JP2950074B2 - 微調整式切削工具 - Google Patents

微調整式切削工具

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JP2950074B2
JP2950074B2 JP626793A JP626793A JP2950074B2 JP 2950074 B2 JP2950074 B2 JP 2950074B2 JP 626793 A JP626793 A JP 626793A JP 626793 A JP626793 A JP 626793A JP 2950074 B2 JP2950074 B2 JP 2950074B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切刃の刃先位置の微調
整機能を有する微調整式切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボーリング加工では一般に荒加工、中仕
上げ、および精密仕上げの工程が組まれるが、特に精密
ボーリング加工では穴形の寸法精度、仕上げ面粗さな
ど、高精度が要求されるため、その都度刃先位置の微小
寸法調整が必要となる。このような刃先位置の微小寸法
調整に対応するための切削工具として、例えば図10か
ら図13に示すようなものが知られている。
【0003】これらの図において符号1は外観略円筒状
をなすブッシュであって、その先端側(図10において
右側)外周部には円環状の鍔部1Aが形成されている。
このブッシュ1の内周部には、先端側に開口する挿入孔
2と基端側に開口する収納孔3とが設けられており、こ
れら挿入孔2および収納孔3の間には、これらの孔2,
3より内周側に突出する環状の壁部4が形成されてい
る。
【0004】そして、この挿入孔2には調整ナット5を
介してカートリッジ6が嵌入されている。ここで、この
調整ナット5は、その先端側外周部に鍔部5Aを有する
円筒状をなしており、またその内周部基端側には雌ネジ
部5Bが形成されていて、上記鍔部5Aをブッシュ1の
先端に形成された凹部1B内に収納させて挿入孔2内に
嵌入されている。なお、この調整ナット5の鍔部5Aに
は図11に示すように目盛り5Cが刻印されており、ま
たブッシュ1の鍔部1Aには副尺1Cが刻印されてい
る。さらに調整ナット5の鍔部5Aより先端側には、刃
先位置調整時にスパナ等を掛ける掛止部5Dが形成され
ている。
【0005】一方、カートリッジ6の先端には頭部7が
設けられており、この頭部7に形成されたチップ取付座
7Aに、超硬合金等の硬質材料より成るスローアウェイ
チップ8がクランプネジ9によって着脱自在に取り付け
られることにより、この例における切刃10が構成され
ている。また、このカートリッジ6の胴部11は上記調
整ナット5の内周部に嵌入可能な円柱状に形成されると
ともに、この胴部11の基端側には上記雌ネジ部5Bに
螺合する雄ネジ部11Aが形成されている。さらに、こ
のカートリッジ6の基端部には回り止め部12が形成さ
れており、当該カートリッジ6はこの回り止め部12を
ブッシュ1の上記壁部4の内周に嵌合させた状態で、調
整ナット5の内周に挿入されている。
【0006】ここで、この回り止め部12は上記胴部1
1の基端から突出する円柱状をなしており、その外周面
には3つの平坦な切欠面12A…が図12に示すよう
に、周方向に等間隔に、かつ互いに60°で交差する方
向に形成されている。一方、上記壁部4の内周部にも3
つの壁面4A…が、図12に示されるように互いに60
°で交差する方向に形成されている。そして上記回り止
め部12は、これら3つの壁面4A…に上記3つの切欠
面12A…をそれぞれ合わせることによって、各壁面4
A…により画定される三角形状の間隙部4Bに嵌入可能
とされている。
【0007】さらに、この回り止め部12の基端側に
は、上記ブッシュ1の収納孔3の開口部を閉塞するよう
に、ワッシャ13がクランプボルト14によって取り付
けられている。そして、このワッシャ13と上記壁部4
の基端面との間に形成される円筒状の空間部には、この
例における付勢部材として複数の皿バネ15…が挿入さ
れており、これらの皿バネ15…が伸長しようとする弾
性力によってワッシャ13、カートリッジ6、およびこ
れにネジ部5B,11Aを介して螺着した調整ナット5
は、常に基端側に向けて引き込まれる方向に付勢されて
いる。
【0008】このような構成の微調整式切削工具は、工
具本体(図示略)に設けられた嵌合孔にブッシュ1ごと
嵌入されて固定され、この工具本体を被削材の加工を施
すべき穴に挿入して上記切刃10によって切込みを与え
ることにより、ボーリング加工に供される。なお、図1
0から図13に符号1Dで示すのは、ブッシュ1を工具
本体に固定する際に固定用ネジを挿通するための凹所で
ある。ここで、回り止め部12が壁部4内周の間隙部4
Bに嵌入されることによってカートリッジ6はブッシュ
1に対して周方向に一定の位置を維持し、また皿バネ1
5…によって基端側に付勢されることにより調整ナット
5はその回転位置に関わらず鍔部5Aがブッシュ1の凹
部1Bに密着した状態を維持する。
【0009】そこで、調整ナット5の掛止部5Dにスパ
ナ等を掛けて調整ナット5を周方向に回動させることに
より、この調整ナット5に螺着されたカートリッジ6
は、ブッシュ1に対する周方向、すなわち調整ナット5
の回動方向の位置を維持しつつ、ネジ部5B,11Aの
ピッチに準じて調整ナット5に対し、その先端側に突出
あるいは基端側に後退することとなる。そして、これに
応じて上記切刃10の位置も上記ネジ部5B,11Aの
ピッチに準じてブッシュ1、すなわち上記工具本体に対
し、自在に出没されることとなる。従って上記構成の切
削工具によれば、予めネジ部5B,11Aのピッチを適
当に設定することにより、このピッチに準じて、工具本
体に対する切刃10の向きを変えずに、調整ナット5の
回動によって工具本体からの切刃10の突出量を微調整
することが可能である。そして、この時の突出量は調整
ナット5およびブッシュ1に刻印された目盛り5Cおよ
び副尺1Cによって知ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
微調整式切削工具では切削時に切刃10に作用する負荷
の分力によって、カートリッジ6を周方向に回動させよ
うとする捩れの力が生じる。そして、このような捩れの
力は、専らカートリッジ6の回り止め部12の切欠面1
2A…がブッシュ1の壁部4の壁面4A…に密着するこ
とによって受けとめられている。すなわち、これら切欠
面12A…と壁面4A…とが密着することにより、当該
切削工具の捩れに対する剛性が確保されているのであ
る。しかして、例えば切刃10に過大な負荷が作用する
などして工具剛性が捩れの力に抗しきれなくなると、カ
ートリッジ6に、いわゆるガタが生じてしまい、これに
よって切刃10の位置に誤差が発生したりして、形成さ
れる穴の精度の劣化を招くおそれがある。
【0011】ここで、このようなガタの発生を抑えるた
めには、回り止め部12の外径を大きくしたり、あるい
は壁部4の厚さを厚くしたりすることにより、上記切欠
面12A…と壁面4A…との密着面積を増大させて、捩
れに対する剛性の向上を図る必要がある。しかしなが
ら、当該切削工具は上述のように工具本体に形成された
嵌合孔に挿入されて使用に供されるものであり、このた
めブッシュ1の内周部の容量は自ずと制限されざるを得
ない。しかるに、このようなブッシュ1の内部において
回り止め部12の外径を大きくしたり、壁部4の厚さを
厚くしたりすることは、取りも直さずこのブッシュ1の
内部容量をさらに低減することを意味するものであり、
このため皿バネ15…が収納される上記円筒状の空間部
等を確保した上で、このように回り止め部12の外径を
大きくしたり、壁部4の厚さを厚くしたりすることは不
可能であった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するために為されたもので、工具本体に着脱自
在に装着される筒状のブッシュと、先端に切刃が設けら
れ、上記ブッシュに調整ナットを介して嵌入されるカー
トリッジと、このカートリッジの基端側にクランプネジ
によって固定されるワッシャと、このワッシャと上記ブ
ッシュとの間に介装されて該ワッシャを介して上記カー
トリッジをその基端側に付勢する付勢部材とを備え、上
記調整ナットを回動して上記カートリッジを出没させる
ことにより、上記切刃の上記ブッシュ先端からの突出量
が微調整可能とされた微調整式切削工具において、上記
カートリッジとワッシャとを、カートリッジの基端面と
ワッシャの先端面とに該カートリッジの出没方向に直交
する方向に形成された互いに密着可能な凹溝と突条とに
よって係合せしめるとともに、上記ワッシャとブッシュ
とを、該ワッシャの外周部に形成されたワッシャ側係合
部と該ブッシュの基端部に形成されたブッシュ側係合部
とによって係合せしめて、これらカートリッジとワッシ
ャとの係合およびワッシャとブッシュとの係合によって
上記カートリッジとブッシュとを上記調整ナットの回動
方向に一体化したことを特徴とする。
【0013】
【作用】このような構成の微調整式切削工具では、カー
トリッジとワッシャとは、カートリッジの基端面とワッ
シャの先端面とに形成された凹溝と突条との係合によっ
て調整ナットの回動方向、すなわち上記従来例における
周方向に一体化された上で、クランプネジによって固定
される。一方、ワッシャとブッシュとは、それぞれに形
成された係合部によって同じく上記回動方向に一体化さ
れるので、結果的にカートリッジはワッシャを介して間
接的に上記回動方向にブッシュに一体化されることとな
る。このため上記構成の微調整式切削工具によれば、従
来のようにカートリッジの回り止め部をブッシュの壁部
に形成された間隙部に嵌合させて、直接的にカートリッ
ジとブッシュとを調整ナットの回動方向に一体化する場
合に対し、ブッシュの内部容量を低減することなく、工
具の捩れに対する剛性を確保することが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、図1から図5を用いて本発明の一実施
例について説明する。ただし、これらの図において図1
0から図13に示した従来例と同じ部分には同一の符号
を配して説明を簡略化する。
【0015】本実施例の微調整式切削工具も上記従来例
と同様、図5に示すように工具本体(図示略)に形成さ
れた嵌合孔に挿入されるブッシュ1と、このブッシュ1
の挿入孔2に調整ナット5を介して挿入されるカートリ
ッジ6と、このカートリッジ6の先端にクランプネジ9
により着脱自在に取り付けられるスローアウェイチップ
8と、カートリッジ6の基端にクランプボルト14によ
り固定されるワッシャ13と、このワッシャ13により
閉塞される上記ブッシュ1の収納孔3においてこのワッ
シャ13とブッシュ1の壁部4との間に挿入される付勢
部材としての皿バネ15…とから構成されている。そし
て、上記調整ナット5とカートリッジ6とは、それぞれ
の雌ネジ部5Bと雄ネジ部11Aとが螺合せしめられて
いて、カートリッジ6のブッシュ1に対する回動と調整
ナット5のブッシュ1に対する進退とを拘束した状態で
調整ナット5を回動することにより、カートリッジ6は
上記ネジ部5B,11Aのピッチに準じてその先端側に
突出、あるいは基端側に後退するように設定されてい
る。
【0016】ここで、本実施例でもカートリッジ6の基
端部には、該カートリッジ6の胴部11よりも小径の回
り止め部12が形成されているが、本実施例ではこの回
り止め部12は上記従来例のような切欠面を有すること
なく、その外周面は円筒面状に形成されている。また、
ブッシュ1の壁部4の内周面も本実施例ではこの回り止
め部12が嵌入可能な円筒面状に形成されていて、カー
トリッジ6はその回り止め部12をこの壁部4の内周か
ら上記収納孔3側に突出させて上記挿入孔2内に挿入さ
れている。しかして本実施例では、このカートリッジ6
の回り止め部12の基端に、該カートリッジ6の先端
側に向かって凹む断面コ字形のキー溝状の凹溝21が、
当該カートリッジ6の出没方向(図1において左右方
向)に垂直な方向(図1において図面に直交する方向、
図2においては上下方向)に形成されている。
【0017】一方、本実施例ではワッシャ13は、ブッ
シュ1の外径と略等しい外径を有する円盤状の蓋部22
と、この蓋部22の中央部から先端側に向けて突設され
た略円柱状の連結部23とから構成されている。そし
て、この連結部23の先端には、先端側に向かって
出する断面コ字形のキー状の突条24が、当該ワッシャ
13の径方向に沿って形成されており、この突条24の
幅は上記凹溝21に嵌入可能な大きさに設定されてい
る。また、このワッシャ13の蓋部22には図4に示す
ように、この蓋部22の外周から内周側に向かって凹む
略半長円状の切欠部22Aが2つ、該ワッシャ13の周
方向に等間隔に、すなわち当該ワッシャ13の中心軸を
挟んで互いに反対側に位置するように形成されている。
ここで、これらの切欠部22A,22Aは本実施例では
ワッシャ13の軸線方向視、すなわち当該切削工具の組
み付け時におけるカートリッジ6の出没方向視におい
て、上記突条24が形成された径方向に直交する径方向
に沿って内周側に凹むように形成されている(図4参
照)。
【0018】さらに、上記ブッシュ1の基端部には、こ
のブッシュ1の円環状をなす基端面から基端側に向かっ
て突出する円弧板状の突片25が2つ、該ブッシュ1の
周方向に等間隔に形成されている。そして、これらの突
片25,25の幅は、それぞれ上記ワッシャ13の切欠
部22A,22Aに嵌入可能な大きさに設定されてい
る。
【0019】上記構成の微調整式切削工具においてワッ
シャ13は、その突条24を、ブッシュ1の収納孔3内
に突出するカートリッジ6の回り止め部12の凹溝21
に嵌入させ、クランプボルト14によりカートリッジ6
に固定されて係合されている。また、このワッシャ13
は、その蓋部22に形成された2つの切欠部22A,2
2Aをそれぞれブッシュ1の突片25,25に嵌合させ
て、上記収納孔3を閉塞するように配設されている。す
なわち本実施例では、これら切欠部22A,22Aが本
発明で言うワッシャ側係合部とされ、また突片25,2
5がブッシュ側係合部とされている。従って、本実施例
では図4に示すように、これら2つの切欠部22A,2
2Aおよび突片25,25が配置される方向と上記凹溝
21および突条24が延びる方向とは、上記カートリッ
ジ6の出没方向視において、互いに直交するように配設
されることとなる。
【0020】しかして、このような構成の微調整式切削
工具では、カートリッジ6とブッシュ1とは、カートリ
ッジ6とワッシャ13とが凹溝21と突条24との嵌合
によって、周方向、すなわち調整ナット5の回動方向に
一体化されており、一方このワッシャ13は、その切欠
部22A,22Aと突片25,25との係合によって上
記回動方向にブッシュ1に一体化されている。すなわ
ち、結果的にカートリッジ6は上記回動方向に関して
は、ワッシャ13を介して間接的にブッシュ1に一体化
されており、これによってカートリッジ6の回り止めが
なされているのである。
【0021】ここで、カートリッジ6とワッシャ13と
を一体化させる凹溝21および突条24は、それぞれカ
ートリッジ6の基端に設けられた回り止め部12とワッ
シャ13に設けられた連結部23との互いに対向する
端面と先端面とに形成されている。またワッシャ13と
ブッシュ1とを一体化させる切欠部22A,22Aおよ
び突片25,25は、それぞれワッシャ13の蓋部22
の外周およびブッシュ1の基端に形成されている。この
ため上記構成の微調整式切削工具では、これらカートリ
ッジ6とワッシャ13との嵌合部、およびワッシャ13
とブッシュ1との係合部は、いずれも皿バネ15…が収
納される収納孔3に干渉することはなく、これによって
ブッシュ1内に常に一定の内部容量を確保することがで
きる。
【0022】また、カートリッジ6とワッシャ13と
は、これらカートリッジ6およびワッシャ13の径方向
に形成された凹溝21と突条24との嵌合によって一体
化されているので、これらカートリッジ8およびワッシ
ャ13に上記回動方向に作用する捩れの力に対しては、
高い組付剛性を得ることができる。さらに、ワッシャ1
3の切欠部22A,22Aとブッシュ1の突片25,2
5とは、当該切削工具の外周側で係合することとなるの
で、上述のような捩れの力に対しても強固にワッシャ1
3を保持することが可能である。従ってこの結果、カー
トリッジ6とブッシュ1とは、上記回動方向に作用する
捩れの力に対して高い剛性を維持したまま、該回動方向
に一体化されることとなり、これによって例えば切刃1
0に過大な負荷が作用したような場合でも、カートリッ
ジ6にガタが生じたりするのを防ぐことができる。
【0023】このように上記構成の微調整式切削工具に
よれば、付勢部材たる皿バネ15…を必要十分に収納可
能な内部容量を、ブッシュ1の大径化や長尺化を招くこ
となくブッシュ1内に確保しつつ、捩れ方向に作用する
力に対する工具剛性の向上を図ることが可能となる。そ
してこれにより、このような捩れの力によってカートリ
ッジ6にガタが生じるのを防ぐことができ、従ってこの
ガタに起因する切刃10の位置の誤差の発生をも未然に
防いで、ボーリングが施される穴の精度の向上を図るこ
とが可能となる。
【0024】ところで、このような微調整式切削工具に
おいては、カートリッジ6に上述のようなガタを生じせ
しめる他の要因として、切削時の負荷によりブッシュ1
に対して径方向に、カートリッジ6に振れが発生するこ
とが挙げられる。しかして図10から図13に示した従
来例では、ブッシュ1とカートリッジ6とは、ブッシュ
1の壁部4の内周部にカートリッジ6の回り止め部12
が嵌合することによって一体化されているため、この振
れも結局このブッシュ1とカートリッジ6との嵌合部に
集中することとなり、これによってカートリッジ6に生
じるガタが一層拡大されるという弊害を招く結果とな
る。
【0025】これに対して、上述のように本実施例の微
調整式切削工具では、カートリッジ6はワッシャ13
に、カートリッジ6の上記出没方向に直交する方向に形
成された凹溝21と突条24とによって嵌合されてお
り、またワッシャ13はブッシュ1に、上記出没方向か
ら見て上記凹溝21および突条24が形成された方向に
直交する方向に配設された切欠部22A,22Aと突片
25,25とによって係合されている。従って、カート
リッジ6に対してその径方向に生じる振れは、その方向
に応じて、上記凹溝21と突条24との嵌合部、または
上記切欠部22A,22Aと突片25,25との係合
部、あるいはこれらの双方に作用することとなる。
【0026】しかして本実施例では、上記出没方向視に
おいて上記嵌合部と係合部とが互いに直交する方向に形
成、配設されているので、例えば凹溝21と突条24と
の係合部が形成された方向に対して直交する方向(図1
において上下方向)に生じる振れは、これら凹溝21と
突条24との嵌合面によって抑えられることとなる。ま
た、この嵌合部が形成された方向に沿う方向、すなわち
切欠部22A,22Aと突片25,25との係合部が配
設された方向(図2において上下方向)に生じる振れ
は、これら切欠部22A,22Aと突片25,25との
係合面(切欠部22Aの内周面と、突片25の側面)に
よって抑えられる。さらに、これ以外の径方向に生じる
振れは、上記嵌合部が形成された方向と係合部が配設さ
れた方向との成分に分解され、それぞれの嵌合面および
係合面によって抑えられることとなる。このため、本実
施例の微調整式切削工具によれば、カートリッジ6の径
方向に作用する振れを抑えることが可能となり、これに
よってこのような振れに起因するカートリッジ6のガタ
をも防いで、より一層精密なボーリング加工を可能とす
ることができるという利点も得られる。
【0027】これに加えて本実施例では、ブッシュ1の
壁部4の内周面と、カートリッジ6の回り止め部12の
外周面とは、上述したように互いに嵌合する円筒面状に
形成されており、これによりカートリッジ6はブッシュ
1に対して、これらの面がなす円筒の中心軸線に平行な
方向および該中心軸線回りの回転方向以外の方向への動
きが拘束されることとなる。従って本実施例によれば、
ブッシュ1に対するカートリッジ6の傾斜を防ぐことが
可能となり、これによってもカートリッジ6の径方向へ
の振れを抑えて精密な加工を行なうことが可能となる。
【0028】さらに本実施例では、凹溝21および突条
24から成る上記嵌合部と切欠部22A,22Aおよび
突片25,25から成る上記係合部とが、上述のように
上記出没方向視において互いに直交する方向に形成され
ているので、これらの嵌合部または係合部に当該切削工
具の加工成形時における成形誤差によって多少のずれが
生じても、この誤差によるカートリッジ6の振れや、こ
のような誤差により当該切削工具の組み付けが不能とな
るような事態を防止することができる。すなわち、上記
嵌合部と係合部とが直交する方向に形成されているた
め、例えば凹溝21および突条24が切欠部22A,2
2Aおよび突片25,25の形成された方向にずれて形
成され、これによりワッシャ13が上記中心軸線から径
方向に偏った位置に取り付けられるとしても、切欠部2
2A,22Aと突片25,25が係合する範囲において
は、カートリッジ6の位置精度に何等関わりなく、ブッ
シュ1とカートリッジ6とをワッシャ13を介して上記
回動方向に一体化することができる。
【0029】逆に、切欠部22A,22Aおよび突片2
5,25が、凹溝21および突条24の形成された方向
にずれて形成されていたとしても、これら凹溝21およ
び突条25が嵌合する範囲においては、同じようにカー
トリッジ6の位置精度に関わりなく、ブッシュ1とカー
トリッジ6とを一体化することが可能となる。このよう
に本実施例によれば、上述のような成形誤差を、これら
の嵌合部および係合部を互いに直交する方向に形成する
ことによって吸収することができるため、当該切削工具
の加工成形において特に厳密な加工精度が要求されるよ
うなことはなく、比較的容易に加工成形を行ない得ると
いう利点が得られる。また、これに加えて本実施例で
は、上記嵌合部がキー溝状の凹溝21とキー状の突条2
4とにより形成されているので、両者が密着する面は上
記回動方向に対して直交する面となり、これによってカ
ートリッジ6とワッシャ13との組付剛性の向上を図る
ことができるという利点も得られる。
【0030】なお、本実施例では、図6に示すようにカ
ートリッジ6基端部の回り止め部12にキー溝状の凹溝
21を形成するとともに、ワッシャ13の連結部23に
この凹溝21に嵌入可能な突条24を形成したが、これ
とは逆に、図7に示すように上記回り止め部12に突条
24を形成するとともに、連結部23に凹溝21を形成
するようにしてもよい。また、本実施例では凹溝21を
断面コ字形のキー溝状に形成するとともに、突条24を
断面コ字形に突出するように形成したが、本発明におけ
る凹溝と突条とがこのような形状のみに限られるような
ことはない。
【0031】例えば、図8または図9に示すように、カ
ートリッジ6またはワッシャ13に形成される凹溝31
を、該カートリッジ6の基端側またはワッシャ13の連
結部23の先端側に開口する断面V字の谷形溝状に形成
するとともに、ワッシャ13またはカートリッジ6に形
成される突条32を、この凹溝31に密着可能な断面V
字の山形に形成するようにしてもよい。このような構成
の微調整式切削工具においても、カートリッジ6とワッ
シャ13とは凹溝31と突条32との係合によって調整
ナット5の回動方向に一体化されるため、上記実施例と
同様にブッシュ1の内部容量を低減することなく、工具
の捩れに対する剛性を確保できるという効果を得ること
ができる。
【0032】さらに本実施例では、凹溝31と突条32
とが互いに密着可能なV字谷形とV字山形に形成され、
この谷の底面と山の側面とが互いに密着した状態でカー
トリッジ6とワッシャ13とがクランプボルト14によ
り固定されているので、この密着状態においてこれらの
面の間のクリアランスは0となり、このためカートリッ
ジ6とワッシャ13とをより強固に一体化し得てカート
リッジ6のガタつきを一層効果的に防止することができ
るという利点も得られる。また、このような利点を得な
がらも、凹溝31や突条32の加工は比較的容易に行う
ことが可能である。
【0033】なおまた、上記実施例ではワッシャ13の
蓋部22に切欠部22Aを形成してワッシャ側係合部と
するとともに、ブッシュ1の基端部に突片25を形成し
てブッシュ側係合部としたが、ワッシャ13側に突片2
5を形成するとともに、ブッシュ1側にはこれに係合可
能な切欠部22Aを形成して、ブッシュ1とワッシャ1
3とを上記回動方向に一体化した構成としてもよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ブ
ッシュの大径化や長尺化を招くことなくその内部容量を
確保しつつ、捩れ方向に作用する力に対する工具剛性の
向上を図ることが可能である。そしてこれにより、この
ような捩れの力によってカートリッジにガタが生じるの
を防ぐことができるので、このガタに起因して切刃位置
に誤差が発生するのも未然に防ぐことができ、この結果
ボーリングが施される穴の精度の向上を図ることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破断側面図であ
る。
【図2】図1に示す実施例の基端部のX方向視の一部破
断平面図である。
【図3】図1に示す実施例の先端側からの正面図であ
る。
【図4】図2におけるYY断面図である。
【図5】図1に示す実施例の各部品の分解図である。
【図6】図1に示す実施例の凹溝21と突条24との嵌
合部を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例の凹溝21と突条24との
嵌合部を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例の凹溝31と突条32との
嵌合部を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の凹溝31と突条32との
嵌合部を示す図である。
【図10】従来の微調整式切削工具の一例を示す一部破
断側面図である。
【図11】図10に示す従来例の先端側からの正面図で
ある。
【図12】図10に示す従来例のZZ断面図である。
【図13】図10に示す従来例の各部品の分解図であ
る。
【符号の説明】
1 ブッシュ 2 挿入孔 3 収納孔 4 壁部 5 調整ナット 6 カートリッジ 10 切刃 12 回り止め部 13 ワッシャ 14 クランプボルト 15 皿バネ(付勢部材) 21,31 凹溝 22A 切欠部(ワッシャ側係合部) 24,32 突条 25 突片(ブッシュ側係合部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−304909(JP,A) 特開 平3−152886(JP,A) 実開 昭63−145948(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 29/00 - 29/034 B23B 39/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具本体に着脱自在に装着される筒状の
    ブッシュと、先端に切刃が設けられ、上記ブッシュに調
    整ナットを介して嵌入されるカートリッジと、このカー
    トリッジの基端側にクランプネジによって固定されるワ
    ッシャと、このワッシャと上記ブッシュとの間に介装さ
    れて該ワッシャを介して上記カートリッジをその基端側
    に付勢する付勢部材とを備え、上記調整ナットを回動し
    て上記カートリッジを出没させることにより、上記切刃
    の上記ブッシュ先端からの突出量が微調整可能とされた
    微調整式切削工具において、 上記カートリッジとワッシャとは、カートリッジの基端
    面とワッシャの先端面とに該カートリッジの出没方向に
    直交する方向に形成された互いに密着可能な凹溝と突条
    とによって係合せしめられているとともに、上記ワッシ
    ャとブッシュとは、該ワッシャの外周部に形成されたワ
    ッシャ側係合部と該ブッシュの基端部に形成されたブッ
    シュ側係合部とによって係合されていて、これらカート
    リッジとワッシャとの係合およびワッシャとブッシュと
    の係合によって上記カートリッジとブッシュとが上記調
    整ナットの回動方向に一体化されていることを特徴とす
    る微調整式切削工具。
  2. 【請求項2】 上記凹溝と上記突条とは、互いに嵌合可
    能なキー溝状とキー状とに形成されていることを特徴と
    する請求項1記載の微調整式切削工具。
  3. 【請求項3】 上記凹溝と上記突条とは、その断面が互
    いに密着可能なV字谷形とV字山形とに形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の微調整式切削工具。
  4. 【請求項4】 上記ワッシャ側係合部とブッシュ側係合
    部とは、上記カートリッジの出没方向から見て上記凹溝
    および突条が形成された方向に直交する方向に配設され
    ていることを特徴とする請求項1、請求項2、または請
    求項3記載の微調整式切削工具。
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