JP2950733B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents

車両の変速制御装置

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JP2950733B2
JP2950733B2 JP6233344A JP23334494A JP2950733B2 JP 2950733 B2 JP2950733 B2 JP 2950733B2 JP 6233344 A JP6233344 A JP 6233344A JP 23334494 A JP23334494 A JP 23334494A JP 2950733 B2 JP2950733 B2 JP 2950733B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は車両の変速制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の変速制御装置として、シフ
タ(変速指令手段)をシフトアップ,シフトダウン,ホ
ールド,リバース,ニュートラルの5ポジションに単純
化すると共に、その発生要求(シフトアップ要求,シフ
トダウン要求,シフト位置のホールド要求,リバースセ
ット要求,ニュートラルセット要求)に基づいてトラン
スミッションのギヤシフトを行うようにしたものが知ら
れている。
【0003】このうち、車両の積載量などに応じて発進
段の容易な変更を可能にするため、特願平5−2107
13号にあっては、発進に際してシフタのシフトアップ
要求またはシフトダウン要求が発生すると、その発生回
数に応じて発進段をn段(通常は1段)ずつアップまた
はダウンさせるようになっているが、これでも所望の発
進段を選択するまでシフタのシフトアップ操作またはシ
フトダウン操作を繰り返さなければならず、未熟な運転
者によって車両の機敏に発進させるのが難しいという問
題点があった。
【0004】そのため、高速段と低速段との2種類の発
進段を設定し、発進に際してシフタのシフトアップ要求
が発生すると高速発進段へのギヤセットを、同じくシフ
トダウン要求が発生すると低速発進段へのギヤセットを
選択的に行うようにしたものが提案されている(実願平
5−52735号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この先願例
では車両の積載量に応じた発進段を選択するのにシフト
要求の発生操作を1回だけ行えば良いが、2種類の設定
範囲から発進段を選択するにすぎないため、積載量など
使用条件が大きく変わる車両の場合、発進段の多様な選
択に応じ切れないという不具合があった。
【0006】この発明はこのような問題点を解決するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、図4の
ようにトランスミッションのギヤシフト機構を駆動する
ギヤシフトアクチュエータjと、シフトレバーのレンジ
位置に応じてシフトアップ要求、シフトダウン要求、ニ
ュートラルセット要求、リバースへのギヤセット要求、
シフト位置のホールド要求を発生する手段kと、その発
生要求に基づいてギヤシフトアクチュエータを制御する
手段lと、発進段の設定値に高速発進段を記憶する手段
pと、同じく低速発進段を記憶する手段qと、停車状態
でトランスミッションがニュートラルのときにクラッチ
ペダルを介してクラッチを切断すると発進条件の成立を
判定する手段nと、その条件成立時にシフトアップ要求
が発生すると高速発進段の記憶値に基づくシフト段への
ギヤセット制御を、シフトダウン要求が発生すると低速
発進段の記憶値に基づくシフト段へのギヤセット制御を
指令する手段mと、停車状態でクラッチが切断され条件
付けスイッチがオンのときに、シフトレバーがシフトア
ップ位置またはシフトダウン位置に所定時間以上保持さ
れると特定条件の成立を判定する手段sと、その特定条
件成立時のシフトレバーがシフトアップ位置にあれば高
速発進段の変更要求を、シフトダウン位置にあれば低速
発進段の変更要求を発生する手段tと、その変更要求に
応じて高速発進段または低速発進段の記憶値をシフトレ
バーが保持されているそのときのトランスミッションの
現在段に設定変更する手段uを設けた。
【0008】第2の発明では、図4において発進段の変
更要求の発生時にトランスミッションの現在段が発進段
の許容範囲に入るか否かを判定する手段hと、その判定
結果から現在段が許容範囲から外れるときは発進段の設
定変更を禁止する手段iを設ける。
【0009】
【作用】第1の発明によれば、停車状熊でトランスミッ
ションがニュートラルのときに、クラッチペダルを介し
てクラッチを切断し、シフトレバーのシフトアップ要求
を発生させると、高速発進段の記憶値に基づくシフト段
へのギヤセット制御を、同じくシフトダウン要求を発生
させると低速発進段の記憶値に基づくシフト段へのギヤ
セット制御が行われ、停車状態でクラッチが切断され、
条件付けスイッチがオンのときに、シフトレバーをシフ
トアップ位置またはシフトダウン位置に所定時間以上保
持すると、高速発進段または低速発進段の記憶がシフト
レバーが保持されているそのときのトランスミッション
の現在段に設定変更される。したがって、運転者は積載
量など使用条件に応じて高速発進段と低速発進段を単に
選択できるだけでなく、トランスミッションのギヤセッ
ト状態で既述の変更操作を行うことで、高速発進段と低
速発進段の記憶値を変更できるので、発進段の多様な選
定が可能になる。
【0010】第2の発明によれば、発進段の設定変更に
制限(許容範囲)を設けることで、エンストなどを起こ
しやすい無理な発進や変更操作などの繰り返しを未然に
防止できる。
【0011】
【実施例】図1はディーゼルエンジン車両への適用例を
示す装置全体の構成図で、燃料噴射ポンプ1のコントロ
ールレバーをアクセル開度に応じて駆動すると共に、エ
ンジン回転を要求回転と一致させるように制御するスロ
ットルアクチュエータ2と、クラッチ3の断続操作を行
うクラッチアクチュエータ4(エアブースタを含む)が
設けられる。トランスミッション5は少ないギヤ数で多
段変速を実現するため、メインギヤの前後にスプリット
ギヤとレンジギヤを備える常時噛合式が採用され、メイ
ンギヤのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュ
エータ6のほか、メインギヤ前後のスプリットギヤとレ
ンジギヤをそれぞれH−L(ハイ・ロー)に切り替える
スプリットアクチュエータ7とレンジアクチュエータ8
が設けらえる。
【0012】車両の変速制御に必要な運転状態の検出手
段として、アクセルペダル9にエンジン負荷に相当する
ペダル踏み角(アクセル開度)を検出するアクセルセン
サ10が、フライホイールにエンジンの回転速度を検出
するエンジン回転センサ11と、クラッチ3のストロー
ク位置を検出するクラッチストロークセンサ12が、ク
ラッチペダル13にペダルの初期位置と作動位置を検出
するペダルSW14,15が、トランスミッション5に
メインギヤとスプリットギヤおよびレンジギヤのシフト
位置を検出するポジションセンサ16〜18と、メイン
シャフトに連結するプロペラシャフトの回転速度を検出
するメインシャフト回転センサ19(車速センサとして
機能する)と、メインシャフト上を遊転するメインギヤ
の回転速度を検出するギヤ回転センサ20が設けられ
る。
【0013】運転室にはトランスミッション5のシフト
レバー装置21(シフタ)に加えて、変速(シフトアッ
プ,シフトダウン)にスプリットギヤの切り替えを行わ
ない段飛びモード(前進6段)とスプリットギヤの切り
替えが加わる多段モードを選択するモードスイッチ22
と、後述する発進段の設定変更を行う際に操作するため
のDIAGスイッチ23(条件付けスイッチ)と、トラ
ンスミッション5のシフト位置およびモードスイッチ2
2のオン−オフ状態などを表示するモニタ24が配設さ
れる。なお、シフタ21はその動作パターンがシフトア
ップ,シフトダウン,ホールド、リバース,ニュートラ
ルの5ポジションを持つh型に単純化され、シフトレバ
ーのレンジ位置に応じてシフトアップ要求,シフトダウ
ン要求,シフト位置のホールド要求,リバースへのギヤ
セット要求を発生する。
【0014】これらの各種信号に基づいてアクチュエー
タの駆動を制御するのがエンジンコントロールユニット
25とトランスミッションコントロールユニット26
で、シフタ21の発生要求に応じて、トランスミッショ
ン5のギヤシフトなどを制御する。例えば、走行中のシ
フトアップ要求またはシフトダウン要求が発生すると、
必要に応じてエンジン回転速度を制御しながら、トラン
スミッション5の現在段にモードスイッチ22の選択に
対応するn段(多段モードのときにn=1、段飛びモー
ドのときにn=2)を加算または減算する変速段へのギ
ヤシフトを実行する。なお、クラッチ3は変速制御要求
に基づきクラッチアクチュエータ4によりエンジン制
御、トランスミッション制御に同期して断続される。ま
た、運転者が手動制御(ペダル操作)することで断続さ
れる。
【0015】トランスミッションコントロールユニット
26はこの場合、その揮発しないメモリに高速発進段と
低速発進段のディフォルト値および任意な設定値が格納
され、これらの設定値を発進段として選択的にギヤシフ
トさせる機能と、高速発進段と低速発進段の設定値を選
択的に変更(書き換え)する機能を備える。
【0016】図2は発進段の設定変更を行う制御機能を
説明するフローチャートで、車速がゼロ(停車状態)
で、クラッチが切断され、DIAGスイッチ23がオン
のときに、シフトレバーシフトアップ位置に固定され、
所定時間以上が経過すると、特定条件が成立したと判定
して、トランスミッション5のギヤ位置(現在段)が高
速発進段としての許容範囲に入る場合(UPmin≦現
在段≦UPmax)にのみ、メモリの高速発進段(設定
値)をトランスミッション5の現在段に書き換える(1
〜8)。
【0017】同じく車速がゼロ(停車状態)で、クラッ
チが切断され、DIAGスイッチ23がオンのときに、
シフトレバーシフトダウン位置に所定時間以上保持され
ると、特定条件が成立したと判定して、トランスミッシ
ョン5の現在段が低速発進段としての許容範囲に入る場
合(DNmin≦現在段≦DNmax)にのみ、低速発
進段の設定値をトランスミッション5の現在段に書き換
える(1〜3→9〜14)。
【0018】発進段の選択に基づくギヤセット制御につ
いては、図3のフローチャートで説明すると、車速がゼ
ロ(停車状態)で、トランスミッション5がニュートラ
ルのときに、クラッチペダルを介してクラッチを切断
、シフタ21のシフトアップ要求が発生すると、発進
条件の成立を判定して、設定変更済みの高速発進段への
ギヤセットを制御する(1〜6→12)。メモリに高速
発進段の設定値が無い場合、高速段のディフォルト値を
発進段としてギヤセットを制御する(5→7→12)。
【0019】同じく車速がゼロ(停車状態)で、トラン
スミッション5がニュートラルのときに、クラッチペダ
ルを介してクラッチを切断し、シフタ21のシフトダウ
ン要求が発生すると、発進条件の成立を判定して、設定
変更済みの低速発進段へのギヤセットを制御する(4→
8〜10→12)。メモリに低速発進段の設定値が無い
場合、低速段のディフォルト値を発進段としてギヤセッ
トを制御する(9→11→12)。
【0020】このように構成すると、運転者は高速発進
段と低速発進段を単に選択できるだけでなく、トランス
ミッション5をギヤセットした停車状態で、DIAGス
イッチ23をオンに入れ、シフトレバーをシフトアップ
位置またはシフトダウン位置に所定時間以上保持する
と、高速発進段または低速発進段の設定値をトランスミ
ッション5の現在段に変更できるので、車両の積載量な
ど使用条件に応じた発進段の多様な選定が可能になる。
【0021】この場合、エンジンキーをオフしても、発
進段の記憶値はメモリから揮発しないため、車両の使用
条件が変わらなければ、発進段の変更を改めて行わず、
発進条件を成立させるだけで、前回に変更済みの設定値
に基づく発進段へのギヤセットにより、車両を容易に発
進させることができる。また、発進段の設定変更時に特
定条件の成立で変更要求が発生しても、トランスミッシ
ョン5の現在段が許容範囲から外れると、発進段の設定
変更は行われないので、エンストなどを起こしやすい無
理な発進や変更操作などの繰り返しを未然に防止でき
る。
【0022】なお、発進段の設定値は基本的に1つ設け
るだけでも良く、これを必要に応じて設定変更すること
で、車両の積載量など使用条件に応じた発進段を多様に
選定できる。その場合、発進段の設定が1つで、設定変
更の際に複数の設定値から選択するのでないため、発進
条件と間違いなく区別できるものであれば、特定条件は
どのような設定にしても良い。
【0023】
【発明の効果】第1の発明によれば、トランスミッショ
ンのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエー
タと、シフトレバーのレンジ位置に応じてシフトアップ
要求、シフトダウン要求、ニュートラルセット要求、リ
バースへのギヤセット要求、シフト位置のホールド要求
を発生する手段と、その発生要求に基づいてギヤシフト
アクチュエータを制御する手段と、発進段の設定値に高
速発進段を記憶する手段と、同じく低速発進段を記憶す
る手段と、停車状態でトランスミッションがニュートラ
ルのときにクラッチペダルを介してクラッチを切断する
発進条件の成立を判定する手段と、その条件成立時に
シフトアップ要求が発生すると高速発進段の記憶値に基
づくシフト段へのギヤセット制御を、シフトダウン要求
が発生すると低速発進段の記憶値に基づくシフト段への
ギヤセット制御を指令する手段と、停車状態でクラッチ
が切断され条件付けスイッチがオンのときに、シフトレ
バーがシフトアップ位置またはシフトダウン位置に所定
時間以上保持されると特定条件の成立を判定する手段
と、その特定条件成立時のシフトレバーがシフトアップ
位置にあれば高速発進段の変更要求を、シフトダウン位
置にあれば低速発進段の変更要求を発生する手段と、そ
の変更要求に応じて高速発進段または低速発進段の記憶
値をシフトレバーが保持されているそのときのトランス
ミッションの現在段に設定変更する手段を設けたので、
高速発進段と低速発進段を選択できるだけでなく、これ
らの記憶値を変更できるので、運転者は積載量など使用
条件に応じた発進段を効率よく選定して車両を発進させ
ることが可能になる。
【0024】第2の発明によれば、第1の発明におい
て、発進段の変更要求の発生時にトランスミッションの
現在段が発進段の許容範囲に入るか否かを判定する手段
と、その判定結果から現在段が許容範囲から外れるとき
は発進段の設定変更を禁止する手段を設けたので、特定
条件の成立で発進段の変更要求が発生しても、トランス
ミッションの現在段が許容範囲から外れると、発進段の
設定変更は行われないので、エンストなどを起こしやす
い無理な発進や変更操作などの繰り返しを未然に防止で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す装置全体の構成図であ
る。
【図2】コントロールユニットの制御内容を説明するフ
ローチャートである。
【図3】コントロールユニットの制御内容を説明するフ
ローチャートである。
【図4】この発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射ポンプ 2 スロットルアクチュエータ 3 クラッチ 4 クラッチブースタ 5 トランスミッション 6 ギヤシフトアクチュエータ 7 スプリットアクチュエータ 8 レンジアクチュエータ 10 アクセルセンサ 11 エンジン回転センサ 12 クラッチストロークセンサ 14,15 クラッチペダルスイッチ 16〜18 ギヤポジションセンサ 19 車速センサ 20 ギヤ回転センサ 21 シフタ 22 モードスイッチ 23 DIAGスイッチ 25 エンジンコントロールユニット 26 トランスミッションコントロールユニット
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トランスミッションのギヤシフト機構を駆
    動するギヤシフトアクチュエータと、シフトレバーのレ
    ンジ位置に応じてシフトアップ要求、シフトダウン要
    求、ニュートラルセット要求、リバースへのギヤセット
    要求、シフト位置のホールド要求を発生する手段と、そ
    の発生要求に基づいてギヤシフトアクチュエータを制御
    する手段と、発進段の設定値に高速発進段を記憶する手
    段と、同じく低速発進段を記憶する手段と、停車状態で
    トランスミッションがニュートラルのときにクラッチペ
    ダルを介してクラッチを切断すると発進条件の成立を判
    定する手段と、その条件成立時にシフトアップ要求が発
    生すると高速発進段の記憶値に基づくシフト段へのギヤ
    セット制御を、シフトダウン要求が発生すると低速発進
    段の記憶値に基づくシフト段へのギヤセット制御を指令
    する手段と、停車状態でクラッチが切断され条件付けス
    イッチがオンのときに、シフトレバーがシフトアップ位
    置またはシフトダウン位置に所定時間以上保持されると
    特定条件の成立を判定する手段と、その特定条件成立時
    のシフトレバーがシフトアップ位置にあれば高速発進段
    の変更要求を、シフトダウン位置にあれば低速発進段の
    変更要求を発生する手段と、その変更要求に応じて高速
    発進段または低速発進段の記憶値をシフトレバーが保持
    されているそのときのトランスミッションの現在段に設
    定変更する手段を設けたことを特徴とする車両の変速制
    御装置。
  2. 【請求項2】 発進段の変更要求の発生時にトランスミ
    ッションの現在段が発進段の許容範囲に入るか否かを判
    定する手段と、その判定結果から現在段が許容範囲から
    外れるときは発進段の設定変更を禁止する手段を設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
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