JP2945851B2 - 弾性シートリングを備えたバタフライ弁 - Google Patents

弾性シートリングを備えたバタフライ弁

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本体(弁本体)内面に
弾性シートリングを備えたバタフライ弁に関し、特に、
高温時の熱膨脹を吸収し、トルク、シール性能を自動調
節するようにしたバタフライ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のバタフライ弁(中心型バタフライ
弁)の一例は、図3に示すように、本体(弁本体)1の
内部流体通路に、中心位置に取付けた弁棒2によって支
持された弁体3を配設し、該本体1の内周面にエラスト
マ等の弾性シートリング4を張設すると共に、腐蝕性流
体の処理に使用するときには、シートリング4の内周面
及び弁体3の外周面に、テフロン(登録商標)等の耐蝕
性樹脂ライニング材5を施して構成されている。なお、
図は全閉時の状態を示している。上記のような中心型バ
タフライ弁は、閉弁時には、弁体周縁部分が弾性シート
リング4を押圧して、シール作用を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のバタフ
ライ弁におけるシール性は、弾性シートリング4の有す
る弾性作用によって、全閉時、弁体周縁部分と該弾性シ
ートリング4とが一定面圧によって密接して達成される
が、この時の面圧が大きい程、シール性が向上し、その
反面トルクも増加する性質を持っている。
【0004】上記の面圧は、弁体3とシートリング4と
の位置関係で決定されるため、熱膨脹などの体積変化は
そのまま面圧を変化させる。
【0005】このときの熱膨脹は、低温時で体積を小さ
くし、高温時に体積を大きくするが、使用可能下限の低
温時でもシール可能な面圧を与えるよう位置関係を設計
する必要があったため、高温時には熱膨脹により面圧が
不必要に増加し、大きな食い込み量と、大きな駆動トル
クが発生するという問題点があった。
【0006】上記の問題点に対し、従来技術では、高温
使用が予測される場合は、大きな駆動力を与えることで
対応していたにすぎず、そのため、不必要な面圧によ
り、シール材を劣化させ、また駆動エネルギーを浪費さ
せていた。
【0007】本発明は、上記した従来技術の問題点を解
決し、弾性シートリングの高温時の熱膨脹による不必要
な食い込み量を排除すると共に、温度変化による面圧変
化をなくすようにした弾性シートリングを備えたバタフ
ライ弁を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、弁体周縁部と本体内面との間
に弾性シートリングを備え、全閉時、弁体周縁部と上記
弾性シートリングとを密接させて流体シールさせるよう
にしたバタフライ弁において、上記弾性シートリングの
外周面に、両端部を、本体の弁軸筒部に弁軸方向に移動
可能に設置され且つ弁軸方向外方にバネ力で弾圧された
外カラーに、それぞれ固定された金属帯板を当接し、該
金属帯板と本体内面との間に空隙を設けたことを特徴と
している。
【0009】また、請求項2の発明は、金属帯板の両端
部に固定され、本体の弁軸筒部に弁軸方向に移動可能に
設置された外カラーを外方向に弾圧するバネ体の弁軸方
向内方に、該バネ体によって弁軸方向内方に弾圧され且
つ弁軸筒部に弁軸方向に移動可能に内カラーを設置し、
該内カラーを、上記弾性シートリングの弁棒貫通穴の周
辺部に当接させるようにしたことを特徴としている。
【0010】また、請求項3の発明は、金属帯板の両端
部に固定された外カラーを弁軸方向外方に弾圧するバネ
体を、コイルスプリングによって構成したことを特徴と
している。
【0011】
【作用】本発明は上記のように構成されているので、請
求項1の発明においては、高温時、弾性シートリングが
熱膨脹したとき、弁体への面圧増加ではなく、バネ材を
弾性圧力に抗して収縮させる方向の力に置き換え、これ
によって弾性シートリングの体積膨脹分による該シート
リングと弁体周縁部間の面圧の過大上昇を回避させてい
る。
【0012】また、請求項2の発明においては、上記の
作用に加え、弾性シートリングの熱膨脹時、バネ材の弁
軸方向内方端を支持する内カラーを介して、弁棒貫通穴
周辺部の弾性シートリングに弁軸方向内向きの締付け力
を与え、弁棒周面に沿う流体の外部への洩れに対するシ
ール性を向上させている。
【0013】また、請求項3の発明においては、本体弁
軸筒部に設置されるバネ体をコイルスプリングによって
構成しているので、熱膨脹時の金属帯板両端部の変位と
ばね応力との関係をばね常数より容易に求めることがで
き、面圧値の設定が容易である。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面と共に説明す
る。図1は、本発明の一実施例(実施形態)を示すバタ
フライ弁の弁棒軸を含む全閉状態を示す断面図であり、
図2は、図1のII−II線断面図である。
【0015】図において、本体1の内部流体通路に、弁
棒2と接合され、該弁棒2と共に回転運動を行なう剛体
の円盤からなる弁体3が、流体の閉止と通過及びその調
整を行なうように配設されている点は従来例(図3)と
変りはないが、本実施例(本発明)では、本体1の内面
に設けられる弾性シートリング11の外周面に、本体1
の内面との間に空隙12が形成されており、該弾性シー
トリング11の外周面に金属帯板13が当接されてい
る。該金属帯板13の両端部は、本体1の弁棒2が挿入
される弁軸筒部1a及び1b内に、弁軸(弁棒軸)方向
に移動可能に設置され且つコイルスプリング14a及び
14bによってそれぞれ弁軸方向外方に弾圧された外カ
ラー15a及び15bに固着されており、一方、上記コ
イルスプリング14a,14bの弁軸方向内側は、弁軸
方向に移動可能に設置された内カラー16a及び16b
に当接し、該内カラー16a,16bは、弾性シートリ
ング11の弁棒貫通穴周辺部11a,11bに当接して
いる。
【0016】次に、作用について説明する。図1に示す
全閉状態において、弾性シートリング11の外周面に当
接している金属帯板13は、コイルスプリング14a,
14bによってそれぞれ弁軸方向外方向に弾圧された外
カラー15a,15bを介して伸張する方向に力を受け
ているので、該力は、弾性シートリング11に対し、半
径方向の内方向に向いた矢印X方向の、弁体11の周縁
部に対する面圧となって作用し、またコイルスプリング
14a,14bによって弁軸方向内方向に弾圧された内
カラー16a,16bを介して、該コイルスプリングに
よって弁軸方向の内方向に向いた矢印Y方向の、弁棒貫
通穴周辺部に対する締め付け力になって作用し、上記X
方向の力によって弁体周縁部のシール作用を行ない、ま
たY方向の力によって主として弁棒周面に沿って外部へ
洩れる流体のシール作用を行なっている。
【0017】そして、上記したX方向及びY方向の弁体
3に対する弾性シートリング11の面圧は、温度上昇に
より弾性シートリングが体積膨脹した場合、膨脹分の体
積が弁体3への面圧増加ではなく、スプリング14a,
14bを縮ます方向に働くので、不必要な面圧による弾
性シートリングの劣化が防止されるばかりでなく、高温
時でも、大きな駆動トルクを必要とせず、駆動エネルギ
の浪費を防いでいる。
【0018】この実施例によれば、次のような効果が奏
される。 (i)温度上昇による弾性シートリング11の体積膨脹
は、スプリング14a,14bを縮める方向の力に置き
換えることができるので、膨脹分の体積によるシートリ
ングと弁体周縁部間の面圧の過大な上昇を回避すること
ができる。
【0019】(ii)上記のようにスプリング14a,1
4bが縮まると、スプリング力は増加するが、密閉容積
内でのシートリングの体積膨脹がもたらす面圧増加と比
較すると、数十分の一のレベルであるので、高温膨脹時
の面圧増加を最小限に押えることが可能である。
【0020】(iii) この結果、最低温度で適正になるよ
うに面圧値を設定しておけば、最高温度使用時に大幅に
変化することがないので、使用温度範囲内で安定したト
ルクとシール性能を与えることが可能である。また、バ
ネ体としてコイルスプリング14a,14bを用いてい
るので、熱膨脹時のスプリングの外方端部の変位とばね
応力との関係をばね常数より容易に求めることができ、
上記面圧値の設定が容易である。
【0021】(iv)このようにして、駆動部エネルギが
小さくて済むので、駆動部を小型化でき、また不必要な
食い込み量がなくなるので、弾性材の劣化防止が達成で
きる。
【0022】上記した実施例において、弁軸筒部に移動
可能に設置される外カラー及び内カラーを弁軸方向に弾
圧するバネ体を、コイルスプリングによって構成した構
造について説明したが、コイルスプリングの代りに、皿
バネ等のバネ材でもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
請求項1の発明においては、弁体周縁部と本体内面との
間に弾性シートリングを備え、全閉時、弁体周縁部と上
記弾性シートリングとを密接させて流体シールさせるよ
うにしたバタフライ弁において、上記弾性シートリング
の外周面に、両端部を、本体の弁軸筒部に弁軸方向に移
動可能に設置され且つ弁軸方向外方にバネ力で弾圧され
た外カラーに、それぞれ固定された金属帯板を当接し、
該金属帯板と本体内面との間に空隙を設けたことによ
り、(i)温度上昇による弾性シートリングの体積膨脹
をバネ材の変形(変位)に置き換え、これによって上記
体積膨脹によるシートリングと弁体周縁部間の面圧の過
大な上昇を回避することができ、(ii)使用温度範囲内
で安定したトルクとシール性能を支えることが可能であ
る。その結果、(iii) 不必要な面圧によるシール材の劣
化や、駆動エネルギの浪費を防ぐことができる。
【0024】また、請求項2の発明においては、金属帯
板の両端部に固定され、本体の弁軸筒部に弁軸方向に移
動可能に設置された外カラーを外方向に弾圧するバネ体
の弁軸方向内方に、該バネ体によって弁軸方向内方に弾
圧され且つ弁軸筒部に弁軸方向に移動可能に内カラーを
設置し、該内カラーを、上記弾性シートリングの弁棒貫
通穴の周辺部に当接させるようにしたことにより、弾性
シートリングの熱膨脹時、バネ体の弁軸方向内方端を支
持する内カラーを介して、弁棒貫通穴周辺部の弾性シー
トリングに弁軸方向内向きの締付け力を与えるので、弁
棒周面に沿う流体の外部への洩れを防ぎ、シール性を向
上させることができる。
【0025】また、請求項3の発明においては、金属帯
板の両端部に固定された外カラーを弁軸方向外方に弾圧
するバネ体を、コイルスプリングによって構成したこと
により、熱膨脹時の金属帯板両端部の変位とばね応力と
の関係をばね常数より容易に求めることができ、面圧値
の設定が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すバタフライ弁の弁棒軸
を含む正面断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】従来例を示すバタフライ弁の側断面図である。
【符号の説明】
1 本体 1a,1b 弁軸筒部 2 弁棒 3 弁体 11 弾性シートリング 11a,11b 弁棒貫通穴周辺部 12 空隙 13 金属帯板 14a,14b コイルスプリング 15a,15b 外カラー 16a,16b 内カラー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁体周縁部と本体内面との間に弾性シー
    トリングを備え、全閉時、弁体周縁部と上記弾性シート
    リングとを密接させて流体シールさせるようにしたバタ
    フライ弁において、上記弾性シートリングの外周面に、
    両端部を、本体の弁軸筒部に弁軸方向に移動可能に設置
    され且つ弁軸方向外方にバネ力で弾圧された外カラー
    に、それぞれ固定された金属帯板を当接し、該金属帯板
    と本体内面との間に空隙を設けたことを特徴とする弾性
    シートリングを備えたバタフライ弁。
  2. 【請求項2】 金属帯板の両端部に固定され、本体の弁
    軸筒部に弁軸方向に移動可能に設置された外カラーを外
    方向に弾圧するバネ体の弁軸方向内方に、該バネ体によ
    って弁軸方向内方に弾圧され且つ弁軸筒部に弁軸方向に
    移動可能に内カラーを設置し、該内カラーを、上記弾性
    シートリングの弁棒貫通穴の周辺部に当接させるように
    したことを特徴とする請求項1記載の弾性シートリング
    を備えたバタフライ弁。
  3. 【請求項3】 金属帯板の両端部に固定された外カラー
    を弁軸方向外方に弾圧するバネ体を、コイルスプリング
    によって構成したことを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載の弾性シートリングを備えたバタフライ弁。
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