JP2953203B2 - 繊維強化樹脂歯車 - Google Patents

繊維強化樹脂歯車

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JP2953203B2
JP2953203B2 JP4194251A JP19425192A JP2953203B2 JP 2953203 B2 JP2953203 B2 JP 2953203B2 JP 4194251 A JP4194251 A JP 4194251A JP 19425192 A JP19425192 A JP 19425192A JP 2953203 B2 JP2953203 B2 JP 2953203B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化樹脂歯車に関す
る。この歯車は例えば自動車のカムシャフトタイミング
ギヤ等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂歯車は、噛み合い音が低
い、軽量で回転慣性力が小さい等の利点をもつため、近
年、種々の分野で多用されつつある。ここで、歯部の噛
み合い面は特に耐摩耗性が要請されるものである。とこ
ろで、従来より、特開平2−241729号公報に開示
されている様に、メタ系芳香族ポリアミド繊維からなる
紡織布にフェノール樹脂を含浸させた補強布を用い、補
強布を渦巻状に巻いて棒状とするとともに、その棒状の
両端を合わせてドーナツ状としたプリプレグを成形固化
してリング状素材を形成し、そのリング状素材の外周部
を歯切り加工した繊維強化樹脂歯車が知られている。し
かしこの繊維強化樹脂歯車では、強化繊維がメタ系芳香
族ポリアミド繊維のため、歯車使用条件の苛酷化に伴
い、歯部の噛み合い面の耐摩耗性が不足するという問題
がある。
【0003】また、特開平2ー8542号公報に開示さ
れている様に、グラファイトを含むナイロン樹脂で歯部
の噛み合い面を形成し、噛み合い面の潤滑性を高めたプ
ラスチック歯車が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記した歯車で
は歯部の噛み合い面の耐摩耗性が充分ではない。本発明
は上記した実情に鑑みなされたものであり、歯部の噛み
合い面のうち大きな負荷が作用する部位に集中的に硬質
微小体を配置することにより、噛み合い面の加工性を維
持しつつ、噛み合い面の耐摩耗性の向上を図り得る繊維
強化樹脂歯車を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる繊維強化
樹脂歯車は、補強布を巻いて棒状とするとともに、その
棒状の両端を合わせてドーナツ状としたプリプレグを成
形固化したリング状素材を歯切りして、歯部の噛み合い
面に補強布の繊維が木の年輪状に配向した繊維強化樹脂
歯車であって、歯部の噛み合い面のうちピッチ円と歯元
との間の部位には、噛み合い面の他の部位に比較して、
微小硬質体が相対的に多く分散されていることを特徴と
するものである。
【0006】本発明にかかる繊維強化樹脂歯車では、歯
部の噛み合い面に繊維が木の年輪状に配向している。こ
こで、木の年輪状とは、繊維が多重に配向していること
をいい、輪状に配向している形態、半輪状、部分輪状に
配向している形態を含む。本発明の繊維強化樹脂歯車で
用いる繊維は、基本的には歯車の樹脂部分を強化可能で
あれば良く、特に制約を受けるものではないが、その切
削加工性及び、噛み合い音の低減性の面から、メタ系ア
ラミド繊維が好ましい。場合によってはカーボン繊維、
ガラス繊維、パラ系アラミド繊維を用いることができ
る。繊維の総量としては特に制約を受けることなく、歯
車の要求特性に応じて任意に設定すれば良いが、歯部の
強度及び成形性の面を考慮すると、繊維の総体積%は5
0%前後、特に40〜60%程度が好ましい。
【0007】本発明にかかる繊維強化樹脂歯車では、歯
部の噛み合い面のうちピッチ円と歯元との間の部位に
は、噛み合い面の他の部位に比較して、微小硬質体が相
対的に多く分散されている。ここで、他の部位における
分散量は0%でもよい。微小硬質体は、硬度がHv40
0以上、大きさが直径30μm以下が好ましい。微小硬
質体として、一般的にはウィスカー、粒子、繊維チョッ
プ等を採用できる。ウィスカーはセラミックスウィスカ
ー、金属ウィスカーを採用でき、例えば、炭化珪素ウィ
スカー、アルミナウィスカーを採用できる。ここで、微
小硬質体の量が多いと耐摩耗性は向上するものの、歯部
の噛み合い面の加工性は低下する。そのため、微小硬質
体の割合は、体積%で歯車全体からインサート部を除い
た繊維強化樹脂部を100%としたとき、1.5%〜1
5%程度であることが好ましい。
【0008】前述した様に、歯部の噛み合い面のうちピ
ッチ円と歯元との間の部位には、微小硬質体が相対的に
多く分散されているが、かかる部位において、微小硬質
体の割合は、歯車全体からインサート部を除いた繊維強
化樹脂部を100%としたとき、体積%で2%〜20%
程度であることが好ましい。なお、繊維及び微小硬質体
の合計総量は、歯車全体からインサート部を除いた繊維
強化樹脂部を100%としたとき、体積%で例えば40
〜60%程度にできる。
【0009】本発明の繊維強化樹脂歯車に使用するマト
リックス樹脂としては、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂等の各種熱硬化樹脂、あるいは、P
ES、PEEK、PAI等の各種熱可塑性樹脂であって
良い。即ち、繊維と何らかの方法で複合化可能な樹脂で
あれば良い。
【0010】
【作用】歯部には繊維が木の年輪状に配向しているの
で、この配向に伴い、歯部は強化される。また歯部の噛
み合い面には、微小硬質体が分散されているので、噛み
合い面における耐摩耗性が向上する。殊に、歯部の噛み
合い面のうち大きな負荷が作用する部位、つまり、ピッ
チ円と歯元との間の部位には、微小硬質体が相対的に多
く分散されているので、該部位の耐摩耗性が向上する。
【0011】
【実施例】
(実施例1) (1)プリプレグの製造 溶剤によりワニス状に溶融させたフェノ−ル樹脂に、高
硬度の炭化珪素(SiC)ウィスカー(タテホ化学工業
株式会社『SCW』)を添加して均一に攪拌した。炭化
珪素ウィスカーの添加量は樹脂に対して体積%で10%
とした。そして、炭化珪素ウィスカーを含むワニス状の
フェノ−ル樹脂を平織のメタ系アラミド繊維布に含浸さ
せた後、溶剤を乾燥除去し、これにより炭化珪素ウィス
カーとアラミド繊維とフェノ−ル樹脂とから成る第1プ
リプレグシートを作成した。ここで、炭化珪素ウィスカ
ーは、硬度がHv3300程度、平均径が1μm、平均
長さが50μmである。
【0012】ところで、アラミド繊維布の繊維間、繊維
の網目に炭化珪素ウィスカーは補集され易いことになる
ので、後の各工程において炭化珪素ウィスカーが繊維か
ら外れることは抑制される。そして上記した第1プリプ
レグシートを、図2に示す様に平行四辺形状に切断し、
第1プリプレグ1とした。第1プリプレグ1は、辺1a
〜1dをもち、辺1cの直角方向に対して辺1aが角度
θ1(5°)傾斜している。ここで、プリプレグ1は、
長さL1が235mm、幅L2が70mm、厚み0.2
mmである。この第1プリプレグ1では図2に示す様に
繊維1x、1yの配向は辺1cに対して0°と90°で
ある。なお、繊維1x、1yの1本は、12μm程度の
径の極細糸を多数本集束させたものであり、1本の径は
0.1mmであり、また、繊維1x同志の間隔は約0.
24mm、繊維1y同志の間隔は約0.24mmであ
る。
【0013】上記した第1プリプレグ1を構成するアラ
ミド繊維布の特性について説明する。繊維材質はメタ系
アラミド(帝人(株)「コーネックス」)であり、フィ
ラメント特性として強度80kg/mm2 、伸びは27
%、弾性率は1250kg/mm2 、ヤーン特性として
番手は20tex、目付130g/m2 である。また、
上記と同様のワニス状のフェノ−ル樹脂と平織のアラミ
ド繊維布とを用い、炭化珪素ウィスカーを含まないワニ
ス状のフェノ−ル樹脂を平織のアラミド繊維布に含浸さ
せた後、溶剤を乾燥除去し、これにより炭化珪素ウィス
カーを含まない第2プリプレグシートを作成した。そし
てこの第2プリプレグシートを、図3に示す様に平行四
辺形状に切断し、第2プリプレグ2とした。第2プリプ
レグ2は、辺2a〜2dをもち、辺2cの直角方向に対
して辺2aが角度θ2(5°)傾斜している。ここで、
第2プリプレグ2は、長さL3が235mm、幅L4が
115mm、厚み0.2mmである。この第2プリプレ
グ2では図3に示す様に繊維2x、2yの配向は辺2c
に対して0°と90°である。
【0014】(2)リング状素材の製造 次に、図1(A)に示す様に、平行四辺形状に切断した
第1プリプレグ1及び第2プリプレグ2を用い、第2プ
リプレグ2に第1プリプレグ1を所定の配置で重ね合わ
せる。重ね合わせた状態では、図1(A)から理解でき
る様に一辺1aと一辺2aとが対応し、一辺1bと一辺
2bとが対応するとともに、第1プリプレグ1の一辺1
cは第2プリプレグ2の一辺2cからL5(10mm)
離れている。この様に両者を重ね合わせた後、プリプレ
グ2の一辺2cから渦巻き状にプリプレグ1とともに巻
き取り、棒状とする。
【0015】次に、図1(C)に示す様に、棒状とした
部分の一端部と他端部とが合わさる様に合せ部3aを形
成し、ドーナツ状予備成形材3を得た。ここで、ドーナ
ツ状予備成形材3の合せ部3a(渦巻き棒の合せ)は、
同部の強度低下を避けるべくオーバーラップさせた構造
とされている。つまり、棒状とした部分の一端部と他端
部とを斜めにカットし、図1(C),図5に示すよう
に、そのカット部分同士を重ね合わせて合わせ部3aを
形成する。
【0016】このようにして得たドーナツ状予備成形材
3の断面を図4に模式的に示す。図4に示す様に、中心
域Aと外周域Cはアラミド繊維とフェノール樹脂とから
なり、黒色で塗り潰した中間域Bはアラミド繊維と炭化
珪素ウィスカーとフェノール樹脂とからなる。そして、
かかるドーナツ状予備成形材3を図5に示す様に、合せ
部3aが180°対向するように2本重ね合せた状態
で、図6に示す金型4にセットする。このとき金型4内
には、中央孔5eをもつリング状の鋼製インサ−ト5を
配置している。この金型4は、キャビティの底部に位置
決め用突部40aをもつ下型40と、下型40のキャビ
ティに挿入されるリング状加圧面41aをもつ円筒状の
加圧パンチ41と、加圧パンチ41の中央孔41bに挿
通された中子42とで構成されている。
【0017】そして、中子42でインサート5を保持す
るとともに、キャビティ内に上下に2個重ねて配置した
ドーナツ状予備成形材3を、加圧パンチ41で矢印E方
向に押圧して加熱圧縮成形を行い、これによりプリプレ
グ1、2中の樹脂成分を固化させ、図7に示すリング状
素材6を形成した。この際の成形条件は、温度180
℃、圧力250kgf/cm2 、加圧時間15分であ
る。
【0018】図7に示すリング状素材6では、鋼製イン
サ−ト5の凹部5a及び凸部5bと繊維強化樹脂部分の
内周部とは強固に結合している。また、図8はリング状
素材6の軸芯Kを通る断面を示す。図8において、黒色
で塗り潰した繊維強化部7bは、アラミド繊維と炭化珪
素ウィスカーとフェノール樹脂とからなる複合強化層で
あり、塗り潰していない繊維強化部7a、7c、7d
は、炭化珪素ウィスカーを含まないアラミド繊維とフェ
ノール樹脂とからなる複合強化層である。
【0019】ここで、リング状素材6は、内径L7が4
0.0mm、外径L9が79.0、厚さtが10mm、
インサート5の外径L8が55mmである。また歯車全
体からインサート部を除いた繊維強化樹脂部を100%
としたとき、アラミド繊維の量は体積%で40%であ
り、炭化珪素ウィスカーの量は体積%で2.2%であ
る。但し、炭化珪素ウィスカーは局部的に集中して配置
されており、この部分だけを100%としたときには、
体積%で3%である。
【0020】(3)歯切り加工 図7及び図8に示すリング状素材6を用い、そのリング
状素材6の外周部に、カッターにより切削加工を施すこ
とにより歯切り加工を行い、図9に示す様に、外周部に
歯部7をもつ繊維強化樹脂歯車8を得た。このとき歯切
り加工の際の切除により、繊維が一部切断される。図1
0は歯部7の歯元72よりも内方の部位を切除したと仮
定した斜視図であり、炭化珪素ウィスカーが配置された
繊維強化部7b(黒色で塗り潰した部位)の位置を示す
図である。
【0021】この繊維強化樹脂歯車8の歯車諸元は以下
の様である。即ち、種類はインボリュートハスバ歯車で
あり、歯先直径は79.0mm、歯元直径は66.9m
m、ピッチ円直径は73.9mm、全歯たけは6.05
mm、歯数は32、直角モジュールは2.0、歯直角圧
力角は18.0°、ねじれ角は30°である。ところ
で、本実施例にかかる歯車8において繊維の配向形態を
図11、図12に示す。図11は主として歯部7の噛み
合い面70における木の年輪状の繊維配向を示す。また
図12は木の年輪状に配向した繊維を省略し、噛み合い
面70における他の繊維配向を示す。
【0022】図11に示す様に、本実施例にかかる繊維
強化樹脂歯車8では、歯部7の噛み合い面70では、繊
維100が木の年輪状に配向している。また歯部7の最
外周面としての歯先面75では、ほぼ周方向にのびる繊
維101と、歯車の軸芯Kにそってのびる繊維102と
が交差して配向している。また、歯部7の軸端面76で
は、ほぼ周方向にのびる繊維103と、歯車の軸芯Kに
対してほぼ放射方向にのびる繊維104とが交差して配
向している。また図12に示す様に、歯部7の噛み合い
面70では、周方向にのびる繊維103のうち歯切りの
際に切断された切断端面103aが噛み合い面70の表
面で表出している。
【0023】なお、複合強化部7bの繊維構成比は、使
用する繊維布の目付量を変えることにより、任意に設定
できる。ところで、図9において、歯車の使用にあたっ
て歯部7の噛み合い面70のうち、応力的に最も負荷が
厳しい部位がピッチ円73から歯元72までの領域H1
である。この点本実施例では、領域H1では、ピッチ円
73から歯先75aまでの領域H2とは異なり、炭化珪
素ウィスカーを含む繊維強化部7bが配置されており、
この結果、領域H1では、炭化珪素ウィスカーが相対的
に多くされている。そのため、耐摩耗性が向上する。
【0024】更に本実施例では、前述した様に歯部に
は、歯車の軸芯Kに対してほぼ放射方向にのびる繊維1
04が配向しており(図11参照)、そのため歯部7の
強度増加を図ることができる。更に本実施例では、繊維
強化部においては、繊維同士の接触は、繊維強化部のク
ラック等の要因となり易い。この点本実施例では繊維同
士の接触は炭化珪素ウィスカーにより抑制され易いの
で、かかる点においても歯部7の強度増加に有利であ
る。
【0025】(他の実施例)他の実施例として、ワニス
状のフェノール樹脂への炭化珪素ウィスカーの添加量の
みを表1に示す様に変更して、実施例1と同様の成形工
程、歯切り加工工程を経て、実施例1の場合と外形が同
一の繊維強化樹脂歯車(NO.a〜NO.g)を作成し
た。なお、表1の%は、歯部形成後の繊維強化樹脂部を
100%としたときの体積%を示す。
【0026】
【表1】 さらに、別の実施例として、ワニス状のフェノール樹脂
へ添加する微小硬質体の種類を表2に示す様に変更し
た。そして、実施例1と同様の成形工程、歯切り加工工
程を経て、実施例1の場合と外形が同一の繊維強化樹脂
歯車(NO.h〜NO.n)を作成した。ここで、N
O.l、NO.m、NO.nは炭化珪素粒子を採用し、
その径を変更したものであり、NO.lでは3μm、N
O.mでは30μm、NO.nでは50μmを採用し
た。この例では、歯部加工後の繊維強化樹脂部全体を1
00%としたとき、アラミド繊維の量は40体積%、微
小硬質体の量は2.2体積%である。
【0027】
【表2】 ここで、NO.a〜NO.nにかかる繊維強化樹脂歯車
でも、歯部7の噛み合い面70では、アラミド繊維が木
の年輪状に配向しており、また、歯部7の噛み合い面7
0のうちピッチ円73から歯元72までの領域H1で
は、微小硬質体が相対的に多く配置されている。
【0028】(比較例)比較例1として、炭化珪素ウィ
スカーを添加することなく、実施例1と同様の成形工
程、歯切り加工工程を経て、実施例1の場合と外形が同
一の繊維強化樹脂歯車を作成した。更に、比較例2とし
て、炭化珪素ウィスカーを含むプリプレグのみを用い
て、実施例1と同様の成形工程、歯切り加工工程を経
て、実施例1の場合と外形が同一の繊維強化樹脂歯車を
作成した。比較例2では、歯部の噛み合い面全体に炭化
珪素ウィスカーが分散されている。なお、アラミド繊維
の量は、歯車全体からインサート部を除いた繊維強化樹
脂部を100%としたとき40体積%であり、炭化珪素
ウィスカーの量は3体積%である。
【0029】(試験)試験では、実施例1の繊維強化樹
脂歯車、他の実施例の繊維強化樹脂歯車、及び比較例
1、2の繊維強化樹脂歯車を用いた。そして、表面を窒
化処理した鋼(SCr20)製のドライブギヤを用い、
3kg−mの駆動トルクを加えて、2000rpmの回
転数で前記の各歯車を駆動させ、50時間経過後の歯部
7の噛み合い面70のうちピッチ円の部位の摩耗量を測
定した。
【0030】(1)炭化珪素ウィスカーの体積%の影響 その試験結果を図13に示す。図13の縦軸は噛み合い
面の摩耗量を示し、横軸は炭化珪素ウィスカーの体積%
を示す。図13に示す試験結果より、アラミド繊維のみ
で複合化した比較例1では、摩耗量が80μmを超えて
おり、最も摩耗量が大きい。しかし、NO.a、NO.
b、NO.c、NO.d、NO.e、NO.f、NO.
gの順に、つまり、炭化珪素ウィスカーの増加に伴って
摩耗量が減少している。なかでも炭化珪素ウィスカーが
2〜4体積%の領域では、摩耗量が急激に減少してい
る。
【0031】更に、噛み合い面の全面に炭化珪素ウィス
カーを分散させた比較例2と、実施例のNO.cとを比
較する。両者は炭化珪素ウィスカーは同量であるもの
の、比較例2では摩耗量が47μm程度であるのに対し
て、NO.cでは36μm程度であり、NO.cの方が
耐摩耗性が優れているといえる。これは、噛み合い面7
0のうち特に耐摩耗性が要求される領域H1に炭化珪素
ウィスカーを集中的に配置しているためである。
【0032】また、歯車の歯部7の加工性を考慮する
と、炭化珪素ウィスカーの様な微小硬質体は刃具に与え
るダメージが大きいので、その含有量は必要最小限に抑
えられるべきであるが、この点本実施例では歯部7の噛
み合い面70のうち応力的に最も負荷が厳しい部位以外
の部位、即ち、ピッチ円73から歯元72までの領域H
1以外の部位では、炭化珪素ウィスカーが相対的に少な
くされているため、歯部7の加工性を維持できる利点が
得られる。
【0033】(2)微小硬質体の硬度、種類の影響 図14は表2に示す例の試験結果を示す。図14の縦軸
は噛み合い面の摩耗量を示し、横軸は微小硬質体の硬度
を示す。図14に示す試験結果より、Hv400以上の
微小硬質体が効果的であることがわかる。またNO.
l、NO.m、NO.nの試験結果から理解できる様
に、炭化珪素粒子が同量であるにもかかわらず、粒子直
径により摩耗量の差が生じ、粒径が3μmのNO.lで
は摩耗量が少なく、粒径が50μmのNO.nでは摩耗
量が多く、粒径が30μmのNO.mでは摩耗量はその
間の値であった。このことから、摩耗量の低減には粒径
が30μm以下が効果的であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】本発明の繊維強化樹脂歯車によれば、歯
部の噛み合い面のうち大きな負荷が作用する部位には、
微小硬質体が相対的に多く配置されているので、歯部の
噛み合い面における耐摩耗性を向上できる。更に、歯部
の噛み合い面のうち上記部位以外には微小硬質体が相対
的に少なく配置されているので、噛み合い面の加工性を
確保するのに有利である。
【0035】又、繊維同士の異常接近を微小硬質体で抑
制できるので、繊維同士の異常接近に起因するクラック
等の不具合を解消するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)(C)はプリプレグでドーナツ状
の予備成形材を形成する工程を示す図である。
【図2】炭化珪素ウィスカーを含む第1プリプレグの展
開図である。
【図3】炭化珪素ウィスカーを含まない第2プリプレグ
の展開図である。
【図4】ドーナツ状の予備成形材の横断面図である。
【図5】ドーナツ状の予備成形材を2個重ねた状態の斜
視図である。
【図6】金型内で2個重ねたドーナツ状の予備成形材を
圧縮成形する際の断面図である。
【図7】リング状素材の斜視図である。
【図8】リング状素材の断面を模式的に示す図である。
【図9】炭化珪素ウィスカーが含まれた繊維強化部をも
つ歯部の斜視図である。
【図10】炭化珪素ウィスカーが含まれた繊維強化部を
もつ歯部のうち、歯元よりも内方に切除したと仮定した
要部の斜視図である。
【図11】木の年輪状の繊維の配向とともに示す繊維強
化樹脂歯車の歯部の部分斜視図である。
【図12】繊維の配向の一部を示す繊維強化樹脂歯車の
歯部の部分斜視図である。
【図13】歯部の噛み合い面の摩耗量と炭化珪素ウィス
カーの体積%との関係を示すグラフである。
【図14】歯部の噛み合い面の摩耗量と微小硬質体の硬
度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
図中、1、2はプリプレグ、3はドーナツ状予備成形
材、4は金型、6はリング状素材、7は歯部、70は噛
み合い面、7bは炭化珪素ウィスカーが含まれた繊維強
化部を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 55/06 B29C 67/14 B29L 15:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強布を巻いて棒状とするとともに、その
    棒状の両端を合わせてドーナツ状としたプリプレグを成
    形固化したリング状素材を歯切りして、歯部に該補強布
    の繊維が木の年輪状に配向した繊維強化樹脂歯車であっ
    て、 該歯部の噛み合い面のうちピッチ円と歯元との間の部位
    には、噛み合い面の他の部位に比較して、微小硬質体が
    相対的に多く分散されていることを特徴とする繊維強化
    樹脂歯車。
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