JP2952934B2 - 液体噴射ヘッドとその製造方法、及び液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドとその製造方法、及び液体噴射記録装置

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JP2952934B2 JP3679190A JP3679190A JP2952934B2 JP 2952934 B2 JP2952934 B2 JP 2952934B2 JP 3679190 A JP3679190 A JP 3679190A JP 3679190 A JP3679190 A JP 3679190A JP 2952934 B2 JP2952934 B2 JP 2952934B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は液体噴射記録装置等に用いられる液体噴射ヘ
ッド、その製造方法、及び該液体噴射ヘッドもしくは該
製造方法を用いた液体噴射ヘッドを有する液体噴射記録
装置に関する。
[従来の技術] 液体噴射記録方式は、直接即時記録であるため装置が
簡単、非接触記録であるため騒音が小さい、カラー化が
容易、高速記録の可能性有り、普通紙の使用ができるた
め低ランニングコストである、等の理由で研究、開発が
盛んであり、液体噴射記録装置やそのキーデバイスであ
る液体噴射ヘッドの研究、開発、製品化も大変盛んにな
ってきている。
従来の液体噴射記録装置におけるカイザー型液体噴射
ヘッドは、小林正人他(画像電子学会誌12巻4号pp.277
〜284,1983)や、実開昭58−147749等に示されるごと
く、基板と該基板に対向して設ける可動板により圧力室
や液体導通路等を形成し、かつ前記可動板に圧電素子を
貼り付け、該圧電素子を振動させ前記圧力室を加・減圧
させ、液体を噴射させる構成であった。また、K.Utsum
i,et al.(International Microelectronics Confer
ence 1986 Proceedings,Kobe,May 28〜30,pp.36〜4
2,1986)等に示されるごとく、積層セラミック技術と空
孔形成技術を併用し、カイザー型液体噴射ヘッドを形成
している例もある。
[発明が解決しようとする課題] 従来の、基板と該基板に対向して設ける可動板により
圧力室や液体導通路等を形成し、かつ前記可動板に圧電
素子を貼り付け、該圧電素子を振動させ前記圧力室を加
・減圧させ、液体を噴射させる構成の液体噴射ヘッドに
おいては、その製造を行う過程で、圧電素子をハンドリ
ングしたり貼り付けたりすることが必要であったため、
該圧電素子を微細化することが困難であり、このため液
体噴射を行うノズルの高密度化や、ノズルをライン状に
長尺に形成するマルチノズル化が困難であった。またこ
れに加え、圧電素子貼り付け等の煩雑な製造工程を有し
ていたため、この従来の液体噴射ヘッドは高価格であっ
た。また、積層セラミック技術と空孔形成技術を併用し
て形成した液体噴射ヘッドにおいても、空孔形成パター
ンと圧電素子電極との位置ずれが容易に生ずるため、同
様にノズル高密度化やマルチノズル化が困難であり、ま
た低歩留りのため製品化が困難であった。
本発明は以上の課題を解決するもので、その目的とす
るところは、ノズル高密度化やマルチノズル化が容易
で、しかも低価格の液体噴射ヘッドを実現し、更に高速
高解像度で記録が可能な液体噴射記録装置を実現するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 以上述べた課題を解決するため、本発明の液体噴射ヘ
ッドは、 (1)圧電素子として下電極、圧電膜、上電極と積層し
たもの、もしくは圧電膜、上電極と積層したものを用い
たこと (2)前記圧電膜を圧電体多層膜としたこと (3)前記圧電膜に圧電性有機材料を含むこと (4)任意の基板上に形成された圧電素子、緩衝膜、該
緩衝膜表面に形成されたノズル、液体導通路、圧力室、
及び前記緩衝膜表面の一部に接合された対向基板を具備
して成ること (5)前記圧電膜中にノズル、液体導通路、圧力室を具
備して成ること (6)任意の基板上に設けた緩衝膜中にノズル、液体導
通路、圧力室を具備し、該緩衝膜上に圧電素子を積層し
て成ること (7)任意の基板表面に形成されたノズル、液体導通
路、圧力室、及び該圧力室上に形成された圧電素子を具
備して成ること (8)任意の基板上に設けた緩衝膜表面に形成されたノ
ズル、液体導通路、圧力室、及び該圧力室上に形成され
た圧電素子を具備して成ること (9)任意の基板上に設けた圧電膜の側壁にノズル、液
体導通路、圧力室を具備し、該圧電膜上に対向基板を接
合して成ること を特徴とする。
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、 (10)少なくとも、下電極、圧電膜、上電極と積層する
か、もしくは圧電膜、上電極と積層し圧電素子を形成す
る工程を有すること (11)任意の基板上にパターニングを行いノズル、液体
導通路、圧力室等を形成する工程、別基板上に圧電素子
を形成する工程、前記液体導通路等を形成した基板表面
の一部に圧電素子を形成した基板を接合する工程を有す
ること (12)任意の基板上に緩衝膜を形成する工程、該緩衝膜
表面にパターニングを行い液体導通路等を形成する工
程、別基板上に圧電素子を形成する工程、前記液体導通
路等を形成した基板表面の一部に圧電素子を形成した基
板を接合する工程を有すること (13)任意の基板上に圧電素子を形成する工程、緩衝膜
を形成する工程、該緩衝膜表面にパターニングを行い液
体導通路等を形成する工程、前記緩衝膜表面の一部に対
向基板を接合する工程を有すること (14)任意の基板上に圧電膜を形成する工程、空孔形成
パターンを形成する工程、更に圧電膜を形成する工程、
前記空孔形成パターンを除去することにより液体導通路
等を形成する工程、及び上電極を形成する工程を有する
こと (15)任意の基板上に空孔形成パターンを形成する工
程、緩衝膜を形成する工程、及び圧電素子を形成する工
程を有すること (16)任意の基板にパターニングを行い液体導通路等を
形成する工程、該液体導通路等を覆う空孔形成パターン
を形成する工程、圧電素子を形成し前記空孔形成パター
ンを除去する工程を有すること (17)任意の基板上に緩衝膜を形成する工程、該緩衝膜
の表面にパターニングを行い液体導通路等を形成する工
程、該液体導通路等を覆う空孔形成パターンを形成する
工程、圧電素子を形成し前記空孔形成パターンを除去す
る工程を有すること (18)任意の基板上に圧電膜を形成する工程、該圧電膜
にパターニングを行い液体導通路等を形成する工程、及
び前記圧電膜の表面の一部に対向基板を接合する工程を
有すること を特徴とする。
また、本発明の液体噴射記録装置は、 (19)請求項1乃至9記載の液体噴射ヘッド、もしくは
請求項10乃至18記載の製造方法を用いて製造した液体噴
射ヘッドを有すること を特徴とする。
[実施例] 第1図(a)は、本発明の実施例における、圧電素子
として下電極、圧電膜、上電極と積層したものを用いた
液体噴射ヘッドの液体導通路に沿った断面図、同図
(b)はその平面図である。同図(a)において、101
は基板、102はノズル、103は液体導通路、104は圧力
室、105は振動板、106は下電極、107は圧電膜、108は上
電極、109は液体貯蔵室、110は液体噴射孔、112は液体
導通路等を形成した基板101と振動板105との接合部であ
る。また同図(b)において111は下電極106、圧電膜10
7、及び上電極108により構成される圧電素子である。本
実施例の液体噴射ヘッドは、圧電素子111、ノズル102等
が平面的に複数個配列されている例である。これを液体
噴射記録装置に用いた場合の動作の一例を示すと、以下
のごとくなる。まず、ノズル102、液体導通路103、圧力
室104、液体貯蔵室109には液体(インク)が満たされ、
また液体貯蔵室109とこの液体噴射ヘッドの外部に設け
られたインクタンクはチューブ等を介して接続されてい
るものとする。この状態で下電極106と上電極108間に電
圧を印加し、圧力室104の体積が減少するように圧電膜1
07や振動板105を歪ませる。その時、圧力室104中のイン
クは加圧され、液体導通路103に向かって流出する。こ
の内、ノズル102側の液体導通路103に流出したインク
は、ノズル102近傍に満たされていたインクを加圧し、
このため、ノズル102近傍のインクは液体噴射孔110より
噴射され、該液体噴射孔に対向して設けられる記録紙に
記録される。その後、下電極106と上電極108間に印加さ
れている電圧を取り去れば、圧電膜107や振動板105の歪
は元の状態に戻り、圧力室104の体積は減少していた状
態から増加する。このため、圧力室104中のインクは減
圧され、液体導通路103よりインクは圧力室104へ供給さ
れる。この時、液体貯蔵室109よりインクは流出する
が、同時に外部のインクタンクよりインクは液体貯蔵室
109に供給される。また、ノズル102側のインクも一旦圧
力室104へ向かって流れるが、しばらくすると毛細管現
象によりノズル102へ戻り、再びノズル102、液体導通路
103、圧力室104、液体貯蔵室109にはインクが満たされ
る。液体噴射ヘッドもしくは記録紙の位置を動かした後
に、この状態で再度上記のインク噴射動作を繰り返す。
以上の動作を繰り返し、液体噴射記録が行われる。この
時、複数個配列されているノズルから同時にインクを噴
射するようにすれば、液体噴射記録は高速で行われるよ
うになる。またこの時、ノズルの本数が多い程、即ちマ
ルチノズル化する程高速記録が可能となる。以上の動作
はいわゆる押し打ち法と呼ばれる液体噴射方式である
が、もちろん他の液体噴射方式、例えば、小藤治彦(日
本機械学会誌第90巻第824号pp.880−884,1987)に示さ
れている引き打ち法等の方式を用いて液体噴射させても
良い。
第2図は、第1図に示す液体噴射ヘッドの製造工程順
の断面図である。同図において、第1図と同一の記号は
第1図と同一のものを表す。以下、製造工程に従って本
発明の液体噴射ヘッドを説明する。第2図(a)は基板
101に1段目のパターニングを行った後の断面図、同図
(b)は2段目のパターニングを行った後の断面図、同
図(c)は3段目のパターニングを行った後の断面図で
ある。基板101に2段のパターニングを行い、ノズル102
の形状を形成し、更に3段目のパターニングを行い、液
体導通路103、圧力室104、液体貯蔵室109の形状を形成
する。基板101の材料は任意のもので良いが、我々はSi
(100)基板を用いた。これにCF4とO2の混合ガスを用い
てドライエッチングを行い、20μm角の液体噴射孔11
0、断面30μm角の液体導通路103、深さ50μmの圧力室
104及び液体貯蔵室109を形成した。ノズル102、液体導
通路103、圧力室104等の形状は第2図(c)に示される
ものに限定される必要はなく、例えば、液体導通路103
がそのまま液体噴射孔に接続されるような形状にしても
良い。その様な構成にすれば、パターニング回数を減ら
すことが出来る。また、エッチングも単なるドライエッ
チングのみならず、RIE(Reactive Ion Etching)法
やRIBE(Reactive Ion Beam Etching)法等を用いて
も良く、また、弗酸の、硝酸水溶液等を用いてウェット
エッチングしても良い。第2図(d)は、基板101とは
別基板である振動板105上に下電極106、圧電膜107、上
電極108と積層した状態の断面図である。振動板105、下
電極106、圧電膜107、上電極108は任意の材料で良い
が、我々は振動板105に厚さ50μmの薄板石英ガラスを
用い、下電極106にはPtを電子ビーム蒸着法で厚さ200nm
形成し、塩酸と硝酸の水溶液でパターニングを行い、圧
電膜107にはPZT(PbZrO3とPbTiO3の固溶体)をあらかじ
め振動板105を所望のパターンにマスキングしておき、
スパッタ法で厚さ2μm形成し、620℃で1時間アニー
ルを行い、更に上電極108にはAlをスパッタ法で厚さ500
nm形成し、燐酸と硝酸と酢酸の水溶液でパターニングを
行い、第2図(d)に示す構造を形成した。この構造や
その形成方法も以上述べた方法に限定される必要はな
く、例えば、圧電膜107に用いる材料は、PbTiO3やZnO等
の圧電材料を用いて良く、またその形成方法もゾル・ゲ
ル法等の手段を用いても良く、また下電極等を特にパタ
ーニングしなくとも良い。以上のごとく形成した同図
(c)に示す液体導通路等を形成した基板101と、同図
(d)に示す圧電素子を形成した基板105を接合して、
第1図に示す液体噴射ヘッドが形成される。我々は、基
板101における接合部112に接着剤を塗布し、その上から
振動板105をかぶせて本発明の液体噴射ヘッドを形成し
た。もちろん、基板101と振動板105を接合する方法はこ
れに限定されることなく、例えば、佐藤一雄(電気学会
論文誌D第103巻第3号pp.206〜209,1988)に示される
ごとく、静電接合法を用いてSi基板101と薄板ガラス振
動板105を接合したり、また、基板101及び振動板105に
ガラスを用いて、これらを熱融着させ接合したり、基板
101と振動板105にSiを用いて、Si原子が再配列する温度
において接合させても良い。また、以上の実施例の製造
工程順にも本発明は限定される必要はなく、例えば、第
2図(c)の構造を形成した後、振動板105と基板101の
接合を行い、更に振動板105上に圧電素子の形成を行う
様にしても良い。
以上述べた実施例における液体噴射ヘッドは、薄膜形
成技術やフォトリソグラフィー技術を用いて液体導通路
や圧電素子等を形成しているため、ノズル高密度化やマ
ルチノズル化が容易となり、我々は10dot/mmの解像度で
50mmの長さを持つ液体噴射ヘッドを試作し、これを液体
噴射記録装置に用い、良好な印字特性を得た。また、本
発明の構成を持つ液体噴射ヘッドは、将来的には100dot
/mm程度の超高解像度で、100mm以上の長さにすることも
可能である。更に、この液体噴射ヘッドは、従来のそれ
に要していた煩雑な組立工程が不要となったため、低価
格なものとなった。
第3図は、本発明の実施例における、上側のみに電極
を設けて形成した圧電素子の断面図である。同図におい
て、第1図と同一の記号は第1図と同一のものを表す。
振動板105上に圧電膜107、上電極108と積層形成してか
くのごとき構造を形成する。これを第2図(c)に示す
ごとき基板に接合し、液体噴射ヘッドを形成する。二つ
の上電極108間に電圧を印加すれば圧電膜107及び振動板
105は歪み、この動作を利用して液体を噴射させる。こ
の様な構成にすれば、第1図、第2図に示す実施例に比
べ製造工程数が減少するため、更に液体噴射ヘッドの低
価格化が実現される。もちろん、この液体噴射ヘッドに
おける圧電素子は、圧電膜の下側に電極を形成する構成
にしても良い。
第4図は、本発明の実施例における、振動板を下電極
に用いている圧電素子の断面図である。同図において、
第1図と同一の記号は第1図と同一のものを表す。振動
板105にPt、Ni等の金属材料を用い、圧電膜107、上電極
108と積層形成すればかくのごとき構造が得られる。こ
れも、第2図(c)に示すごとき基板に接合すれば液体
噴射ヘッドが形成される。振動板兼下電極105と上電極1
08間に電圧を印加すれば圧電膜107や振動板兼下電極105
は歪み、この動作を利用して液体を噴射させる。第3図
に示す実施例と同様に、本実施例も第1図、第2図に示
す実施例に比べ製造工程数が減少するため、更に液体噴
射ヘッドの低価格化が実現される。
第5図は、本発明の実施例における、圧電多層膜を用
いた圧電素子の断面図である。同図において、第1図と
同一の記号は第1図と同一のものを表す。振動板105上
に1層目電極501、1層目圧電膜502、2層目電極503、
2層目圧電膜504、3層目電極505と積層形成し、かくの
ごとき構造が得られる。これも、第2図(c)に示すご
とき基板に接合すれば液体噴射ヘッドが形成される。圧
電バイモルフ素子の場合、通常は1層目電極501と3層
目電極505は同電位にされ、これらと2層目電極503との
間に電圧が印加される。すると1層目圧電膜502、2層
目圧電膜504、振動板105は歪み、この動作を利用して液
体を噴射させる。以上の構成の圧電バイモルフ素子の場
合、振動板105の歪み量や歪み速度を大きくすることが
出来、液体噴射特性を向上することが出来る。もちろ
ん、種々の目的により、各層電極間の印加電圧を変えた
り、各層の電極材料や圧電材料を変えることも可能であ
る。更に、圧電膜の特性向上やその制御のため、圧電多
層膜は超格子等の人工格子であっても良い。また、応力
緩和や信頼性向上のため、本実施例に限らず本発明の実
施例の液体噴射ヘッドにおける圧電膜には、PVDF(ポリ
弗化ビニリデン)等の有機材料や、特開昭56−1584等に
示される複合材料等を用いて良い。
第6図は、本発明の実施例における、任意の基板上に
緩衝膜を設け、該緩衝膜表面にパターニングを行い液体
導通路等を形成した、液体噴射ヘッド基板の製造工程順
の断面図である。同図において、第1図と同一の記号は
第1図と同一のものを表す。まず、基板101上に緩衝膜6
01を形成し、第6図(a)に示す構造となる。更に、緩
衝膜601の表面から数回パターニングを行い、ノズル10
2、液体導通路103、圧力室104、液体貯蔵室109を形成
し、同図(b)に示す構造となる。これと、第2図
(d)に示すごとき圧電素子を形成した別基板とを接合
すれば、液体噴射ヘッドが形成される。本実施例におい
ては、緩衝膜601の表面をパターニングするため、緩衝
膜601に加工し易い材料、例えば、SiO2等の材料を用い
て、更に精度良く液体導通路等が形成できる。また、こ
の液体噴射ヘッドを液体噴射記録装置に用いる場合にお
いて、使用するインクが中性のもの以外の時、例えば緩
衝膜601にジルコニウムガラス等を用いれば、インクと
液体導通路等の経時的な反応を抑えることが出来、基板
保護の役割も果たす様になる。この緩衝膜601の形成方
法はもちろん任意で良く、一般的な薄膜形成方法以外に
も、例えば、貼り合わせ法でガラスを貼り付けるとか、
熱拡散法を用いてSiのpn接合を形成し、p型Si層を緩衝
膜とする等、種々の方法が考えられる。
第7図は、本発明の実施例における、任意の基板上に
形成された圧電素子、緩衝膜、該緩衝膜表面に形成され
た液体導通路等、及び前記緩衝膜表面の一部に接合され
た対向基板を具備した液体噴射ヘッドの、液体導通路に
沿った断面図である。同図において、第1図と同一の記
号は第1図と同一のものを表す。701は緩衝膜、702は対
向基板である。下電極106と上電極108間に電圧を印加
し、圧電膜107や緩衝膜701を歪ませ、液体噴射孔110か
ら液体を噴射させる。以下、製造工程に従って本実施例
の液体噴射ヘッドを説明する。まず、基板101上に下電
極106、圧電膜107、上電極108と積層し、圧電素子を形
成する。そして緩衝膜701を形成し、更に該緩衝膜の表
面から数回パターニングを行い、ノズル102、液体導通
路103、圧力室104、液体貯蔵室109を形成する。最後に
対向基板702を緩衝膜701の表面の一部に接合し、第7図
に示すごとき液体噴射ヘッドが形成される。基板101、
圧電素子、緩衝膜701、液体導通路103等は、前述の材料
や方法に準じて形成すれば良いが、特に基板101にSrTiO
3等のペロブスカイト構造を持つ単結晶基板、下電極106
にPtを用いた場合、圧電膜107をPZT、PbTiO3等のペロブ
スカイト構造を持つ圧電材料にした場合、エピタキシャ
ル成長させることが可能であり、その圧電特性も良い。
また、対向基板702も任意の材料でよいが、例えば、ジ
ルコニウムガラスを熱圧着法により緩衝膜701の表面に
接合すれば良い。この液体噴射ヘッドは、薄膜形成技術
とフォトリソグラフィー技術を用いて圧電素子や液体導
通路等が完全に連続形成できるため、ノズル高密度化や
マルチノズル化がきわめて容易となった。また、対向基
板702の接合に関しても、パターン合わせが不要とな
り、製造方法がきわめて簡単になり、この結果液体噴射
ヘッドの低価格化が実現された。
第8図(a)は、本発明の実施例における、圧電膜中
に液体導通路等を具備した液体噴射ヘッドの液体導通路
に沿った断面図であり、同図(b)は、その液体噴射孔
から見た断面図、同図(c)は、その平面図である。同
図(a)において、第1図と同一の記号は第1図と同一
のものを表す。基板101上に下電極106、圧電膜107、上
電極108と積層され、圧電膜107中にノズル102、液体導
通路103、圧力室104、液体貯蔵室109が形成されてい
る。同図(b)において、第1図と同一の記号は第1図
と同一のものを表し、801乃至804は複数個配列された液
体噴射孔、805乃至808は圧電膜107中に形成された圧力
室、809乃至813は上電極である。同図(c)にも示され
るごとく、上電極809乃至813は圧力室側壁上に存在し、
このため、圧力室側壁が圧電素子となる。以下、この液
体噴射ヘッドの動作の一例を説明すると、上電極809及
び810と下電極106間に電圧を印加し、圧力室805の両側
壁の圧電膜が内側に変位する様にする。すると圧力室80
5の体積は減少し、その内部の液体は加圧され、液体噴
射孔801より液体は噴射される。この時、隣接した圧力
室806の体積も減少し、その内部の液体も加圧される
が、圧力室の大きさや液体導通路の長さ等の諸条件を、
隣接した液体噴射孔802より液体が噴射されない様に設
定しておけば良い。次に、前記電圧印加を止め、上電極
810及び811と下電極106間に電圧を印加すれば、液体噴
射孔802より液体が噴射される。以上の動作を順次繰り
返し、この液体噴射ヘッドは動作する。また、上電極80
9及び810、812及び813、等と下電極106間の電圧を同時
に印加するようにすれば、この液体噴射ヘッドはノズル
が何本あっても、以上の動作を3回繰り返せば全ノズル
から液体が噴射されるようになり、高速動作するように
なる。
第9図は、第8図に示す液体噴射ヘッドの製造工程順
の、液体噴射孔側から見た断面図である。同図におい
て、第1図及び第8図と同一の記号は、それぞれ第1図
及び第8図と同一の記号を表す。第9図(a)は1層目
の空孔形成パターンを形成した後の断面図、同図(b)
は2層目の空孔形成パターンを形成した後の断面図、同
図(c)は3層目の空孔形成パターンを形成した後の断
面図、同図(d)は2層目の圧電膜を形成した後の断面
図、同図(e)は上電極を形成した後の断面図である。
以下、製造工程に従って本実施例の液体噴射ヘッドを説
明する。まず、基板101上に下電極106、1層目の圧電膜
901を形成し、更に1層目の空孔形成パターン902を形成
して、同図(a)のごとき断面図となる。基板101、下
電極106、1層目圧電膜901は既に述べた材料や方法を用
いて形成すれば良い。空孔形成パターンは、K.Utsumi,e
t al.(International Microelectronics Confernec
e 1986 Proceedings,Kobe,May 28〜30,pp.36〜42,19
86)に示されるごとく、有機樹脂で形成すれば良い。例
えば、フォトレジストを用いれば良く、またAuCl3やTeO
2等のごとき数百度で昇華する物質やAl等の金属を用い
ても良い。1層目空孔形成パターン902は液体噴射孔801
等の大きさに合わせて形成される。次に2層目の空孔形
成パターン903を形成して、同図(b)のごとき断面図
となる。更に3層目の空孔形成パターン904を形成し
て、同図(c)のごとき断面図となる。2層目、3層目
の空孔形成パターンも1層目と同様の材料で形成すれば
良く、また例えば、1層目と3層目を有機材料、2層目
を金属材料で形成したりすることも可能である。2層目
空孔形成パターン903は液体導通路103、3層目空孔形成
パターンは圧力室805等の大きさに合わせて形成され
る。そして、2層目の圧電膜905を形成して、同図
(d)のごとき断面図となる。2層目圧電膜905も既に
述べた材料や方法を用いて形成すれば良いが、結晶性を
良くするため、1層目圧電膜901と同じ材料または同じ
結晶構造や近い格子定数を持つもの、例えば、1層目に
PbTiO3、2層目にPZTを用いれば良い。最後に空孔形成
パターン902乃至904を除去し、上電極809乃至813を形成
して、同図(e)のごとき断面図となる。空孔形成パタ
ーンに有機樹脂や高温で昇華する物質を用いた場合は、
熱処理を行いこれを除去すれば良く、また金属材料を用
いた場合は、ウェットエッチングを行いこれを除去すれ
ば良い。この様にして、液体噴射孔801乃至804、液体導
通路103、圧力室805乃至808等が形成される。上電極
は、既に述べた材料や方法を用いて形成すれば良い。以
上の実施例の液体噴射ヘッドは、薄膜形成技術、フォト
リソグラフィー技術、及び空孔形成技術を用いて完全に
連続形成することが可能であるため、ノズル高密度化、
マルチノズル化がきわめて容易となり、またその低価格
化が実現された。この液体噴射ヘッドの構成は以上の実
施例に限定されるものではなく、例えば、第9図(e)
において、上電極810等が中心で切断され左右に分割さ
れているような構成でも良く、また第1層目圧電膜901
は存在しなくとも良く、また液体導通路等の形状も第8
図及び第9図に示すものである必要はない。更にその製
造方法も、上電極810等を形成した後に空孔形成パター
ンを除去するようにしても良い。
第10図は、本発明の実施例における、任意の基板上に
設けた緩衝膜中に液体導通路等を具備し、該緩衝膜上に
圧電素子を積層した液体噴射ヘッドの、液体噴射孔側か
ら見た断面図である。同図において、第1図と同一の記
号は第1図と同一のものを表す。1001は緩衝膜であり、
この中に液体導通路や圧力室104等が具備されている。
下電極106と上電極108間に電圧を印加し、圧電膜107や
緩衝膜1001を歪ませ、液体噴射孔110より液体を噴射さ
せる。以下、製造工程に従って本実施例の液体噴射ヘッ
ドを説明する。まず、基板101上に液体導通路や圧力室
等の形状に合わせて空孔形成パターンを形成する。そし
て緩衝膜1001を形成し、空孔形成パターンを取り除き、
液体噴射孔110、液体導通路、圧力室104等を形成する。
そして、下電極106、圧電膜107、上電極108を形成し、
液体噴射ヘッドが形成される。以上の構成要素は、既に
述べた材料や方法を用いて形成すれば良い。以上の実施
例の液体噴射ヘッドも、薄膜形成技術、フォトリソグラ
フィー技術、及び空孔形成技術を用いて完全に連続形成
することが可能であるため、ノズル高密度化、マルチノ
ズル化がきわめて容易となり、またその低価格化が実現
された。この液体噴射ヘッドの構成や形成方法は以上の
実施例に限定されるものではなく、例えば、緩衝膜1001
と基板101との間に別の膜を設けるような構成にしても
良い。
第11図は、本発明の実施例における、任意の基板表面
に形成された液体導通路や圧力室等、及び該圧力室上に
形成された圧電素子を具備した液体噴射ヘッドの、液体
噴射孔側から見た断面図である。同図において、第1図
と同一の記号は第1図と同一のものを表す。下電極106
と上電極108間に電圧を印加し、圧電膜107を歪ませ、圧
力室104の体積を変化させ、液体噴射孔110より液体を噴
射させる。以下、製造工程に従って本実施例の液体噴射
ヘッドを説明する。まず、基板101にパターニングを行
い、液体噴射孔110、液体導通路、圧力室104等を形成す
る。そして、該パターニングにより形成された基板101
の凹部に空孔形成パターンを形成し、基板101の表面を
平坦化する。そして、下電極106、圧電膜107、上電極10
8と積層形成して圧電素子を形成し、空孔形成パターン
を除去すれば、液体噴射ヘッドが形成される。以上の構
成要素は、既に述べた材料や方法を用いて形成すれば良
い。本実施例の構成は、基板101を直接パターニングす
る構成であるため、第8図乃至第10図に示す実施例に比
べ、更に精度良く液体噴射孔等が形成できる。以上の実
施例の液体噴射ヘッドも、薄膜形成技術、フォトリソグ
ラフィー技術、及び空孔形成技術を用いて完全に連続形
成することが可能であるため、ノズル高密度化、マルチ
ノズル化がきわめて容易となり、またその低価格化が実
現された。この液体噴射ヘッドの構成や形成方法は以上
の実施例に限定されるものではなく、例えば、圧電素子
の下側に別の膜を設けるような構成としたり、圧電素子
を形成する工程中に空孔形成パターンを除去するような
方法を採っても良い。
第12図は、本発明の実施例における、任意の基板上に
設けた緩衝膜表面に形成された液体導通路や圧力室等、
及び該圧力室上に形成された圧電素子を具備した液体噴
射ヘッドの、液体噴射孔側から見た断面図である。同図
において、第1図と同一の記号は第1図と同一のものを
表す。1201は緩衝膜である。下電極106と上電極108間に
電圧を印加し、圧電膜107を歪ませ、圧力室104の体積を
変化させ、液体噴射孔110より液体を噴射させる。以
下、製造工程に従って本実施例の液体噴射ヘッドを説明
する。まず、基板101上に緩衝膜1201を形成し、該緩衝
膜表面にパターニングを行い、液体噴射孔110、液体導
通路、圧力室104等を形成する。その後は第11図に示す
実施例と同様に、空孔形成パターンの形成、圧電素子の
形成、空孔形成パターンの除去を行い、液体噴射ヘッド
を形成する。本実施例の構成も、基板101上の緩衝膜120
1を直接パターニングする構成であるため、第8図乃至
第10図に示す実施例に比べ、更に精度良く液体噴射孔等
が形成できる。以上の実施例の液体噴射ヘッドも、薄膜
形成技術、フォトリソグラフィー技術、及び空孔形成技
術を用いて完全に連続形成することが可能であるため、
ノズル高密度化、マルチノズル化がきわめて容易とな
り、またその低価格化が実現された。また、第11図実施
例と同様に、この液体噴射ヘッドの構成や形成方法は以
上の実施例に限定されるものではなく、例えば、圧電素
子の下側に別の膜を設けるような構成としたり、圧電素
子を形成する工程中に空孔形成パターンを除去するよう
な方法を採っても良い。
第13図は、本発明の実施例における、圧電膜側壁に液
体導通路、圧力室等を具備し、該圧電膜上に対向基板を
接合した液体噴射ヘッドの、液体噴射孔側から見た断面
図である。同図において、第1図と同一の記号は第1図
と同一のものを表す。1301は下電極、1302は対向基板で
あり、圧電素子の上電極を兼ねている。下電極1301と上
電極1302間に電圧を印加し、圧電膜107を歪ませ、圧力
室104の体積を変化させ、液体噴射孔110から液体を噴射
させる。以下、製造工程に従って本実施例の液体噴射ヘ
ッドを説明する。まず、高抵抗のSi基板101に不純物を
拡散させ、下電極1301を形成する。下電極1301の領域に
おける導電型はp、nいずれの型で良く、その形成方法
も任意の方法で良い。次に圧電膜107を形成し、その表
面にパターニングを行い液体噴射孔110、液体導通路、
圧力室104等を形成する。圧電膜107にPZTを用いた場
合、そのパターニングは塩酸系や弗酸系の水溶液で行え
ば良い。そして圧電膜107の表面に対向基板1302を接合
する。対向基板1302は上電極を兼ねるため、金属板、例
えばAl板を接着剤を用いて接合すれば良い。かくのごと
き方法で液体噴射ヘッドを形成すれば、ほとんどの工程
を薄膜形成技術、フォトリソグラフィー技術を用いて形
成することが可能であるため、ノズル高密度化やマルチ
ノズル化が容易となり、また製造工程数が著しく減少
し、しかも簡単になるため、液体噴射ヘッドの大幅な低
価格化が実現された。
第14図は、本発明の実施例における、圧電膜側壁に液
体導通路、圧力室等を具備し、該圧電膜上に対向基板を
接合した液体噴射ヘッドのもう一つの実施例を、液体噴
射孔側から見た断面図である。同図において、第1図及
び第13図と同一の記号は、それぞれ第1図及び第13図と
同一のものを表す。1401は対向基板表面に形成した上電
極である。本実施例の液体噴射ヘッドの動作は、第13図
に示す実施例のものに準ずる。以下、製造工程に従って
本実施例の液体噴射ヘッドを説明する。基板101上に下
電極106、圧電膜107と積層形成し、該圧電膜表面にパタ
ーニングを行い液体噴射孔110、液体導通路、圧力室104
等を形成する。そして、対向基板1302上に上電極1401を
形成する。最後に、圧電膜107の表面の一部と上電極140
1を接合し、液体噴射ヘッドが形成される。対向基板130
2は任意の材料、例えばガラス板等を用いて良く、また
上電極1401は任意の導電材料を任意の形成方法で、例え
ばAl等をスパッタ法で形成して用いれば良い。他の構成
要素や形成方法は、既に述べた材料や方法を用いて形成
すれば良い。かくのごとき方法で液体噴射ヘッドを形成
すれば、ほとんどの工程を薄膜形成技術、フォトリソグ
ラフィー技術を用いて形成することが可能であるため、
ノズル高密度化やマルチノズル化が容易となる。また、
対向基板1302に安価なガラス等の材料を用いることが出
来るため、第13図に示す実施例に比べ、更に低価格の液
体噴射ヘッドが実現される。また、この液体噴射ヘッド
の構成や形成方法は以上の実施例に限定されるものでは
なく、例えば、対向基板1302に金属板、1401を該金属板
を保護する保護膜としても良い。保護膜1401が絶縁体で
あっても、圧電膜107には電界がかかるため、この液体
噴射ヘッドは前記の動作を行う。
第15図は、本発明の実施例における、片持ち梁上に圧
電素子を積層形成した液体噴射ヘッドの断面図である。
同図において、1501は基板、1502はノズル、1503は圧力
室、1504は片持ち梁、1505は下電極、1506は圧電膜、15
07は上電極であり、下電極1505、圧電膜1506、上電極15
07により圧電素子が構成されている。この圧電素子を取
り巻く空間や圧力室1503、ノズル1502には液体が満たさ
れているものとする。下電極1505と上電極1507間に電圧
を印加し、圧電膜1506や下電極1504を振動させる。する
と、圧力室1503中の液体に圧力が発生し、このためノズ
ル1502近傍に存在していた液体は基板1501の外側へ噴射
される。この液体噴射ヘッドの製造方法の一例を以下に
示すと、基板1501にSi(100)基板を用いて、その表面
にBをドーピングした層を形成しておき、奥山雅則他
(材料別冊第38巻第425号pp.89〜99)に示されるごと
く、エチレンジアミン、ピロカテコール、及び水の混合
液により選択エッチングし、片持ち梁1504及び圧力室15
03を形成する。そして、片持ち梁1504と反対側の基板表
面からRIBE法等の方法でノズル1502を形成する。そし
て、片持ち梁1504上に下電極1505、圧電膜1506、上電極
1507を積層形成し、液体噴射ヘッドを形成する。この様
な構成の液体噴射ヘッドは、第14図まで説明を行ってき
たカイザー型液体噴射ヘッドと構成は異なるが、薄膜形
成技術とフォトリソグラフィー技術を用いて、液体噴射
ヘッドのノズル高密度化、マルチノズル化、低価格化で
きる点においては同じである。本実施例において、圧力
室1503上に張る梁は、片持ち梁のみならず、両端支持梁
等の他の形式の梁であってもまったく差し支えない。
第16図は、本発明の液体噴射ヘッド、もしくは本発明
の製造方法を用いた液体噴射ヘッドを有する液体噴射記
録装置の模式図である。同図において、1601は本発明の
液体噴射ヘッド、もしくは本発明の製造方法を用いた液
体噴射ヘッド、1602は記録紙、1603は給紙ローラ、1604
は紙送りローラである。液体噴射ヘッド1601からインク
を噴射し、記録紙1602に記録を行う。そして、液体噴射
ヘッド1601や、紙送りローラ1604を適宜動かして、液体
噴射記録を行っていく。本発明の液体噴射ヘッド、もし
くは本発明の製造方法を用いた液体噴射ヘッドは、既に
述べたごとくノズル高密度化やマルチノズル化が容易で
あるため、液体噴射ヘッド1601は高解像度でしかもノズ
ル数の多いものである。このため、記録紙1602に記録さ
れる像、文字等は高解像度となり、またその記録速度も
高速なものとなる。加えて、以上の液体噴射ヘッドにお
いて、液体にさらされる部分の材質は任意であるため、
液体噴射記録装置に用いた場合、使用できるインクの自
由度が増し、このため記録紙に適合したインクの使用が
可能となり、記録される像、文字等は高品位なものとな
る。更に、液体噴射ヘッド1601は低価格であるため、こ
の液体噴射記録装置も低価格なものとなる。また、この
液体噴射記録装置でカラー画像を記録する場合、高解像
度の液体噴射ヘッドを用いることが出来る本発明は、非
常に有用なものとなる。
なお、以上述べてきた実施例にも示されるごとく、本
発明の液体噴射ヘッドには種々の形態が考えられ、以上
の実施例に本発明の請求範囲は限定されるものではな
い。例えば、ステムメ型やグールド型の液体噴射ヘッド
に本発明の構成や製造方法を適用しても良く、また、コ
ンティニュアス型の液体噴射記録装置に本発明の液体噴
射ヘッドもしくは本発明の製造方法を用いた液体噴射ヘ
ッドを用いても良い。また、本発明の液体噴射ヘッド、
もしくは本発明の製造方法を用いた液体噴射ヘッドは、
液体噴射記録装置のみならず、塗装装置、捺染装置等に
広く適用される。
[発明の効果] 以上述べたごとく本発明を用いることにより、薄膜形
成技術やフォトリソグラフィー技術、もしくは更に空孔
形成技術を用いて液体噴射ヘッドが形成出来る。このた
め、従来は実現が困難であった液体噴射ヘッドのノズル
高密度化やマルチノズル化が容易となった。また、煩雑
な組立工程が不要となったため、同時に液体噴射ヘッド
の低価格化が実現された。また、以上の液体噴射ヘッド
を用いた液体噴射記録装置は、高速高解像度で高品位の
液体噴射記録が可能であり、しかも低価格なものとな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は、本発明の実施例における、圧電素子と
して下電極、圧電膜、上電極と積層したものを用いた液
体噴射ヘッドの液体導通路に沿った断面図、同図(b)
はその平面図。 第2図(a)〜(d)は、第1図に示す液体噴射ヘッド
の製造工程順の断面図。 第3図は、本発明の実施例における、上側のみに電極を
設けて形成した圧電素子の断面図。 第4図は、本発明の実施例における、振動板を下電極に
用いている圧電素子の断面図。 第5図は、本発明の実施例における、圧電多層膜を用い
た圧電素子の断面図。 第6図(a)、(b)は、本発明の実施例における、任
意の基板上に緩衝膜を設け、該緩衝膜表面にパターニン
グを行い液体導通路等を形成した、液体噴射ヘッド基板
の製造工程順の断面図。 第7図は、本発明の実施例における、任意の基板上に形
成された圧電素子、緩衝膜、該緩衝膜表面に形成された
液体導通路等、及び前記緩衝膜表面の一部に接合された
対向基板を具備した液体噴射ヘッドの、液体導通路に沿
った断面図。 第8図(a)は、本発明の実施例における、圧電膜中に
液体導通路等を具備した液体噴射ヘッドの液体導通路に
沿った断面図、同図(b)は、その液体噴射孔から見た
断面図、同図(c)は、その平面図。 第9図(a)〜(e)は、第8図に示す液体噴射ヘッド
の製造工程順の、液体噴射孔側から見た断面図。 第10図は、本発明の実施例における、任意の基板上に設
けた緩衝膜中に液体導通路等を具備し、該緩衝膜上に圧
電素子を積層した液体噴射ヘッドの、液体噴射孔側から
見た断面図。 第11図は、本発明の実施例における、任意の基板表面に
形成された液体導通路や圧力室等、及び該圧力室上に形
成された圧電素子を具備した液体噴射ヘッドの、液体噴
射孔側から見た断面図。 第12図は、本発明の実施例における、任意の基板上に設
けた緩衝膜表面に形成された液体導通路や圧力室等、及
び該圧力室上に形成された圧電素子を具備した液体噴射
ヘッドの、液体噴射孔側から見た断面図。 第13図は、本発明の実施例における、圧電膜側壁に液体
導通路、圧力室等を具備し、該圧電膜上に対向基板を接
合した液体噴射ヘッドの、液体噴射孔側から見た断面
図。 第14図は、本発明の実施例における、圧電膜側壁に液体
導通路、圧力室等を具備し、該圧電膜上に対向基板を接
合した液体噴射ヘッドのもう一つの実施例を、液体噴射
孔側から見た断面図。 第15図は、本発明の実施例における、片持ち梁上に圧電
素子を積層形成した液体噴射ヘッドの断面図。 第16図は、本発明の液体噴射ヘッド、もしくは本発明の
製造方法を用いた液体噴射ヘッドを有する液体噴射記録
装置の模式図。 101……基板 102……ノズル 103……液体噴射孔 104……圧力室 105……振動板 106……下電極 107……圧電膜 108……上電極 109……液体貯蔵室 110……液体噴射孔 111……圧電素子 112……接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を噴射するノズル、該ノズルに連通す
    る圧力室、該圧力室を加減圧する圧電素子を具備した液
    体噴射ヘッドにおいて、 基板と、該基板上に形成された圧電素子と、該圧電素子
    上に形成され少なくとも圧力室となる凹部が形成された
    緩衝膜と、該緩衝膜上に形成された対向基板とを具備し
    たことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 【請求項2】液体を噴射するノズル、該ノズルに連通す
    る圧力室、該圧力室を加減圧する圧電素子を具備した液
    体噴射ヘッドにおいて、 基板と、該基板上に形成され少なくとも圧力室となる開
    口が形成された緩衝膜と、該緩衝膜上に形成された圧電
    素子とを具備し、前記基板、緩衝膜、圧電素子により前
    記圧力室が構成されていることを特徴とする液体噴射ヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】液体を噴射するノズル、該ノズルに連通す
    る圧力室、該圧力室を加減圧する圧電素子を具備した液
    体噴射ヘッドにおいて、 基板と、該基板上に形成された電極層と、該電極層上に
    形成され少なくとも圧力室となる開口が形成された圧電
    膜と、該圧電膜上に形成された対向基板とを具備したこ
    とを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 【請求項4】前記対向基板が電極層を兼ねることを特徴
    とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。
  5. 【請求項5】前記対向基板が、電極層を介して圧電膜上
    に形成されていることを特徴とする請求項3記載の液体
    噴射ヘッド。
  6. 【請求項6】任意の基板上に緩衝膜を形成する工程、該
    緩衝膜表面にパターニングを行い液体導通路等を形成す
    る工程、別基板上に圧電素子を形成する工程、前記液体
    導通路を形成した基板表面の一部に圧電素子を形成した
    基板を接合する工程を有することを特徴とする液体噴射
    ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】任意の基板上に圧電素子を形成する工程、
    該圧電素子上に緩衝膜を形成する工程、当該緩衝膜表面
    パターニングを行い液体導通路等を形成する工程、前記
    緩衝膜表面の一部に対向基板を接合する工程を有するこ
    とを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】任意の基板上に下電極を形成する工程、該
    下電極上に圧電膜を形成する工程、該圧電膜上に空孔形
    成パターンを形成する工程、当該空孔形成パターンが形
    成された圧電膜上に第2の圧電膜を形成する工程、前記
    空孔形成パターンを除去することにより液体導通路等を
    形成する工程、前記第2の圧電膜上に上電極を形成する
    工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方
    法。
  9. 【請求項9】任意の基板上に空孔形成パターンを形成す
    る工程、該空孔形成パターンが形成された基板上に緩衝
    膜を形成する工程、前記空孔形成パターンを除去する工
    程、及び当該緩衝膜上に圧電素子を形成する工程を有す
    ることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】任意の基板上にパターニングを行い液体
    導通路等を形成する工程、該液体導通路等を覆う空孔形
    成パターンを形成する工程、当該液体導通路等を覆う空
    孔形成パターンが形成された基板上に圧電素子を形成
    し、前記空孔形成パターンを除去する工程を有すること
    を特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】任意の基板上に緩衝膜を形成する工程、
    該緩衝膜の表面にパターニングを行い液体導通路等を形
    成する工程、該液体導通路等を覆う空孔形成パターンを
    形成する工程、当該空孔形成パターンが形成された緩衝
    膜上に圧電素子を形成し前記空孔形成パターンを除去す
    る工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造
    方法。
  12. 【請求項12】任意の基板上に圧電膜を形成する工程、
    該圧電膜にフォトリソグラフィ法によりパターニングを
    行い液体誘導路等を形成する工程、及び前記圧電膜の表
    面に対向基板を接合する工程を有することを特徴とす
    る、液体噴射ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜5記載のいずれかの液体噴射
    ヘッド、もしくは請求項6〜12記載のいずれかの製造方
    法を用いて製造した液体噴射ヘッドを有することを特徴
    とする、液体噴射記録装置。
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