JP2943907B2 - 建築外装用断熱下地材 - Google Patents

建築外装用断熱下地材

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JP2943907B2
JP2943907B2 JP16629795A JP16629795A JP2943907B2 JP 2943907 B2 JP2943907 B2 JP 2943907B2 JP 16629795 A JP16629795 A JP 16629795A JP 16629795 A JP16629795 A JP 16629795A JP 2943907 B2 JP2943907 B2 JP 2943907B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建築物の屋根、外壁
等の外装における下地に用いる断熱下地材に関し、詳し
くは、断熱下地材における二次防水機能の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の屋根等の下地に用いる断
熱下地材としては、特公平5−67748号や、特公平
7−2849号がある。図17及び図18にて示す様
に、上記した断熱下地材100は、合成樹脂発泡体によ
り略矩形板状に形成し、両側縁のどちらか一方と上縁と
の間に樋状の排水部101を形成すると共に、他方の側
縁と下縁とに沿って上記排水部102の上に重ねられる
重合部102が形成してある。
【0003】例えば、上記した断熱下地材100を屋根
材103の下地材として使用する際、断熱下地材100
は野地板104の上に沿って上下左右方向に並べて配置
する。この時、左右方向に隣接する断熱下地材100同
士は、側縁の排水部101と重合部102とを重ねる。
また、上下方向に隣接する断熱下地材100同士は、下
側の断熱下地材100の上縁排水部101の上に上側の
断熱下地材100の下縁重合部102を重ねながら敷設
作業を行っている。
【0004】上記したように構成され、且つ野地板10
4上に敷設される従来の断熱下地材100の上には瓦板
等の屋根材103が葺かれる。この屋根材103は当然
1次防水機能を有するが、不測の強風雨時やその他の不
可抗力の要因により、この屋根材103を越えて、上記
断熱下地材100の上に雨水が達することがある。上記
断熱下地材100は、このような場合であっても、この
雨水を隣接する断熱下地材100同士の間に構成される
排水部101を流下させて排水することができ、高い防
水性を維持し得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の断熱下地材100においては、本体側縁部の重
合部101上端と本体側縁部の重合部102下端との接
触部、及び左右両側縁部の接合部とが重なりあう部分に
おいて断熱下地材100の表面から裏面へ向けて直接的
に連通してしまう点Pを生じることになる。
【0006】一方、この種の断熱下地材100は、コン
クリートやモルタルといった躯体、あるいは鉄骨躯体の
上に強度を有する下地材を別途に敷設して構成した下地
上に敷設されるが、このようにして構成される建築の躯
体面に対して正確に平面度を求めることは実質不可能で
あり、少なくとも数ミリから数十ミリに達する誤差を生
じることになる。このため、上記したように敷設される
各断熱下地材の間には必ず間隙が生じ、前記した点Pに
も必然的に間隙が生じ、この点Pが漏水の原因となる。
また、上記した如く生じる点Pの空隙は、断熱性能上に
おいても脆弱箇所となりうる。
【0007】上記した問題を解決するために、前記した
点Pにシーリング等の防水処理を施すことが考えられる
が、下地材の敷設作業と平行して作業を行う必要がある
ために、施工効率の低下は免れない。
【0008】本発明の目的は、上記した如き断熱下地材
に対して、敷設状態において隣接する断熱下地材同士の
間に、断熱下地材の表裏を直接的に連通する点を生じる
ことのない構造を提供することにより、より完全な二次
防水性を具備せしめることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の断熱下地材は、合成樹脂発泡体により
略矩形板状の断熱下地材本体を形成し、この断熱下地材
本体の一方の側縁と上縁に沿い略樋状の排水部を、同本
体の他方の側縁と下縁に沿い上記排水部上に重ねる重合
部を、上記側縁の排水部における水上側端部位が、該部
位上に順次上側に重合される他方の側縁の重合部、下縁
の重合部、他方の側縁の重合部の上下各段の重合部分に
おける最下位に位置する態様に形成してあることを特徴
とする
【0010】上記断熱下地材は、本体の表面に沿って、
上下方向に連通する垂木挿入用の凹溝を形成してもよ
い。上記断熱下地材は、本体の表面に、上下方向へ連通
する多数の微小溝を本体幅方向に連続して形成するとよ
り効果的である。また、上記断熱下地材は、本体表面に
おける幅方向の略中央に沿って上下方向に連通する排水
溝を少なくとも一本形成し、この排水溝に通じる下り傾
斜状の微小溝を上記断熱下地材本体の表面に沿って
数本連続状に形成してもよい。
【0011】
【作用】以上の手段によれば、合成樹脂発泡体により形
成される断熱下地材本体の両側縁の一方と上縁とに沿っ
ては、略樋状の排水部が形成され、また、同本体の他方
の側縁と下縁に沿っては上記排水部の上に重ねられる重
合部が形成されている。
【0012】上記断熱下地材は、野地板の上に沿って上
下左右方向に順次並べて敷設する。この際、左右方向に
隣接する断熱下地材同士は、一側縁の排水部の上に他側
縁の重合部を重ね、また、上下方向に隣接する断熱下地
材同士は、下側の断熱下地材における上縁排水部の上
に、上側の断熱下地材の下縁重合部を重ねる。上記した
如く両側縁と上下両縁を重ねて敷設した各断熱下地材
は、接合部に生じる間隙が全て排水部の上に位置する。
よって、屋根材を越えて浸入した雨水が上記断熱下地材
の上に滴下したとしても、これらの雨水は、断熱下地材
側縁同士の接合部下に位置する排水部に流れ込み、上の
段の排水部から下の段の排水部へ向かって順次水下側へ
排水される。
【0013】また、上記側縁の排水部における水上側端
部位は、この部位に接合する上縁の排水部よりも下方に
位置せしめてあるため、上縁の排水部に流れ落ちた雨水
は、同排水部の端部から側縁の排水部の水上側端部部位
に流れ落ち、上記したと同様に側縁の排水部に沿って排
水される。上記断熱下地材本体の表面に沿って、上下方
向に連通する垂木挿入用の凹溝を形成したものにおいて
は、断熱下地材の敷設と共に垂木の割だしと上記凹溝内
に垂木の取り付け作業を行うことが可能となる。
【0014】上記断熱下地材本体の表面に、上下方向へ
連通する多数の微小溝を本体幅方向に連続して形成した
ものにおいては、屋根材を越え、敷設された断熱下地材
の上に至った雨水が、本体表面の微小溝に沿って流れて
排水されるようになり、その結果、断熱下地材同士の接
合部に流れ込む雨水の量が制限される。また、上記断熱
下地材本体表面の略中央に沿って排水溝を形成すると共
に、この排水溝に連通する下り傾斜状の微小溝を上記断
熱下地材本体の表面に沿って他数本連続状に形成したも
のにおいては、断熱下地材の上に滴下した雨水が、微小
溝を通過して排水溝に流れ込んで排水される。その結
果、断熱下地材同士の接合部に流れ込む雨水の量が制限
される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1(a)〜(d)及び図2にて示す断熱下地
材Aは、屋根や外壁等に使用する断熱機能を有する下地
材であり、ウレタンやスチレン、イソシアヌレート、フ
ノール等から成る合成樹脂発泡体を用いて断熱下地材本
体aを形成してある。断熱下地材本体aは、上下方向に
長い矩形の板材であり、15ミリ程度の厚さを有し、表
面及び裏面は平坦状に成形してある。
【0016】上記本体aは表面側の右側縁と上縁とに沿
って排水部1a及び1bを凹設してある。断熱下地材本
体a上縁の排水部1bは図1(b)にて示すように、同
本体a表面の上縁部に沿って本体a厚みの約半分程の深
さにまで切り落とした段差部11を形成すると共に、そ
の段差部11の外縁部全長に沿って土手状の凸条12を
突出させることにより排水に必要な幅を有する樋状の凹
溝を構成してある。
【0017】一方、断熱下地材本体a右側縁の排水部1
aは、上記した上縁部の排水部1bと同様な断面形状に
て構成するが、溝の高さは連続的に変化させることによ
り傾斜状に構成してある。
【0018】排水部1aは、図1(b)及び(c)にて
示すように、水上側端部を上縁部の排水部1bの右端部
と接合させると共に、その水上側端の部位が上記排水部
1bの右端部よりも下に位置するように配置し、両排水
部1b,1aの接合部に若干の段差が生じるように構成
してある。また、排水部1aは、水上側端から水下側端
へ向けて昇るように緩傾斜させてある。尚、この排水部
1aの傾斜は通常の屋根の傾斜よりも十分に小さい。従
って、上記断熱下地材Aを屋根の野地面に敷設した状態
において、上記排水部1aは軒へ向けて下るように傾斜
した状態となる。またこれによれば、排水部1bに進入
した雨水は同排水部1bの右端から排水部1aの水上端
部に流れ落ち、さらに排水部1aを流下して排水され
る。
【0019】上記断熱下地材本体a裏面における左側縁
及び下縁部に沿っては、上記した右側縁の排水部1aと
上縁部の排水部1bとに対して上から重ね合わせた状態
で接合される重合部2a及び2bを形成してある。図1
(c),(d)にて示すように、下縁部の重合部2b
は、上縁部の排水部1bと対象的に形成され、断熱下地
材本体a裏面の下縁部に沿って段差部21を形成する共
に、該段差部21の外縁部に沿って凸条22を突設する
ことにより構成してある。
【0020】上記重合部2bは敷設状態において上下に
隣接する断熱下地材Aにおける上縁部の排水部1bの上
に重なるように接合する。この接合状態において、重な
り合う排水部1bと重合部2bとの間には排水用の空洞
が形成され、また、隣接する断熱下地材A同士の接合部
の表面は面一状態となる。
【0021】また、断熱下地材本体a裏面の左側縁の重
合部2aは、上記した下縁部の重合部と同様な断面にて
形成するが、前記したように本体a右側縁の排水部1a
が傾斜状に構成してあるため、これに重ね合わせる重合
部2aも、図1(d)にて示すように、水上側端から水
下側端へ向けて肉厚が傾斜状に減少するように構成して
ある。
【0022】よって、上記重合部2aは、敷設状態にお
いて左右に隣接する断熱下地材Aにおける右側縁部の排
水部1bの上に重なるように接合する。この接合状態に
おいて、重なり合う排水部1aと重合部2bとの間には
排水用の空洞が形成され、また、隣接する断熱下地材A
側縁同士の接合部の表面が面一状態となる。尚、上記し
た断熱下地材Aにおいては、断熱下地材本体a表面の右
側縁に沿って排水部1aを設けたが、側縁部の排水部は
左側縁に沿って設けても良く、この場合、重合部は本体
a裏面の右側縁に沿って設けることになる。
【0023】以上の如く構成した断熱下地材Aは、例え
ば図2乃至図5にて示すように屋根の下地材として使用
する。この場合、コンクリート、モルタル等の躯体や鉄
骨躯体、あるいは別途必要に応じて介装された野地板b
の上に沿って断熱下地材Aを縦及び横方向に順次並べな
がら敷設する(図3)。上記した断熱下地材Aは、野地
板bの軒側から配置し、左から右へ向けて敷設する。こ
の際、断熱下地材Aの左側縁及び下縁の両重合部2a,
2bを、既に野地板b上に敷設してある左側及び下側の
断熱下地材Aの排水部1a,1bの上に重ねた状態で載
置する。敷設作業はこの要領で、断熱下地材Aを順次軒
側から棟側へ向けて移行し、野地板b上面を断熱下地材
Aにより全て覆い尽くす。
【0024】上記したように敷設した断熱下地材Aは、
左右に隣り合うもの同士において、排水部1a上の全長
にわたって重合部2aが重ねられ、これにより左右に隣
接する断熱下地材A上縁部の排水部1bが横一上に接
続された状態となる。この状態において、上記排水部1
b同士の接続部は、上縁の排水部1bの右端と側縁部の
排水部1b水上側端部の接合部の段差部の直上となり、
この接続部から進入した雨水は排水部1aの上に受けら
れて排水される(図4)。
【0025】また、断熱下地材Aの下縁の重合部2b
は、下側に隣接する断熱下地材A上縁の排水部1bの上
に重合される。これにより、同断熱下地材A右側縁部の
排水部1aの水下側端は、上記した如く横一線上に接続
された排水部1bの接続部分に接続される形で重ねられ
る。よって、上記排水部1aの水下側端部の接続部は、
左右に隣接する断熱下地材A側縁部同士の重合部分上に
さらに重ねられる形で載置され、該接続部から進入した
雨水は、排水部1b同士の接続部の隙間を通って下段の
排水部1aの水上側端部に受けられ、同排水部1aを流
下して排水される(図5)。
【0026】上記した如く敷設した断熱下地材Aの上に
は、直接若しくは垂木を介して瓦等の屋根材を葺く。垂
木を介して屋根材を葺く場合は、図6にて示すように、
垂木21を棟方向に適宜間隔をおいて設置すると共に、
この垂木21の上にレール22を平行に設け、これらレ
ール22上に屋根材23を設置する。また、屋根材を直
接的に葺く場合は、図7にて示すように、敷設した断熱
下地材Aの上にレール22を介して屋根材23を配置す
る。無論、上記した屋根材としては、金属横葺き屋根
材、金属縦葺き屋根材、瓦、スレート等の屋根材を使用
してもよい。
【0027】図8及び図9にて示す断熱下地材A2 は、
前記した断熱下地材Aと同様に構成されるが、断熱下地
材本体aの表面に上下方向に延びる凹溝3を、本体aの
左右方向に定間隔をおいて数本設けてある。本実施例の
場合、断熱下地材Aの表面に4本の凹溝3を設けてあ
る。図10(c)にて示すように、上記凹溝3は、垂木
3aの断面形と一致する形状としてあり、断熱下地材A
2 の敷設と同時に垂木の割付けが完了するので、上記凹
溝3内に沿って垂木3aを嵌入するだけで垂木3aの設
置を終了することができる。
【0028】また、上記した凹溝は、図10(a)にて
示す凹溝3’のように垂木3aを嵌合する溝の底面にお
ける左右両側部に小さな溝を形成した形状のものであっ
てもよい。さらに、上記凹溝は、図10(b)にて示す
凹溝3’’のように、中央部に沿って凸条を設けて構成
し、その内部に垂木受け金具3b及び金属垂木3cを組
み込んだ状態で嵌合するように構成してもよい。尚、凹
溝に嵌合する垂木等の固定の内、図10(a),(b)
の態様における固定は、凹溝3’,3’’内の表面と平
行に形成された突部上で行われる。
【0029】図11にて示す断熱下地材A3 は、前記し
た断熱下地材Aと全く同じ本体aを有している。この断
熱下地材A3 は、断熱下地材本体aの表面に沿って上下
方向に走る多数の微小溝4を全面的に形成してある。
【0030】微小溝4は、断熱下地材本体aの表面に滴
下した雨水を同本体aの表面に沿わせたまま水下側へ流
下させて排水させる小さな溝であり、図13(a)にて
示すように本体a幅方向へ向けて小波状に連続するよう
な断面形状に形成してある。上記した断熱下地材A3 に
おいては、敷設状態にある断熱下地材本体aの上に滴下
した雨水が上記微小溝4内に沿って流れて水下側へ向け
て排水されるようになる。これにより、断熱下地材A3
の上に進入した雨水の中で、断熱下地材A3同士の接合
部から排水部1a,1bに対して流れ込む絶対量が制限
されることになるので、雨仕舞性能(防水性)が向上す
る。さらに、その結果として伝熱箇所となり易い排水部
1a,1bの空間を最小に抑えることができるので、断
熱性能上も好ましい。
【0031】図12にて示す断熱下地材A3 ’は、前記
した断熱下地材A2の本体aと同様に、本体aの表面に
4本の凹溝3を形成すると共に、上記したと同様な微小
溝4を形成したものである。尚、上記したように断熱下
地材本体aの表面に形成する微小溝4の断面形態は、図
13(b)にて示す微小溝4’もののように略コ型の凸
部と凹部を連続的に組み合わせたものであっても、若し
くは図13(c)にて示す微小溝4’’のように断面ジ
グザク状のものであってもよい。
【0032】図15にて示す断熱下地材A4 は、前記し
た断熱下地材Aと同様に構成されるが、断熱下地材本体
aの表面における略中央部に沿って上下方向に延びる排
水溝5を設けてある。また、上記断熱下地材本体a表面
における、排水溝5を挟む左右両側の平坦部には、上記
排水溝5へ向けて延びる下り傾斜状の微小溝6を同本体
a表面に沿って他数本連続状に形成してある。
【0033】上記微小溝6は、図13(a)〜(c)に
て示した微小溝4,4’,4’’と同様に構成した溝で
あり、その水下側端部が上記排水溝5に連通している。
排水溝5は、図14にて示すように屋根材による一次防
水を越えて断熱下地材A3 上に進入した雨水を排水する
のに必要な断面積を有する断面略コ型の溝であり、断熱
下地材A3 の敷設状態において、上下に隣接する断熱下
地材A4 同士の間で連通し、上記微小溝5から流れ込ん
だ雨水を水下側へ向けて速やかに流下し得るように構成
してある。
【0034】尚、上記断熱下地材本体aに設ける排水溝
5は、一本以上何本設けても良く、例えば図16にて示
す断熱下地材A4 ’のように2本設けても、さらに、3
本以上設けてもよいが、微小溝6は、各排水溝5の左右
にそれぞれ別々に形成する必要がある。また、上記排水
溝は、図14(b)にて示す排水溝5’のように断面円
弧型にしても、若しくは図14(c)にて示す排水溝
5’’のように、断面略V型に形成してもよい。
【0035】尚、上記上縁の排水部1bは、底面を左右
またはどちらか一方に傾斜する勾配としたり、壁面を同
様に傾斜させ、かつ上縁の排水部1bもこれに対応した
構成に形成すると、排水性を向上させる上で好ましい。
上記断熱下地材A〜A3 ’の固定は、断熱下地材A〜A
3 ’よりも下方の下地構造に、接着または、釘等の固定
具を使用して固定する。なお、垂木を凹溝に嵌装するか
否かはともかく、上記断熱下地材A〜A3 ’の上には屋
根材または垂木等の支持部材が必ず敷設されるので、仮
止め程度の固定で足りる。なお、固定具による固定箇所
は、排水部1a,1b、重合部2a,2b以外の箇所で
行われるが、上記断熱下地材A〜A3 ’は、合成樹脂発
泡材からなるので、前記固定箇所は、一定の水密性を有
する。
【0036】上記した如く構成した断熱下地材A〜A3
’は、前記したと同様に、コンクリート、モルタル等
の躯体、あるいは別途必要に応じて介装された野地板b
の上に敷設した後、その上に屋根材を設置するが、その
工程中において、断熱下地材A〜A3 ’の上、若しくは
野地板bと断熱下地材A〜A3 ’との間に、アスファル
トフェルト,アスファルトルーフィング等公知の防水用
のシートを敷設してもよい。尚、下地となる野地板が吸
水性を有し、且つ施工面積が広い場合、上記断熱下地材
Aに殆ど吸水性がないため、程管理上の視点では下地
となる野地板上に敷設することが好ましい。
【0037】さらには、上記断熱下地材Aを建築物の外
壁の下地として使用してもよく、この場合の外壁材とし
ては、金属横張り、金属縦張りサイディング、窯業系の
横張り、窯業系の縦張りサイディング等が対象とされ
る。また、上記外装材の工法により、上記断熱下地材と
外装材との間にポリエチレンフォーム等のボードやシー
ト類を介装することも可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成したも
のであるから、敷設した各断熱下地材相互の接合部に生
じる間隙が全て排水部の上に位置させて、敷設状態にお
ける各断熱下地材の接合部において、その表裏を直接的
に連通する部分を完全に無くすことができる。よって、
屋根材を越えて浸入した雨水が断熱下地材の上に至った
としても、この雨水を上記排水部により受けて速やかに
排水し、漏水事故を未然に防ぐことができる。また、躯
体の仕上がり等に起因して、敷設した断熱下地材の間に
若干の間隙が生じたととしても、その隙間から流下する
雨水を上記したように排水部により受けて速やかに排水
することができるので、躯体の精度により2次防水性が
影響を受けることがない。
【0039】断熱下地材本体の表面に沿って、上下方向
に連通する垂木挿入用の凹溝を形成したものにおいて
は、断熱下地材の敷設と同時に垂木の割り付けを終了さ
せることができるので、垂木の墨出し作業と取り付け作
業とが簡略化され、作業性を向上させることができる。
【0040】また、断熱下地材本体の表面に、上下方向
へ連通する多数の微小溝を本体幅方向に連続して形成し
たものにおいては、敷設された断熱下地材の上に至った
雨水が、本体表面の微小溝を流れて排水されるようにな
る。これにより、断熱下地材接合部の各排水部に流れ込
む雨水の量が制限され、その結果、各排水部の排水能力
を過度に設定する必要がなくなり、断熱性能上において
好ましい形態を取ることができる。
【0041】排水溝に連通する下り傾斜状の微小溝を断
熱下地材本体の表面に沿って他数本連続状に形成したも
のにおいては、断熱下地材の上に至った雨水が多量であ
っても、上記微小溝から本体略中央部の排水溝に流し込
んで、円滑に排水することができるようになるので、左
右両側縁部の排水部に流れ込み雨水の量を制限し、その
結果、前記したものと同様、各排水部の排水能力を過度
に設定する必要がなくなり、断熱性能上において好まし
い形態を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施した断熱下地材を示し、
(a)は同断熱下地材を一部切欠して示す正面図、
(b)は同断熱下地材の右側面図、(c)は、同断熱下
地材の平面図、(d)は同断熱下地材の底面図。
【図2】 本発明の断熱下地材を示す斜視図。
【図3】 同断熱下地材の敷設状態を示す斜視図。
【図4】 図3におけるIV-IV 線断面図。
【図5】 図3なおけるV-V 線断面図。
【図6】 野地板上に敷設した断熱下地材の上に垂木
を介して屋根材を葺いた状態を示す斜視図。
【図7】 野地板上に直接的に屋根材を葺いた状態を
示す斜視図。
【図8】 垂木嵌装用の凹溝を形成した断熱下地材を
示す斜視図。
【図9】 図8におけるIX-IX 線断面図。
【図10】 凹溝部分の縦断面図を示し、(a)は底
面に両側に小溝を形成した凹溝内に垂木を嵌装した状態
を示す縦断面図、(b)は金属垂木とその受け金具を嵌
装した状態を示す縦断面図、(C)は略コ型に形成した
凹溝内に木製の垂木を嵌装した状態を示す縦断面図。
【図11】 本体表面に微小溝を形成した断熱下地材
を示す斜視図。
【図12】 本体表面に複数本の凹溝を形成した断熱
下地材を示す斜視図。
【図13】 図11におけるXIII-XIII 線断面図で、
(a)は小波型断面の微小溝、(b)は角波型断面の微
小溝、(c)はジクザク型断面の微小溝を示す。
【図14】 図15におけXIV-XIV 断面図。
【図15】 本体表面に排水溝と微小溝を形成した断
熱下地材を示す斜視図。
【図16】 本体表面に2本の排水溝と微小溝を形成
した断熱下地材を示す謝辞図。
【図17】 従来の断熱下地材を敷設した屋根構造を
示す平面図。
【図18】 同屋根構造を示す縦断面図。
【符号の説明】
A・・・断熱下地材 a・・・断熱下地材本体 1a,1b・・・排水部 2a,2b・・・重合部 3・・・凹溝 4,4’,4’’・・・微小溝 5,5’,5’’・・・排水溝 6・・・微小溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−129019(JP,U) 特公 平5−67748(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04D 12/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂発泡体により略矩形板状の断
    熱下地材本体を形成し、この断熱下地材本体の一方の側
    縁と上縁に沿い略樋状の排水部を、同本体の他方の側縁
    と下縁に沿い上記排水部上に重ねる重合部を、上記側縁
    の排水部における水上側端部位が、該部位上に順次上側
    に重合される他方の側縁の重合部、下縁の重合部、他方
    の側縁の重合部の上下各段の重合部分における最下位に
    位置する態様に形成してあることを特徴とする建築外装
    用断熱下地材。
  2. 【請求項2】 断熱下地材本体の表面に沿って、上下
    方向に連通する垂木挿入用の凹溝を形成してなる請求項
    1記載の建築外装用断熱下地材。
  3. 【請求項3】 断熱下地材本体の表面に、上下方向へ
    連通する多数の微小溝を本体幅方向に連続して形成して
    成る請求項1または2記載の建築外装用断熱下地材。
  4. 【請求項4】 断熱下地材本体表面における幅方向の
    略中央に沿って上下方向に連通する排水溝を少なくとも
    一本形成し、この排水溝に通じる下り傾斜状の微小溝を
    上記断熱下地材本体の表面に沿って数本連続状に形成
    して成る請求項1記載の建築外装用断熱下地材。
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