JP2950928B2 - 標識化抗体 - Google Patents

標識化抗体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、マウス胎児由来GP68シアロ糖タンパク質に
対する抗体(抗GP68抗体)が反応し得る抗原が産生され
る各種疾患、特に癌等の診断および治療に有用な標識化
抗GP68抗体およびその用途に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 癌やその他の疾患の体内診断、イメージングによる画
像診断が、放射性同位元素、蛍光色素、増感剤、核磁気
共鳴イメージング(MRI)用磁性体等を用いて行われて
いる。
なかでも、癌の体内診断においては、67Gaが多く使用
されているが、これは癌部位のみならず、肝臓、腎臓な
どに非特異的に集積し、必ずしも癌部位に特異的とはい
えず診断精度において充分なものとはいえない。
また、67Gaの癌組織細胞への浸透性、到達度は低く、
微小な癌原発部位や癌転移部位を検出、イメージングす
ることは困難であり、67Gaを用いた癌の体内診断には限
界がある。
更に、67Ga単独投与では、顕著な癌の治療効果は認め
られていない(特開平1−104016号公報参照)。
近年、種々の癌抗原に対する抗体が調製され、それら
を用いた癌治療が試みられている。
更に、ヒトCEA(carcinoembryonic antigen)、ヒト
メラノーマに対するマウスモノクローナル抗体に67Gaあ
るいは111Inを結合した標識化抗体を用いた癌の画像診
断の試みがなされているが、有用性において67Gaを単独
で用いた画像診断と大差なく、また臨床に適応されるま
でには至っていない。
癌の診断、治療に有用な標識化合物には、例えば以下
のような特性が要求される。
a)癌局所への到達性に優れ、かつ癌組織細胞との結
合、親和性に優れる。
b)癌部位に特異的か、または非癌部位に比べて癌部位
への到達、分布率が有意差をもって充分に高い。
c)画像分析等における検出感度が高い。
しかしながら、これらの特性を充分に満足でき、実用
に耐え得る癌の診断や治療に有用な標識化合物は未だ提
供されてないのが現状である。
本発明は、このような癌の診断、治療に有用な標識化
合物における問題に鑑みなされたものであり、上記各種
特性を満足する標識化抗体を提供することをその目的と
する。
[課題を解決するための手段] 本発明は、マウス胎児由来GP68シアロ糖タンパク質
(以下GP68タンパク質という)に対する抗体(抗GP68抗
体)に、各種の標識化合物を結合して得られる標識化抗
GP68抗体を用いることで、癌の診断、治療に極めて良好
な結果が得られるという新たな知見に基づいて為された
ものである。
本発明の標識化抗体は、抗GP68抗体と、該抗体に結合
した標識化合物とを有することを特徴とする。
本発明に用いる抗GP68抗体は、GP68で免疫した動物の
抗血清、抗GP68モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ
培養上清、あるいは該ハイブリドーマを移植した動物の
腹腔液(腹水)などから常法により調製できる。
抗GP68抗体調製用の抗原としてのGP68タンパク質は、
例えば、マウス組織・細胞から抽出、精製することによ
って得ることができ、例えば、特開昭60−100597号公報
および特願昭63−205690号に記載の方法などを利用し、
更に後述する参考例1に示す精製方法に従って得ること
ができる。
このマウス組織・細胞としては、受精から生後1週間
までの、例えば、受精後11日目胚〜19日目胚の胎児や、
生後1週間のマウスの脳、神経組織、胃腸管、平滑筋組
織、肝臓、心臓、腎臓、肺、脾臓等の各臓器などを挙げ
ることができるが、高濃度での抽出分離を行いたい場合
には胎児脳あるいは生後1週間位までのマウス脳を用い
るのが便利である。
例えば、2%トリトン(Triton)X−100(ローム
アンド ハース 社製)、0.005%フェニルメチルスル
フォニルフルオライド(PMSF)、0.15M食塩を含む10mM
トリス・塩酸緩衝液(pH7.5)中にマウス組織・細胞を
ホモジナイズして所定時間の抽出操作を行ない、得られ
た粗抽出液から遠心分離(例えば、40,000rpm)で得ら
れる上清液を分取し、これをレクチンを担持(固定化)
した担体に接触させて該担体にGP68タンパク質を吸着さ
せ、更に該担体からGP68タンパク質を選択的に単離する
ことにより、GP68タンパク質を得ることができる。この
GP68タンパク質には、更に必要に応じて例えばゲルロ過
法など各種精製処理を行っても良い。
この工程に用いることのできる担体としては、例えば
アガロース、アクリルアミドゲル、各種トヨパール(東
洋曹達工業社製)、セルロースなどを挙げることができ
る。
また、担体に固定化させるレクチンとしては、ヒマ凝
集素(Ricinus Communis Agglutinin、以下RCAと略記す
る)、小麦胚アグルチニン(Wheat Germ Agglutinin,WG
A)、コンカナバリンAなどを用いることができるが、
これらの中では、RCAが特に好適である。
レクチンを担体に担持(固定化)させる方法として
は、用いる担体およびレクチンの種類に応じて常法に従
って行なえば良い。
これらを用いてのアフィニティークロマトグラフィー
は、レクチンを担持した担体を適当な大きさ及び形状の
カラムに通して利用するカラム法や、レクチンを担持し
た担体と処理すべき溶液あるいは溶出用溶液とを一度に
混合して処理するバッチ方式を用いた方法など所望に応
じて適宜選択した方法によって実施すれば良い。
レクチンを担持する担体に吸着させたGP68タンパク質
の溶出用の溶液は、レクチンおよび担体の種類などに応
じて適宜選択すれば良いが、例えば、0.01M〜0.2Mのラ
クトース溶液、N−アセチルグルコサミン溶液、α−メ
チルマンノシド溶液、シアル酸溶液などを利用すること
ができる。
溶出画分中でのGP68タンパク質の確認は、その分子量
および等電点の測定などによって行なうことができる。
本発明のGP68タンパク質は、後述の参考例1に記載の
2次元電気泳動での測定で約68,000(68,000±2,000)
の分子量を有し、その等電点が5.4〜5.6である。
このようにして得られた純度の高いGP68タンパク質
は、後述の参考例1に示されるアミノ酸組成及び糖組成
を有し、そのアミノ末端部分のオリゴペプチドのアミノ
酸配列は、マウスのα−フェトプロテインのアミノ末端
のアミノ酸配列[Michael B.Gorin et al.,J.Biol.Che
m.,256,1954(1981)]とほぼ同一であった。また、糖
の含有率は12.7重量%である。
次に、上記GP68タンパク質を用いて動物を免疫し、該
GP68タンパク質に対する抗体を調製することができる。
すなわち、GP68タンパク質を例えばラット、ハムスタ
ー、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウシな
どの動物に免疫し、得られた抗血清中にGP68タンパク質
に対するポリクローナル抗体を得ることができる。
この免疫処理には、通常の方法が利用でき、例えば各
種動物の背中、足蹠、腹腔内、血管内などに適当なアジ
ュバントとともにGP68タンパク質を接種する。免疫後、
7〜200日経過した動物から抗血清を採取して目的とす
るポリクローナル抗体を得ることができる。
なお、初回免疫後、適当な間隔をおいて追加免疫して
抗体価を高めることができる。
一方、上記のようにして免疫した動物や、Balb/cなど
のようなマウスの脾細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ細
胞)株との融合によって、GP68タンパク質に対するモノ
クローナル抗体生産能を有するハイブリドーマを作製す
ることができる。
この融合に用いるミエローマ細胞株としては、マウス
NS−1株、X 63−Ag8株、MPC−11株、SP−2/0株などの
マウス系のミエローマ細胞株やラット210.RCY.Ag1.2.3
などを挙げることができる。
また、GP68タンパク質で免疫した動物としては、初回
免疫後10〜80日経過したものが好適である。
更に、融合は公知の方法で行なえば良く、得られたハ
イブリドーマは、例えば5〜20%の牛胎児血清とHATを
含むRPMI培養液(日水製薬社製、Code 05911)、続いて
HTを含むRPMI培養液、最終的にRPMI培養液などの細胞培
養用培地で培養して、培地中に所望とするGP68タンパク
質に対するモノクローナル抗体を分泌、備蓄させて該モ
ノクローナル抗体を生産することができる。
あるいは、該ハイブリドーマをヌードラット、または
免疫抑制されたラットの腹腔内に移植してその腹水癌化
を誘発し、該腹水中に該モノクローナル抗体を生産、備
蓄させる方法によって該モノクローナル抗体を生産する
ことができる。
なお、こうして得た抗体を用いて作製したアフィニテ
ィークロマト担体を用いたアフィニティークロマトグラ
フィーを行なうことにより、GP68タンパク質の分離精製
を行なうことができる。
その際用いる担体としては、アガロース、セファデッ
クス類、BrCN活性化セファロース4Bのようなセファロー
ス類、Afigel 10(Bio−Rad社製)、各種トヨパールな
どを利用することができ、担体への結合方法は、適当な
緩衝液などに抗体を溶解し、4℃で数時間から一昼夜担
体とまぜあわせて行なえば良い。
このGP68タンパク質に対する抗体を用いたアフィニテ
ィークロマトグラフィーを行なう場合、吸着したGP68タ
ンパク質を溶出させる溶液としては、酸性緩衝液、アル
カリ製緩衝液あるいは高濃度の塩を含む中性緩衝液など
が利用できる。
本発明で用いる抗GP68抗体としては、いかなるクラ
ス、サブクラスのものでも良く、例えばIgGについて
は、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3などのサブクラスのもの
が挙げられ、IgMについては、IgM1、IgM2などのサブク
ラスのものが挙げられる。
また、抗体は通常分子全体を用いるが、抗原と結合す
る部位を含む部分断片を用いても良い。この部分断片と
しては、IgM抗体の単量体のIgMsや抗体分子をペプシン
で分解することによって得られる2価のフラグメントF
(ab′)、パパインで分解することによって得られる
1価のフラグメントFab、ジチオスレイトールのような
還元剤で処理することによって得られる1価のフラグメ
ントFab′などを挙げることができる。
抗GP68IgGは、例えば、家兎抗GP68血清1mlに、硫酸ナ
トリウム(キシダ化学社製)180mgを攪拌しながら加え
て溶かし、室温で一時間放置後、1000rpm、10分間遠心
分離した後、沈殿を0.0175M リン酸緩衝液(pH6.3)の
1mlに溶かし、ビスキングチュウーブ(三光純薬社製、
サイズ8/32)に移し、同緩衝液にて一夜透析し、つい
で、遠心分離(3000rpm、10分間)して沈殿を除き、DE5
2カラム(2ml、ワットマン社製)に流し、最初に溶出す
る分画を集め、家兎抗GP68IgG画分2.4mlを得ることがで
きる。
また上記のようにして、F(ab′)画分、Fab画分
及びFab′画分等を調製することができる。
抗GP68抗体(上述の部分断片を含む)に標識化合物を
結合させることによって癌の診断、治療に有用な本発明
の標識化抗体を得ることができる。
抗GP68抗体に結合させる標識化合物としては、放射性
同位元素、蛍光色素、増感剤、磁性体などを用いること
ができる。
放射性核種としては、例えば、64Cu、67Cu、67Ga、59
Fe、57Co、18F、75Se、76Br、81Rb、81mKr、90Y、88Y、
97Ru、99mTc、105Rh、105Rd、109Pd、111In、123I、125
I、110mAg、111Ag、131I、133Xe、140La、168Yb、198A
u、186Re、188Re、198Au、199Ag、201Tl、203Pb、212P
b、211At、212Bi、105Ru、Hg、Sb、Pt、W、Ni、Osなど
から選択した1種以上を用いることができる。
蛍光色素としては、例えば、フルオロエッセンイソチ
オシアナート(FITC)などを用いることができる。
また、増感剤としては、例えば、各種ポリフィリン化
合物を用いることができる。
磁性体としては、例えば、常磁性金属のMn、Fe、Cu、
Co、Ni、Cr、V、Gd、Eu、La、Yb、Paなどを用いること
ができる。
標識化合物と抗GP68抗体の結合は、例えば、直接結合
や、キレート化合物、架橋剤、錯体形成化合物を介した
結合などによって行うことができる。
キレート化合物、架橋剤および錯体形成化合物として
は、例えば、二官能性キレーターとしてのデフェロキサ
ミンメシレート(deferoxamine mesylate、以下DFOと略
称する、日本チバガイギー社製)、2−(3′−ヒドロ
キシピリド−2′−イル)−3−メチル−3−チアゾリ
ン−4−カルボン酸(デスフェリチオシン)、ジエチレ
ントリアミンベンタ酢酸(diethylenetriaminepentaace
tic acid、以下DTPAと略記する、同仁化学社製、Khaw,
B.A.et al;Science,209,295〜297,1980参照)、トラン
スフェリン、D−ペニシラミン、エチレンジアミンテト
ラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、1−(p−ベンゼ
ンジアゾニウム)−EDTA、1−p−アミノフェニル−ED
TAなどのジアミン類、ポリアミン類、アミンオキシムリ
ガンド類、ジカンルボン酸類、ポリカルボン酸類、酸無
水物、3−カルボキシ−2−オキソプロピオンアルデヒ
ドビス(N−メチルチオセミカルバゾン)(OPBMT)、
4−アシドフェニルグリオキサル(APG)などのアリル
アジドカルボニル基を有する化合物、ケトオキサル、ジ
スルフィドベンジルオキシカルボニル基を有する化合
物、3−(2−ピリジルチオ)プロパノヒドラジド、ジ
アミノ・ジメルカプト隣接基を有するキレート化合物な
どの含イオウ原子キレート化合物類、あるいは1,2−ビ
ス(ジメチルホスフィノ)エタンなどの含リン原子キレ
ート化合物類、メタルチオネインなどを挙げることがで
きる。
抗GP68抗体への標識化合物の結合反応は、0〜40℃の
範囲内で行うことができる。抗GP68抗体とキレーターと
のコンジュゲートを製造する際には、0〜4℃の範囲が
好ましく、また、抗GP68抗体と標識化合物、あるいは抗
GP68抗体−キレーター−コンジュゲートと標識化合物の
反応は、約18〜25℃の室温で実施することが望ましい。
結合反応は、例えば、pH6.5〜9.57の水性緩衝液中で
行うことができる。
本発明の標識化抗GP抗体を用いて、実験癌、ヒト腫瘍
を移植したマウス、ヌードマウス、ラットの癌移植部位
のイメージングの効果、癌治療の効果を検討したとこ
ろ、本発明の標識化抗GP68抗体は、多くの癌において、
対照の63GaCl3、標識化抗CEA抗体、および標識化抗αフ
ェトプロテイン(AFP)抗体に比べて、移植癌部位への
集積性が高く、抗体投与後短時間経過後から、より鮮明
に、癌部位を、より特異的、選択的にイメージングする
ことが明らかにされ、核医学的体内診断薬としての有用
性が示唆された。また、癌移植部位はイメージングの連
日の追跡過程で、明瞭な縮小が見られ、本発明の標識化
抗GP68抗体は、癌のターゲッティングによる抗腫瘍効果
も有することが確認された。
[実施例] 以下、実施例により、本発明の標識化抗GP抗体の製造
法、その生物学的活性、効果を詳細に説明するが、本発
明はこれらに限定されない。
参考例1 100個のICRマウス胎児脳(受精後13日胚脳)を、100m
lの2%トリトン X−100、0.005%PMSF、0.15M食塩を
含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.6)中でホモジェナ
イズして、4℃、30分の抽出を行ない、得られた粗抽出
液を120,000×g、1時間の条件の高速遠心にかけた
後、更に得られた上清液を以下のようにして調製したRC
Aアガロース アフィニティークロマトグラフィーカラ
ム(4ml)に通した後、上記緩衝液40mlでこのカラムを
洗浄した。
カラムへの充填; RCAアガロース(EY Laboratories社製)の4mlを円筒
状カラムに充填し、これを1%トリトン X−100、0.0
05% PMSFを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.5)で処
理し平衡化した。
次に該カラムに1%トリトン X−100、0.005%PMSF
を含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.5)に更に0.1Mラ
クトースを加えた20mlの溶液を通し、溶出液を得た。
この溶出液の一部を充分透析して精製タンパク質溶液
を得た後、これを凍結乾燥してタンパク質標品を得た。
なお、タンパク質標品の収量は、100個のマウス胚の
脳あたり2.0mgタンパク質であった。
また、タンパク質量は、ローリー(Lowry)法によ
り、牛血清アルブミン(シグマ社製)を標準として求め
た。なお、以下の各種操作でのタンパク質量の測定も同
様の方法により行なった。
一方、これとは別に、先の溶出液の残りにエタノール
を最終濃度が80〜90%となるように加えてエタノール沈
殿タンパク質を得て、これをタンパク質標品とした。
得られたタンパク質標品の一部を以下の条件の二次元
電気泳動にかけて、その分子量および等電点を測定した
ところ、この標品から分子量約68,000、等電点5.4〜5.6
のタンパク質のみが検出された。
なお、分子量測定での対照のタンパク質としては、い
ずれもシグマ社製のチログロブリン(分子量330,00
0)、ラクトフェリン(分子量88,000)、ウシ血清アル
ブミン(分子量67,000)、卵白アルブミン(分子量43,0
00)、アルドラーゼ(分子量34,000)を使用した。
二次元電気泳動の条件; a)一次元目 泳動用媒体として、尿素2.76g、30%アクリルアミド
0.67ml、10%NP−40の1ml、アンホライン(pH3.5−10)
の0.25ml、10%過硫酸アンモニア10μ、5%テトラメ
チルエチレンジアミン[tetramethylethylenediamine
(TEMED)、半井化学社製]0.14ml、水0.91mlの組成の
ものを使用し、サンプルをこの一次元ゲルにかけ、陽極
液として10mM H3PO4、陰極液として20mM NaOHをそれぞ
れ用い、400Vで13時間、次で800Vで1時間電気泳動を行
なった。
b)二次元目 一次元泳動後、ゲルをソジウムドデシルサルフェート
(SDS)試料緩衝液[10%グリセリン、5% β−メル
カプトエタノール、23%SDS、62.5mMトリス・塩酸緩衝
液(pH6.8)]と平衡化し、7.5%のアクリルアミドスラ
ブゲル(25mMトリス、192mMグリシン、0.1% SDS)に
かけ、120Vで4時間の二次元目の泳動を行なった。
泳動後、0.05%クマシブルー、10%メチルアルコー
ル、10%酢酸で1時間ゲルを染色した後、更に10%メチ
ルアルコール、10%酢酸で処理し、得られた各スポット
を測定した。
次に、先に得たGP68タンパク質の凍結乾燥標品(1mg
タンパク質)における糖含有率を、バアティら(Bhatti
et al)の方法に従って、メタノリシス反応を行なった
後にガス液体クロマトグラフィーにより求めた。
一方、該凍結乾燥標品中のシアル酸の含有率を、0.05
M H2SO4を用いた80℃、30分の加水分解反応を行なった
後に、N−acetylneuraminic acidを標準として用いたT
hiobarbituric acid反応により求めた。
更に、該GP68タンパク質の凍結乾燥標品(タンパク質
量としてそれぞれ1mgあるいは98μg)を4M HClでの100
℃、4時間の処理あるいは6M HClでの105℃、24時間の
処理によって加水分解し、得られた加水分解物中のヘキ
ソサアミンあるいはアミノ酸を、日立アミノ酸分析器83
5型により分析した。
以上の分析操作の結果を以下に示す。
糖組成(モル比); ガラクトース 1 マンノース 1.42 フルクトース 0.32 グルコース 0.07 グルコサミン 1.06 ガラクトサミン 0.10 シアル酸 0.18 アミノ酸組成(モル比); アスパラギン酸 43.2 スレオニン 26.1 セリン 35.8 グルタミン酸 58.4 グリシン 30.2 アラニン 30.6 システイン 6.9 バリン 23.3 メチオニン 5.2 イソロイシン 9.5 ロイシン 48.4 チロシン 8.6 フェニルアラニン 17.4 リジン 26.3 アンモニア 90.1 ヒスチジン 10.6 アルギニン 18.2 プロニン 26.5 更に、上記GP68タンパク質の凍結乾燥標品(105μ
g)を25μの水に溶解させ、その17μ(71.4μg)
をペプチドシークエンサー(Applied Science社 Model
477A)に適用して、そのアミノ末端のアミノ酸配列を
分析したところ、以下の結果が得られた。
GP68タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列; (X、Yは未確定) なお、参考のためにマウスα−フェトプロテインのア
ミノ末端のアミノ酸配列[Michael B.Gorin et al.,J.B
iol.Chem.,256,1954〜(1981)]は以下のとおりであ
る。
マウスα−フェトプロテインのアミノ末端のアミノ酸
配列; 更に、GP68タンパク質(上記凍結乾燥標品)に対する
抗マウスGP68タンパク質ポリクローナルウサギ抗血清
(参考例2で調製)及び抗マウスα−フェトプロテイン
ポリクローナルウサギ抗血清(ヘキスト社製)のオクタ
ルロニー(Ouchterlony)法によるゲル内沈降反応を行
なったところ、両抗血清はGP68タンパク質に対して同様
の沈降反応を示した。
参考例2 参考例1で得たGP68タンパク質の凍結乾燥標品とエタ
ノール沈殿標品の1:1の混合物100μgを、2週間おきに
フロイントの完全アジュバント(半井化学社製)ととも
に計4回ウサギ(ニュージーランドホワイト種)の足蹠
に接種してこれを免疫した。
最終免疫後10日目に全採血し、血清を調製した。得ら
れた血清は、BSAを結合したAfigel 10(Bio Rad Labora
tories社製)カラムに通し、流出液を更に、1mg/ml濃度
のGP68タンパク質を含む重炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.
0)と接触させたAfigel 10を充填したカラムに通し、抗
体を吸着させた。次に、3Mのチオシアン酸カリウム溶液
で吸着抗体を溶出させ、流出液を集めた。この操作を必
要な回数繰り返し抗体溶液を備蓄した。
この抗体を含む流出液を充分透析し、20μg/mlのタン
パク濃度とし、イムノブロッティング法により分析した
ところ、GP68タンパク質に対するポリクローナル抗体が
含まれていることが確認された。
参考例3 参考例1で得たGP68タンパク質の凍結乾燥標品とエタ
ノール沈殿標品の1:1の混合物500μgを、2週間おきに
フロイントの完全アジュバントとともに計4回ヤギの各
所皮内、皮下に投与して、これを免疫し、経時的に採血
した。
十分抗体価が上った5箇月後に全採血した。得られた
血清を参考例2と同様にカラム処理して、GP68タンパク
質に対するポリクローナル抗体を集積し、その一部を分
析したところ、GP68タンパク質に対する特異的抗体であ
ることが確認された。
参考例4 免疫する動物としてウマを用いる以外は実施例3と同
様にしてポリクローナル抗体を集積した。
参考例5 免疫する動物としてウシを用いる以外は実施例3と同
様にしてポリクローナル抗体を集積した。
参考例6 参考例1で得たGP68タンパク質の凍結乾燥標品とエタ
ノール沈殿標品の1:1の混合物を以下に示す量で、2週
間間隔でウイスターラット(5〜6週令)に投与し、こ
れを免疫した。
1回目(皮下) 50μg 2回目(皮下) 50μg 3回目(腹腔内) 100μg 4回目(腹腔内) 100μg 最終免疫から3日目の脾細胞の1×108個と、ミエロ
ーマ細胞としてのマウスNS−1細胞株の2×107個とを
ポリエチレングリコール400の存在下でKoehlerらの方法
に従って融合させた。
ポリエチレングリコールを除き、得られたハイブリド
ーマを200mlのHAT培地(HAT及び10%fetal calf serum
(FCS)を含むRPMI 1640 medium)に浮遊させ、これを9
6ウエルプレート(Falcon社製)に各ウエル当りの細胞
数が1×105個となるように移した。
次に37℃で1週間〜10日培養を続けた。
培養10日目より3日ごとに各ウエル培養上清の半分を
用いて(その分新しい培養液を加えて培養を続ける)、
ベクタスティンABC法(VectastainABC method、アビジ
ン−ビオチン化ワサビペルオキシダ−ゼコンプレックス
法、フナコシ社販売)によるELISA(enzyme linked imm
uno sorbent assay)を行ない、陽性クローンを含むウ
エルを検索し、更に陽性のものを含むウエルから限界希
釈法によるクローニングを行なって所望とするクローン
を得た。
なお、ELISA法に用いたアッセイプレート2095(Falco
n社製)には、常法に従い参考例1で得たエタノール沈
殿GP68タンパク質を溶解したリン酸緩衝生理食塩水(以
下PBS)を1〜数時間接触させることによって、各ウエ
ルにGP68タンパク質を100ng吸着させて使用した。
以上の操作で、計8個の陽性クローンが得られた。
これらのクローンのうちの2種(EBR 3、EBR 7)をそ
れぞれ個々に用いて以下のようにしてEBR 3−1 モノ
クローナル抗体、EBR 7−1 モノクローナル抗体を得
た。
なお、これらクローンEBR 3及びEBR 7は、昭和63年
(1988年)8月18日付けで、通商産業省工業技術院微生
物工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番
3号、郵便番号305)にブタペスト条約に基いて寄託さ
れた。
これらクローンの原寄託日は、昭和63年(1988年)8
月18日であり、クローンEBR 3の受託番号はFERM BP−20
02、クローンEBR 7の受託番号はFERM BP−2003である。
参考例7 参考例6で得たハイブリドーマ(クローンEBR 3、EBR
7)を用いたGP68タンパク質に対するモノクローナル抗
体の生産を実施した。
まず、クローンEBR 3、EBR 7を別々にRPMI 1640培地
で、10cmシャーレ中で培養した。
得れらた2種の培養上清から50%硫安で沈殿した沈殿
物を1〜2mlのPBSに溶解し、3日間PBSで透析した。次
いで、透析処理後の溶液をセファデックスG−250カラ
ムに通し、精製EBR 3−1モノクローナル抗体および精
製EBR 7−1モノクローナル抗体を得た。
更に、プリスタン処理[2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン0.5ml/匹を腹腔内に投与し、1〜2週飼育す
る]した8週令ヌードラットに参考例6で得られたクロ
ーンEBR 3、EBR 7を個々に1×107/匹となるように腹腔
内に投与した。10〜21日目に腹水のたまったラットから
腹水(50ml/匹)を採取し、これから遠心分離により固
形分を除去した。
得られた上清を50%硫安塩析、40%硫安塩析し、更に
PBS(pH7.2)で3日間透析した。
得られた粗精製モノクローナル抗体は、セファデック
スG−200カラムにかけて、PBSで溶出させ、精製モノク
ローナル抗体(EBR 3−2モノクローナル抗体およびEBR
7−2モノクローナル抗体)をそれぞれ個々に含む2種
の溶液を回収した。
参考例8 ハイブリドーマの形成に、ウイスターラットの代りに
Balb/cマウスを用いる以外は、参考例6及び参考例7と
同様の操作を繰り返して、精製モノクローナル抗体(EB
R 3−3モノクローナル抗体およびEBR 7−3モノクロー
ナル抗体)を得ることができた。
実施例1(125I−抗GP68抗体の製造) リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解した1.3mg/ml抗G
P抗体溶液100μと、125I−NaI(74MBq/ml)10μを
混ぜ、更にPBS100μ及びクロラミン−T(2mg/ml)溶
液の10μを加え、室温で30分間静置した。
次に、10mg/mlのメタビサルフェートナトリウム20μ
を加え反応を止めた。
得られた反応溶液をセファデックスG−50カラムで、
PBSを溶出液として用い、ゲル濾過を行い、125I−抗GP6
8抗体分画を得た。
実施例2(131I−抗GP68抗体の製造) 実施例1の125I−NaIの代わりに、131I−NaIを用いる
以外は、実施例1と同様の条件で反応及び後処理を行
い、131I−抗GP68抗体分画を得た。
実施例3(67Ga−DFO−抗GP68抗体の製造) (A)DFO−抗GP68抗体−コンジュゲートの製造 PBSに2×10-5Mの濃度でDFOを溶解した溶液の1.0ml
に、10%グルタルアルデヒド溶液10μを加え、室温で
5分間攪拌し、この反応混合液に、1.3mg/mlの濃度でPB
Sに溶解した抗GP68抗体の溶液2mlを加え、0〜4℃で45
分間攪拌した。
次に、ナトリウムボロハイドライド(NaBH4)0.3mgを
加え、さらに0〜4℃で2時間、泡が消えるまで攪拌し
た。次いで、この反応溶液をセファデックスG−50カラ
ムで、PBSを溶出液として用い、ゲル濾過を行い、試験
管1本当たり、1.0mlずつ溶出液を分取した。
分取した溶出液の280nmでの吸光度を測定し、タンパ
ク質分画の溶出されている試験管3本の溶液を集め、DF
O−抗GP68抗体−コンジュゲートを得た。
(B)(67Gaによる標識) 上記(A)項で得たDFO−抗GP68抗体−コンジュゲー
ト溶液(抗体として1.3mg/ml)50μに、67GaCl3(400
μCi/ml)溶液10μを混ぜ、更に、PBS200μを加
え、室温で30分間放置した。
得られた反応溶液をセファデックスG−50カラムで、
PBSを溶出液として用い、ゲル濾過を行い、試験管1本
当り1.0mlずつ溶出液を30本分取した。
各試験管の放射能を測定し、放射能の高い試験管2本
の溶液を集め、67Ga−DFO−抗GP68抗体を得た。
実施例4(111In−DTPA−抗GP68抗体の製造) (A)(DPTA−抗GP68抗体−コンジュゲートの製造) 0.1Mの炭酸水素ナトリウム0.1mlに、1.3mg/mlの濃度
でPBSに溶解した抗GP68抗体の溶液0.9mlを加え、さらに
抗GP68抗体の250倍モルのDTPAを加え、室温で1時間放
置した。
次いで、この反応液をセファデックスG−50で、0.01
M酢酸緩衝液(pH.6.0)を用い、ゲル濾過を行ない、試
験管1本当たり2.0mlずつ溶出液を20本分取した。
各試験管内の溶液の吸光度(280nm)を測定し、吸光
度の高いタンパク質分画を含むvoid分画を集め、DTPA−
抗GP68抗体−コンジュゲートを得た。
(B)(111Inによる標識) 上記(A)項で得たDTPA−抗GP68抗体−コンジュゲー
トの0.25mlに、111In−Cl3(250μCi/ml)溶液0.02mlを
混ぜ、さらに、0.01Mの酢酸緩衝液(pH、6.0)0.23mlを
加え、室温で30分間静置した。
得られた反応液を、セファデックスG−50で、PBSを
溶出液として用い、ゲル濾過を行ない、試験管1本当た
り1.0mlずつ溶出液を30本分取した。
各試験管内の溶液の放射能を測定し、放射能の高い2
本の試験管内の溶液を集め、111In−DTPA−抗GP68抗体
を得た。
実施例4(99mTc−DTPA−抗GP68抗体の製造) 実施例3で製造したDTPA−抗GP68抗体コンジュゲート
0.25mlに、1mg/mlの濃度の塩化スズ無水物生理食塩水溶
液の0.1ml、1mg/mlの濃度のアスコルビン酸溶液の0.1ml
及び99mTcO4(20mCi/ml生理食塩水)0.1mlを加え、室温
で30分間放置した。
得られた反応液をセファデックスG−50カラムで、PB
Sを溶出液として用い、ゲル濾過を行ない、分画し、放
射能の高い画分を合せて、99mTc−DTPA−抗GP68抗体を
得た。
実施例5(67Ga−DFO−抗GP68抗体 F(ab′)の製
造) (A)(F(ab′)フラグメントの製造) 抗GP68IgG抗体4mg(25ナノモル)を0.1Mの濃度で食塩
を含む0.1M酢酸緩衝液(pH、4.5)1mlに溶かし、これに
2.5%ペプシン(シグマ社製)を添加して、37℃、20時
間静置した。得られた反応液を、セファデックスG−50
カラムで、PH7.0のPBSを溶出液として用い、ゲル濾過を
行ない、溶出されたタンパク質画分を凍結乾燥して、F
(ab′)フラグメント1.6mgを得た。
(B)(DFO−抗GP68抗体F(ab′)フラグメント−
コンジュゲートの製造) 実施例3の(A)項と同様にして、DFO−抗GP68抗体
F(ab′)フラグメント−コンジュゲートを製造し
た。
(C)(67Gaによる標識) 実施例3の(B)項と同様にして、67Ga−DFO−抗GP6
8抗体F(ab′)フラグメント−コンジュゲートを製
造した。
実験例1(癌細胞への125I−抗GP68抗体の結合) エーリッヒ癌細胞及びザルコーマ180(S−180)癌細
胞は、雄性ddYマウスに移植後、7日目に腹水より採取
し、これに氷冷生理食塩水を加え、3回、遠心(5℃、
2000rpm、5分間)により洗浄した。
アデノカルシノーマ(ADC)755細胞及びルイス3LL肺
癌細胞は、雄性C57Bl/6マウスに皮下に継代移植して維
持した。移植後12日目に癌種留を破砕し、ステンレスス
チールメッシュを通して癌細胞浮遊液を調製し、氷冷生
理食塩水で3回上記と同様の条件での遠心により洗浄し
た。なお、赤血球は溶血して取り除いた。
1×105〜2×107個のそれぞれの癌細胞を、100μ
のPBSに浮遊させ、そこに、125I−抗GP68抗体の100ngを
加え、4℃、2時間保温した後、癌細胞を4℃で氷冷PB
Sで3回上記と同様の条件での遠心により洗浄した。
次に、癌細胞ペレットに結合した放射能をウエルタイ
プのシンチレーションカウンター(Aloka ARC300)で測
定した。癌細胞に特異的に結合した放射能の割合(%)
を、非特異結合放射能を減ずることにより算出した。
その結果を第1図に示すが、125I−抗GP68抗体のアデ
ノカルシノーマ755細胞及びルイス3LL肺癌細胞への結合
は高く、他方エールリッヒ癌細胞及びS−180癌細胞と
の結合は極めて小さかった。
実験例2(担癌マウスでの125I−抗GP68抗体の生物学的
分布) 約1×105個のエールリッヒ腹水癌細胞及びS−180癌
細胞をそれぞれ体重約30gの雄ddYマウスの左足後ろ側に
皮下移植した。
ルイス3LL肺癌細胞及びアデノカルシノーマ755細胞
は、体重約25gのC57Bl/6マウス背部に皮下移植した。
また、Colon38細胞、MMT060562細胞及びB−16細胞も
同様にC57Bl/6マウス背部に皮下移植した。
癌が直径1cm程度、0.5〜1gの重さになる癌移植後1〜
3週間目に分布の試験を行った。
それぞれの担癌マウスに、125I−抗GP68抗体(約37KB
q、5μg/マウス)を尾静脈より静注した。
注射後3日目に屠殺し、腹腔大動脈から血液を採取
し、また臓器及び癌を摘出し、秤量の後、シンチレーシ
ョンカウンターでそれぞれの放射能を測定した。その結
果から、各組織の湿重量のgあたりの注射した125I−抗
GP68抗体の分布%(%ID)を算出した。
その結果を表1に示す。なお、表1の結果は、4〜5
匹のマウスを1群とした平均値(%)±SE(%)で示し
た。
MMT060562、B−16及びアデノカルシノーマ755癌細胞
への集積は、試験した各種癌の中ですぐれた部類に入っ
ていた。
125I−抗GP68抗体の分布における癌/血液(T/B)、
癌/肝臓(T/L)及び癌/筋肉(T/M)の比を、それぞれ
の癌について算出したところ、アデノカルシノーマ755
及びMMT060562がそれらの中で卓越していた。これらの
結果は、実験例1の結果と対応するものである。
実験例3(標識化抗体による癌イメージング) アデノカルシノーマ755移植マウスの尾静脈から67Ga
−DFO−抗GP68抗体、67Ga−DFO−抗AFP抗体及び67GaCl3
をそれぞれ個々に尾静脈から静注し、注射後1日から6
日まで連続してシンチグラムを取った。
マウスはペントバルビタールナトリウムで麻酔し、高
エネルギー パラレルホール コリメーター(parallel
−hole collimater、Ohio NuclearΣ series)を装着し
たガンマカメラで像映、スキャンした。1イメージ当り
15,000カウントを集積した。
その結果、67Ga−DFO−抗GP68抗体のアデノカルシノ
ーマ755癌移植部位への集積が所期より際立っているこ
とが示された。
注射3日後の各標識体の生物学的分布の量を表2に示
す。表2の結果もまた、4〜5匹のマウスを1群とした
平均値±SEで示した。
67Ga−DFO−抗AFP抗体の肝臓、腎臓への集積は癌への
それよりもかなり高く、また、67GaCl3の場合、癌への
集積よりも、肝臓、腎臓、脾臓などの多くの臓器への集
積の方が高く、強く描写され、癌特異的、選択的イメー
ジングを行うことは難しく、それに比較して、67Ga−DF
O−抗GP68抗体の癌局所への集積性は極めて高く、67Ga
−DFO−抗GP68抗体の臨床的な有用性が示唆された。
同様に、111In−DTPA−抗GP68抗体の癌イメージング
においても同様の結果が得られた。
実験例4(MMT060562マウス乳癌移植マウスでの癌治
療) MMT060562マウス乳癌細胞1×105〜2×107個を移植
したC57Bl/6マウスに、1週間後に67Ga−DFO−抗GP68抗
体を尾静脈より静注し、注射後癌の大きさを測定したと
ころ、6日目には腫瘍の大きさは半分以下となった。
実験例5(ヒト癌移植ヌードマウスでの125I−抗GP68抗
体の生物学的分布) ヒト直腸腺癌(Colon adenocarcinoma)LS174T細胞を
ヌードマウス(日本クレア製)の背部皮下に移植し、10
日後に分布の試験を行なった。結果を表3に、4〜5匹
のマウスを1群とした平均値±SEで示す。
[発明の効果] 本発明により、癌の診断、治療に有用な標識化抗体が
提供された。本発明の標識化抗体は、癌部位への特異的
集積性が高く、抗体投与後短時間で、癌部位のより特異
的、選択的イメージングが可能であり、また癌のターゲ
ッティングによる抗腫瘍効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実験例1における癌細胞に特異的な放射能の結
合割合(%)を示すグラフであり、○はルイス3LL肺癌
細胞での結果を、●はアデノカルシノーマ755癌細胞で
の結果を、□はザルコーマ−180癌細胞での結果を、■
はエーリッヒ癌細胞での結果をそれぞれ示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/574 A61K 43/00 ADU (56)参考文献 特開 平3−173899(JP,A) 特開 昭60−100597(JP,A) 特表 昭57−500195(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 16/18 - 16/32 A61K 49/00 - 49/02 A61K 43/00 A61K 39/395

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マウス胎児由来GP68シアロ糖タンパク質を
    抗原として調製した抗体と、該抗体に結合した標識化合
    物とを有し、 該マウス胎児由来GP68シアロ糖タンパク質が、以下の特
    性: 分子量 約68,000 等電点 5.4〜5.6 糖組成(モル比) ガラクトース 1 マンノース 1.42 フルクトース 0.32 グルコース 0.07 グルコサミン 1.06 ガラクトサミン 0.10 シアル酸 0.18 アミノ酸組成(モル比) アスパラギン酸 43.2 スレオニン 26.1 セリン 35.8 グルタミン酸 58.4 グリシン 30.2 アラニン 30.6 システイン 6.9 バリン 23.3 メチオニン 5.2 イソロイシン 9.5 ロイシン 48.4 チロシン 8.6 フェニルアラニン 17.4 リジン 26.3 アンモニア 90.1 ヒスチジン 10.6 アルギニン 18.2 プロリン 26.5 アミノ末端のアミノ酸配列 (X及びYは未確定) を有することを特徴とする標識化抗体。
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