JP2951242B2 - 電弧炉後燃焼方法 - Google Patents

電弧炉後燃焼方法

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JP2951242B2 JP7205081A JP20508195A JP2951242B2 JP 2951242 B2 JP2951242 B2 JP 2951242B2 JP 7205081 A JP7205081 A JP 7205081A JP 20508195 A JP20508195 A JP 20508195A JP 2951242 B2 JP2951242 B2 JP 2951242B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電弧炉を使用する製鋼
技術に関するものであり、特には電弧炉製鋼の実施にお
ける後燃焼(二次燃焼)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄や鋼の溶解や精練は、溶融金属浴を実
現しそして維持するのに非常に高い温度が必要とされる
点でエネルギー集約プロセスである。従って、製鋼業界
では利用しうるエネルギーをもっと効率的に使用するた
めの絶えざる努力がなされてきた。製鋼において広く使
用されてきたそうした実施方法の一つは後燃焼(二次燃
焼)技術である。製鋼溶融金属浴において、酸素は炭素
と反応して一酸化炭素を形成し、一酸化炭素は気泡とな
って上昇しそして浴から放出される。後燃焼は、発生し
た一酸化炭素と反応して発熱反応において二酸化炭素を
形成するように製鋼容器内に二次酸素を噴射する技術で
ある。加えて、水素及び/または炭化水素もまた、例え
ば鋼スクラップと関連する汚染物の分解もしくはメタン
ガスや石炭の部分酸化により存在もしくは形成される可
能性があり、そしてそうした水素及び/または炭化水素
は後燃焼反応において二次酸素と反応して水や二酸化炭
素を形成する可能性がある。これらの反応は発熱性であ
りそして生成する放出熱のほとんどは製鋼における熱源
として有益に使用される。
【0003】製鋼において後燃焼の実施を改善するため
に近年顕著な研究がなされてきた。米国特許第4,59
9,107号において、浴面下気体吹込鋼精練における
後燃焼を実施するための方法を開示し、ここでは二次酸
素がランスを通して浴表面上方のヘッドスペースに噴射
される。浴上方のランス高さ及び/或いは噴射される二
次酸素の速度は、後燃焼の効率的実施を可能ならしめる
ように定義された関係を満足するよう調整される。
【0004】米国特許第5,065,985号は、鉄鉱
石の溶融還元のための改善された方法を教示し、ここで
は後燃焼酸素がスラグ中に噴射され、スラグ層を同時に
強く攪拌しながら、後燃焼が主にスラグ層内部で起こ
る。イバラキによる「鉄鉱石の溶融還元−工業的製鉄の
一つのアプローチ−の発展」と題する論文、I&SM、
12、1990、30−37頁は、同様の後燃焼実施法
を教示し、ここでは酸素分子が泡立ったスラグと衝突す
るまで噴流として残りそしてスラグ中に移行される。酸
素は泡中の一酸化炭素及び水素を燃焼せしめる。二次酸
素噴流がスラグに突入する若しくは攪拌する程度により
異なった作用が達成される。
【0005】爾後精練のために鋼のような金属を溶解す
るのに電弧炉が使用される。電弧炉は一般に、内部で金
属を溶解する比較的幅広のそして浅い炉床を具備する比
較的背丈の低い、幅広の、円筒状包囲体から構成され
る。電弧炉は、金属を加熱しそして溶解するための電気
エネルギーを提供するために炉屋根を貫通しそして炉内
中央部に配列される1本以上の、一般に3本の電極を装
備している。後燃焼はまた、EP第257,450号に
開示されるように電弧炉の実施においても使用されてき
ており、ここでは上方噴射酸素が、一酸化炭素の一様な
燃焼のために炉全体にわたっての覆いを与えるように配
向された複数の上吹き装置を通して電弧炉の上方帯域に
噴射される。米国特許第4,986,847号は、スラ
グ層内で溶融金属と隣り合う領域においての酸素の供給
を教示する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電弧炉の使用は、一層
多量のスクラップ金属がリサイクルされるにつれ増加し
つつある。従って、リサイクル問題が重要視される現在
においては電弧炉の操業における何らかの改善は有用で
ありそして所望される。本発明の課題は、電弧炉の操業
を改善する、電弧炉実施における後燃焼技術を使用する
ための方法を確立することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電弧炉内に
優先的なガス流れを形成し、一酸化炭素をその流れ内に
吸引して集中せしめ、そしてその一酸化炭素が集中した
ガス流れ中に後燃焼酸素を供給することを想到し、試行
の結果、好結果を得た。すなわち、本発明は、少なくと
も1本の電極と単一の排気口を具備する電弧炉において
後燃焼を実施する方法であって、 (A)前記電弧炉内で溶融金属と炭素を含む溶融浴を形
成する段階と、 (B)主酸素を溶融金属浴中に該溶融金属浴上方部分を
通して、該溶融金属浴の底部を通して溶融金属に酸素を
何ら供給することなく、供給し、そして主酸素と溶融金
属柱の炭素とを反応させ炉内で一酸化炭素を発生せしめ
炉に熱を供給すると共に浴を攪拌する段階と、 (C)炉内で主酸素を溶融金属に供給した地点から前記
排気口へのガス流れを形成しそして炉内で発生した一酸
化炭素を前記ガス流れ内で該排気口に向けて流す段階
と、 (D)後燃焼酸素を溶融金属の上方で前記ガス流れ中に
そして該ガス流れ形成点に近接して供給する段階と、 (E)前記後燃焼酸素とガス流れ中の一酸化炭素とを反
応させ、電弧炉内で発熱反応において二酸化炭素を形成
する段階とを包含する電弧炉後燃焼方法を提供する。
【0008】(用語の定義) ここで使用するものとしての「中央帯域」とは、電弧炉
のその電極を含む内部容積部を意味する。ここで使用す
るものとしての「溶融金属浴」とは、スラグを伴っても
しくは伴わずして液体金属を含む電弧炉内の内容物を意
味する。
【0009】
【作用】本発明は、電弧炉内では、電極と電弧炉の上方
部分において電極から離れた排出口の相対位置により一
酸化炭素はある単数乃至複数の領域に濃縮する傾向があ
るとの認識に基礎を置いている。これまでの後燃焼の実
施においては、一酸化炭素乃至その他の可燃物を炉内全
体を通して一様に燃焼せしめて金属に熱を一様に供給す
ることを目標としてきた。本発明は、電弧炉における後
燃焼の特定の場合においては、後燃焼酸素を炉内に一酸
化炭素の濃度の高い特定に位置において供給することに
より有益な結果が達成されることを見いだした。これは
熱の局所的な発生をもたらすが、当該特定位置は他の領
域と比較して非常に大量の発生一酸化炭素を含有してい
るから、後燃焼は、従来からの実施に比較して、一層効
率的に行われそしてはるかに高い水準の熱が放出されそ
して溶融金属浴に移行される。更に、本発明に従う後燃
焼酸素の提供は、そうした二次酸素が他の炉含有物と反
応する程度を減じ、従って本発明の実施で得られる利益
を増進する。
【0010】
【実施例】図面を参照して本発明を詳しく説明する。図
1及び2には、溶解されるべき金属2を収納する電弧炉
1が例示される。金属は一般にスクラップ鋼であるが、
銑鉄、直接還元鉄、高温塊状化鉄、ホットメタル及びさ
まざまの形態の酸化鉄のような他の任意の適当な材料を
も使用することができる。少なくとも1本の電極16が
中央帯域15内で使用される。単数乃至複数の電極は、
全体的に或いは部分的に中央帯域内にある。図示した具
体例では3本のそうした電極16が示されている。
【0011】電極に電気が供給されそして電極間に及び
/又は電極と金属間に電弧が形成される。生成する熱は
金属を溶解する役目をなし、こうして電弧炉内に溶融金
属浴を形成する。溶融金属浴は、溶融金属、すなわち液
体金属3を含み、そしてまたスラグ4を含むこともあ
る。スラグ4は、時として著しい量の気体を含み、それ
によりスラグ泡を創出する。一般に、スラグ泡は溶解炉
が操業する期間のほぼ1/4期間中存在する。スラグは
一般に酸化カルシウム、二酸化珪素、酸化マグネシウ
ム、二酸化アルミニウム及び酸化鉄の1種以上を含む。
【0012】主たる酸素(一次酸素)はランス5を通し
て気体形態で溶融金属浴中に供給されうる。この主酸素
は、空気の形態でもしくは空気の酸素濃度を超える酸素
濃度を有する混合物として供給されうる。好ましくは、
主酸素は溶融金属浴に少なくとも80モル%の酸素濃度
を有する流体として供給される。主酸素はまた酸化鉄の
ような固体形態でも浴に供給されうる。主酸素は溶融金
属浴中の炭素と反応して一酸化炭素を発生する。溶融金
属浴中の炭素は、金属中に含有されている炭素、溶融金
属浴中に直接添加された炭素、及び主酸素と共にもしく
はその近くで溶融金属浴へ添加された炭化水素添加剤の
ような1種以上の源でありうる。一酸化炭素を形成する
べく溶融金属浴中の炭素と酸素との反応は浴の攪拌を与
えそしてスラグを泡立たせて電弧から浴への一層効率的
な熱伝達を可能ならしめる。
【0013】一般に炉の屋根に設けられる排気口9は、
炉ガスを炉から外へ排出する役目をなす排気ダクト10
と連通する。排気口9は炉の中央帯域の外側に位置付け
られる。この部分は図2に番号14で表示される。排気
口9及び排気ダクト10を通して外へ流れる炉ガスの流
れは、電弧炉内に優先的に炉ガスが流れる炉ガスの流れ
道を形成する。ガス流れはスクラップから排気口まで或
いは浴が存在するなら溶融金属上のスラグから排気口ま
で流れうる。すなわち、ガス流れは泡立ったスラグ内部
から発生しうる。このガス流れは図面では番号12とし
て表示されている。
【0014】ガス流れ12は電弧炉内の炉ガスから構成
され、1種乃至複数種の可燃物、すなわち一酸化炭素、
水素及び炭化水素に加えて、炉ガスは二酸化炭素、水蒸
気、窒素及び/又は酸素を含みうる。スクラップ中に形
成された或いは溶融金属浴から発泡した或いはスラグ中
のいまだ残っている一酸化炭素は、炉の他の部分へ流れ
ていかず、ガス流れ中に優先的に吸引される。ガス流れ
の流れ運動力学的作用は、ガス流れが溶融金属の表面か
ら排気口まで流れるに際して一酸化炭素並びに水素や炭
化水素のような他の種可燃物をガス流れ内に集中濃縮せ
しめる作用をなす。
【0015】二次燃焼(後燃焼)酸素13はランス6か
らガス流れ12中に供給される。二次酸素は、空気乃至
空気の酸素濃度を超える酸素濃度を有する混合物の形態
で供給されうる。好ましくは、二次酸素は少なくとも8
0モル%の酸素濃度を有する流体としてガス流れ中に供
給される。二次酸素は、炉が操業されている全期間にわ
たりもしくはその一部分のみ供給されうる。二次酸素は
溶融金属の上方でガス流れ中に供給される。好ましく
は、スラグが存在するなら、二次酸素はスラグ中に供給
される。二次酸素はまたスクラップ内にも供給されう
る。好ましくは、二次酸素は、ガス流れ中での二次酸素
の滞留時間を増大するようになるたけ低い位置で、すな
わち排気口に通じるガス流れの単数乃至複数の形成点に
近接して供給され、それにより後燃焼の程度及び放出熱
のスクラップ及び/又は溶融金属浴への移行度を改善す
る。
【0016】二次酸素はガス流れ中の一酸化炭素とガス
流れが排気口に達する前に反応し、電弧炉内で発熱反応
において二酸化炭素を形成する。二次酸素はまたガス流
れ中に存在する可能性のある他の可燃物とも反応する。
水素や炭化水素ガスのような他の種可燃物が、スクラッ
プと汚染物の分解により或いはメタンその他の炭化水素
の部分酸化のような別の態様で炉内に形成されうる。生
成する熱は、金属を加熱しそして/もしくは金属を溶解
するのに有益に使用される。後燃焼反応は炉内の局所的
な領域において起こるが、反応剤、すなわち酸素並びに
一酸化炭素及び他の可燃物がこの領域に集中しているの
で、後燃焼反応は高い効率と高い発生熱でもって進行
し、後燃焼を炉内全体に一様に実施した結果より全体的
に良好な結果をもたらす。
【0017】従来方法に比較して本発明を実施するには
わずか1本のもしくは、1本でなくとも従来より少ない
数の後燃焼ランスが必要とされるだけなので、設備コス
トもまた低減される。二次酸素は図面に例示されるよう
に主酸素ランスとは別のランスにより供給されうるし、
また主酸素をも別個の酸素回路を通して炉内に供給する
複式回路ランスを通しても供給されうる。
【0018】(例) 次の例は例示目的のものであって、本発明を限定するこ
とを意図するものではない。本発明を図1及び2に例示
したのと同様の60トン電弧炉において実施した。炉に
は鋼スクラップを装入して溶解を開始した。後燃焼酸素
を排気口に流れる炉ガス中に最初はスクラップ堆積物中
にそして後泡立ったスラグが形成された時泡立ったスラ
グ内に供給した。一酸化炭素及び他の可燃物が炉内で炉
ガス流れ中で燃焼せしめられ、熱を放出し、スクラップ
の溶解を補助した。
【0019】比較目的のために、後燃焼酸素を使用しな
かったことを除いて以上の工程を繰り返した。本発明を
実施した場合とそうでない場合との間での電力消費量の
差異は40Kwh/tonであった。これは、酸素単位
3 当たり(標準状態)4.75Kwhの熱伝達率に相
当し、これは後燃焼熱放出率合計の81%である。
【0020】本発明は電弧炉の実施に特定的である。電
弧炉は中央部に配置された単数乃至複数の電極を装備
し、これらが炉内で優先ガス流れを形成する本発明条
件、例えば中央部から外れての排気口形成条件を創出し
うるからである。
【0021】
【発明の効果】本発明は、電弧炉内に優先的なガス流れ
を形成し、一酸化炭素をその流れ内に吸引して集中せし
めそして一酸化炭素が集中したガス流れ中に後燃焼酸素
を供給する。二次酸素はガス流れ中の一酸化炭素とガス
流れが排気口に達する前に反応し、電弧炉内で発熱反応
において二酸化炭素を形成する。二次酸素はまたガス流
れ中に存在する水素や炭化水素ガスのような他の可燃物
とも反応して熱を発生する。後燃焼反応は炉内の局所的
な領域において起こるが、酸素並びに一酸化炭素及び他
の可燃物がこの領域に集中しているので、後燃焼反応は
高い効率と高い発生熱でもって進行し、後燃焼を炉内全
体に一様に実施した結果より全体的に良好な結果をもた
らす。従来方法に比較して本発明を実施するには従来よ
り少ない数の後燃焼ランスが必要とされるだけなので、
設備コストもまた低減される。更には、本発明に従う後
燃焼酸素の提供は、そうした二次酸素が他の炉含有物と
反応する程度を減じ、従って本発明の実施で得られる利
益を増進する。
【0022】本発明を好ましい具体例に基づいて詳しく
説明したが、本発明の範囲内で本発明を別の態様で具現
しうることを銘記されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施において使用されうる電弧炉の配
列構成の正面からの部分断面図である。
【図2】図1の電弧炉の簡略上面図である。
【符号の説明】
1 電弧炉 2 金属 3 溶融金属 4 スラグ 5 主酸素ランス 6 後燃焼酸素ランス 9 排気口 10 排気ダクト 12 ガス流れ 13 後燃焼酸素 15 中央帯域 16 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロナルド・ジョゼフ・セラインズ アメリカ合衆国ニューヨーク州ノースセ イレム、フィンチ・ロード90 (56)参考文献 特開 平7−145420(JP,A) 特公 平1−37449(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 5/52 F27B 3/08 F27D 11/08 F27D 17/00 104

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1本の電極と単一の排気口を
    具備する電弧炉において後燃焼を実施する方法であっ
    て、 (A)前記電弧炉内で溶融金属と炭素を含む溶融浴を形
    成する段階と、 (B)主酸素を溶融金属浴中に該溶融金属浴上方部分を
    通して、該溶融金属浴の底部を通して溶融金属に酸素を
    何ら供給することなく、供給し、そして主酸素と溶融金
    属柱の炭素とを反応させ炉内で一酸化炭素を発生せしめ
    炉に熱を供給すると共に浴を攪拌する段階と、 (C)炉内で主酸素を溶融金属に供給した地点から前記
    排気口へのガス流れを形成しそして炉内で発生した一酸
    化炭素を前記ガス流れ内で該排気口に向けて流す段階
    と、 (D)後燃焼酸素を溶融金属の上方で前記ガス流れ中に
    そして該ガス流れ形成点に近接して供給する段階と、 (E)前記後燃焼酸素とガス流れ中の一酸化炭素とを反
    応させ、電弧炉内で発熱反応において二酸化炭素を形成
    する段階とを包含する電弧炉後燃焼方法。
  2. 【請求項2】 溶融金属浴がスラグを含みそして後燃焼
    酸素がスラグ中に供給される請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 電弧炉がスクラップを含みそして酸素が
    スクラップ内でガス流れ中に供給される請求項1の方
    法。
  4. 【請求項4】 排気口の上流でガス流れ内で後燃焼酸素
    を水素と反応せしめることを更に含む請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 排気口の上流でガス流れ内で酸素を炭化
    水素ガスと反応せしめることを更に含む請求項1の方
    法。
  6. 【請求項6】 主酸素が気体若しくは固体の形態で溶融
    金属浴に供給される請求項1の方法。
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