JP2953393B2 - 可変利得増幅回路 - Google Patents

可変利得増幅回路

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JP2953393B2
JP2953393B2 JP23357796A JP23357796A JP2953393B2 JP 2953393 B2 JP2953393 B2 JP 2953393B2 JP 23357796 A JP23357796 A JP 23357796A JP 23357796 A JP23357796 A JP 23357796A JP 2953393 B2 JP2953393 B2 JP 2953393B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変利得増幅回路
に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に、従来の可変利得増幅回路の回路
構成の一例を示す。図2を参照すると、従来の可変利得
増幅回路は、エミッタが抵抗R1を介して接続され入力
信号Viをベースに入力する第1の差動対トランジスタ
Q1、Q2と、エミッタが共通接続されてトランジスタ
Q1のコレクタに接続され利得制御電圧Vaをベースに
入力する第2の差動対トランジスタQ3、Q4と、エミ
ッタが共通接続されてトランジスタQ2のコレクタに接
続され利得制御電圧Vaをベースに入力する第3の差動
対トランジスタQ5、Q6と、を備えてなる、双差動型
の可変利得増幅回路として構成されている。第2の差動
対トランジスタを構成するトランジスタQ3、第3の差
動対トランジスタを構成するトランジスタQ6のコレク
タはそれぞれ負荷抵抗RL2、RL1を介して電源VCCに接
続され、トランジスタQ3、Q6のコレクタから、可変
利得増幅回路の出力Voを取り出している。
【0003】次に、この従来の可変利得増幅回路の動作
について説明する。
【0004】入力信号ViによってトランジスタQ1、
Q2のコレクタ電流ΔIo1、ΔIo2はそれぞれ次式
(1)、(2)のように与えられる。なお、kはボルツ
マン定数、qは単位電荷、Tは絶対温度を示している。
【0005】
【数1】
【0006】また、利得制御電圧Vaによって、信号電
流は分流されてトランジスタQ3、Q4、Q5、Q6の
コレクタ電流としてはそれぞれI3、I4、I5、I6の電
流が流れる。
【0007】利得制御電圧VaによってI1、I2、I3
4はそれぞれ下記のように与えられる。すなわち、Va
=VTln(I1/I2)、Va=VTln(I4/I3)よ
り、I1、I2、I3、I4は次式(3)〜(6)で与えら
れる。ここで、VTは熱電圧であり、VT=kT/qで与
えられる。
【0008】
【数2】
【0009】式(1)〜(6)より出力Vo、及び利得
vは次式(7)、(8)で与えられる。
【0010】
【数3】
【0011】抵抗R1に対して、4kT/qIoが無視で
きるくらい小さい場合、利得Avは次式(9)と表すこ
とができる。
【0012】
【数4】
【0013】従って、利得Avは、制御電圧Vaによって
可変することができる。通常、このような可変利得増幅
回路は、入力電圧Viの信号レベルが変わっても、出力
電圧Voが常に一定になるように動作させる。
【0014】ここで、S/N比(信号対雑音比)につい
て考えると、上記したように、出力信号電圧Voは、A
GC(自動利得制御)動作で常に一定となるため、利得
を変化させた場合には、ノイズ電圧の絶対値によって、
S/Nの値が決まってしまう。
【0015】まず、フルゲイン時(トランジスタQ3、
Q6がオンし、Q4、Q5がカットオフした時)のノイ
ズn0′は次式(10)のようになる。
【0016】
【数5】
【0017】但し、rbb′はトランジスタのベース抵抗
を示している。
【0018】次に、利得を減衰した時のノイズn0″を
求めるが、制御電圧VaによってトランジスタQ3、Q
4およびQ6、Q5に流れる電流はそれぞれI1、I2
すると、次式(11)で表すことができる。
【0019】
【数6】
【0020】上記n0′とn0″を比較すると、I1
(I1+I2)<1であるため、フルゲイン時(n0′)
の時が最もS/Nが悪いことになり、減衰させればさせ
る程、S/Nが良くなることになる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の可変利得増幅回路においては、S/N(ノイズ特性)
が、入力信号レベルまたは利得によって異なり、弱入力
時のS/N(ノイズ特性)が悪くなるという問題点を有
している。
【0022】従来の可変利得増幅回路において、弱入力
時のS/Nを向上させるためには、可変利得増幅回路の
回路電流もしくはエミッタ抵抗を小さくする必要があ
り、これは、入力ダイナミックレンジを低下させてしま
う、ことになる。
【0023】従って、従来の可変利得増幅回路では、入
力信号の最大値Va(MAX)でも入力ダイナミックレ
ンジを確保するため、エミッタ抵抗R1と定電流源Io1
とによって次式(12)の条件を満足させる必要があ
る。
【0024】
【数7】
【0025】以下に、具体的数値を使って実際のノイズ
レベルを算出する。
【0026】R1=1KΩ、Io1=200μA、RL=3
KΩ、rbb′=100Ωとし、フルゲイン時のノイズレ
ベルを求めると、ノイズn0として、次式(13)のよ
うな値が導かれる。
【0027】
【数8】
【0028】次に、フルゲインから30dBゲインを落
とした時のノイズn0′として、次式(14)のような
値が導かれる。
【0029】
【数9】
【0030】従って、 (n02/(n0′)2=8.6倍 …(15)
【0031】すなわち、従来の可変利得増幅回路におい
ては、30dBゲインを変えた時に、約8.6倍もノイ
ズ特性が変わってしまうという問題点を有している。
【0032】したがって、本発明は、上記事情に鑑みて
なされたものであって、その目的は、可変利得増幅回路
の増幅度によらず最良のS/N(ノイズ特性)を得るこ
とを可能とした可変利得増幅回路を提供することにあ
る。
【0033】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る可変利得増幅回路は、入力信号をベー
スに入力する第1の差動対トランジスタと、共通接続さ
れたエミッタが前記第1の差動対トランジスタの各出力
にそれぞれ接続され利得制御電圧をベースに入力する第
2、第3の差動対トランジスタと、を備え、前記第2、
第3の差動対トランジスタについて各一方のトランジス
タのコレクタから第1、第2の負荷抵抗を介して出力と
して取り出す双差動型の可変利得増幅回路において、前
記利得制御電圧をベースに入力する第4の差動対トラン
ジスタを備え、前記第4の差動対トランジスタの一方の
トランジスタのコレクタから第3の負荷抵抗を介して出
力として取り出す差動増幅回路と、非反転入力端を前記
差動増幅回路の出力に接続し、反転入力端を固定電圧で
バイアスしてなる帰還増幅回路と、を備え、前記帰還増
幅回路の出力により、前記双差動型の可変利得増幅回路
の電流及び前記差動増幅回路の電流を制御する、ことを
特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
に説明する。本発明は、その好ましい実施の形態におい
て、図1を参照すると、入力信号(vi)をベースに入
力する第1、第2のトランジスタQ1、Q2と、利得制
御電圧(va)をそれぞれのベースに入力する第3、第
4、第5、第6のトランジスタQ3、Q4、Q5、Q6
と、第3、第6のトランジスタQ3、Q6のコレクタか
ら第1、第2の負荷抵抗RL2、RL1を介して出力として
取り出す、双差動型の可変利得増幅回路と、利得制御電
圧(va)をベースに入力する第7、第8のトランジス
タQ9、Q10と、第7のトランジスタのQ9コレクタ
から第3の負荷抵抗R2を介して出力として取り出す第
1の差動増幅回路と、第1の差動増幅回路の出力を第1
の帰還増幅回路OP1の非反転入力端(+)に接続し、
第1の帰還増幅回路OP1の反転入力端(−)は、固定
電圧でバイアスし、第1の帰還増幅回路OP1の出力
は、双差動型の可変利得増幅回路の電流源トランジスタ
Q7、Q8、及び第1の差動増幅回路の電流源トランジ
スタQ11のバイアス電圧として供給され、第1の差動
増幅回路と双差動型可変利得増幅回路の電流値を制御す
ることによって帰還がかかり、最適な電流値の電流が流
れる。
【0035】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0036】図1は、本発明の一実施例に係る可変利得
増幅回路の回路構成を示す図である。図1を参照する
と、本実施例は、エミッタが抵抗R1を介して接続され
入力信号Viをベースに入力する第1の差動対トランジ
スタQ1、Q2と、エミッタが共通接続されてトランジ
スタQ1のコレクタに接続され利得制御電圧Vaをベー
スに入力する第2の差動対トランジスタQ3、Q4と、
エミッタが共通接続されてトランジスタQ2のコレクタ
に接続され利得制御電圧Vaをベースに入力する第3の
差動対トランジスタQ5、Q6と、を備えてなる、双差
動型の可変利得増幅回路から構成され、第2の差動対ト
ランジスタを構成するトランジスタQ3、第3の差動対
トランジスタを構成するトランジスタQ6のコレクタは
それぞれ負荷抵抗RL2、RL1を介して電源VCCに接続さ
れ、トランジスタQ3、Q6のコレクタから出力Vo
取り出している。
【0037】さらに、本実施例においては、エミッタが
共通接続されて電流源トランジスタQ11に接続され、
利得制御電圧Vaをベース入力とする第4の差動対トラ
ンジスタQ9、Q10を備えると共に、トランジスタQ
9のコレクタと電源間の接続された負荷抵抗R2より出
力を取り出し、その出力を非反転(正転)入力端(+)
に入力する帰還増幅器(演算増幅器)OP1を備え、そ
の反転入力端(−)には定電流源Io′、抵抗R3によっ
て固定バイアスが印加されている。
【0038】帰還増幅回路OP1の出力端は、第4の差
動対トランジスタの定電流源を構成するトランジスタQ
11、及び双差動型の可変利得増幅回路の定電流源を構
成するトランジスタQ7、Q8のベースに接続されてい
る。
【0039】次に、本実施例の動作について説明する。
【0040】双差動型の可変利得増幅回路としては、上
記した従来技術と同様に動作し、入力信号Vi、利得制
御電圧Va、を使って出力Voは次式(16)のように表
わされる。
【0041】
【数10】
【0042】一方、トランジスタQ9、Q10によって
構成する差動増幅回路において、Q9のコレクタ電流I
o′は次式(17)で与えられる。
【0043】
【数11】
【0044】従って、トランジスタQ9のコレクタ電圧
Bは、次式(18)で与えられる。
【0045】
【数12】
【0046】また、帰還増幅器OP1の反転入力端子の
電圧VCは次式(19)で与えられる。 VC=VCC−R3×Io′ …(19)
【0047】帰還増幅器OP1の出力は、第4の差動増
幅回路の電流源の電流値を制御し、VB=VCとなり(演
算増幅器OP1の非反転入力端と反転入力端の電位が一
致)、帰還が成立する。このVBとVCを与える式(1
8)と式(19)から、VB=VCより、次式(20)が
成り立つ。
【0048】
【数13】
【0049】以上より、第4の差動対トランジスタを構
成するトランジスタQ9のコレクタ電流Io1は、次式
(21)のように表わせる。
【0050】
【数14】
【0051】通常、この種の可変利得増幅回路は、AG
C回路等により、入力電圧Viのレベルが変動しても出
力電圧Voのレベルが一定になるように使用される。
【0052】従って、上式(16)より次式(22)が
成り立つ。
【0053】
【数15】
【0054】上式(22)と上式(21)を使って次式
(23)が導出される。
【0055】
【数16】
【0056】ここで、R1に対して4kT/(qIo)が
十分無視できると仮定すると、次式(24)が得られ
る。
【0057】
【数17】
【0058】変形すると、次式(25)となる。
【0059】
【数18】
【0060】ここで、RL1×R3/(R1×R2)=Aと
おくと、上式(25)は次式(26)で表せる。
【0061】
【数19】
【0062】可変利得増幅回路の出力電流I1はIo1
使って次式(27)のように表わせる。
【0063】
【数20】
【0064】上式(27)に上式(26)を代入する
と、次式(28)が導出される。
【0065】
【数21】
【0066】次に、本発明の一実施例の可変利得増幅回
路のS/Nを求める。出力電圧のレベルは一定に保たれ
ているため、S/Nの値は出力ノイズレベルにより決定
される。
【0067】出力ノイズn0は、次式(29)のように
与えられる。
【0068】
【数22】
【0069】上式(29)に、上式(27)及び上式
(28)を代入すると次式(30)が得られる。
【0070】
【数23】
【0071】ここで、
【数24】 より、B=Vo×R1/RL1とおくと、次式(32)が得
られる。
【0072】
【数25】
【0073】上式(30)に式(32)を代入すると、
次式(33)が得られる。
【0074】
【数26】
【0075】上式(33)の右辺の第1項、
【数27】 は、利得に無関係で一定であるため、最終項、
【数28】 のみ利得に依存することがわかる。
【0076】次に、可変利得増幅回路の入力ダイナミッ
クレンジについて説明する。
【0077】入力ダイナミックレンジは、入力部の差動
増幅回路のエミッタ抵抗R1と定電流源の電流値Io1
で決まり、シングルエンド入力の場合には入力信号Vi
は、 Vi≦2×R1×Io1 の条件を満足する必要がある。
【0078】上式(25)より、Io1は次式(34)で
表すことができる。
【0079】
【数29】
【0080】このため、次式(35)の条件を満足すれ
ば、入力ダイナミックレンジは確保できる。
【0081】
【数30】
【0082】本実施例によれば、入力信号レベルに応じ
て可変利得増幅回路に流れる電流値を可変させることに
よって、弱入力時のS/N(ノイズ特性)の向上を図る
ことができる。
【0083】以下に数値例をもとに従来例と比較する。
【0084】R1=1KΩ、RL=3KΩ、rbb′=10
0Ωとし、従来例と同様に最大入力信号レベル0.4V
PP(R1×Io1≧Vi(MAX)/2より)、−30dBの
減衰をさせるものとする。
【0085】出力電圧Voは、次式(36)で与えられ
る。
【0086】
【数31】
【0087】R2=3KΩ、R3=3KΩとすると、
o′は次式(37)にように求められる。
【0088】
【数32】
【0089】また、B、Aは次式(38)で与えられ
る。
【0090】
【数33】
【0091】30dBゲインを減衰させる時のノイズn
0′は次式(40)のように求まる。
【0092】
【数34】
【0093】フルゲイン時のノイズn0は次式(41)
のように求まる。
【0094】
【数35】
【0095】 (n02/(n0′)2=1.07倍 …(41)
【0096】このように、本実施例においては、従来技
術と比較して、ノイズが最もよいn0′は同等で、ノイ
ズが最も悪い時には、約0.12倍に改善している。
【0097】図2は、本発明の第2の実施例の回路構成
を示した図である。図2を参照して、本実施例は、図1
に示した回路構成におけるNPNトランジスタを、PN
Pトランジスタで置き換えた構成とされている。本実施
例の回路動作については、上記した第1の実施例と同様
である。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
入力信号レベルに応じて可変利得増幅回路に流れる電流
値を可変させることによって、弱入力時のS/N(ノイ
ズ特性)の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の回路構成を示す図である。
【図2】本発明の別の実施例の回路構成を示す図であ
る。
【図3】従来の可変利得増幅回路の回路構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
Q1〜Q11 トランジスタ R1〜R6、RL1、RL2 抵抗 Vi 入力信号源 Vo 出力端子 Va 制御端子 OP1 帰還増幅器 Io′、Io1、Io2 定電流源 VCC 電源電圧 V1 バイアス電圧

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力信号をベース入力とする第1の差動対
    と、及び利得制御電圧をベース入力とし、前記第1の差
    動対のコレクタ出力に共通接続されたエミッタが接続さ
    れ、各一方のコレクタから出力を取り出してなる第2、
    第3の差動対を備えて構成される双差動型可変利得増幅
    回路において、 前記利得制御電圧をベース入力とする差動増幅回路と、 非反転入力端に前記差動増幅回路の出力を接続し、反転
    入力端を固定電圧でバイアスし、その出力は前記差動増
    幅回路と前記双差動型可変利得増幅回路のそれぞれの電
    流源のバイアス電圧として供給される、帰還型の差動増
    幅器と、 を備えたことを特徴とする可変利得増幅回路。
  2. 【請求項2】入力信号をベースに入力する第1の差動対
    トランジスタと、 共通接続されたエミッタが前記第1の差動対トランジス
    タの各出力にそれぞれ接続され利得制御電圧をベースに
    入力する第2、第3の差動対トランジスタと、 を備え、 前記第2、第3の差動対トランジスタについて各一方の
    トランジスタのコレクタから第1、第2の負荷抵抗を介
    して出力として取り出す双差動型の可変利得増幅回路に
    おいて、 前記利得制御電圧をベースに入力する第4の差動対トラ
    ンジスタを備え、前記第4の差動対トランジスタの一方
    のトランジスタのコレクタから第3の負荷抵抗を介して
    出力として取り出す差動増幅回路と、 非反転入力端を前記差動増幅回路の出力に接続し、反転
    入力端を固定電圧でバイアスしてなる帰還増幅回路と、
    を備え、 前記帰還増幅回路の出力により、前記双差動型の可変利
    得増幅回路の電流及び前記差動増幅回路の電流を制御す
    る、ことを特徴とする可変利得増幅回路。
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