JP2018162854A - 樹脂製歯車 - Google Patents

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達也 青柳
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Abstract

【課題】歯の形成の際に、最外層に内層の樹脂成形部がでることなく、層界面の剥離が生じにくい、減衰機構を内蔵した樹脂製歯車を提供する。また、安価な素材を用いることでコストも低減させる。【解決手段】金属製ブッシュと、この周囲に配置される内層と、前記内層の周囲に配置される弾性材層と、前記弾性材層の周囲に配置され、歯が設けられた外層を備える樹脂製歯車とする。前記内層及び前記外層を構成する素材又はそれらの構成比が、同じ又は異なることを特徴とし、内層及び前記外層のどちらか一方、又は両方が、樹脂を基材とし、補強繊維を含む。また、前記内層及び前記外層が、互いに係合する凹凸を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、四輪車・二輪車に用いられる歯車、特に複数の素材で構成される樹脂製歯車に関するものである。
四輪車・二輪車業界では、年々厳しくなる排ガス規制や燃費向上要求への対応を目的として、構成部品に対する軽量化、コンパクト化の要求が強くなっている。軽量化の対応として、エンジン内部やエンジン周辺部品の樹脂化が進められている。
この流れは歯車(ギア部品)においても同様で、近年では、高強度で高耐熱性の樹脂が開発され、エンジン内部やその周辺で樹脂製歯車が、金属製歯車と噛み合う相手歯車として、軽量化と、金属製歯車との歯の噛み合い時の騒音抑制とを目的として使用されている(特許文献1参照)。
しかし、樹脂製歯車は、金属製歯車に比べ許容できる強度が低いために、さらなる強度向上が必要となる。そのため、歯車の歯の表面部分に樹脂を用い、芯部に金属等の剛性素材を入れることで、高強度を有する複数層の樹脂製歯車や歯車の内部に弾性材や緩衝材を入れた減衰機構を内蔵する樹脂製歯車もある(特許文献2参照)。
特開2012−31891号公報 特開2011−174256号公報
しかしながら、複数層により構成される樹脂製歯車は、歯を切削加工で切り出す際に、最外層の樹脂成形部に内層の樹脂成形部が出てくる可能性もあり、その際に、歯車の強度が低下する。逆に強度を上げすぎると、相手歯車(金属製歯車)に損傷を与えるなどの影響が生じる。
また、複数層により構成される樹脂製歯車や減衰機構を内蔵する樹脂製歯車は、樹脂層と金属、樹脂層と弾性材(ゴム等)層の界面で剥離が生じやすくなり、歯車の強度が低下する恐れがある。
本発明は、歯の形成の際に、最外層に内層の樹脂成形部が出ることなく、層界面の剥離が生じにくい、減衰機構を内蔵した樹脂製歯車を提供することを目的とする。また、安価な素材を用いることで低コスト化にもつながる。
上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂製歯車は、以下の構成を有する。
[1]金属製ブッシュと、この周囲に配置される内層と、前記内層の周囲に配置される弾性材層と、前記弾性材層の周囲に配置され、歯が設けられた外層を備える。
[2]前記[1]において、内層及び前記外層を構成する素材又はそれらの構成比が、同じ又は異なる。
[3]前記[1]又は[2]において、内層及び前記外層のどちらか一方、又は両方が、樹脂を基材とし、補強繊維を含む。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記内層及び前記外層が、互いに係合する凹凸を有する。
本発明によれば、金属製ブッシュと、この周囲に配置される内層と、前記内層の周囲に配置される弾性材層と、前記弾性材層の外側に配置される外層を備えることで、弾性材により、樹脂製歯車に他の歯車を噛み合わせて回転させた時に加わる径方向の衝撃を緩和する減衰機構を有する。更に、内層と外層との界面に弾性材が介在しているため、内層と弾性材層、及び外層と弾性材層の界面での剥離が生じにくく、使用時に歯車の強度を高く保持することができる。
また、弾性材層により外層と内層を分けることで、各々の樹脂及び補強繊維の素材を変化させることができる。樹脂及び補強繊維の素材は同じであるが、その配合割合を変化させることにより、樹脂製歯車にとって最も重要な、歯を形成する外層の強度を落とさず、内層に安価な素材を用いることができ、樹脂製歯車の全体コストを下げることができる。
また、前記弾性材の外側に配置される外層と前記金属製ブッシュの周辺に配置される内層のどちらか一方、又は、両方が、樹脂を基材とし、補強繊維とを含ませることで、樹脂製歯車の強度を向上させることができる。更に、補強繊維の含有率を、外層が内層よりも大とすると、樹脂に比べて割高な補強繊維の使用量を減らすことができ、外層の強度を維持しつつ、樹脂製歯車全体としてコストを下げることができる。
更に、内層及び外層が、互いに係合する凹凸を有すると、これらが係合し、内層、弾性材層、内層各々の層間の界面剥離が起こりにくく、使用時に歯車の強度を高く保持することができる。
本発明の実施の形態に係る樹脂製歯車で、(a)は軸心と直行する面の断面図、(b)はA―A断面図を示したものである。 本発明の実施の形態に係る金属製ブッシュで、(a)は軸心と直行する面の断面図、(b)はB―B断面図を示したものである。 本発明の他の実施に形態に係る樹脂製歯車で、(a)は軸心と直行する面の断面図、(b)はC―C断面図を示したものである。 本発明と比較例の樹脂製歯車の耐久性試験を示す図である。
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る樹脂製歯車1を示すもので、(a)は軸心と直行する面の断面図、(b)はこの樹脂製歯車をA―A断面で切断したときの断面図である。
本発明に係る樹脂製歯車1は、貫通孔を有する金属製ブッシュ2と、この周囲に配置される内層4、更に内層4の周囲に配置される弾性材層5、更に弾性材層5の周囲に配置され、歯(ギア歯)8が設けられている外層3で構成される。
本発明に係る樹脂製歯車1は、金属製ブッシュ2と一体となる内層4を作製し、その内層4の外径より大きい内径を有する外層3を作製する。金属製ブッシュ2、内層4と外層3は、径方向において、回転軸(図示せず)の中心(以下、軸心と略す)を共通するように配置される。前記内層4と外層3の間には空隙が形成され、弾性材を隙間なく充填して、弾性材を加硫することにより、内層4と外層3が一体となり、樹脂製歯車1が作製される。
<金属製ブッシュ>
本発明にて述べる金属製のブッシュ2は、その周囲に内層4を設けるものであり、その中央部に、図示しない回転軸を締結するための貫通孔6を有している。前記回転軸は、エンジン等につながり、樹脂製歯車1に回転力を伝達する。
金属製のブッシュ2の素材は、特に限定されるものではないが、炭素鋼、ステンレス鋼などがあり、特に炭素鋼が加工しやすいので好ましい。
金属製ブッシュ2の製法としては、炭素鋼の金属粉末を所定形状に成形して焼結したものを用いるのが好ましいが、金属塊を切削加工したもの、鍛造加工したもの等を用いることもできる。
金属製ブッシュ2の形状は、特に限定されるものではないが、回転時に部分的な応力が掛かり難い円筒形状が好ましく、更には円弧となっている外周部に、複数の周り止め部を構成する突出部が、周方向に所定の間隔を空けて形成されることが好ましい。また、金属製ブッシュ2に、エンジンからつながる回転軸が一体に成形されていてもよい。
図2は、本発明に係る金属製ブッシュ2で、(a)は軸心と直行する面の断面図、(b)はこの金属製ブッシュ2をB―B断面で切断したときの断面図である。より具体的に述べると、金属製ブッシュ2は、図示しない回転軸に締結する貫通孔6を有し、外周部に、回り止め部となる複数の突出部7Aを一定角度間隔で設けている。
図2(b)において、金属製ブッシュ2の2Aは回転軸を固定する部分であり、2Bは樹脂部か金属部のどちらか一方だけが回らないようにする回り止めである。複数の突出部7Aの、回転軸の軸線方向(以下、軸線方向と略す)に測った厚み寸法L2は、金属製ブッシュ2の軸線方向に測った厚み寸法L1よりも小さい。そして周り止め部を構成する突出部7Aは、頂部の厚さが厚く、基部の厚さが薄いアンダーカット形状とすることで、内層4と外層3の一部が欠損し、外側に力がかかる時の内層4からの金属製ブッシュ2の抜けを、頂部と基部の厚さが同じものより一層防止し易くなる(なお、突出部7Aをまとめて回り止め2Bと表記した)。
そして、このアンダーカットの角度、即ち、図2(b)において金属製ブッシュ2の厚み方向の断面の中心線に対する角度θが、5〜40°のものを用いることが好ましい。更に、回転方向への負荷に耐える周り止め部の作用を高めるためには、突出部7Aが、少なくとも異なる複数の突出量を有する必要があり、図2(b)に示すように、2種類の突出部7A及び7Bが、交互に配列されたものが好ましい。突出量は、金属製ブッシュ2の径方向の幅で表され、突出部7Aの幅がh1、突出部7Bの幅がh2となる。このような角度θが5〜40°のアンダーカットの形状を持ち、2種類の突出部7A、7Bを有する金属製ブッシュ2を用いると、後述する内層4の樹脂成形部内に、複数の突出部7Aが完全に埋まった状態となり、突出部7Aが回り止めとして機能し、両者間の機械的結合の強度を十分なものとすることができる。
尚、隣り合う二つの突出部間(7Aと7Aの間)に形成される凹部内(7B部分)に内層4の一部が入ることによっても、前述の機械的強度は増加する。
<外層>
本発明にて述べる外層3は、金属ブッシュ2の径方向において配置される歯8(ギア歯)が設けられるもので、樹脂により成形される。
<外層の作製>
外層3は、リング状の補強繊維基材を準備し、このリング状の補強繊維基材間に樹脂を保持させて所定形状に成形し、その外周面に切削加工により歯8を形成することにより得ることができる。
まず、抄造と圧縮を連続して行うことができる抄造圧縮装置を用いて補強繊維の集合体をリング状に形成し、この補強繊維集合体を軸線方向に圧縮することによりリング状の補強繊維基材を形成する。
上記リング状の補強繊維基材を成形金型に配置し、リング状の補強繊維基材間に後述する樹脂を含浸させることで、補強繊維基材に樹脂を保持させ、加熱加圧成形によりリング状の樹脂成形部を作製する。上記リング状の樹脂成形部の外周面に切削加工により歯8を形成することで、外層3を作製する。
(補強繊維)
前記外層3に用いる補強繊維は、融点又は熱分解温度が、250℃以上の繊維から選択されることが好ましい。このような補強繊維を用いることで、成形時の温度や歯8を切削する時の加工温度、実使用時のエンジンルーム内の雰囲気温度において、補強繊維が熱による劣化を起こすことなく、耐熱性に優れた樹脂製歯車とすることができる。
補強繊維として好適に用いられるものを、より具体的に述べると、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、及びポリビニルアルコール系繊維から選ばれた、少なくとも1種以上の繊維を使用することができる。
中でも、パラ系アラミド繊維と、メタ系アラミド繊維と、フィブリル化処理した微細繊維とを、混合して用いることが特に好ましい。パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とフィブリル化処理した微細繊維を混合して用いることで、樹脂に対する濡れ性が良くなり、つまり、樹脂との接着性が良くなることで高い強度、耐熱性を得ることができる。なお、補強繊維は、後述する樹脂より比較的高価なため、使用量を減らすことでコストを低減することができる。
(樹脂)
外層3に用いる樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れでも良く、エポキシ樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等から選ばれた1種以上の樹脂と、この樹脂の種類に対応した硬化剤を組み合わせたものが使用できる。
これらの中でも、樹脂硬化物の強度、耐熱性等の点からポリアミノアミド樹脂が好ましく、耐熱性、強度が優れる2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリンとアミン硬化剤の混合物100質量部に対し、5質量部以下の触媒(例えば、オクチルブロマイド)とからなる樹脂を使用することがより好ましい。尚、この触媒は、5質量部を超えて添加すると、硬化時間が短くなって、補強繊維基材に樹脂が充分含浸される前に樹脂が硬化してしまうため、樹脂含浸不足が発生し易くなる。
<内層>
本発明にて述べる内層4は、先に述べた金属製ブッシュ2の周囲に配置されるものであり、樹脂により成形されるものである。
<内層の作製>
内層4の外径は、外層3の内径より小さく、金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を準備し、その金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材に樹脂を保持させて、所定形状に成形することにより得ることができる。
まず、抄造と圧縮を連続して行うことができる抄造圧縮装置を用いて、外層3の内径より外径が小さい金属製ブッシュ2を用意する。金属製ブッシュ2の外周に補強繊維の集合体を配置し、この補強繊維集合体を軸線方向、径方向に圧縮することにより、金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を形成する。
上記金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を成形金型に配置し、金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材に後述する樹脂を含浸させることで、補強繊維基材間に樹脂を保持させ、加熱加圧成形により内層4を作製する。
(補強繊維)
内層4に用いる補強繊維は、外層3と同様に、融点又は熱分解温度が、250℃以上の繊維から選択されることが好ましい。具体的には、先に述べた内層4に用いることができる補強繊維を、任意に使用することができる。 内層4に使用する補強繊維と、外層3に使用する強繊維とで、同一のものを用いても、異種のものを用いても良い。
同一の補強繊維を用いた場合は、補強繊維の含有率(樹脂に対する補強繊維の質量比)を、外層3と内層4とで変えることができ、比較的強度を要求されない金属製ブッシュ2に近い内層4の補強繊維含有率を減らし、コストを低減することができる。具体的には、内層4の補強繊維含有率を、外層3の補強繊維含有率の95〜10%とすることで、樹脂製歯車1全体での補強繊維使用量を減らし、コストを低減することができる。
外層3と内層4とで、異種の補強繊維を用いる場合には、樹脂製歯車1の構造上、歯8側の負荷と比較し、金属製ブッシュ2に近い側は負荷が少ないため、外層3より内層4で安価な繊維を使用することでき、コスト低減効果を向上させることができる。
また、内層4は、金属製の相手歯車に接触することがないため、金属に対する攻撃性の高い繊維であっても使用することができ、高強度の有機繊維(アラミド繊維など)に比較し、強度が同等以上であるが、比較的安価な無機繊維を用いることができる。
無機繊維は、特に限定されるものではないが、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ボロン繊維、セラミック繊維の中から選択される1種又は複数種の繊維の組合せを用いることができ、その中でも、ガラス繊維は安価なため好ましい。これにより、樹脂製歯車を軽量で機械的強度が優れるものとすることができる。
(樹脂)
内層4に用いる樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れでも良く、エポキシ樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等から選ばれた1種以上の樹脂と、この樹脂の種類に対応した硬化剤を組み合わせたものが使用できる。
これらの中でも、樹脂硬化物の強度、耐熱性等の点からポリアミノアミド樹脂が好ましく、耐熱性、強度が優れる2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリンとアミン硬化剤の混合物100質量部に対し、5質量部以下の触媒(例えば、オクチルブロマイドを使用)とからなる樹脂を使用することがより好ましい。尚、この触媒は、5質量部を超えて添加すると、硬化時間が短くなって繊維基材に樹脂が充分含浸される前に樹脂が硬化してしまうため、樹脂含浸不足が発生し易くなる。
<外層と内層との係合>
本発明の樹脂製歯車1は、外層3と内層4とで、樹脂成形体の樹脂及び充填物の構成比又は構成物を異ならせており、また、減衰機構を内蔵するための弾性材を含むため、各組成の間に界面が発生する。そこで、外層3と弾性材層5、内層4と弾性材層5との界面にて、剥離による界面破壊を起こしにくくするため、境界部分を互いの凹凸により係合させることが好ましい。より具体的には、外層3と弾性材層5、内層4と弾性材層5とが、軸心に直交する断面で見た際、境界部分が、波線、山谷線、凹凸線等となるようにすることができる。尚、前記各線は、集中応力による局所的な応力が発生しにくいように、波、山谷、凹凸等を、等間隔にて形成させることが好ましい。
<内層との係合のある外層の作製>
内層4との係合のある外層3は、前記で述べたように、抄造圧縮装置を用いて補強繊維基材をリング状に形成し、これを成形金型に配置し、樹脂を含浸し保持させ加熱加圧成形し、リング状の樹脂成形部を作製し、その外周面に切削加工により歯8を形成する。その外層3と内層4との係合が得られるように、かつ、歯8に穴が開かないように、外層3の内径側に、フライス盤で凹凸の加工を施し、内層4と係合のある外層3を作製する。
又は、抄造の段階で、リング状をした補強繊維基材の内径側に、抄造の金型に凹凸を付けることで凹凸を付与し、樹脂を含浸し保持させ加熱加圧成形し、必要に応じて、後加工(冷却後の収縮による寸法の微調整、バリ取りなど)を実施し、その外周面に、前記凹凸に触れないように、切削加工により歯8を形成することで、内層4と凹凸の係合のある外層3を作製する。
<外層との係合のある内層の作製>
外層3との係合のある内層4は、前記で述べたように、抄造圧縮装置を用いて金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を形成し、これを成形金型に配置し、樹脂を含浸し保持させ加熱加圧成形する。その外層3と内層4との係合が得られるように、内層4の外径側に、フライス盤で凹凸の加工を施し、外層3との係合のある内層4を作製する。
又は、抄造の段階で、金属ブッシュ2と一体となった補強繊維基材の外径側に、抄造の金型に凹凸を付けることで凹凸を付与し、樹脂を含浸し保持させ加熱加圧成形し、前記と同様に、必要に応じて後加工を実施し、外層3と凹凸の係合のある内層4を作製する。
<弾性材層>
本発明にて述べる弾性材層5は、金属ブッシュ2と一体となった内層4と、その外側に配置される外層3の間に形成される空隙に、隙間なく弾性材を充填するものであり、樹脂製歯車1に加わる径方向の衝撃を緩和する減衰機構となるものである。
前記弾性材は、内層4と外層3への充填が容易なゴム系素材が好ましい。エンジンルーム内で使われることから、150℃以上の耐熱性のあるものが良く、ゴム系素材の中でも耐熱性に優れたフッ素ゴムやシリコーンゴムがより好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。尚、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(外層、内層に用いる抄造スラリーの作製)
先ず、抄造スラリーを製造するために、補強繊維の投入時濃度が、4g/リットルとなる量の水を満たしたタンクを用意する。次に、このタンク内に、樹脂成形体中の補強繊維総量が、40体積%となる量のパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とフィブリル化処理した微細繊維とを投入する。続いて、攪拌機でタンク内の水を攪拌し、補強繊維を分散させる。温度は室温(15℃〜25℃)、攪拌時間は5分間で、分散液がスラリーの状態になる。
本実施例にて用いた補強繊維は、短繊維として、アスペクト比200で単繊維繊度:1.7(dtex)、繊維長:3mm長のパラ系アラミド繊維“帝人株式会社製「テクノーラ(登録商標)」”を50質量%、アスペクト比200で単繊維繊度:2.2(dtex)、繊維長:3mm長のメタ系アラミド繊維“帝人株式会社製「コーネックス(登録商標)」”を45質量%、そしてフリーネス値300mlまでフィブリル化処理した微細繊維 “デュポン株式会社製「ケブラー(登録商標)」”を5質量%混合したものである。更に、攪拌機でタンク内の水を攪拌し、補強繊維を分散させる。
(外層の作製)
円周上に突出部のない、円筒形の金属製ブッシュ2(材質:炭素鋼S45C)、外径:65mm、貫通孔径(内径):20mm、軸線方向の厚み:10mm)を、抄造圧縮装置に配置し、その周囲に、上記抄造スラリーを投入する。続いて軸線方向の厚みが10mmとなるまで圧縮することにより、突出部のない金属製ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を作製する。尚、ここで作製した補強繊維基材の外径は95mm、内径は65mmとした。
上記突出部のない金属製ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を、乾燥機内で、140℃で2時間乾燥させる。上記乾燥した補強繊維基材を、上型170℃、下型180℃に加熱した成形金型に設置し、型締めする。金型内部の圧力を90kPa以下に減圧した後、2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリン:69質量部、4,4’−ジアミノジフェニルメタン:31質量部を混合した樹脂を、温度150℃で溶解し、更に触媒としてオクチルブロマイド:1質量部を加えて撹拌した樹脂を金型内部に注入して、補強繊維基材に含浸させ、金型内で加熱硬化させる。これを乾燥させて樹脂成形体を得る。
上記樹脂成形体の樹脂部を金型で固定し、金属製ブッシュ2をポンチで押出し、外径95mm、内径65mmのリング状の樹脂成形部を得る。
上記リング状の樹脂成形部の外周面に、切削加工により、歯8の外径(外層3の外径)が91mm、歯8の高さが7.875mm、歯8の数が24個になるように歯8を形成し、内径が60mmとなるように切削加工することで、外層3を作製した。
(内層の作製)
中空の金属製円筒(材質:炭素鋼S45C、外径:50mm、内径:15mm、長さ:15mm)を用意し、外周をフライス盤で厚み方向に研削し、図2(a)に示す突出部7A及び7Bを形成させ、突出部を有する金属製ブッシュ2を得た。突出部7A及び7Bの寸法は、h1=2mm、h2=0.5mmとした。また、金属製ブッシュ2のB−B断面での切断面と、突出部7A側面となす角度θが20°となるようなアンダーカット形状とした。
続いて、突出部を有する金属製ブッシュ2の周囲に上記抄造スラリーを投入し、軸方向に厚みが10mmとなるまで圧縮して、金属製ブッシュ2と一体となった補強繊維基材を作製した。ここで作製した補強繊維基材の寸法は、外径を65mm、内径を40mmとした。
続いて、外層3の作製と同様に成形し、樹脂成形体を得る。その樹脂成形体の外径が60mmになるように切削加工し、金属製ブッシュと一体となった内層4を作製した。
(弾性材層の形成)
上記で作製した外層3、内層4の軸心が重なるように金型に設置し、その設置した外層3と内層4の隙間(幅10mmのリング状)に、弾性材としてフッ素ゴム“旭硝子株式会社製「AFLAS 150P」(AFLASは登録商標)”を隙間なく充填させた。充填した後、有機過酸化物(アルキル系パーオキサイド)を加硫剤として用いた加硫を行い、外層3と内層4を一体化し、図1に示すような歯8の外径(外層3の外径)91mm、歯8の数24個の樹脂製歯車(I)を得た。
<実施例2>
図3で実施例2を説明する。なお、実施例1と同じ機能の部材には同じ番号を付した。
(外層の作製)
実施例1の外層3の作製と同様に、樹脂成形体を作製し、その樹脂成形体の外周面に切削加工により歯8を形成する。その後に、外層3と内層4との係合が得られるように、かつ、歯8の面に穴が開かないように、外層3の内径側に、凹凸となるような切削加工を施し、内層4と係合する外層3を作製する。外層3の内径の凹凸は、外層3の内径を基準線として、凸部頂部を結ぶ直径が80mm、凸部基部を結ぶ直径(外層3の内径)が60mm、凸部数を24個とした。
(内層の作製)
実施例1の内層4の作製と同様に樹脂成形体を得る。上記樹脂成形体の外周面に切削加工により凹凸を形成することで、金属製ブッシュ2と一体となった内層4を作製する。尚、内層の凹凸は、凸部頂部を結ぶ直径(内層の外径)が75mm、凸部基部を結ぶ直径が55mm、凸部の数が24個とした。
(弾性材層の形成)
実施例1と同様に、内層4と外層3を軸心が重なるように金型に設置し、フッ素ゴムを充填し、有機過酸化物を加硫剤として用いた加硫を行い、図3に示すような歯8の外径(外層3の外径)91mm、歯8の数24個の樹脂製歯車(II)を得た。
(比較例)
実施例1と組成、寸法、歯の数は同じであるが、内層4と外層3の間に弾性材層5を挟まないように内層4と外層3の幅を案分して作製し、樹脂製歯車(III)を得た。
前記樹脂製歯車(I)〜(III)を、表1に示す試験条件で耐久性を評価した。結果を図4に示す。
Figure 2018162854
図4に示す通り、3種類の入力トルクで、実施例1及び2は比較例に対して総回転数が多く、耐久性が高くなった。これは、弾性材層5を内層4と外層3の間に介することで、減衰機構が得られるためである。また、実施例1より実施例2のほうが、耐久性が高くなった理由としては、外層3と内層4が弾性材層5を介して凹凸により係合するような形状としているため、層間の界面剥離が起こりにくく、歯車の強度の保持性を高くすることができるためと考えられる。
1…樹脂製歯車、2…金属製ブッシュ、3…外層、4…内層、5…弾性材層、6…貫通孔、7A…突出部、7B…突出部、8…歯(ギア歯)
特開2012−31891号公報 特開2011−174526号公報

Claims (4)

  1. 金属製ブッシュと、この周囲に配置される内層と、前記内層の周囲に配置される弾性材層と、前記弾性材層の周囲に配置され、歯が設けられた外層を備えた樹脂製歯車。
  2. 前記内層及び前記外層を構成する素材又はそれらの構成比が、同じ又は異なる請求項1記載の樹脂製歯車。
  3. 前記内層及び前記外層のどちらか一方、又は両方が、樹脂を基材とし、補強繊維を含む請求項1又は2に記載の樹脂製歯車。
  4. 前記内層及び前記外層が、互いに係合する凹凸を有する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製歯車。
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