JP2953445B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維の製造方法
に関するものであり、特に紡糸用ピッチの製造から紡糸
までを一貫して行う方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】炭素繊維は、比強度、比弾性率が高い材
料で、高性能複合材料のフィラー繊維として最も注目さ
れており、中でもピッチ系炭素繊維は原料が潤沢であ
る、炭化工程の歩留が大きい、繊維の弾性率が高い、等
ポリアクリロニトリル系炭素繊維に比べて様々な利点を
持っている。周知の様に、重質油、タール、ピッチ等の
炭素質原料を350〜500℃に加熱すると、それら物
質中に粒径が数ミクロンから数百ミクロンの、偏光下に
光学的異方性を示す小球体が生成する。そして、さらに
加熱するとこれらの小球体は成長、合体し、ついには全
体が光学的異方性を示す状態となる。この異方性組織は
炭素質原料の熱重縮合反応により生成した平面状高分子
芳香族炭化水素が層状に積み重なり、配向したもので、
黒鉛結晶構造の前駆体とみなされている。 【0003】この様な異方性組織を含む熱処理物は、一
般的にはメソフェーズピッチと呼称されている。かかる
メソフェーズピッチを紡糸ピッチとして使用する方法と
しては、例えば、石油系ピッチを静置条件下で約350
〜450℃で加熱処理し、40〜90重量%のメソフェ
ーズを含有するピッチを得て、これを紡糸ピッチとする
方法が提案されている(特開昭49−19127号)。 【0004】しかし、かかる方法により等方質の炭素質
原料をメソ化するには長時間を要するので、予め炭素質
原料を十分量の溶媒で処理してその不溶分を得、それを
230〜400℃の温度で10分以下の短時間加熱処理
して、高度に配向され、光学的異方性部分が75重量%
以上で、キノリン不溶分25重量%以下の、所謂、ネオ
メソフェーズピッチを形成し、これを紡糸ピッチとする
方法が提案されている(特開昭54−160427
号)。 【0005】その他、高特性炭素繊維製造用の配向性の
よい紡糸ピッチとしては、例えば、コールタールピッチ
をテトラヒドロキノリン存在下に水添処理し、次いで、
約450℃で短時間加熱処理して得られる光学的に等方
性で600℃以上に加熱することによって異方性に変わ
る性質を有するピッチ、所謂、プリメソフェーズピッチ
(特開昭58−18421号)、或いは、メソフェーズ
ピッチをBirch還元法等により水素化処理して得ら
れる光学的に等方性で外力を加えるとその方向への配向
性を示すピッチ、所謂、ドーマントメソフェーズ(特開
昭57−100186号)等が提案されている。この様
な紡糸ピッチをノズルを通して溶融紡糸することにより
ピッチ繊維を得ることができる。次いで、このピッチ繊
維を不融化、炭化、さらに場合により黒鉛化することに
よってピッチ系の高特性炭素繊維を得ることができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
各種メソフェーズが如何なる態様であれ、従来の紡糸ピ
ッチには、加熱処理時に発生するもの等の低沸点成分、
あるいは加熱処理時の雰囲気気体である窒素等の軽沸ガ
ス成分が含有されており、かかる軽沸ガス成分を含有し
たピッチを溶融紡糸、不融化、炭化して炭素繊維を製造
すると、安定した紡糸状態が維持できないことはもとよ
り、得られた繊維が糸切れ、ケバ立ち等の問題が生じ易
いので今一つ、高特性の製品となり得ない傾向を示す。
従って本発明は、紡糸ピッチから紡糸性や繊維特性を低
下させずに低沸点成分を除去し、ピッチの処理から紡糸
までを一貫して行う方法を提供せんとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、炭素質
原料を加熱処理してメソフェーズの含有量が70%以上
のピッチとし、これを溶融状態で、減圧下、335〜4
00℃の温度で回転体上に供給し、遠心力により該回転
体上で薄膜状に展開させて、含有している低沸点成分を
放出させ、次いで固化させることなく紡糸装置に供給し
て紡糸することにより、特性の優れた炭素繊維を安定し
て製造することができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下に本発明について更に詳しく
説明するに、本発明でメソフェーズの含有量が70%以
上のピッチを製造するために用いるピッチとしては、配
向しやすい分子種が形成されており、光学的に異方性の
ピッチを与えるものであれば特に制限はなく、前述のよ
うな従来の種々のものを使用することができる。これら
のピッチを得るための炭素質原料としては、例えば、石
炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化
物、石油系の重質油、タール、ピッチ等が挙げられる。
これらの炭素質原料には通常フリーカーボン、未溶解石
炭、灰分などの不純物が含まれているが、これらの不純
物は濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈降
分離などの周知の方法で予め除去しておくことが望まし
い。また、前記炭素質原料を、例えば、加熱処理した後
特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、あるいは水
素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処理するといっ
た方法で予備処理を行なっておいても良い。 【0009】本発明においては、前記炭素質原料あるい
は予備処理を行なった炭素質原料を、通常350〜50
0℃、好ましくは380〜450℃で、2分〜50時
間、好ましくは5分〜5時間、窒素、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気下、或いは、吹き込み下に加熱処理するこ
とによって、70%以上の光学的異方性組織、すなわち
メソ相を含むメソ相ピッチとする。なお、本発明でいう
メソピッチの光学的異方性組織割合は、常温下偏光顕微
鏡でのピッチ試料中の光学的異方性を示す部分の面積割
合として求めた値である。 【0010】具体的には、例えばピッチ試料を数mm角
に粉砕したものを常法に従って直径約2cmの樹脂の表
面のほぼ全面に試料片を埋込み、表面を研磨後、表面全
体をくまなく偏光顕微鏡(100倍率)下で観察し、試
料の全表面積に占める光学的異方性部分の面積の割合を
測定することによって求める。本発明においては、かか
るメソピッチを溶融状態で減圧下、回転体上に供給し、
遠心力により該回転体上で薄膜状に展開する、ピッチの
温度はピッチの粘度を低下させ、流動性を向上させるた
めに高温にする必要があるが、あまり高温に過ぎると、
ピッチの物性に悪影響を与えるので、紡糸温度より5〜
50℃高い温度、具体的には335〜400℃、好まし
くは340〜360℃とする。 【0011】ピッチ温度を335〜400℃としてもピ
ッチは粘性が高いので、含有されている軽沸ガス成分の
除去を効率よく行うためには、減圧下で除去を行うこと
が必要である。通常は200torr以下、好ましくは
100torr以下、更に好ましくは30torr以下
の減圧下で除去操作を行う。ピッチを薄膜状に展開する
回転体としては、例えば回転する平板が用いられる。図
1はこのような装置の1例であり、1は軽沸ガス成分除
去装置、2はピッチ導入管、3は回転平板、4はピッチ
導出口、5は軽沸ガス成分排出口をそれぞれ示す。 【0012】装置1は減圧下に保持されており、溶融状
態のピッチはピッチ導入管2より回転している回転平板
3の中心部付近に供給される。供給されたピッチは遠心
力により回転平板上に液膜状に展開され、回転平板3の
周辺部より飛沫液状になり飛散し、装置1の内壁を流下
してピッチ導出口4より系外へ導出される。その際にピ
ッチ中に含有されていた軽沸ガス成分が分離除去され、
軽沸ガス成分は真空ポンプ(図示せず)等により軽沸ガ
ス成分排出口5より系外へ排出される。またピッチ導出
口4より導出されたピッチは、紡糸用ピッチとしてギア
ポンプを介して紡糸装置(図示せず)へ供給される。 【0013】ここで回転平板3としてはピッチが液膜状
に展開されるようなものであればよく、具体的には35
0〜400℃程度の温度に充分耐えられるようなステン
レス鋼、銅、アルミニウム等の金属材料からなる平板で
あって、その表面はピッチが液膜状に展開されるように
平滑性を有するものが好ましい。また液膜の膜厚として
は軽沸ガス成分が十分に分離除去されるような厚さであ
ればよく、具体的には5mm以下、好ましくは2mm以
下がよい。 【0014】回転平板3の回転度は上記液膜の層厚とな
るようにピッチの粘度、流下量等を考慮して決定される
が、通常10〜5000r.p.m、好ましくは100
〜1000r.p.m程度であればよい。なお、ピッチ
導入管2を複数個設けて回転平板3の異なる位置にピッ
チを供給してもよい。また回転平板3は必要に応じて数
段設けてそれぞれの段にピッチを供給するようにしても
よく(図2参照)、上段で処理したピッチを再度下段で
処理する二段階以上の繰返し処理をしてもよい。 【0015】また、ピッチが液膜状に展開する空間は上
記の通り減圧下に維持されるが、必要に応じて不活性気
体を流通させてもよい。不活性気体としてはピッチを酸
化しない気体であれば特に限定されるものではないが、
窒素、アルゴン等を用いるのが好ましい。このようにし
て軽沸ガス成分を除去したピッチは、固化させることな
くそのまま紡糸装置に供給して紡糸する。紡糸及びこれ
に続くピッチ繊維の不融化処理、炭化処理及び必要に応
じて行われる黒鉛化処理などは、常法により行えばよ
い。 【0016】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨をこえない限り、これら
の実施例に限定されるものではない。 実施例1 450℃に加熱制御されたオートクレーブに、コールタ
ールピッチと石炭系芳香族油を重量比1:1で連続的に
供給し、また同時に水素を供給し水素圧力を150kg
/cm・Gの一定圧に保持した。オートクレーブにおけ
る平均滞留時間を60分として内容物を抜出し、目開き
0.5μの焼結フィルターで濾過して固形物を除去し、
更に減圧下蒸留することにより芳香族油を留去し水添ピ
ッチを得た。 【0017】水添ピッチに窒素ガスを吹き込みながら4
30℃で140分間加熱処理することにより光学的異方
性が100%であるメソフェーズピッチを得た。メソフ
ェーズピッチを390℃に保持し、これをギアポンプに
より図1に示すような1枚の回転円板を有する減圧脱泡
槽に供給した。円板の回転数を200r.p.m、槽内
の圧力を10mmHgとし、軽沸ガス成分の除去された
ピッチを槽下部より抜出した。抜出したピッチを、ギア
ポンプで紡糸パックへ圧送し紡糸温度を330℃として
ノズル径0.2mm、ノズル孔数500の口金を使用し
て繊維径10μのピッチ繊維を溶融紡糸した。紡糸性は
極めて良好であり、24時間連続して安定操業が可能で
あった。 【0018】実施例2 実施例1において、円板の回転数を100r.p.m、
槽内の圧力を20mmHgとした以外は実施例1と同様
にして軽沸ガス成分の除去を行なった。軽沸ガス成分を
除去したピッチは、そのまま紡糸装置へ供給して溶融紡
糸を行ない、この際、紡糸系の引取速度を制御すること
により繊維径15μのピッチ繊維を得た。実施例1と同
様に紡糸性は極めて良好であり、24時間連続して安定
操業が可能であった。 【0019】比較例1 実施例1においてメソピッチを軽沸ガス成分の除去処理
にかけることなく直接溶融紡糸すべく、スピンパックに
供給し、以下実施例1と同一条件で溶融紡糸を行なっ
た。ピッチ繊維(10μ)の気泡破断が激しく、安定し
た紡糸操作は不可能であった。 比較例2 比較例1において紡出系の引取速度を変えることにより
ピッチ繊維径を20μとしたが、同様に気泡破断が多
く、安定紡糸は不可能であった。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明で用いる軽沸ガス成分除去装置の1例の
模式的縦断面図である。 【図2】本発明で用いる軽沸ガス成分除去装置の他の1
例の模式的縦断面図である。 【符号の説明】 1 軽沸ガス成分除去装置 2 ピッチ導入管 3 回転円板 4 ピッチ導出管 5 軽沸ガス成分排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 9/145 C10C 3/02 C10C 3/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.炭素質原料を加熱処理してメソフェーズの含有量が
    70%以上のピッチとし、これを溶融状態で、減圧下、
    335〜400℃の温度で、回転体上に供給し、遠心力
    により該回転体上で薄膜状に展開させて、含有している
    低沸点成分を放出させ、次いで固化させることなく紡糸
    装置に供給して紡糸することを特徴とする炭素繊維の製
    造方法。 2.減圧が200torr以下の圧力であることを特徴
    とする請求項1記載の炭素繊維の製造方法。
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