JP2947045B2 - 反射型映写スクリーン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、映写用画像を光学プロ
ジェクター（スライドプロジェクター、ＣＲＴテレビ画
像プロジェクター、液晶テレビ画像プロジェクターな
ど）から投影して、当該画像をプロジェクターと同じ方
向から観察する場合に使用される反射型映写スクリーン
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、様々なビデオプロジェクター（Ｃ
ＲＴテレビ画像プロジェクター、液晶テレビ画像プロジ
ェクター）が開発され、テレビ画像を簡単に大型スクリ
ーンに投影して楽しむことが可能になってきている。ま
た、これらのスクリーン、特に反射型映写スクリーン
は、収納性を上げるために巻き取り式（巻き上げ式）と
なっているものが多い。

【０００３】上記巻き取り式の反射型映写スクリーン
は、図５の斜視図に示すように、シート状のスクリーン
Ｓ本体と、巻き取り収納用の巻き取り軸Ｌ（木製、アル
ミニウム等の金属製、又はプラスチック製の丸棒状のシ
ャフト）とを備え、スクリーン本体Ｓを巻き取り軸Ｌに
巻き取ることによって収納する。また、一般に巻き取り
式反射型映写スクリーンの前記巻き取り軸Ｌは、金属製
若しくはプラスチック製の中空筒状のカバー体（図示せ
ず）によって被覆されており、そのカバー体の両端に巻
き取り軸Ｌ両端部を巻き取り方向にバネによって付勢さ
れて自動巻き取り形式に回転可能に軸支され、該カバー
体に巻き取り軸Ｌの軸方向に形成したスリット孔から、
スクリーン本体Ｓを出し入れできるようになっている。

【０００４】スクリーン本体Ｓは、その一端部ａを巻き
取り軸Ｌ周面に軸方向に沿って取付けてあり、巻き取り
軸Ｌの周面には、図５の斜視図に示すように、その軸方
向に沿って取付けられるスクリーン本体の一端部の厚さ
に相当する切欠部１（スクリーン本体の一端部が嵌合す
る部分）を設けることによって、巻き取り軸Ｌの周面
と、これに取付けられるスクリーン本体Ｓの一端部ａ表
面との間に高低差による段差が生じないように同一面を
もって取付けられるように設計されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記巻
き取り軸Ｌに前記切欠部１を設けても、巻き取り軸Ｌの
周面に対して、取付けられるスクリーン本体Ｓの一端部
ａ表面が僅かに高くなったり低くなったりして、あるい
はスクリーン本体Ｓのシート厚さの経時変化などによっ
て同一面を確保することが困難で、図６の側面図に示す
ように、巻き取り軸Ｌ方向に沿って僅かな段差ｄが生じ
ることは避け難いものである。なお、巻き取り軸Ｌと、
スクリーン本体Ｓ一端部ａとの取付けは、感圧粘着剤２
によって接合するか、あるいは釘止め、螺子止めなどで
ある。

【０００６】ところで、巻き取り式（巻き上げ式）の反
射型映写スクリーンは、巻き取り性能を上げるために、
スクリーン本体は、巻き取りが円滑に行えるように柔軟
性のある合成樹脂製のシート、あるいは合成樹脂製の積
層シートにより作製されている。

【０００７】このように柔軟性のある合成樹脂製のシー
トであるが故に、図７（ａ）の側面図、及び図７（ｂ）
の正面図に示すように、前記巻き取り軸Ｌ周面と、取付
けられたスクリーン本体Ｓの一端部ａ表面との間の僅か
な前記段差ｄが、巻き取り軸Ｌに巻き取ったスクリーン
本体Ｓ表面に対して、巻き取り軸Ｌ方向に沿った筋状の
巻き癖部３を起こし易いものであり、映写に使用する際
にスクリーン本体Ｓを平坦状にした時に、スクリーン本
体Ｓの一端部ａと対向する他端部ｂに荷重シャフト４等
を取付けてあったとしても巻き癖は容易に取り除くこと
ができないものである。

【０００８】本発明の目的は、収納時における反射型映
写スクリーンの巻き取り収納によって、スクリーン本体
と巻き取り軸との段差による巻き癖が発生することを防
止することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、柔軟な積層シ
ートにより形成されたスクリーン本体Ｓと、該スクリー
ン本体Ｓを巻き取るための巻き取り軸Ｌとを備えた巻き
取り式の反射型映写スクリーンにおいて、巻き取り軸Ｌ
に対して直交する方向のスクリーン本体Ｓ両端部と密接
する該巻き取り軸Ｌ周面に突出部５を突設したことを特
徴とする反射型映写スクリーンである。

【００１０】

【作用】本発明の反射型映写スクリーンは、巻き取り軸
Ｌに対して直交する方向のスクリーン本体Ｓ両端部と密
接する該巻き取り軸Ｌ周面に突出部５を突設したので、
巻き取り軸Ｌによってスクリーン本体Ｓを巻き取った際
に、前記突出部５によって、スクリーン本体Ｓと巻き取
り軸Ｌ周面との間に、図２に示すように間隙Ｉが得ら
れ、スクリーン本体Ｓは、直接に巻き取り軸Ｌに密接せ
ずに巻き取られる。そのため、巻き取り軸Ｌ周面と、巻
き取り軸Ｌに取付けられたスクリーン本体Ｓの一端部ａ
表面との間の段差ｄによる押圧が、少なくともスクリー
ン本体Ｓの両端部のみに掛かり、それ以外の映写有効面
Ｓｇ等のスクリーン領域には、段差ｄによる押圧が掛か
らず、スクリーン本体Ｓの両端部以外の映写有効面Ｓｇ
等のスクリーン領域での段差ｄによる筋状の巻き癖の発
生を回避できる。

【００１１】また、巻き取り軸Ｌ両端部に突出部５を設
けることによって、従来のようなスクリーン本体Ｓの一
端部ａを取付けるための切欠部１を巻き取り軸Ｌの軸方
向に沿って設けることを省略できる。

【００１２】

【実施例】本発明の反射型映写スクリーンを、図１の実
施例に従って以下に詳細に説明すれば、スクリーン本体
Ｓは、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の基材シートに、
アルミニウム等の金属箔、金属蒸着膜、金属粉体インキ
膜等による光反射層、光波振幅方向の一方向に対して透
過性を有する透光性の偏光シート層、透光性の光拡散シ
ート層を順に積層したシートであり、表面の光拡散シー
ト層側にプロジェクターからの映像光を投影し、光反射
層にて反射した映像光を、光拡散シート層側から観察す
るものである。

【００１３】スクリーン本体Ｓ裏面となる基材シート
は、白色、又は黒色等の適宜に着色された合成樹脂シー
トであって、延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリ塩
化ビニルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネー
トフィルム等を使用する。また基材シートの層厚は、例
えば０．１ｍｍ〜１．０ｍｍ程度であり、スクリーン本
体Ｓの総厚は、０．１５ｍｍ〜３ｍｍ程度、あるいは
０．１５ｍｍ〜１．５ｍｍ程度、０．５ｍｍ〜３ｍｍ程
度、０．５ｍｍ〜１．５ｍｍ程度であるが、特に限定は
されない。

【００１４】該スクリーン本体Ｓは、その一端部が従来
の反射型映写スクリーンと同様に、木製、金属製、合成
樹脂製等の細長い円柱状、楕円状等のシャフト（丸棒
等）の巻き取り軸Ｌに取付けられて、巻き取り収納でき
るようになっている。なお、前記巻き取り軸Ｌは、金属
製若しくはプラスチック製の中空筒状のカバー体（図示
せず）によって被覆されていてもよく、そのカバー体の
両端に巻き取り軸Ｌ両端部を巻き取り方向にバネによっ
て付勢されて自動巻き取り形式に回転可能に軸支されて
おり、該カバー体に巻き取り軸Ｌの軸方向にスクリーン
本体Ｓの幅相当の長さに形成した細長いスリット孔から
スクリーン本体Ｓを出し入れできるようになっていても
よい。

【００１５】図１に示すように、巻き取り軸Ｌ方向に対
して直交する方向のスクリーン本体Ｓの幅方向両端部と
接触する個所の巻き取り軸Ｌ周面（巻き取り軸Ｌの軸方
向両端部の周面）に輪状に突出部５を突設してある。突
出部５の突出高さは、特に限定されないが、巻き取り軸
Ｌ周面から、０．２ｍｍ〜１ｍｍ程度、あるいは０．３
ｍｍ〜０．５ｍｍ程度突出して設けられていることが適
当である。また突出部５の幅は、特に限定されないが、
１ｍｍ〜１５ｍｍ、１ｍｍ〜１０ｍｍ程度が適当であ
る。

【００１６】突出部５は、図２の正面断面図に示すよう
に、巻き取り軸Ｌの周面に対して輪状に突出した状態に
形成されており、巻き取り方向に連続して形成されてい
もよいし、あるいは、上記突出部５に沿ってスクリーン
本体Ｓを巻いた時に、間隔をあけた部分でスクリーン本
体Ｓが弦になる部分が、突出部５のない部分周面より十
分離間している程度の僅かな間隔（一例としては巻き取
り軸Ｌの周長の１／１０〜１／２０以下）をあけて断続
的に形成されていてもよい。

【００１７】突出部５は、テープ状のシートを巻き取り
軸Ｌの軸方向両端部の周面に巻付けることによって設け
てもよいし、あるいは、成形用の金型を用いて成形加工
によって巻き取り軸Ｌの軸方向両端部の周面に輪状に設
けてもよいし、あるいは、切削加工によって設けてもよ
い。また巻き取り軸Ｌの軸方向両端部の周面に塗料を厚
膜に印刷若しくはパターンコーティングして乾燥させて
突出部５を形成してもよいし、また巻き取り軸Ｌの軸方
向両端部の周面に発泡性インキや発泡性塗料を印刷若し
くはパターンコーティングして加熱発泡させることによ
って突出部５を形成してもよい。

【００１８】図３（ａ）は、本発明の反射型スクリーン
における巻き取り軸Ｌ両端部に設けられた輪状の突出部
５の一例を示す正面図であり、突出部５は、巻き取り軸
Ｌ両端部の最左端及び最右端より僅かに内側に設けられ
ているものである。

【００１９】また、図３（ｂ）は、本発明の反射型スク
リーンにおける巻き取り軸Ｌ両端部に設けられた輪状の
突出部５の他の例を示す正面図であり、突出部５は、巻
き取り軸Ｌ両端部の最左端及び最右端を含む個所に設け
られているものである。

【００２０】図４（ａ）は、本発明の反射型スクリーン
の巻き取り軸Ｌとスクリーン本体Ｓ一端部ａの取付け状
態の一例を示す側面図であり、スクリーン本体Ｓ一端部
ａは突出部５の内部（切溝５ａ）を通って、巻き取り軸
Ｌの軸方向周面に沿って設けた切欠部１に取付けられて
いるものである。

【００２１】また、図４（ｂ）は、本発明の反射型スク
リーンの巻き取り軸Ｌとスクリーン本体Ｓ一端部ａの取
付け状態の他の例を示す側面図であり、スクリーン本体
Ｓ一端部ａは突出部５の内部（切溝５ａ）を通って、巻
き取り軸Ｌの軸方向に沿って周面に切欠部１を省略して
取付けられているものである。

【００２２】

【発明の効果】本発明の反射型映写スクリーンは、収納
時における反射型映写スクリーンの巻き取りにおける巻
き取り軸Ｌ周面と、巻き取り軸Ｌに取付けられたスクリ
ーン本体Ｓ一端部の表面との間の段差による筋状の巻き
癖の発生を回避でき、使用時における平面性を確保でき
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の反射型映写スクリーンを説明する斜視
図である。

【図２】本発明の反射型映写スクリーンを説明する正面
断面図である。

【図３】（ａ）は本発明の反射型映写スクリーンに使用
する巻き取り軸の一例を示す正面図であり、（ｂ）は本
発明の反射型映写スクリーンに使用する巻き取り軸の他
の例を示す正面図である。

【図４】（ａ）は本発明の反射型映写スクリーンの巻き
取り軸とスクリーン本体との取付け状態の一例を示す側
面図、（ｂ）は本発明の反射型映写スクリーンの巻き取
り軸とスクリーン本体との取付け状態の他の例を示す側
面図である。

【図５】従来の反射型映写スクリーンを説明する斜視図
である。

【図６】従来の反射型映写スクリーンを説明する側面図
である。

【図７】（ａ）は、従来の反射型映写スクリーンの筋状
の巻き癖を説明する側面図であり、（ｂ）は、従来の反
射型映写スクリーンの筋状の巻き癖を説明する斜視図で
ある。

【符合の説明】

１…切欠部 ２…感圧粘着剤 ３…筋状の巻き癖部 ４
…荷重シャフト ５…突出部 ５ａ…切溝部 Ｌ…巻き取り軸 ａ…スクリーン本体一端部 Ｓ…スク
リーン本体 ｄ…段差 Ｉ…間隙

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】柔軟な積層シートにより形成されたスクリ
   ーン本体Ｓと、該スクリーン本体Ｓを巻き取るための巻
   き取り軸Ｌとを備えた巻き取り式の反射型映写スクリー
   ンにおいて、巻き取り軸Ｌに対して直交する方向のスク
   リーン本体Ｓ両端部と密接する該巻き取り軸Ｌ周面に突
   出部５を突設したことを特徴とする反射型映写スクリー
   ン。