JP2016118635A - 観察用透明基板、観察用容器及びその製造方法、透明基材の研磨方法、並びに観察方法 - Google Patents

観察用透明基板、観察用容器及びその製造方法、透明基材の研磨方法、並びに観察方法 Download PDF

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Abstract

【課題】倒立顕微鏡を用いて高倍率で細胞を観察することが可能な観察用透明基板、観察用容器及びその製造方法、透明基材の研磨方法、並びに観察方法を提供する。【解決手段】観察用透明基板10は、所定の観察領域13Aを含む第1面11a及び当該第1面11aに対向する第2面11bを有する基部11を備え、第1面11a上の観察領域13A内の観察対象物を第2面11b側から観察するために用いられるものであって、基部11の第1面11a側には、観察領域13A内にナノ凹凸パターン12が形成されており、基部11の厚みT11が0.5mm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、観察対象物を観察するために用いられる観察用透明基板、観察用容器及びそれを製造する方法、透明基材を研磨する方法、並びに観察対象物を観察する方法に関する。
近年、創薬開発、再生医療等のバイオテクノロジー関連分野において、生体組織から単離した細胞や、細胞を構成する細胞構成要素(例えば、培養細胞から分泌される膜小胞(エクソソーム)、細胞小器官(オルガネラ)、小胞(リソソーム、エンドソーム、ファゴソーム、液胞等)、顆粒(メラノソーム、微小体、グリオキシソーム、バイベル・パラーデ小体等)、細胞骨格、中心小体、鞭毛、繊毛、リボソーム等)を用いた試験・研究が盛んに行われている。一般に、培養細胞を用いた試験・研究は、動物を用いた試験・研究に比べて安価であり、評価する試薬量が少なくて済む、均質な実験データが得られやすいといった利点がある。このような試験・研究において、生体組織から単離した細胞の細胞死を抑制し、当該細胞を安定的に培養し、増殖させることが重要となる。
細胞を安定的に培養し、増殖させるために、細胞を培養するための細胞培養容器に関する開発が進められている。従来、培養する細胞の生存率を高め、安定的な培養が可能な細胞培養容器として、細胞が培養される面に複数の微細な突起を設けてなる細胞培養容器が提案されている(特許文献1参照)。
国際公開2007/105418号公報
上記特許文献1に記載の細胞培養容器は、細胞を培養する面に複数の微細な突起が形成されており、当該突起の幅又は直径が20nm〜3μmであり、アスペクト比が0.2〜3.0であることで、細胞が擬似足場となる接着斑を形成し、突起上に接着することができるため、培養する細胞の生存率を高めることができ、安定的な培養が可能となる。
ところで、上記特許文献1に記載の細胞培養容器を用いて細胞を培養する過程において、細胞が安定的に培養されているか否か等、定期的に観察することが重要である。このような細胞観察の手法としては、倒立顕微鏡を用い、細胞が収容された容器の底面側から観察する方法が一般的である。正立顕微鏡を用いて観察しようとすると、容器内の培養液に対物レンズが接触してしまうためである。
このような細胞観察において、倒立顕微鏡を用いて細胞をより高倍率で観察するためには、容器の底面側に位置する対物レンズと、観察対象物である細胞との距離を短くしなければならない。この点、上記特許文献1に記載の細胞培養容器においては、容器底面の厚みが厚すぎるために、倒立顕微鏡を用いて高倍率で細胞を観察することが困難である。そのため、上記細胞培養容器は、培養される細胞の観察、特に高倍率での観察には適していないという問題がある。
このような課題に鑑みて、本発明は、倒立顕微鏡を用いて高倍率で観察対象物を観察することが可能な観察用透明基板、観察用容器及びその製造方法、透明基材の研磨方法、並びに観察方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、所定の観察領域を含む第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する基部を備え、前記第1面上の前記観察領域内の観察対象物を前記第2面側から観察するために用いられる観察用透明基板であって、前記基部の前記第1面側には、前記観察領域内にナノ凹凸パターンが形成されており、前記基部の厚みが0.5mm以下であることを特徴とする観察用透明基板を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)において、前記ナノ凹凸パターンの寸法が、100〜500nmであるのが好ましく(発明2)、前記観察対象物が、細胞又は前記細胞を構成する細胞構成要素であるのが好ましい(発明3)。
また、本発明は、貫通孔が形成されてなる底部及び前記底部の外周縁に連続する周壁部を有する容器本体と、前記底部に取り付けられてなる上記発明(発明1〜3)に係る観察用透明基板とを備え、前記容器本体の平面視において前記観察用透明基板の前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に重なるように、かつ前記容器本体内に位置するようにして、前記観察用透明基板が前記底部に取り付けられており、前記貫通孔は、前記観察用透明基板により塞がれていることを特徴とする観察用容器を提供する(発明4)。
上記発明(発明4)において、前記観察用透明基板は、前記容器本体の平面視において前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に物理的に包含されるようにして、前記底部に取り付けられてなるのが好ましく(発明5)、前記観察用透明基板が、前記貫通孔から前記ナノ凹凸パターンを露出させるようにして、前記容器本体の前記底部の外面に取り付けられているのが好ましく(発明6)、前記観察用透明基板が、接着剤を介して前記底部に取り付けられているのが好ましい(発明7)。
さらに、本発明は、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、前記第1面側にナノ凹凸パターンが形成されてなる透明基材を準備する工程と、前記第1面側の前記ナノ凹凸パターンを被覆する金属含有膜を形成する工程と、前記金属含有膜上に有機膜を形成する工程と、前記有機膜が形成された前記透明基材を前記第2面側から研磨する工程とを含み、前記第2面側から研磨された後の前記透明基材の厚みが0.5mm以下であることを特徴とする研磨方法を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)において、前記ナノ凹凸パターンの寸法が、100〜500nmであるのが好ましく(発明9)、前記金属含有膜の厚みが50nm以上であるのが好ましく(発明10)、前記透明基材は、前記ナノ凹凸パターンの形成されている領域が複数割り付けられているのが好ましい(発明11)。
さらに、本発明は、貫通孔が形成されてなる底部及び前記底部の外周縁に連続する周壁部を有する容器本体と、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、前記第1面上の観察対象物を前記第2面側から観察するために用いられる観察用透明基板とを備え、前記観察用透明基板が前記底部に取り付けられている観察用容器を製造する方法であって、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、当該第1面側にナノ凹凸パターンが形成されてなる透明基材を、当該第2面側から研磨することで作製された前記観察用透明基板を、前記容器本体の平面視において前記観察用透明基板の前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に重なるようにして前記容器本体内に位置し、かつ前記貫通孔を塞ぐように前記容器本体の底面に取り付ける工程を含み、前記観察用透明基板は、上記発明(発明8〜11)に係る研磨方法により前記透明基材を研磨して作製されたものであることを特徴とする観察用容器の製造方法を提供する(発明12)。
上記発明(発明12)において、前記容器本体の平面視において前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に物理的に包含されるようにして、前記容器本体の前記底部に前記観察用透明基板を取り付けるのが好ましく(発明13)、前記貫通孔から前記ナノ凹凸パターンを露出させるようにして、前記容器本体の前記底部の外面に前記観察用透明基板を取り付けるのが好ましく(発明14)、前記観察用透明基板を、接着剤を介して前記底部に取り付けるのが好ましく(発明15)、前記観察対象物が、細胞又は前記細胞を構成する細胞構成要素であるのが好ましい(発明16)。
さらにまた、本発明は、上記発明(発明4〜7)に係る観察用容器内に観察対象物を収容し、前記ナノ凹凸パターン上の前記観察対象物を、前記観察用透明基板の前記第2面側から観察することを特徴とする観察方法を提供する(発明17)。
上記発明(発明17)において、倒立顕微鏡を用いて前記観察対象物を観察するのが好ましい(発明18)。
本発明によれば、倒立顕微鏡を用いて高倍率で観察対象物を観察することが可能な観察用透明基板、観察用容器及びその製造方法、透明基材の研磨方法、並びに観察方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る観察用透明基板の概略構成を示す平面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る観察用透明基板の概略構成を示す、図1におけるI−I線切断端面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る観察用透明基板の製造工程を切断端面図にて示す工程フロー図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る観察用透明基板の製造工程であって、図3に示す工程に連続する各工程(透明基材の研磨方法の各工程)を切断端面図にて示す工程フロー図である。 図5は、本発明の一実施形態における観察用容器の概略構成を示す平面図である。 図6は、本発明の一実施形態における観察用容器の概略構成を示す、図5におけるII−II線切断端面図である。 図7は、本発明の一実施形態における観察用容器を用いた観察方法を示す概略図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[観察用透明基板]
図1は、本実施形態に係る観察用透明基板の概略構成を示す平面図であり、図2は、本実施形態に係る観察用透明基板の概略構成を示す、図1におけるI−I線切断端面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る観察用透明基板10は、第1面11a及び第1面11aに対向する第2面11bを有する基部11を備え、基部11の第1面11a側における観察領域13A内にナノ凹凸パターン12が形成されている。本実施形態に係る観察用透明基板10は、ナノ凹凸パターン12上に存在する、観察対象物としての細胞又は細胞を構成する細胞構成要素(例えば、培養細胞から分泌される膜小胞(エクソソーム)、細胞小器官(オルガネラ)、小胞(リソソーム、エンドソーム、ファゴソーム、液胞等)、顆粒(メラノソーム、微小体、グリオキシソーム、バイベル・パラーデ小体等)、細胞骨格、中心小体、鞭毛、繊毛、リボソーム等)を、倒立顕微鏡を用いて第2面11b側から観察するために用いられるものである。以下、細胞及び細胞構成要素を含め「細胞等」と称する場合がある。
なお、本実施形態において「透明」とは、波長190〜800nmの光を対象物(本実施形態においては観察用透明基板10)の片側(第1面11a側又は第2面11b側)から照射した際、照射された側とは反対側(第2面11b側又は第1面11a側)へ光が到達することを意味する。好適な基準を透過率で示すならば20%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上である。
基部11を構成する材料としては、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダガラス、蛍石、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料;ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、その他ポリオレフィン等の樹脂材料等の透明材料等を用いることができる。
基部11の形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、例えば、平面視略矩形状、平面視略円形状等を挙げることができる。また、平面視における基部11の大きさは特に限定されるものではないが、後述するように、本実施形態に係る観察用透明基板10は、好適には、貫通孔2cを有する容器本体2の底部2aに、貫通孔2cを塞ぐようにして取り付けられて用いられる(図5及び図6参照)。そのため、基部11の大きさは、当該容器本体2の貫通孔2cの大きさに応じ、貫通孔2cを塞ぐことのできる程度に設定されるのが好ましい。
基部11の厚みT11は、0.5mm以下であり、好ましくは0.03〜0.5mmであり、特に好ましくは0.1〜0.2mmである。本実施形態に係る観察用透明基板10は、ナノ凹凸パターン12上に存在する観察対象物を、倒立顕微鏡を用いて第2面11b側から観察する用途に用いられる。特に、観察対象物としての細胞等を観察する場合、極めて高倍率(20倍以上、好ましくは50倍以上程度)で観察可能であることが望ましい。基部11の厚みT11が0.5mmを超えると、ナノ凹凸パターン12上の観察対象物と、基部11を挟むようにして対向して第2面11b側に位置する倒立顕微鏡の対物レンズとの距離が長くなってしまい、高倍率(20倍以上程度)での観察が困難となる。
なお、本実施形態において基部11の厚みT11とは、第1面11a側に形成されているナノ凹凸パターン12の頂部と第2面11bとの間の板厚方向の長さを意味し、当該厚みT11は、マイクロメーター等を用いて測定され得る。
ナノ凹凸パターン12は、基部11と一体的な構造物として、基部11の第1面11a上の観察領域13A内に形成されている。基部11の第1面11a上に占める観察領域13Aの大きさは、特に限定されるものではないが、後述するように、本実施形態に係る観察用透明基板10は、好適には、底部2aの略中央に貫通孔2cが形成された容器本体2の当該底部2aの外面(容器本体2外)に、貫通孔2cからナノ凹凸パターン12が露出するようにして取り付けられて用いられる(図5及び図6参照)。そのため、観察領域13Aの大きさ、換言すればナノ凹凸パターン12の形成されるべき領域の大きさは、当該容器本体2の貫通孔2cの大きさに応じ、ナノ凹凸パターン12が貫通孔2cから露出され得る程度に、すなわち、観察用透明基板10を取り付けた容器本体2の平面視において観察領域13Aが貫通孔2cに物理的に包含され得る程度に適宜設定される(図1参照)。
ナノ凹凸パターン12の形状としては、平面視略円形、略矩形又は略多角形のピラー状、ライン状等が好適であるが、これらの形状に限定されるものではなく、例えば、平面視略円形、略矩形又は略多角形のホール状等であってもよい。また、ナノ凹凸パターン12は、テーパー状又は逆テーパー状の側壁形状を有していてもよい。
ナノ凹凸パターン12の寸法は、100〜500nmであるのが好ましい。ナノ凹凸パターン12の寸法が上記範囲内であることで、観察対象物としての細胞が当該ナノ凹凸パターン12に対して良好な接着性を示すため、当該細胞の観察、特に長時間の観察が容易になる。
なお、ナノ凹凸パターン12の寸法とは、例えば、ナノ凹凸パターン12が平面視略正方形のピラー状であれば当該正方形の一辺の長さ、平面視略円形のピラー状であれば当該円の直径、ライン状であれば短手方向の幅を意味する。
ナノ凹凸パターン12の高さ(アスペクト比)は、特に限定されるものではなく、ナノ凹凸パターン12の寸法に応じて、適宜設定され得る。通常、ナノ凹凸パターン12のアスペクト比が0.5〜5程度になるように、ナノ凹凸パターン12の高さが設定され得る。
なお、基部11の第1面11aにおける観察領域13Aの外側の領域は、後述する底部2aの略中央に貫通孔2cが形成された容器本体2の当該底部2aの外面に取り付けられる際に接着剤が塗布される領域として構成される。
上述した構成を有する本実施形態に係る観察用透明基板10によれば、基部11の厚みT11が0.5mm以下と非常に薄いことで、第1面11a上の観察対象物を、倒立顕微鏡を用いて第2面11b側から高倍率で観察することが可能である。また、第1面11a側にナノ凹凸パターン12が形成されていることで、観察対象物としての細胞が当該ナノ凹凸パターン12に対する良好な接着性を示すため、倒立顕微鏡を用いた長時間の観察を容易に行うことができる。
[観察用透明基板の製造方法]
上述した構成を有する観察用透明基板10は、以下のようにして製造することができる。図3は、本実施形態に係る観察用透明基板の製造工程を切断端面図にて示す工程フロー図であり、図4は、本実施形態に係る観察用透明基板の製造工程であって、図3に示す工程に連続する各工程(透明基材の研磨方法の各工程)を切断端面図にて示す工程フロー図である。
まず、第1面31a及び第1面31aに対向する第2面31bを有し、第1面31a上にハードマスク層41及びレジスト膜42がその順に形成されてなる透明基材31を準備する(図3(A)参照)。
透明基材31としては、本実施形態に係る観察用透明基板10の構成材料(例えば、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダガラス、蛍石、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料;ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、その他ポリオレフィン等の樹脂材料等の透明材料)からなる基材等を用いることができる。かかる透明基材31は、0.5mmを超える厚みを有するものであり、通常、1.0〜6.35mm程度の厚みを有するものである。
本実施形態において、透明基材31は、第1面31a側に複数の観察用透明基板10に相当する領域が割り付けられてなる多面付け透明基材であって、後述する工程(図4(D)参照)において切断されることによって、各観察用透明基板10が製造される。
ハードマスク層41を構成する材料としては、例えば、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸窒化クロム等を用いることができる。ハードマスク層41は、後述する工程(図3(C)参照)により透明基材31をエッチングするために用いられるハードマスクパターン44を形成するための層である。そのため、透明基材31を構成する材料とのエッチング選択比や、観察用透明基板10におけるナノ凹凸パターン12のアスペクト比を考慮した材料により構成される。例えば、透明基材31が石英ガラスにより構成される場合、ハードマスク層41は金属クロム等により構成されるのが望ましい。
レジスト膜42を構成するレジスト材料としては、特に限定されるものではなく、従来公知のエネルギー線感応型レジスト材料(例えば、電子線感応型レジスト材料、紫外線感応型レジスト材料等)等を用いることができる。
次に、レジスト膜42をパターニングして、観察用透明基板10のナノ凹凸パターン12に対応するレジストパターン43を、透明基材31の第1面31a側における、観察用透明基板10の観察領域13A(図1及び図2参照)に相当する領域内に形成する(図3(B)参照)。
レジストパターン43を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、電子線リソグラフィー法、フォトリソグラフィー法、ナノインプリントリソグラフィー法等によりレジストパターン43を形成することができる。
続いて、レジストパターン43をマスクとして用いてハードマスク層41をドライエッチング法によりエッチングし、ハードマスクパターン44を形成する(図3(C)参照)。そして、当該ハードマスクパターン44をマスクとして用いて透明基材31の第1面31aをエッチングしてナノ凹凸パターン12を形成した後、ハードマスクパターン44を除去する(図3(D)参照)。
このようにして第1面31a側にナノ凹凸パターン12が形成された透明基材31を第2面31b側から研磨して、透明基材31の厚みを0.5mm以下にする。かかる透明基材31を研磨する方法は、以下のようにして実施され得る。図4は、本実施形態における透明基材31(第1面31側にナノ凹凸パターン12が形成された透明基材31)を研磨する方法の工程を概略的に切断端面図にて示す工程フロー図である。
まず、第1面31aにナノ凹凸パターン12が形成された透明基材31の当該第1面31の全面を覆うように、当該第1面31a上に金属含有膜51を形成する(図4(A)参照)。
金属含有膜51を構成する材料としては、例えば、クロム、銅等の金属材料、当該金属の酸化物、窒化物等が挙げられる。後述の研磨工程(図4(C)参照)後に、金属含有膜51をエッチング処理により剥離する(図4(E)参照)ことを考慮すると、透明基材31として石英ガラスを用いる場合には、選択比等の観点から剥離の容易なクロム、酸化クロム等を、金属含有膜51を構成する材料として用いるのが好ましい。
金属含有膜51の厚み(ナノ凹凸パターン12の頂部上の厚み)は、50nm以上であるのが好ましく、50〜200nmであるのが好ましい。本実施形態において、透明基材31の厚みが0.5mm以下になるまで、透明基材31の第2面31b側から研磨するため(図4(C)参照)、研磨処理の過程で透明基材31の厚みが薄くなるに従い、透明基材31の強度が低下する。また、後述するように、厚みが0.5mm以下にまで研磨された透明基材31が切断され個片化されることで、観察用透明基板10が製造される(図4(D),(E)参照)。そのため、金属含有膜51の厚みが50nm未満であると、透明基材31の補強効果が不十分となり、研磨処理や切断工程において透明基材31が破損してしまうおそれがある。
第1面31aに金属含有膜51を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法、CVD法、PVD法、真空蒸着法等の公知の成膜法を採用することができる。
次に、金属含有膜51上に有機膜52を形成する(図4(B)参照)。後述する研磨工程(図4(C)参照)において、微細なパーティクル等が生じるが、金属含有膜51上に有機膜52を形成しておくことで、有機膜52を除去する過程で当該パーティクル等も同時に除去することができるため、当該パーティクル等がナノ凹凸パターン12内に付着してしまうのを防止することができる。
有機膜52を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、上述したレジスト膜42(図3(A)参照)を構成する材料と同様の材料を用いることができる。
金属含有膜51上に有機膜52を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法等の公知の塗布方法により有機膜52を構成する材料を塗布した後、当該材料を硬化させる方法等を採用することができる。
有機膜52の厚みは、特に限定されるものではなく、後述する研磨工程(図4(C)参照)において生じ得る微細なパーティクル等がナノ凹凸パターン12内に付着してしまうのを防止し得る程度の厚みであればよい。例えば、有機膜52の厚みは、200〜500nm程度である。
続いて、有機膜52が形成された透明基材31を、厚みが0.5mm以下になるまで第2面31b側から研磨する(図4(C)参照)。第1面31a側に金属含有膜51が形成されていることで、透明基材31を破損させることなく、厚みが0.5mm以下になるまで研磨することができる。また、金属含有膜51上に有機膜52が形成されていることで、研磨の過程で生じるパーティクル等がナノ凹凸パターン12内に付着してしまうのを防止することができる。
透明基材31を研磨する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、化学機械研磨処理(Chemical Mechanical Polishing,CMP)、回転研磨盤等を用いた機械研磨処理等が挙げられる。好ましくは、機械研磨処理により厚み0.5mm超1mm以下程度まで研磨(1次研磨)した後、CMPにより厚み0.5mm以下になるまで研磨(2次研磨)する。
このようにして研磨され、0.5mm以下の厚みを有する透明基材31を、ダイシング装置等を用いて切断して個片化する(図4(D)参照)。最後に、切断され個片化された各透明基材31の第1面31a側から有機膜52及び金属含有膜51を剥離することで、本実施形態に係る観察用透明基板10を製造することができる(図4(E)参照)。
有機膜52及び金属含有膜51を剥離する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸等を含む洗浄液にて有機膜52を溶解して除去する方法、金属含有膜51を構成する金属材料等をエッチング可能なエッチング液を用いて金属含有膜51を除去する方法等が挙げられる。
本実施形態における研磨方法やそれを含む観察用透明基板10の製造方法によれば、第1面31a側にナノ凹凸パターン12が形成されてなる透明基材31を破損させることなく、厚み0.5mm以下にまで研磨することができ、倒立顕微鏡を用いて第2面11b側から観察可能な観察用透明基板10を容易に製造することができる。
[観察用容器]
上述した構成を有する観察用透明基板10は、第1面11a側におけるナノ凹凸パターン12上に存在する観察対象物(細胞等)を、倒立顕微鏡を用いて第2面11b側から観察するために用いられるものであるが、後述する観察用容器の態様で用いられるのが好適である。図5は、本実施形態における観察用容器の概略構成を示す平面図(上面図)であり、図6は、本実施形態における観察用容器の概略構成を示す、図5におけるII−II線切断端面図である。
図5及び図6に示すように、本実施形態における観察用容器1は、底部2a及び当該底部2aの外周縁に連続する周壁部2bを有し、底部2aの略中央に貫通孔2cが形成されてなる容器本体2と、容器本体2の底部2aに取り付けられている本実施形態に係る観察用透明基板10とを備える。
本実施形態において、容器本体2は、底部2aの略中央に貫通孔2cが形成され、上方に開口するシャーレ状容器であるが、底部に貫通孔が形成されている限りにおいて、このような態様に限定されるものではない。例えば、底部に貫通孔が形成されているフラスコ状容器等であってもよい。
平面視における容器本体2の大きさは、特に限定されるものではなく、細胞培養等において一般的に用いられているシャーレと同等の直径、例えば、直径30〜60mm程度であるのが好ましい。また、容器本体2の底部2aの厚みは、0.8〜1.5mm程度である。
容器本体2は、合成樹脂製のものであってもよいし、ガラス製のものであってもよい。また、周壁部2bと底部2aとが異なる材質(例えば、周壁部2bが合成樹脂製であって、底部2aがガラス製等)により構成されるものであってもよい。
貫通孔2cの大きさは、特に限定されるものではないが、観察用透明基板10の第1面11aの観察領域13A内に形成されているナノ凹凸パターン12を物理的に包含し得る大きさであるのが好ましく、例えば、直径10〜30mm程度である。
本実施形態において、観察用透明基板10は、容器本体2内にナノ凹凸パターン12が位置するように、すなわちナノ凹凸パターン12が貫通孔2cから露出するようにして、容器本体2の底部2bの外面に取り付けられている。そして、観察用容器1(容器本体2)の平面視(上面視)において、観察用透明基板10は、ナノ凹凸パターン12が貫通孔2cに重なるように、すなわちナノ凹凸パターン12が貫通孔2cに物理的に包含されるようにして、容器本体2の底部2aの外面に取り付けられている。
観察用透明基板10は、貫通孔2cを塞ぐようにして容器本体2の底部2aの外面に取り付けられている。すなわち、貫通孔2cが形成されている底部2aと、当該貫通孔2cを塞ぐ観察用透明基板10とにより、容器本体2の底面が構成されている。
観察用透明基板10は、接着剤(図示せず)を介して容器本体2の底部2aの外面における貫通孔2cの周縁近傍に接着することで取り付けられているのが好ましい。かかる接着剤としては、特に限定されるものではないが、観察用透明基板10及び容器本体2の底部2aの構成材料に応じてそれらに対する接着力が高く、観察用容器1内に収容される培養液等に対するシール性(液密性)を有し、細胞等の観察対象物に対して悪影響を与えない(毒性等を有しない)ものであるのが好まし。当該接着剤としては、例えば、脱オキシム型シリコーン系接着剤等が用いられ得る。
上述した構成を有する本実施形態における観察用容器1によれば、0.5mm以下の厚みT11を有する観察用透明基板10が容器本体2の底部2aの外面に、ナノ凹凸パターン12が容器本体2の貫通孔2cに物理的に包含されるようにして取り付けられていることで、ナノ凹凸パターン12上に存在する観察対象物(細胞等)を、倒立顕微鏡を用いて高倍率で観察することができる。また、観察対象物としての細胞は、ナノ凹凸パターン12に対して良好な接着性を示すため、本実施形態における観察用容器1によれば、ナノ凹凸パターン12上の細胞の長時間観察が容易となる。
[観察用容器の製造方法]
上述した観察用容器1は、底部2a及び当該底部2aの外周縁に連続する周壁部2bを有し、底部2aの略中央に貫通孔2cが形成されてなる容器本体2を準備し、当該容器本体2の底部2aの外面に、観察用透明基板10の第1面11aの観察領域13Aの外周の領域に塗布された接着剤を介して当該観察用透明基板10を取り付けることにより製造され得る。
このとき、容器本体2の貫通孔2cを塞ぐように、かつ観察用透明基板10におけるナノ凹凸パターン12が、貫通孔2cから露出するようにして、当該観察用透明基板10を容器本体2の底部2aに取り付ける。これにより、ナノ凹凸パターン12を容器本体2内に位置させることができる。
本実施形態によれば、容器本体2の底部2aの略中央に形成されている貫通孔2cを塞ぐように観察用透明基板10を接着させるだけで観察用容器1を製造することができるため、観察用容器1を容易に製造することができる。
[観察方法]
上述した観察用容器1は、観察対象物を観察するために用いられるものである。以下、当該観察用容器1を用いて観察対象物としての細胞を観察する方法について説明する。図7は、本実施形態における観察方法を示す概略図である。
図7に示すように、本実施形態においては、観察用容器1内に観察対象物としての細胞71を収容し、当該観察用容器1を倒立顕微鏡(図示せず)のステージ61上に載置する。倒立顕微鏡のステージ61には、所定の大きさの開口62が形成されているため、この開口62内に観察用容器1のナノ凹凸パターン12が位置するように、観察用容器1を載置する。
観察用容器1内に観察対象物としての細胞71を収容する方法としては、細胞71を含む培養液72の液滴を観察用容器1のナノ凹凸パターン12上に滴下する方法等を例示することができる。
そして、倒立顕微鏡の対物レンズ63を、観察用容器1の底部2aに接着されている観察用透明基板10の第2面11b側に近接させて、所望とする倍率で細胞71を第2面11b側から観察する。
本実施形態における観察方法によれば、観察用容器1の底部2aに取り付けられている観察用透明基板10の厚みT11が0.5mm以下であることで、ナノ凹凸パターン12上に存在する観察対象物としての細胞71と対物レンズ63との間の距離を極めて短くして観察することができる。そのため、極めて高い倍率で観察対象物を観察することができる。また、観察対象物としての細胞71をナノ凹凸パターン12上に存在させると、当該細胞71がナノ凹凸パターン12に対して良好な接着性を示すため、長時間の観察も容易に行うことができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態において、観察用容器1は、観察用透明基板10が容器本体2の底部2aの外面に取り付けられてなるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、観察用透明基板10の第2面11b側に接着剤を塗布し、容器本体2における底部2aの貫通孔2cの外周縁の領域に当該観察用透明基板10を接着し、観察用透明基板10が容器本体2内に取り付けられてなるものであってもよい。
上記実施形態においては、観察用透明基板10を、底部2aに貫通孔2cが形成されてなる容器本体2の当該底部2aに取り付けて用いる態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。上記観察用透明基板10は、そのまま観察対象物の観察用途に用いられてもよい。
上記実施形態においては、透明基材31の第1面31a側にナノ凹凸パターン12を形成した後、ハードマスクパターン44を除去してから金属含有膜51を形成しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ハードマスクパターン44を除去することなく、金属含有膜51を形成してもよい。この場合、金属含有膜51を剥離する工程(図4(E)参照)において、金属含有膜51とともにハードマスクパターン44を除去可能であるのが好ましいため、ハードマスクパターン44と金属含有膜51とは、同一のエッチング液にてエッチング可能な材料により構成されているのが好ましい。
上記実施形態においては、第1面31a側に複数の観察用透明基板10に相当する領域が割り付けられてなる多面付け透明基材31を用いて観察用透明基板10を製造する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、一の観察用透明基板10に相当する大きさの透明基材を用いて、一の観察用透明基板10を製造してもよい。このような態様によれば、研磨後の透明基材を切断する工程(図4(D)参照)を省略することができる。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
厚み6nmの金属クロムからなるハードマスク層41が第1面31aに設けられている透明基材31(石英ガラス基板,サイズ:152mm×152mm,厚み:6.35mm)を用意し、電子線感応型レジスト(製品名:SEBP−9012,信越化学工業社製)をハードマスク層41上に塗布してレジスト膜42(厚み:100nm)を形成した。そして、当該レジスト膜42上における複数の観察領域13A(14mmφに物理的に包含され得る大きさ)に相当する領域内のそれぞれに電子線描画装置(JBX9000,日本電子社製)を用いてピラー状のレジストパターン43を形成した。
次に、レジストパターン43をマスクとして用いてハードマスク層41をドライエッチング(エッチングガス:Cl2+O2)し、残存するレジストパターン43を除去して、ハードマスクパターン44を形成した。
上述のようにして形成されたハードマスクパターン44をマスクとして用いて透明基材31(石英ガラス基板)をエッチングし、ハードマスクパターン44を剥離することで、透明基材31(石英ガラス基板)の第1面31aに、ピラー状のナノ凹凸パターン12(寸法:200nm)を形成した。
続いて、第1面31a側のピラー状のナノ凹凸パターン12を被覆するようにして、当該第1面31aに金属含有膜51としての金属クロム膜を厚み100nmで成膜し、当該金属含有膜51上に電子線感応型レジスト(製品名:SEBP−9012,信越化学工業社製)をスピンコート法により塗布し、硬化させて、厚み350nmの有機膜52を形成した。
このようにして金属含有膜51及び有機膜52がこの順に形成された透明基材31(石英ガラス基板)の有機膜52上に接着性を有する有機材料を塗布し、ダイヤモンド砥石を有する研磨機(ティーエスシー社製,製品名:KUUKAI)の定盤に当該透明基材31(石英ガラス基板)を固定し、第2面31b側から研磨(1次研磨)した。その後、CMPスラリー(AGCセイミケミカル社製,製品名:ルミノックス・ルミトップ)を用いたCMP処理により、さらに第2面1b側から研磨(2次研磨)した。
研磨後の透明基材31(石英ガラス基板)を、ダイヤモンドブレードを用いたダイシング装置により20mm角に切断して個片化した。そして、硫酸で有機膜52を洗浄した後、クロムエッチング液に浸漬させることで、金属含有膜51を除去し、観察用透明基板10を作製した。なお、作製した観察用透明基板10の厚みを、マイクロメーターを用いて測定した結果、当該厚みは0.17mmであった。
このようにして作製した観察用透明基板10を、底部2aの中央に貫通孔2cが形成されてなる容器本体2としての穴あきディッシュ(松浪硝子工業社製,製品名:35mmφガラスボトムディッシュ)の底部2aに、貫通孔2cを塞ぐように、接着剤(信越シリコーン社製,一液型RTVゴム)を介して取り付けて、観察用容器1を製造した。
〔実施例2〕
ナノ凹凸パターン12に対応する微細凹凸パターンを有するインプリントモールドを準備し、ナノインプリント装置(東芝機械社製,ST50)を用いたナノインプリントリソグラフィー法により、透明基材31(石英ガラス基板)の第1面31aにナノ凹凸パターン12を形成した以外は、実施例1と同様にして観察用透明基板10(厚み:0.17mm)を作製し、観察用容器1を製造した。
〔参考例1〕
実施例1と同様にして透明基材31の第1面31aにナノ凹凸パターン12を形成し、ナノ凹凸パターン12が形成された第1面31a上に金属含有膜51及び有機膜52を形成せずに、透明基材31の第2面31b側から研磨したところ、透明基材31の厚みが0.5mm以下になる前に、当該透明基材31が破損してしまった。
〔参考例2〕
実施例1と同様にして透明基材31の第1面31aにナノ凹凸パターン12を形成し、ナノ凹凸パターン12が形成された第1面31a上に金属含有膜51を形成せず、有機膜52のみを形成して、透明基材31の第2面31b側から研磨したところ、透明基材31の厚みが0.5mm以下になる前に、当該透明基材31が破損してしまった。
〔参考例3〕
有機膜52を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして観察用透明基板を作製した。当該観察用透明基板のナノ凹凸パターン12上を、電子顕微鏡を用いて観察したところ、研磨処理時に生じたと考えられる微細なパーティクルがナノ凹凸パターン12上に付着していることが確認された。
〔試験例1〕
実施例1の観察用容器1のナノ凹凸パターン12上に、口腔上皮細胞71を含む培養液72を滴下し、倒立顕微鏡(ニコン社製,製品名:ECLIPSE Ti)を用い、倍率50倍で当該細胞を観察した。その結果、細胞と、細胞を構成する細胞構成要素とを明瞭に観察することができた。また、ナノ凹凸パターン12上に細胞が接着しているのを確認することができた。
上記試験例1から、底部2aに貫通孔2cが形成されてなる容器本体2の当該貫通孔2cを塞ぐようにして、極めて薄い観察用透明基板1が当該底部2aに取り付けられている観察用容器1を用いることで、観察対象物である細胞を、倒立顕微鏡を用いて極めて高倍率で観察可能であることが明らかとなった。
本発明は、創薬開発、再生医療等のバイオテクノロジー関連分野における細胞の観察等において有用である。
1…観察用容器
2…容器本体
2a…底部
2b…周壁部
2c…貫通孔
10…観察用透明基板
11…基部
11a…第1面
11b…第2面
12…ナノ凹凸パターン
13A…観察領域

Claims (18)

  1. 所定の観察領域を含む第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する基部を備え、前記第1面上の前記観察領域内の観察対象物を前記第2面側から観察するために用いられる観察用透明基板であって、
    前記基部の前記第1面側には、前記観察領域内にナノ凹凸パターンが形成されており、
    前記基部の厚みが0.5mm以下であることを特徴とする観察用透明基板。
  2. 前記ナノ凹凸パターンの寸法が、100〜500nmであることを特徴とする請求項1に記載の観察用透明基板。
  3. 前記観察対象物が、細胞又は前記細胞を構成する細胞構成要素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の観察用透明基板。
  4. 貫通孔が形成されてなる底部及び前記底部の外周縁に連続する周壁部を有する容器本体と、
    前記底部に取り付けられてなる請求項1〜3のいずれかに記載の観察用透明基板と
    を備え、
    前記容器本体の平面視において前記観察用透明基板の前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に重なるように、かつ前記容器本体内に位置するようにして、前記観察用透明基板が前記底部に取り付けられており、
    前記貫通孔は、前記観察用透明基板により塞がれていることを特徴とする観察用容器。
  5. 前記観察用透明基板は、前記容器本体の平面視において前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に物理的に包含されるようにして、前記底部に取り付けられてなることを特徴とする請求項4に記載の観察用容器。
  6. 前記観察用透明基板が、前記貫通孔から前記ナノ凹凸パターンを露出させるようにして、前記容器本体の前記底部の外面に取り付けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の観察用容器。
  7. 前記観察用透明基板が、接着剤を介して前記底部に取り付けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の観察用容器。
  8. 第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、前記第1面側にナノ凹凸パターンが形成されてなる透明基材を準備する工程と、
    前記第1面側の前記ナノ凹凸パターンを被覆する金属含有膜を形成する工程と、
    前記金属含有膜上に有機膜を形成する工程と、
    前記有機膜が形成された前記透明基材を前記第2面側から研磨する工程と
    を含み、
    前記第2面側から研磨された後の前記透明基材の厚みが0.5mm以下であることを特徴とする研磨方法。
  9. 前記ナノ凹凸パターンの寸法が100〜500nmであることを特徴とする請求項8に記載の研磨方法。
  10. 前記金属含有膜の厚みが50nm以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の研磨方法。
  11. 前記透明基材は、前記ナノ凹凸パターンの形成されている領域が複数割り付けられていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の研磨方法。
  12. 貫通孔が形成されてなる底部及び前記底部の外周縁に連続する周壁部を有する容器本体と、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、前記第1面上の観察対象物を前記第2面側から観察するために用いられる観察用透明基板とを備え、前記観察用透明基板が前記底部に取り付けられている観察用容器を製造する方法であって、
    第1面及び当該第1面に対向する第2面を有し、当該第1面側にナノ凹凸パターンが形成されてなる透明基材を、当該第2面側から研磨することで作製された前記観察用透明基板を、前記容器本体の平面視において前記観察用透明基板の前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に重なるようにして前記容器本体内に位置し、かつ前記貫通孔を塞ぐように前記容器本体の底面に取り付ける工程を含み、
    前記観察用透明基板は、請求項8〜11のいずれかに記載の研磨方法により前記透明基材を研磨して作製されたものであることを特徴とする観察用容器の製造方法。
  13. 前記容器本体の平面視において前記ナノ凹凸パターンが前記貫通孔に物理的に包含されるようにして、前記容器本体の前記底部に前記観察用透明基板を取り付けることを特徴とする請求項12に記載の観察用容器の製造方法。
  14. 前記貫通孔から前記ナノ凹凸パターンを露出させるようにして、前記容器本体の前記底部の外面に前記観察用透明基板を取り付けることを特徴とする請求項12又は13に記載の観察用容器の製造方法。
  15. 前記観察用透明基板を、接着剤を介して前記底部に取り付けることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の観察用容器の製造方法。
  16. 前記観察対象物が、細胞又は前記細胞を構成する細胞構成要素であることを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の観察用容器の製造方法。
  17. 請求項4〜7のいずれかに記載の観察用容器内に観察対象物を収容し、
    前記ナノ凹凸パターン上の前記観察対象物を、前記観察用透明基板の前記第2面側から観察することを特徴とする観察方法。
  18. 倒立顕微鏡を用いて前記観察対象物を観察することを特徴とする請求項17に記載の観察方法。
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