ制御
弁140から後進用ブレーキ50に流入する作動油を阻
止する逆止弁140pが介挿されている。
【0035】前進用クラッチ制御弁142は、マニュア
ル弁104のDレンジポート104cにオリフィス14
2aを介して連通する入力ポート142b、前進用クラ
ッチ40にオリフィス142cを介して連通する出力ポ
ート142d、タンク130に連通するドレーンポート
142e、出力ポート142dの出力圧がオリフィス1
42fを介してパイロット圧として供給されるパイロッ
トポート142g及びクラッチ制御用デューティ弁12
9の出力ポート129bに連通されたパイロットポート
142hと、3つのランド142i,142j,142
kを有するスプール142mと、このスプール142m
をパイロットポート142g,142h側に付勢するリ
ターンスプリング142nとから構成されている。な
お、オリフィス142aと並列にクラッチ制御弁142
からマニュアル弁104に流出する作動油を阻止する逆
止弁142oが介挿され、且つオリフィス142cと並
列に前進用クラッチ制御弁142から前進用クラッチ4
0に流入する作動油を阻止する逆止弁142pが介挿さ
れている。
【0036】クラッチリリーフ弁122は、大径孔部1
22eに形成された入力ポート122a及び出力ポート
122dと、この大径孔部122eに連通する中径孔部
12fに形成されたパイロットポート122bと、この
中径孔部122fに連通する小径孔部122gに形成さ
れたパイロットポート122cと、各孔部122e,1
22f及び122gに係合するランド122h,122
i及び122jを有するスプール122kと、このスプ
ール122kをパイロットポート122b及び122c
側に付勢するリターンスプリング122mとから構成さ
れている。ここで、入力ポート122aはライン圧調圧
弁102の出力ポート102dに直接連通され、パイロ
ットポート122bはオリフィス122nを介してライ
ン圧調圧弁102の出力ポート102dに連通され、パ
イロットポート122cはモディファイ用デューティ弁
120の出力ポート120b及びロックアップ用デュー
ティ弁129の出力ポート128bに連通され、出力ポ
ート122dはトルクコンバータリリーフ弁124の入
力ポート124aに連通されている。
【0037】トルクコンバータリリーフ弁124は、ク
ラッチリリーフ弁122の出力ポート122dに連通さ
れた入力ポート124aと、出力ポート124bと、1
つのランド124cを有するスプール124dと、この
スプール124dを出力ポート124bを閉塞する方向
に付勢するリターンスプリング124eとから構成さ
れ、出力ポート124bが潤滑用圧力を設定する潤滑リ
リーフボール144を介してオイルポンプ101の吸込
み側に戻されると共に、デファレンシャルギヤ、パワー
トレーン、ベルト等の潤滑系に潤滑用として出力され
る。
【0038】ロックアップ制御弁126は、大径孔部1
26aに形成されたクラッチリリーフ弁122の出力ポ
ート122dに連通された入力ポート126b、ロック
アップ油室12aに連通された出力ポート126c、フ
ルードカップリング12に連通された出力ポート126
d、クーラー146に連通された出力ポート126e、
上述した潤滑系に連通された出力ポート126f及びタ
ンク130に連通されたドレーンポート126gと、小
径孔部126hに形成された出力ポート126cにオリ
フィス148を介して連通されたパイロットポート12
6i及び変速指令弁150の出力ポート150bに連通
されたパイロットポート126jと、大径孔部126a
に係合する4つのランド126m,126n,126
o,126pと小径孔部126hに係合するランド12
6rとを有するスプール126sと、このスプール12
6sをパイロットポート126i及び126j側に付勢
するリターンスプリング126tとから構成されてい
る。なお、出力ポート126dとフルードカップリング
12とを連通する油路149には、異常高圧を抑制する
リリーフ弁152が接続されている。
【0039】変速制御弁106は、入力ポート106
a,出力ポート106b及び調圧ポート106cと、3
つのランド106d,106e及び106fを有するス
プール106gとを備えており、入力ポート106aが
ライン圧が供給される油路132に連通され、出力ポー
ト106bが駆動プーリ16の駆動プーリシリンダ室1
0に連通され、調圧ポート106cが駆動プーリシリン
ダ圧を予め設定された所定圧に調圧する調圧弁160を
介してタンク130に連通され、且つスプール106g
の上端が後述する変速操作機構112のレバー178の
略中央部にピン181によって回転自在に連結されてい
る。したがって、一定の変速比を維持する場合には、図
2に示すように、ランド106eによって出力ポート1
06bが閉塞されているため、駆動プーリシリンダ室2
0へのライン圧供給が遮断状態にある。この状態で、ス
プール106gが図2において上動することにより、入
力ポート106aと出力ポート106bとが連通状態と
なって、所定のライン圧が駆動プーリシリンダ室20に
供給されて増圧されることにより、駆動プーリ16のV
字状プーリ溝の幅が小さくなり、他方、従動プーリ26
のV字状プーリ溝の幅が大きくなる。すなわち、駆動プ
ーリ16のVベルト接触半径が大きくなると共に従動プ
ーリ26のVベルト接触半径が小さくなるので、変速比
は小さくなる。逆にスプール106gを図2で下動させ
ると、上記とは全く逆の作用により、変速比は大きくな
る。
【0040】変速操作機構112のレバー178は前述
したようにその略中央部において変速制御弁106のス
プール106gとピン181によって結合されている
が、レバー178の一端は、駆動プーリ16の軸14と
平行に配設された断面方形の案内軸162に摺動自在に
装着され且つ外周縁に形成されたフランジ164aの外
周縁の一部が駆動プーリ16の可動円錐板22の外周に
設けた溝22aに係合して、可動円錐板22の軸方向の
移動に応じて移動するセンサーシュー164に、ピン1
83と図示しない長孔とによって連結され、他端がロッ
ド182にピン185によって連結されている。ロッド
182は、ラック182cを有しており、このラック1
82cがステップモータ108のピニオンギヤ108a
と噛合している。
【0041】このような変速操作機構112において、
変速制御装置300によって制御されるステップモータ
108が時計方向に回転駆動されると、ロッド182が
下方に移動し、レバー178がピン183を支点として
時計方向に回動し、レバー178に連結された変速制御
弁106のスプール106gを下方に移動させる。これ
によって、前述したように、駆動プーリシリンダ室20
a内の圧油が保圧弁160を介してタンク130に戻さ
れるので、駆動プーリシリンダ室20aのシリンダ圧が
保圧弁160で設定された圧力まで低下される。このた
め、駆動プーリ16の可動円錐板22は図2中で、上方
に移動して、駆動プーリ16のV字状プーリ溝間隔は大
きくなり、同時にこれに伴って従動プーリ26のV字状
プーリ溝間隔は小さくなり、変速比は大きくなる。
【0042】レバー178の一端はピン183によって
センサーシュー164と連結されているので、可動円錐
板22の移動に伴ってセンサーシュー164が図2中で
上方に移動すると、今度はレバー178の他端側のピン
185を支点としてレバー178は時計方向に回動す
る。このため、スプール106gは上方に引き戻され
て、駆動プーリ16及び従動プーリ26を変速比が小さ
い状態にしようとする。このような動作によって、スプ
ール106g、駆動プーリ16及び従動プーリ26は、
ステップモータ108の回転位置に対応して目標とする
変速比の状態で安定する。
【0043】ステップモータ108を反時計方向に回転
駆動した場合は、上記とは逆に変速制御弁106のスプ
ール106gが図2中で上方に移動することにより、駆
動プーリシリンダ室20aに所定のライン圧が供給され
て、駆動プーリ16のV字状プーリ溝が小さくなり、従
動プーリ26のV字状プーリ溝が大きくなり、変速比が
小さくなる。このとき、駆動プーリ16における可動円
錐板22の移動に伴ってセンサーシュー164が図2中
で下方に移動するので、変速制御弁106のスプール1
06gが下方にひき戻されて、駆動プーリ16及び従動
プーリ26を変速比が大きい状態にしようとする。この
ような動作によって、スプール106g、駆動プーリ1
6及び従動プーリ26は、ステップモータ108の回転
位置に対応して目標とする変速比の状態で安定する。
【0044】したがって、ステップモータ108を所定
の変速パターンに従って作動させると、変速比はこれに
追従して変化することになり、ステップモータ108を
制御することによって無段変速機構の変速を制御するこ
とができる。ステップモータ108は、変速制御装置3
00から送出されるパルス数信号に対応して回転角が決
定される。変速制御装置300からのパルス数信号は走
行状態に応じた所定の変速パターンに従って与えられ
る。
【0045】変速比圧弁110は、入力ポート110
a,出力ポート110b,ドレーンポート110c及び
パイロットポート110dと、3つのランド110e,
110f及び110gを有するスプール110hと、前
述したセンサーシュー164に略中央部に支点を有する
レバー170を介して連結されたスプリング止め摺動杆
110iと、このスプリング止め摺動杆110iとスプ
ール110gとの間に介挿され、スプール110hをパ
イロットポート110d側に付勢するリターンスプリン
グ110jとを備えており、入力ポート110aが一定
圧調圧弁118の入力ポート118aに連通されている
と共に、出力ポート110bがライン圧調圧弁102の
パイロットポート102c及び自身のパイロットポート
110dに連通され、駆動プーリ16のV字状プーリ溝
間隔が小さいときには、スプリング止め摺動杆110i
が上方の位置をとるため、リターンスプリング110j
の付勢力が小さくなって、出力ポート110bから出力
されるパイロット圧が小さくなり、ライン圧調圧弁10
2で調圧される油路132のライン圧が小さい状態とな
り、この状態から駆動プーリ16のV字状プーリ溝間隔
が大きくなるにつれてスプリング止め摺動杆110iが
徐々に下方移動するため、リターンスプリング110j
の付勢力が大きくなって、出力ポート110bから出力
されるパイロット圧が徐々に大きくなって、油路132
のライン圧が徐々に増加する。
【0046】そして、上記ステップモータ108、モデ
ィファイ弁用デューティ弁120、ロックアップ用デュ
ーティ弁128及びクラッチ接離制御用デューティ弁1
29が変速制御装置300によって制御される。変速制
御装置300には、図3に示すように、エンジン回転速
度センサ301、車速センサ302、スロットル開度セ
ンサ303、シフトポジションスイッチ304、タービ
ン回転速度センサ305、エンジン冷却水温センサ30
6及びブレーキセンサ307からの電気信号が入力され
る。エンジン回転速度センサ301はエンジンのイグニ
ッション点火パルスからエンジン回転速度を検出し、ま
た車速センサ302は無段変速機の出力軸の回転から車
速を検出する。スロットル開度センサ303はエンジン
のスロットル開度を電圧信号として検出する。シフトポ
ジションスイッチ304は、前述したマニュアルバルブ
104が、P,R,N,D,Lのどの位置にあるかを検
出する。タービン回転速度センサ305はフルードカッ
プリング12のタービン軸の回転速度を検出する。エン
ジン冷却水温センサ306はエンジン冷却水の温度が一
定値以下のときに信号を発生する。ブレーキセンサ30
7は車両のブレーキが使用されているか否かを検出す
る。エンジン回転速度センサ301、車速センサ302
及びタービン回転速度センサ305からの信号は夫々波
形整形回路308、309及び322を介して入力イン
タフェース311に供給され、またスロットル開度セン
サ303からの電圧信号はA/D変換器310によって
デジタル信号に変換されて入力インタフェース311に
供給される。
【0047】変速制御装置300は、入力インタフェー
ス311、CPU(中央処理装置)313、基準パルス
発生器312、ROM(リードオンリメモリ)314、
RAM(ランダムアクセスメモリ)315及び出力イン
タフェース316を少なくとも有しており、これらはア
ドレスバス319及びデータバス320によって接続さ
れている。
【0048】ここで、基準パルス発生器312は、CP
U313を作動させる基準パルスを発生させる。ROM
314には、ステップモータ108及びデューティ弁1
20,128及び129を制御するためのプログラム及
び制御に必要なデータを格納してある。RAM315に
は、各センサ及びスイッチからの情報、制御に必要なパ
ラメータ等を一時的に格納する。
【0049】変速制御装置300からの出力信号は増幅
器317を介してステップモータ108に出力され、ま
たデューティ弁120,128及び129の電磁ソレノ
イドに直接出力される。そして、前記変速制御装置30
0による前記無段変速機の変速比制御は図4のフローチ
ャートに示す基準演算処理に従って実行される。
【0050】この変速比制御の基準演算処理について簡
単に説明すれば、図4の演算処理は所定時間(ΔT)毎
のタイマ割込みによって実行され、まずステップ502
で前記シフトポジションスイッチ304からのシフトポ
ジションを読込み、次いでステップ504でシフトポジ
ションが走行レンジであるD,L,Rレンジであるか否
かを判定し、D,L,Rレンジであると判定された場合
にはステップ508に移行し、そうでない場合即ちP,
Nレンジである場合にはステップ506に移行し、ロッ
クアップ用デューティ弁128の電磁ソレノイドに対す
る励磁電流のデューティ比を“0”に設定してから後述
するステップ630に移行する。
【0051】前記ステップ508では前記スロットル開
度センサ303からの信号に基づいてスロットル開度T
Hを読込み、次いでステップ510で車速センサ302
からの信号に基づいて車速Vを読込み、次いでステップ
512でエンジン回転速度センサ305からエンジン回
転速度NE を読込んでからステップ513aに移行す
る。
【0052】このステップ513aでは、RAM315
に記憶されている現在のステップモータ110のパルス
数PA に基づいて図6のマップを参照して現在の変速比
Pを算出し、次いでステップ513bに移行して、ス
ロットル開度TH及びエンジン回転速度NE をもとに、
図7に示すスロットル開度THをパラメータとしてエン
ジン回転速度NE とエンジントルクTE との関係を示す
マップを参照してエンジントルクTE を算出し、次いで
ステップ513cに移行して、算出したエンジントルク
E と現在の変速比CP とをもとに図8に示すエンジン
トルクTE をパラメータとして変速比CP とライン圧と
の関係を示すマップを参照してライン圧PL を算出し、
このライン圧PL を得るためにプレッシャーレギュレー
タ弁102に供給するパイロット圧をプレッシャーモデ
ィファイア弁116から出力するために対応するモディ
ファイア用デューティ弁120に対する励磁電流のデュ
ーティ比を決定してからステップ514に移行する。な
お、図8においては、変速比Clow =2.50、CHigh=0.
497 に設定されている。
【0053】このステップ514では、タービン回転速
度センサ305からの信号に基づいてタービン回転速度
t を読込み、次いでステップ516に移行して、前記
エンジン回転速度NE とタービン回転速度Nt との回転
偏差ND を算出し、次にステップ518で、ステップ5
08で読込んだスロットル開度THとステップ510で
読込んだ車速Vとをもとに予めROM314に記憶され
ている図5に示す制御マップに従ってロックアップオン
車速VON及びロップアップオフ車速VOFF を検索する。
【0054】次にステップ520に移行して、ロップア
ップフラグLUFが“1”に設定されているか否かを判
定し、ロップアップフラグLUFが“1”に設定されて
いる場合にはステップ544に移行し、そうでない場合
にはステップ522に移行する。前記ステップ544で
は、車速Vが前記ロックアップオフ車速VOFF よりも小
さいか否かを判定し、V<VOFF である場合にステップ
540に移行し、そうでない場合即ちV≧VOFF である
場合にステップ546に移行する。一方、前記ステップ
522で車速Vが前記ロックアップオン車速VONよりも
大きいと判定された場合にはステップ524に移行し、
そうでない場合には前記ステップ540に移行する。
【0055】前記ステップ524では、前記回転偏差N
D から第1の目標値Nm1 を減じて回転目標値偏差eを
算出し、次にステップ526で予め記憶された制御マッ
プから前記回転目標値偏差eに応じた第1のフィードバ
ックゲインG1 を検索し、次にステップ528で前記回
転偏差ND が制御系切換閾値N0 よりも小さいか否かを
判定し、ND <NO である場合にはステップ530に移
行し、そうでない場合即ちND ≧NO である場合にはス
テップ538に移行する。前記ステップ530では、ロ
ックアップ用デューティ弁128の前回デューティ比に
微小所定値αを加えて、このロックアップ用デューティ
弁128の今回デューティ比を設定し、次にステップ5
32でこのロックアップ用デューティ弁128の今回デ
ューティ比が100%より小さいか否かを判定し、10
0%より小さいと判定された場合にはステップ601に
移行し、そうでない場合にはステップ534に移行す
る。
【0056】ステップ534では、ロックアップ用デュ
ーティ弁128の今回ディーティ比を100%に修正
し、次にステップ536でロップアップフラグLUFを
“1”に設定してから前記ステップ601に移行する。
一方、前記ステップ538では、今回デューティ比を前
記回転目標値偏差e及び第1のフィードバックゲインG
1 を変数とする演算式に基づいて算出し、前記ステップ
601に移行する。
【0057】また、前記ステップ540ではロックアッ
プ用デューティ弁128の今回デューティ比を0%に設
定し、次にステップ542でロックアップフラグLUF
を“0”にリセットしてから前記ステップ601に移行
する。また、前記ステップ546ではロックアップ用デ
ューティ弁128の今回デューティ比を100%に設定
して、前記ステップ601に移行する。
【0058】前記ステップ601で、車両がアンチスキ
ッド制御中であるか否かを判定する。このアンチスキッ
ド制御は、車両の走行中にブレーキペダルを踏込んで制
動状態としたときに、これによってホイールシリンダ圧
が増加して、車輪速を低下させるが、そのときのスリッ
プ率が所定値を越えたときに、そのときのホイールシリ
ンダ圧を保持し、この保持状態で車輪減速度が設定値を
越えたときに車輪がロック傾向にあると判断してホイー
ルシリンダ圧を減圧してロック状態を回避し、以後車輪
速が回復すると保持状態、緩増圧状態、保持状態及び減
圧状態を繰り返しながら制動状態を継続することによ
り、車輪のロックを防止して良好な制動状態を得るよう
にしたものであり、アンチスキッド制御が開始される
と、これを表すアンチスキッド制御中フラグが“1”に
セットされることにより、このアンチスキッド制御中フ
ラグが“1”であるか否かを判定することにより、アン
チスキッド制御中であるか否かを判断することができ
る。
【0059】そして、アンチスキッド制御中ではないと
きには、そのままステップS602に移行するが、アン
チスキッド制御中であるときには、ステップ601aに
移行して、クラッチ制御用デューティ弁129の電磁ソ
レノイドに対する励磁電流のデューティ比を100%に
設定してステップ602に移行する。ステップ602で
は、当該車速Vが予め設定された変速比制御開始閾値V
0 (例えば2〜3km/hに設定され、図5に示すよう
にVON及びVOFF より小さい値となる。)よりも小さい
か否かを判定し、V<V0 と判定された場合はクリープ
制御の必要があると判断してステップ604に移行し、
そうでない場合即ちV≧V0 である場合は変速制御を行
う必要があると判断してステップ624に移行する。前
記ステップ604ではスロットル開度THがアイドル判
定閾値TH0 よりも小さいか否かを判定し、TH<TH
0 であると判定された場合はステップ610に移行し、
そうでない場合即ちTH≧TH0 であると判定された場
合にはステップ606に移行する。前記ステップ606
では、クラッチ制御用デューティ弁129の今回デュー
ティ比を0%に設定して前進用クラッチ40又は後進用
ブレーキ50を完全に締結状態とし、次にステップ60
8でステップモータ110への目標パルス数PD を、零
に設定してから後述するステップ630に移行する。
【0060】一方、前記ステップ610で、前記切換検
出スイッチ298がオン状態である場合にはステップ6
12に移行し、そうでない場合にはステップ620に移
行する。前記ステップ612では前記回転偏差ND から
第2の目標値Nm2 を減じて回転目標値偏差eを算出
し、次にステップ614で予め記憶された制御マップか
ら前記回転目標値偏差eに応じた第2のフィードバック
ゲインG2 を検索し、次にステップ616でクラッチ制
御用デューティ弁129の今回デューティ比を、前記回
転目標値偏差e及び第2のフィードバックゲインG2
変数とする演算式に基づいて算出し、次にステップ61
8でステップモータ110への現在のパルス数PA
“0”に設定してステップ636に移行する。
【0061】さらに、前記ステップ624ではシフトポ
ジションがDレンジであるか否かを判定し、Dレンジで
ある場合にステップ626に移行し、予め記憶された当
該Dレンジに相当する変速パターンから車速V及びスロ
ットル開度THに応じた変速比を検索して前記ステップ
630に移行する。ステップ624での判定結果がシフ
トポジションがDレンジでない場合にはステップ639
に移行して、シフトポジションがLレンジであるか否か
を判定し、Lレンジである場合にはステップ628に移
行し、予め記憶された当該Lレンジに相当する変速パタ
ーンから車速V及びスロットル開度THに相当する変速
比を検索して前記ステップ630に移行する。また、ス
テップ639の判定結果がシフトポジションがLレンジ
でない場合であるときにはステップ644に移行して、
予め記憶されたシフトポジションRレンジに相当する変
速パターンから車速V及びスロットル開度THに相当す
る変速比を検索して前記ステップ630に移行する。
【0062】一方、前記ステップ630で現在パルス数
A が目標パルス数PD に等しいと判定された場合には
前記ステップ636に移行する。また、前記ステップ6
30で現在パルス数PA が目標パルス数PD より小さい
か否かを判定し、PA <PDと判定された場合には、ス
テップ632に移行してステップモータ駆動信号をアッ
プシフト方向に移動し、次にステップ634で現在パル
ス数PA に“1”を加えて新たな現在パルス数PA とし
て更新記憶した後、前記ステップ636に移行する。一
方、前記ステップ630で現在パルス数PA が目標パル
ス数PD より大きいと判定された場合には、前記ステッ
プ620に移行してステップモータ駆動信号をダウンシ
フト方向に移動し、次にステップ622で現在パルス数
A から“1”を減じて新たな現在パルス数PA として
更新記憶した後、前記ステップ636に移行する。
【0063】前記ステップ636では、前記ステップモ
ータ駆動信号を出力し、次にステップ638で電磁弁ソ
レノイド駆動信号を出力してから,メインプログラムに
復帰する。本実施例では、前記ステップ644のRレン
ジ相当変速パターン検索を除くステップ626,628
で検索される変速パターンは、凡そ図9のような変速パ
ターンに従って無段変速機の変速比が設定されると考え
てよい。即ち、各変速パターンにおける変速比は,車速
Vとスロットル開度THとを変数とする制御マップ上
で,それらの変数に従って検索すれば一意に設定され
る。この図9を,車速Vを横軸、エンジン回転速度Ne
を縦軸、スロットル開度THをパラメータとする変速パ
ターンの総合制御マップであると仮定すれば、原点を通
る傾き一定の直線は変速比が一定であると考えればよ
く、例えば変速パターンの全領域において最も傾きの大
きい直線は,車両全体の減速比が最も大きい,即ち最大
変速比CHiであり、逆に最も傾きの小さい直線は,車両
全体の減速比が最も小さい,即ちDレンジ最小変速比C
DLO であると考えてよい。従って、具体的には前記Lレ
ンジの変速パターンは車速V及びスロットル開度THに
関わらず前記最大変速比CHiに固定され、前記Dレンジ
の変速パターンは前記最大変速比CHiとDレンジ最小変
速比CDLO との間の領域で車速V及びスロットル開度T
Hに応じて設定される変速比の経時的軌跡からなる制御
曲線となる。
【0064】したがって、今、車両がエンジンを停止さ
せ且つシフトレバーでPレンジを選択した駐車状態にあ
るものとし、この状態で、Vベルト式無段変速機29
が、図2に示すように、Vベルト24の駆動プーリ16
側の接触位置半径が最小で、従動プーリ26側の接触位
置半径が最大となった最大変速比CMAX の変速位置にあ
って切換検出スイッチ298がオン状態となっているも
のとする。
【0065】この駐車状態からイグニッションスイッチ
をオン状態としてエンジンを始動させてアイドリング状
態とすると、これに応じてオイルポンプ101が回転駆
動されることにより、流路132への吐出圧が増加し、
これがライン圧調圧弁102のパイロットポート102
bにパイロット圧として供給される。このとき、ライン
圧調圧弁102の出力ポート102eに接続されたクラ
ッチリリーフ弁122によってその入力ポート122a
のクラッチ圧PC がエンジン停止状態でドレーン圧近傍
までに低下しているものとする、このクラッチ圧PC
変速比圧弁110を介してスプール102sの右端部の
パイロットポート102cに供給されるパイロット圧が
低くなる。
【0066】一方、イグニッションスイッチがオン状態
となったときに中央処理装置313で、初期化を行って
ロックアップフラグLUFを“0”にリセットすると共
に、目標パルス数PD を“0”に設定してから図4の処
理を実行し、このとき、シフトレバーでPレンジが選択
されていることから、ステップ504からステップ50
6に移行してロックアップ用デューティ弁128のデュ
ーティ比を“0”に設定してからステップ630に移行
し、このとき、現在パルス数PA が目標パルス数P
D (=0)に一致しているものとするとステップモータ
108を停止状態に維持する駆動信号を出力し(ステッ
プ636)、次いでデューティ比“0”のソレノイド駆
動信号を各デューティ弁120、128及び129に出
力する。このため、モデファイヤ用デューティ弁120
のデューティ比が零の状態を維持し、その出力ポート1
20bから出力されるモディファイヤ圧が零となって、
これがプレッシャーモディファイヤ弁116のパイロッ
トポート116bに入力されるため、このプレッシャー
モディファイヤ弁116の入力ポート116d及び出力
ポート116aが遮断状態で、且つ出力ポート116a
とドレーンポート116cとが連通状態となるため、ラ
イン圧調圧弁102のパイロットポート102fのパイ
ロット圧も零となる。
【0067】したがって、スプール102sを右動させ
るパイロットポート102b及び102fのパイロット
圧とスプール102sを左動させるパイロットポート1
02cの圧力とスプール102sの受圧面積との積でな
る推力差によってスプール102sが右動し、これによ
って入力ポート102aとスプール102sのランド1
02oとの間の開口面積が増加し、これによって入力ポ
ート102aと出力ポート102eとが連通状態となる
ため、流路132のライン圧が一時的に減少する。
【0068】ところが、ライン圧調圧弁102の出力ポ
ート102dから出力される出力圧は、その下流側に配
設されているクラッチリリーフ弁122の入力ポート1
22a及びパイロットポート122bに供給されるた
め、入力ポート122aで形成されるクラッチ圧P
C は、このクラッチリリーフ弁122のリターンスプリ
ング122mによる推力とパイロットポート122bの
パイロット圧及びスプール122kのランド122iの
受圧面積の積で表される推力とが釣り合う圧力まで増加
する。
【0069】このように、クラッチ圧PC が増加する
と、これが変速比制御弁110の入力ポート110aに
供給され、このとき駆動プーリ16のV字状プーリ溝間
隔が広くなっていることから、これに応じてセンサシュ
ー164が図2でみて上方側に移動しており、このため
スプリング止め摺動杆110iが下方に移動して、リタ
ーンスプリング110jの付勢力が大きくなっているた
め、この変速比制御弁110の出力ポート110bから
出力される制御圧がクラッチ圧PC よりは低い値である
がこれに近い値となり、この制御圧がライン圧調圧弁1
02のパイロットポート102cにパイロット圧として
供給される。このため、ライン圧調圧弁102のスプー
ル102sが左動して入力ポート102aとランド10
2oとの間の開口面積が小さくなり、これに応じて流路
132のライン圧が図8に示すように、最大ライン圧曲
線LMAX 上の最大変速比CMAX に対応する点で表される
比較的高いライン圧に設定される。
【0070】このPレンジを選択している停車状態か
ら、ブレーキペダルの踏込みを維持して、前進走行を開
始するために、シフトレバーでDレンジを選択すると、
図4の処理が実行されたときに、ステップ504からス
テップ508に移行し、変速制御処理を開始する。しか
しながら、ブレーキペダルの踏込を継続している状態で
は、エンジンはアイドリング状態にあると共に、車両も
停止状態であるので、車速Vは零であり、ステップ51
3a〜S513cで算出されるモディファイヤ用デュー
ティ弁120のデューティ比は最小ではないがアイドリ
ング状態のエンジントルクに応じた値となり、デューテ
ィ弁120から出力されるモディファイヤ圧PM が多少
増加し、これに応じてプレッシャーモディファイヤ弁1
16の出力ポート116a及びドレーンポート116c
間が遮断状態となり、これに代えて出力ポート116a
及び入力ポート116d間が連通状態となるため、クラ
ッチ圧PC に基づく比較的小さい圧力のモディファイヤ
圧がパイロット圧としてライン圧調圧弁102のパイロ
ットポート102fに供給される。このため、スプール
102sが右動して、流路132のライン圧PL が図8
に示すように、最小ライン圧曲線LMIN上の最大変速比
MAX に対応する点で表される最大変速比CMAX での最
小ライン圧に設定される。
【0071】一方、シフトレバーでDレンジを選択した
ときに、マニュアル弁104の入力ポート104aと出
力ポート104cが連通状態となるため、クラッチリリ
ーフ弁122で形成されたクラッチ圧PC が前進用クラ
ッチ制御弁142を介し、オリフィス142cを介して
前進用クラッチ40に供給されるので、この前進用クラ
ッチ40が緩やかに増加して一端締結状態となる。とこ
ろが、図4の処理において、ロックアップフラグLUF
が初期状態で、“0”にリセットされているので、ステ
ップ520からステップ522に移行し、車速Vが零で
あるので、ステップ540に移行して、ロックアップ用
デューティ弁128のデューティ比を“0”に設定し、
次いでステップ542に移行して、ロックアップフラグ
LUFを“0”にリセットしてからステップ602に移
行する。
【0072】ここで、車速Vが停車中であって設定車速
0 より小さいので、ステップ604に移行し、スロッ
トル開度THがアイドリング状態であるため、設定値T
0より小さいので、ステップ610に移行し、切換検
出スイッチ298がオン状態であるので、ステップ61
2〜S616に移行して、クラッチ制御用デューティ弁
129のデューティ比をエンジン回転速度NE とタービ
ン回転速度NT との偏差ND と目標偏差Nm2との差eと
ゲインG2 とに基づいて設定することにより、デューテ
ィ比が比較的大きい値例えば60程度に設定される。こ
のため、クラッチ制御用デューティ弁129の出力ポー
ト129bから出力されるクラッチ制御圧PCCがクラッ
チ制御弁140及び142のパイロットポートに供給さ
れるため、これらクラッチ制御弁140及び142のス
プール142mがリターンスプリング142mに抗して
下降し、出力ポート142dとドレーンポート142e
とを連通させる状態となり、前進用クラッチ40に対す
るクラッチ締結圧をリターンスプリング142nの付勢
力とパイロットポート142hのパイロット圧による推
力とがバランスする圧力まで低下させて、クリープ走行
を可能な状態に制御する。
【0073】一方、ロックアップ用デューティ弁128
に対するデューティ比が“0”となるので、これから出
力されるロックアップ制御圧は略零に制御され、これが
ロックアップ制御弁126のパイロットポート126j
にパイロット圧として供給されるので、スプール126
sはリターンスプリング126tによって図2に示すよ
うに右動した位置となり、トルクコンバータリリーフ弁
124から供給されるトルクコンバータ制御圧PT が入
力ポート126b及び出力ポート126cを介してロッ
クアップ油室12aに供給され、フルードカップリング
12には、ロックアップ油室12a側から作動圧が供給
され、フルードカップリング12の油圧は保圧弁150
によって一定圧に保持される。このため、フルードカッ
プリング12におけるポンプインペラ12bとタービン
ランナー12cとの間を作動油を介して連結するロック
アップ解除状態に制御する。なお、フルードカップリン
グ12から出力される作動油がロックアップ制御弁12
6の入力ポート126c及び出力ポート126eを介し
てクーラー146に出力される。
【0074】したがって、この状態でブレーキペダルの
踏込みを解除し、アクセルペダルを解放状態とするか又
は軽く踏込んでスロットル開度THが設定値TH0 未満
の状態を維持すると、前進用クラッチ40が僅かに締結
された状態となり、エンジン10の回転駆動力がフルー
ドカップリング12、前進用クラッチ40及び遊星歯車
17のプラネットキャリア25を介して駆動プーリ16
に伝達され、フルードカップリング12でエンジン10
に対する過負荷を吸収して車両を最大変速比C MAX でク
リープ走行させることができる。
【0075】また、Dレンジを選択してブレーキペダル
を踏込んでいる停車状態から発進するため、ブレーキペ
ダルの踏込みを解除し、これに代えてアクセルペダルを
大きく踏込むことにより、スロットル開度THが設定値
TH0 より大きくなると、図4の処理が実行されたとき
にステップ604からステップ606に移行して、クラ
ッチ制御用デューティ弁129のデューティ比が“0”
に設定され、次いでステップ608で目標パルス数PD
を図6に示すように最大変速比CMAX を表すパルス数
“0”に設定してからステップ630に移行する。この
とき、現在パルス数PA が“0”であるので、PA =P
D となり、そのままステップ636及びS638でステ
ップモータ駆動信号及びソレノイド駆動信号を出力す
る。このため、クラッチ制御用デューティ弁129から
出力されるクラッチ制御圧PCCが零となって、前進用ク
ラッチ制御弁142のスプール142mがリターンスプ
リング142mによって上昇し、出力ポート142dと
ドレーンポート142eとを遮断し、逆に出力ポート1
42dと入力ポート142bとを連通させる状態とな
り、前進用クラッチ40に対するクラッチ締結圧を増加
させて、前進用クラッチ40を完全に締結状態に制御さ
れると共に、ステップモータ108を図6に示すパルス
数“0”の最大変速比CMAX の位置に維持される。
【0076】このように、前進用クラッチ40が締結状
態となることにより、最大変速比C MAX で車両を発進さ
せることができ、このとき、スロットル開度THが大き
くなることにより、図4の処理におけるステップ513
a〜S513cで設定されるライン圧PL もエンジント
ルクの増加に応じて図8の最大ライン圧曲線LMAX 上の
最大変速比CMAX に対応する点の最大圧力となり、これ
が従動プーリ26のシリンダ室32に供給されるので、
ベルト24に対してエンジントルクに対応した押付力を
作用して、ベルト24とプーリ16及び26間の滑りを
抑制して良好な発進を行うことができる。
【0077】その後、車速Vが図5に示す設定車速V0
に達すると、図4の処理が実行されたときに、ステップ
602からステップ624に移行し、Dレンジであるの
でステップ626に移行して、そのときの車速V、エン
ジン回転速度NE 及びスロットル開度THをもとに予め
記憶されたDレンジ変速パターンを参照して目標変速比
を表すステップモータ108の目標パルス数PD を決定
して、変速制御を開始する。
【0078】すなわち、目標パルス数PD が“0”より
大きな値に設定されることにより、図4の処理における
ステップ630からステップ632及びS634に移行
し、ステップモータ108の現在パルス数PA を“1”
だけインクリメントした値を新たな現在パルス数PA
して更新記憶し、次いでステップ636に移行して、現
在パルス数PA に対応するモータ駆動信号をステップモ
ータ108に出力することにより、ステップモータ10
8を図2でみて反時計方向に所定ステップ角分回転させ
る。この回転処理を目標パルス数PD と現在パルス数P
A とが一致するまで繰り返される。この結果、図10に
示すように、ロッド182が上方に移動し、レバー17
8がセンサーシュー164との連結点であるピン183
を支点として反時計方向に破線図示の位置まで回動し、
このレバー178にピン181を介して連結されている
変速制御弁106のスプール106gが上方に移動す
る。これによって、変速制御弁106の入力ポート10
6a及び出力ポート106bが連通状態となり、入力ポ
ート106aに供給されているライン圧PL が駆動プー
リ16のシリンダ室20aに供給されるので、可動円錐
板22が固定円錐板18側に移動されてV字状プーリ溝
間隔が小さくなり、これによってベルト24の駆動プー
リ16に対する接触位置半径が大きくなり、これに応じ
て従動プーリ26に対する接触位置半径が小さくなるこ
とにより、変速比が徐々に小さくなる。一方、可動円錐
板22の移動によってセンサーシュー164が下方に移
動し、これによってレバー178がロッド182のピン
185を支点として反時計方向に回動することにより、
変速制御弁106のスプール106gが下降し、そのラ
ンド106eによって出力ポート106bが徐々に閉塞
され、目標変速比に一致したときに、出力ポート106
bがランド106eによって完全に閉塞されるので、駆
動プーリ16のシリンダ室20aの圧力上昇が停止さ
れ、可動円錐板22の移動が停止される。
【0079】このように、無段変速機29の変速比が小
さくなると、図4のステップ513a〜S513cで算
出されるモデファイヤ用デューティ弁120のデューテ
ィ比が大きくなり、これに応じてプレッシャーモディフ
ァイヤ弁116の出力ポート116aから出力されるモ
ディファイヤ圧PM が大きくなってライン圧調圧弁10
2のパイロットポート102fに供給するパイロット圧
が増加すると共に、センサーシュー164の下動によっ
て変速比圧弁110のスプリング止め摺動杆110iが
上動し、これによってリターンスプリング110jの付
勢力が小さくなり、これに応じて出力ポート110bか
ら出力されるライン圧調圧弁102のパイロットポート
102cに対するパイロット圧が低下することにより、
ライン圧調圧弁102のスプール102sが右動し、こ
れによって入力ポート102aとランド102oとの間
の開口面積が大きくなることにより、ライン圧PL が低
下し、従動プーリ26のシリンダ室32の圧力も低下す
ることにより、変速比に応じたベルト挟持力に変更され
る。
【0080】その後、スロットル開度THが大きい状態
を維持しながら車速Vが増加して、ロックアップオン車
速VONを越える状態となると、図4の処理におけるステ
ップ522からステップ524に移行して、エンジン回
転速度NE とタービンランナー回転速度Nt との回転速
度偏差ND から第1の目標値Nm1 を減じて回転目標値
偏差eを算出し、次にステップ526で予め記憶された
制御マップから前記回転目標値偏差eに応じた第1のフ
ィードバックゲインG1 を検索し、次にステップ528
で前記回転速度偏差ND が制御系切換閾値N0 よりも小
さいか否かを判定する。ND ≧NO である場合には回転
速度偏差が大きすぎるものと判断してステップ538に
移行して、ロックアップ用デューティ弁128に対する
デューティ比を回転速度偏差e及びフィードバックゲイ
ンG1 に応じた値に設定してフィードバック制御を行
う。このため、ステップ638でソレノイド駆動信号が
ロックアップ用デューティ弁128に出力されたとき
に、その出力ポート128bから出力されるロックアッ
プ制御圧PLUが徐々に増加することにより、これが変速
指令弁150の入力ポート150a及び150bを通じ
てロックアップ制御弁126のパイロットポート126
jに供給されるため、そのスプール126sがリターン
スプリング126tに抗して左動することになり、ロッ
クアップ油室12aに供給されるトルクコンバータ圧P
T が徐々に減少されると共に、フルードカップリング1
2からクーラー146に出力される作動油量も減少さ
れ、ロックアップ油室12aの圧力が低下することによ
り、徐々にロックアップ状態に切換えが行われる。
【0081】そして、回転速度偏差ND が制御系切換閾
値N0 より小さくなると、図4のステップ528からス
テップ530に移行し、現在のロックアップ用デューテ
ィ比に所定値αを加算するフィードフォワード制御を行
い、これが100%未満であるときには、ステップ53
4に移行してデューティ比を100%に設定し、次いで
ステップ536でロックアップ制御フラグLUFを
“1”にセットしてからステップ602に移行する。
【0082】このため、ロックアップ用デューティ弁1
28から出力されるロックアップ制御圧PLUが高い圧力
となるため、ロックアップ制御弁126のスプール12
6sがさらに左動し、ロックアップ油室12aをドレー
ンポート126gに連通させると共に、トルクコンバー
タ圧PT をフルードカップリング12に直接供給し、さ
らに潤滑用リリーフボール144で設定される潤滑圧P
LBが入力ポート126f及び出力ポート126eを介し
てクーラー146に供給されて冷却される。
【0083】このため、ロックアップ油室12aの圧力
が略零となるので、ポンプインペラー12bとタービン
ランナー12cとを機械的に連結したロックアップ状態
となり、車両は加速状態を継続する。そして、所望の車
速Vに達して、アクセルペダルの踏込みを停止すると、
スロットル開度THが一定値となり、エンジン回転速度
も一定となるので、ステップ626で検索される目標パ
ルス数PD が一定値となり、これと現在パルス数PA
が一致するので、図4の処理においてステップ630か
らステップ636に移行して現在パルス数PA を維持す
るので、変速動作は行われず、定速走行状態が維持され
る。
【0084】この定速走行状態からアクセルペダルの踏
込を解除してエンジンブレーキ状態とするか又はブレー
キペダルを踏込んで制動状態とすると、スロットル開度
THが低下することにより、ステップ626で検索され
る目標パルス数PD が低下し、これによってステップ6
30からステップ620に移行して、ステップモータ1
08の駆動信号をダウンシフト方向とし、次いでステッ
プ622で現在パルス数PA を“1”だけデクリメント
する。このため、ステップモータ108が図10で時計
方向に回転駆動され、これによってロッド182が下方
に移動することにより、レバー178がセンサーシュー
164のピン183を支点として時計方向に回動し、こ
れによって変速制御弁106のスプール106gが下降
することにより、出力ポート106bとドレーンポート
106cとが連通状態となり、駆動プーリ16のシリン
ダ室20aの作動油が徐々に保圧弁160を介してタン
ク130に戻される。このため、駆動プーリ16のシリ
ンダ室20aの圧力が徐々に低下することにより、V字
状プーリ溝間隔が徐々に広がり、駆動プーリ16に対す
るベルト24の接触位置半径が徐々に小さくなり、逆に
従動プーリ26に対するベルト24の接触位置半径が徐
々に大きくなることにより、変速比Cが徐々に大きくな
ってダウンシフトが行われ、車両は減速状態となる。
【0085】そして、減速状態を継続して、車速Vがロ
ックアップオフ車速VOFF 未満となると、図4の処理に
おけるステップ544からステップ540に移行して、
ロックアップ用デューティ弁128に対するデューティ
比が“0”に設定され、次いで、ステップ542でロッ
クアップ制御フラグLUFが“0”にリセットされる。
このため、ロックアップ制御弁126のパイロットポー
ト126jの圧力が低下することにより、スプール12
6sが瞬時に右動し、トルクコンバータ圧PTがロック
アップ油室12aに供給されるため、ロックアップ状態
が直ちに解除されてフルードカップリング12を介した
駆動状態に復帰し、この間無段変速機29の変速比Cは
増加状態を継続し、車速Vが設定車速V0 未満となる
と、ステップ602からステップ604に移行し、スロ
ットル開度THが設定値TH0 より小さいので、ステッ
プ610に移行し、現在パルス数PA が“0”即ち最大
変速比CMAX に達していないときには、ステップ620
及びステップ622でステップモータ108をダウンシ
フト方向に回転させると共に、現在パルス数PA
“1”だけデクリメントし、現在パルス数PA が“0”
に達するとステップ612に移行して前述したように、
前進用クラッチ40のクラッチ圧を低下させてクリープ
走行可能な状態に復帰させる。
【0086】この減速状態を継続している間に、駆動プ
ーリ16の可動円錐板22が上方に移動することによ
り、センサーシュー164が下降することにより、変速
比圧弁110の出力圧が増加し、これによってライン圧
調圧弁102のパイロットポート102cのパイロット
圧が増加することにより、ライン圧が低下して従動プー
リ26のベルト挟持力が変速位置に応じた値に調整され
る。
【0087】ここで、制動時にアンチスキッド制御が開
始されると、前述したように、アンチスキッド制御中フ
ラグが“1”にセットされることにより、図4の処理に
おけるステップ601からステップ601aに移行し
て、クラッチ制御用デューティ弁129の電磁ソレノイ
ドに対する励磁電流のデューティ比が100%に設定さ
れるため、ステップ636でソレノイド駆動信号がクラ
ッチ制御用デューティ弁129に出力されたときに、ク
ラッチ制御用デューティ弁129の出力ポート129b
から出力されるクラッチ制御圧PCCが高い圧力となり、
これが前進用クラッチ制御弁142のパイロットポート
142hに供給されるので、そのスプール142mがリ
ターンスプリング142nに抗して下降し、これによっ
て出力ポート142dとドレーンポート142eとが連
通状態となることにより、前進用クラッチ40のクラッ
チ圧が低下して、車輪速の変動による負荷がエンジン1
0に作用することを回避することができる。
【0088】また、車両が走行状態から停車状態となっ
た後に、シフトレバーをDレンジからNレンジにシフト
すると、これに応じてマニュアル弁104のスプール1
04iが図2で下方に移動することにより、Dレンジポ
ート104cがドレーンポート104fに連通する状態
となるが、クラッチ制御弁142の入力ポート142b
とDレンジポート104cとの間の油路に逆止弁142
oが介挿されていることにより、クラッチ制御弁142
の入力ポート142bから流出する作動油はオリフィス
142aを通じてDレンジポート104c及びドレーン
ポート104fを介してタンク130に戻ることにな
り、前進用クラッチ40のクラッチ圧の低下が徐々に行
われ、DレンジからNレンジへのシフト時のショックを
防止することができる。
【0089】また、シフトレバーをNレンジからDレン
ジにシフトすると、クラッチ制御弁142の出力ポート
142dから前進用クラッチに流出する作動油はオリフ
ィス142cを通じることになり、前進用クラッチ40
のクラッチ圧の上昇が徐々に行われ、NレンジからDレ
ンジへのシフト時のショックを防止することができる。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の動力伝達クラッチの油圧制御回路は、マニュアル
弁が中立レンジから前進走行レンジにシフトした場合に
は、動力伝達クラッチ制御弁から動力伝達クラッチに向
けてクラッチ圧が供給されていくが、動力伝達クラッチ
制御弁と動力伝達クラッチとの間に配設されている供給
方向オリフィス手段が、クラッチ圧を徐々に上昇させて
いくので、中立レンジから前進走行レンジにシフトした
場合のショックを防止することができる。
【0091】また、マニュアル弁が前進走行レンジから
中立レンジにシフトした場合には、デューティ制御電磁
弁の制御により動力伝達クラッチ制御弁は入力ポート及
び出力ポートが連通し、動力伝達クラッチのクラッチ圧
が動力伝達クラッチ制御弁を介してマニュアル弁の前進
走行レンジポートからドレーンポートに戻されてくる
が、マニュアル弁と動力伝達クラッチ制御弁との間に配
設されている戻り方向オリフィス手段が、クラッチ圧を
徐々に低下させていくので、前進走行レンジから中立レ
ンジにシフトした場合のショックを防止することができ
る。
【0092】さらに、アンチスキッド制御時には、デュ
ーティ制御電磁弁の制御により動力伝達クラッチ制御弁
は出力ポートとドレーンポートとが連通し、動力伝達ク
ラッチのクラッチ圧は一気に低下するので、車輪速の変
動による負荷は回転駆動系への作用を回避することがで
きる。したがって、中立レンジと前進用クラッチの間の
シフト時のショックを防止することができると同時に、
アンチスキッド制御時における回転駆動系への負荷を低
減させることが可能な動力伝達クラッチの油圧制御回路
を提供することができる。
【0093】また、本発明の請求項2記載の動力伝達ク
ラッチの油圧制御回路は、マニュアル弁が中立レンジか
ら前進走行レンジにシフトした場合には、クラッチ制御
弁から前進用クラッチに向けてクラッチ圧が供給されて
いくが、前進用クラッチ制御弁と前進用クラッチとの間
に配設されている供給方向オリフィス手段が、クラッチ
圧を徐々に上昇させていくので、中立レンジから前進走
行レンジにシフトした場合のショックを防止することが
できる。
【0094】また、マニュアル弁が前進走行レンジから
中立レンジにシフトした場合には、デューティ制御電磁
弁の制御により前進用クラッチ制御弁は入力ポート及び
出力ポートが連通し、前進用クラッチのクラッチ圧が前
進用クラッチ制御弁を介してマニュアル弁の前進走行レ
ンジポートからドレーンポートに戻されてくるが、マニ
ュアル弁と前進用クラッチ制御弁との間に配設されてい
る戻り方向オリフィス手段が、クラッチ圧を徐々に低下
させていくので、前進走行レンジから中立レンジにシフ
トした場合のショックを防止することができる。
【0095】さらに、アンチスキッド制御時には、デュ
ーティ制御電磁弁の制御により前進用クラッチ制御弁は
出力ポートとドレーンポートとが連通し、前進用クラッ
チのクラッチ圧は一気に低下するので、車輪速の変動に
よる負荷は回転駆動系への作用を回避することができ
る。したがって、中立レンジと前進用クラッチの間のシ
フト時のショックを防止することができると同時に、ア
ンチスキッド制御時における回転駆動系への負荷を低減
させることが可能な無段変速機の油圧制御装置を提供す
ることができる。
【0096】また、請求項3、4記載の動力伝達クラッ
チの油圧制御回路は、請求項1若しくは2記載の装置の
効果に加えて、簡便な構造により作動油の流れを規制す
ることが可能なオリフィス手段を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無段変速機の動力伝達機構を示す図である。
【図2】本発明の無段変速機の油圧制御装置を示す図で
ある。
【図3】無段変速機の変速制御装置を示す図である。
【図4】変速装置の制御ルーチンを示す図である。
【図5】スロットル開度と車速との関係を示す図であ
る。
【図6】変速比とステップモータ位置の関係を示す図で
ある。
【図7】エンジントルクとエンジン回転数の関係を示す
図である。
【図8】ライン圧と変速比の関係を示す図である。
【図9】無段変速機の変速パターンを示す図である。
【図10】変速操作機構の動作を示す図である。
【図11】従来の無段変速機の前後進切換装置の油圧回
路示す図である。
【符号の説明】
12 流体伝動装置 15 前後進切換装置 16 無段変速機構 40 前進用クラッチ(動力伝達クラッチ) 50 後進用ブレーキ(動力伝達クラッチ) 10 回転駆動系 13 入力軸 14 出力軸 104 マニュアル弁 104f マニュアル弁のドレーンポート 104c 前進走行レンジポート 142 前進用クラッチ制御弁(動力伝達クラッチ制御
弁) 142b 入力ポート 142d 出力ポート 142e ドレーンポート 142h パイロットポート 129 デューティ制御電磁弁 142a オリフィス(戻り方向オリフィス手段) 142o 逆止弁(戻り方向オリフィス手段) 142c オリフィス(供給方向オリフィス手段) 142p 逆止弁(供給方向オリフィス手段)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪とエンジンとの間に設けた動力伝達
    クラッチに所定のクラッチ圧を出力することにより締結
    若しくは開放状態とする動力伝達クラッチの油圧制御回
    路において、 所定のレンジが選択されることにより入力されたライン
    圧を動力伝達クラッチ側に出力するとともに、中立レン
    ジ状態の場合に前進走行レンジポートと連通するドレー
    ンポートを設けたマニュアル弁と、 マニュアル弁の前進走行レンジポートと動力伝達クラッ
    チとの間に配設され、所定の制御圧が供給されることに
    より入力ポートと出力ポートを連通して所定のクラッチ
    圧を動力伝達クラッチに供給し、変更された制御圧が供
    給されることにより出力ポートとドレーンポートとを連
    通して動力伝達クラッチのクラッチ圧を排出させること
    が可能な動力伝達クラッチ制御弁と、 動力伝達クラッチ制御弁に対して前記制御圧を供給する
    ことにより、動力伝達クラッチ制御弁によるクラッチ圧
    入力制御を行うとともに、マニュアル弁が走行レンジ状
    態の場合に動力伝達クラッチ制御弁の入力ポートと出力
    ポートとを連通させ、アンチスキッド制御時において動
    力伝達クラッチ制御弁の出力ポートとドレーンポートと
    を連通させる制御を行うデューティ制御電磁弁と、 動力伝達クラッチ制御弁と動力伝達クラッチとの間に配
    設され、作動油が前進用クラッチ側へ流れる場合のみ作
    動油の流量を絞る供給方向オリフィス手段と、 マニュアル弁と動力伝達クラッチ制御弁との間に配設さ
    れ、作動油がマニュアル弁側へ流れる場合のみ作動油の
    流量を絞る戻り方向オリフィス手段とを備えることを特
    徴とする動力伝達クラッチの油圧制御回路。
  2. 【請求項2】 流体伝動装置、前後進切換装置、無段変
    速機構を備え、前後進切換装置を構成する前進用クラッ
    チ、後進用ブレーキに対して所定のクラッチ圧を出力す
    ることにより締結状態若しくは開放状態とし、回転駆動
    系から流体伝動装置を介して入力軸に伝達される回転力
    を無段変速機構の出力軸に伝達する動力伝達クラッチの
    油圧制御回路において、 所定のレンジが選択されることにより入力されたライン
    圧を前進用クラッチ側若しくは後進用ブレーキ側に出力
    するとともに、中立レンジ状態の場合に前進走行レンジ
    ポートと連通するドレーンポートを設けたマニュアル弁
    と、 マニュアル弁の前進走行レンジポートと前進用クラッチ
    との間に配設され、所定の制御圧が供給されることによ
    り入力ポートと出力ポートを連通して所定のクラッチ圧
    を前進用クラッチに供給し、変更された制御圧が供給さ
    れることにより出力ポートとドレーンポートとを連通し
    て前進用クラッチのクラッチ圧を排出させることが可能
    な前進用クラッチ制御弁と、 前進用クラッチ制御弁に対して前記制御圧を供給するこ
    とにより、前進用クラッチ制御弁によるクラッチ圧入力
    制御を行うとともに、マニュアル弁が走行レンジ状態の
    場合に前進用クラッチ制御弁の入力ポートと出力ポート
    とを連通させ、アンチスキッド制御時において前進用ク
    ラッチ制御弁の出力ポートとドレーンポートとを連通さ
    せる制御を行うデューティ制御電磁弁と、 前進用クラッチ制御弁と前進用クラッチとの間に配設さ
    れ、作動油が前進用クラッチ側へ流れる場合のみ作動油
    の流量を絞る供給方向オリフィス手段と、 マニュアル弁と前進用クラッチ制御弁との間に配設さ
    れ、作動油がマニュアル弁側へ流れる場合のみ作動油の
    流量を絞る戻り方向オリフィス手段とを備えることを特
    徴とする動力伝達クラッチの油圧制御回路。
  3. 【請求項3】 供給方向オリフィス手段は、絞り弁と、
    この絞り弁と並列配置されて前進用クラッチに流入する
    作動油を阻止する逆止弁とで構成されていることを特徴
    とする請求項1若しくは2記載の動力伝達クラッチの油
    圧制御回路。
  4. 【請求項4】 戻り方向オリフィス手段は、絞り弁と、
    この絞り弁と並列配置されてマニュアル弁に流入する作
    動油を阻止する逆止弁とで構成されていることを特徴と
    する請求項1、2若しくは3記載の動力伝達クラッチの
    油圧制御回路。
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