JP2952612B2 - 溶融亜鉛めっきステンレス鋼材の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっきステンレス鋼材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、めっき密着性及び耐食
性に優れた溶融亜鉛めっきステンレス鋼材を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】普通鋼の鋼帯,鋼板等に亜鉛めっき層を
形成する方法は、電気亜鉛めっき法と溶融亜鉛めっき法
に大別される。電気めっき法は、目付け量のコントロー
ルが容易であり、比較的薄目付けのめっき鋼材の製造に
適用されている。これに対し、溶融亜鉛めっき法は、溶
融亜鉛浴に被めっき鋼板を通過させてめっきを行うもの
であるため、目付け量を精密にコントロールすることが
難しいものの、短時間で大きな目付け量の亜鉛めっき層
を形成することができる利点をもっている。そして、用
途によっては、厚目付けの鋼板が要求されることがあ
り、このような場合には溶融亜鉛めっき法が採用されて
いる。
【0003】溶融亜鉛めっき法は、めっきされる鋼材の
表面にある酸化皮膜を除去する手段に応じて、フラック
ス法と還元法とに分類される。フラックス法では、適宜
のフラックスを鋼帯表面に塗布し或いはフラックス槽中
に鋼材を通過させ、鋼材とフラックスとの反応により鋼
材表面を活性化している。しかし、処理後に鋼材表面に
フラックス或いはその変性物が残留し易く、製品である
亜鉛めっき鋼材の表面肌が劣化する原因となる。そこ
で、現在では、還元法により鋼材表面にある酸化皮膜を
除去する方法が主流となっている。
【0004】還元法では、めっきされる鋼材を水素−窒
素雰囲気中で加熱し、表面層にある酸化物を還元除去す
る。被めっき素材が普通鋼である場合、処理された表面
層は、活性が高い状態となって、優れた密着性で溶融亜
鉛が付着する。
【0005】ところで、本発明者等は、被めっき素材と
して従来から使用されている普通鋼に代えてステンレス
鋼を使用するとき、優れた耐食性を呈する材料が得られ
ることを見い出し、特開平1−132792号公報とし
て紹介した。この場合、従来の亜鉛めっき鋼板に見られ
るように亜鉛による犠牲防食作用のみでなく、亜鉛の腐
食生成物によっても基地のステンレス鋼が防食される。
その結果、亜鉛めっきステンレス鋼板は、通常のステン
レス鋼が腐食を起こす相当過酷な腐食環境においても、
優れた耐食性を持つ構造材料として使用することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ステンレス
鋼材に対して従来のめっき前処理である還元法を適用し
ても、水素−窒素の還元雰囲気中での加熱によりステン
レス鋼表面にある不動態皮膜を還元することはできず、
むしろ強固な酸化皮膜が形成される。そのため、この表
面状態を持つステンレス鋼を溶融亜鉛めっき浴に導入し
てめっきを行おうとすると、鋼板表面でめっき金属が弾
かれ、膨れ,地肌露出,密着不良等の欠陥がある不均一
な厚みをもつめっき層が形成される。
【0007】この問題を回避するため、電気めっき法に
よって厚目付けの亜鉛めっき層をステンレス鋼表面に形
成しようとすると、長時間の電解反応が必要とされ、コ
スト的に不利となる。また、フラックス法では、めっき
後の表面肌が悪いという欠点が避けられない。
【0008】そこで、本発明は、このような問題を解消
するため案出されたものであり、電気亜鉛めっき層を予
めステンレス鋼材表面に形成させることによって、溶融
亜鉛めっき時に電気亜鉛めっき層を溶解除去して、溶融
亜鉛に接するステンレス鋼材の表面を活性状態に保ち、
めっき浴成分と鋼材表面との間の反応を活発に行わせ、
めっき密着性,表面性状及び耐食性に優れた溶融亜鉛め
っきステンレス鋼材を製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するためステンレス鋼材の表面に電気亜鉛めっきを施
した後、前記ステンレス鋼材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬
することを特徴とする溶融亜鉛めっきステンレス鋼材の
製造方法である。
【0010】ここで、ステンレス鋼材表面に形成される
電気亜鉛めっき層としては、片面当り目付け量を1〜3
0g/m2 の範囲に調整することが好ましい。また、電
気亜鉛めっきが施されたステンレス鋼材を、溶融亜鉛め
っきに先立って、200〜500℃に加熱処理すること
も可能である。
【0011】
【作用】ステンレス鋼材の表面に形成された電気亜鉛め
っき層は、ステンレス鋼の表面を改質して、不動態皮膜
が形成されることを防止している。電気亜鉛めっきが施
されたステンレス鋼材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬すると
き、電気亜鉛めっき層が溶解して活性状態の鋼材表面を
露出させる。この活性な鋼材表面と溶融亜鉛めっき浴と
の間で反応が行われるため、鋼材表面に溶融亜鉛めっき
層が容易に且つ均一に成長する。その結果、得られた亜
鉛めっき層は、密着性及び均質性に優れたものとなる。
また、厚目付けの溶融亜鉛めっき層も簡単に形成するこ
とができる。
【0012】亜鉛めっきされるステンレス鋼材は、使用
目的に応じて各種のものが使用される。しかし、溶融亜
鉛めっき前処理として電気亜鉛めっきが施されているた
め、溶融亜鉛めっき性は鋼種によって変わることがな
い。そのため、一定した条件下でめっき作業を行うこと
が可能となる。
【0013】また、ステンレス鋼材に対して行われる表
面仕上げにより、溶融亜鉛めっき層が悪影響を受けるこ
ともない。これは、めっきされる直前のステンレス鋼表
面が活性状態に維持され、溶融亜鉛めっき層がステンレ
ス鋼材の表面に密着性よく形成されている証拠である。
この種の表面仕上げとしては、酸洗仕上げ,光輝焼鈍仕
上げ,研磨仕上げ等がある。
【0014】ステンレス鋼材に対する電気亜鉛めっき
は、通常の電気めっきラインと同様に脱脂,酸洗,電解
活性化,電気めっき等の工程に従って行われる。或い
は、酸洗或いは電解活性化の何れかを省略することもで
きる。
【0015】脱脂は、ステンレス鋼材表面にある油類等
を除去するために行われるものであり、これにより後続
工程における処理にムラが発生することが抑えられる。
脱脂方法としては、通常の電気めっき工程で行われてい
る浸漬脱脂,電解脱脂等の方法を採用することができ
る。また、通常のステンレス鋼材等のように油類の付着
等が少ない場合、オルソケイ酸ソーダによる電解脱脂の
みでもよい。
【0016】酸洗は、ステンレス鋼材の表面を活性化さ
せるために行われる。使用する酸としては、たとえば塩
酸,低濃度の硫酸等の非酸化性の酸がある。この点、硝
酸等の酸化性の酸は、ステンレス鋼材の表面を再不動態
化させることから好ましくない。また、酸洗後に電解活
性化を行う場合、表面に付着した電解脱脂浴を中和する
程度の処理で十分である。
【0017】電解活性化は、電解浴として塩酸又は硫酸
を使用して行われる。このとき、電解浴に不溶性陽極を
対極として浸漬すると、塩酸系の電解浴では、対極から
塩素ガスが発生することがある。このような場合、硫酸
系の電解浴が好ましい。硫酸系の電解浴を使用すると
き、電解浴の電気伝導性を高くし、浴電圧を低く維持す
るため、硫酸濃度を2〜20%程度とすることが好まし
い。
【0018】これらの前処理により、ステンレス鋼材の
表面が活性化され、密着性に優れた電気亜鉛めっき層を
その上に形成することが可能となる。電気亜鉛めっきの
目付け量は、ステンレス鋼材の表面を完全に覆い、表面
酸化膜の影響を無くす上から、片面当り1〜30g/m
2 の範囲に維持することが好ましい。
【0019】この目付け量が1g/m2 未満であると、
後述の実施例で示すように、溶融亜鉛めっき後に不めっ
き等の欠陥が発生し易くなる。すなわち、電気めっきに
よってステンレス鋼材表面を亜鉛で完全に覆える最小目
付け量が1g/m2 であり、目付け量が1g/m2 を下
回るとき、電気めっき後にピンホール等の欠陥が発生し
易くなる。このような欠陥があるステンレス鋼材の表面
部分は、大気に接触すると、再度不動態皮膜を形成す
る。その結果、溶融亜鉛との馴染み性が劣化し、溶融亜
鉛めっき工程において不めっき等の原因となる。
【0020】他方、電気亜鉛めっきの効果は、目付け量
30g/m2 まででほぼ飽和し、それ以上の目付け量で
は経済的に不利となる。そこで、目付け量の上限を30
g/m2 に設定した。
【0021】電気亜鉛めっきされたステンレス鋼材は、
乾燥後に溶融亜鉛めっき浴に導入される。このとき、鋼
材表面に電気亜鉛めっき層が形成されているので、溶融
亜鉛めっき浴に浸漬するだけで、ステンレス鋼材の表面
に溶融亜鉛めっき層が成長する。したがって、従来行わ
れているようなフラックスの塗布や水素−窒素雰囲気中
での還元処理は必要とされない。逆に、たとえば700
℃の水素−窒素雰囲気中でステンレス鋼材を加熱すると
き、電気亜鉛めっき層が蒸散し、溶融亜鉛めっき層の付
着性を悪くする。
【0022】ステンレス鋼材が溶融亜鉛めっき浴に浸漬
されると、鋼材表面にある電気亜鉛めっき層が溶解し
て、不動態化していない活性状態のステンレス鋼表面が
露出する。そして、めっき浴中の溶融亜鉛とステンレス
鋼とが反応し、ステンレス鋼材表面に合金層を形成す
る。また、アルミニウムが含まれているめっき浴を使用
する場合、同様にアルミニウムが鋼材表面と反応し、合
金化する。
【0023】製品のめっき密着性及び加工性を考慮する
と、ステンレス鋼とアルミニウム及び亜鉛との合金層を
形成すること、及び溶融亜鉛めっき浴中で電気亜鉛めっ
き層が完全に溶解することが好ましい。このためにも、
電気亜鉛めっきの目付け量を、30g/m2 以下にする
ことが好ましい。
【0024】電気亜鉛めっき層が溶融亜鉛めっき浴中で
完全に溶解するか否かは、溶融亜鉛めっき浴の浴温,鋼
材が溶融亜鉛めっき浴に滞留する時間を決めるラインス
ピード,電気亜鉛めっきの目付け量等に応じて変わる。
ここで、めっき浴の浴温やラインスピードは、鋼材の板
厚や溶融亜鉛めっきの目付け量と密接に関係している。
そこで、これらの条件を適合するように、電気めっき亜
鉛の目付け量を設定する。しかし、電気亜鉛めっきの目
付け量が30g/m2を超えるとき、溶融亜鉛めっき浴
の浴温,ラインスピード等を如何に制御しても、溶融亜
鉛めっき時に電気亜鉛めっき層を完全に溶解させること
ができなくなる。
【0025】溶融亜鉛めっき浴中での電気亜鉛めっき層
の溶解を促進させるため、溶融亜鉛めっきに先立ってス
テンレス鋼材を加熱する方法を採用することができる。
この場合、加熱温度が高すぎると、亜鉛が蒸散してステ
ンレス鋼材の表面が露出し、不動態皮膜が形成され易く
なる。
【0026】そこで、加熱温度は、高温加熱に起因する
亜鉛の蒸散を抑制するため、上限を500℃とする。5
00℃を超える温度に電気亜鉛めっきステンレス鋼材を
加熱するとき、亜鉛の蒸散が激しく、電気亜鉛めっきの
効果が失われる。
【0027】この加熱処理は、ステンレス鋼材を溶融亜
鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっき層を形成する際の
合金化反応を促進させる上でも有効である。この点、加
熱温度が200℃未満であると、合金化反応が遅延し、
合金層の形成が不十分となる場合がある。また、ステン
レス鋼材が加熱状態で溶融亜鉛めっき浴に導入されるた
め、溶融亜鉛に対する鋼材表面の濡れ性もよくなる。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。
【0029】実施例1:板厚0.4mmのステンレス鋼
帯SUS430及び304に対して、硝フッ酸浴を使用
した酸洗仕上げを施した後、次の条件下で電解脱脂,電
解活性化及び電気亜鉛めっきを行った。 電解脱脂の条件 電解浴 : 10%−オルソケイ酸ソーダ 電流密度: 1〜10A/dm2 浴 温 : 55℃ 電解活性化の条件 電解浴 : 5%−H2 SO4 電流密度: 1〜10A/dm2 浴 温 : 30℃ 電気亜鉛めっきの条件 めっき浴: ZnSO4・7H2 O 240g/l NH4 Cl 15g/l Al2(SO4)3・16H2 O 30g/l 電流密度: 1〜2A/dm2 浴 温 : 30℃
【0030】この電気めっきによってステンレス鋼帯の
表面に形成される電気亜鉛めっきの目付け量は、電流密
度を変化させることによって調整した。
【0031】次いで、電気亜鉛めっきされたステンレス
鋼板に加熱処理を施した後、溶融亜鉛めっき浴に導入
し、目付け量100〜150g/m2で溶融亜鉛めっき
層をステンレス鋼帯の表面に形成した。なお、目付け量
は、ラインスピードを変更すると共にワイピングによっ
て調整した。また、加熱条件及び溶融亜鉛めっき条件
は、次の通りとした。 加熱処理の条件 加熱雰囲気: 75%H2 −N2 露 点: −30℃ 加熱温度: 100〜600℃ 加熱時間: 30秒 溶融亜鉛めっきの条件 めっき浴の組成: Zn−0. 14%Al めっき浴の温度: 450〜460℃
【0032】このようにして溶融亜鉛めっきされたステ
ンレス鋼板の表面状態を観察した。その結果、電気亜鉛
めっきの目付け量と溶融亜鉛めっきの不めっき率との間
に、図1に示した関係があることが判った。図1におけ
る不めっき率は、溶融亜鉛めっき後のステンレス鋼帯か
ら100mm×100mmサイズの試験片を切り出し、
この試験片に5mm×5mmの格子を当てて、不めっき
が存在する格子の数を百分率で表した。なお、ここでい
う不めっきとは、ピンホール状の局部的なめっき欠陥で
ある。
【0033】図1から明らかなように、電気亜鉛めっき
の目付け量が1g/m2 以上になると、溶融亜鉛めっき
後のステンレス鋼帯に不めっきは検出されなかった。こ
れにより、ステンレス鋼表面に対する溶融亜鉛めっき層
の形成は、所定の目付け量で電気亜鉛めっき層を介在さ
せるときに均一に行われることが判かる。
【0034】また、溶融亜鉛めっきされたステンレス鋼
帯から切り出された試験片の断面を観察して、合金層の
形成状態を調べた。そして、合金層の有無と電気亜鉛め
っきの目付け量との関係を調査したところ、表1に示す
結果が得られた。
【表1】
【0035】表1から明らかなように、電気亜鉛めっき
の目付け量が30g/m2 を超える場合、素地であるス
テンレス鋼の表面と溶融亜鉛めっき層との界面に合金層
が観察されなかった。これは、溶融亜鉛めっき浴中で電
気亜鉛めっき層が完全に溶融しなかったためであると考
えられる。また、電気亜鉛めっきしたステンレス鋼帯を
溶融亜鉛めっき前に加熱しても、電気亜鉛めっきの目付
け量が30g/m2 を超えるとき、同様に合金層の形成
がみられなかった。
【0036】実施例2: 実施例1で作製した溶融亜鉛めっきステンレス鋼帯から
切り出された試験片に対し、次の条件を1サイクルとす
る腐食試験を行った。 塩水噴霧 ・塩水噴霧 噴霧塩水: 5%NaCl水溶液 腐食試験 噴霧時間: 5分 の条件 ・乾燥 雰囲気 : 相対湿度20〜30%,60℃ 乾燥時間: 1時間 ・湿潤 雰囲気 : 相対湿度90〜95%,50℃ 湿潤時間: 3時間
【0037】この腐食試験後に発銹した試験片の表面積
を測定し、発銹の経時変化により耐食性を評価した。図
2は、その結果を示す。なお、図2の比較材としては、
無垢のステンレス鋼と、普通鋼の下地に対して同一の目
付け量で溶融亜鉛めっきした亜鉛めっき鋼板を使用し
た。
【0038】図2から明らかなように、試験サイクル数
が75回を超えるとき、亜鉛めっき鋼板の表面は、半分
以上が発銹している。この腐食は、金属亜鉛の消耗に起
因するものであり、犠牲的に腐食される金属亜鉛層が溶
出すると、素地の発銹が直ちに進行する。その結果、図
2に示すように、ほぼ全面にわたる腐食が比較的短時間
に進行する。また、ステンレス鋼板は、亜鉛めっき鋼板
に比較して優れた耐食性を示すものの、試験サイクル数
が150回を超えるようになると、表面の半分以上に発
銹がみられる。
【0039】これに対し、ステンレス鋼に溶融亜鉛めっ
きした本発明例の試験片にあっては、試験サイクル数が
250回に至った段階でも、ほとんど発銹のない表面状
態であった。すなわち、溶融亜鉛めっきステンレス鋼で
は、亜鉛の犠牲防食作用によって素地の腐食が抑制され
ること、及び亜鉛の腐食生成物も腐食の抑制に有効であ
ること等によって、金属亜鉛が溶出した後でも優れた耐
食性が持続する。
【0040】実施例3:硝フッ酸浴で酸洗仕上げした板
厚0.4mmのステンレス鋼帯SUS430及びSUS
304に対し、次の条件下で電解脱脂及び電解活性化を
行った後、片面当り30g/m2 の電気亜鉛めっきを行
った。 電解脱脂の条件 電解浴 : 10%−オルソケイ酸ソーダ 電流密度: 1〜10A/dm2 浴 温 : 55℃ 電解活性化の条件 電解浴 : 5%−H2 SO4 電流密度: 1〜10A/dm2 浴 温 : 30℃ 電気亜鉛めっきの条件 めっき浴: ZnSO4 ・7H2 O 240g/l NH4 Cl 15g/l Al2(SO4)3 ・16H2 O 30g/l 電流密度: 1〜2A/dm2 浴 温 : 30℃
【0041】次いで、電気亜鉛めっきしたステンレス鋼
帯を100〜600℃に加熱した後、Alを0. 14
%含有する温度450〜460℃の溶融亜鉛めっき浴に
浸漬することにより溶融亜鉛めっきを施した。
【0042】溶融亜鉛めっきされたステンレス鋼帯から
試験片を切り出し、その断面を観察することによって合
金層の有無を調べた。表2は、その結果を加熱温度との
関係で表したものである。(以下、このページ余白)
【表2】
【0043】表2から明らかなように、電気亜鉛めっき
ステンレス鋼帯を200℃未満の低温域で加熱すると
き、得られた溶融亜鉛めっきステンレス鋼板における合
金層の形成が不十分であった。また、加熱温度を550
℃以上の高温域に設定すると、加熱時に電気亜鉛めっき
層が蒸散し、かえって溶融亜鉛めっき層の密着性が劣化
している。
【0044】これに対し、電気亜鉛めっきステンレス鋼
帯を200〜500℃の温度範囲で加熱した後、溶融亜
鉛めっきしたものにあっては、必要とする合金層が形成
され、密着性に優れた溶融亜鉛めっき層がステンレス鋼
帯の表面に形成された。
【0045】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明にあって
は、溶融亜鉛めっきに先立ってステンレス鋼材に電気亜
鉛めっきを施すことにより、不めっき等の欠陥がなく密
着性に優れた溶融亜鉛めっき層をステンレス鋼材の表面
に形成することが可能となる。そして、得られた製品
は、ステンレス鋼に亜鉛めっきを行った場合における亜
鉛の腐食生成物による防食作用も活用して、密着性及び
耐食性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステンレス鋼帯に対する電気亜鉛めっきの目
付け量と溶融亜鉛めっきの不めっき率との関係を表した
グラフ。
【図2】 各種材料について発銹の経時的変化を表わし
たグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立俊郎 新南陽市野村南町4976番地 日新製鋼株 式会社 鉄鋼研究所内 (56)参考文献 特開 平2−156093(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼材の表面に電気亜鉛めっき
    を施した後、前記ステンレス鋼材を溶融亜鉛めっき浴に
    浸漬することを特徴とする溶融亜鉛めっきステンレス鋼
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電気亜鉛めっきが、片面
    当り目付け量1〜30g/m2 で行われることを特徴と
    する溶融亜鉛めっきステンレス鋼材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電気亜鉛めっきが施され
    たステンレス鋼材を200〜500℃に加熱処理した
    後、溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする溶融
    亜鉛めっきステンレス鋼材の製造方法。
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