JP2953606B2 - 紙送り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ファクシミリ、ページ
プリンタおよび複写機などに用いられる紙送り装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ファクシミリの給紙機構などに用
いられる紙送り装置は、例えば図４および図５に示すよ
うに、機器本体１の底部に用紙Ｐを収納したカセット２
が前方（図４左側）から挿入されるカセット収納部３が
形成され、このカセット収納部３の後部（図４右側）上
方にカセット２内の用紙Ｐを１枚ずつ繰り出すピックア
ップローラ４が配設されている。

【０００３】カセット２からの用紙Ｐの繰出位置から前
方へ向けて略Ｕ字状に湾曲通路５が形成され、この湾曲
通路５は、内径側のガイド体6aと、外径側の通路体７お
よびガイド体6bとの間に形成されている。

【０００４】通路体７には、機器本体１の外面を構成す
るカバー部7aの内面に複数のリブ7bが突出形成され、こ
の各リブ7bにガイド体6aと対向して湾曲通路５を形成す
る湾曲状のガイド縁部7cが形成されている。そして、通
路体７は、左右両端下部に突出形成された支軸7dによっ
て機器本体１に回動可能に取り付けられ、後方への回動
時に湾曲通路５を開放する。

【０００５】湾曲通路５の始端部の内径側には左右幅方
向に一対の送りローラ８が配設され、この各送りローラ
８に臨む外径側には一対のピンチローラ９がそれぞれ配
設されている。各ピンチローラ９は、板ばね10により通
路体７に対して支持されている。板ばね10は、通路体７
のボス7eにねじ11で取り付けられる基部10a を有し、こ
の基部10a の両側上縁部からピンチローラ９の回転軸9a
に係合してピンチローラ９を送りローラ８に向けて付勢
するローラ付勢部10b が一体形成されている。

【０００６】さらに、通路体７には紙ガイド12が各板ば
ね10と一体的にねじ11で取り付けられており、この紙ガ
イド12は、カセット２から繰り出される用紙Ｐを送りロ
ーラ８とピンチローラ９との間へ導くように構成されて
いる。

【０００７】そして、給紙時に、ピックアップローラ４
が図中矢印方向に１回転され、カセット２内から繰り出
される用紙Ｐが、紙ガイド12を通じて送りローラ８とピ
ンチローラ９との間に導かれ、送りローラ８とピンチロ
ーラ９との間に挟持されて湾曲通路５に送られる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の紙送り
装置では、カセット２から繰り出される用紙Ｐを送りロ
ーラ８とピンチローラ９との間に導くのに専用部品であ
る紙ガイド12を用いるため、部品点数が増し、組立作業
が煩雑になる問題がある。

【０００９】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、部品点数を削減し、組立作業性を向上できる紙送
り装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、用紙を収納す
る用紙収納部と、この用紙収納部から送り出される用紙
の用紙進入方向に対して湾曲され、内径側をガイド体で
形成されるとともに外径側を通路体で形成される湾曲通
路と、この湾曲通路の始端部の内径側に配設される送り
ローラと、前記通路体に、前記湾曲通路の始端部の外径
側で前記送りローラに臨んで進退可能に配設されるピン
チローラと、前記通路体に取り付けられる基部、この基
部の両側上縁部から一体に切り起し形成されて前記ピン
チローラを前記送りローラに向けて付勢するローラ付勢
部、前記基部の中央上縁部から一体に切り起し形成され
て前記用紙収納部側へ突出されるとともに先端が送りロ
ーラとピンチローラとの間に臨み前記用紙進入方向から
湾曲通路に進入する用紙を送りローラとピンチローラと
の間へ導くガイド部を一体形成した板ばねとを備えたも
のである。

【００１１】

【作用】本発明では、紙送り時おいて、用紙収納部から
送り出されて用紙進入方向から湾曲通路に進入する用紙
を、板ばねのガイド部で湾曲通路の送りローラとピンチ
ローラとの間に導き、送りローラとこの送りローラに向
けて板ばねのローラ付勢部で付勢されたピンチローラと
の間に挟持し、通路体とガイド体との間の湾曲通路に送
る。そして、板ばねにローラ付勢部とガイド部とを一体
形成して２つの機能を持たせたので、板ばねを通路体に
対して取り付けるだけですむ。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の紙送り装置の一実施例の構成
を図１ないし図３を参照して説明する。

【００１３】図において、21はファクシミリなどの機器
本体で、この機器本体21の底部にはカセット収納部22が
形成され、このカセット収納部22内に前方（図１左側）
から用紙収納部としてのカセット23が挿脱可能に収納さ
れている。

【００１４】カセット23は上面を開口した薄箱状に形成
されており、カセット23の内側部には、用紙Ｐを載置す
るプレート24が配設されているとともに、このプレート
24の後部（図１右側）を上方へ付勢する図示しないスプ
リングが配設され、さらに、カセット23の後部には用紙
Ｐの両側隅部にそれぞれ係合する爪部25を有する紙押え
部材26が配設されている。

【００１５】カセット収納部22の後部上方にはカセット
23内の用紙Ｐを１枚ずつ繰り出すピックアップローラ27
が配設されており、このピックアップローラ27は、支軸
28によって支持され、周面に切欠部29を有する断面略扇
状に形成され、切欠部29が下方へ向く状態を待機状態と
し、給紙時に図中矢印方向に１回転駆動される。

【００１６】カセット23からの用紙Ｐの繰出場所から前
方へ向けて略Ｕ字状に湾曲通路30が形成され、この湾曲
通路30は、内径側のガイド体31a と、外径側の通路体32
およびガイド体31b との間に形成されている。

【００１７】通路体32は、機器本体21の外面を構成する
左右幅方向に横長のカバー部33を有し、このカバー部33
の内面に縦方向の複数のリブ34が突出形成され、左右両
端下部に機器本体21に回動可能に軸支される支軸35が突
出形成されている。そして、支軸35を支点として通路体
32が後方へ回動したとき、湾曲通路30が開放される。

【００１８】通路体32の各リブ34には、ガイド体31a と
対向して湾曲通路30を形成する湾曲状のガイド縁部36が
形成され、このガイド縁部36の下端部の下側にカセット
23の周壁上縁に係合する係合部37が形成されている。

【００１９】また、後述する一対のピンチローラ48およ
び一対の板ばね51の各取付位置に対応する通路体32の左
右両側の各リブ34群において、略中央のリブ34a とその
両側のリブ34b との間、その両側のリブ34b とさらに両
側のリブ34c との間には、補助リブ34d ，34e がそれぞ
れ形成されている。

【００２０】そして、一対のピンチローラ48の各取付位
置に対応して、中央のリブ34a のガイド縁部36にローラ
用溝部38が、その両側のリブ34b のガイド縁部36に軸用
溝部39が形成されている。

【００２１】さらに、一対の板ばね51の各取付位置に対
応して、各リブ34a ，34b ，34d ，34e に取付凹部40が
形成され、この取付凹部40の中央に臨むリブ34a には取
付ボス41が形成されている。取付凹部40の上側に臨む中
央のリブ34a および補助リブ34d には、板ばね51のガイ
ド部55を保持する略三角形状の保持部42が形成されてい
る。補助リブ34e の上端近傍には水平板部43が形成さ
れ、この水平板部43の左右両端に位置決め突部44が形成
されている。

【００２２】湾曲通路30の始端部の内径側には送りロー
ラ45が配設されており、この送りローラ45は、左右幅方
向に沿って機器本体21内に軸支された回転軸46に、左右
一対のローラ部47が取り付けられている。

【００２３】湾曲通路30の始端部の外径側には各送りロ
ーラ45に臨んで一対のピンチローラ48がそれぞれ配設さ
れており、このピンチローラ48は、支軸49にローラ部50
が回転自在に支持されており、板ばね51によって通路体
32に支持されている。通路体32に支持されるピンチロー
ラ48は、ローラ部50がローラ用溝部38に入るとともに支
軸49が軸用溝部39に入り、送りローラ45に向けて進退移
動可能になっている。

【００２４】板ばね51は、ばね性を有する金属板材から
なり、取付凹部40に嵌合する基部52を有し、この基部52
の両側上縁部からローラ付勢部53が一体に切り起こし形
成され、このローラ付勢部53の先端にピンチローラ48の
両端から突出する支軸49を保持する断面略Ｕ字状の保持
部54が形成されている。

【００２５】板ばね51の基部52の中央上縁部からガイド
部55が一体に切り起こし形成され、このガイド部55は、
前方へ水平状に突出する水平板部56の先端から後側上方
に斜めに突出する傾斜板部57が形成されている。そし
て、通路体32への取付時に、ガイド部55が保持部42に係
合して形状保持され、このガイド部55により、カセット
23から繰り出される用紙Ｐの先端が、ローラ用溝部38や
軸用溝部39に引っ掛かることなく、送りローラ45とピン
チローラ48との間へ導けるようになっている。

【００２６】板ばね51の基部52には取付ボス41に取付ね
じ58によって取り付けられる取付孔59が形成され、各ロ
ーラ付勢部53の基部52側の両側縁部に位置決め突部44に
嵌合する位置決め凹部60が形成されている。

【００２７】なお、湾曲通路30の下流には機器本体21の
前面に連通する印刷通路が形成され、この印刷通路には
用紙Ｐの表面に印刷処理を施すプリンタ部が配設されて
おり、これらの印刷通路やプリンタ部は図面上では省略
している。

【００２８】次に、本実施例の作用を説明する。

【００２９】通路体32へのピンチローラ48などの組立時
には、まず、板ばね51の両ローラ付勢部53間にピンチロ
ーラ48のローラ部50を係合するとともに、両ローラ付勢
部53の保持部54にピンチローラ48の支軸49を係合し、板
ばね51にピンチローラ48を組み込む。

【００３０】ピンチローラ48を組み込んだ板ばね51を両
側のリブ34c 間に挿入して、基部52を通路体32の取付凹
部40に嵌合し、各ローラ付勢部53をリブ34b とリブ34c
との間に嵌合するとともに、各ローラ付勢部53の位置決
め凹部60を位置決め突部44に嵌合し、基部52の取付孔59
を通じて取付ねじ58を取付ボス41に螺着し、板ばね51を
通路体32に固定する。

【００３１】組立状態では、ピンチローラ48のローラ部
50がローラ用溝部38に、支軸49が軸用溝部39にそれぞれ
移動可能に入り、板ばね51のガイド部55が保持部42に係
合して形状保持される。

【００３２】そして、ピンチローラ48などが組み込まれ
た通路体32は、機器本体１に支軸35を介して回動可能に
取り付けられる。支軸35を支点として通路体32が後方へ
回動した状態で湾曲通路30が開放され、また、通路体32
が前方へ回動したセット状態で湾曲通路30が閉塞され、
この閉塞状態で通路体32が機器本体１に係脱可能に係止
される。

【００３３】通路体32のセット状態では、ピンチローラ
48が板ばね51の弾性によって送りローラ45に圧接し、板
ばね51のガイド部55の先端が送りローラ45とピンチロー
ラ48との間に臨む。また、機器本体21のカセット収納部
22に挿入されたカセット23の上縁部に通路体32のリブ34
の係合部37が係合する。

【００３４】次に、給紙時において、ピックアップロー
ラ27が１回転され、カセット23内から繰り出される用紙
Ｐの先端が、リブ34のガイド縁部36および板ばね51のガ
イド部55を通じて、回転駆動される送りローラ45とピン
チローラ48との間に導かれ、送りローラ45とピンチロー
ラ48との間に挟持されて湾曲通路30に送られる。なお、
ガイド部55によれば、カセット23から繰り出される用紙
Ｐの先端が、ローラ用溝部38や軸用溝部39に引っ掛かる
ことなく、送りローラ45とピンチローラ48との間へ導け
る。

【００３５】また、送りローラ45によって用紙Ｐの送り
が開始されると、ピックアップローラ27の切欠部29が用
紙Ｐに臨み、用紙Ｐの送りが送りローラ45側に切り換え
られる。

【００３６】湾曲通路30内に送られる用紙Ｐは、リブ34
のガイド縁部36およびガイド体31bとガイド体31a との
間を通じてＵターンするようにして前方へ送られる。

【００３７】このように、板ばね51にローラ付勢部53と
ガイド部55とを一体形成して２つの機能を持たせたの
で、従来に比べて部品点数が削減され、板ばね51を通路
体32に対して取り付けだけですむ。

【００３８】また、湾曲通路30で用紙Ｐの詰まりが生じ
た場合には、通路体32を後方へ回動させることにより、
ピンチローラ48が送りローラ45から大きく離反して湾曲
通路30が開放され、この開放部分から詰まりの生じた用
紙Ｐを取り除き、紙詰まりを解消できる。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、板ばねにローラ付勢部
とガイド部とを一体形成して、送りローラへのピンチロ
ーラの付勢機能と、送りローラとピンチローラとの間へ
の用紙のガイド機能との２つの機能を持たせたので、従
来に比べて部品点数を削減でき、板ばねを通路体に対し
て取り付けるだけですみ、組立作業性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の紙送り装置の一実施例を示す断面図で
ある。

【図２】同上実施例の一部の分解状態の斜視図である。

【図３】同上実施例の一部の組立状態の斜視図である。

【図４】従来の紙送り装置の断面図である。

【図５】同上従来例の一部の斜視図である。

【符号の説明】

23 用紙収納部としてのカセット 30 湾曲通路 31a ガイド体 32 通路体 45 送りローラ 48 ピンチローラ 51 板ばね 52 基部 53 ローラ付勢部 55 ガイド部 Ｐ 用紙

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 用紙を収納する用紙収納部と、 この用紙収納部から送り出される用紙の用紙進入方向に
   対して湾曲され、内径側をガイド体で形成されるととも
   に外径側を通路体で形成される湾曲通路と、 この湾曲通路の始端部の内径側に配設される送りローラ
   と、 前記通路体に、前記湾曲通路の始端部の外径側で前記送
   りローラに臨んで進退可能に配設されるピンチローラ
   と、 前記通路体に取り付けられる基部、この基部の両側上縁
   部から一体に切り起し形成されて前記ピンチローラを前
   記送りローラに向けて付勢するローラ付勢部、前記基部
   の中央上縁部から一体に切り起し形成されて前記用紙収
   納部側へ突出されるとともに先端が送りローラとピンチ
   ローラとの間に臨み前記用紙進入方向から湾曲通路に進
   入する用紙を送りローラとピンチローラとの間へ導くガ
   イド部を一体形成した板ばねとを備えたことを特徴とす
   る紙送り装置。