JP2951292B2 - 相補型半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

相補型半導体装置及びその製造方法

Info

Publication number
JP2951292B2
JP2951292B2 JP9163098A JP16309897A JP2951292B2 JP 2951292 B2 JP2951292 B2 JP 2951292B2 JP 9163098 A JP9163098 A JP 9163098A JP 16309897 A JP16309897 A JP 16309897A JP 2951292 B2 JP2951292 B2 JP 2951292B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
type
region
source
mos transistor
semiconductor device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9163098A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1070196A (ja
Inventor
彰 広木
紳二 小田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP9163098A priority Critical patent/JP2951292B2/ja
Publication of JPH1070196A publication Critical patent/JPH1070196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2951292B2 publication Critical patent/JP2951292B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相補型半導体装置
及びその製造方法に関し、特に、金属−酸化物−半導体
(MOS)型半導体装置の微細化を実現するとともに、
低消費電力で動作可能な高信頼性で高速な半導体集積回
路を提供することができる、相補型半導体装置及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、さらに高集積化されたVLSIを
実現するために、そのようなVLSIに使用可能なMO
S型半導体装置のサイズは、ますます減少されている。
その結果、現時点で利用可能な半導体装置は、ハーフミ
クロン領域或いはサブハーフミクロン領域の最小サイズ
で形成されている。また、研究レベルでは、クウォータ
ミクロン領域或いはサブクウォータミクロン領域のオー
ダのサイズを有する半導体装置が試作されている。
【0003】しかし、このような微細サイズの装置が形
成されると、そのような装置の電気特性が、短チャネル
効果やホットキャリア効果によって劣化し易くなる。そ
れによって、装置の信頼性に、深刻な影響が及ぼされ
る。
【0004】一方、拡大するマルチメディア社会に十分
に適用可能なVLSI技術を開発するためには、半導体
装置が高速動作だけではなく、低消費電力化を実現しな
ければならない。
【0005】ホットキャリア効果や短チャネル効果によ
り生じる劣化に対する装置の耐性を改善し、且つその駆
動能力を改善するために、非対称な不純物プロファイル
をチャネルに有するMOS型半導体装置が提案されてい
る。例えば、1991 Symposiumon VLSI Technology, pp.1
13-114に、T.Matsui等によって、横方向ドープチャネル
(LDC)構造が提案されている。
【0006】図1は、LDC構造を有するMOS型半導
体装置50の断面図である。
【0007】この半導体装置50は、半導体基板1に形
成されたn型高濃度ソース拡散層2及びn型高濃度ドレ
イン拡散層3と、半導体基板1の上に形成されたゲート
酸化膜4と、ゲート酸化膜4の上に形成されたゲート電
極5と、ソース拡散層2とドレイン拡散層3との間のチ
ャネル領域及びソース拡散層2の下部における半導体基
板1の内部に設けられたp型高濃度拡散層6’と、を有
している。p型拡散層6’は、その不純物濃度がソース
側からドレイン側へ単調に減少することを特徴としてい
る。
【0008】この構造において、ソース側のp型拡散層
6’の不純物濃度を高濃度にすることで、短チャネル効
果に対する装置の耐性を向上させることが可能である。
さらに、ドレイン側のp型拡散層6’の不純物濃度を低
濃度にすることで、ドレイン近傍に発生する高電界を低
減し、それによってホットキャリアの発生を抑制するこ
とが可能である。このため、従来構造の低ドープドレイ
ン(LDD)構造がこの半導体装置50には必要なく、
それによって高駆動能力を達成している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この構造は、
クォータミクロン或いはそれ以下のオーダのサイズを有
する領域に形成されるMOS型半導体装置には、適して
いない。これは、図1に示したLDC構造を有するMO
S型半導体装置50は、以下の問題点を有しているから
である。
【0010】第1に、ソース拡散層の下部にp型高濃度
拡散層が形成されており、且つ、短チャネル効果を抑制
するために、当該p型拡散層の不純物濃度は1×1018
cm-3以上である。その結果、ソースと基板との間のp
n接合の寄生容量が、従来構造に比べて好ましくなく増
大する。
【0011】一般に、MOS型半導体装置の速度(回路
全体としての速度)は、飽和電流値の逆数と負荷容量と
を一緒に掛け合わせて得られる積に比例する。従って、
LDC構造を有する図1に示す半導体装置50の場合の
ように、ソースと基板との間のpn接合に大きな寄生容
量を有するそのような半導体装置が、NAND型CMO
S回路のようなソースと基板との間の領域に電圧が印加
される回路に適用されると、装置の速度(回路全体とし
ての速度)が、好ましくなく低減される。
【0012】一方、MOS型半導体装置の消費電力は、
負荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け合わせて得ら
れる積に比例する。従って、ソースと基板との間のpn
接合に大きな寄生容量が存在すると、回路の消費電力
は、好ましくなく増加する。
【0013】第2に、クォータミクロン或いはそれ以下
のオーダのサイズを有する装置が形成されると、閾値電
圧が低下し、装置は短チャネル効果によって深刻な影響
を受けるようになる。短チャネル効果は、実効チャネル
長、及びソース拡散層とドレイン拡散層との間の接合深
さに、依存する。LDC構造では、ソース拡散層とドレ
イン拡散層との間に深い接合深さを有するので、クォー
タミクロン或いはそれ以下のオーダのサイズを有する領
域では、閾値電圧の低下が抑制されない。
【0014】以上の理由から、従来のMOS型半導体装
置の製造技術では、クォータミクロン或いはそれ以下の
オーダのサイズを有する領域には、高信頼性で且つ高速
の半導体装置を形成することができない。
【0015】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、(1)回路速度の向上
及び消費電力の低減を実現するとともに、短チャンネル
効果に対する優れた耐性を有する高信頼性の相補型半導
体装置を提供すること、及び、(2)そのような相補型
半導体装置の製造方法を提供すること、である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の相補型半導体装
置は、第1導電型の不純物がドープされた第1の領域と
第2導電型の不純物がドープされた第2の領域とを含
み、且つ、主面を有する半導体基板と、該第2の領域に
設けられた第1のMOSトランジスタと、該第1の領域
に設けられた第2のMOSトランジスタと、を備えた相
補型半導体装置であって、該第1及び第2のMOSトラ
ンジスタのそれぞれは、第1のソース領域と、該第1の
ソース領域から一定距離だけ離れて位置する第1のドレ
イン領域と、該第1のソース領域及び該半導体基板の該
主面に接し、該第1のソース領域よりも浅い接合深さを
有する第2のソース領域と、該第2のソース領域から一
定距離だけ離れて位置し、該第1のドレイン領域及び該
半導体基板の該主面に接し、該第1のドレイン領域より
も浅い接合深さを有する第2のドレイン領域と、該第2
のソース領域及び該第2のドレイン領域の間に位置する
チャネル領域と、該チャネル領域を覆うように該半導体
基板の該主面の上に形成されたゲート絶縁膜と、該ゲー
ト絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、を備えてお
り、該第1及び第2のMOSトランジスタの少なくとも
一方は、該チャネル領域の中に、チャネル長方向に不均
一な不純物濃度分布を有し且つソース側の不純物濃度が
ドレイン側の不純物濃度よりも高くなるように形成され
た、該第1及び第2の領域のうちの対応する領域の導電
型と同じ導電型を有する非対称な不純物拡散領域をさら
に備えていて、該第1のソース領域の下に位置する該半
導体基板の部分の不純物濃度が該非対称な不純物拡散領
域のソース側の部分の不純物濃度よりも低い、非対称M
OSトランジスタであり、そのことによって上記目的が
達成される。
【0017】ある実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称MOSトランジスタであ
る。
【0018】他の実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第2のMO
Sトランジスタが前記非対称MOSトランジスタであ
る。
【0019】さらに他の実施形態では、前記第1導電型
がn型であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1
及び第2のMOSトランジスタのそれぞれが前記非対称
MOSトランジスタである。
【0020】本発明の相補型半導体回路は、前記半導体
基板と前記非対称MOSトランジスタのソースとの間に
動作中に電位差が生じるような回路に組み込まれ得る。
例えば、前記回路は、前記非対称MOSトランジスタと
同じ導電型の複数のMOSトランジスタが直列に接続さ
れた構成を含む。
【0021】ある実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を備えた
nチャネル型非対称MOSトランジスタであり、前記回
路は、前記半導体基板と該nチャネル型非対称MOSト
ランジスタのソースとの間に電位差が生じるような回路
である。
【0022】他の実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第2のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を備えた
pチャネル型非対称MOSトランジスタであり、前記回
路は、前記半導体基板と該pチャネル型非対称MOSト
ランジスタのソースとの間に電位差が生じるような回路
である。
【0023】さらに他の実施形態では、前記第1導電型
がn型であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1
のMOSトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を
備えたnチャネル型非対称MOSトランジスタであり、
前記第2のMOSトランジスタが該非対称な不純物拡散
領域を備えたpチャネル型非対称MOSトランジスタで
あり、前記回路は、前記半導体基板と該nチャネル型非
対称MOSトランジスタのソースとの間及び該半導体基
板と該pチャネル型非対称MOSトランジスタのソース
との間のそれぞれに電位差が生じるような回路である。
【0024】ある実施形態では、前記非対称なMOSト
ランジスタが、パンチスルーストップ層をさらに備えて
いる。
【0025】一方、本発明の他の局面によれば、第1導
電型の不純物がドープされた第1の領域と第2導電型の
不純物がドープされた第2の領域とを含み、且つ、主面
を有する半導体基板と、該第2の領域に設けられた第1
のMOSトランジスタと、該第1の領域に設けられた第
2のMOSトランジスタと、を備えた相補型半導体装置
の製造方法が提供される。該方法は、該第1及び第2の
領域を覆うように、第1の絶縁膜及び導電性膜をこの順
に該半導体基板の該主面上に形成する工程と、該第1の
絶縁膜及び該導電性膜をパターニングして、該第1及び
第2のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電
極を形成する工程と、該第2の領域を覆う第1のレジス
トを該半導体基板の該主面上に形成する工程と、該第1
のレジスト及び該第2のMOSトランジスタのゲート電
極をマスクとして用いて、該第1の領域に第2導電型の
不純物イオンを注入し、それによって、該第2のMOS
トランジスタの第2導電型のソース領域及びドレイン領
域を形成する工程と、該第1のレジストを除去する工程
と、該第1の領域を覆う第2のレジストを該半導体基板
の該主面上に形成する工程と、該第2のレジスト及び該
第1のMOSトランジスタのゲート電極をマスクとして
用いて、該第2の領域に第1導電型の不純物イオンを注
入し、それによって、該第1のMOSトランジスタの第
1導電型のソース領域及びドレイン領域を形成する工程
と、該第2のレジスト及び該第1のMOSトランジスタ
のゲート電極をマスクとして用いて、該第2の領域に第
2導電型の不純物イオンをソース側から斜めに注入し、
それによって、該第1のMOSトランジスタの第1導電
型の該ソース領域及びドレイン領域の間に、非対称な不
純物濃度プロファイルを有する非対称な不純物拡散領域
を形成する工程と、を包含しており、そのことによって
上記目的が達成される。
【0026】ある実施形態では、前記第1のMOSトラ
ンジスタのソース領域及び前記半導体基板の前記主面に
接し、該ソース領域よりも浅い接合深さを有するソース
領域の延長部と、該第1のMOSトランジスタのドレイ
ン領域及び該半導体基板の該主面に接し、該ドレイン領
域よりも浅い接合深さを有するドレイン領域の延長部
と、を形成する工程をさらに包含する。前記第1のMO
Sトランジスタにおいて、前記非対称な不純物拡散領域
は、前記ドレイン領域の延長部の端部に達するように形
成され得る。
【0027】ある実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を有する
nチャネル型MOSトランジスタである。
【0028】他の実施形態では、前記第1導電型がp型
であり、前記第2導電型がn型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を有する
pチャネル型MOSトランジスタである。
【0029】本発明の相補型半導体装置の製造方法は、
前記半導体基板と前記非対称な不純物拡散領域を有する
前記第1のMOSトランジスタのソースとの間に動作中
に電位差が生じるような回路を構成する工程を、さらに
包含し得る。例えば、前記回路は、前記第1のMOSト
ランジスタと同じ導電型の複数のMOSトランジスタが
直列に接続された構成を含む。
【0030】ある実施形態では、前記第2のMOSトラ
ンジスタの第2導電型の前記ソース領域及びドレイン領
域を形成する工程と前記第1のレジストを除去する工程
との間に、該第1のレジスト及び該第2のMOSトラン
ジスタの前記ゲート電極をマスクとして用いて、前記第
1の領域に第1導電型の不純物イオンをソース側から斜
めに注入し、それによって、該第2のMOSトランジス
タの第2導電型の該ソース領域及びドレイン領域の間
に、非対称な不純物濃度プロファイルを有する非対称な
不純物拡散領域を形成する工程をさらに包含する。
【0031】ある実施形態では、前記第2のMOSトラ
ンジスタのソース領域及び前記半導体基板の前記主面に
接し、該ソース領域よりも浅い接合深さを有するソース
領域の延長部と、該第2のMOSトランジスタのドレイ
ン領域及び該半導体基板の該主面に接し、該ドレイン領
域よりも浅い接合深さを有するドレイン領域の延長部
と、を形成する工程をさらに包含する。前記第2のMO
Sトランジスタにおいて、前記非対称な不純物拡散領域
は、前記ドレイン領域の延長部の端部に達するように形
成され得る。
【0032】ある実施形態では、前記第1導電型がn型
であり、前記第2導電型がp型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を有する
nチャネル型MOSトランジスタである。
【0033】他の実施形態では、前記第1導電型がp型
であり、前記第2導電型がn型であり、前記第1のMO
Sトランジスタが前記非対称な不純物拡散領域を有する
pチャネル型MOSトランジスタである。
【0034】本発明の相補型半導体装置の製造方法は、
前記半導体基板と前記非対称な不純物拡散領域を有する
前記第1のMOSトランジスタのソースとの間、及び、
該半導体基板と該非対称な不純物拡散領域を有する前記
第2のMOSトランジスタのソースとの間、のそれぞれ
に、動作中に電位差が生じるような回路を構成する工程
を、さらに包含し得る。例えば、前記回路は、前記第1
のMOSトランジスタと同じ導電型の複数のMOSトラ
ンジスタが直列に接続された構成、及び前記第2のMO
Sトランジスタと同じ導電型の複数のMOSトランジス
タが直列に接続された構成をそれぞれ含む。
【0035】
【発明の実施の形態】本明細書では、半導体装置のチャ
ネル領域のうち、ソース拡散層に隣接する位置からチャ
ネル領域の中央までの部分を、「チャネル領域のソース
側部分」と呼ぶ。一方、チャネル領域のうち、ドレイン
拡散層に隣接する位置からチャネル領域の中央までの部
分を、「チャネル領域のドレイン側部分」と呼ぶ。
【0036】本発明の半導体装置においては、チャネル
領域に形成された不純物拡散層の存在のために、チャネ
ル領域の不純物濃度が、チャネル長方向に沿って変化し
ている。より詳細には、チャネル領域の不純物は、ソー
ス拡散層からドレイン拡散層に向かってその濃度が低下
するように分布している。このため、ソース拡散層とド
レイン拡散層との間の領域に電圧が印加されると、チャ
ネル領域のソース側部分に形成される電界は、チャネル
領域の不純物濃度がチャネル長方向に沿って均一な場合
に比較して高くなる。
【0037】チャネル領域のソース側部分の電界をこの
ように高くすることによって、チャネル領域のソース側
部分で、キャリアが速度オーバーシュートを起こす。
「速度オーバーシュート」とは、不純物散乱や格子散乱
などによってキャリアの速度にいくらかの損失が生じる
前に、キャリアが電界から高いエネルギーを得て非平衡
なエネルギー状態に達して、飽和速度(すなわち平衡状
態の速度)よりも高い速度でキャリアが輸送される状態
を言う。飽和電流値は、チャネル領域のソース側部分で
のキャリア速度とキャリア密度とを一緒に掛け合わせて
得られる積で決まる。また、キャリア速度は、チャネル
領域に印加される電圧差に依存する。
【0038】本発明では、チャネル領域のソース側部分
において速度オーバーシュートを引き起こすことによ
り、飽和電流値が、従来の半導体装置で得られるものよ
りも高く設定され得る。従来の半導体装置では、そのよ
うな速度オーバーシュートがチャネル領域のドレイン側
部分でのみ生じていたために、速度オーバーシュート
は、飽和電流の増加に寄与していなかった。
【0039】以上のような本発明の効果を、図8を参照
して簡単にさらに説明する。
【0040】図8(a)は、本発明によって得られる半
導体装置の構成を模式的に示す図である。本発明の半導
体装置では、延長部を有するソース領域(S)及びドレ
イン領域(D)の間のチャネル領域の上に、ゲート
(G)が設けられている。さらに、チャネル領域には、
ソース領域(S)からドレイン領域(D)に向かって、
非対称な不純物プロファイルを有する非対称な拡散層
(A)が設けられている。
【0041】図8(b)は、ソース/ドレイン間に電圧
を印加した場合のソース/ドレイン間の電位分布を模式
的に示す図である。非対称な拡散層(A)を有する本発
明の半導体装置では、そのような非対称な拡散層が無い
従来の半導体装置における電位分布(点線)に比べて、
実線で示すように特にソース側で電位を大きくすること
ができる。
【0042】図8(c)は、ソース/ドレイン間に電界
分布(図8(b)に示す電位分布曲線の微分として表さ
れる)を模式的に示す図である。非対称な拡散層(A)
を有する本発明の半導体装置(実線)では、図8(b)
を参照して説明した電位分布の変化を反映して、非対称
な拡散層が無い従来の半導体装置(点線)に比べて、電
界がソース側で大きくなりドレイン側で小さくなる。こ
のような電界分布によって、図8(d)に模式的に示す
ように、本発明の半導体装置のチャネル内を走行する電
子の速度(実線)は、従来の結果(点線)に比べてソー
ス近傍で大きくなり、結果的に半導体装置の電流駆動力
が向上することになる。なお、図8(c)及び(d)に
も示されているように、本発明によれば、ドレイン近傍
での電界強度が従来技術の結果よりもやや低下し、その
結果として、ドレイン近傍では電子速度がやや減少す
る。しかし、図8(e)に模式的に示す電界強度と電子
速度との関係からもわかるように、一般に電界強度があ
る程度以上に大きくなると、フォノン散乱などの影響で
電子速度が飽和する。従って、もともと大きな電界強度
が得られているドレイン近傍での電界強度の減少は、実
際には電子速度に大きな悪影響は及ぼさない。むしろ、
従来技術では比較的小さな電界強度しか得られていなか
ったソース近傍での電界強度の改善が電子速度に与える
好ましい影響のほうが、より顕著である。
【0043】以下に、添付の図面を参照しながら、本発
明の半導体装置及びその製造方法の好適な実施形態を説
明する。なお、以下では、まず、本発明を単体のMOS
型半導体装置及びその製造方法に適用した場合の実施形
態を述べ、続いて、本発明を相補型半導体装置及びその
製造方法に適用した場合の実施形態を説明する。さら
に、本発明の相補型半導体装置の効果が特に顕著に得ら
れる回路の実施形態を、その後に説明する。
【0044】(第1の実施形態)図2(a)及び(b)
はそれぞれ、本発明の第1の実施形態の半導体装置10
0を示す断面図である。
【0045】本半導体装置100は、図2(a)或いは
(b)に示されるように、p型半導体基板1と、半導体
基板1の主面領域に形成された第1のn型高濃度ソース
拡散層2及び第1のn型高濃度ドレイン拡散層3と、半
導体基板1の内部に形成され、ソース拡散層2とドレイ
ン拡散層3との間に位置するチャネル領域と、を備えて
いる。チャネル領域の上にはゲート絶縁膜4が設けら
れ、ゲート絶縁膜4の上にはゲート電極5が設けられて
いる。
【0046】第1のソース/ドレイン拡散層2及び3の
それぞれの先端からチャネル方向に向かって、第2のn
型高濃度ソース拡散層7及び第2のn型高濃度ドレイン
拡散層8が設けられている。第1のソース/ドレイン拡
散層2及び3の不純物濃度が例えば約3×1020cm-3
であるのに対して、第2のソース/ドレイン拡散層7及
び8の不純物濃度は、例えば約1×1020cm-3であ
る。従って、第2のソース/ドレイン拡散層7及び8
は、一般のLDD構造を形成するものではなく、第1の
ソース/ドレイン拡散層2及び3の延長部(extensio
n)に相当するものである。
【0047】また、チャネル領域内には、p型不純物拡
散層6が形成されている。p型不純物拡散層6におい
て、不純物濃度プロファイルは、チャネル長方向に沿っ
て不均一である。本実施形態では、ソース拡散層2に隣
接する部分の不純物濃度(例えば約4×1017cm-3
がドレイン拡散層3に近い部分の不純物濃度(例えば約
1×1016cm-3)よりも高くなるように、チャネル領
域の不純物濃度が設定されている。p型不純物拡散領域
6は、少なくとも、図2(a)に示すようにソース拡散
層2からドレイン拡散層3に向かってチャネル領域に形
成する。或いは、図2(b)に示すように、第2のドレ
イン拡散層8の下に位置する箇所にも存在するように、
p型不純物拡散領域6を設けてもよい。この場合には、
p型不純物拡散領域6のうちで第2のドレイン拡散層8
の下に位置する部分は、パンチスルーストップ層として
機能する。
【0048】図2(a)或いは(b)に示す半導体装置
100の構造では、ソース拡散層2及び7とドレイン拡
散層3及び8とは、半導体基板1の主面に垂直な平面に
関して対称になるように位置しているが、チャネル領域
内の不純物プロファイルは、その平面に関して非対称に
なっている。この非対称なプロファイルは、p型不純物
拡散層6によって形成されている。以下では、p型不純
物拡散層6を「非対称な拡散層6」とも称する。
【0049】また、図2(a)或いは(b)には示して
いないが、ゲート電極5の側壁に沿ってゲート側壁(サ
イドウォールスペーサ)を形成してもよい(例えば、図
3(c)を参照)。
【0050】本実施形態の半導体装置100では、p型
不純物拡散層(非対称な拡散層)6は、ソース拡散層2
の全体を覆うようには形成されない。そのため、ソース
拡散層2の直下における半導体基板1の不純物濃度は、
例えば約1×1017cm-3であり、先に述べたp型不純
物拡散層6のソース側の不純物濃度(例えば約4×10
17cm-3)よりも低く維持されている。また、上記のソ
ース拡散層2の直下の半導体基板1の不純物濃度は、従
来のLDC構造におけるソース拡散層の直下の半導体基
板の不純物濃度(1×1018cm-3以上)よりも低い。
このため、図2(a)或いは(b)に示される半導体装
置100のソースと基板との間のpn接合の容量は、L
DC構造を持つ従来の半導体装置よりも小さい。
【0051】一般に、半導体装置の速度は負荷容量と電
流の逆数とを一緒に掛け合わせて得られる積に比例す
る。従って、本実施形態の半導体装置100がソースと
基板との間の領域に電圧が印加されるNAND型CMO
S回路に適用される場合でも、装置の速度(回路全体と
しての速度)は低下されない。また、半導体装置の消費
電力は負荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け合わせ
て得られる積に比例する。従って、本実施形態の半導体
装置100は、低消費電力で動作する。
【0052】さらに、半導体装置100では、先述のよ
うにp型不純物拡散層6の不純物プロファイルがチャネ
ル長方向に不均一になっていて、チャネル領域のソース
側の不純物濃度は、ドレイン側の不純物濃度よりも高く
形成されている。その結果、不純物がチャネル領域に均
一に分布している場合に比べて、チャネル領域内でチャ
ネル長方向に生成される電界成分は、ソース側では増加
するがドレイン側では減少する。MOS型半導体装置の
飽和電流はソース側の電界に支配されるので、本発明に
よれば、飽和電流を増加させて、高速の半導体装置を実
現することができる。また、ホットキャリアの発生レー
トはドレイン側の電界に支配されるので、本発明によれ
ば、ホットキャリアの発生レートを低減して、高信頼性
の半導体装置を実現することができる。
【0053】また、p型不純物拡散層6の不純物濃度が
ソース側からドレイン側に向かって徐々に減少している
ことから、チャネル領域内でチャネル長方向に生成され
る電界成分の大きさが、ソース近傍に比べてチャネル中
央で減少することがない。この結果、ソース近傍の電界
によって加速されたキャリアは、その速度を減少させる
ことなくチャネル内部を走行することができる。
【0054】加えて、第2のn型ソース/ドレイン拡散
層7及び8は、その不純物濃度が1×1019cm-3以上
であり、且つこれらの拡散層7及び8の厚さ(接合深さ
D2)が、第1のn型ソース拡散層2及び第1のn型ド
レイン拡散層3の厚さ(接合深さD1)よりも小さくな
るように、形成されている。このため、ソース/ドレイ
ン拡散層からチャネル長方向へのポテンシャル曲線の広
がり(空乏層の拡がり)が効果的に抑制され、クォータ
ミクロン以下のオーダのサイズを有する領域で問題とな
る初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が抑制される。
【0055】なお、第2のn型ソース拡散層7の不純物
濃度を第2のn型ドレイン拡散層8の不純物濃度よりも
高く形成すれば、高い駆動能力が実現されて、寄生抵抗
による駆動能力の低下を招くことなく短チャネル効果に
対する高い耐性を有する半導体装置が実現され得る。
【0056】以上に説明した構造を有する本実施形態の
半導体装置100において、チャネルのソース側からド
レイン側に向かって延びるp型不純物拡散層(非対称な
拡散層)6は、チャネルの途中までで終わるように形成
してもよい。或いは、チャネルのドレイン側の端部(例
えば、第2のn型ドレイン拡散層8の端部)にまで達す
るように非対称な拡散層6を形成すれば、チャネル内部
でのキャリア速度の減少を抑制する上で、より効果的で
ある。
【0057】このように、本実施形態によれば、高速で
且つ高信頼性の半導体装置100が実現される。
【0058】(第2の実施形態)図3(a)〜(c)
は、本発明の第2の実施形態に従って半導体装置200
を製造するための各プロセスステップを示す断面図であ
る。
【0059】まず、図3(a)に示すように、第1導電
型(p型)の半導体基板1の一主面にゲート酸化膜4を
形成し、その上にゲート電極5として用いられる導電性
膜を堆積し、多層膜を形成する。この多層膜の所定の部
分を、フォトリソグラフィ及び異方性エッチングにより
ゲート酸化膜4が露出するまで選択的にエッチングし、
ゲート電極5を形成する。
【0060】次に、第2導電型(n型)の不純物イオ
ン、例えばヒ素(As)イオンを、ゲート電極5をマス
クとして用い、注入角度を7度以上、例えば7度に設定
して、10KeVの注入エネルギーを印加しながら約2
×1014cm-2の注入ドーズ量で、ソース側から注入す
る。それにより、第2導電型(n型)を有する第2のソ
ース/ドレイン拡散層7及び8を形成する。なお、本願
明細書では、「注入角度」とは、半導体基板の主面に垂
直な線と注入されるイオンビームの方向との間に形成さ
れる角度を指すものとする。
【0061】その後に、図3(b)に示すように、ゲー
ト電極5をマスクとして用い、80KeVの注入エネル
ギーを印加しながら、注入ドーズ量を約1.5×1013
cm-2に設定し、注入角度を7度以上、例えば7度に設
定して、第1導電型(p型)の不純物イオン、例えばB
2イオンをソース側から注入して、閾値電位を制御す
るためのp型不純物拡散層(非対称な拡散層)6を形成
する。上記の条件下では、形成されるp型不純物拡散層
6の不純物濃度は、ソース端で約4×1017cm-3にな
り、ドレイン端では約1×1016cm-3になる。
【0062】次に、図3(c)において、酸化膜を約8
0nmの厚さに堆積した後、異方性ドライエッチングに
より、酸化膜がゲート電極5の側部のみに残るように酸
化膜を部分的に除去し、ゲート側壁(サイドウォールス
ペーサ)12を形成する。そして、40KeVの注入エ
ネルギーを印加しながら、注入ドーズ量を約6×1015
cm-2に設定して、第2導電型(n型)の不純物イオ
ン、例えばAsイオンをゲート側壁12及びゲート電極
5をマスクとして使用して注入し、第2導電型(n型)
を有する第1のソース/ドレイン拡散層2及び3を形成
する。上記の条件下では、形成される第1のソース/ド
レイン拡散層2及び3の不純物濃度は、約3×1020
-3になる。
【0063】先に形成されていたp型不純物拡散層6の
うちでゲート電極5及びゲート側壁12の下部に相当す
る箇所は、第1のソース/ドレイン拡散層2及び3の形
成のためのイオン注入工程後にも、残存する。また、同
様に、先に形成されていた第2のソース/ドレイン拡散
層7及び8のうちでゲート側壁12の下部に相当する箇
所も、このイオン注入工程後に残存して、ソース/ドレ
イン拡散層の延長部として機能することになる。p型不
純物拡散層6のうちで第2のドレイン拡散層8(ドレイ
ン拡散層の延長部の下)に位置する部分は、パンチスル
ーストップ層として機能することになる。但し、パンチ
スルーストップ層の形成は、省略してもよい。また、ゲ
ート側壁12の形成を省略して、各拡散層の所定の形状
を他の方法によって形成してもよい。
【0064】本実施形態の半導体装置200の製造方法
では、ゲート電極5をマスクとして用いて注入角度を7
度以上に設定して第1導電型(p型)のイオン種をソー
ス側から注入することによって、閾値電位を制御するp
型不純物拡散層(非対称な拡散層)6を形成する。その
結果、チャネル内で不均一な不純物プロファイルを有し
ており、ソース側の不純物濃度がドレイン側の不純物濃
度よりも高い非対称な拡散層6を、余分なマスク工程を
行うことなく容易に形成することができる。さらに、チ
ャネル中央部での不純物濃度をソース近傍における不純
物濃度よりも低く形成することで、均一な不純物濃度を
有する拡散層を備えた従来の半導体装置に比べて、ゲー
ト/基板間の寄生容量値が小さくなって、高い駆動能力
を有する半導体装置200を容易に形成することが可能
になる。
【0065】さらに、上記のイオン注入工程で、7度以
上の角度で第1導電型(p型)のイオン種を注入するこ
とによって、非対称な拡散層6の厚さ(接合深さ)を、
第1のソース拡散層2の厚さ(接合深さ)よりも小さく
設定することができる。具体的には、非対称な拡散層6
は、ソース拡散層2の全体を覆うようには形成されな
い。その結果、第1のソース拡散層2の直下部の半導体
基板1の領域の不純物濃度が、非対称な拡散層6のソー
ス側の不純物濃度よりも低くなる。
【0066】また、本実施形態の製造方法によれば、非
対称な拡散層6の形成に先立って、ゲート電極5をマス
クとして用い、10KeVの注入エネルギーを印加しな
がら、注入ドーズ量を約2×1014cm-2に設定し、注
入角度を7度以上に設定して、ソース側からn型の不純
物イオン、例えばAsイオンを注入するイオン注入工程
を行うことによって、延長部に相当する第2のn型ソー
ス/ドレイン拡散層7及び8が形成される。この第2の
n型ソース/ドレイン拡散層7及び8の不純物濃度は、
1×1019cm-3以上になる。
【0067】なお、特に、第2のn型ソース拡散層7の
不純物濃度を第2のn型ドレイン拡散層8の不純物濃度
よりも高くすれば、浅い接合深さを有する拡散層で懸念
される寄生抵抗の低下を招くことなく、十分に低い抵抗
を有する第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び8を
形成することができる。
【0068】本実施形態の半導体装置200の製造方法
によると、従来のLDC構造を製造する方法で必要であ
る付加的なマスク工程を行う必要はない。現時点で利用
可能な半導体装置の製造方法において付加的なマスク工
程が要求されれば、VLSIの製造期間を長期化し、そ
の製造コストを増大させる。しかしながら本発明の製造
方法によると、短期間により低いコストで、半導体装置
を容易に製造することができる。
【0069】本実施形態では、ゲート電極5をマスクと
して用いてn型不純物イオンを注入することによって第
2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び8を形成した後
に、p型不純物イオンを注入することによってp型不純
物拡散層6を形成する。しかしながら、本発明はこれに
限定されるものではない。或いは、ゲート電極5をマス
クとして用いてp型不純物イオンを注入することによっ
てp型不純物拡散層6を形成した後に、n型不純物イオ
ンを注入することによって第2のn型ソース/ドレイン
拡散層7及び8を形成してもよい。
【0070】以上に説明した本実施形態の半導体装置2
00の製造方法において、チャネルのソース側からドレ
イン側に向かって延びるp型不純物拡散層(非対称な拡
散層)6は、チャネルの途中までで終わるように形成し
てもよい。或いは、チャネルのドレイン側の端部(例え
ば、第2のn型ドレイン拡散層8の端部)にまで達する
ように非対称な拡散層6を形成すれば、チャネル内部で
のキャリア速度の減少を抑制する上で、より効果的であ
る。
【0071】(第3の実施形態)図4は、本発明の第3
の実施形態の相補型半導体装置300を示す断面図であ
る。
【0072】本半導体装置300は、図4に示されるよ
うに、p型半導体基板1の所定の領域に形成されたnチ
ャネル型MOSトランジスタ310と、p型半導体基板
1の中のn型ウェル21に形成されたpチャネル型MO
Sトランジスタ320と、を含んでおり、両者は分離領
域20によって分離されている。
【0073】nチャネル型MOSトランジスタ310
は、p型半導体基板1の主面領域に形成された第1のn
型高濃度ソース拡散層2及び第1のn型高濃度ドレイン
拡散層3と、半導体基板1の内部に形成され、ソース拡
散層2とドレイン拡散層3との間に位置するチャネル領
域と、を備えている。チャネル領域の上にはゲート絶縁
膜4が設けられ、ゲート絶縁膜4の上にはn型ゲート電
極15が設けられている。
【0074】第1のソース/ドレイン拡散層2及び3の
それぞれの先端からチャネル方向に向かって、第2のn
型高濃度ソース拡散層7及び第2のn型高濃度ドレイン
拡散層8が設けられている。第1のソース/ドレイン拡
散層2及び3の不純物濃度が例えば約3×1020cm-3
であるのに対して、第2のソース/ドレイン拡散層7及
び8の不純物濃度は、例えば約1×1020cm-3であ
る。従って、第2のソース/ドレイン拡散層7及び8
は、一般のLDD構造を形成するものではなく、第1の
ソース/ドレイン拡散層2及び3の延長部(extensio
n)に相当するものである。
【0075】また、チャネル領域内には、p型不純物拡
散層(非対称な拡散層)6が形成されている。p型不純
物拡散層6において、不純物濃度プロファイルは、チャ
ネル長方向に沿って不均一である。本実施形態では、ソ
ース拡散層2に隣接する部分の不純物濃度(例えば約4
×1017cm-3)がドレイン拡散層3に近い部分の不純
物濃度(例えば約1×1016cm-3)よりも高くなるよ
うに、チャネル領域の不純物濃度が設定されている。p
型不純物拡散領域6は、少なくとも、ソース拡散層2か
らドレイン拡散層3に向かってチャネル領域に形成す
る。或いは、図4に示すように、第2のドレイン拡散層
8の下に位置する箇所にも存在するように、p型不純物
拡散領域6を設けてもよい。この場合には、p型不純物
拡散領域6のうちで第2のドレイン拡散層8の下に位置
する部分は、パンチスルーストップ層として機能する。
【0076】図4に示される上記のnチャネル型MOS
トランジスタ310の構造では、ソース拡散層2及び7
とドレイン拡散層3及び8とは、半導体基板1の主面に
垂直な平面に関して対称になるように位置しているが、
チャネル領域内の不純物プロファイルは、その平面に関
して非対称になっている。この非対称なプロファイル
は、p型不純物拡散層(非対称な拡散層)6によって形
成されている。
【0077】一方、pチャネル型MOSトランジスタ3
20は、n型ウェル21の主面領域に形成された第1の
p型高濃度ソース拡散層22及び第1のp型高濃度ドレ
イン拡散層23と、n型ウェル21の内部に形成され、
ソース拡散層22とドレイン拡散層23との間に位置す
るチャネル領域と、を備えている。チャネル領域の上に
はゲート絶縁膜4が設けられ、ゲート絶縁膜4の上には
p型ゲート電極25が設けられている。
【0078】第1のソース/ドレイン拡散層22及び2
3のそれぞれの先端からチャネル方向に向かって、第2
のp型高濃度ソース拡散層27及び第2のp型高濃度ド
レイン拡散層28が設けられている。第1のソース/ド
レイン拡散層22及び23の不純物濃度が例えば約3×
1020cm-3であるのに対して、第2のソース/ドレイ
ン拡散層27及び28の不純物濃度は、例えば約5×1
19cm-3である。従って、第2のソース/ドレイン拡
散層27及び28は、一般のLDD構造を形成するもの
ではなく、第1のソース/ドレイン拡散層22及び23
の延長部(extension)に相当するものである。
【0079】図4に示される上記のpチャネル型MOS
トランジスタ320の構造では、ソース拡散層22及び
27とドレイン拡散層23及び28とは、半導体基板1
(n型ウェル21)の主面に垂直な平面に関して対称に
なるように位置しており、チャネル領域内の不純物プロ
ファイルは、その平面に関して対称になっている。
【0080】さらに、図4には示していないが、nチャ
ネル型及びpチャネル型MOSトランジスタ310及び
320のそれぞれにおいて、ゲート電極15及び25の
側壁に沿ってゲート側壁(サイドウォールスペーサ)を
形成してもよい(例えば、図6(d)を参照)。
【0081】以上のように、本実施形態の相補型半導体
装置300では、pチャネル型MOSトランジスタ32
0のチャネル領域内の不純物プロファイルが均一である
のに対して、nチャネル型MOSトランジスタ310で
は、チャネル領域内の不純物プロファイルが不均一であ
る。
【0082】nチャネル型MOSトランジスタ310で
は、p型不純物拡散層(非対称な拡散層)6は、ソース
拡散層2の全体を覆うようには形成されない。そのため
に、ソース拡散層2の直下における半導体基板1の不純
物濃度は、例えば約1×1017cm-3であり、先に述べ
たp型不純物拡散層6のソース側の不純物濃度(例えば
約4×1017cm-3)よりも低く維持されている。ま
た、上記のソース拡散層2の直下の半導体基板1の不純
物濃度は、従来のLDC構造におけるソース拡散層の直
下の半導体基板の不純物濃度(1×1018cm-3以上)
よりも低い。このため、図4に示されるnチャネル型M
OSトランジスタ310のソースと基板との間のpn接
合の容量は、LDC構造を持つ従来の半導体装置よりも
小さい。
【0083】一般に、半導体装置の速度は負荷容量と電
流の逆数とを一緒に掛け合わせて得られる積に比例す
る。従って、本実施形態の相補型半導体装置300がソ
ースと基板との間の領域に電圧が印加されるNAND型
CMOS回路に適用される場合でも、装置の速度(回路
全体の速度)は低下されない。また、半導体装置の消費
電力は負荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け合わせ
て得られる積に比例する。従って、本実施形態の相補型
半導体装置300は、低消費電力で動作する。
【0084】さらに、nチャネル型MOSトランジスタ
310では、先述のようにp型不純物拡散層6の不純物
プロファイルがチャネル長方向に不均一になっていて、
チャネル領域のソース側の不純物濃度は、ドレイン側の
不純物濃度よりも高く形成されている。その結果、不純
物がチャネル領域に均一に分布している場合に比べて、
チャネル領域内でチャネル長方向に生成される電界成分
は、ソース側では増加するがドレイン側では減少する。
MOS型半導体装置の飽和電流はソース側の電界に支配
されるので、本発明によれば、飽和電流を増加させて、
高速の半導体装置を実現することができる。また、ホッ
トキャリアの発生レートはドレイン側の電界に支配され
るので、本発明によれば、ホットキャリアの発生レート
を低減して、高信頼性の半導体装置を実現することがで
きる。
【0085】また、p型不純物拡散層6の不純物濃度が
ソース側からドレイン側に向かって徐々に減少している
ことから、チャネル領域内でチャネル長方向に生成され
る電界成分の大きさが、ソース近傍に比べてチャネル中
央で減少することがない。この結果、ソース近傍の電界
によって加速されたキャリアは、その速度を減少させる
ことなくチャネル内部を走行することができる。
【0086】さらに、nチャネル型MOSトランジスタ
310において、第2のn型ソース/ドレイン拡散層7
及び8は、その不純物濃度が1×1019cm-3以上であ
り、且つこれらの拡散層7及び8の厚さ(接合深さD
2)が、第1のn型ソース拡散層2及び第1のn型ドレ
イン拡散層3の厚さ(接合深さD1)よりも小さくなる
ように、形成されている。このため、n型ソース/ドレ
イン拡散層からチャネル長方向へのポテンシャル曲線の
広がり(空乏層の拡がり)が効果的に抑制され、クォー
タミクロン以下のオーダのサイズを有する領域で問題と
なる初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が抑制される。
【0087】同様に、pチャネル型MOSトランジスタ
320において、第2のp型ソース/ドレイン拡散層2
7及び28は、その不純物濃度が1×1019cm-3以上
であり、且つこれらの拡散層27及び28の厚さ(接合
深さD2)が、第1のp型ソース拡散層22及び第1の
p型ドレイン拡散層23の厚さ(接合深さD1)よりも
小さくなるように、形成されている。このため、p型ソ
ース/ドレイン拡散層からチャネル長方向へのポテンシ
ャル曲線の広がり(空乏層の拡がり)が効果的に抑制さ
れ、クォータミクロン以下のオーダのサイズを有する領
域で問題となる初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が抑
制される。
【0088】以上に説明した構造を有する本実施形態の
相補型半導体装置300において、チャネルのソース側
からドレイン側に向かって延びるp型不純物拡散層(非
対称な拡散層)6は、チャネルの途中までで終わるよう
に形成してもよい。或いは、チャネルのドレイン側の端
部(例えば、第2のn型ドレイン拡散層8の端部)にま
で達するように非対称な拡散層6を形成すれば、チャネ
ル内部での電界の減少を抑制する上で、より効果的であ
る。
【0089】このように、本実施形態によれば、高速で
且つ高信頼性の相補型半導体装置300が実現される。
【0090】なお、以上に説明した本実施形態の相補型
半導体装置300では、nチャネル型MOSトランジス
タ310のみを非対称に形成し、pチャネル型MOSト
ランジスタ320は対称に形成している。或いは、pチ
ャネル型MOSトランジスタのみを非対称に形成し、n
チャネル型MOSトランジスタは対称に形成してもよ
い。
【0091】(第4の実施形態)図5は、本発明の第4
の実施形態の相補型半導体装置400を示す断面図であ
る。
【0092】本半導体装置400は、図5に示されるよ
うに、p型半導体基板1の所定の領域に形成されたnチ
ャネル型MOSトランジスタ410と、p型半導体基板
1の中のn型ウェル21に形成されたpチャネル型MO
Sトランジスタ430と、を含んでおり、両者は分離領
域20によって分離されている。
【0093】nチャネル型MOSトランジスタ410
は、p型半導体基板1の主面領域に形成された第1のn
型高濃度ソース拡散層2及び第1のn型高濃度ドレイン
拡散層3と、半導体基板1の内部に形成され、ソース拡
散層2とドレイン拡散層3との間に位置するチャネル領
域と、を備えている。チャネル領域の上にはゲート絶縁
膜4が設けられ、ゲート絶縁膜4の上にはn型ゲート電
極15が設けられている。
【0094】第1のソース/ドレイン拡散層2及び3の
それぞれの先端からチャネル方向に向かって、第2のn
型高濃度ソース拡散層7及び第2のn型高濃度ドレイン
拡散層8が設けられている。第1のソース/ドレイン拡
散層2及び3の不純物濃度が例えば約3×1020cm-3
であるのに対して、第2のソース/ドレイン拡散層7及
び8の不純物濃度は、例えば約1×1020cm-3であ
る。従って、第2のソース/ドレイン拡散層7及び8
は、一般のLDD構造を形成するものではなく、第1の
ソース/ドレイン拡散層2及び3の延長部(extensio
n)に相当するものである。
【0095】また、チャネル領域内には、p型不純物拡
散層(非対称な拡散層)6が形成されている。p型不純
物拡散層6において、不純物濃度プロファイルは、チャ
ネル長方向に沿って不均一である。本実施形態では、ソ
ース拡散層2に隣接する部分の不純物濃度(例えば約4
×1017cm-3)がドレイン拡散層3に近い部分の不純
物濃度(例えば約1×1016cm-3)よりも高くなるよ
うに、チャネル領域の不純物濃度が設定されている。p
型不純物拡散領域6は、少なくとも、ソース拡散層2か
らドレイン拡散層3に向かってチャネル領域に形成す
る。或いは、図5に示すように、第2のドレイン拡散層
8の下に位置する箇所にも存在するように、p型不純物
拡散領域6を設けてもよい。この場合には、p型不純物
拡散領域6のうちで第2のドレイン拡散層8の下に位置
する部分は、パンチスルーストップ層として機能する。
【0096】図5に示される上記のnチャネル型MOS
トランジスタ410の構造では、ソース拡散層2及び7
とドレイン拡散層3及び8とは、半導体基板1の主面に
垂直な平面に関して対称になるように位置しているが、
チャネル領域内の不純物プロファイルは、その平面に関
して非対称になっている。この非対称なプロファイル
は、p型不純物拡散層6(非対称な拡散層)によって形
成されている。
【0097】一方、pチャネル型MOSトランジスタ4
30は、n型ウェル21の主面領域に形成された第1の
p型高濃度ソース拡散層22及び第1のp型高濃度ドレ
イン拡散層23と、n型ウェル21の内部に形成され、
ソース拡散層22とドレイン拡散層23との間に位置す
るチャネル領域と、を備えている。チャネル領域の上に
はゲート絶縁膜4が設けられ、ゲート絶縁膜4の上には
p型ゲート電極25が設けられている。
【0098】第1のソース/ドレイン拡散層22及び2
3のそれぞれの先端からチャネル方向に向かって、第2
のp型高濃度ソース拡散層27及び第2のp型高濃度ド
レイン拡散層28が設けられている。第1のソース/ド
レイン拡散層22及び23の不純物濃度が例えば約3×
1020cm-3であるのに対して、第2のソース/ドレイ
ン拡散層27及び28の不純物濃度は、例えば約5×1
19cm-3である。従って、第2のソース/ドレイン拡
散層27及び28は、一般のLDD構造を形成するもの
ではなく、第1のソース/ドレイン拡散層22及び23
の延長部(extension)に相当するものである。
【0099】また、チャネル領域内には、n型不純物拡
散層(非対称な拡散層)26が形成されている。n型不
純物拡散層26において、不純物濃度プロファイルは、
チャネル長方向に沿って不均一である。本実施形態で
は、ソース拡散層22に隣接する部分の不純物濃度(例
えば約7×1017cm-3)がドレイン拡散層23に近い
部分の不純物濃度(例えば約2×1016cm-3)よりも
高くなるように、チャネル領域の不純物濃度が設定され
ている。n型不純物拡散領域26は、少なくとも、ソー
ス拡散層22からドレイン拡散層23に向かってチャネ
ル領域に形成する。或いは、図5に示すように、第2の
ドレイン拡散層28の下に位置する箇所にも存在するよ
うに、n型不純物拡散領域26を設けてもよい。この場
合には、n型不純物拡散領域26のうちで第2のドレイ
ン拡散層28の下に位置する部分は、パンチスルースト
ップ層として機能する。
【0100】図5に示される上記のpチャネル型MOS
トランジスタ430の構造では、ソース拡散層22及び
27とドレイン拡散層23及び28とは、半導体基板1
(n型ウェル21)の主面に垂直な平面に関して対称に
なるように位置しているが、チャネル領域内の不純物プ
ロファイルは、その平面に関して非対称になっている。
この非対称なプロファイルは、n型不純物拡散層(非対
称な拡散層)26によって形成されている。
【0101】さらに、図5には示していないが、nチャ
ネル型及びpチャネル型MOSトランジスタ410及び
430のそれぞれにおいて、ゲート電極15及び25の
側壁に沿ってゲート側壁(サイドウォールスペーサ)を
形成してもよい(例えば、図7(d)を参照)。
【0102】以上のように、本実施形態の相補型半導体
装置400では、nチャネル型MOSトランジスタ41
0及びpチャネル型MOSトランジスタ430のそれぞ
れにおいて、チャネル領域内の不純物プロファイルが不
均一である。このうち、pチャネル型MOSトランジス
タに関しては、従来は、ゲート幅を大きくすることによ
って駆動能力の向上が図られてきている。しかし、本発
明をpチャネル型MOSトランジスタにも適用して、図
5に示すような不均一なチャネル内不純物プロファイル
を設けることによって、上記目的でのゲート幅の拡大が
不要になって、装置の小型化を図ることが可能になる。
【0103】nチャネル型MOSトランジスタ410で
は、p型不純物拡散層(非対称な拡散層)6は、ソース
拡散層2の全体を覆うようには形成されない。そのため
に、ソース拡散層2の直下における半導体基板1の不純
物濃度は、例えば約1×1017cm-3であり、先に述べ
たp型不純物拡散層6のソース側の不純物濃度(例えば
約4×1017cm-3)よりも低く維持されている。ま
た、上記のソース拡散層2の直下の半導体基板1の不純
物濃度は、従来のLDC構造におけるソース拡散層の直
下の半導体基板の不純物濃度(1×1018cm-3以上)
よりも低い。このため、図5に示されるnチャネル型M
OSトランジスタ410のソースと基板との間のpn接
合の容量は、LDC構造を持つ従来の半導体装置よりも
小さい。
【0104】一般に、半導体装置の速度は負荷容量と電
流の逆数とを一緒に掛け合わせて得られる積に比例す
る。従って、本実施形態の相補型半導体装置400がソ
ースと基板との間の領域に電圧が印加されるNAND型
CMOS回路に適用される場合でも、装置の速度(回路
全体としての速度)は低下されない。また、半導体装置
の消費電力は負荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け
合わせて得られる積に比例する。従って、本実施形態の
相補型半導体装置400は、低消費電力で動作する。
【0105】さらに、nチャネル型MOSトランジスタ
410では、先述のようにp型不純物拡散層6の不純物
プロファイルがチャネル長方向に不均一になっていて、
チャネル領域のソース側の不純物濃度は、ドレイン側の
不純物濃度よりも高く形成されている。その結果、不純
物がチャネル領域に均一に分布している場合に比べて、
チャネル領域内でチャネル長方向に生成される電界成分
は、ソース側では増加するがドレイン側では減少する。
MOS型半導体装置の飽和電流はソース側の電界に支配
されるので、本発明によれば、飽和電流を増加させて、
高速の半導体装置を実現することができる。また、ホッ
トキャリアの発生レートはドレイン側の電界に支配され
るので、本発明によれば、ホットキャリアの発生レート
を低減して、高信頼性の半導体装置を実現することがで
きる。
【0106】また、p型不純物拡散層6の不純物濃度が
ソース側からドレイン側に向かって徐々に減少している
ことから、チャネル領域内でチャネル長方向に生成され
る電界成分の大きさが、ソース近傍に比べてチャネル中
央で減少することがない。この結果、ソース近傍の電界
によって加速されたキャリアは、その速度を減少させる
ことなくチャネル内部を走行することができる。
【0107】nチャネル型MOSトランジスタ410に
おいて、第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び8
は、その不純物濃度が1×1019cm-3以上であり、且
つこれらの拡散層7及び8の厚さ(接合深さD2)が、
第1のn型ソース拡散層2及び第1のn型ドレイン拡散
層3の厚さ(接合深さD1)よりも小さくなるように、
形成されている。このため、n型ソース/ドレイン拡散
層からチャネル長方向へのポテンシャル曲線の広がり
(空乏層の拡がり)が効果的に抑制され、クォータミク
ロン以下のオーダのサイズを有する領域で問題となる初
期特性の閾値ポテンシャルの劣化が抑制される。
【0108】一方、pチャネル型MOSトランジスタ4
30において、n型不純物拡散層(非対称な拡散層)2
6は、ソース拡散層22の全体を覆うようには形成され
ない。そのため、ソース拡散層22の直下におけるn型
ウェル21の不純物濃度は、例えば約1×1017cm-3
であり、先に述べたn型不純物拡散層26のソース側の
不純物濃度(例えば約7×1017cm-3)よりも低く維
持されている。また、上記のソース拡散層22の直下の
n型ウェル21の不純物濃度は、従来のLDC構造にお
けるソース拡散層の直下の半導体基板の不純物濃度(1
×1018cm-3以上)よりも低い。このため、図5に示
されるpチャネル型MOSトランジスタ430のソース
とウェルとの間のpn接合の容量は、LDC構造を持つ
従来の半導体装置よりも小さい。
【0109】一般に、半導体装置の速度は負荷容量と電
流の逆数とを一緒に掛け合わせて得られる積に比例す
る。従って、本実施形態の相補型半導体装置400がソ
ースとウェル(基板)との間の領域に電圧が印加される
NAND型CMOS回路に適用される場合でも、装置の
速度は低下されない。また、半導体装置の消費電力は負
荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け合わせて得られ
る積に比例する。従って、本実施形態の相補型半導体装
置400は、低消費電力で動作する。
【0110】さらに、pチャネル型MOSトランジスタ
430では、先述のようにn型不純物拡散層26の不純
物プロファイルがチャネル長方向に不均一になってい
て、チャネル領域のソース側の不純物濃度は、ドレイン
側の不純物濃度よりも高く形成されている。その結果、
不純物がチャネル領域に均一に分布している場合に比べ
て、チャネル領域内でチャネル長方向に生成される電界
成分は、ソース側では増加するがドレイン側では減少す
る。MOS型半導体装置の飽和電流はソース側の電界に
支配されるので、本発明によれば、飽和電流を増加させ
て、高速の半導体装置を実現することができる。また、
ホットキャリアの発生レートはドレイン側の電界に支配
されるので、本発明によれば、ホットキャリアの発生レ
ートを低減して、高信頼性の半導体装置を実現すること
ができる。
【0111】また、n型不純物拡散層26の不純物濃度
がソース側からドレイン側に向かって徐々に減少してい
ることから、チャネル領域内でチャネル長方向に生成さ
れる電界成分の大きさが、ソース近傍に比べてチャネル
中央で減少することがない。この結果、ソース近傍の電
界によって加速されたキャリアは、その速度を減少させ
ることなくチャネル内部を走行することができる。
【0112】pチャネル型MOSトランジスタ430の
第2のp型ソース/ドレイン拡散層27及び28は、そ
の不純物濃度が1×1019cm-3以上であり、且つこれ
らの拡散層27及び28の厚さ(接合深さD2)が、第
1のp型ソース拡散層22及び第1のp型ドレイン拡散
層23の厚さ(接合深さD1)よりも小さくなるよう
に、形成されている。このため、p型ソース/ドレイン
拡散層からチャネル長方向へのポテンシャル曲線の広が
り(空乏層の拡がり)が効果的に抑制され、クォータミ
クロン以下のオーダのサイズを有する領域で問題となる
初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が抑制される。
【0113】以上に説明した構造を有する本実施形態の
相補型半導体装置400において、チャネルのソース側
からドレイン側に向かって延びるp型或いはn型の不純
物拡散層(非対称な拡散層)6或いは26は、チャネル
の途中までで終わるように形成してもよい。或いは、チ
ャネルのドレイン側の端部(例えば、第2のn型或いは
p型ドレイン拡散層8或いは28の端部)にまで達する
ように非対称な拡散層6或いは26を形成すれば、チャ
ネル内部での電界の減少を抑制する上で、より効果的で
ある。
【0114】このように、本実施形態によれば、高速で
且つ高信頼性の相補型半導体装置400が実現される。
【0115】(第5の実施の形態)図6(a)〜(d)
は、本発明の第5の実施形態に従って相補型半導体装置
を製造するための各プロセスステップを示す断面図であ
る。
【0116】まず、半導体基板に設けられたp型ウェル
11及びn型ウェル21を覆うように、トランジスタの
ゲート絶縁膜4となる第1の絶縁膜を、半導体基板の一
主面に形成する。さらに、その上に、nチャネル型MO
Sトランジスタのn型ゲート電極15及びpチャネル型
MOSトランジスタのp型ゲート電極25として用いら
れる導電性膜を堆積する。次に、この導電性膜の所定の
部分を、フォトリソグラフィ及び異方性エッチングによ
りゲート酸化膜4が露出するまで選択的にエッチング
し、ゲート電極15及び25を形成する。
【0117】続いて、図6(a)に示すように、nチャ
ネル型MOSトランジスタの形成領域であるp型ウェル
(p型領域)11を覆う第1のレジスト31を、半導体
基板の主面上に堆積する。そして、p型不純物イオン、
例えばBF2イオンを、第1のレジスト31及びp型ゲ
ート電極25をマスクとして用い、10KeVの注入エ
ネルギーを印加しながら約2×1014cm-2の注入ドー
ズ量で、n型ウェル21に注入する。それにより、第2
のp型ソース拡散層27及び第2のp型ドレイン拡散層
28を形成する。上記の条件下では、形成される第2の
ソース/ドレイン拡散層27及び28の不純物濃度は、
約5×1019cm-3になる。
【0118】次に、第1のレジスト31を除去した後
に、図6(b)に示すように、pチャネル型MOSトラ
ンジスタの形成領域であるn型ウェル(n型領域)21
を覆う第2のレジスト32を、半導体基板の主面上に堆
積する。そして、n型不純物イオン、例えばAsイオン
を、第2のレジスト32及びn型ゲート電極15をマス
クとして用いて、10KeVの注入エネルギーを印加し
ながら約2×1014cm-2の注入ドーズ量で、p型ウェ
ル11に注入する。それにより、第2のn型ソース拡散
層7及び第2のn型ドレイン拡散層8を形成する(この
Asイオンの注入工程は、図6(b)には図示していな
い)。上記の条件下では、形成される第2のソース/ド
レイン拡散層7及び8の不純物濃度は、約1×1020
-3になる。
【0119】さらに、第2のレジスト32及びn型ゲー
ト電極15をマスクとして用い、80KeVの注入エネ
ルギーを印加しながら、注入ドーズ量を約1.5×10
13cm-2に設定し、注入角度を7度以上、例えば7度に
設定して、p型不純物イオン、例えばBF2イオンをソ
ース側からp型ウェル11に注入して、図6(b)に示
すような閾値電位を制御するためのp型不純物拡散層
(非対称な拡散層)6を形成する。上記の条件下では、
形成されるp型不純物拡散層6の不純物濃度は、ソース
端で約4×1017cm-3になり、ドレイン端で約1×1
16cm-3になる。
【0120】次に、第2のレジスト32を除去した後
に、半導体基板の主面上に酸化膜を約80nmの厚さに
堆積する。そして、異方性ドライエッチングにより、酸
化膜がゲート電極15及び25の側部のみに残るように
酸化膜を部分的に除去し、ゲート側壁(サイドウォール
スペーサ)12を形成する。
【0121】次に、図6(c)に示すように、pチャネ
ル型MOSトランジスタの形成領域であるn型ウェル
(n型領域)21を覆う第3のレジスト33を、半導体
基板の主面上に堆積する。そして、n型不純物イオン、
例えばAsイオンを、第3のレジスト33、n型ゲート
電極15及びゲート側壁12をマスクとして用い、40
KeVの注入エネルギーを印加しながら約6×1015
-2の注入ドーズ量で、p型ウェル11に注入する。そ
れにより、第1のn型ソース拡散層2及び第1のn型ド
レイン拡散層3を形成する。上記の条件下では、形成さ
れる第1のn型ソース/ドレイン拡散層2及び3の不純
物濃度は、約3×1020cm-3になる。
【0122】先に形成されていたp型不純物拡散層6の
うちでn型ゲート電極15及びゲート側壁12の下部に
相当する箇所は、第1のn型ソース/ドレイン拡散層2
及び3の形成のためのイオン注入工程後にも、残存す
る。また、同様に、先に形成されていた第2のn型ソー
ス/ドレイン拡散層7及び8のうちでゲート側壁12の
下部に相当する箇所も、このイオン注入工程後に残存し
て、n型ソース/ドレイン拡散層の延長部として機能す
ることになる。p型不純物拡散層6のうちで第2のドレ
イン拡散層8(ドレイン拡散層の延長部の下)に位置す
る部分は、パンチスルーストップ層として機能すること
になる。但し、パンチスルーストップ層の形成は、省略
してもよい。また、ゲート側壁12の形成を省略して、
各拡散層の所定の形状を他の方法によって形成してもよ
い。
【0123】次に、第3のレジスト33を除去した後
に、図6(d)に示すように、nチャネル型MOSトラ
ンジスタの形成領域であるp型ウェル(p型領域)11
を覆う第4のレジスト34を、半導体基板の主面上に堆
積する。そして、p型不純物イオン、例えばBF2イオ
ンを、第4のレジスト34、p型ゲート電極25及びゲ
ート側壁12をマスクとして用い、30KeVの注入エ
ネルギーを印加しながら約2×1015cm-2の注入ドー
ズ量で、n型ウェル21に注入する。それにより、第1
のp型ソース拡散層22及び第1のp型ドレイン拡散層
23を形成する。上記の条件下では、形成される第1の
p型ソース/ドレイン拡散層22及び23の不純物濃度
は、約3×1020cm-3になる。
【0124】先に形成されていた第2のp型ソース/ド
レイン拡散層27及び28のうちでゲート側壁12の下
部に相当する箇所は、第1のp型ソース/ドレイン拡散
層22及び23の形成のためのイオン注入工程後にも残
存して、p型ソース/ドレイン拡散層の延長部として機
能することになる。但し、ゲート側壁12の形成を省略
して、各拡散層の所定の形状を他の方法によって形成し
てもよい。
【0125】本実施形態の半導体装置の製造方法では、
図6(b)に示すステップにおいて、n型ゲート電極1
5をマスクとして用いて注入角度を7度以上に設定して
p型のイオン種をソース側から注入することによって、
閾値電位を制御するp型不純物拡散層(非対称な拡散
層)6を形成する。その結果、チャネル内で不均一な不
純物プロファイルを有しており、ソース側の不純物濃度
がドレイン側の不純物濃度よりも高い非対称な拡散層6
を、余分なマスク工程を行うことなく容易に形成するこ
とができる。さらに、チャネル中央部での不純物濃度を
ソース近傍における不純物濃度よりも低く形成すること
で、均一な不純物濃度を有する拡散層を備えた従来の半
導体装置に比べて、ゲート/基板間の寄生容量値が小さ
くなって、高い駆動能力を有する半導体装置を容易に形
成することが可能になる。
【0126】さらに、上記のイオン注入工程で、7度以
上の角度でp型イオン種を注入することによって、非対
称な拡散層6の厚さ(接合深さ)を、第1のn型ソース
拡散層2の厚さ(接合深さ)よりも小さく設定すること
ができる。具体的には、非対称な拡散層6は、ソース拡
散層2の全体を覆うようには形成されない。その結果、
第1のn型ソース拡散層2の直下部のp型ウェル11の
領域の不純物濃度が、非対称な拡散層6のソース側の不
純物濃度よりも低くなる。
【0127】また、本実施形態の製造方法によれば、非
対称な拡散層6の形成に先立って、第1のレジスト31
及びp型ゲート電極25をマスクとして用い、10Ke
Vの注入エネルギーを印加しながら、注入ドーズ量を約
2×1014cm-2に設定し、p型の不純物イオン、例え
ばBF2イオンをn型ウェル21に注入するイオン注入
工程を行うことによって、延長部に相当する第2のp型
ソース/ドレイン拡散層27及び28が形成される。さ
らに、第2のレジスト32及びn型ゲート電極15をマ
スクとして用い、10KeVの注入エネルギーを印加し
ながら、注入ドーズ量を約2×1014cm-2に設定し、
n型の不純物イオン、例えばAsイオンをp型ウェル1
1に注入するイオン注入工程を行うことによって、延長
部に相当する第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び
8が形成される。
【0128】このようにして形成された第2のn型ソー
ス/ドレイン拡散層7及び8は、その不純物濃度が1×
1019cm-3以上であり、且つこれらの拡散層7及び8
の厚さ(接合深さD2)が、第1のn型ソース拡散層2
及び第1のn型ドレイン拡散層3の厚さ(接合深さD
1)よりも小さくなる。同様に、第2のp型ソース/ド
レイン拡散層27及び28は、その不純物濃度が1×1
19cm-3以上であり、且つこれらの拡散層27及び2
8の厚さ(接合深さD2)が、第1のp型ソース拡散層
22及び第1のp型ドレイン拡散層23の厚さ(接合深
さD1)よりも小さくなる。このため、n型或いはp型
ソース/ドレイン拡散層からチャネル長方向へのポテン
シャル曲線の広がり(空乏層の拡がり)が効果的に抑制
され、クォータミクロン以下のオーダのサイズを有する
領域で問題となる初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が
抑制される。
【0129】さらに、第2のn型ソース/ドレイン拡散
層7及び8ならびに第2のp型ソース/ドレイン拡散層
27及び28の不純物濃度が1×1019cm-3以上に形
成されているので、浅い接合深さを有する拡散層で懸念
される寄生抵抗の低下を招くことなく、十分に低い抵抗
を有するソース/ドレイン拡散層を形成することができ
る。
【0130】本実施形態の半導体装置の製造方法による
と、従来のLDC構造を製造する方法で必要である付加
的なマスク工程を行う必要はない。現時点で利用可能な
半導体装置の製造方法において付加的なマスク工程が要
求されれば、VLSIの製造期間を長期化し、その製造
コストを増大させる。しかしながら本発明の製造方法に
よると、短期間により低いコストで、半導体装置を容易
に製造することができる。
【0131】以上の説明で、図6(b)に示すステップ
を、図6(a)に示すステップに先立って実施してもよ
い。同様に、図6(d)に示すステップを、図6(c)
に示すステップに先立って実施してもよい。
【0132】さらに、本実施形態では、n型ゲート電極
15をマスクとして用いてn型不純物イオンを注入する
ことによって第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び
8を形成した後に、p型不純物イオンを注入することに
よってp型不純物拡散層6を形成する。しかしながら、
本発明はこれに限定されるものではない。或いは、n型
ゲート電極15をマスクとして用いてp型不純物イオン
を注入することによってp型不純物拡散層6を形成した
後に、n型不純物イオンを注入することによって第2の
n型ソース/ドレイン拡散層7及び8を形成してもよ
い。
【0133】以上に説明した本実施形態の相補型半導体
装置の製造方法において、チャネルのソース側からドレ
イン側に向かって延びるp型不純物拡散層(非対称な拡
散層)6は、チャネルの途中までで終わるように形成し
てもよい。或いは、チャネルのドレイン側の端部(例え
ば、第2のn型ドレイン拡散層8の端部)にまで達する
ように非対称な拡散層6を形成すれば、チャネル内部で
の電界の減少を抑制する上で、より効果的である。
【0134】なお、以上に説明した本実施形態の相補型
半導体装置の製造方法では、nチャネル型MOSトラン
ジスタのみを非対称に形成し、pチャネル型MOSトラ
ンジスタは対称に形成している。或いは、pチャネル型
MOSトランジスタのみを非対称に形成し、nチャネル
型MOSトランジスタは対称に形成してもよい。
【0135】(第6の実施の形態)図7(a)〜(d)
は、本発明の第6の実施形態に従って相補型半導体装置
を製造するための各プロセスステップを示す断面図であ
る。
【0136】まず、半導体基板に設けられたp型ウェル
11及びn型ウェル21を覆うように、トランジスタの
ゲート絶縁膜4となる第1の絶縁膜を、半導体基板の一
主面に形成する。さらに、その上に、nチャネル型MO
Sトランジスタのn型ゲート電極15及びpチャネル型
MOSトランジスタのp型ゲート電極25として用いら
れる導電性膜を堆積する。次に、この導電性膜の所定の
部分を、フォトリソグラフィ及び異方性エッチングによ
りゲート酸化膜4が露出するまで選択的にエッチング
し、ゲート電極15及び25を形成する。
【0137】続いて、図7(a)に示すように、nチャ
ネル型MOSトランジスタの形成領域であるp型ウェル
(p型領域)11を覆う第1のレジスト31を、半導体
基板の主面上に堆積する。そして、p型不純物イオン、
例えばBF2イオンを、第1のレジスト31及びp型ゲ
ート電極25をマスクとして用い、10KeVの注入エ
ネルギーを印加しながら約2×1014cm-2の注入ドー
ズ量で、n型ウェル21に注入する。それにより、第2
のp型ソース拡散層27及び第2のp型ドレイン拡散層
28を形成する(このBF2イオンの注入工程は、図7
(a)には図示していない)。上記の条件下では、形成
される第2のp型ソース/ドレイン拡散層27及び28
の不純物濃度は、約5×1019cm-3になる。
【0138】さらに、第1のレジスト31及びp型ゲー
ト電極25をマスクとして用いて、140KeVの注入
エネルギーを印加しながら、注入ドーズ量を約5.0×
1013cm-2に設定し、注入角度を7度以上、例えば7
度に設定して、n型不純物イオン、例えばAsイオンを
ソース側からn型ウェル21に注入して、図7(a)に
示すような閾値電位を制御するためのn型不純物拡散層
(非対称な拡散層)26を形成する。上記の条件下で
は、形成されるn型不純物拡散層26の不純物濃度は、
ソース端では約7×1017cm-3になり、ドレイン端で
は約2×1016cm-3になる。
【0139】次に、第1のレジスト31を除去した後
に、図7(b)に示すように、pチャネル型MOSトラ
ンジスタの形成領域であるn型ウェル(n型領域)21
を覆う第2のレジスト32を、半導体基板の主面上に堆
積する。そして、n型不純物イオン、例えばAsイオン
を、第2のレジスト32及びn型ゲート電極15をマス
クとして用いて、10KeVの注入エネルギーを印加し
ながら約2×1014cm-2の注入ドーズ量で、p型ウェ
ル11に注入する。それにより、第2のn型ソース拡散
層7及び第2のn型ドレイン拡散層8を形成する(この
Asイオンの注入工程は、図7(b)には図示していな
い)。上記の条件下では、形成される第2のn型ソース
/ドレイン拡散層7及び8の不純物濃度は、約1×10
20cm-3になる。
【0140】さらに、第2のレジスト32及びn型ゲー
ト電極15をマスクとして用い、80KeVの注入エネ
ルギーを印加しながら、注入ドーズ量を約1.5×10
13cm-2に設定し、注入角度を7度以上、例えば7度に
設定して、p型不純物イオン、例えばBF2イオンをソ
ース側からp型ウェル11に注入して、図7(b)に示
すような閾値電位を制御するためのp型不純物拡散層
(非対称な拡散層)6を形成する。上記の条件下では、
形成されるp型不純物拡散層6の不純物濃度は、ソース
端で約4×1017cm-3になり、ドレイン端で約1×1
16cm-3になる。
【0141】次に、第2のレジスト32を除去した後
に、半導体基板の主面上に酸化膜を約80nmの厚さに
堆積する。そして、異方性ドライエッチングにより、酸
化膜がゲート電極15及び25の側部のみに残るように
酸化膜を部分的に除去し、ゲート側壁(サイドウォール
スペーサ)12を形成する。
【0142】次に、図7(c)に示すように、pチャネ
ル型MOSトランジスタの形成領域であるn型ウェル
(n型領域)21を覆う第3のレジスト33を、半導体
基板の主面上に堆積する。そして、n型不純物イオン、
例えばAsイオンを、第3のレジスト33、n型ゲート
電極15及びゲート側壁12をマスクとして用い、40
KeVの注入エネルギーを印加しながら約6×1015
-2の注入ドーズ量で、p型ウェル11に注入する。そ
れにより、第1のn型ソース拡散層2及び第1のn型ド
レイン拡散層3を形成する。上記の条件下では、形成さ
れる第1のn型ソース/ドレイン拡散層2及び3の不純
物濃度は、約3×1020cm-3になる。
【0143】先に形成されていたp型不純物拡散層6の
うちでn型ゲート電極15及びゲート側壁12の下部に
相当する箇所は、第1のn型ソース/ドレイン拡散層2
及び3の形成のためのイオン注入工程後にも、残存す
る。また、同様に、先に形成されていた第2のn型ソー
ス/ドレイン拡散層7及び8のうちでゲート側壁12の
下部に相当する箇所も、このイオン注入工程後に残存し
て、n型ソース/ドレイン拡散層の延長部として機能す
ることになる。p型不純物拡散層6のうちで第2のドレ
イン拡散層8(ドレイン拡散層の延長部の下)に位置す
る部分は、パンチスルーストップ層として機能すること
になる。但し、パンチスルーストップ層の形成は、省略
してもよい。また、ゲート側壁12の形成を省略して、
各拡散層の所定の形状を他の方法によって形成してもよ
い。
【0144】次に、第3のレジスト33を除去した後
に、図7(d)に示すように、nチャネル型MOSトラ
ンジスタの形成領域であるp型ウェル(p型領域)11
を覆う第4のレジスト34を、半導体基板の主面上に堆
積する。そして、p型不純物イオン、例えばBF2イオ
ンを、第4のレジスト34、p型ゲート電極25及びゲ
ート側壁12をマスクとして用い、30KeVの注入エ
ネルギーを印加しながら約2×1015cm-2の注入ドー
ズ量で、n型ウェル21に注入する。それによ.り、第
1のp型ソース拡散層22及び第1のp型ドレイン拡散
層23を形成する。上記の条件下では、形成される第1
のp型ソース/ドレイン拡散層22及び23の不純物濃
度は、約3×1020cm-3になる。
【0145】先に形成されていたn型不純物拡散層26
のうちでp型ゲート電極25及びゲート側壁12の下部
に相当する箇所は、第1のp型ソース/ドレイン拡散層
22及び23の形成のためのイオン注入工程後にも、残
存する。また、同様に、先に形成されていた第2のp型
ソース/ドレイン拡散層27及び28のうちでゲート側
壁12の下部に相当する箇所も、このイオン注入工程後
に残存して、p型ソース/ドレイン拡散層の延長部とし
て機能することになる。n型不純物拡散層26のうちで
第2のドレイン拡散層28(ドレイン拡散層の延長部の
下)に位置する部分は、パンチスルーストップ層として
機能することになる。但し、パンチスルーストップ層の
形成は、省略してもよい。また、ゲート側壁12の形成
を省略して、各拡散層の所定の形状を他の方法によって
形成してもよい。
【0146】本実施形態の半導体装置の製造方法では、
図7(a)に示すステップにおいて、p型ゲート電極2
5をマスクとして用いて注入角度を7度以上に設定して
n型のイオン種をソース側から注入することによって、
閾値電位を制御するn型不純物拡散層(非対称な拡散
層)26を形成する。その結果、チャネル内で不均一な
不純物プロファイルを有しており、ソース側の不純物濃
度がドレイン側の不純物濃度よりも高い非対称な拡散層
26を、余分なマスク工程を行うことなく容易に形成す
ることができる。さらに、チャネル中央部での不純物濃
度をソース近傍における不純物濃度よりも低く形成する
ことで、均一な不純物濃度を有する拡散層を備えた従来
の半導体装置に比べて、ゲート/基板間の寄生容量値が
小さくなって、高い駆動能力を有する半導体装置を容易
に形成することが可能になる。
【0147】さらに、上記のイオン注入工程で、7度以
上の角度でn型イオン種を注入することによって、非対
称な拡散層26の厚さ(接合深さ)を、第1のp型ソー
ス拡散層22の厚さ(接合深さ)よりも小さく設定する
ことができる。具体的には、非対称な拡散層26は、ソ
ース拡散層22の全体を覆うようには形成されない。そ
の結果、第1のp型ソース拡散層22の直下部のn型ウ
ェル21の領域の不純物濃度が、非対称なn型拡散層2
6のソース側の不純物濃度よりも低くなる。
【0148】図7(b)に示すステップにて形成される
非対称なp型不純物拡散層6に関しても、非対称な拡散
層26に関して上記で説明したものと同様な効果が得ら
れる。
【0149】また、本実施形態の製造方法によれば、非
対称なn型拡散層26の形成に先立って、第1のレジス
ト31及びp型ゲート電極25をマスクとして用い、1
0KeVの注入エネルギーを印加しながら、注入ドーズ
量を約2×1014cm-2に設定し、p型の不純物イオ
ン、例えばBF2イオンをn型ウェル21に注入するイ
オン注入工程を行うことによって、延長部に相当する第
2のp型ソース/ドレイン拡散層27及び28が形成さ
れる。さらに、非対称なp型拡散層6の形成に先立っ
て、第2のレジスト32及びn型ゲート電極15をマス
クとして用い、10KeVの注入エネルギーを印加しな
がら、注入ドーズ量を約2×1014cm-2に設定し、n
型の不純物イオン、例えばAsイオンをp型ウェル11
に注入するイオン注入工程を行うことによって、延長部
に相当する第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び8
が形成される。
【0150】このようにして形成された第2のn型ソー
ス/ドレイン拡散層7及び8は、その不純物濃度が1×
1019cm-3以上であり、且つこれらの拡散層7及び8
の厚さ(接合深さD2)が、第1のn型ソース拡散層2
及び第1のn型ドレイン拡散層3の厚さ(接合深さD
1)よりも小さくなる。同様に、第2のp型ソース/ド
レイン拡散層27及び28は、その不純物濃度が1×1
19cm-3以上であり、且つこれらの拡散層27及び2
8の厚さ(接合深さD2)が、第1のp型ソース拡散層
22及び第1のp型ドレイン拡散層23の厚さ(接合深
さD1)よりも小さくなる。このため、n型或いはp型
ソース/ドレイン拡散層からチャネル長方向へのポテン
シャル曲線の広がり(空乏層の拡がり)が効果的に抑制
され、クォータミクロン以下のオーダのサイズを有する
領域で問題となる初期特性の閾値ポテンシャルの劣化が
抑制される。
【0151】さらに、第2のn型ソース/ドレイン拡散
層7及び8ならびに第2のp型ソース/ドレイン拡散層
27及び28の不純物濃度が1×1019cm-3以上に形
成されているので、浅い接合深さを有する拡散層で懸念
される寄生抵抗の低下を招くことなく、十分に低い抵抗
を有するソース/ドレイン拡散層を形成することができ
る。
【0152】本実施形態の半導体装置の製造方法による
と、従来のLDC構造を製造する方法で必要である付加
的なマスク工程を行う必要はない。現時点で利用可能な
半導体装置の製造方法において付加的なマスク工程が要
求されれば、VLSIの製造期間を長期化し、その製造
コストを増大させる。しかしながら本発明の製造方法に
よると、短期間により低いコストで、半導体装置を容易
に製造することができる。
【0153】以上の説明で、図7(b)に示すステップ
を、図7(a)に示すステップに先立って実施してもよ
い。同様に、図7(d)に示すステップを、図7(c)
に示すステップに先立って実施してもよい。
【0154】さらに、本実施形態では、n型ゲート電極
15をマスクとして用いてn型不純物イオンを注入する
ことによって第2のn型ソース/ドレイン拡散層7及び
8を形成した後に、p型不純物イオンを注入することに
よってp型不純物拡散層6を形成する。しかしながら、
本発明はこれに限定されるものではない。或いは、n型
ゲート電極15をマスクとして用いてp型不純物イオン
を注入することによってp型不純物拡散層6を形成した
後に、n型不純物イオンを注入することによって第2の
n型ソース/ドレイン拡散層7及び8を形成してもよ
い。この点は、第2のp型ソース/ドレイン拡散層27
及び28の形成ステップとn型不純物拡散層26の形成
ステップとの実施順序に関しても、同様である。
【0155】以上に説明した本実施形態の相補型半導体
装置の製造方法において、チャネルのソース側からドレ
イン側に向かって延びるp型或いはn型の不純物拡散層
(非対称な拡散層)6或いは26は、チャネルの途中ま
でで終わるように形成してもよい。或いは、チャネルの
ドレイン側の端部(例えば、第2のn型或いはp型ドレ
イン拡散層8或いは28の端部)にまで達するように非
対称な拡散層6或いは26を形成すれば、チャネル内部
での電界の減少を抑制する上で、より効果的である。
【0156】(第7の実施の形態)以上の実施形態で説
明した本発明の相補型半導体装置において、nチャネル
型MOSトランジスタが非対称なチャネル内不純物プロ
ファイルを有するように構成されている場合には、回路
動作中にnチャネル型MOSトランジスタのソースと基
板との間に電位差が生じ得る様な構成を有する回路(例
えば、2つ以上のnチャネル型トランジスタが直列に接
続されている回路)に使用されると、特に顕著な効果を
発揮する。
【0157】図9は、上記のような回路の具体例として
の2入力NAND回路の構成を模式的に示す図である。
この2入力NAND回路は、2つの入力A及びBに対し
て、1つの出力Cを発生する。
【0158】2入力NAND回路においては、2つのn
チャネル型MOSトランジスタ710及び720が直列
に接続されている。回路に含まれるpチャネル型トラン
ジスタ730或いは740がONすると、電源電圧Vd
dは、直列接続された2つのnチャネル型MOSトラン
ジスタ710及び720に印加される。従って、一方の
nチャネル型MOSトランジスタ710或いは720に
実際に印加される電圧は、電源電圧の半分の値であるV
dd/2になる。このような印加電圧の低下によるnチ
ャネルMOSトランジスタの駆動力の低下を補うために
は、駆動能力の高いnチャネルMOSトランジスタを使
用する必要がある。そのために、非対称なチャネル内不
純物プロファイルを有する構成が有効である。
【0159】ところで、図9の2入力NAND回路の構
成で、nチャネル型MOSトランジスタ710のソース
は直接にGNDレベルに接続されていない。このため、
早いクロック周波数でON/OFF動作(電源電圧Vd
dレベルとGNDレベルとの間の切り替え)を繰り返す
と、次第にnチャネル型MOSトランジスタ710のソ
ースの電位が零ではなくなり、フローティング状態にな
る。このようにしてnチャネル型MOSトランジスタの
ソースと基板との間に電位差が生じると、ソース/基板
間のpn接合部分の接合容量Cjが、過渡現象を通じて
回路動作に影響を及ぼすようになる。特に、接合容量C
jが大きいと、回路動作に遅延が生じ得て、回路速度の
低下を招く。
【0160】ソース/基板間のpn接合部分の接合容量
Cjは、面積が大きいソース領域の底面部分に生じる容
量に、主に支配される。従来技術によって得られる非対
称なnチャネル型MOSトランジスタでは、ソース領域
の全体を囲むように非対称な拡散層(図1の高濃度不純
物拡散層6‘)が設けられるので、ソース/基板間のp
n接合部分の接合容量Cjが比較的大きく、従って、上
記のような回路動作への接合容量の悪影響が顕著に発生
し得る。それに対して本発明の構成では、非対称な拡散
層(例えば、図4及び図5の拡散層6)は、ソース領域
の全体を覆わないように、ソース領域の端部のみに設け
られる。この結果、形成される接合容量Cjが小さいの
で、回路速度の低下を招くことなく、印加電圧の低下に
よる駆動能力の低下という問題を十分に克服することが
できる。
【0161】(第8の実施の形態)本発明の相補型半導
体装置において、pチャネル型MOSトランジスタが非
対称なチャネル内不純物プロファイルを有するように構
成されている場合には、回路動作中にpチャネル型MO
Sトランジスタのソースと基板との間に電位差が生じ得
る様な構成を有する回路(例えば、2つ以上のpチャネ
ル型トランジスタが直列に接続されている回路)に使用
されると、特に顕著な効果を発揮する。
【0162】図10は、上記のような回路の具体例とし
ての2入力NOR回路の構成を模式的に示す図である。
この2入力NOR回路は、2つの入力A及びBに対し
て、1つの出力Cを発生する。
【0163】2入力NOR回路においては、2つのpチ
ャネル型MOSトランジスタ830及び840が直列に
接続されている。回路に含まれるnチャネル型トランジ
スタ810或いは820がONすると、電源電圧Vdd
は、直列接続された2つのpチャネル型MOSトランジ
スタ830及び840に印加される。従って、一方のp
チャネル型MOSトランジスタ830或いは840に実
際に印加される電圧は、電源電圧の半分の値であるVd
d/2になる。このような印加電圧の低下によるpチャ
ネルMOSトランジスタの駆動力の低下を補うために
は、駆動能力の高いpチャネルMOSトランジスタを使
用する必要がある。そのために、非対称なチャネル内不
純物プロファイルを有する構成が有効である。
【0164】ところで、図10の2入力NOR回路の構
成で、早いクロック周波数でON/OFF動作(電源電
圧VddレベルとGNDレベルとの間の切り替え)を繰
り返すと、pチャネル型MOSトランジスタ840のソ
ースの電位が次第に零ではなくなり、フローティング状
態になる。このようにしてpチャネル型MOSトランジ
スタのソースと基板との間に電位差が生じると、ソース
/基板間のpn接合部分の接合容量Cjが、過渡現象を
通じて回路動作に影響を及ぼすようになる。特に、接合
容量Cjが大きいと、回路動作に遅延が生じ得て、回路
速度の低下を招く。
【0165】ソース/基板間のpn接合部分の接合容量
Cjは、面積が大きいソース領域の底面部分に生じる容
量に、主に支配される。従来技術によって得られる非対
称なpチャネル型MOSトランジスタでは、ソース/基
板間のpn接合部分の接合容量Cjが比較的大きく、従
って、上記のような回路動作への接合容量の悪影響が顕
著に発生し得る。それに対して本発明の構成では、非対
称な拡散層(例えば、図5の拡散層26)は、ソース領
域の全体を覆わないように、ソース領域の端部のみに設
けられる。この結果、形成される接合容量Cjが小さい
ので、回路速度の低下を招くことなく、印加電圧の低下
による駆動能力の低下という問題を十分に克服すること
ができる。
【0166】なお、以上の第7及び第8の実施形態で
は、nチャネル型或いはpチャネル型MOSトランジス
タのいずれか一方のソースと半導体基板との間に電位差
が生じるような回路構成を例にとって説明しているが、
本発明の適用範囲はそれに限られるわけではない。nチ
ャネル型及びpチャネル型MOSトランジスタの両方に
おいてソースと半導体基板との間に電位差が生じるよう
な回路に関しては、nチャネル型及びpチャネル型MO
Sトランジスタの両方を、本発明に従って構成された非
対称な構成にすることによって、これまでに説明してき
た効果を得ることができる。
【0167】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、半導体
装置のチャネル領域内に、チャネル長方向に沿って非対
称な不純物プロファイルを有する非対称な拡散層が形成
されている。この非対称な拡散層の不純物濃度プロファ
イルは、ソース側の不純物濃度がドレイン側の不純物濃
度よりも高くなるように設定されている。さらに、ソー
ス拡散層の直下における半導体基板(或いはウェル)の
不純物濃度が、非対称な拡散層のソース側の不純物濃度
よりも低く維持されている。このため、本発明の半導体
装置では、ソースと基板との間のpn接合の容量が、L
DC構造を持つ従来の半導体装置よりも小さい。
【0168】一般に、半導体装置の速度は負荷容量と電
流の逆数とを一緒に掛け合わせて得られる積に比例す
る。従って、本発明の半導体装置がソースと基板との間
の領域に電圧が印加されるNAND型CMOS回路に適
用される場合でも、装置の速度(回路全体としての速
度)は低下されない。また、半導体装置の消費電力は負
荷容量と印加電圧の2乗とを一緒に掛け合わせて得られ
る積に比例する。従って、本発明によれば、低消費電力
で動作する半導体装置を得ることができる。
【0169】さらに本発明によれば、非対称な拡散層の
不純物プロファイルがチャネル長方向に不均一になって
いて、チャネル領域のソース側の不純物濃度は、ドレイ
ン側の不純物濃度よりも高く形成されている。その結
果、不純物がチャネル領域に均一に分布している場合に
比べて、チャネル領域内でチャネル長方向に生成される
電界成分は、ソース側では増加するがドレイン側では減
少する。MOS型半導体装置の飽和電流はソース側の電
界に支配されるので、本発明によれば、飽和電流を増加
させて、高速の半導体装置を実現することができる。ま
た、ホットキャリアの発生レートはドレイン側の電界に
支配されるので、本発明によれば、ホットキャリアの発
生レートを低減し、高信頼性の半導体装置を実現するこ
とができる。
【0170】また、非対称な拡散層の不純物濃度がソー
ス側からドレイン側に向かって徐々に減少していること
から、チャネル領域内でチャネル長方向に生成される電
界成分の大きさが、ソース近傍に比べてチャネル中央で
減少することがない。この結果、ソース近傍の電界によ
って加速されたキャリアは、その速度を減少させること
なくチャネル内部を走行することができる。
【0171】加えて、本発明によれば、ソース/ドレイ
ン拡散層の延長部が、その不純物濃度が1×1019cm
-3以上であり、且つこれらの延長部の厚さ(接合深さ)
が、ソース/ドレイン拡散層の本体部の厚さ(接合深
さ)よりも小さくなるように、形成されている。このた
め、ソース/ドレイン拡散層からチャネル長方向へのポ
テンシャル曲線の広がり(空乏層の拡がり)が効果的に
抑制され、クォータミクロン以下のオーダのサイズを有
する領域で問題となる初期特性の閾値ポテンシャルの劣
化が抑制される。
【0172】ソース拡散層の延長部の不純物濃度をドレ
イン拡散層の延長部の不純物濃度よりも高く形成すれ
ば、高い駆動能力が実現されて、寄生抵抗による駆動能
力の低下を招くことなく短チャネル効果に対する高い耐
性を有する半導体装置が実現され得る。
【0173】さらに、本発明の相補型半導体装置では、
非対称MOSトランジスタのソース/基板間のpn接合
部分に形成される接合容量が小さい。そのため、非対称
MOSトランジスタのソース/基板間に電位差が生じる
ような回路においても、回路速度の低下を招くことな
く、印加電圧の低下による駆動能力の低下という問題を
十分に克服することができる。
【0174】このように、本発明によれば、高速で且つ
高信頼性の半導体装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】LDC構造を有するMOS型半導体装置の構造
の一例を示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第1の
実施形態による半導体装置の構造を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に
従って半導体装置を製造するための各プロセスステップ
を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による相補型半導体装
置の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態による相補型半導体装
置の構造を示す断面図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明の第5の実施形態に
従って相補型半導体装置を製造するための各プロセスス
テップを示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の第6の実施形態に
従って相補型半導体装置を製造するための各プロセスス
テップを示す断面図である。
【図8】本発明の効果を説明するための図であって、
(a)は、本発明によって得られる半導体装置の構成を
模式的に示す図であり、(b)は、ソース/ドレイン間
に電圧を印加した場合のソース/ドレイン間の電位分布
を模式的に示す図であり、(c)は、ソース/ドレイン
間に電界分布を模式的に示す図であり、(d)は、チャ
ネル内を走行する電子の速度を模式的に示す図であり、
(e)は、電界強度と電子速度との関係を模式的に示す
図である。
【図9】2入力NAND回路の構成を模式的に示す図で
ある。
【図10】2入力NOR回路の構成を模式的に示す図で
ある。
【符号の説明】 1 p型半導体基板 2 第1のn型ソース拡散層 3 第1のn型ドレイン拡散層 4 ゲート酸化膜 5 ゲート電極 6 p型不純物拡散層(非対称な拡散層) 7 第2のn型ソース拡散層 8 第2のn型ドレイン拡散層 11 p型ウェル(p型領域) 12 ゲート側壁(サイドウォールスペーサ) 15 n型ゲート電極 20 分離領域 21 n型ウェル(n型領域) 22 第1のp型ソース拡散層 23 第1のp型ドレイン拡散層 25 n型ゲート電極 26 p型不純物拡散層(非対称な拡散層) 27 第2のp型ソース拡散層 28 第2のp型ドレイン拡散層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/8238 H01L 27/092 H01L 29/78

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の不純物がドープされた第1
    の領域と第2導電型の不純物がドープされた第2の領域
    とを含み、且つ、主面を有する半導体基板と、 該第2の領域に設けられた第1のMOSトランジスタ
    と、 該第1の領域に設けられた第2のMOSトランジスタ
    と、を備えた相補型半導体装置であって、該第1及び第
    2のMOSトランジスタのそれぞれは、 第1のソース領域と、 該第1のソース領域から一定距離だけ離れて位置する第
    1のドレイン領域と、 該第1のソース領域及び該半導体基板の該主面に接し、
    該第1のソース領域よりも浅い接合深さを有する第2の
    ソース領域と、 該第2のソース領域から一定距離だけ離れて位置し、該
    第1のドレイン領域及び該半導体基板の該主面に接し、
    該第1のドレイン領域よりも浅い接合深さを有する第2
    のドレイン領域と、 該第2のソース領域及び該第2のドレイン領域の間に位
    置するチャネル領域と、 該チャネル領域を覆うように該半導体基板の該主面の上
    に形成されたゲート絶縁膜と、 該ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、を備え
    ており、該第1及び第2のMOSトランジスタの少なく
    とも一方は、 該チャネル領域の中に、チャネル長方向に不均一な不純
    物濃度分布を有し且つソース側の不純物濃度がドレイン
    側の不純物濃度よりも高くなるように形成された、該第
    1及び第2の領域のうちの対応する領域の導電型と同じ
    導電型を有する非対称な不純物拡散領域をさらに備えて
    いて、該第1のソース領域の下に位置する該半導体基板
    の部分の不純物濃度が該非対称な不純物拡散領域のソー
    ス側の部分の不純物濃度よりも低い、非対称MOSトラ
    ンジスタである、相補型半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記第1導電型がn型であり、前記第2
    導電型がp型であり、前記第1のMOSトランジスタが
    前記非対称MOSトランジスタである、請求項1に記載
    の相補型半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記第1導電型がn型であり、前記第2
    導電型がp型であり、前記第2のMOSトランジスタが
    前記非対称MOSトランジスタである、請求項1に記載
    の相補型半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記第1導電型がn型であり、前記第2
    導電型がp型であり、前記第1及び第2のMOSトラン
    ジスタのそれぞれが前記非対称MOSトランジスタであ
    る、請求項1に記載の相補型半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記非対称なMOSトランジスタが、パ
    ンチスルーストップ層をさらに備えている、請求項1に
    記載の相補型半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記半導体基板と前記非対称MOSトラ
    ンジスタのソースとの間に動作中に電位差が生じるよう
    な回路に組み込まれている、請求項1に記載の相補型半
    導体装置。
  7. 【請求項7】 前記回路は、前記非対称MOSトランジ
    スタと同じ導電型の複数のMOSトランジスタが直列に
    接続された構成を含む、請求項6に記載の相補型半導体
    装置。
  8. 【請求項8】 前記第1導電型がn型であり、前記第2
    導電型がp型であり、前記第1のMOSトランジスタが
    前記非対称な不純物拡散領域を備えたnチャネル型非対
    称MOSトランジスタであり、 前記回路は、前記半導体基板と該nチャネル型非対称M
    OSトランジスタのソースとの間に電位差が生じるよう
    な回路である、請求項6に記載の相補型半導体装置。
  9. 【請求項9】 前記第1導電型がn型であり、前記第2
    導電型がp型であり、前記第2のMOSトランジスタが
    前記非対称な不純物拡散領域を備えたpチャネル型非対
    称MOSトランジスタであり、 前記回路は、前記半導体基板と該pチャネル型非対称M
    OSトランジスタのソースとの間に電位差が生じるよう
    な回路である、請求項6に記載の相補型半導体装置。
  10. 【請求項10】 前記第1導電型がn型であり、前記第
    2導電型がp型であり、前記第1のMOSトランジスタ
    が前記非対称な不純物拡散領域を備えたnチャネル型非
    対称MOSトランジスタであり、前記第2のMOSトラ
    ンジスタが該非対称な不純物拡散領域を備えたpチャネ
    ル型非対称MOSトランジスタであり、 前記回路は、前記半導体基板と該nチャネル型非対称M
    OSトランジスタのソースとの間及び該半導体基板と該
    pチャネル型非対称MOSトランジスタのソースとの間
    のそれぞれに電位差が生じるような回路である、請求項
    6に記載の相補型半導体装置。
  11. 【請求項11】 前記非対称なMOSトランジスタが、
    パンチスルーストップ層をさらに備えている、請求項6
    に記載の相補型半導体装置。
  12. 【請求項12】 第1導電型の不純物がドープされた第
    1の領域と第2導電型の不純物がドープされた第2の領
    域とを含み、且つ、主面を有する半導体基板と、該第2
    の領域に設けられた第1のMOSトランジスタと、該第
    1の領域に設けられた第2のMOSトランジスタと、を
    備えた相補型半導体装置の製造方法であって、該方法
    は、 該第1及び第2の領域を覆うように、第1の絶縁膜及び
    導電性膜をこの順に該半導体基板の該主面上に形成する
    工程と、 該第1の絶縁膜及び該導電性膜をパターニングして、該
    第1及び第2のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及び
    ゲート電極を形成する工程と、 該第2の領域を覆う第1のレジストを該半導体基板の該
    主面上に形成する工程と、 該第1のレジスト及び該第2のMOSトランジスタのゲ
    ート電極をマスクとして用いて、該第1の領域に第2導
    電型の不純物イオンを注入し、それによって、該第2の
    MOSトランジスタの第2導電型のソース領域及びドレ
    イン領域を形成する工程と、 該第1のレジストを除去する工程と、 該第1の領域を覆う第2のレジストを該半導体基板の該
    主面上に形成する工程と、 該第2のレジスト及び該第1のMOSトランジスタのゲ
    ート電極をマスクとして用いて、該第2の領域に第1導
    電型の不純物イオンを注入し、それによって、該第1の
    MOSトランジスタの第1導電型のソース領域及びドレ
    イン領域を形成する工程と、 該第2のレジスト及び該第1のMOSトランジスタのゲ
    ート電極をマスクとして用いて、該第2の領域に第2導
    電型の不純物イオンをソース側から斜めに注入し、それ
    によって、該第1のMOSトランジスタの第1導電型の
    該ソース領域及びドレイン領域の間に、非対称な不純物
    濃度プロファイルを有する非対称な不純物拡散領域を形
    成する工程と、を包含する、相補型半導体装置の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記第1のMOSトランジスタのソー
    ス領域及び前記半導体基板の前記主面に接し、該ソース
    領域よりも浅い接合深さを有するソース領域の延長部
    と、該第1のMOSトランジスタのドレイン領域及び該
    半導体基板の該主面に接し、該ドレイン領域よりも浅い
    接合深さを有するドレイン領域の延長部と、を形成する
    工程をさらに包含する、請求項12に記載の相補型半導
    体装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第1のMOSトランジスタにおい
    て、前記非対称な不純物拡散領域が前記ドレイン領域の
    延長部の端部に達するように形成される、請求項13に
    記載の相補型半導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1導電型がn型であり、前記第
    2導電型がp型であり、前記第1のMOSトランジスタ
    が前記非対称な不純物拡散領域を有するnチャネル型M
    OSトランジスタである、請求項12に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1導電型がp型であり、前記第
    2導電型がn型であり、前記第1のMOSトランジスタ
    が前記非対称な不純物拡散領域を有するpチャネル型M
    OSトランジスタである、請求項12に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記半導体基板と前記非対称な不純物
    拡散領域を有する前記第1のMOSトランジスタのソー
    スとの間に動作中に電位差が生じるような回路を構成す
    る工程をさらに包含する、請求項12に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記回路は、前記第1のMOSトラン
    ジスタと同じ導電型の複数のMOSトランジスタが直列
    に接続された構成を含む、請求項17に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第2のMOSトランジスタの第2
    導電型の前記ソース領域及びドレイン領域を形成する工
    程と前記第1のレジストを除去する工程との間に、 該第1のレジスト及び該第2のMOSトランジスタの前
    記ゲート電極をマスクとして用いて、前記第1の領域に
    第1導電型の不純物イオンをソース側から斜めに注入
    し、それによって、該第2のMOSトランジスタの第2
    導電型の該ソース領域及びドレイン領域の間に、非対称
    な不純物濃度プロファイルを有する非対称な不純物拡散
    領域を形成する工程をさらに包含する、請求項12に記
    載の相補型半導体装置の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記第2のMOSトランジスタのソー
    ス領域及び前記半導体基板の前記主面に接し、該ソース
    領域よりも浅い接合深さを有するソース領域の延長部
    と、該第2のMOSトランジスタのドレイン領域及び該
    半導体基板の該主面に接し、該ドレイン領域よりも浅い
    接合深さを有するドレイン領域の延長部と、を形成する
    工程をさらに包含する、請求項19に記載の相補型半導
    体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第2のMOSトランジスタにおい
    て、前記非対称な不純物拡散領域が前記ドレイン領域の
    延長部の端部に達するように形成される、請求項20に
    記載の相補型半導体装置の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記第1導電型がn型であり、前記第
    2導電型がp型であり、前記第1のMOSトランジスタ
    が前記非対称な不純物拡散領域を有するnチャネル型M
    OSトランジスタである、請求項19に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記第1導電型がp型であり、前記第
    2導電型がn型であり、前記第1のMOSトランジスタ
    が前記非対称な不純物拡散領域を有するpチャネル型M
    OSトランジスタである、請求項19に記載の相補型半
    導体装置の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記半導体基板と前記非対称な不純物
    拡散領域を有する前記第1のMOSトランジスタのソー
    スとの間、及び、該半導体基板と該非対称な不純物拡散
    領域を有する前記第2のMOSトランジスタのソースと
    の間、のそれぞれに、動作中に電位差が生じるような回
    路を構成する工程をさらに包含する、請求項19に記載
    の相補型半導体装置の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記回路は、前記第1のMOSトラン
    ジスタと同じ導電型の複数のMOSトランジスタが直列
    に接続された構成、及び前記第2のMOSトランジスタ
    と同じ導電型の複数のMOSトランジスタが直列に接続
    された構成をそれぞれ含む、請求項24に記載の相補型
    半導体装置の製造方法。
JP9163098A 1996-06-21 1997-06-19 相補型半導体装置及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2951292B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9163098A JP2951292B2 (ja) 1996-06-21 1997-06-19 相補型半導体装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16135296 1996-06-21
JP8-161352 1996-06-21
JP9163098A JP2951292B2 (ja) 1996-06-21 1997-06-19 相補型半導体装置及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1070196A JPH1070196A (ja) 1998-03-10
JP2951292B2 true JP2951292B2 (ja) 1999-09-20

Family

ID=26487519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9163098A Expired - Fee Related JP2951292B2 (ja) 1996-06-21 1997-06-19 相補型半導体装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2951292B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002299609A (ja) * 2001-03-29 2002-10-11 Nec Corp 半導体装置及びその製造方法
US6833307B1 (en) * 2002-10-30 2004-12-21 Advanced Micro Devices, Inc. Method for manufacturing a semiconductor component having an early halo implant
US7393752B2 (en) * 2005-07-25 2008-07-01 Freescale Semiconductor, Inc. Semiconductor devices and method of fabrication
JP4907920B2 (ja) 2005-08-18 2012-04-04 株式会社東芝 半導体装置及びその製造方法
JP4763555B2 (ja) * 2006-08-30 2011-08-31 新日本無線株式会社 半導体装置
JP4911158B2 (ja) * 2008-10-30 2012-04-04 ソニー株式会社 半導体装置および固体撮像装置
JP5471320B2 (ja) * 2009-11-09 2014-04-16 富士通セミコンダクター株式会社 半導体装置とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1070196A (ja) 1998-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5830788A (en) Method for forming complementary MOS device having asymmetric region in channel region
US7400016B2 (en) Semiconductor device realizing characteristics like a SOI MOSFET
JP3462301B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
US5320974A (en) Method for making semiconductor transistor device by implanting punch through stoppers
TWI392059B (zh) 平面背閘極cmos之高性能電容器
JP3490746B2 (ja) 半導体メモリ装置およびその製造方法
KR20080061378A (ko) 전계 효과 트랜지스터에 비대칭 오버랩 용량을 형성하는구조 및 방법
JPH07183469A (ja) 半導体装置及び半導体装置のオペレーティング方法
JPH01205470A (ja) 半導体装置およびその製造方法
US6054357A (en) Semiconductor device and method for fabricating the same
JP2951292B2 (ja) 相補型半導体装置及びその製造方法
US5418391A (en) Semiconductor-on-insulator integrated circuit with selectively thinned channel region
JP3075225B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2519608B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3324588B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2002246601A (ja) 半導体装置及び半導体装置の製造方法
US6407428B1 (en) Field effect transistor with a buried and confined metal plate to control short channel effects
JP3194162B2 (ja) Mos fet製造方法
US6882013B2 (en) Transistor with reduced short channel effects and method
JPH1012870A (ja) 半導体装置及びその製造方法
US6144075A (en) CMOS inverter using gate induced drain leakage current
JP3708370B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
KR100319449B1 (ko) 극소 채널 소자의 제조방법
JPH04115538A (ja) 半導体装置
JPH065850A (ja) 半導体装置およびその製造方法並びにその半導体装置を用いた半導体集積回路装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990624

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees