JP2949638B2 - 顕微鏡検査用標本キット - Google Patents

顕微鏡検査用標本キット

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JP2949638B2
JP2949638B2 JP15961390A JP15961390A JP2949638B2 JP 2949638 B2 JP2949638 B2 JP 2949638B2 JP 15961390 A JP15961390 A JP 15961390A JP 15961390 A JP15961390 A JP 15961390A JP 2949638 B2 JP2949638 B2 JP 2949638B2
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博章 本山
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば生体細胞、細菌、ウィルス等の生物
学並びに医学上の顕微鏡観察に用いる標本キットに関す
る。更に詳しくは、半透明スライドガラスと、被検体固
定用の多孔性のフィルターを用いた顕微鏡用標本キット
に関する。
[従来の技術] 一般に、細胞検査、細菌類の確認、薬効テスト等の生
物並びに医学研究用の顕微鏡観察は、例えば細胞診の場
合、被検体を重なり合わないようスライドガラス上に付
け(塗沫)、被検体が脱落しやすいスライドガラス上で
の被検体の固定化、染色及び洗浄を行った上で顕微鏡観
察に供するという、熟練度、手間及び時間のかかる処理
を経て行われている。
上記処理の実状から、、最近、多孔性フィルターを用
いて培養液中の被検体を捕捉し、被検体に対してこの多
孔性フィルター上で固定化、染色及び洗浄処理を施して
顕微鏡観察に供する検査システムが注目されている。こ
の新しい検査システムによると、被検体の重なり合いを
生じることなく容易に捕捉できると共に、多孔性フィル
ター上の被検体が脱落しにくいので、固定化、染色及び
洗浄処理が容易で、これまでの処理のような熟練度を要
しないばかりか、手間及び処理時間を大幅に軽減できる
ものと期待されている。
ところで、被検体を捕捉した上記多孔性フィルターを
そのまま透明なスライドガラス上に置いて顕微鏡観察し
たのでは、多孔性フィルターの孔の輪郭が被検体と重な
って見えてしまい、観察の妨げとなる。
これを防止するために、多孔性フィルター上に穂先し
た被検体を透明なスライドガラス上に転写してから観察
することや、透明なスライドガラス上で多孔性フィルタ
ーを溶剤で溶解除去してから観察することが一部で行わ
れている。しかし、これらは、検体の脱落なく転写や溶
液の除去を行うのに熟練の多大な手間及び時間を要し、
実用的なものとはなっていない。
そこで、このような熟練性、手間及び時間を要せず
に、多孔性フィルターの孔による観察障害を防止するた
め、被検体を捕捉した多孔性ンフィルターを半透明スラ
イドガラス上に乗せてそのまま観察することが提案され
ている(特開昭64−6914号)。
上記観察の特徴は、一般的透明なスライドガラスでは
なく、光の散乱作用が得られる半透明スライドガラスを
用いている点にある。そして、このような半透明スライ
ドガラスを使用しているのは、顕微鏡の光源からの光を
散乱させることで光学的に多孔性フィルターの輪郭が見
えなくなるようにするためである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、多孔性フィルターは、プレパラート
(スライドガラス上に被検体を乗せ、更にその上にカバ
ーガラスを被せたもの)の厚さ増大を押えるために極め
て薄く(一般には5〜10μm)半透明ガラス上へ置く際
の作業性が極めて悪い問題がある。即ち、半透明スライ
ドガラス上へ置く際にシワを生じやすく、シワなく多孔
性フィルターを半透明スライドガラス上へ置くのに手間
と時間がかかる問題である。半透明スライドガラス上に
置いた多孔性フィルターにシワが存在する場合、観察位
置をずらす毎に顕微鏡の焦点を調整し直さなければなら
ず、効率的な観察が不可能となる。
多孔性フィルターが極めて薄いことに基づく取扱い性
上の問題は、上記半透明スライドガラス上への載置時の
みばかり、それに先立って行われる被検体の捕捉、固
定、染色及び洗浄の各処理の作業性を悪化させる原因と
もなっている。
一方、半透明スライドガラスの使用によって、観察時
に多孔性フィルターの孔の輪郭が見えなくなるようにす
ることを開示している前記特開昭64−6914号は、その基
本原理は開示しているものの、具体的にどのような半透
明スライドガラスが有効であるかまでは開示していな
い。
従って、多孔性フィルターを用いた検査システムを真
に実用的なシステムとするには、前述の多孔性フィルタ
ーの薄さに基づく問題解決と共に、有効な半透明スライ
ドガラスの提供が不可欠である。
しかしながら、半透明スライドガラスといっても、単
に従来から広く使用されている透明なスライドガラスを
半透明化しさえすればよいというものではなく、多孔性
フィルターの孔の輪郭を見えなくするための光散乱作用
と同時に、高倍率下でも十分な視野の明るさが得られる
透過光の確保という要求を満足させる必要がある。
前述したように、多孔性フィルターを用いた検査シス
テムは、これまでの非効率的な作業を根本的に改善でき
る可能性を有しているにも拘らず、前記多孔性フィルタ
ーの薄さから来る取扱い上の問題点解決手段と、有効な
具体的半透明スライドガラスの提供がないため、真に実
用的な検査システムとはなっていないのが現状である。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、
多孔性フィルターの薄さから来る取扱い上の問題点を解
決すると共に、前記条件を満たす半透明スライドガラス
を提供し、多孔性フィルターを用いた検査システムの真
に実用的なシステムとすることを目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段及び作用] 上記目的を達成するために本発明において講じられた
手段を第1図(a)で説明すると、本発明では、上面に
枠体1が固定された多孔性フィルター2と、全光線透過
率が45〜55%、平行光線透過率が2.3〜3.3%、ヘイズ度
が85%以上の半透明スライドガラスとを有し、この半透
明スライドガラスが、硬化した光硬化性樹脂100重量部
に対して、数平均粒子径が0.3〜4.0μmのシリコーン樹
脂の球状粒子50〜150重量部を含有する光拡散層を、透
明板の少なくとも片面に設けた顕微鏡検査用標本キット
とするという手段を講じているものである。
本発明で用いる枠体1は、多孔性フィルター2をシワ
なく張った状態にたわみなく支持するもので、基本的に
はこのような使用の得られるものであれば足る。しか
し、過剰に厚いものとすると、観察時に対物レンズが衝
突しやすく、薄過ぎると必要な剛性が得にくいので、10
0〜200μm、特にカバーガラスの同等の150μm前後の
厚さであることが好ましい。
枠体1としては、上記のように薄く、かつ多孔性フィ
ルター2をたわまずにしシワなく張った状態で支持でき
ることの他に、錆にくく、耐薬品性にも優れ、耐久性を
有するものであることが望まれる。これらの点からする
と、枠体1の材質としてはステンレススチールが最適で
ある。
枠体1の大きさは、半透明スライドガラス3上に乗せ
られるものであればよいが、過剰に大きくすると、多孔
性フィルター2の張力でたわみやすくなるので、このた
わみを生じない範囲で適宜定めればよい。また、枠体1
の形状は、外形がほぼ正方形で、中央に円孔を開けた形
状が、多孔性フィルター2の張力によるたわみを生じに
くいので好ましい。
多孔性フィルター2は、従来と同様に被検体を捕捉す
るもので、従来使用されているものと同様なものが使用
できる。しかし、半透明スライドガラス3上にこれを置
いて顕微鏡観察することになるので、被検体を染色する
染料で染色されないこと、厚さ精度が高いことが好まし
い。このことから、従来使用されている多孔性フィルタ
ー2のうち、セルロース系のものより合成樹脂系のもの
の方が好ましい。合成樹脂系の多孔性フィルター2の具
体例としては、ジェネラルエレクトリック社製の「ニュ
ークリポアフィルター」が挙げられる。
多孔性フィルター2は、合成樹脂系のものの中でも、
用途上、厚さ10μm以下であり、面に対してほぼ直角に
形成された直径0.1〜10μmの直孔を有するポリカーボ
ネイト製のものが好ましい。この多孔性フィルター2
は、後述する半透明スライドガラス3と組合わせによっ
て、その孔の輪郭を見えにくくさせやすいものである。
上記多孔性フィルター2の厚さは、小さいほど好まし
いが、強度保持上、一般的には5μm以上の厚さのもの
が使用される。また、孔の直径は、被検体の大きさに応
じて選択され、一般的には1〜5μmのものが多く使用
される。
多孔性フィルター2の開口率は、被検体を捕捉する際
の培養液の過効率の向上等の観点から、できるだけ大
きい方が好ましいが、現在使用されている一般的なもの
は2〜12%程度である。また、孔の開口状態は、被検体
を全面に均一に捕捉できるよう、できるだけ均一である
ことが好ましい。
多孔性フィルター上2上面への前記枠体1の固定は、
基本的には両者を強固に接合できればよいが、第1図
(b)に示されるように、枠体1と多孔性フィルター2
の間にホットメルトフィルム4を介在させて、両者を熱
圧着させることが好ましい。このホットメルト接合によ
れば、ホットメルトフィルム4の材質を適宜選択するこ
とで、耐薬品性に優れた接合が得やすく、かつ多孔性フ
ィルター2を損傷して下面に凹凸を発生させることなく
接合することが容易となる。また、ホットメルトフィル
ム4は、枠体1と多孔性フィルター2の全体厚の増大を
防止しつつ強固な接合を得るため、40μm以下、特に20
〜10μmの厚さであることが好ましい。
多孔性フィルター2を損傷せずに、上記厚さで耐薬品
性に優れた強固な接合が得られるホットメルトフィルム
4の具体例としては、ポリエステル系ホットメルトフィ
ルム、特にポリブチレンテレフタレート系のホットメル
トフィルムを挙げるこができる。
半透明スライドガラス3は、前記した枠体1付の多孔
性フィルター2をその上に置いて、当該多孔性フィルタ
ー2に捕捉されている被検体を顕微鏡観察する際に、光
源からの光を散乱させて、多孔性フィルター2の孔の輪
郭が見えなくなるようにするものである。
本発明における半透明スライドガラス3としては、全
光線透過率が45〜55%、平行光線透過率が2.3〜3.3%、
ヘイズ度が85%以上であることが必要である。
全光線透過率は、視界の明るさを得ることからすれ
ば、高い値のものほど好ましいといえる。しかし、現実
的にはこれを高くするほど上記平行光線透過率及びヘイ
ズ度が得にくくのるので、どの程度まで全光線透過率の
高いものとするかは、得られる平行光線透過率とヘイズ
度との関係から選択すればよい。現在の技術で上記平行
光線透過率とヘイズ度を同時に満足させやすく、観察し
やすい明るさが得られる点からすると、全光線透過率は
45〜55%であることが必要である。
平行光線透過率は、多孔性フィルター2の孔を見えに
くくするためのもので、この観点からすれば低い値のも
のほど好ましいといえる。しかし、現実的にはこれを低
くするほど前記全光線透過率が得にくくなるので、どの
程度まで平行光線透過率の低いものとするかは、得られ
る全光線透過率との関係から選択すればよい。現在の技
術で前記全光線透過率を同時に満足させやすく、孔も見
えにくい点からすると、平行光線透過率は2.3〜3.3%で
あることが必要である。
ヘイズ度が85%以上であることは、やはり多孔性フィ
ルター2の孔を見えにくくするためのもので、この観点
からすれば90%以上の高い値のものほど好ましいといえ
る。しかし、現実的にはこれを高くするほど前記全光線
透過率が得にくくなるので、どの程度までヘイズ度が高
いものとするかは、得られる全光線透過率との関係から
選択すればよい。現在、前記全光線透過率を同時に満足
しようとすると、その上限は96%程度であろうと考えら
れる。
ヘイズ度が85%以上であることは、上記平行光線透過
率と同様に多孔性フィルター2の孔を見えにくくするた
めのものである点、前記平行光線透過率と同じである
が、本発明において特に重要な条件である。即ち、平行
光線透過率が前記範囲内であっても比較的高く、また全
光線透過率も比較的高い場合、多孔性フィルター2の孔
が見える場合があるが、ヘイズ度が85%以上であれば、
顕微鏡光源の照射光線量を絞ることで、視界を過剰に暗
くすることなくこれを見えなくすることができる。ま
た、孔の輪郭を見えにくくするために、従来多孔性フィ
ルター2の屈折率と同等な屈折率を持つ液体を多孔性フ
ィルター2の孔に流し込むという試みがある。これのみ
では効果が不十分であるが、この方式を採用した場合、
ヘイズ度が85%以上であれば、より明るい視界で孔の輪
郭を見えなくすることができる。
上記半透明スライドガラス3としては、シリコーン樹
脂球状粒子を含有させた光硬化性樹脂を硬化させた光拡
散層5を、透明板6の少なくとも片面に設けたものが用
いられる。このような半透明スライドガラス3とする
と、前記条件を満たす半透明スライドガラス3を容易に
量産できると共に、表面硬度、表面平滑性、耐薬品性に
優れた光拡散層5によって必要な光の拡散性能を付与す
ることが容易となる。
光拡散層5は、顕微鏡観察時に、観察位置をずらせて
も焦点がずれないよう、表面の平面粗度が1μm以下で
あることが好ましい。
光硬化性樹脂としては、従来知られている種々のもの
が使用でき、特に制限はないが、紫外線硬化型のものが
好ましい。
紫外線硬化型の光硬化性樹脂としては、例えばプレポ
リマーと、モノマーと、、光重合開始剤と、溶剤とを主
成分とするものが挙げられる。
上記プレポリマーとしては、例えばポリウレタンアク
リレート、ポリエステルアクリレート、ポリエポキシア
クリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールア
クリレート等の分子の末端ないし側鎖にアクロイル基を
導入した低分子オリゴマー等を挙げることができる。
モノマーとしては、例えばPETA(ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート)、TMPTA(トリメチロールプロ
パントリアクリレート)、1,6−HDDA(1,6ヘキサンジオ
ールジアクリレート)、NPGDA(ペオペンシルグリコー
ルジアクリレート)、2−EHA(2エチレンヘキシルア
クリレート)等を挙げることができる。
光重合開始時としては、例えば、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾイン系、
2,4−ジエトキシアセトフェノン、P−クロルベンゾフ
ェノン、ベンゾンフェノン等のケトン系、アゾビスイソ
ブチルニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)アゾベンゼン等のアゾベンゼン系、アント
ラキノン、フェナトキラノン等のキノン系等の光重合開
始時が挙げられる。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香
族系、イソプロパノール等のアルコール系、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル系、MEK等のケトン系等の
溶剤が挙げられる。
シリコーン樹脂球状粒子は、その数平均粒子径が0.3
〜4.0μmであることが必要で、特に0.8〜2.0μmであ
ることが好ましい。
この範囲のシリコーン球状粒子と、光硬化性樹脂の組
合せにより、表面硬度の高い光拡散相5が得やすく、全
光線透過率、平行光線透過率及びヘイズ度のバランスを
とりやすくなる。ま、シリコーン樹脂球状粒子の数平均
粒子が細かくなるほど全光線透過率は小さくなり、大き
くなるほど大となる傾向にあり、全光線透過率、平行線
透過率及びヘイズ度を、この数平均粒子径と共に後述す
るシリコーン樹脂球状粒子の量を選択することにより、
自由にコントロールが出来る。
上記シリコーン樹脂球状粒子の数平均粒子径は、次の
測定方法によるものをいう。
測定装置:遠心式自動粒度分布測定装置(パーティク
ルアナライザー) 形式:CAPA−500型 装置メーカー:日立工機 測定方式:高速遠心沈降法と自然沈降法を採用した光
透過式液相沈降粒度分布測定法により算出 分散媒体:界面活性剤水溶液 分散条件:超音波分散 シリコーン樹脂球状粒子の光硬化性樹脂への添加料
は、光硬化性樹脂の固形分(硬化後の光硬化性樹脂)10
0重量部に対して50〜150重量部であることが必要であ
る。この添加量が50重量部以下であると、前述の光学的
条件を満たす上で、光拡散層5の厚さが、溶剤含有状態
で280μm以上(硬化後で150μm以上)必要となり、光
拡散層5の形成が困難となる。また、逆に添加量が多過
ぎても光拡散層5の形成が困難になる。
光拡散層5を形成する透明板6としては、一般のスガ
イドガラスとして用いられているものと同様なソーダガ
ラス板でもよいが、例えばポリメチルメタクリレート等
の合成樹脂板等、他の透明板材でもよい。特にホウケイ
酸ガラス板は、紫外線透過率がよく、蛍光顕微鏡観察に
対しても有効であるので好ましい。
シリコーン樹脂球状粒子を添加した光硬化性樹脂を用
いて光拡散層5を形成する方法としては、量産に適し、
かつ光拡散層5の表面平滑性が得やすい点から、転写法
を用いることが好ましい。
以下、この転写法を第2図で説明する。
まず、第2図(a)に示されるように、支持フィルム
7上に、前述した光硬化性樹脂にシリコーン樹脂球状粒
子を添加したものを塗布する。この塗布は、シリコーン
樹脂球状粒子入り光硬化性樹脂を支持フィルム7上に均
一に付着させられればの方法でもよいが、例えばリバー
スコーター、バーコーター、コンマコーター、エアナイ
フコーター等による通常のコーティング手法により容易
に行うことができる。
支持フィルム7としては、表面平滑で、光硬化性樹脂
の硬化後に剥離できるフィルムが使用され、通常その厚
さは50〜180μmである。具体例としては、ポリエチレ
ンテレフタレートのフィルムを挙げることができる。
支持フィルム7への塗布完了後、光硬化性樹脂を十分
乾燥させ、含まれる溶剤を除去する。また、この溶剤除
去後、第2図(b)に示されるように、必要に応じてカ
バーフィルム8を被せてラミネートし、塗布されたシリ
コーン樹脂球状粒子入り光硬化性樹脂を保護するように
してもよい。
カバーフィルム8は、塗布されたシリコーン樹脂球状
粒子入り光硬化性樹脂から容易に剥離させることがで
き、かつ表面平滑なフィルムで、例えばポリエチレンフ
ィルムが用いられる。
上記により得られた転写シートを用いて(カバーフィ
ルム8は剥離する)、第2図(c)に示されるように、
透明板6にシリコーン樹脂球状粒子入り光硬化性樹脂を
転写する。
この転写は、透明板6の表面に、必要に応じてアンカ
ー処理を施し、熱転写により行なうことができる。熱転
写は、60〜140℃に加熱したローラー9で押えて圧着す
ることで行うことができる。また、工業的にはホットス
タンプ法が利用できる。
上記転写の後、第2図(b)に示されるように、光硬
化性樹脂を光硬化させ、さらに支持フィルム7を剥すこ
とで、光拡散層5を有する半透明スライドガラス3を得
ることができる。
[実施例] 実施例1 以下の材料及び方法により、半透明スライドガラスを
作成した。
(1)透明板 透明板A:アクリル板(900μm厚) 透明板B:ホウケイ酸ガラス板(985μm厚) 透明板C:ホウケイ酸ガラス板(1010μm厚) 尚、大きさは両者とも26×76mmとした。
(2)光拡散層 光硬化性樹脂としては、ポリウレタンアクリレート
と、TMPTAと、P−クロルベンゾフェノン及び、トルエ
ンと酢酸ブチルの混合溶剤(1:1)とを主成分とする紫
外線硬化型の光硬化性樹脂を用いた。
シリコーン樹脂球状粒子としては、数平均粒子径が2
μmのものを用いた。
上記光硬化性樹脂とシリコーン樹脂球状粒子の配合比
率を第1表に示す。尚、単位は重量%で、光硬化性樹脂
中の固形分は50重量%である。
(3)作成方法 支持フィルムとして厚さ125μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを用い、上記配合の光拡散層材料を
バーコーダーで230μmの厚さで塗布した後、120℃の雰
囲気下で、3分間エアバス乾燥し、カバーフィルムとし
て厚さ60μmのポリエチレンフィルムをラミネートし
た。
アンカー処理した透明板を20枚(5×4枚)並べ、上
記によって得た転写シートのポリエチレンフィルムを剥
した後、この剥離面をホットスタンプ機(ロール温度10
0℃)で、並べた透明板に熱圧着した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム側より
紫外線を照射して光硬化性樹脂を光硬化させた後、ポリ
エチレンテレフタレートフィルムを剥離し、半透明スラ
イドガラスを得た。
上記によって得た半透明スライドガラスの全光線透過
率、平行光線透過率、ヘイズ度及び光拡散層の表面粗さ
を下記の装置及び方法で測定した。
光学特性測定:東京電色(株)製デジタルヘーズメー
ターTC−H III型(JIS−K−6714,6718,6719及びASTM−
D−1003に準拠) 平面粗度測定:東京精密社(株)製触針式表面粗さ計
「Surfco 554A」(JIS−B−0601に準拠) 上記測定の結果を第2表に示す。
一方、下記の材料及び方法により、枠体付の多孔性フ
ィルターを作成した。
(1)枠体 厚さ150μmで、25×29mmの角を落した方形のステン
レススチール板の中央部に直径21mmの円孔を打ち抜いた
ものを使用した。
(2)多孔性フィルター 厚さ7μmのポリカーボネイトフィルムに直径2μm
の直孔を形成したもの(ジェネラルエレクトリック社製
の「ニュークリポアフィルター」)を用いた。
(3)作成方法 枠体にホットメルトフィルムを押圧加熱して張り付け
(100〜160℃の温度)、中央の円孔部分のホットメルト
フィルムを抜いてから、その上に多孔性フィルターを乗
せて、再度押圧加熱(100〜160℃の温度)することで両
者を接合して、枠体付多孔性フィルターを作成した。
上記によって得た枠体多孔性フィルターと、前述の半
透明スライドガラスを用い、次のようにして細胞標本を
作成した。
まず、生体組織をカミソリで薄く切片にし、培養液に
入れ、注射針を付けた注射器に吸い込み、これを培養液
中に急速に押し出くことで単細胞を得た。
次いで、濾過器の上に作成した枠体付多孔性フィルタ
ーを載せ、上記によって得た培養液中の単細胞を濾過し
た。これによって枠体付多孔性フィルターに捕捉された
細胞に、多孔性フィルター上で固定化、染色及び洗浄処
理を施した後、前述の半透明スライドガラスの上に載せ
50倍、100倍、200倍、1000倍、に拡大して各々観察を行
った。
その結果、細胞標本作成が極めて容易で、作業性に優
れることが確認されると共に、半透明スライドガラスA
〜Cのいずれかにおいても、多孔性フィルターの孔が見
えず、いずれの倍率においても鮮明に観察することがで
きた。
比較例1 枠体を付けずに多孔性フィルターのみを使用すると共
に、一般的透明なスライドガラスを用いた他は実施例1
と同様にして細胞標本を作成して観察を行った。
その結果、細胞標本の作成に手間を要し、実施例1に
比して数倍の時間を要した。また、多孔性フィルターの
孔が細胞と重複して見え、詳細な観察は困難であった。
実施例2 シリコーン樹脂球状粒子として、数平均粒子径が0.
8、2、4μmのものを用い、各々実施例1の同じ配合
で光拡散層を形成した。光拡散層の厚さを変化させつつ
実施例1と同様な測定を行ったところ、実施例1とほぼ
同様な性能を得るための光拡散の厚さ(硬化後の厚さ)
は第3表に示す厚さとなった。
[発明の効果] 本発明は以上説明した通りのものであり、多孔性フィ
ルターを用いた顕微鏡検査システムを真に実用的なシス
テムとすることができ、当該システムの普及を通じて顕
微鏡検査の迅速化及び確実化を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明に係る顕微鏡検査用標本キットの
断面図、同(b)はその部分拡大図、第2図(a)〜
(d)は転写法による半透明スライドガラスの作成方法
の説明図である。 1:枠体 2:多孔性フィルター 3:半透明スライドガラス 4:ホットメルトフィルム 5:光拡散層 6:透明板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−6914(JP,A) 特開 昭61−147128(JP,A) 実開 昭62−132509(JP,U) 実開 昭59−100247(JP,U) 特表 平3−502257(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 21/34 G01N 1/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上面に枠体が固定された多孔性フィルター
    と、全光線透過率が45〜55%、平行光線透過率が2.3〜
    3.3%、ヘイズ度が85%以上の半透明スライドガラスと
    を有し、この半透明スライドガラスが、硬化した光硬化
    性樹脂100重量部に対して、数平均粒子径が0.3〜4.0μ
    mのシリコーン樹脂の球状粒子50〜150重量部を含有す
    る光拡散層を、透明板の少なくとも片面に設けたもので
    あることを特徴とする顕微鏡検査用標本キット。
JP15961390A 1989-11-09 1990-06-20 顕微鏡検査用標本キット Expired - Lifetime JP2949638B2 (ja)

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