JP2942833B2 - 毛皮収納室付き箪笥 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の目的） この発明は、普及を始めた毛皮製品の保管を可能とす
る箪笥に関するものであり、特に、一般家庭にあっても
手軽に使用可能な新規な構造の箪笥を提供しようとする
ものである。

（従来技術） 最近の高級志向傾向に加え、輸入税率の引き下げや海
外旅行ブーム等の影響もあって、毛皮製品が再び注目を
浴び、多くの人々が比較的手軽に愛用できるようになっ
てきている。その結果、一般家庭でもこの毛皮製品の保
管、管理が日常的な課題となりつつある。ところが、こ
の毛皮製品は、他の化学製品等と異なり、保管状態によ
ってはカビ、虫食い、変色等を伴い易く、それらの害を
防止しようとすれば、日光、熱、湿気の影響を受け難い
冷暗所等特殊な環境の下に保管するようにしなければな
らず、これまでの一般家庭で、それら条件を満たす保
管、管理を実現することは実質的に不可能に近く、した
がって、その取り扱いに不慣れな多くの人々が、それら
の予備知識もなく、安易な取り扱いをしてしまって大切
な毛皮を虫に食われてしまったり、変質させてしまうと
いった取り返しのつかない事態に陥ってしまう。

このような不測の事態を避けるため、扱い慣れた毛皮
所有者では、オフシーズンになると自宅での保管を避
け、クリーニング店や毛皮専門店等に、安くはない所定
の管理費を支払って預かってもらうといった最も安全な
保管手段を採用する人が多く、その意味では、毛皮製品
が購入し易い時代になったとはいえ、現在置かれた家庭
環境の下で安心して毛皮製品を愛用するには、まだまだ
環境も整わず、それなりの出費を覚悟していなければ、
毛皮製品本来の良さを永らく満喫することができないと
いうのが現状のようである。

この発明は、以上のような実情に対処し、ようやく普
及を始めた毛皮製品の保管、管理を一般家庭においても
確実に実現し得るようにすべく、永年に亘って開発、研
究を継続してきた結果、遂に以下において詳述するとお
りの構成からなる毛皮収納室付き箪笥の完成をみるに至
ったものである。

（発明の構成） この発明の基本的な構成は、第１図の毛皮収納室２の
一方の扉を開放した状態での斜視図に示されているよう
に、複数の区画室からなる箪笥本体１の１区画室に、断
熱材31を含む隔壁３で周囲から熱的に隔絶した独立空間
であって、結露防止構造32に形成してなる毛皮収納室２
を組み込む一方、該毛皮収納室２内に保冷装置４を配し
て毛皮収納室２内の湿度ならびに温度を、箪笥本体１の
他の複数の区画室から隔離、調整し得る如くすると共
に、保冷装置４から発生する熱は、箪笥本体の他の複数
の区画室の中で、毛皮収納室に隣接した何れか１区画室
11の内部空間に誘導した上、当該区画室11を通気路とし
て箪笥本体１外に放熱させてしまうようにした毛皮収納
室付き箪笥である。

毛皮収納室２は、その収納室２内の冷気が外部に漏
洩、あるいは外気が収納室２内に侵入してくるのを阻止
し得るよう、その隔壁３を、断熱材31、例えばテック
ス、ポリウレタンフォーム、グラスウール、石綿、フェ
ルト等一般に保温、保冷材として使用されている各種素
材の組み合わされたものとして形成されなければならな
い。

この毛皮収納室２の箪笥本体１への形成位置は、便宣
上箪笥本体１の上部に形成するのが好ましく、下方側に
複数段の引出し構造の区画室を有し、それらの上方側を
観音開き構造の衣装吊下げ式区画室にしてなる既存の一
体型の箪笥本体１の中、当該衣装吊下げ式区画室をその
まま対象とする外、別体で、全く違う素材、例えばプラ
スチックス材、鋼材その他で形成し、下方側の複数段の
引出し構造の区画室の上に合体して箪笥本体１とするも
のを包含している。

隔壁３は、箪笥製造過程で、毛皮収納室２の骨格内に
断熱材31を充填して内外装仕上げされたものとしたり、
同骨格外に添着される内装板、外装板自体を、断熱材31
あるいは断熱材31の積層された複合板とすることによっ
て実現したり、あるいはまた、それら骨格や外装板、内
装板等と全く別体仕様とし、別工程で積層、添着、吹き
付け手段等によって断熱材31層を最終的に実現するよう
にして形成することができる。

結露防止構造32は、毛皮収納室２の内側に形成される
構造であって、保水性、保湿性のある、例えば不織布を
添設する構造等によって実現され、場合によっては、毛
皮収納室２の内壁の断熱材31に組み合わされた構造のも
のとすることもできる。

保冷装置４は、公知の各種冷却機構の採用が可能であ
るが、比較的小さい空間を毛皮保管環境として最適な温
度、湿度に調整可能であればよく、性能上可能な限り小
型のものを採用し、第１図図示の例の如く、毛皮収納室
２内に一体組み込み式のものとするようにする。なお、
この保冷装置４の接続に伴い、毛皮収納室２の室内底部
には、図示したように、必ず水受け容器42が配され、除
湿された水が散逸してしまわないよう配慮された構造の
ものとしなければならない。

以上のような基本的な構成から成るこの発明に関連し
て次のような構成の毛皮収納室付き箪笥もこの発明に包
含される。

（関連する他の発明） 即ち、第２図全体斜視図に示されているように、下方
側に複数段の引出し構造の区画室11を有し、それらの上
方側を観音開き構造の衣装吊下げ式区画室にしてなる既
存の箪笥本体１の中、当該衣装吊下げ式区画室を、断熱
材31を含む隔壁３で周囲から熱的に隔絶すると共に、結
露防止構造32に形成して毛皮収納室２にする一方、該毛
皮収納室２の底部隔壁適所に通孔を穿設して直下の他の
引出し構造の区画室に連通状とした上、該通孔５を使っ
て放熱可能とするようにした保冷装置４を毛皮収納室２
内に配することにより、毛皮収納室２内の湿度ならびに
温度を、箪笥本体１の他の複数の区画室から隔離、調整
し得る如くすると共に、保冷装置４から発生する熱は、
直下の他の引出し構造の区画室11に誘導した上、当該引
出し構造の区画室11を通気路とし、その前面に用意して
ある排気口13を使って箪笥本体１外に放熱させてしまう
毛皮収納室付き箪笥とするものである。

この関連する発明では、上記した基本的な構成からな
るこの発明の毛皮収納室付き箪笥において、保冷装置４
が接続される結果、保冷装置４のコンプレッサー41から
は、僅かではあるが常に熱Ｓが放出される状態となるこ
とから、その放熱された熱Ｓを、通孔５から区画室11に
遊動し、それを通気路５とし、排気口13から外部に放熱
するようにしてあり、その区画室11は、毛皮収納室２程
ではないが、箪笥本体１とは隔離された状態にした空間
部分となっていて、乾燥、加温状態となり、衣類や下
着、おしめ、靴下等の保管、管理に都合の良い環境を実
現することができるようにする。

通孔５は、保冷装置４からの熱Ｓを毛皮収納室２以外
で、箪笥本体１の下方に設けた区画室11に誘導するもの
で、図示した例のように、この区画室11を保冷装置４に
近接させて形成するようにし、ネットや多孔板、スリッ
ト板等を組み合わせ、その部分を通して放熱された熱Ｓ
を誘導するようにしても差支えない。

毛皮収納室２内の湿度ならびに温度は、良質の毛皮が
生産される寒冷地、例えば北海道や樺太、カナダ、シベ
リア等寒冷地の比較的温暖な季節の温湿度である湿度50
％前後で、特に温度が５度℃前後に保たれるようにする
のが最も望ましい。

以下、図面に示す具体的な例について説示する。

（実施例１） 図面第２図全体斜視図および第３図の第２図Ａ−Ａ断
面要部拡大図に示されているように、この実施例に示す
毛皮収納室付き箪笥は、毛皮収納室２の隔壁３が、硬質
ポリウレタンフォームを断熱材31とするラミネートボー
ドによって形成され、箪笥本体１に一体式に形成される
ようにしたもので、その内部には毛皮コート等を吊して
保管できるよう、ハンガーポールＰが横架されると共
に、観音開きの扉21、21嵌め込まれている。なお、毛皮
収納室２の内壁面全面には、不織布による結露防止構造
32が採用されると共に、保冷装置４の底部には、プラス
チック製の方形の水受け容器44が組み込まれ、保冷装置
４を隔離する小室前面から引き出し可能となっている。

毛皮収納室２の一隅には小室が形成されて保冷装置４
が組み込まれ、コンプレッサー41だけを更に断熱壁42で
隔離状態となし、コンプレッサー41からの熱が小室内に
分散してしまわないようする。こうして保冷装置４で冷
却さた空気は、小室上面適所に形成された吹出し口43か
ら毛皮収納室２内に充満し、適温５℃前後を保つように
する。

コンプレッサー41から放熱された熱Ｓは、断熱壁42に
隔離され、通孔５からその直下の区画室11に強制的に誘
導される。

図中、６は、コンプレッサー41から放熱された熱Ｓを
強制誘導するためのファンを示している。

（作用効果） 上記のような構成から成るこの発明の毛皮収納室付き
箪笥は、保管すべき毛皮製品を、箪笥本体１に組み込ま
れた毛皮収納室２に収納（例えば、毛皮のコートであれ
ばハンガーＨにかけて収納）した上、保冷装置４を作動
させて毛皮収納室２内設定温湿度を、湿度50％程度で、
特に温度を５℃前後に保持するようにする。その結果、
毛皮製品は、最も良質な毛皮生産地とされている寒冷地
の環境に近い環境の下で、毛皮製品を使用することのな
いオフシーズンは勿論のこと、シーズン中も、保管、管
理することができるようになる。

したがって、これまでであれば、高価な毛皮製品であ
っても安易に他の衣服等と同じように普通の箪笥の中で
の保管となって、大切な毛皮製品を虫に食われてしまっ
たり、カビを発生させて毛皮の質を劣化させたり、変
色、退色させてしまう等といった不都合を生じていた一
般家庭においてでも、簡単に、しかも安全な毛皮の保
管、管理が可能となる。

このことは、専ら、専門の業者にそれ相応の保管料を
出して預かってもらうようにしていた毛皮愛用者にとっ
てみれば、経済的な負担が軽減されていくことになると
いう利点に加え、必要なときに何時でも最良の状態の毛
皮製品を使用することができるようになるという便利さ
が出てくることから、それまで以上に毛皮製品の使用が
容易になることに繋がり、また、比較的購入し易くなっ
てきてはいたものの、毛皮製品の取り扱いの難しさ故に
その購入を控えていた多くの人々にとってみても、それ
らの心配のない安全な毛皮製品の購入、使用が保証され
ることであり、より多くの人々が毛皮製品の良さを満喫
できることなる。

また、毛皮収納室２を組み込むことに伴って発生する
保冷装置４からの熱Ｓを、毛皮収納室２に近接した箪笥
本体１内の区画室11に誘導したり、場合によっては毛皮
収納室２以外のその他の区画室内にも放熱するようにし
て、保冷装置４からの熱Ｓを再利用することが可能にな
ることから、本来ならば排熱として処理される熱Ｓを利
用して、箪笥本体１に収納されている毛皮製品以外の衣
類等を常時適温に保温しておいたり、適度な乾燥状態を
実現して防カビ、防虫等に役立たせるといった付随した
効果を奏するものとする。

特に、実施例に示すものでは、保冷装置４を毛皮収納
室２内の一隅に配置する構造を採用していることから、
他の部分、例えば箪笥本体１の天板上に設けたり、側
面、背面等に配置するものに比較し、箪笥本体の外観上
で不自然さもなく、また、保冷装置４からの熱Ｓを箪笥
本体１内の別の区画室に誘導し易いといった利点を有す
るものとすることができる。

叙上の如く、この発明の毛皮収納室付き箪笥は、これ
までに実現されたことのない毛皮専用の保管室を箪笥と
して比較的簡単な構成で実現し得たものであり、その結
果、一般家庭での毛皮製品の保管、管理が、恰も従前ま
での専門業者に預け入れるが如く、略理想的な環境下で
容易且つ安全に実現されることになるから、毛皮愛用者
にとって重宝なものとして高く評価されるのは勿論のこ
と、より多くの人々が、毛皮製品を安心して購入、使用
できるようにするものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、この発明を代表する実施例に基づくものであ
り、第１図は、その基本的な構成を示すものの毛皮収納
室の一方の扉を解放した状態での斜視図、第２図は、関
連する発明の第１図と同様にした斜視図、第３図は、第
２図Ａ−Ａ断面における要部拡大断面図である。 １……箪笥、11……同区画室、12……同引き出し、13…
…同排風口、２……毛皮収納室、21……扉、３……隔
壁、31……同断熱材、32……同結露防止構造、４……保
冷装置、41……コンプレッサー、42……同断熱壁、43…
…同吹出し口、44……同水受け容器、５……通孔、６…
…熱気送出し用のファン、Ｈ……ハンガー、Ｐ……ハン
ガーポール、Ｓ……熱。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A47B 61/00 503 A47B 81/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の区画室からなる箪笥本体の１区画室
   に、断熱材を含む隔壁で周囲から熱的に隔絶した独立空
   間であって、結露防止構造に形成してなる毛皮収納室を
   組み込む一方、該毛皮収納室内に保冷装置を配して毛皮
   収納室内の湿度ならびに温度を、箪笥本体の他の複数の
   区画室から隔離、調整し得る如くすると共に、保冷装置
   から発生する熱は、箪笥本体の他の複数の区画室の中
   で、毛皮収納室に隣接した何れか１区画室の内部空間に
   誘導した上、当該区画室を通気路として箪笥本体外に放
   熱させてしまうようにしたことを特徴とする毛皮収納室
   付き箪笥。
2. 【請求項２】下方側に複数段の引出し構造の区画室を有
   し、それらの上方側を観音開き構造の衣装吊下げ式区画
   室にしてなる既存の箪笥本体の中、当該衣装吊下げ式区
   画室を、断熱材を含む隔壁で周囲から熱的に隔絶すると
   共に、結露防止構造に形成して毛皮収納室にする一方、
   該毛皮収納室の底部隔壁適所に通孔を穿設して直下の他
   の引出し構造の区画室に連通状とした上、該通孔を使っ
   て放熱可能とするようにした保冷装置を毛皮収納室内に
   配することにより、毛皮収納室内の湿度ならびに温度
   を、箪笥本体の他の複数の区画室から隔離、調整し得る
   如くすると共に、保冷装置から発生する熱は、直下の他
   の引出し構造の区画室に誘導した上、当該引出し構造の
   区画室を通気路とし、その前面に用意してある排気口を
   使って箪笥本体外に放熱させてしまうようにしたことを
   特徴とする毛皮収納室付き箪笥。
3. 【請求項３】毛皮収納室内温度が５℃前後の低温に保持
   されてなる、請求項１または２何れか記載の毛皮収納室
   付き箪笥。