JP2947153B2 - クラッチ制御装置 - Google Patents

クラッチ制御装置

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JP2947153B2
JP2947153B2 JP8027140A JP2714096A JP2947153B2 JP 2947153 B2 JP2947153 B2 JP 2947153B2 JP 8027140 A JP8027140 A JP 8027140A JP 2714096 A JP2714096 A JP 2714096A JP 2947153 B2 JP2947153 B2 JP 2947153B2
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、発進時のクラッチの接
続をドライバの操作意志に応じて制御するのに適した、
クラッチ制御装置に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、大型トラックや大型バスにおい
て、長距離便の増加やドライバの高齢化により労働環境
改善の必要性が強まり、運転装置に対する操作容易化、
自動化の要求が高まっている。この要求に対する対応の
一つにトランスミッションの自動化がある。
【0004】乗用車においては、トルクコンバータ式オ
ートマチック車が多く用いられているが、大型トラック
・バス等の大型車における自動変速システムは、大型車
用のトルクコンバータ式オートマチックトランスミッシ
ョンのコストが極めて高いこと、および燃費がマニュア
ルトランスミッション車に比べて劣ること等が原因で、
操作面でのメリットが大きいにもかかわらず市場に受け
入れられていない。
【0005】そこで、大型車のトランスミッション装置
として従来から用いられているトルク伝達装置、即ち、
歯車式変速機や摩擦クラッチを利用しながら、これらの
操作を自動化できるようにした、いわゆる機械式自動変
速機が開発され提供されるようになっている。このよう
な機械式自動変速機は、マニュアル車の歯車式変速機の
ギヤ位置を切り換えるアクチュエータ(ギヤシフトユニ
ット)や摩擦クラッチを断接駆動するアクチュエータ
(クラッチアクチュエータ)をそれぞれ設け、これらの
アクチュエータを電子制御することで、歯車式変速機や
摩擦クラッチに対して人間操作と近いレベルの動作を行
なわせる自動変速システムである。
【0006】例えばこのような機械式自動変速機では、
ギヤ位置の切換、即ち、変速段の切換の際には、例えば
クラッチアクチュエータとしてのエアシリンダをデュー
ティ制御することでクラッチの断接操作が行なわれる。
ところが、マニュアル式のクラッチをそなえたシステム
では、ドライバのテクニックによりクラッチの接続ショ
ックの発生を防止しているが、電子制御式においては、
エアシリンダのデューティ制御等により摩擦クラッチの
係合を電子制御することになるので、発進や変速等の過
渡時において、マニュアル操作と同様にクラッチの接続
を円滑に行なうことは困難である。
【0007】すなわち、電子制御によってはその制御動
作について、人間の感覚による微妙な調整動作を実現す
ることが困難であり、加えて、接続により伝達されるト
ルクが大きいため、その動作精度の差が大きく影響す
る。特に、発進時や伝達トルクの小さい微動走行には、
エンジン出力制御やクラッチ制御を適切に行なうことが
困難である。
【0008】そこで、このような機械式自動変速機で
は、発進時等の変速ショックを低減するために、クラッ
チの断接操作と併せてエンジン出力の制御も行なうよう
な技術が開発されている。このような技術は、例えば実
開昭63−89329号公報等に開示されており、電子
制御エンジンにおいて、通常時のエンジン出力はアクセ
ル開度に対応した信号(アクセル信号)によって制御さ
れるが、クラッチの断接操作時には、この実際に操作さ
れるアクセル開度とは異なる変速のための信号(これ
を、アクセル擬似信号という)をつくって、このアクセ
ル擬似信号に基づいて、電子ガバナを通じて燃料噴射量
を制御しエンジン出力を調整するのである。
【0009】すなわち、図13に示すように、アクセル
開度VA,エンジン回転数NE,クラッチストローク量
SVCの検出結果に基づいて制御信号を作成するように
なっており、アクセル開度VAから予め設定された対応
関係に基づいて目標エンジン回転数NE1を設定する目
標エンジン回転数設定手段101と、この目標エンジン
回転数NE1と実エンジン回転数NEとの差(=NE1
−NE)に基づいてアクセル擬似信号VACを作成する
擬似信号作成手段102とをそなえ、この擬似信号作成
手段102で作成されたアクセル擬似信号VACを電子
ガバナに出力して電子ガバナの制御を行なう。
【0010】一方、上述の擬似信号作成手段101で作
成されたアクセル擬似信号VACと、検出されたクラッ
チストローク量SVCと、エンジン回転数のピーク判定
とに基づいてクラッチ制御信号を作成するクラッチ制御
信号作成手段103をそなえている。エンジン回転数の
ピーク判定は、エンジン回転数に基づいてピーク判定手
段104で行なわれるようになっている。
【0011】このクラッチ制御はクラッチアクチュエー
タとしてのエアシリンダをデューティ制御することで行
なうので、このクラッチ制御信号は、エアシリンダをデ
ューティ制御するためのデューティ比に応じたものにな
る。特に、発進時には、エンジン出力調整に対応させつ
つクラッチの断接制御を行なうことで、滑らかな発進制
御を行なうことが可能になる。
【0012】そして、エンジン回転数のピークが判定さ
れるまでは、アクセル擬似信号VACに応じてクラッチ
制御信号を作成して出力し、エンジン回転数のピークが
判定されると、この時点でクラッチミートが行なわれた
と判断でき、この後は、クラッチの入出力、即ち、エン
ジン回転数とクラッチ回転数(図示略)との同期を観察
しながら、クラッチの入出力が同期したら、クラッチの
接合のためのクラッチ制御信号(デューティ制御信号)
を作成して出力する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の機械式自動変速機による発進時におけるエンジン
出力制御及びクラッチの断接制御については、次のよう
な課題がある。つまり、図13に示すように、アクセル
擬似信号VACはアクセル開度VAに対して一義的に決
定しているので、ドライバの意志を十分に反映すること
ができないという不具合がある。
【0014】また、エンジン回転数のピーク判定前は、
アクセル擬似信号VACに対して一義的にクラッチ制御
信号(即ち、デューティ比)を決定しているので、やは
りドライバの意志を十分に反映することができないとい
う不具合がある。また、発進中に、アクセルのオン・オ
フを繰り返した場合、エンジン側の応答遅れにより、エ
ンジンは高回転側で安定して、適切な擬似信号が出力さ
れず、実エンジン回転数と目標エンジン回転数とに差が
生じて、クラッチの滑り感が大きくなり、クラッチ接続
フィーリングが悪化し、車両の発進フィーリングも悪化
するという不具合もある。
【0015】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、車両の発進時等におけるクラッチ制御に関し
てドライバの意志を反映することができるようにして、
良好なクラッチ接続フィーリングを得られるようにし
た、クラッチ制御装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のクラッチ制御装置は、エンジンと動力伝達系
との間に介装されたクラッチと、該クラッチを断接駆動
するクラッチアクチュエータと、該クラッチアクチュエ
ータを制御するクラッチ制御手段と、をそなえたクラッ
チ制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル
開度検出手段と、アクセル開度の変化量を検出するアク
セル開度変化量検出手段と、少なくとも該アクセル開度
検出手段で検出されたアクセル開度と該アクセル開度変
化量検出手段で検出されたアクセル開度変化量とに基づ
きファジィ理論を用いてドライバの操作意志を反映した
アクセル開度を推定するアクセル開度推定手段とを有
し、該クラッチ制御手段が、該アクセル開度推定手段に
より推定されたアクセル開度に基づいて該クラッチアク
チュエータを制御することを特徴としている。
【0017】請求項2記載の本発明のクラッチ制御装置
は、請求項1記載の装置において、該クラッチのストロ
ーク量を検出するクラッチストローク検出手段をそな
え、該アクセル開度推定手段が、該アクセル開度検出手
段で検出されたアクセル開度と、該アクセル開度変化量
検出手段で検出されたアクセル開度変化量と、該クラッ
チストローク検出手段で検出されたクラッチストローク
量と、に基づいてアクセル開度を推定することを特徴と
している。
【0018】請求項3記載の本発明のクラッチ制御装置
は、請求項1又は2記載の装置において、エンジン回転
数の変化量を検出するエンジン回転数変化量検出手段を
そなえ、該クラッチ制御手段が、該アクセル開度推定手
推定されたアクセル開度と、該エンジン回転数変化
量検出手段により検出されたエンジン回転数変化量と、
に基づいて該クラッチアクチュエータを制御するための
クラッチ操作信号を決定することを特徴としている。
【0019】請求項4記載の本発明のクラッチ制御装置
は、請求項3記載の装置において、エンジン回転数を検
出するエンジン回転数検出手段をそなえ、該クラッチ制
御手段が、該アクセル開度推定手段推定されたアクセ
ル開度と、該エンジン回転数変化量検出手段により検出
されたエンジン回転数変化量と、該エンジン回転数検出
手段により検出されたエンジン回転数と、に基づいて
クラッチ操作信号を決定することを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12を参照して、
図面により本発明の実施の形態について説明する。図2
は本発明の一実施形態にかかる機械式自動変速機を説明
する構成図であり、図2において、11は車両に搭載さ
れたディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)
であり、このエンジン11の出力軸13には、機械式の
摩擦クラッチ(以下、単にクラッチという)15を介し
て、動力伝達系の一部であってエンジン11の回転速度
を変速する歯車式変速機17がそなえられている。
【0021】また、19は燃料噴射ポンプ(以下、単に
噴射ポンプという)であり、この噴射ポンプ19はエン
ジン11の出力軸13に接続されて出力軸13の1/2
の回転速度で回転する入力軸21をそなえている。噴射
ポンプ19のコントロールラック23は電磁アクチュエ
ータ25で駆動されるようになっており、コントロール
ラック23及び電磁アクチュエータ25により、エンジ
ン11の出力を調整するエンジン出力調整手段26が構
成される。なお、27は入力軸21の周囲にそなえられ
たエンジン回転数センサである。
【0022】クラッチ15は、フライホイール29と、
このフライホイール29と対向するクラッチ板31とを
そなえるとともに、一般的な手動式クラッチと同様にク
ラッチ板31をフライホイール29へ押圧してクラッチ
15を結合する図示しない押圧手段をそなえ、さらに、
この押圧手段による押圧を解除することでクラッチ15
の結合を解除するクラッチアクチュエータとしてエアシ
リンダ33がそなえられている。
【0023】なお、クラッチ15には、クラッチ15の
断接状態をクラッチストローク量(クラッチ板31のス
トローク量)として検出するためにクラッチストローク
センサ(クラッチストローク検出手段)35がそなえら
れているが、これに代えてクラッチタッチセンサ37を
利用にするようにしてもよい。また、歯車式変速機17
の入力軸39には、この入力軸39の回転数(これをク
ラッチ回転数という)を検出して検出信号を発するクラ
ッチ回転数センサ41が装備されている。
【0024】ところで、上記のエアシリンダ33には、
エア通路43が接続されており、このエア通路43は逆
止弁45を介してエアタンク47に接続されている。こ
のエア通路43の途中には、エアシリンダ33に作動エ
アを供給するためにデューティ制御される電磁弁34X
と、エアシリンダ33内を大気開放するためにデューテ
ィ制御される通電磁開放型の電磁弁34Yと、車両の走
行時のみエアシリンダ33内を大気開放する通電磁閉鎖
型の電磁弁34Zとがそなえられ、これらの電磁弁34
X,34Y,34Zの開閉制御によってクラッチ15の
断接及びその断接時間の制御が行われるようになってい
る。
【0025】また、変速段の切り換えは、歯車式変速機
17のギヤ位置を切り換えることで行なわれるが、この
ギヤ位置の切換はギヤ位置切換手段としてのギヤシフト
ユニット49により行なわれるようになっている。つま
り、変速段の切り換え操作は、チェンジレバー51を通
じてドライバが行なうが、チェンジレバー51が操作さ
れると変速段選択スイッチ53がこれに反応してギヤシ
フトユニット49に変速信号を出力して、ギヤシフトユ
ニット49が変速信号に応じて作動し、歯車式変速機1
7のギヤ位置をチェンジレバー51操作に応じた変速段
のものに切り換えるようになっている。また、このよう
なギヤ位置は図示しないギヤ位置インジケータに表示さ
れる。
【0026】ギヤシフトユニット49は、コントロール
ユニット55からの制御信号で作動する複数個の電磁弁
(図2中では1つのみを示している)57と、これらの
電磁弁57を介してエアタンク47からの高圧の作動エ
アが供給されて歯車式変速機17の図示しないセレクト
フォーク及びシフトフォークを駆動する一対のパワーシ
リンダ(これも図示せず)とを有し、コントロールユニ
ット55からの制御信号により電磁弁57を通じて各パ
ワーシリンダが操作されて、セレクト,シフトの順で歯
車式変速機17のギヤの噛み合い状態が切り換えられる
ようになっている。
【0027】さらに、ギヤシフトユニット49には、各
ギヤ位置を検出するギヤ位置センサとして機能するギヤ
位置スイッチ59がそれぞれ設けられ、これらのギヤ位
置スイッチ59からのギヤ位置検出信号がコントロール
ユニット55に入力されるようになっている。また、歯
車式変速機17の出力軸61には、車速信号を発する車
速センサ63が付設され、さらに、アクセルペダル65
にはその踏込量に応じた抵抗変化を電圧値として生じさ
せ、これをA/D変換器でデジタル信号化してコントロ
ールユニット55に出力するアクセル開度センサ(アク
セル開度検出手段)67が取り付けられている。また、
アクセルペダル65には、アクセルペダル65が踏み込
まれていないときに閉成し、アクセルペダル65が踏み
込まれているときに開成するスイッチ67Aが付設され
ている。
【0028】また、ブレーキペダル69には、ブレーキ
ペダル69が踏み込まれているときに閉成し、ブレーキ
ペダル69が踏み込まれていないときに開成するブレー
キセンサ71が付設されている。さらに、エンジン11
にはフライホイール29の外周のリングギヤに適宜噛み
合ってエンジン11をスタートさせるスタータ73が取
り付けられている。このスタータ73にそなえられたス
タータリレー75はコントロールユニット55からの信
号で作動しうるように接続されている。
【0029】さらに、コントロールユニット55とは別
途に車両の各種制御を行なうマイクロコンピュータ77
がそなえられており、このマイクロコンピュータ77を
通じて、図示しない各種センサからの入力信号に応じて
エンジン11の駆動制御等を行なうようになっている。
例えばこのマイクロコンピュータ77は、コントロール
ユニット55からのエンジン回転数増減制御信号に応じ
て噴射ポンプ21の電磁アクチュエータ25に作動信号
を与え、燃料の増減操作によりエンジン11の出力軸1
3の回転数(即ち、エンジン回転数)の増減制御を行な
うことができる。
【0030】そして、コントロールユニット55内に
は、図1に示すように、車両の発進時の制御に関する機
能部分がそなえられている。つまり、図1に示すよう
に、コントロールユニット55内には、ドライバ意志を
推定する機能(アクセル開度推定手段としてのドライバ
意志推定手段)81と、アクセル擬似信号を決定する機
能(アクセル擬似信号決定手段)83と、クラッチ操作
信号を決定する機能(クラッチ制御手段としてのクラッ
チ操作信号決定手段)85とがそなえられ、さらに、ア
クセル開度検出手段67で検出されたアクセル開度VA
からアクセル開度変化量(アクセル開度の時間変化)Δ
VAを算出する機能(アクセル開度変化量検出手段)6
8と、エンジン回転数検出手段27で検出されたエンジ
ン回転数NEからエンジン回転数変化量(エンジン回転
数の時間変化量)ΔNEを算出する機能(エンジン回転
数変化量検出手段)28とがそなえられる。
【0031】ドライバ意志推定手段81は、アクセル開
度検出手段67で検出されたアクセル開度VA,アクセ
ル開度変化量検出手段68で検出(算出)されたアクセ
ル開度変化量ΔVA,クラッチストロークセンサ35で
検出されたクラッチストローク量SVC及びクラッチ回
転数センサ41で検出されたクラッチ回転数NCLとに
基づいて、ファジィ理論を用いてドライバの操作意志を
反映したアクセル開度(ここでは、このドライバ意志に
応じたアクセル開度をWILLという)を定量的に推定
する。
【0032】アクセル擬似信号決定手段83は、アクセ
ル開度検出手段67で検出されたアクセル開度VAに基
づいてエンジン出力調整手段26(即ち、コントロール
ラック23を駆動する電磁アクチュエータ25)を制御
するためのアクセル擬似信号VACを決定する。特に、
アクセル擬似信号決定手段83は、予め記憶されたマッ
プに基づいてアクセル擬似信号VACを決定する。
【0033】つまり、アクセル擬似信号決定手段83に
は、例えば図1中のアクセル擬似信号決定手段83のブ
ロック内に示すような特性でドライバの操作したアクセ
ル開度VAにアクセル擬似信号VACを対応させたマッ
プが記憶されている。アクセル擬似信号決定手段83で
は、このマップに基づいてアクセル開度VAからアクセ
ル擬似信号VACを決定する。
【0034】また、クラッチ操作信号決定手段85は、
ドライバ意志推定手段81で推定されたドライバ操作意
志に応じた定量値WILL,エンジン回転数変化量検出
手段28で検出されたエンジン回転数変化量ΔNE及び
エンジン回転数検出手段27で検出されたエンジン回転
数NEに基づいてファジィルールを用いてクラッチアク
チュエータとしてのエアシリンダ33を制御するための
クラッチ操作信号を決定して出力する。
【0035】ここで、本実施形態のクラッチ制御装置に
よる発進制御の内容を説明しながら、ドライバ意志推定
手段81によるドライバの操作意志WILLの推定,ア
クセル擬似信号決定手段83によるアクセル擬似信号V
ACの決定,及びクラッチ操作信号決定手段85による
クラッチ操作信号の決定について詳細に説明する。発進
制御の全体の流れは、図3のPAD図に示すように行な
われる。
【0036】つまり、まず、ドライバ意志推定手段81
によりドライバの操作意志WILLの推定を行い(ステ
ップA10)、次いで、この推定されたドライバの操作
意志WILLに基づいてエンジン制御(ステップA2
0)とクラッチ制御(ステップA30)とを行なう。こ
のクラッチ制御時に、エンジン回転数とクラッチ回転数
との同期を判定して(ステップA40)、エンジン回転
数とクラッチ回転数とが同期したら、所定期間(例え
ば、0.5秒間)でゆっくりとクラッチを接続させてい
きながらクラッチを完全接合(完接)させて(ステップ
A50)、発進制御が終了する。
【0037】エンジン制御(ステップA20)の流れ
は、図4のPAD図に示すように行なわれる。つまり、
記憶手段87に記憶されたマップを用いてアクセル開度
VAからエンジン運転用の擬似信号データVACを設定
する(ステップB10)。クラッチ制御(ステップA3
0)の流れは、図5のPAD図に示すように行なわれ
る。
【0038】つまり、まず、クラッチストローク量SV
Cが半クラッチ直前位置(LE点)よりも大きく且つク
ラッチ切点以下であるかを判定して(ステップC1
0)、クラッチストローク量SVCがLE点よりも大き
く且つ切点以下の範囲内にあればクラッチの目標ストロ
ーク量としてLE点を与える(ステップC20)。クラ
ッチストローク量SVCがLE点よりも大きく且つ切点
以下の範囲内になければ、アクセル開度VAが非アイド
ル領域(VA≧10%)にあるか否かを判定する(ステ
ップC30)。
【0039】ここで、アクセル開度VAが非アイドル領
域にあれば、クラッチストローク量SVCが半クラッチ
位置(LE−α点)よりも大きく且つクラッチ切点以下
の範囲内にあるかを判定する(ステップC40)。クラ
ッチストローク量SVCがLE−α点よりも大きく且つ
切点以下の範囲内にあれば、クラッチの目標ストローク
量としてLE−α点を与える(ステップC50)。クラ
ッチストローク量SVCがLE−α点よりも大きく且つ
切点以下の範囲内になければ、本発進制御装置の特徴と
するクラッチストロークのファジィ制御を行なう(ステ
ップC60)。また、アクセル開度VAが非アイドル領
域になければ、即ち、アクセル開度VAがアイドル領域
にあれば、下り坂発進制御を行なう(ステップC7
0)。
【0040】そして、上述のステップA10(図3参
照)のドライバの操作意志WILLの推定は、次のよう
に行なう。すなわち、以下の表1にドライバの操作意志
WILLの推定にかかるファジィルールを示すが、この
表1に示すルールのうち、No. 1〜No. 21は車両の停
止時のファジィルールを示し、No. 22〜No. 32は車
両の発進時のファジィルールを示す。
【0041】
【表1】 表1に示すように、停止時のファジィルールNo. 1〜N
o. 21は入力条件(前件部)としてクラッチ回転数N
CLとアクセル開度VAとアクセル開度変化量ΔVAと
が与えられ、出力(後件部)としてドライバ操作意志W
ILLが得られるようになっている。
【0042】発進時のファジィルールNo. 22〜No. 3
2は入力条件(前件部)としてクラッチ回転数NCLと
アクセル開度VAとアクセル開度変化量ΔVAとに加え
てクラッチストローク量SVCが与えられ、出力(後件
部)としてドライバ操作意志WILLが得られるように
なっている。また、これらのルールNo. 1〜No. 32以
外の場合は、ドライバ操作意志WILLは0とする。
【0043】入力条件のうちのクラッチ回転数NCL
は、停止時か発進時かを判別する条件であり、車両の停
止時にはクラッチの出力側が停止しているのでNCL=
0が車両の停止条件となり、ファジィルールNo. 1〜N
o. 21の前提条件となる。また、車両の発進時にはク
ラッチの出力側が回転しているのでNCL≠0が車両の
発進条件となり、ファジィルールNo. 22〜No. 32の
前提条件となる。
【0044】そして、入力条件のうちのアクセル開度V
A,アクセル開度変化量ΔVA及びクラッチストローク
量SVCについては、例えば図6〜図8に示すようにメ
ンバシップ関数が与えられる。また、ドライバ操作意志
WILLに関する出力のメンバシップ関数は図9に示す
ように与えられる。
【0045】アクセル開度入力VAのメンバシップ関数
は、図6に示すように、アクセル開度0%をラベル
「小」の最大値、アクセル開度50%をラベル「中」の
最大値、アクセル開度100%をラベル「大」の最大値
として設定されている。アクセル開度変化量入力ΔVA
のメンバシップ関数は、図7に示すように設定される
が、ここでは、アクセル開度変化を最も速く行なえば、
約80msecで100%の開度変化(即ち、0%から10
0%へ又は100%から0%への開度変化)を行なえる
ものと考え、変化計測を50msec間隔としている。
【0046】そして、アクセル開度変化量0%〔/50
msec〕をラベル「ゼロ」の最大値、アクセル開度変化量
10%〔/50msec〕をラベル「正に小」の最大値、ア
クセル開度変化量20%〔/50msec〕をラベル「正に
中」の最大値、アクセル開度変化量30%〔/50mse
c〕以上をラベル「正に大」の最大値として設定されて
いる。
【0047】また、アクセル開度変化が負の方向の場合
には、これとは逆に設定されている。つまり、アクセル
開度変化量−10%〔/50msec〕をラベル「負に小」
の最大値、アクセル開度変化量−20%〔/50msec〕
をラベル「負に中」の最大値、アクセル開度変化量−3
0%〔/50msec〕以上をラベル「負に大」の最大値と
して設定されている。
【0048】クラッチストローク量SVCのメンバシッ
プ関数は、図8に示すように、クラッチ接位置をラベル
「小」の最大値、クラッチ接位置と半クラッチ直前位置
(LE点)との中間位置をラベル「中」の最大値、半ク
ラッチ直前位置(LE点)以上をラベル「大」の最大値
として設定している。一方、ドライバ操作意志WILL
に関する出力のメンバシップ関数は、図9に示すよう
に、ラベル「負に大」の最大値を−100%、ラベル
「正に大」の最大値を100%とし、この間の各ラベル
「負に中」,「負に小」,「ゼロ」,「正に小」,「正
に中」を均等割りに設定されている。
【0049】このようなメンバシップ関数を利用して、
ドライバ操作意志WILLを求めるが、表1の停止時の
ファジィルールNo. 1〜No. 21に関しては、ドライバ
操作意志WILLは正方向(即ち、加速方向)のみとな
るので、何れのルールでもドライバ操作意志WILLは
正となる。そして、表1の停止時のファジィルールNo.
1〜No. 21に関する備考欄中のに示すように、アク
セル開度変化量ΔVAのラベルが「ゼロ」又は「正方向
に小(即ち、ゆっくり踏込)」又は「負方向に小(即
ち、ゆっくり戻し)」ならば、アクセル開度自体のラベ
ルをドライバ操作意志WILLの正のラベルとする。
【0050】例えばアクセル開度VAのラベルが「小」
でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「ゼロ」又は
「正に小」又は「負に小」ならば、ドライバ操作意志W
ILLのラベルは「正に小」となる(ルールNo. 1,
2,5)。また、アクセル開度VAのラベルが「中」で
アクセル開度変化量ΔVAのラベルが「ゼロ」又は「正
に小」又は「負に小」ならば、ドライバ操作意志WIL
Lのラベルは「正に中」となる(ルールNo. 8,9,1
2)。
【0051】そして、アクセル開度VAのラベルが
「大」でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「ゼロ」
又は「正に小」又は「負に小」ならば、ドライバ操作意
志WILLのラベルは「正に大」となる(ルールNo. 1
5,16,19)。また、表1の停止時のファジィルー
ルNo. 1〜No. 21に関する備考欄中のに示すよう
に、アクセル開度変化量ΔVAのラベルが「正方向に中
(即ち、少し速めの踏込)」ならば、アクセル開度自体
のラベルよりも一つ上をドライバ操作意志WILLの正
のラベルとする。もちろん、ドライバ操作意志WILL
の上限ラベル(正に大)は越えない。
【0052】例えばアクセル開度VAのラベルが「小」
でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「正に中」なら
ば、ドライバ操作意志WILLのラベルは「正に中」と
なる(ルールNo. 3)。また、アクセル開度VAのラベ
ルが「中」でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「正
に中」ならば、ドライバ操作意志WILLのラベルは
「正に大」となる(ルールNo. 10)。そして、アクセ
ル開度VAのラベルが「大」でアクセル開度変化量ΔV
Aのラベルが「正に中」ならば、ドライバ操作意志WI
LLのラベルは「正に大」となる(ルールNo. 17)。
【0053】また、表1の停止時のファジィルールNo.
1〜No. 21に関する備考欄中のに示すように、アク
セル開度変化量ΔVAのラベルが「正方向に大(即ち、
速めの踏込)」ならば、アクセル開度自体のラベルより
も二つ上をドライバ操作意志WILLの正のラベルとす
る。もちろん、ドライバ操作意志WILLの上限ラベル
(正に大)は越えない。
【0054】例えばアクセル開度VAのラベルが「小」
でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「正に大」なら
ば、ドライバ操作意志WILLのラベルは「正に大」と
なる(ルールNo. 4)。また、アクセル開度VAのラベ
ルが「中」でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「正
に大」ならば、ドライバ操作意志WILLのラベルは
「正に大」となる(ルールNo. 11)。そして、アクセ
ル開度VAのラベルが「大」でアクセル開度変化量ΔV
Aのラベルが「正に大」ならば、ドライバ操作意志WI
LLのラベルは「正に大」となる(ルールNo. 18)。
【0055】また、表1の停止時のファジィルールNo.
1〜No. 21に関する備考欄中のに示すように、アク
セル開度変化量ΔVAのラベルが「負方向に中(即ち、
少し速めの戻し)」ならば、アクセル開度自体のラベル
よりも一つ下をドライバ操作意志WILLの正のラベル
とする。もちろん、ドライバ操作意志WILLの正方向
の下限ラベル(正に小)は下回らない。
【0056】例えばアクセル開度VAのラベルが「小」
でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「負に中」なら
ば、ドライバ操作意志WILLのラベルは「正に小」と
なる(ルールNo. 6)。また、アクセル開度VAのラベ
ルが「中」でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「負
に中」ならば、ドライバ操作意志WILLのラベルは
「正に小」となる(ルールNo. 13)。そして、アクセ
ル開度VAのラベルが「大」でアクセル開度変化量ΔV
Aのラベルが「負に中」ならば、ドライバ操作意志WI
LLのラベルは「正に中」となる(ルールNo. 20)。
【0057】また、表1の停止時のファジィルールNo.
1〜No. 21に関する備考欄中のに示すように、アク
セル開度変化量ΔVAのラベルが「負方向に大(即ち、
速めの戻し)」ならば、アクセル開度自体のラベルより
も二つ下をドライバ操作意志WILLの正のラベルとす
る。もちろん、ドライバ操作意志WILLの正方向の下
限ラベル(正に小)は下回らない。
【0058】例えばアクセル開度VAのラベルが「小」
でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「負に大」なら
ば、ドライバ操作意志WILLのラベルは「正に小」と
なる(ルールNo. 7)。また、アクセル開度VAのラベ
ルが「中」でアクセル開度変化量ΔVAのラベルが「負
に大」ならば、ドライバ操作意志WILLのラベルは
「正に小」となる(ルールNo. 14)。そして、アクセ
ル開度VAのラベルが「大」でアクセル開度変化量ΔV
Aのラベルが「負に大」ならば、ドライバ操作意志WI
LLのラベルは「正に小」となる(ルールNo. 21)。
【0059】そして、表1の発進中のファジィルールN
o. 22〜No. 26は、アクセル開度変化量ΔVAがゼ
ロの場合であり、この場合には、アクセル開度VAが大
を除いてはアクセル開度VA及びクラッチストローク量
SVCに基づいて、アクセル開度VAのときにはアクセ
ル開度VAのみに基づいて、表1中の備考欄に示すよう
に、ドライバ操作意志WILLのラベルを設定する。
【0060】このうち、ルールNo. 22,No. 23は、
半クラッチ(SVC=小又は中)中でアクセル開度変化
量がない(ΔVAがゼロ)場合であり、この場合は、現
加速度を保持する、即ち、加速意志なしと判定して、ド
ライバ操作意志WILLはゼロ(加速意志なし)とす
る。また、ルールNo. 24,No. 25は、再加速時等の
半クラッチでない場合(SVC=大)にはアクセル開度
変化量がなくても(ΔVAがゼロでも)、加速意志あり
として、アクセル開度VAのラベルに応じた正方向のラ
ベルとしてドライバ操作意志WILLを設定する。
【0061】そして、ルールNo. 26に関する備考欄中
に示すように、ルールNo. 26は、アクセル開度大の場
合には、クラッチストローク量(SVCのラベル)にか
かわらず加速意志ありとして、アクセル開度VAのラベ
ルに応じてドライバ操作意志WILLとして正方向に大
のラベルに設定する。また、表1の発進中のファジィル
ールNo. 27〜No. 32は、アクセル開度変化量ΔVA
がゼロ以外の場合であり、この場合には、アクセル開度
変化量ΔVAのみに基づいて、表1中の備考欄に示すよ
うに、アクセル開度変化量ΔVAのラベルに対応するよ
うにドライバ操作意志WILLのラベルを設定する。つ
まり、アクセル開度変化量ΔVAのラベルが「小」なら
ばドライバ操作意志WILLのラベルを「正に小」、ア
クセル開度変化量ΔVAのラベルが「中」ならばドライ
バ操作意志WILLのラベルを「正に中」、アクセル開
度変化量ΔVAのラベルが「大」ならばドライバ操作意
志WILLのラベルを「正に大」とする。
【0062】このようにしてそれぞれ設定されたメンバ
シップ関数により、前件部における各ラベルのグレード
を求めて設定されたファジィルールによるファジィ推論
により、ドライバの操作意志(加速意志)に関する各ラ
ベルのグレードを求めることができる。つまり、図9に
示すドライバ意志の出力のメンバシップ関数に基づい
て、ドライバ操作意志WILLを、各ラベルのグレード
を定量値として算出することができる。
【0063】そして、クラッチ制御(図3のステップA
30)の中のクラッチストロークのファジィ制御(図5
のステップC60)は、以下のように行なわれる。ま
ず、このクラッチストロークのファジィ制御に用いるフ
ァジィルールを以下の表2に示す。
【0064】
【表2】 表2に示すように、ファジィルールNo. 1〜No. 20が
設定され、このうち、ルールNo. 1〜No. 14は入力条
件(前件部)としてドライバ操作意志WILLとエンジ
ン回転数変化量ΔNEとが与えられ、ルールNo. 15〜
No. 17は入力条件(前件部)としてドライバ操作意志
WILLのみが与えられ、ルールNo. 18は入力条件
(前件部)としてエンジン回転数NEのみが与えられ、
ルールNo.19,No. 20は入力条件(前件部)として
エンジン回転数変化量ΔNEのみが与えられている。
【0065】また、各ルールNo. 1〜No. 20とも、出
力(後件部)としてクラッチ出力CLUTCHが得られ
るようになっている。そして、これらのルールNo. 1〜
No.20以外の場合には、クラッチホールドとするよう
になっている。ここで入力条件となるドライバ操作意志
WILLについては、既に説明したように、図9に示す
ようなメンバシップ関数により、各ラベル、即ち、「負
に大」,「負に中」,「負に小」,「ゼロ」,「正に
小」,「正に中」,「正に大」に関するグレードが設定
されている。
【0066】また、入力条件であるエンジン回転数NE
は、エンスト(エンジンストール)防止のために使用す
るものであり、このエンジン回転数NEのメンバシップ
関数については、図10に示すように設定され、エンス
ト防止回転数250rpm にてクリスプ関数として、エン
ジン回転数が「小」のラベルを設定する。そして、入力
条件であるエンジン回転数変化量ΔNEのメンバシップ
関数は、図11に示すように設定されるが、ここで、エ
ンジン回転数変化の計測時間は例えば50msecとする。
【0067】図示するように、エンジン回転数変化量Δ
NEのラベルには、「負に大」,「負に中」,「負に
小」,「ゼロ」,「正に小」,「正に中」,「正に大」
とが設けられ、このうち、クラッチをホールドするため
のラベル「ゼロ」は最大値を0〔rpm/50msec〕にその範
囲を±10〔rpm/50msec〕に設定される。ラベル「負に
小」は最大値を−15〔rpm/50msec〕にその範囲を±1
5〔rpm/50msec〕に設定される。また、エンジン回転数
変化量ΔNEが−40〔rpm/50msec〕以下でクラッチ切
となるように、ラベル「負に大」は最大値を−40〔rp
m/50msec〕以下とし、−40〔rpm/50msec〕以上につい
てはその範囲を+10〔rpm/50msec〕に設定される。そ
して、ラベル「負に中」は「負に大」と「負に小」との
中間となるように、最大値を−25〔rpm/50msec〕と
し、その範囲を±15〔rpm/50msec〕に設定される。
【0068】また、エンジン回転数変化量ΔNEが正の
方向の場合には、これとは逆に設定されている。つま
り、ラベル「正に小」は最大値を15〔rpm/50msec〕に
その範囲を±15〔rpm/50msec〕に設定される。ラベル
「正に大」は最大値を40〔rpm/50msec〕以上とし、4
0〔rpm/50msec〕以下についてはその範囲を+10〔rp
m/50msec〕に設定される。そして、ラベル「正に中」は
「正に大」と「正に小」との中間となるように、最大値
を25〔rpm/50msec〕とし、その範囲を±15〔rpm/50
msec〕に設定される。
【0069】一方、クラッチ出力CLUTCHに関する
メンバシップ関数は、図12に示すように設定される。
つまり、ラベル「負に大」,「負に中」,「負に小」,
「ゼロ」,「正に小」,「正に中」,「正に大」が設け
られ、ラベル「負に大」から「正に大」の間の各ラベル
「負に中」,「負に小」,「ゼロ」,「正に小」,「正
に中」は均等割りに設定されている。
【0070】このようにそれぞれ設定されたファジィル
ール及びメンバシップ関数等によるファジィ推論によ
り、定量化されたドライバの操作意志(加速意志)等に
基づいて、クラッチ出力CLUTCHに関する各ラベル
のグレードを求めることができる。つまり、表2に示す
前件部に関する各ラベルのグレードからクラッチ出力C
LUTCHに関する各ラベルのグレードを求め、例えば
重心法等を利用して、クラッチ出力CLUTCHの値を
定量値として算出することができる。
【0071】このようにして、本装置によれば、ドライ
バ意志推定手段81により、アクセル開度VA,アクセ
ル開度変化量ΔVA,クラッチストローク量SVC及び
クラッチ回転数NCLとに基づいて、ファジィルールを
用いながら、ドライバの操作意志を定量的に推定するこ
とができ、さらに、クラッチ操作信号決定手段85によ
り、このようにドライバ意志推定手段81で推定された
ドライバ操作意志に応じた定量値WILLや、エンジン
回転数変化量ΔNE及びエンジン回転数NEに基づいて
ファジィルールを用いてエアシリンダ(クラッチアクチ
ュエータ)33を制御するためのクラッチ操作信号(ク
ラッチストローク増減量)を決定し、クラッチストロー
クを制御するので、クラッチストロークの制御にドライ
バの意志が十分に反映されるようになる。
【0072】勿論、クラッチストローク量SVCが半ク
ラッチ位置(LE−α点)以下になってからのエンジン
回転数のピーク判定前にも、ドライバの意志を十分に反
映することができる。また、発進中に、アクセルのオン
・オフを繰り返した場合に、エンジン側の応答遅れによ
りエンジンは高回転側で安定し適切な擬似信号が出力さ
れないために実エンジン回転数と目標エンジン回転数と
に差が生じてクラッチの滑り感が大きくなるといった不
具合が解消されて、良好なクラッチ接続フィーリングが
得られるという効果があり、延いては、自動車における
良好な発進フィーリングが得られるようになる。
【0073】また、電子ガバナについては、マップを用
いたオープン制御により作動が制御されるが、クラッチ
制御の方が上述のように適切に行なわれるため、オープ
ン制御により電子ガバナ制御によっても電子ガバナを容
易に適切に制御することができる。なお、アクセル擬似
信号決定手段83では、予め記憶されたマップに基づい
てアクセル開度検出手段67で検出されたアクセル開度
VAからアクセル擬似信号VACを決定するようになっ
ているが、このアクセル擬似信号VACを求めるマップ
の横軸を、ドライバ意志に応じた定量値WILLとし
て、この定量値WILLからアクセル擬似信号VACを
決定するようにしてもよい。
【0074】また、本発明のクラッチ制御装置で行なう
各ファジィ推論については、その各ルールや各メンバシ
ップ関数について本実施形態で説明したものに限定され
るものではなく、種々のルールやメンバシップ関数の設
定が考えられる。また、本実施形態では、変速機を機械
式自動変速機としているが、本クラッチ制御装置は、エ
ンジンからの動力を伝達するクラッチ(摩擦クラッチ)
に広く適用することができ、もちろん、手動変速機等他
の変速機とともに用いられるクラッチとしても適用可能
である。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のクラッチ制御装置によれば、クラッチストローク
の制御にドライバの意志が十分に反映されるようにな
り、クラッチ接続フィーリングが向上するという効果が
得られ、この結果、自動車においては良好な発進フィー
リングが得られるようになる。
【0076】請求項2記載の本発明のクラッチ制御装置
によれば、ドライバの意志を確実に推定することができ
るようになり、クラッチストロークの制御にドライバの
意志をより確実に反映させることで、良好なクラッチ接
続フィーリングをより確実に得られるという効果があ
る。請求項3記載の本発明のクラッチ制御装置によれ
ば、クラッチストロークの制御を定量的に確実に行なう
ことができるという利点がある。
【0077】請求項4記載の本発明のクラッチ制御装置
によれば、エンジンストールを回避するようにしなが
ら、上述の各効果を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
の要部を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる機械式自動変速機
を説明する構成図である。
【図3】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
による制御を示すフローチャート(PAD図)である。
【図4】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
にかかるエンジン制御を示すフローチャート(PAD
図)である。
【図5】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
にかかるクラッチ制御を示すフローチャート(PAD
図)である。
【図6】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
によるドライバ意志推定のためのファジィ推論に用いる
アクセル入力のメンバシップ関数を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
によるドライバ意志推定のためのファジィ推論に用いる
アクセル変化入力のメンバシップ関数を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
によるドライバ意志推定のためのファジィ推論に用いる
クラッチストローク入力のメンバシップ関数を示す図で
ある。
【図9】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装置
によるドライバ意志推定のためのファジィ推論に用いる
ドライバ意志出力のメンバシップ関数を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装
置による発進制御のためのファジィ推論に用いるエンジ
ン回転入力のメンバシップ関数を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装
置による発進制御のためのファジィ推論に用いるエンジ
ン回転変化入力のメンバシップ関数を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態としてのクラッチ制御装
置による発進制御のためのファジィ推論に用いるクラッ
チ出力のメンバシップ関数を示す図である。
【図13】従来のクラッチ制御装置の要部を示す模式的
な構成図である。
【符号の説明】
11 エンジン(ディーゼルエンジン) 13 エンジン11の出力軸 15 機械式の摩擦クラッチ(クラッチ) 17 歯車式変速機(動力伝達系) 19 燃料噴射ポンプ(噴射ポンプ) 21 入力軸 23 噴射ポンプ19のコントロールラック 25 電磁アクチュエータ 26 エンジン出力調整手段 27 エンジン回転数センサ 28 エンジン回転数変化量検出手段 29 フライホイール 31 クラッチ板 33 クラッチアクチュエータとしてのエアシリンダ 35 クラッチストロークセンサ(クラッチストローク
検出手段) 37 クラッチタッチセンサ 39 歯車式変速機17の入力軸 41 クラッチ回転数センサ 43 エア通路 45 逆止弁 47 エアタンク 34X,34Y,34Z 電磁弁 49 ギヤ位置切換手段としてのギヤシフトユニット 51 チェンジレバー 53 変速段選択スイッチ 55 コントロールユニット 57 電磁弁 59 ギヤ位置スイッチ 61 歯車式変速機17の出力軸 63 車速センサ 65 アクセルペダル 67 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段) 67A スイッチ68 アクセル開度変化量検出手段 69 ブレーキペダル 71 ブレーキセンサ 73 スタータ 75 スタータリレー 77 マイクロコンピュータ 81 アクセル開度推定手段としてのドライバ意志推定
手段 83 アクセル擬似信号決定手段 85 クラッチ制御手段としてのクラッチ操作信号決定
手段

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと動力伝達系との間に介装され
    たクラッチと、 該クラッチを断接駆動するクラッチアクチュエータと、 該クラッチアクチュエータを制御するクラッチ制御手段
    と、をそなえたクラッチ制御装置において、 アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、 アクセル開度の変化量を検出するアクセル開度変化量検
    出手段と、 少なくとも該アクセル開度検出手段で検出されたアクセ
    ル開度と該アクセル開度変化量検出手段で検出されたア
    クセル開度変化量とに基づきファジィ理論を用いてドラ
    イバの操作意志を反映したアクセル開度を推定するアク
    セル開度推定手段とを有し、 該クラッチ制御手段が、該アクセル開度推定手段により
    推定されたアクセル開度に基づいて該クラッチアクチュ
    エータを制御することを特徴とする、クラッチ制御装
    置。
  2. 【請求項2】 該クラッチのストローク量を検出するク
    ラッチストローク検出手段をそなえ、 該アクセル開度推定手段が、該アクセル開度検出手段で
    検出されたアクセル開度と、該アクセル開度変化量検出
    手段で検出されたアクセル開度変化量と、該クラッチス
    トローク検出手段で検出されたクラッチストローク量
    と、に基づいてアクセル開度を推定することを特徴とす
    る、請求項1記載のクラッチ制御装置。
  3. 【請求項3】 エンジン回転数の変化量を検出するエン
    ジン回転数変化量検出手段をそなえ、該クラッチ制御手段が、該アクセル開度推定手段推定
    されたアクセル開度と、該エンジン回転数変化量検出手
    段により検出されたエンジン回転数変化量と、に基づい
    該クラッチアクチュエータを制御するためのクラッチ
    操作信号を決定することを特徴とする、請求項1又は2
    記載のクラッチ制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジン回転数を検出するエンジン回転
    数検出手段をそなえ、該クラッチ制御手段が、該アクセル開度推定手段推定
    されたアクセル開度と、該エンジン回転数変化量検出手
    段により検出されたエンジン回転数変化量と、該エンジ
    ン回転数検出手段により検出されたエンジン回転数と、
    に基づいて該クラッチ操作信号を決定することを特徴と
    する、請求項3記載のクラッチ制御装置。
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