JP7406829B2 - 観察試料用被覆具、被覆具包装体及び観察試料の被覆方法 - Google Patents

観察試料用被覆具、被覆具包装体及び観察試料の被覆方法 Download PDF

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Description

本発明は、観察試料用被覆具、被覆具包装体及び観察試料の被覆方法に関する。
顕微鏡によるイメージング技術は、時々刻々と進化を挙げており、生命現象をライブで可視化しありのままの情報を得る必要不可欠な観察法である。2光子励起顕微鏡、全反射蛍光顕微鏡、超解像度顕微鏡の開発が例として挙がるように、ハード面(顕微鏡本体や観察精度)の開発には、目を見張るものがある。また、最近、臓器等の生体組織を透明化する試薬(非特許文献1、2)が開発され、生体組織の特定蛋白質の深部イメージングが可能となり、これまでなし得なかった生体組織を丸ごとイメージングするニーズが急増している。
ここで、説明が容易になるように、先に観察試料と観察検体について定義する。観察試料は、細胞や生体組織等、または、観察用基材もしくは保持材の上に載置された細胞や生体組織等とし、この観察試料を超薄膜で被覆したものを観察検体と定義する。
一方で、観察試料の作製(ソフト面)においては、従来技術では、観察したい細胞や生体組織を透明化試薬(非特許文献1、2)で透明化し、その生体組織をカバーガラス(観察用基材)に乗せている。ところが、この観察試料では、細胞や生体組織の乾燥を防げないうえに、慣性の力で像がぶれてしまい、長時間の観察や高解像度の画像を得ることが難しい。この従来技術の課題の乾燥については、細胞や生体組織をヒドロゲルで包むことで回避できるが、透明化した細胞や生体組織がもとの不透明な状態に戻ってしまう。そこで、観察したい細胞や生体組織をカバーガラス(観察用基材)に乗せ、その上から超薄膜で被覆する方法(観察検体)が開発されている。このようにすることによって、透明性を維持しながら、長時間の観察が可能になっている。この観察試料では、カバーガラス(観察用基材)側から顕微鏡による観察を行うが、この他に、超薄膜を観察用基材とし、細胞や生体組織を超薄膜で被覆し、超薄膜側から顕微鏡による観察を行う方法が提案されている。この方法によると、顕微鏡による観察の際に、カバーガラスのような光学的な妨げとならないため、細胞や生体組織のより深部まで観測が可能になっている。(非特許文献3)このように、顕微鏡によるイメージングの際には、超薄膜で被覆する需要が生じている。しかしながら、被覆する前の超薄膜は水性溶媒に浸漬された状態を経る。したがって、超薄膜を水性溶媒から大気中にピンセット等で取り出す際、超薄膜に縒り等が発生して平坦な状態で取り出すことが困難であった。その結果、対象の細胞や生体組織全体を超薄膜で被覆することが非常に難しいという問題がある。
このような問題を解決するため、不織布を基材として、その上に超薄膜を有しており、不織布の超薄膜側を被覆体に貼り付け、指の腹で不織布を擦ることで被覆体に超薄膜を転写する方法が提案されている。(特許文献1)
この他、水性溶媒に超薄膜を浮かべ、その超薄膜上に生体組織を乗せ、さらにその上からカバーガラス(観察用基材)を乗せ、生体組織とカバーガラス(観察用基材)を超薄膜で被覆することが行われている(非特許文献4)。
H. Hama, et al., Nat. Neurosci., 14, 1481 (2011) H. Hama, et al., Nat. Neurosci., 18, 1518 (2015) 撥水性超薄膜の調製とカバーグラスフリー生体深部イメージング法の確立、第8回CSJ化学フェスタ2018、学生ポスター発表、分野:2.無機化学・分析化学、発表番号:P2-072、2018年10月23日開催 Y. Okamura, et al., Adv. Mater., 29, 1703139(2017)
特開2017-164930号公報
しかしながら、特許文献1に記載された超薄膜の転写方法では、観察試料の表面に転写することは可能であるが、観察試料の裏面まで超薄膜で包み込んで観察検体を作製することは難しい。また、超薄膜を転写するために、不織布側を擦る必要があるため、細胞や生体組織がつぶれることや、細胞や生体組織がカバーガラス(観察用基材)の所定の位置からズレたり、する可能性があり、観察したい細胞や生体組織に圧力による影響を与える可能性がある。
また、非特許文献4に記載された観察検体の作製方法では、作業が煩雑で熟練を要するものである。また、生体組織とカバーガラス(観察用基材)が超薄膜で被覆される前に、カバーガラス(観察用基材)と超薄膜との間に必要以上に水性溶媒が入り込み、観察したい細胞や生体組織環境に影響を与える可能性がある。更に、生体組織が重い場合には、超薄膜の下方への変形が大きくなり、生体組織が水性溶媒に落ちてしまい、観察検体を作製できないことがある。
この他、細胞や生体組織を観察する研究者が、このような観察検体を製造するためには、超薄膜を得る必要があるが、超薄膜を搬送するためには、前述のように超薄膜が貼り付いた不織布での提供以外には、超薄膜製造時に使う犠牲層と基材をつけたままのフィルムを提供するか、超薄膜を溶媒に浮かせた状態で溶媒ごと提供するしかなく、超薄膜の搬送・流通が非常に難しいという課題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、観察検体の作製において、作業が容易な観察試料用被覆具、被覆具包装体及び観察試料の被覆方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る観察試料用被覆具は、観察試料を被覆するための超薄膜と、開口部が形成された保持部を有する本体部と、を備え、前記超薄膜は、前記開口部よりも大きく形成され、前記超薄膜は、前記開口部を塞ぐように少なくとも前記保持部の上面と側面の一部に物理吸着で貼り付き、前記保持部に保持されていることを特徴とする。
このような構成によれば、犠牲層と基材とが除去された超薄膜を、すぐに利用することができる。また、超薄膜が保持部に物理吸着で貼り付き保持されているため、観察検体の作製において、超薄膜に縒り等を発生させずに、容易に観察試料を被覆することができる。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記本体部が、前記保持部を板材で構成し、前記板材に貫通孔を形成して前記開口部としたプレート部と、前記プレート部の外周部から下方に延ばして設けた壁部と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、溶媒に浮いた超薄膜を本体部で掬い上げ、取出すときに壁部で支持することで、超薄膜の掬い上げる作業が容易になる。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記本体部が、前記保持部を線材で構成し、前記線材を枠状に配置して前記開口部とした枠部と、前記枠部に接続された取手部と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、溶媒に浮いた超薄膜を本体部で掬い上げ、取出すときに取手部を持つことで、超薄膜の掬い上げる作業が容易になる。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記保持部は、前記超薄膜が保持される上面側に凹部を形成する段差部を有し、前記段差部は前記開口部より外側の前記保持部の外周側に形成され、前記凹部の底面には前記開口部が開口することが好ましい。
このような構成によれば、保持部が段差部を有するため、観察検体の作製において、観察試料用被覆具を作業テーブル等に置いてしまった場合にも、自立可能であると共に、観察試料を被覆する領域の超薄膜が作業テーブル等に貼り付くこともない。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記本体部は、金属、ガラス又は樹脂からなり、
前記本体部が水性溶媒、有機溶媒からなる群から選択される一つの溶媒に不溶であることが好ましい。
このような構成によれば、溶媒に浮いた超薄膜を本体部で掬い上げるときに、本体部が溶媒に溶けて変形をしたり、消失したりしない。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記保持部の上面側を覆う蓋部及び下面側を覆う受部の少なくとも一方をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、蓋部及び受部の少なくとも一方が、超薄膜の上面及び下面の少なくとも一方を覆うため、超薄膜に埃や塵等が付着することがない。
本発明に係る観察試料用被覆具は、前記開口部は、前記観察試料よりも大きく形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、観察検体の作製において、観察試料用被覆具を観察試料の下方側に容易に移動できるため、観察試料の下面まで超薄膜で被覆することができる。
本発明に係る被覆具包装体は、前記観察試料用被覆具と、前記観察試料用被覆具を外側から包み込む包装袋と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、包装袋が観察試料用被覆具を覆うため、輸送中の超薄膜の破れ等を防止できる。また、滅菌バッグを包装袋に用い、滅菌処理を施した観察試料用被覆具を包み込むと、滅菌済みの観察試料用被覆具を提供することができる。さらに、滅菌バッグの少なくとも1面が紫外線を透過する素材であれば、滅菌バッグで包装した後に、紫外線を照射し、観察試料用被覆具を滅菌することができる。
本発明に係る観察試料の被覆方法は、前記観察試料用被覆具と、観察試料と、を準備する工程と、前記観察試料用被覆具を前記観察試料の上に配置して、前記超薄膜で前記観察試料を被覆する被覆工程と、を含むことが好ましい。
このような方法によれば、超薄膜から犠牲層と基材とを溶媒で除去する工程を省略でき、観察試料を被覆することが容易になる。
本発明に係る観察試料用被覆具、被覆具包装体及び観察試料の被覆方法によれば、観察検体の作製において、作業が容易となる。
観察試料用被覆具の構成を示す斜視図である。 図1AのIB-IB線における断面図である。 蓋材を備える観察試料用被覆具の断面図である。 被覆具包装体の構成を示す断面図である。 観察試料用被覆具の製造方法の工程を示すフロー図である。 観察試料用被覆具の製造方法の基材準備工程において、準備された基材を模式的に示す斜視図である。 観察試料用被覆具の製造方法の犠牲層形成工程において、犠牲層が形成された基材を模式的に示す斜視図である。 観察試料用被覆具の製造方法の超薄膜形成工程において、犠牲層上に超薄膜が形成された基材を模式的に示す斜視図である。 観察試料被覆具の製造方法の超薄膜浸漬工程において、溶媒中に浸漬された超薄膜を模式的に示す斜視図である。 観察試料用被覆具の製造方法の超薄膜取出工程において、溶媒中に浸漬された超薄膜を本体部で掬い上げる状態を模式的に示す一部を破断した斜視図である。 観察試料の被覆方法の工程を示すフロー図である。 観察試料の被覆方法の準備工程において、準備された被覆具と観察試料を模式的に示す断面図である。 観察試料の被覆方法の被覆工程において、超薄膜で被覆された観察試料を模式的に示す断面図である。 観察試料の被覆方法の準備工程において、準備された被覆具と観察試料の他の形態を模式的に示す断面図である。 観察試料の被覆方法の被覆工程において、超薄膜で被覆された観察試料の他の形態を模式的に示す断面図である。 観察試料の被覆方法の準備工程において、準備された被覆具と観察試料の他の形態を模式的に示す断面図である。 観察試料の被覆方法の準備工程において、準備された被覆具と観察試料の他の形態を模式的に示す断面図である。 観察試料用被覆具の他の形態の構成を示す斜視図である。 観察試料用被覆具の他の形態の構成を示す斜視図である。 図12AのXIIB-XIIB線における断面図である。 蓋材を備えた観察試料用被覆具の他の形態の構成を示す断面図である。 観察試料用被覆具の他の形態の構成を示す斜視図である。 図14AのXIVB-XIVB線における断面図である。 観察試料用被覆具の他の形態の構成を示す斜視図である。
本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
<観察試料用被覆具>
まず、本発明に係る観察試料用被覆具(以下、被覆具と称す)について説明する。
図1A、図1Bに示すように、本発明に係る被覆具10は、超薄膜1と、本体部2と、を備える。以下、各構成について説明する。
(超薄膜)
超薄膜1は、観察試料を被覆するためのものである。ここで、観察試料とは、細胞や生体組織、または、観察用基材もしくは保持材の上に載置された細胞や生体組織を意味する。なお、観察条件によって、細胞や生体組織と一緒に観察に必要な試薬や培養液等を含めてもよい。また、ここでの観察用基材は、顕微鏡等で光等をあてる側に位置するものを意味する。
細胞としては、動物細胞、植物細胞等の真核細胞や、細菌、古細菌等の原核細胞も含まれる。生体から採取されるあらゆる細胞としては、例えば、皮膚、筋肉、骨、脂肪組織、脳神経系、感覚器系、心臓及び血管等の循環器系、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、消化器系、胸腺、リンパ等、由来の細胞、並びにそれらの培養物が挙げられる。細胞には、血液(例えば、全血、血清、血漿)、リンパ液、唾液、尿、腹水、喀痰等の体液が含まれていてもよい。
生体組織としては、生体から採取されるあらゆる組織、例えば、皮膚、筋肉、骨、脂肪組織、脳神経系、感覚器系、心臓及び血管等の循環器系、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、消化器系、胸腺、リンパ等、並びにそれらの培養物が挙げられる。生体組織には、血液(例えば、全血、血清、血漿)、リンパ液、唾液、尿、腹水、喀痰等の体液が含まれていてもよい。このうち、蛍光色素等を用いた蛍光イメージングを利用することが多い、脳神経系、感覚器系、循環器系、骨、筋肉等の生体組織が好ましい。観察用基材として、プラスチック、カバーガラス、スライドガラス等を利用することが多い。なお、観察に利用できる材料であれば、これらに限定されない。また、被覆する超薄膜1を観察用基材とする場合であって、細胞や生体組織が小さい場合に保持材を使用する。保持材は、プラスチック、カバーガラス、スライドガラス等を利用することが多い。なお、細胞や生体組織を保持できる材料であれば、これらに限定されない。
なお、観察試料は、細胞や生体組織だけでなく、生体由来ではない微粒子・ナノ粒子、または、観察用基材もしくは保持材の上に載置された微粒子・ナノ粒子であってもよい。微粒子・ナノ粒子としては、例えば、ポリマー粒子、リポソーム、ポリマーソーム、液滴、金属コロイド等が挙げられる。また、微粒子・ナノ粒子の粒径は、1nm以上1mm以下であれば、材料は特に限定されない。
超薄膜1は、開口部4を塞ぐように少なくとも保持部3(プレート部5)の上面5aと側面5bの一部に物理吸着で貼り付き、プレート部5に保持されている。また、超薄膜1の形状は、平面視において、例えば、四角形状、長方形状、円形状、楕円形状が挙げられる。なお、超薄膜1は、開口部4よりも大きく形成されていれば、超薄膜1の形状は限定されない。超薄膜1の大きさは、好ましくは、平面視おける超薄膜1の大きさが、プレート部5の外径よりも大きく、超薄膜1を浸漬し、超薄膜1の基材や犠牲層を溶解する溶媒を収容した容器の収容部の大きさよりも小さいことが好ましい。
超薄膜1は、厚みをナノオーダーに制御した自己支持性(観察用基材の支えを必要としない状態)の薄膜であり、ナノ厚特有の高接着性を発現し、反応性官能基や接着剤を使用せずに、ファンデルワールス力、静電相互作用等の物理的吸着のみで種々の界面(ガラス、プラスチック、生体組織等)に貼付できる。
超薄膜1の膜厚は、20nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上であり、一方、200nm以下、好ましくは180nm以下、より好ましくは150nm以下である。膜厚が20nm以上であることにより超薄膜1のハンドリングがしやすい、一方、200nm以下であることにより超薄膜1の接着性が良好となる。
超薄膜1に含まれる樹脂は生体組織の観察時に用いられる培養液や緩衝液に不溶であり、超薄膜1の製造時に犠牲層を溶解するための溶媒に不溶であることが好ましい。また、該樹脂は、生体組織に影響を与えるものではなく、例えば、生物学的な刺激を与える樹脂や、生体組織に対して毒性を有する樹脂でないことが好ましい。
超薄膜1は、超薄膜1を観察用基材として使用する場合には、顕微鏡で使用する光は可視光(400nm以上)であり、その波長の半分以下の膜厚である200nm以下の超薄膜は光学系に影響がなく、顕微鏡等の光学系に支障のない屈折率を有する樹脂で作製すればよい。
該樹脂は、細胞や生体組織の乾燥を防ぎ、これらの移動を抑制することを目的にする場合、例えば、撥水性樹脂が挙げられる。撥水性は水接触角により評価でき、例えば接触角計等を用いて測定できる。水接触角は、好ましくは90度以上、より好ましくは95度以上、さらに好ましくは100度以上であり、一方、好ましくは130度以下、より好ましは125度以下、さらに好ましくは120度以下である。撥水性樹脂としては、例えば、パーフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ポリマーがあり、製品としては、AGC旭硝子株式会社製のCYTOP(登録商標)が挙げられる。ただし、該樹脂は、超薄膜1として形成できる材料であれば撥水性樹脂に限定されず、観測対象や観測したいデータ等の目的にあわせて材料を選択することができる。
(本体部)
本体部2は、開口部4が形成された保持部3を備える。また、本体部2は、保持部3を板材で構成し、板材に貫通孔を形成して開口部4としたプレート部5と、プレート部5の外周部から下方に延ばして設けた壁部6と、を備えることが好ましい。そして、プレート部5は、その上面5a及び側面5bで超薄膜1を保持している。
プレート部5(保持部3)の形状は、超薄膜1を保持できれば特に限定されないが、平面視において円形状、楕円形状が好ましい。プレート部5を構成する板材の外径、厚さも、超薄膜1を保持できれば特に限定されず、例えば、外径:10mm以上100mm以下、厚さ:0.1mm以上5mm以下である。
プレート部5(保持部3)に形成される貫通孔(開口部4)の形状は、特に限定されず平面視において円形状、楕円形状が好ましい。貫通孔(開口部4)の外径は、観察試料Sを超薄膜1で被覆する際に、被覆具10を観察試料Sの下方に移動することによって、観察試料Sを十分に被覆する大きさに超薄膜1を切断できれば(図7B参照)、特に限定されず例えば10mm以上100mm以下である。
壁部6は、プレート部5の外周部全体から下方に延ばして設けたものが好ましいが、外周の一部から下方に延ばして設けたものであってもよい。また、壁部6は、プレート部5から垂直に下方に延ばして設けたものが好ましいが、プレート部5から所定角度で外方に傾斜したものであってもよく、溶媒に浮いた超薄膜1を本体部2で掬い上げ、取出すときに壁部6で支持することができれば、形状は特に限定されない。壁部6の長さ(高さ)、厚さも、本体部2が自立可能であれば特に限定されず、例えば、長さ(高さ):1mm以上20mm以下、厚さ:0.3mm以上3mm以下である。
プレート部5は、超薄膜1が保持される上面5a側に凹部5cを形成する段差部5dを有し、段差部5dは開口部4より外側のプレート部5の外周側に形成され、凹部5cの底面には開口部4が開口することが好ましい。段差部5dは、プレート部5の外周全体に沿って形成されていることが好ましいが、外周の一部に沿って形成されていてもよい。段差部5dの形成位置は、プレート部5の外周(側面5b)を形成する外端部に形成されることが好ましいが、側面5bより開口部4側に所定間隔をおいて形成してもよい。段差部5dの高さは、観察検体の作製において被覆具10を作業テーブル等に置いてしまった場合、超薄膜1と作業テーブとの間に隙間を生じさせ、超薄膜1の作業テーブルへの貼り付きを防止できる0.1mm以上5mm以下である。
本体部2の素材は、それに保持される超薄膜1の性質を変化させなければ特に限定されないが、後記する超薄膜浸漬工程S14で使用される水性溶媒、有機溶媒からなる群から選択される一つの溶媒53(図5D参照)に不溶であり、金属、ガラス又は樹脂からなることが好ましい。金属としてはアルミニウム、鉄、銅、真鍮、ステンレス等が挙げられ、樹脂としては、例えば、PS、PC、PET、COP、PMMA、PEEK、PDMS等が挙げられる。本体部2の素材としては、樹脂がさらに好ましい。
図2に示すように、被覆具10は、保持部3(プレート部5)の上面5a側を覆う蓋部9A及び下面5e側を覆う受部9Bの少なくとも一方をさらに備えることが好ましい。
蓋部9A及び受部9Bの形状は、プレート部5の上面5a側、又は、プレート部5の下面5e側すなわち壁部6の下面6aを覆うことができれば特に限定されないが、平面視したプレート部5と同様な円形状、楕円形状が好ましい。蓋部9A及び受部9Bは、被覆具10を上下から挟み込むように覆っており、蓋部9Aと受部9Bとは、同じ形状でも側面の高さを異ならせてもよい。蓋部9A及び受部9Bの素材は、特に限定されないが、プレート部5又は壁部6と同一材料が好ましい。
超薄膜1は、厚みがナノオーダーと薄いため、何にでも貼り付きやすい性質がある。そのため、超薄膜1に一度貼り付いた埃や塵等は除去が難しく、超薄膜1が生体組織等の観察に適さない膜となる。本発明に係る被覆具10では、蓋部9及び受部9Bを備えることにより、プレート部5に保持された超薄膜1に埃や塵等が付着するのを防止することができ、生体組織等の観察に適した超薄膜1を保持できる。
プレート部5の上面5a側を覆う蓋部9は、蓋部9の内面に超薄膜1が貼り付かないように、超薄膜1との間に隙間9aが形成される形態が好ましい。このような隙間9aを形成するには、プレート部5に段差部5dを形成するのが好ましい。なお、蓋部9の超薄膜1側となる内面に凸部(図示しない)を形成してもよい。
<被覆具包装体>
次に、本発明に係る被覆具包装体について説明する。
図3に示すように、被覆具包装体30は、被覆具10と、被覆具10を外側から包み込む包装袋11と、を備える。被覆具10については、前記と同様の構成であるので、説明を省略する。
包装袋11は、例えば、樹脂フィルムであるピール包装等の従来公知の包装袋や、滅菌バッグを使用できる。なお、被覆具10を包装できれば、袋形状でなくとも、1枚のシート形状の被覆具包装体で被覆具10を包んでもよく、形状は特に限定されない。被覆具包装体30では、被覆具10を外側から包み込む包装袋11を備えることにより、輸送中に蓋部9が外れて超薄膜1に破れ等の損傷が発生するのを防止できる。また、滅菌バッグを包装袋に用い、滅菌処理を施した被覆具10を包み込むと、滅菌済みの被覆具10を提供することができる。さらに、滅菌バッグの少なくとも1面が紫外線を透過する素材であれば、滅菌バッグで包装した後に、紫外線を照射し、被覆具10を滅菌することができる。
<観察試料用被覆具の製造方法の工程>
次に、本発明に係る観察試料用被覆具の製造方法の工程について説明する。
図4に示すように、被覆具10は、基材準備工程S11、犠牲層形成工程S12、超薄膜形成工程S13、超薄膜浸漬工程S14、超薄膜取出工程S15、好ましくはさらに乾燥工程S16を行うことで製造される。具体的には、基材準備工程S11~超薄膜形成工程S13は超薄膜1の製造工程、超薄膜浸漬工程S14~超薄膜取出工程S15、又は、超薄膜浸漬工程S14~乾燥工程S16は、本体部2に超薄膜1を貼り付ける被覆具10の製造工程を意味する。
(超薄膜の製造工程)
ここでは、超薄膜1の製造方法の例として、スピンコートにおける超薄膜1の製造工程を説明するが、超薄膜1が製造できれば、製造方法は特に限定されない。図5Aに示すように、基材準備工程S11では、表面が平滑で、超薄膜1と同様な形状、例えば、平面視において、円形状の基材51を、スピンコート等の常法に従って準備する。基材51の厚みは、超薄膜1の種類に応じて適宜設定し、例えば、10μm以上10000μm以下とする。なお、基材51の形状は、例えば、四角形状、長方形状、円形状、楕円形状が挙げられるが、平面であれば形状は特に限定されない。
基材51の素材としては、例えば、シリコン、シリコンゴム、シリカ、ガラス、マイカ、グラフィト等のカーボン材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、エラストマー等の高分子材料、アバタイト等のカルシウム化合物等が挙げられる。好ましい素材としてはシリコンであり、好ましい基材はシリコンウエハーである。
図5Bに示すように、犠牲層形成工程S12では、基材51の上に、犠牲層52をスピンコート等の常法に従って準備する。犠牲層52の厚みは、超薄膜1の種類に応じて適宜設定し、例えば、0.01μm以上10μm以下とする。
犠牲層52の素材としては、次工程において、犠牲層52の上に超薄膜1を準備した後、溶媒に浸漬して犠牲層52を溶解するため、その際に溶媒に可溶であれば特に限定されない。例えば、溶媒が水性溶媒の場合、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子電解質;ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール;デンプン、セルロースアセテート等の多糖類等の非イオン性の水溶性高分子が挙げられる。
図5Cに示すように、超薄膜形成工程S13では、犠牲層52の上に、超薄膜1をスピンコート等の常法に従って準備する。超薄膜1の厚み及び素材は、前記のとおりである。
(被覆具の製造工程)
図5Dに示すように、超薄膜浸漬工程S14では、犠牲層52及び超薄膜1が準備された基材51を、容器54に収容された犠牲層52だけが溶解する溶媒53中に浸漬することで、犠牲層52を溶解して超薄膜1のみを溶媒53中に浮遊させる。なお、基材51は、溶媒53中に沈降する(図示せず)。
溶媒としては、水性溶媒又は有機溶媒が用いられる。水性溶媒としては、水、蒸留水、塩を溶解させた水、界面活性剤を溶解させた水、緩衝液等が挙げられる。犠牲層52がポリビニルアルコールである場合には、水、蒸留水が好ましい。
図5Eに示すように、超薄膜取出工程S15では、溶媒53中に浮遊(浸漬)している超薄膜1を、超薄膜1の下方側から本体部2で掬い上げ、超薄膜1を本体部2の上面、具体的には保持部3(プレート部5)の上面で保持する。なお、本体部2は、超薄膜浸漬工程S14のときに、事前に溶媒53に沈めておいてから超薄膜1を掬い上げてもよいし、超薄膜取出工程S15のときに、後から溶媒53に入れ、超薄膜1を掬い上げてもよい。
乾燥工程S16では、被覆具10に保持された超薄膜1を、自然乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等の常法に従って乾燥させる。なお、本体部2に保持された超薄膜1をデシケータ内で乾燥させてもよい。
<観察試料の被覆方法>
次に、本発明に係る被覆具を用いた観察試料の被覆方法について説明する。
図6に示すように、被覆方法は、準備工程S1と、被覆工程S2と、を含む。
[第1の被覆方法]
(準備工程)
図7Aに示すように、準備工程S1では、超薄膜1が上方に配置される姿勢で被覆具10を準備すると共に、観察試料Sを作業台110上に準備する。なお、観察試料Sは、観察に必要な試薬や、培養液等と一緒に生体組織101を観察用基材102の上に載置している。作業台110は、観察用基材102よりも小さいものが好ましい。
(被覆工程)
ここでは、観察用基材が超薄膜では無い観察試料への被覆工程ついて説明する。図7A、図7Bに示すように、被覆工程S2では、被覆具10を観察試料Sの上に配置して、その後、被覆具10を観察試料Sの下方側に移動する。これによって、前記本体部2に保持された超薄膜1が開口部4の周縁部で切断され、切断された超薄膜1の下面1bにおいて、ナノ厚特有の高接着性を発現し、反応性官能基や接着剤を使用せずに、ファンデルワールス力、静電相互作用等の物理的吸着のみで貼り付き、観察試料Sが被覆され、容易に観察検体が作製できる。観察試料Sが、生体組織101を載置した観察用基材102である場合には、生体組織101の外周面が超薄膜1の下面1bで被覆されると共に、観察用基材102の上面及び側面だけでなく下面の一部も超薄膜1の下面1bで被覆される。
[第2の被覆方法]
(準備工程)
図8Aに示すように、準備工程S1では、超薄膜1が下方に配置される姿勢で被覆具10を準備すること以外は、第1の被覆方法と同様である。
(被覆工程)
図8Bに示すように、第1の被覆方法と同様に、被覆工程S2では、被覆具10を観察試料Sの上に配置して、その後、被覆具10を観察試料Sの下方側に移動する。これによって、前記本体部2に保持された超薄膜1が開口部4の周縁部で切断され、切断された超薄膜1の上面1aにおいて、ナノ厚特有の高接着性を発現し、反応性官能基や接着剤を使用せずに、ファンデルワールス力、静電相互作用等の物理的吸着のみで貼り付き、生体組織101の外周面が被覆されると共に、観察用基材102の上面及び側面だけでなく下面の一部も超薄膜1の上面1aで被覆され、容易に観察検体が作製できる。
[第3の被覆方法]
(準備工程)
図9に示すように、準備工程S1では、超薄膜1の上面1aを水W、又は、培養液等で濡らすこと以外は、第1の被覆方法(図7A参照)と同様である。
(被覆工程)
被覆工程S2では、被覆具10を上下方向で反転させ、水W、又は、培養液等で濡れた超薄膜1の上面1aを観察試料Sと接触させる。その後、被覆具10を観察試料Sの下方側に移動する。これによって、生体組織101及び観察用基材102を超薄膜1で被覆する際、被覆の密着性が向上する。また、観察試料Sの乾燥を防止できるため、生体組織101の観察時間を延長することができる。
[第4の被覆方法]
(準備工程)
図10に示すように、準備工程S1では、超薄膜1の下面1bを水W、又は、培養液等で濡らすこと以外は、第2の被覆方法(図8A参照)と同様である。
(被覆工程)
被覆工程S2では、被覆具10を上下方向で反転させ、水W、又は、培養液等で濡れた超薄膜1の下面1bを観察試料Sと接触させる。その後、被覆具10を観察試料Sの下方側に移動する。これによって、生体組織101及び観察用基材102を超薄膜1で被覆する際、被覆の密着性が向上する。また、観察試料Sの乾燥を防止できるため、生体組織101の観察時間を延長することができる。
なお、図11に示すように、本発明の第1実施形態に係る被覆具10Aは、プレート部5(保持部3)、プレート部5に形成された開口部4を、平面視において矩形状、好ましくは四角形状としてもよい。なお、被覆具10Aは、形状以外の前記した構成は、図1Aに示した被覆具10と同様である。
本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
<観察試料用被覆具>
まず、本発明に係る観察試料用被覆具(以下、被覆具と称す)について説明する。
図12A、図12Bに示すように、本発明に係る被覆具20は、超薄膜1と、本体部2と、を備える。超薄膜1については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
(本体部)
本体部2は、開口部4が形成された保持部3を備える。また、本体部2は、保持部3を、断面形状が丸あるいは楕円の線材で構成し、線材を枠状に配置して開口部4とした枠部7と、枠部7に接続された取手部8と、を備えることが好ましい。そして、枠部7で超薄膜1を保持している。
枠部7(保持部3)の形状は、超薄膜1を保持できれば特に限定されないが、平面視において円形状、楕円形状が好ましい。枠部7を構成する線材の外径も、超薄膜1を保持できれば特に限定されず、例えば、10mm以上100mm以下である。なお、線材は、複数の線材を縒り合わせて一本化した線材であってもよい。
枠部7(保持部3)に形成される開口部4、すなわち、線材を枠状に配置して形成される開口部4の形状は、特に限定されず平面視において円形状、楕円形状が好ましい。開口部4の外径は、観察試料Sよりも大きく形成され、観察試料Sを十分に被覆する大きさに超薄膜1を切断できる、例えば10mm以上100mm以下である。また、枠部7に保持される超薄膜1は、枠部7の内周側で、超薄膜1の上面1aと下面1bとが貼り合わされて重複する重複部1cを形成している。
取手部8は、枠部7に接続され、枠部7から所定角度で上方に延ばして設けた棒状の部材である。取手部8は、前記した超薄膜取出工程S15において、溶媒中に浮遊(浸漬)した超薄膜1を枠部7で溶媒から掬い取る(取り出す)際の、枠部7の持ち手としての機能を有する。また、取手部8は、長さ方向の途中で屈曲する屈曲部(図示せず)を有してもよい。なお、取手部8の外径及び長さは、超薄膜1の取り出し作業性を考慮して、適宜設定する。
本体部2の素材は、超薄膜1の性質を変化させず、前記した超薄膜浸漬工程S14で使用される溶媒53(図5D参照)に不溶である金属又は樹脂からなることが好ましく、アルミニウム、鉄、銅、真鍮、ステンレス等の金属がさらに好ましい。
図13に示すように、被覆具20は、保持部3(枠部7)の上面側及び下面側を覆う蓋部9をさらに備えることが好ましい。蓋部9を備えることによって、超薄膜1への埃や塵等の付着が防止される。
蓋部9は、超薄膜1を保持する枠部7を内部に収納するもので、一端に開口端面9cを有する箱状に構成されている。また、蓋部9は、収納された超薄膜1が貼り付くのを防止するため、蓋部9と超薄膜1との間に隙間9aを形成する凸部9bを有することが好ましい。さらに、蓋部9は、開口端面9c側に取手部8を収納する切欠部9dを有することが好ましい。なお、蓋部9の素材は、枠部7と同一材料が好ましい。
<被覆具包装体>
被覆具包装体は、被覆具20と、被覆具20を外側から包み込む樹脂フィルムからなる包装袋と、を備える。被覆具20は前記のとおりで、包装袋は第1実施形態の包装袋11(図3参照)と同様なものが使用できる。
<観察試料の被覆方法>
観察試料の被覆方法は、被覆具20を使用すること以外は第1実施形態と同様である。
なお、図14A、図14Bに示すように、本発明に係る被覆具20Aは、保持部3(枠部7)を板材で構成し、板材を枠状に配置して開口部4としたものであってもよい。また、枠部7は、プレート部5(図1B参照)と同様に、外周側に段差部7dを有することが好ましい。ここで、板材の幅は、線材の外径よりも大きい、例えば、11mm以上150mm以下とする。なお、前記した構成以外は、図12Aに示した被覆具20と同様である。
枠部7を板材で構成することによって、枠部7に超薄膜1を保持した際、枠部7の下面7bに回り込む超薄膜1が少なくなるため、枠部7の内周側に超薄膜1の上面1aと下面1bとが貼り付いて重複する重複部1c(図12B参照)が形成されない。その結果、観察試料Sを超薄膜1で被覆する際、超薄膜1の外周側の強度が重複部1cよって大きくなることがなく、開口部4の端部で超薄膜1が容易に切断され、被覆作業が容易となる。
また、図15に示すように、本発明の第2実施形態に係る被覆具20Bは、枠部7(保持部3)、枠部7に形成される開口部4を、平面視において矩形状、好ましくは四角形状としてもよい。なお、前記した構成以外は、図12Aに示した被覆具20と同様である。
<他の被覆方法>
前記被覆方法では、観察用基材が超薄膜では無い観察試料に被覆し、観察検体を作製する方法について説明をしたが、観察用基材を超薄膜とする場合であって、生体組織等(観察試料)が十分に大きい場合は、生体組織等(観察試料)を保持材に乗せずに、生体組織等(観察試料)を作業台110に乗せて、同様の工程で被覆具を使って生体組織等(観察試料)に超薄膜を被覆し、観察検体を作製することができる。また、観察用基材を超薄膜とする場合であって、細胞や生体組織等が小さい場合は、保持材の上に細胞や生体組織等を乗せて観察試料を作製し、同様の工程で被覆具を使って観察試料に超薄膜を被覆し、観察検体を作製することができる。このようにすることで、容易に超薄膜側から細胞や生体組織等を観察することができる。
1 超薄膜
1a 上面
1b 下面
1c 重複部
2 本体部
3 保持部
4 開口部
5 プレート部
5a 上面
5b 側面
5c 凹部
5d 段差部
6 壁部
6a 下面
7 枠部
7d 段差部
8 取手部
9A 蓋部
9B 受部
9a 隙間
9b 凸部
9c 開口端面
9d 切欠部
10 被覆具
10A 被覆具
11 包装袋
20 被覆具
20A 被覆具
20B 被覆具
30 被覆具包装体
51 基材
52 犠牲層
53 溶媒
54 容器
101 生体組織
102 観察用基材
110 作業台
S 観察試料

Claims (10)

  1. 観察試料を被覆するための超薄膜と、
    開口部が形成された保持部を有する本体部と、を備え、
    前記超薄膜は、前記開口部よりも大きく形成され、
    前記超薄膜は、前記開口部を塞ぐように少なくとも前記保持部の上面と側面の一部に物理吸着で貼り付き、前記保持部に保持されており、
    前記本体部は、前記保持部を板材で構成し、前記板材に貫通孔を形成して前記開口部と したプレート部と、前記プレート部の外周部から下方に延ばして設けた壁部と、を備えることを特徴とする観察試料用被覆具。
  2. 前記保持部は、前記超薄膜が保持される上面側に凹部を形成する段差部を有し、前記段差部は前記開口部より外側の前記保持部の外周側に形成され、前記凹部の底面には前記開口部が開口することを特徴とする請求項1に記載の観察試料用被覆具。
  3. 観察試料を被覆するための超薄膜と、
    開口部が形成された保持部を有する本体部と、を備え、
    前記超薄膜は、前記開口部よりも大きく形成され、
    前記超薄膜は、前記開口部を塞ぐように少なくとも前記保持部の上面と側面の一部に物 理吸着で貼り付き、前記保持部に保持されており、
    前記保持部は、前記超薄膜が保持される上面側に凹部を形成する段差部を有し、前記段 差部は前記開口部より外側の前記保持部の外周側に形成され、前記凹部の底面には前記開 口部が開口することを特徴とする観察試料用被覆具。
  4. 前記観察試料用被覆具は、前記保持部の上面側を覆う蓋部及び下面側を覆う受部の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の観察試料用被覆具。
  5. 観察試料を被覆するための超薄膜と、
    開口部が形成された保持部を有する本体部と、
    前記保持部の上面側を覆う蓋部及び下面側を覆う受部の少なくとも一方と、を備え、
    前記超薄膜は、前記開口部よりも大きく形成され、
    前記超薄膜は、前記開口部を塞ぐように少なくとも前記保持部の上面と側面の一部に物 理吸着で貼り付き、前記保持部に保持されていることを特徴とする観察試料用被覆具。
  6. 前記本体部は、金属、ガラス又は樹脂からなり、
    前記本体部が水性溶媒、有機溶媒からなる群から選択される一つの溶媒に不溶であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の観察試料用被覆具。
  7. 前記開口部は、前記観察試料よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の観察試料用被覆具。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の観察試料用被覆具と、
    前記観察試料用被覆具を外側から包み込む包装袋と、を備えることを特徴とする被覆具包装体。
  9. 観察試料を被覆するための超薄膜と、
    開口部が形成された保持部を有する本体部と、を備え、
    前記超薄膜は、前記開口部よりも大きく形成され、
    前記超薄膜は、前記開口部を塞ぐように少なくとも前記保持部の上面と側面の一部に物 理吸着で貼り付き、前記保持部に保持されている観察試料用被覆具と、
    前記観察試料用被覆具を外側から包み込む包装袋と、を備えることを特徴とする被覆具 包装体。
  10. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の観察試料用被覆具と、観察試料と、を準備する工程と、
    前記観察試料用被覆具を前記観察試料の上に配置して、前記超薄膜で前記観察試料を被覆する被覆工程と、を含むことを特徴とする観察試料の被覆方法。
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