JPS6322004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、切刃位置を二次元方向即ち切削半径
及び長手方向に迅速かつ正確に徴調整し得る切削
工具に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

精密カウンターボーリングや精密ミーリング加
工等においては、切刃の二次元方向位置微調整機
能を備えた切削工具が必要になる。

この要求に応えた従来の微調整式切削工具とし
ては、第１図に示すように、目盛付管体１の中心
穴に、その穴に対して偏心した穴をもつスリーブ
２を嵌挿し、さらにスリーブ２の穴に、スリーブ
開口部に係止する調整ナツト３の螺合したバイト
ホルダ４を、その後方部に締結した座板５と管体
１との間に圧縮介在されたスプリング６により後
ろ向きに付勢して組込んだ実公昭52−51356号公
報に開示されるもの等が知られている。

しかしながら、この工具は、回転により切刃の
切削長手方向位置を変える偏心スリーブ２と切削
半径方向位置を変える調整ナツト３とが直接係合
し、その係合面にスプリング６の復元力が作用し
て大きな摩擦が生じるため、いずれか一方の調整
部品を回転させると他方が共回りし、予め調整し
た切削半径又は長手方向の寸法を狂わせる欠点が
ある。

一方、この問題を解決するものとして、本体に
設ける微調整機構の組込み穴を貫通穴とし、その
穴の一端部側に調整ナツトを、他端部側に偏心ス
リーブを配することにより、２つの調整部品の相
互干渉を避け、それによつて共回りを無くした工
具を本出願人等は実願昭59−7959号によつて提案
した。

しかし、工具の使用状況によつては、本体に貫
通穴を設けることができず、偏心スリーブと調整
ナツトの両者を同一個所に配置する必要の生じる
ことがある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、このような場合に有効な調整部品の
共回り防止機能を備える切削工具を提供するもの
で、この工具は、従来直接係合させていた偏心ス
リーブと調整ナツト間に、本体に対して直接又は
間接的に係合し、切刃の移動方向と同じ半径方向
には微移動するが回転は阻止される鍔付きの中間
スリーブを介在し、このスリーブにより偏心スリ
ーブと調整ナツトの回転力の相互伝達を防止した
ところに特徴を有する。

〔実施例〕

以下、添付図の実施例に基いて、本考案の構成
を詳しく説明する。

第２図乃至第５図に示す実施例の工具は、シヤ
ンク１０に対して着脱自在とした本体１１と、そ
の穴に挿入した偏心スリーブ１２、このスリーブ
に挿入した中間スリーブ１３、中間スリーブの穴
に挿入したスピンドル１４、調整ナツト１５、中
間スリーブの回り止め手段１６、スピンドルを回
り止めする可変圧力端子１７（第５図参照）、及
びスピンドル後方に外嵌された弾性体１８から成
る。

偏心スリーブ１２は、穴軸を本体の穴軸に対し
て僅かに偏心させたもので、その中間部には第５
図に示すように可変圧力端子１７を通す周方向の
長孔１２ａが、また、一端部には第２図に示すよ
うに、本体の穴縁部に係合する操作部付の鍔１２
ｂがそれぞれ形成され、鍔１２ｂにも、第４図に
示すように回り止め手段１６のキー１６ａを挿通
する周方向の長孔１２ｃが設けられている。

中間スリーブ１３は、外周面の軸と穴軸が同心
上にあるもので、一端部に偏心スリーブの鍔上に
圧接する鍔１３ａを有し、この鍔の裏面には、第
２図のＡ軸方向にのみ隔通をもつてキー１６ａを
係合させるガイド溝１３ｂを設けてある。また、
スリーブ１３の中間部には圧力端子１７を通す貫
通穴１３ｃ（第５図）が穿設されている。

一方、スピンドル１４は、頭部に切刃１４ａを
有し、その後方に、調整ナツト１５の螺合する螺
子部１４ｂと、途中にＡ軸と平行な平面１４ｃを
有し、この面を除く外周面の大半が中間スリーブ
の穴内面に密着する円柱部１４ｄ、座板１９を螺
合させる第２螺子部１４ｅを順次形成して成る。
なお、弾性体（図は皿ばね）１８は、本体の穴の
小径部１１ａと座板１９との間に圧縮介在され、
その復元力によつてナツト１５はスリーブ１３
に、このスリーブはスリーブ１２に、また、スリ
ーブ１２は本体にそれぞれ圧接している。

次に、回り止め手段１６は、本体に固定された
キー１６ａと中間スリーブのガイド溝１３ｂから
成るが、キー１６ａと溝１３ｂの位置関係は逆に
してよい。また、中間スリーブの鍔縁部に、偏心
スリーブより外側に位置して下向きに延びるキー
を一体に設け、一方、本体の端面にはＡ軸方向の
長溝を設け、この溝に一体のキーを直接係合させ
てもよい。そのほか、中間スリーブは本体１１、
スリーブ１２，１３、スピンドル１４の各者を貫
通するＡ軸方向のピンを通して回り止めしてよ
く、この場合、偏心スリーブ１２の軸穴は回転を
妨げないよう周方向の長孔にする必要がある反
面、１本のピンでスピンドルの回り止めも同時に
行える利点が生じる。

スピンドル１４の回り止めも実施例以外の構造
が種々考えられる。例えば、第１図に示す構造や
本体の小径部の穴を角形の長孔とし、その穴に対
応する個所でスピンドルを角軸にする構造等であ
る。しかし、そのような回り止め手段は、各部品
の嵌合部をいかに精密に加工しても現状の技術で
は微小のクリアランスの生じることを避けられな
いため、スピンドルにガタツキが生じ易い。これ
に対し、実施例の構造はその問題を生じない。

即ち、例示の工具は、第５図に示すように、圧
力調整ねじ１７ａ、皿ばね１７ｂ、そのばねに付
勢される接触子１７ｃから成る可変圧力端子１７
を設け、その接触子でスピンドル１４を半径方向
に押圧して中間スリーブ１３に圧接させているた
め、スピンドルの回転は勿論２つのスリーブも含
めたガタツキが同時に防止される。

なお、圧力端子１７と反対位置においてスリー
ブ１２，１３の外周に軸方向に延びる平面１２
ｄ，１３ｄを設けると、両スリーブが２点支持さ
れるため、スリーブのガタツキ防止効果が一層高
まり、より高精度の加工が可能になる。

また、スピンドル１４の頭部を軸部に対して着
脱自在にしておくと、頭部の交換のみで穴径の変
化に対処できる。

以上から成る本考案の切削工具は、調整ナツト
１５を回転させるとスピンドルが縦に微移動して
切刃のＢ軸方向位置が変わり、一方、偏心スリー
ブ１２を動きの許容される範囲で回転させると、
中間スリーブ１３のクランク運動によりスピンド
ルが横に微移動して切刃のＡ軸方向位置が変わ
る。このとき、中間スリーブ１３は回転が阻止さ
れているため、ナツト１５又はスリーブ１２の回
転力は中間スリーブとの接触部において遮断さ
れ、従つて、ナツト１５とスリーブ１２の共回り
が起こらない。

なお、切刃の移動量の表示は、第３図に示す如
く、本体１１、スリーブ１２，１３、ナツト１５
の各者に基準目盛２０と寸法目盛２１を付して行
えばよい。

〔効果〕

以上の通り、本考案の切削工具によれば、中間
スリーブによつて調整ナツトと偏心スリーブの回
転力の相互伝達が防止されるため、２つの調整部
品を同一個所にまとめて配置しても切刃の位置を
正確かつ迅速に調整し得る。

また、可変圧力端子を設けてスピンドルを回り
止めし、かつ２つのスリーブに平面を設けて各ス
リーブを２点支持したものは、切削中のガタツキ
が起こらず、加工精度がより向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の二次元方向微調整式切削工具
の断面図、第２図は本考案の切削工具の一例を示
す断面図、第３図はそのＸ−Ｘ線に沿つた断面
図、第４図は同じくＹ−Ｙ線に沿つた断面図、第
５図は第３図のＺ−Ｚ線に沿つた断面図である。 １０……シヤンク、１１……本体、１２……偏
心スリーブ、１２ａ……長孔、１２ｂ……鍔、１
２ｃ……長孔、１３……中間スリープ、１３ａ…
…鍔、１３ｂ……ガイド溝、１３ｃ……貫通穴、
１４……スピンドル、１４ａ……切刃、１４ｂ…
…螺子部、１４ｃ……平面、１４ｄ……円柱部、
１４ｅ……螺子部、１５……調整ナツト、１６…
…回り止め手段、１７……可変圧力端子、１８…
…弾性体、１９……座板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体の穴に、その穴に対して偏心した穴をも
   ち、かつ操作部の端面が本体の穴縁部に係合する
   偏心スリーブを挿入し、さらに、このスリーブの
   穴に、調整ナツトの螺合した切刃付のスピンドル
   を回り止めして、かつ弾性体により後ろ向きに付
   勢して組込んだ二次元方向微調整式切削工具にお
   いて、上記偏心スリーブと調整ナツト間に、本体
   に対して直接又は間接的に係合し、切刃の移動方
   向と同じ半径方向には微移動するが回転は阻止さ
   れる鍔付きの中間スリーブを介在したことを特徴
   とする二次元方向微調整式切削工具。