JPS5920906B2 - エンジンにおける従動用ギヤ - Google Patents

エンジンにおける従動用ギヤ

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JPS5920906B2
JPS5920906B2 JP11526578A JP11526578A JPS5920906B2 JP S5920906 B2 JPS5920906 B2 JP S5920906B2 JP 11526578 A JP11526578 A JP 11526578A JP 11526578 A JP11526578 A JP 11526578A JP S5920906 B2 JPS5920906 B2 JP S5920906B2
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知 吉野
正志 藤本
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はエンジンにおけるポリアミド製従動用ギヤに関
する。
さらに詳しくは、無機質フィラーを30〜50重量%含
有するポリアミドから構成されてなる、従動用ギヤの使
用される過酷な環境下においてすぐれた機械的強度、耐
摩耗性、寸法安定性、耐疲労性、耐熱劣化性などを示し
、寿命がいちじるしく長いエンジンにおけるポリアミド
製従動用ギヤに関する。エンジンにおける従動用ギヤと
してはバランスシャフトギヤ、カムシャフトギヤ、アイ
ドルギヤなどがあげられるが、これらギヤは慣性モーメ
ント、トルクが大きく、しかものちに詳述するごとく、
エンジンオイル中のスラッジによつて摩耗が促進される
、エンジンオイル中に浸漬されているため作動時の最高
温度が130〜140℃にも達する、トルク変動が激し
いなど過酷な環境下で使用されるものである。
かかるエンジンにおける従動用ギヤとしては従来より金
属製ギヤまたは軽量化のために綿布にフェノール樹脂を
含浸したものを積層し、これを圧縮成形したところのフ
ェノール樹脂製ギヤなどの樹脂製ギヤが用いられている
とくに最近では樹脂製ギヤの特徴である低騒音性が注目
され、金属製ギヤにかわつて樹脂製ギヤが用いられるよ
うになつてきた。すなわち樹脂製ギヤのばあいは歯の噛
み合い、衝撃などによつて生ずる騒音が金属性ギヤにく
らべて顕著に低く、また樹脂製ギヤは耐食性、耐薬品性
にすぐれているため用いられる場所をえらぱないという
ことにある。しカルながら、従来のフェノール樹脂製ギ
ヤはエンジンにおける従動用ギヤの前記のごとき特殊性
のゆえに以下に述べるごとき種々の欠点を有するもので
ある。
(1)摩耗、クラツクの発生、欠損、破損がはげしいO
エンジンにおける従動用ギヤの相手ギヤは一般的には金
属製のクランクシヤフトギヤであり、歯面同士の接触に
よつて少なからず摩耗は生じるのであるが、わずかな摩
耗でその進行も遅い正常の範囲内の摩耗であれば問題は
ないのであるが、実機での摩耗はエンジンオイル中のス
ラツジにより促進され、異常な摩耗となる。
エンジンオイノレ中のスラ゛ンジにはエンジンオイノレ
自体の劣化生成物、ガソリン中の四エチル鉛に起因する
鉛系化合物、ピストンやシリンダーなどの摩耗粉、スズ
、外部からの混入塵などが含まれているが、かかるスラ
ツジが従動用ギヤの歯面に供給され、歯面にあられれた
間隔のつまつた綿布間に、さらにはその綿布が毛羽立つ
ことによつて生じた間隙にオイルスラツジ中の鉛系化合
物などが介在付着してみがき砂的な作用を果し、ギヤの
摩耗が促進されるのである。このようにフエノール樹脂
製ギヤは接触摩耗による摩耗度が大きいという欠点を有
する。またクランクシヤフトにはエンジンの各行程(吸
入→圧縮→爆発→排気)によつて激しいトルク変動が生
じている。
第1図に単気筒におけるクランクシヤフトのトルク曲線
を示す。しかしてクランクシヤフトギヤから従動用ギヤ
に回転力が伝達されるときに従動用ギヤが前記トルク変
動によつて衝撃を受ける。すなわちクランクの回転を助
ける方向にトルクが発生したばあいには従動用ギヤの正
転側歯面に衝撃を受け、またクランクの回転にブレーキ
をかける方向にトルクが発生したばあいには従動用ギヤ
の逆転側歯面に衝撃を受け、さらに共振状態が発生した
ばあいには従動用ギヤの正転側歯面および逆転側歯面の
いずれにも衝撃を受ける。フエノール樹脂製ギヤはかか
る衝撃を受けたばあいにおいて歯面の摩耗、クラツクの
発生、欠損がいちじるしく、はなはだしいばあいには歯
元から欠けてしまうという欠点を有する。なお衝撃によ
る摩耗が生ずる個所はトルク変動に関連して一様でなく
、複雑なものである。x またフエノール樹脂製ギヤは前記のごとく接触および衝
撃による摩耗度が大きいことから、バツクラツシユの経
時的拡大がいちじるしい。
歯面にかかる衝撃力はバツクラツシユ寸法の階乗に比例
して大きくなるから、ますます摩耗が進み、クラツクの
発生、欠損、破損を生じやすくなる。なおフエノール樹
脂製ギヤのばあい、成形後150℃で5〜6時間熱処理
を行なつて熱履歴による経時収縮をできるだけおさえよ
うとしているけれども、熱硬化性樹脂を使用する関係上
どうしても経時収縮がさけがたくかつ作動時の最高温度
が130〜140℃にも達することもあつて経時収縮が
大きく、これによるバツクラツシユの拡大も無視するこ
とができない。さらにフエノール樹脂製ギヤにおいて用
いる綿布は酸性条件下において劣化しやすいものである
が、エンジンオイルはそれ自体の劣化およびブローバイ
ガス中に含まれる酸性物質の蓄積により徐々に酸性を帯
びてくる。鉛添加ガソリンを使用するばあいはその燃焼
によつて生成した鉛系化合物によつてピストンまわりの
摩耗が促進され、ブローバイガスの吹抜け量が多くなる
結果、エンジンオイルの酸性が強くなる(たとえばPH
6.8のエンジンオイルは温度120℃、エンジン回転
数5500r戸で200時間連続運転したばあい、PH
4.5〜5になる。)このようにエンジンオイルが酸性
となりかつオイル温度が最高130〜140℃にも達す
るため、フエノール樹脂製ギヤの綿布はいちじるしく劣
化する。かかる高温酸性条件下における綿布の劣化と局
部的疲労による綿布の劣化とがあいまつて、歯面の表面
あるいは表面下層に微細なクラツクが入り、このクラツ
クにオイルが引込まれて圧縮される結果、クラツクがま
すます大きくなり、歯面の一部が剥離して凹部が形成さ
れ、いわゆるピツチング摩耗を生じる。このピツチング
摩粍は前記したバツクラツシユの拡大によりますます促
進される。ピツチング摩耗が促進されバツクラツシユが
ますます大きくなつて受ける衝撃力が大きくなると、つ
いには歯元部分にクラツクが入り、歯が歯元から折れる
結果となるのである。)熱膨張によるバツクラツシユの
縮小にかかわる問題。
前記のごとくギヤカバー内の温度は最高130〜140
℃にも達する。
かかる高温になるとフエノール樹脂製ギヤは膨張し、バ
ツクラツシユが小さくなる。バツクラツシユが小さくな
りすぎると、いわゆる歯形干渉を起しクランクシヤ 3
フトギヤが従動用ギヤにかみ込んで歯面がけずり取られ
たり歯が歯元から欠けてしまつたりする。かかる歯形干
渉をさけるため、最高温度時における適当なバツクラツ
シユをうるためにはギヤの膨張を見込んで最低温度(た
とえば− 135℃)時のバツクラツシユを選定する必
要がある。しかしこのようにバツクラツシユを選定する
と、フエノール樹脂製ギヤは熱膨張率が比較的大きいた
め低温時あるいは常温時におけるバツクラツシユが必然
的に大きくなり、前記(1)1項で述べたごとき摩耗、
クラツクの発生、欠損破損が促進されることになる。(
Ill)騒音が大きい。
ギヤの噛み合い時に出る騒音の原因には種々あるが、材
料の物性面からみたばあい、つぎの j物性値を有する
ものは騒音が小さいといえる。
1 摩擦係数の小さいもの 2硬度が低いもの 3 曲げ弾性率の小さいもの フエノール樹脂はポリアミドなどの熱可塑性樹脂にくら
べて前記項目のいずれにおいても劣り、またフエノール
樹脂製ギヤのばあい、前記(1)〜(1;)項で述べた
ごとき摩耗などによるバツクラツシユの拡大がいちじる
しく、このため回転時の衝撃力が大きくなつて騒音が大
きい。
さらにフエノール樹脂製ギヤのばあいは、樹脂のレオロ
ジ一特性のうち振動的変形や振動的外力に対するいわゆ
る動的特性、なかんづく振動吸収性に関連するTanδ
(δ:応力に対する歪の遅れ角)が小さく、この点から
も騒音に関し不利である。
QV)相手ギヤの摩耗、損傷が大きい。
フエノール樹脂製ギヤのばあい、前記(1)項で述べた
ごときバツクラツシユの経時的拡大がいちじるしいが、
これにより相手ギヤの摩耗、損傷も発生する。
以上のごとく、エンジンにおける従動用ギヤとしてのフ
エノール樹脂製ギヤは種々の問題を有するものであり、
これにかわるギヤの開発が希求されている。
本発明者らはエンジンにおける新たな従動用ギヤを開発
すべく鋭意研究を重ねた結果、ギヤ素材として無機質フ
イラ一を特定割合で含有するポリアミドを用いるときは
、従来のフエノール樹脂製ギヤの問題点が一挙に解決さ
れ、きわめてすぐれた性能の従動用ギヤがえられること
を見出し、これにもとづいて本発明を完成するにいたつ
た。
すなわち本発明は、エンジンオイルの雰囲気下で使用さ
れるエンジンにおけるポリアミド製従動用ギヤであつて
、該ギヤのリム部および歯部を構成するポリアミド部が
コア形成用リム部を構成するポリアミド部Aと歯部形成
用リム部および歯部を構成するポリアミド部Bとからな
り、ポリアミド部Aおよびポリアミド部Bがそれぞれ繊
維状無機質フイラ一を30〜50%(重量%、以下同様
)含有するポリアミドから構成され、かつポリアミド部
Aおよびポリアミド部Bがそれぞれゲート方式としてダ
イレクトリングゲート方式を採用して成形されてなるこ
とを特徴とするエンジンにおけるポリアミド製従動用ギ
ヤに関する。従来よりギヤ素材としてナイロン6、ナイ
ロン66などのポリアミドあるいはこれらをガラス繊維
で強化したものを用いることは知られている。
またナイロン66(ガラス繊維を含まないもの)製ギヤ
をエンジンのオイルポンプドリブンギヤとして使用する
例も知られている。しかしながら、従来のポリアミド製
ギヤは前記の例からも明らかなごとく、慣性モーメント
、トルクが小さくあるいはトルク変動の小さいところに
使用されていたにすぎず、本発明のエンジンにおける従
動用ギヤのごとく慣性モーメントが非常に大きく、トル
クも大きくかつトルク変動の激しいところに使用された
例はまつたく知られていない。
たとえばバランスシヤフトギヤに発生する慣性モーメン
トはオイルポンプドリブンギヤの80〜150倍ないし
はそれ以上にも達する。このように従来技術においては
かかる慣性モーメント、トルクが大きくかつトルク変動
がはげしく、しかも高温のオイルで満されたところにポ
リアミド製ギヤを使用しうるなどということは思いもよ
らなかつたのであるが、本発明者らは従来技術のかかる
常識に反して特定のポリアミド製ギヤが慣性モーメント
、トルクが大きくかつトルク変動の激しいところにも好
適に使用しうることを見出したのである。また前述のご
とく、エンジンにおける従動用ギヤは慣性モーメントが
大きく、しかもエンジンオイル中のスラツジによつて摩
耗が促進される、作動時の最高温度が130〜140℃
にも達する、トルク変動が激しいなど過酷な環境下で使
用されるものである。
かかるギヤの使用される環境を考慮して、エンジンにお
ける従動用ギヤの素材としてはポリアミドなどの熱可塑
性樹脂よりも熱硬化性樹脂の方が好ましいと考えられて
いた。すなわち、熱可塑性樹脂は一般に自己潤滑性およ
び吸振性を有し、軽量であり、成形手段が任意に選択で
きるなどの長所を有する反面、機械的強度が弱い、寸法
精度がわるい、熱伝導率が小さい、耐熱性がわるいなど
の欠点を有するものであるが、熱硬化性樹脂にくらべて
とくに機械的強度が弱く、耐熱性が劣り、さらに熱膨張
率もより大きいという問題がある。したがつてポリアミ
ドなどの熱可塑性樹脂製ギヤをエンジンにおける従動用
ギヤとして用いるばあいは、長時間運転するとギヤ温度
が上昇して強度が低下しかつギヤ自体も膨張することに
よつてギヤが破壊されるのではないかという危惧があつ
たのである。この点にづいてより具体的に説明する。(
イ)物理的特性 ポリアミド(ガラス繊維45%入りナイロン6)とフエ
ノール樹脂(綿布45%入リレゾール型エポキシ変性フ
エノール樹脂)の物理的特性を第1表に示す。
IC 2θ 第1表より明らかなごとく、ポリアミドはフエノール樹
脂にくらべて耐熱性に劣り、膨張率がより大きくかつ吸
水率も大きい。
(ロ)力学的特性 ポリアミドはフエノール樹脂にくらべて曲げ強度、圧縮
強度の温度依存性が大きい。
たとえは前記ガラス繊維入りナイロン6のばあい100
0Cにおける曲げ強度は常温の1/2になるのに対して
、前記綿布入りフエノール樹脂のばあいは4/5程度に
なるにすぎない。またポリアミドでギヤを製造するばあ
いは一般的に射出成形法によつて行なわれるが、射出成
形法によるはあいは圧縮成形法と比較して材料の流れ特
性による強度配向性が強くなり、均一な強度がえられず
、とくにギヤとしての強度上重要な歯部とブツシユとの
接合部の強度に不安がある。
このためフイラ一などで補強しようとしても射出成形法
のばあいは圧縮成形法におけるごとき織り布、織り繊維
あるいは長繊維で強化することが不可能であり、短繊維
で補強すると流れ特性による強度配向が助長される惧れ
があつた。さらにポリアミドはフエノール樹脂に比較し
て等荷重下における伸びが2〜5倍程度大きいこともあ
つて、ブツシユまわりの強化方法としてブツシユ外周部
のアンカー効果を増大させるべくブツシユ外周部を複雑
な形状にするとノツチ効果によつてギヤ全体の強度が低
下する惧れがあつた。さらにポリアミドはフエノール樹
脂にくらべて大気中では熱老化が激しく、したがつて経
時的にギヤの機械強度が大きく低下するのではないかと
いう惧れがあつた。
・→ 加工特性 歯切り加工を行なうばあい、ポリアミドはフエノール樹
脂にくらべてねばり特性があり、かえりなどの発生が多
く、しかもそのかえりを取るのに専用機を用いる後加工
が必要となる。
またフイラ一としてガラス繊維を用いるばあいには、ガ
ラス繊維によつて歯切り加工時の加工機の摩耗が激しく
なる惧れがあつた。さらにポリアミドは歯切り加工時の
熱および加工機のクランプ圧力などによつて応力を受け
、歯に捩れ変形を生じ、JISの等級でせいぜい8級程
度の歯精度しかえられない。
これに対してフエノール樹脂のばあいは3級程度のもの
がえられる。さらに射出成形によつて8能程度以上の厚
物を成形するばあいにはヒゲ、ボード、湯シワ、白化な
どの現象が発生しやすく、一般に成形が困難である。
したがつてポリアミドから射出成形によつてギヤを作製
するばあいには製品の品質のバラツキが大きくなる惧れ
があつた。(ニ)摩耗特性 フエノール樹脂製ギヤのばあいは用いる綿布がオイルを
吸引することによつて潤滑性が向上 .″し、そのため
相手ギヤの損傷がすくない。
これに対してガラス繊維などのフイラ一を含有するポリ
アミドをギヤとするばあいはフイラ一による相手ギヤの
摩耗、損傷が大きくなる惧れがあつた。(ホ)伝達トル
ク 軸トルクと歯の破損時間との関係をモータリング試験(
オイル温度130℃、エンジン回転数800rp[n)
で調べるとポリアミド製ギヤの方がフエノール樹脂製ギ
ヤにくらべて伝達トルクが約半分程度小さい。
つまりこの試験結果からいえば、一定負荷伝達ギヤとし
てはフエノール樹脂製ギヤの方がよいということになる
。以上述べたごとく、ポリアミド製ギヤについての従来
技術における一般的常識およびギヤ素材として熱可塑性
樹脂であるポリアミドと熱硬化性樹脂であるフエノール
樹脂とを比較したばあいのフエノール樹脂の優秀性のゆ
えに、ポリアミドをエンジンにおける従動用ギヤの素材
として使用しようとする試みは従来まつたくなされたこ
とがなかつたのであるが、本発明者らはかかる従来技術
の常識に反し意外にも無機質フイラ一を30〜50%含
有するポリアミドがエンジンにおける従動用ギヤの素材
としてすぐれており、従来のフエノール樹脂製ギヤにく
らべて格別にすぐれた性能を有するギヤを与えることを
見出し、本発明に到達したのである。
本発明のポリアミド製ギヤは従来のフエノール樹脂製ギ
ヤにくらべてつぎのごときすぐれた性能を有する。
(1)本発明のポリアミド製ギヤはフエノール樹脂製ギ
ヤにくらべて摩耗が少なく、かつクラツクの発生、欠損
、破損などの問題を生じない。
前述のごとく、従来のフエノール樹脂製ギヤのばあいエ
ンジンオイル中のスラツジにより摩耗が促進され、異常
摩耗を起しやすい。一方本発明のポリアミド製ギヤにお
いては、これを歯付き成形したもののばあいは使用開始
後のわずかな摩耗によつてフイラ一端部が歯面表面に露
出し、また成形後に歯切りを行なつたもののばあいは歯
切りによつて歯面表面にフイラ一端部が露出するのであ
るが、このばあいのフイラ一端部面積はフエノール樹脂
製ギヤに用いられる綿布の端面にくらべるとかなり小さ
いのでスラツジが付着したり、入り込んだりすることが
なく、したがつてフイラ一端部が露出することによつて
摩耗が促進されることはないのである。しかもこの歯面
表面に露出したフイラ一端部がクランクシヤフトギヤと
従動用ギヤの歯面に供給されるオイル中のスラツジをク
ランクシヤフトギヤの歯面から取去る、いわゆるクリー
ニング作用を果すのである。より詳しく説明すれば、ク
ランクシヤフトギヤは一般的に鋳鉄製で、パーライトと
フエライトを素地組織して成り立つており、組織中には
黒鉛粒子が含まれている。鋳造後の主として機械的性質
は素地組織および黒鉛粒子の大きさに影響され、それら
は化学成分、冷却速度によつて変化する。なかでも黒鉛
について注目すれば、これが含有されていることによつ
て多くの長所をもつが強度的には弱点となつていた。し
かしこれも球状黒鉛を用いることによつてほとんどギヤ
自体としての強度は解決されたといえるが、その歯面を
ながめてみるとポリアミド製ギヤと噛み合うことによつ
て歯面の球状黒鉛と前記スラツジとが置換し漸次堆積し
ていくことになるが、前記フイラ一端部で堆積物を取り
去る現象がクリーニング作用である。かかるクリーニン
グ作用とポリアミドの耐摩耗性とがあいまつて本発明の
ポリアミド製ギヤにおいては摩耗が少ないものと思料さ
れる。また従来のフエノール樹脂製ギヤのばあいはタラ
ンタシヤフトに生じる急激なトルク変動によつて大きな
衝撃を受け、トルク変動に関連する均一でない複雑な摩
耗、損傷を起しているのであるが、本発明のポリアミド
製ギヤのばあいはフエノール樹脂製ギヤにくらべて弾性
率が小さいため、トルク変動による大きな衝撃を受けて
も弾性変形を起してそのエネルギーを吸収することと衝
撃強度、曲げ強度もともに大きくかつ意外にもオイル中
ではほとんど熱老化を示さないこととがあいまつてトル
ク変動に起因する摩粍が少なく、かつ欠損、破損などを
生じないのである。たとえば170℃のオイル中におけ
る熱老化による歯の曲げ強度の変化を長時間にわたつて
測定すると、フエノール樹脂製ギヤのばあいは時間と共
に強度が急激に降下するのに対し本発明のポリアミド製
ギヤでは酸化劣化が少ないことと補強材としてのフイラ
一の影響により強度がほとんど低下しない。(2)本発
明のポリアミド製ギヤはフエノール樹脂製ギヤにくらべ
てバツクラツシユの経時的拡大量が小さい。
本発明のポリアミド製ギヤは、前記(1)項で述べたご
とく摩耗が少なく、かつフエノール樹脂製ギヤにおける
ごとき経時的熱収縮をほとんど示さないから、バツクラ
ツシユの経時的拡大量が小さい。
たとえばオイル温度120℃におけるエンジン台上テス
ト(エンジン回転数5500rp11全負荷運転)にお
いて、フエノール樹脂製ギヤのばあいは150時間で0
.2n程度もバツクラツシユが拡大するのに対して、本
発明のポリアミド製ギヤのばあいは400時間で0.0
1〜0.0211程度のバツクラツシユの拡大を示すに
すぎない。したがつて本発明のポリアミド製ギヤのばあ
いはフエノール樹脂製ギヤにおけるごときバツクラツシ
ユの拡大による摩耗、クラツクの発生、損傷の促進とい
う問題を生じない。
(3)本発明のポリアミド製ギヤのばあいはフエノール
樹脂製ギヤにおける熱膨張によるバツクラツシユの縮小
にかかわる問題が廻避さわる。
前述のごとく、フエノール樹脂製ギヤにおいては熱膨張
による歯形干渉をさけるため、熱膨張を見込んで最底温
度時のバツクラツシユを選定すると、低温時もしくは常
温時付近におけるバツクラツシユが大きくなり、それに
よつて摩耗、クラツクの発生、損傷が促進されるという
問題があるのであるが、本発明のポリアミド製ギヤにお
いては前記のごとくその弾性率が小さく、衝撃強度、曲
げ強度が大きいため、フエノール樹脂製ギヤの2倍程度
のバツクラツシユを与えても摩耗、クラツクの発生、損
傷などの問題を生じない。さらにポリアミド製ギヤにお
いては歯付き成形のばあいはその成形後に、また後歯切
りのばあいはその加工により歯の捩れが発生する。もと
もとポリアミド製ギヤのばあい歯精度はせいぜいJIS
の等級で7〜8級程度ω4θ であり、バツクラツシユが大きくても前記応力による歯
の捩れがさいわいしてバツクラツシユが少なくなつた感
じとなつて、バツクラツシユがフエノール樹脂製ギヤよ
りも大きくても問題はない。
またポリアミド製ギヤのばあいは運転中温度が上昇する
と熱膨張によりバツクラツシユは小さくなる方向に変化
するが、歯における捩れがもとにもどり、結果としてバ
ツクラツシユはほとんど変化しないものとなり、摩耗、
クラツクの発生、損傷などが生じないのである。(4)
本発明のポリアミド製ギヤはフエノール樹脂製ギヤにく
らべて騒音が小さい。本発明のポリアミド製ギヤは材料
あ物性面からみてフエノール樹脂製ギヤにくらべて摩擦
係数が小さく、硬度が低くかつ曲げ弾性率が小さいこと
と前記(2)項で述べたごとくバツクラツシユの経時的
拡大量が小さいこととがあいまつて騒音が小さい。
さらに本発明のポリアミド製ギヤとフエノール樹脂製ギ
ヤについて振動吸収性に関連するTanδを比較してみ
ると第2図に示すごとくなる。
第2図において、曲線Aはガラス繊維45?入りナイロ
ン6についての値であり、曲線Bは綿布45%入りレゾ
ール型エポキシ変性フエノール樹脂についての値である
。測定は共振法により周波数200Hzで行なつた。で
あるから、本発明のポリアミド製ギヤはフエノール樹脂
製ギヤにくらべてエネルギー吸収能が大きく、この点に
おいても騒音に関し有利であるという証左になる。
】)本発明のポリアミド製ギヤのばあいはフエノール樹
脂製ギヤとくらべて相手ギヤの摩耗、損傷がオイル中で
は意外にもほとんど差がない。
本発明におけるごときフイラ一入りのポリアミドからギ
ヤを作製したばあいには、前述のごとくフイラ一によつ
て相手ギヤの摩耗、損傷が大きくなる惧れがあつたので
あるが、前記(2)項で述べたごとくバツクラツシユの
経時的拡大量が小さいため相手ギヤに加わる衝撃力が小
さくなり、相手ギヤの摩耗、損傷が少なくなるのである
。また前記(1)項で述べたごとく歯面に露出したフイ
ラ一端部によるクリーニング作用によリスラツジが除去
されることと潤滑油の冷却効果によつて相手ギヤの摩耗
、損傷が少なくなる。(6)前記0)〜(5)項で述べ
た理由から、本発明のポリアミド製ギヤはフエノール樹
脂製ギヤにくらべてエンジンにおける従動用ギヤとして
の寿命がいちじるしく長くなる。第3図は本発明のポリ
アミド製ギヤ(後記実施例1)とフエノール樹脂製ギヤ
(後記比較例4)の寿命曲線を示す。
第3図において、曲線Cおよび曲線Dはそれぞれ本発明
のポリアミド製ギヤおよびフエノール樹脂製ギヤの寿命
曲線を示し、曲線Eは寿命限界曲線を示す。なお動力伝
達用の樹脂製ギヤのばあい歯面に接触摩耗、ピツチング
摩耗などの現象が起るわけであるが、このような損傷に
よつて騒音が発生したり、損傷が進行すると歯が破損す
るなど耐久性を低下させる原因になる。さらに伝達荷重
、回転速度、運転負荷、潤滑および歯面の状態や温度上
昇などの要因が影響し、ギヤの使用条件によつてさまざ
まな現象を生ずるため強度設計によつてそのギヤの強度
や寿命などを一義的に正確に求めることは困難であるが
、ここでは寿命の判断フアクタ一として一応つぎのごと
く騒音、バツクラツシユの変化量、クラツクの程度およ
びピツチング摩耗の有無を考慮した。本発明のポリアミ
ド製ギヤはバランスシヤフトギヤ、カムシヤフトギヤ、
アイドルギヤなどとくに慣性モーメントの大きな従動用
ギヤとして好適に用いられる。
これら従動用ギヤの慣性モーメントの一例をあげれば、
バランスシヤフトギヤのばあいたとえば4サイクル2気
筒(550CC)または3気筒(1000cc)エンジ
ンにおいては3〜59・?・Se♂程度である。本発明
に用いるポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66
などが好ましいものとしてあげられる。
繊維状無機質フイラ一としてはガラス繊維および炭素繊
維が好ましいものとしてあげられ、これらは単独で用い
てもよく、混合して用いてもよ冫い。
ガラス繊維および炭素繊維としては通常直径5〜15μ
程度、長さ0.3〜27!Im程度のものが用いられる
。これら繊維は成形後はその長さが0.1〜0.61t
m程度になる。なおこれら繊維状無機質フイラ一はタル
ク、石綿などのその他の無機質フイラ一と併用してもよ
い。本発明においては、無機質フイラ一の含有率(ポリ
アミドの無機質フイラ一の合計量に対する無機質フイラ
一の割合)が30〜50〜であることが必要であり、な
かんづく30〜45%であることが好ましい。
無機質フイラ一の含有率が前記範囲未満のばあいは曲げ
強度、圧縮強度、衝撃強度などの機械的強度が低下し、
熱膨張率が大きく寸法安定性がわるくなり、かつ耐疲労
性、耐熱劣化性などが低下し、好ましくない。一方前記
範囲を超えるばあいはとくに曲げ弾性率が大きくなつて
エネルギー吸収能が低下し、また成形性がわるくなり、
さらに相手ギヤに与える損傷も大きくなり、好ましくな
い。なお前記無機質フイラ一に加えて酸化防止剤、摩耗
特性の向上のための二硫化モリブデンなどの通常の補助
剤を適宜配合してもよい。
前記無機質フイラ一含有ポリアミドからのギヤの作製は
通常射出成形によつて行なわれる。
成形は通常一重成形によつて行なう方が加工、工数、コ
ストの面で好ましいのであるが、本発明におけるごとく
慣性モーメント、トルクまたはトルク変動が大きくて径
および肉厚が大きなギヤのばあいは後述するごとき二重
成形によるのが好ましい。歯は成形時に同時につくつて
しまう方が工程数、コストの面から有利であるが、精度
を必要とするギヤ、大型のギヤのばあいは成形後に歯切
り加工を行なうのが好ましい。もちろん成形時に大体の
歯形をつくり、成形後に最終歯形切削して仕上げること
もできる。アニーリング処理は、成形後に歯切り加工ま
たは仕上げ歯加工を行なうものにおいては、その歯切り
加工または仕上げ歯加工の前に行なうのが好ましい。こ
のばあい成形時の残留応力を取の除いたのち歯切り加工
または仕上げ歯加工を行なうのでこれら後加工の精度が
高くなるとともに残留応力の解放により強度が向上する
。つぎに二重成形によつてえた本発明のポリアミド製ギ
ヤの好ましい実施態様を第4〜7図に示す。
第4図および第6図はそれぞれの実施態様の断面図であ
り、第5図と第7図はそれぞれ第4図のX−X線断面図
および第6図のY−Y線断面図である。第4〜7図にお
いて、1はブツシユ、3はリム部、4は歯部、5は歯で
あり、鎖線6は歯元を示す。21は1回目の成形によつ
て形成されたポリアミド部、22は2回目の成形によつ
て形成されたポリアミド部である。
第4〜5図のギヤは、1回目の成形により形成されたコ
ア形成用リム部を構成するポリアミド部21と2回目の
成形により形成された歯部形成用リム部と歯部を構成す
るポリアミド部22とからなり、かつポリアミド部21
の肉厚を歯部に向つて徐々に薄く形成したもの、つまり
2回目の成形によるポリアミド部22はゲートから歯部
に向つて徐々に断面積を拡大して形成したものである(
この実施態様を以下実施態様(1)という)。
第6〜7図のギヤは、1回目の成形により形成されたコ
ア形成用リム部を構成するポリアミド部21と2回目の
成形により形成された歯部形成用リム部と歯部を構成す
るポリアミド部22とからなり、かつポリアミド部22
をポリアミド部21を包み込むように形成したものであ
る(この実施態様を以下実施態様1)という)。なお実
施態様(1)のギヤの変形態様として第8図の縦断面図
に示されるものがあげられる。
かかる二重成形ギヤの成形方法はゲート方式としてダイ
レクトリングゲート方式を採用するほかはとくに制限さ
れないが、通常つぎのごとくして行なわれる。
第9〜10図は実施態様(1)のギヤの成形方法を示す
部分断面図である。まず第9図に示されるごとく、ゲー
ト方式としてダイレクトリングゲート方式を採用しかつ
えられるギヤがスプル一に対して点対称になるような金
型を用い、ポリアミド部21を形成する。第9図におい
て、9Qは金型、10はスプル一、11は1回目の成形
時のゲートである。ついで金型9からブツシユ1とポリ
アミド部21の一体化物を取出し、これを第10図に示
されるごとく別の金型12に装填し、ついで2回目の成
形を行なつてポリアミド部224を形成する。第10図
において、13は2回目の成形時のゲートである。つい
で成形物を金型12から取出し、切断線14のところで
切断し、アニーリング処理を施して製品をうる。歯を成
形時に一体成形しないばあいはアニーリング処理を施し
たのちさらに歯切り加工を施す。前記のごとき二重成形
ギヤはつぎのごとき顕著な効果を奏する。
(a)二重成形することにより、歯部にたえず加わる衝
撃性の回転力が回転軸に伝わる際に歯部とリム部の界面
である程度緩衝されて伝わるので、耐久性が向上する。
(b)歯がヘリカルのばあいはブツシユにスラスト荷重
がたえず加わるが、この力も前記(a)項に述べたと同
じ理由で緩衝される。
(c)エンジンにおける従動用ギヤは使用時の温度変化
がはげしいが、二重成形ギヤのばあいはポリアミド部が
リム部と歯部に分れているため両者の膨張量が分散され
有害なスキが生じない。
(d)本発明においてはガラス繊維、炭素繊維などの繊
維状無機質フイラ一を用いるのであるが、二重成形する
ことによつて繊維状フイラ一をギヤの強度をより高める
ように配向せしめることが容易である。たとえば第9〜
10図に示されるごとき二重成形を行なうときは、ダイ
レクトリングゲート方式を採用していること、ギヤ形状
がスプル一に対して点対称であること、2回目の成形時
におけるポリアミドの湯道がゲートから徐々に拡がるよ
うに配慮されていることなどがあいまつて、任意の断面
における繊維状フイラ一の配向の再現性が良好であり、
その配向はギヤとしての機能上とくに重要な歯部付近に
おいて第11〜12図に示されるごときモデルが支配的
となる。
第11図は繊維状フイラ一の配向モデルを示すギヤの部
分縦断面図、第12図は第11図のZ−Z線部分横断面
図である。第11〜12図に示されるごとく、ギヤの歯
部側面の表面層(通常1〜2m1Lの厚さ)における繊
維状フイラ一15の配向は歯部側面に平行にかつギヤの
半径方向にそつて配列するのが支配的となる。
かかる配向により歯部側面における繊維状フイラ一15
が曲げ応力によつて荷重を受容することが支配的になり
、歯部側面が強化されてギヤの強度向上に寄与し、たと
えばギヤに熱膨長または歪などにより多少の変形、捩れ
などの作用が働いたばあいでも変形、捩れなどを起しに
くくなる。また表面層を除いた歯元付近においては繊維
状フイラ一15はランダム配向となり、繊維状フイラ一
15により均一にポリアミドが強化され、駆動用ギヤか
ら歯部に加えられる力に対して均一に臂開強度が向上さ
れる。
また歯先の表面層においても繊維状フイラ一15の配列
はギヤ表面に平行にかつギヤの回転軸方向に平行に配列
するのが支配的となり、かかる配向によつて歯先が強化
され、かつ歯部側面の繊維状フイラ一15の前記配向と
あいまつてクラツク防止に寄与することとなる。
とくに歯先の配向については、ヘリカルな歯のばあいは
,駆動力を繊維状フイラ一15が曲げ応力で受容するこ
とが主体となるため配向の効果が増大される。なお二重
成形においては第5図および第7図に示されるごとく、
ポリアミド部21の外周面上にギヤの回転軸方向に複数
個の溝8を設けるのが好ましい。
かかる溝8を設けることによつてポリアミド部21とポ
リアミド部22が噛み合い、ギヤの回転方向におけるポ
リアミド部21とポリアミド部22との間の相互のずれ
が容易に防止される。溝8の数はギヤの大きさ、構の形
状などによつて適宜選択されるものである。つぎに実施
例および比較例をあげて本発明のポリアミド製ギヤを説
明する。
実施例1〜2および比較例1〜4 第2表に示すごとき無機質フイラ一含有ポリアミドを用
いて第2表に示すごとき条件にしたがつてつぎに示すご
ときギヤパラメーターを有するバランスシヤフト用ポリ
アミド製ハスバギヤを射出成形により作製した。
なおアニーリング処理は歯付き成形のばあいは成形後に
行ない、後歯切りのばあいは成形後歯切り加工の前に行
なつた。
また比較例2のポリアミド製ギヤは第13図に示される
ごとき一重成形ギヤである。第13図において、2はポ
リアミド部である。ガラス繊維入りナイロン6としては
東レ(株)製CMlOllGlガラス繊維入りナイロン
66としては東レ(株)製CM3OOllGl炭素繊維
入りナイロン66としては東レ(株)製トレカペレツト
3001Tを用いた。
参考のために用いた各材料の物性値を第3表に示す。ま
た比較のために、レゾール型エポキシ変性フエノール樹
脂を綿布に含浸せしめたもの(綿布含有率45%)をブ
ツシユのまわりに積層し、190℃で1300k9/C
dの圧力下に圧縮成形したのち歯切り加工を施し、つい
でエンジンオイル中で150℃で6時間アニーリングし
て前記と同様なギヤパラメーターを有するバランスシヤ
フト用フエノール樹脂製ハスバギヤを作製した(比較例
4)。
前記でえられたギヤのうち、実施例1、比較例1〜2お
よび4のギヤ(ただし歯切り加工前のもの)について、
各ギヤの中心部から外径100m1L1内径84mm1
断面積8m1L×8mmのリングを切出し、切出したリ
ングからさらに適宜のテストピースを切出し、それらを
用いて曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度および圧縮強度
を−30〜135℃の温度範囲において測定した。結果
を第14〜17図に示す。また前記でえられたギヤのす
べてについてエンジン台上耐久試験を行なつた。
試験はエンジン回転数5500rF、全負荷運転、オイ
ル温度135℃、試験時間400時間で行なつた。寿命
判断フアクタ一としてはつぎの項目を考慮した。結果を
第4表に示す。
第4表における記号はつぎのことを意味する。◎ 余裕
をもつて合格 O合格 △ 不合格 X まつたく不合格 つぎに実施例および比較例のギヤについて成形性、ギヤ
特性などをまとめて記す。
実施例1〜2においては二重成形の故に、いずれも樹脂
の成形性が良好であつてボード、白化、ウエルド、湯境
などの防止が容易であり、組織が密で均一な強度を有し
、第4表に示されるごとく耐久性の顕著にすぐれたギヤ
がえられた。
比較例1のばあいはガラス繊維の含有率が60%と高い
ため成形上の条件設定と管理が難しく、またウエルド、
ボード、湯境などの防止が困難なこともあり、本発明で
意図したものがえられなかつた。
さらにガラス繊維と樹脂との結合状態が密でないことも
あつてか、衝撃による剥離が生じ、ピツチング摩耗的な
現象が発生し、機能品質を保持する良好な製品を確保す
ることが困難であつた。またギヤ外表面にガラ又繊維が
露出する度合が顕著になるため、ポリアミド製ギヤとし
ての自己潤滑性が充分に発揮されず、騒音が大きくなつ
た。さらに歯切り加工時にボブの摩耗がはげしくなつた
。比較例2〜3のばあいは、樹脂溶融粘度が低くまた収
縮率が大きいため、肉厚成形品であるギヤにおいてはボ
ード、白化の発生が顕著となり、均一な強度がえられが
たく、製品強度が低下した。
また成形収縮が大きいためアニーリング後の変形が大き
く、後歯切り加工時における切削シロを余分に見込まな
ければならず、そのため材料ロスが増大した。なお比較
例2〜3の樹脂組成のものは本発明のギヤとしての精度
、強度を確保した歯付き成形は困難であつた。さらに製
品の耐熱温度の低下、熱時寸法安定性の低下および衝撃
強度の低下(フイラ一無充填のものと比較してもほとん
ど差がない)により、高温、高トルク下で使用されるギ
ヤとしての性能を有しないものであつた。比較例4のフ
エノール樹脂製ギヤのばあいは、曲げ強度、曲げ弾性率
、衝撃強度などが本発明のポリアミド製ギヤにくらべて
劣り、耐久試験においていずれの項目においても不合格
となつた。
【図面の簡単な説明】
第1図はエンジンのクランクシヤフトのトルク曲線を示
すグラフ、第2図は本発明のポリアミド製ギヤ〔曲線A
〕と従来のフエノール樹脂製ギヤ〔曲線B〕における振
動吸収性に関連するTanδを示すグラフ、第3図は本
発明のポリアミド製ギヤの寿命曲線C、従来のフエノー
ル樹脂製ギヤの寿命曲線Dおよび寿命限界曲線Eを示す
グラフ、第4図は本発明の二重成形ポリアミド製ギヤの
一実施態様を示す縦断面図、第5図は第4図のX−X線
横断面図、第6図は本発明の二重成形ポリアミド製ギヤ
の別の実施態様を示す縦断面図、第7図は第6図のY−
Y線横断面図、第8図は本発明の二重成形ポリアミド製
ギヤのさらに別の実施態様を示す縦断面図、第9〜10
図は本発明のポリアミド製ギヤを二重成形するさいの工
程順を示す部分縦断面図、第11図は本発明の二重成形
ポリアミド製ギヤにおける繊維状フイラ一の配向モデル
を示す部分縦断面図、第12図は第11図のZ−Z線横
断面図、第13図は比較のための一重成形ポリアミド製
ギヤ(比較例2)の縦断面図、第14〜17図は本発明
のポリアミド製ギヤ(実施例1)、フイラ一含有率が本
発明の範囲外であるポリアミド製ギヤ(比較例1〜2)
および従来のフエノール樹脂製ギヤ(比較例4)につい
て、それぞれ曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度および圧
縮強度を示すグラフである。 図面の主要符号、1:ブツシユ、2,21,22:ポリ
アミド部、3:リム部、4:歯部、5:歯、6:歯元、
9,12:金型、11,13:ゲート、15:繊維状フ
イラ一。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 エンジンオイルの雰囲気下で使用されるエンジンに
    おけるポリアミド製従動用ギヤであつて、該ギヤのリム
    部および歯部を構成するポリアミド部がコア形成用リム
    部を構成するポリアミド部Aと歯部形成用リム部および
    歯部を構成するポリアミド部Bとからなり、ポリアミド
    部Aおよびポリアミド部Bがそれぞれ繊維状無機質フィ
    ラーを30〜50重量%含有するポリアミドから構成さ
    れ、かつポリアミド部Aおよびポリアミド部Bがそれぞ
    れゲート方式としてダイレクトリングゲート方式を採用
    して成形されてなることを特徴とするエンジンにおける
    ポリアミド製従動用ギヤ。
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