JP2942212B2 - セラミックスの製造方法 - Google Patents

セラミックスの製造方法

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JP2942212B2 JP7153497A JP7153497A JP2942212B2 JP 2942212 B2 JP2942212 B2 JP 2942212B2 JP 7153497 A JP7153497 A JP 7153497A JP 7153497 A JP7153497 A JP 7153497A JP 2942212 B2 JP2942212 B2 JP 2942212B2
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康隆 鈴木
素之 宮田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部空間または微
視的な空孔を有するセラミックスの製造方法に関するも
のである。更に詳しく述べれば、本発明は、任意寸法・
形状の巨視的な内部空間または微視的な空孔を有し、中
空や片閉じ複雑形状のセラミックス部品やフィルター,
触媒坦体等に有用な多孔質セラミックスの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のセラミックス材料の機能性、強
度、靭性等の特性の著しい向上に伴い、セラミックスを
より多面的に利用する傾向がみられる。このような需要
に従い、セラミックス内部に所望の形状の空間を作製す
る技術や多孔質セラミックスを製造する技術が必要とさ
れている。この技術により得られる内部空間付きセラミ
ックスは、例えば、ZrO2酸素センサ部品や積層セラミッ
クスコンデンサに、また、摺動材の軽量化にも有効であ
る。また同技術により得られる、内部空間にセラミック
ス体を有するセラミックスは除振材として機能し、特に
高温、腐食環境下にて必要とされる除振材として有用で
ある。
【0003】そして、内部空間を持つセラミックスやセ
ラミックス多孔質体の作製方法としては、セラミックス
粉末中に所望の形状の中子を配置し、粉末成形後、中子
を除去し焼結、または焼結中に中子を除去し、該セラミ
ックスを得る方法が広く知られている。中子として用い
る材料としては、熱分解性を有する有機物(特開平3-285
001)、ナフタレン、ショウノウ等の昇華性物質(特開平5
-270940)、食塩等の水溶性物質(特開平4-240167)、低融
点合金(特開平4-193781)、気化性材料を被覆した金属等
(特開平4-6181)などと様々である。また別な方法とし
て、焼結性の異なる2種類以上のセラミックス粉末の混
合粉末を焼結することにより、多孔質セラミックスを得
る方法(特開平2-64075)も開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の内部空間を持つセラミックスの製造方法において、
中子材料として有機物や昇華性物質を用いた場合、中子
が消失する温度に比べ、一般にセラミックスの焼結温度
が著しく高く、セラミックスの焼結開始前に成形体内部
の中子が消失し、空間が形成される。このためセラミッ
クスの焼結中に内部空間の形状が維持できない場合があ
る。 一例として、内部空間を持つAl2O3の作製を考えた
場合、Al2O3の焼結温度が約1500℃であるのに対し、 一
般的な熱分解性有機物の分解温度は約300℃程度であ
る。Al2O3が固相拡散を開始する前に有機物中子は消失
するため、Al2O3の焼結の進行により、 内部空間の形状
が保てない。
【0005】更に中子として有機物を使用した場合、焼
結後のセラミックス内部に微量のカーボンが残留するこ
とが問題となっている。セラミックス中へのカーボンの
混入は、機能性セラミックスの場合は電気伝導性や誘電
特性を大きく損ねてしまい、また、構造セラミックスの
場合は残留カーボンが粒界に凝集して強度や靭性を低下
させる。
【0006】中子材料として水溶性物質を用いる場合、
該中子を含有するセラミックス粉末成形体の仮焼、水中
での洗浄及び乾燥の工程が必要となる。また水を溶媒と
したスラリ等には、原理的に水溶性物質を中子として用
いることができない。また、中子材料として低融点合金
や気化性材料被覆金属を用いた場合は、内部空間の形状
の維持が困難である上に、セラミックスが金属汚染され
るまたは中子を融解し除去するプロセスを要する場合が
ある。またさらに、焼結性の異なる2種類以上のセラミ
ックス粉末の混合粉末を焼結する方法では、原理的に単
相マトリックスを得ることができないという点がある。
【0007】従って、本発明の目的は、簡便なプロセス
で任意形状の内部空間を比較的精度良く得ることができ
るセラミックスの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するセラ
ミックスの製造方法は、セラミックス粉末からなる成形
体の内部の所望位置に所望形状の中子を配置して、前記
成形体を焼結する過程中に該中子を消失させて内部空間
付きセラミックスを作製するセラミックスの製造方法に
おいて、前記中子を、前記セラミックス粉末の焼結温度
よりも低い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有す
る無機材料から選定し、前記セラミックス粉末の粒子間
固相拡散開始温度より高い温度で前記中子を分解,消失
するものである。
【0009】または、前記中子を、前記セラミックス粉
末の焼結温度よりも低い温度の範囲にて還元分解する温
度特性を有する無機材料から選定し、前記セラミックス
粉末の粒子間固相拡散開始温度より高く前記焼結温度よ
りも低い範囲の温度で、前記中子を分解,消失し、その
後に、前記焼結温度で前記セラミックス粉末を焼結する
ものであっても良い。
【0010】さらに、他の特徴は、セラミックス粉末と
粉末状の中子とを混合して混合粉末状の成形体を作成
し、該成形体を焼結する過程にて前記中子を消失して内
部空間付きセラミックスを作製するセラミックスの製造
方法において、前記中子を、前記セラミックス粉末の焼
結温度よりも低い温度の範囲にて還元分解する温度特性
を有する無機材料から選定し、前記セラミックス粉末の
粒子間固相拡散開始温度より高い温度で前記中子を分
解,消失することにある。
【0011】あるいは、前記中子を、前記セラミックス
粉末の焼結温度よりも低い温度の範囲にて還元分解する
温度特性を有する無機材料から選定し、前記セラミック
ス粉末の粒子間固相拡散開始温度より高く前記焼結温度
よりも低い範囲の温度で、前記中子を分解,消失し、そ
の後に、前記焼結温度で前記セラミックス粉末を焼結す
るところにある。
【0012】そして、前記セラミックス粉末の材料は、
ZrO2,ZrC,Al2O3,AlN,サイアロン,SiO2,TiO2,Si3N4,SiC,
TiNまたはTiCのうちの少なくとも1種類を主成分とする
材料であり、 前記中子の材料はZnOであることが望まし
い。本発明によれば、セラミックスの空間形状を維持す
ることが可能な状態の温度で中子を分解,消失しつつセ
ラミックスを焼結するので、比較的精度良く内部空間付
きセラミックスを作製することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】前述のように内部空間付きセラミ
ックスを製造するに、焼結の前段階で形成された内部空
間形状を維持したままで焼結をすることは非常に困難で
ある。そこで本発明者らは、セラミックスの焼結過程に
おいて、セラミックス粒子間に固相拡散が開始される温
度(これを粒子間固相拡散開始温度という)に着目し、セ
ラミックスをやや固くしつつ中子を分解,消失する方法
( 特に、カーボンを含まない中子を消失する方法)に関
して、鋭意検討を進めた結果、 本発明に至ったもので
ある。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照
しながら説明する。
【0014】まず、第1の実施の形態について、本発明
によるセラミックスの製造方法にて作製したセラミック
ス( 即ち、セラミックス粉末成形体を焼結したセラミッ
クス焼結体を指す)を示しながら説明する。 図2は、
本発明による一実施例の セラミックス粉末成形体を示
す断面図である。すなわち、セラミックス粉末からなる
成形体の内部の所望位置に所望形状の中子を配置した状
態のセラミックス粉末成形体を模式で示している。図3
は、本発明による一実施例の内部空間付きセラミックス
を示す断面図である。即ち、図2に示す成形体を焼結し
た後の内部空間付きセラミックス焼結体を模式で示して
いる。
【0015】図2に示すように、セラミックス粉末成形
体1(以下、成形体1)の作製時に、所望形状に成形した
無機材料中子2(以下、中子2)を予め所望の位置に配置
し、この成形体1を分解性雰囲気中で焼結する。成形体
1が焼結を開始する程度の温度において、セラミックス
をやや固くしつつ、中子2を分解し成形体1の気孔から
排出しながら消失する。 そして、図2に示すようにセ
ラミックス焼結体3(以下、焼結体3)の内部には中子2
の形状の内部空間4が残るため、 精度の良い内部空間
4を有するセラミックス(内部空間付きセラミックス)が
得られる。
【0016】次ぎに、第2の実施の形態について、本発
明による他のセラミックスの製造方法にて作製したセラ
ミックス焼結体を示しながら説明する。図4は、本発明
による他の実施例のセラミックス粉末成形体を示す断面
図である。即ち、セラミックス粉末と粉末状の中子とを
混合して混合粉末状の成形体を作成した状態のセラミッ
クス粉末成形体を模式で示している。図5は、本発明に
よる他の実施例の内部空間付きセラミックスを示す断面
図である。すなわち、図4に示す成形体を焼結した後の
内部空間付きセラミックス焼結体を模式で示している。
【0017】図4に示すように、セラミックス粉末5と
粉末状中子6を混合し、作製した混合粉末成形体7を分
解性雰囲気中で焼結する。混合粉末成形体7が焼結を開
始する程度の温度において、セラミックスをやや固くし
つつ、粉末状中子6を分解し混合粉末成形体7の気孔か
ら消失して、図5に示すようにセラミックス多孔体8の
内部には、粉末状中子6の形状の空孔9が残るため、精
度の良い内部空間付きセラミックスとしての「多孔質セ
ラミックス」を得ることができる。
【0018】さらに、第3の実施の形態について、本発
明による別のセラミックスの製造方法にて作製したセラ
ミックス焼結体を示しながら説明する。図6は、本発明
による別の実施例のセラミックス粉末成形体を示す断面
図である。即ち、セラミックス成形体または焼結体(以
下、セラミックス等)を含有している所望形状の中子を
所望位置に配置した状態のセラミックス粉末成形体を模
式で示している。図7は、本発明による別の実施例の内
部空間付きセラミックスを示す断面図である。即ち、図
6に示す成形体を焼結した後の内部空間付きセラミック
ス焼結体を模式で示している。
【0019】本発明のセラミックスの製造方法を応用す
ることにより、セラミックスの内部空間に「セラミック
ス成形体または焼結体10(即ち、セラミックス等1
0)」を配置させることも可能である。図6に示すよう
に、セラミックス等10を内部に含有する中子2を用
い、成形体1の内部の所望の位置に中子2を配置し焼結
する。中子2にセラミックス等10が含まれている場合
も同様に、中子2だけが分解し消失するために、図7に
示すように、焼結体3の内部空間4の内部にセラミック
ス等10を配置することも可能である。更に、上記方法
等を組み合わせることにより、比較的大きな内部空間と
微小空間を混在させることも可能である。
【0020】次ぎに、本発明によるセラミックスの製造
に関する中子材料の選定について、例を挙げて詳細に説
明する。図8は、代表的な酸化物のエリンガムを示す図
である。図8において、中子に用いる材料は、マトリッ
クス材料(即ち、セラミックス)に応じて選定するが、
1つの例として、マトリックス材料がZrO2の場合は、Z
nOの中子が適している。即ち、図8の横軸は温度、縦
軸は酸化物を生成する際の反応前後の自由エネルギー変
化を表わしている。図中の各線は、各々1つの酸化反応
に対応しており、図中の上部に位置する線ほど、その線
に対応する酸化反応が進行するために必要な最低酸素分
圧が高いことを意味している。 (註、篠崎ら訳「スワ
ーリン固体の熱力学」、コロナ社に記載されている。) 従って、例えば、Znが酸化するために必要な酸素分圧
は、Zrが酸化するための分圧よりも高い。即ち、ZrO
2は、ZnOよりも 低酸素分圧下でも安定であるため、ZrO
2よりZnOがより還元分解し易く、中子としてのZnOを還
元分解しながら、ZrO2を焼結することは可能である。換
言すれば、比較的高温であるセラミックスの粒子間固相
拡散開始温度に近い温度に還元分解温度があるので、セ
ラミックスをやや固くしつつ中子を分解,消失するに適
していると言える。具体的には、Znの沸点が910℃と低
温であるために、ZnOは分解後金属Znとして析出するこ
とはなく、Zn蒸気と酸素として気孔から排出される。
【0021】上記中子特性(即ち、図8に示した酸化物
のエリンガム)から導かれる考え方により、同様に、Al2
O3,SiO2,TiO2などもまた、ZnOを中子として使用するこ
とが可能である。更に、ZrC, AlN, Si3N4, SiC, TiN, T
iCおよびサイアロンは、通常ArやN2のような酸素を含ま
ない雰囲気(即ち、還元性雰囲気)で焼結するため、これ
らを主成分とするセラミックス粉末材料からなるセラミ
ックスも ZnOを中子として使用することが可能である。
【0022】そして、還元性雰囲気での熱処理条件とし
ては、中子が分解消失し切るまでは熱処理中の炉内の酸
素分圧が、10-4torr以下の雰囲気に保たれるように調
節することが望ましいと言える。具体的には、焼成炉内
をロータリポンプ等で真空引きして、その後、ArやN2
の不活性ガスに置換すること、または、真空引きしない
で密封した炉内にArガス等を連続して注入することで、
還元性雰囲気としての低酸素分圧雰囲気を形成すること
ができ、トンネル炉を採用すれば、多数個のセラミック
スを連続焼成することができる。
【0023】なお、マトリックスとして酸化物を用いた
場合、このような還元性雰囲気中で熱処理をすることに
より、電気的特性が変化する場合がある。このような場
合には、焼結完了後に酸素含有雰囲気中にて再熱処理を
することにより、電気的特性を再現させることが可能で
あり、本発明の効果を損なうものではない。
【0024】すなわち、本発明によるセラミックスの製
造方法の特徴は、セラミックス粉末の焼結温度よりも低
い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する無機材
料から中子(材料)を選定し、セラミックス粉末の粒子間
固相拡散開始温度より高くセラミックス粉末の焼結温度
よりも低い範囲内の温度にて、セラミックスをやや固く
しつつ中子を分解,消失して、精度の良い内部空間付き
セラミックスを作製することにある。
【0025】ところで、上記の還元分解する温度特性と
は、厳密には、ゾーン特性である。即ち、ZnO中子の場
合は、 還元分解温度がZrO2セラミックス粉末の粒子間
固相拡散開始温度よりも低いので、上記ゾーン特性は還
元分解温度からセラミックスの焼結温度までの広い範囲
を示すことになる。そして、該ZnO中子の場合は、 粒子
間固相拡散開始温度よりも高い温度領域で、中子を分
解,消失することになる。一方、無機材料によっては、
その還元分解温度がセラミックス粉末の粒子間固相拡散
開始温度より高くなる( 且つ、セラミックス粉末の焼結
温度よりも低い温度の)狭い温度ゾーンの特性を有する
ものがある。 このような中子の場合は、該還元分解温
度よりも高い温度領域で、中子を分解,消失することに
なる。尚、上記「還元分解する温度特性」に、これらの組
み合わせも含むものとする。また、セラミックス粉末の
焼結温度には、焼結可能な最低から最高の温度の焼結温
度ゾーン(または、実用焼結温度範囲)を含むものとす
る。
【0026】従って、本発明によるセラミックスの製造
方法としては、中子を、セラミックス粉末の焼結温度よ
りも低い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する
無機材料から選定し、該還元分解温度がセラミックス粉
末の粒子間固相拡散開始温度よりも低いときは、該粒子
間固相拡散開始温度より高く焼結温度よりも低い範囲の
温度か、または、還元分解温度が粒子間固相拡散開始温
度よりも高いときは、該還元分解温度より高く焼結温度
よりも低い範囲の温度かのどちらかで、前記中子を分
解,消失しつつセラミックス粉末を予備焼結し、その後
に、焼結温度で焼結することが望ましいと言える。
【0027】
【実施例】以下、上記実施の形態に対する具体的な実施
例を示して、本発明について詳説する。 [実施例1]直径50(mm)の金属成形型に、 焼結助剤を混
合したY2O3を3(mol%)含むZrO2粉末を入れ、その上に
直径20(mm)、厚さ3(mm)のZnOの成形体を配置し、更にそ
の上から該ZrO2粉末を入れ、プレス成形した。その成形
体を1(atm)のAr中で、図1の実線で示す焼結プログラム
により焼結を行った。
【0028】図1は、本発明による一実施例のセラミッ
クスの製造方法を示す図である。即ち、ZnO中子を用い
たセラミックスの焼結プログラムを示している。 図中
の実線は、中子を分解するための予備焼結を含んだ焼結
プログラムを示している。本実施例では、図1中の実線
で示された焼結プログラムの保持温度Xを、800,900,1
000(℃)の3種類とし、試料を作製した。 即ち、保持温
度Xは、予備焼結する温度に該当する。また、焼結温度
Yは、1500(℃)とした。
【0029】いずれの試料の場合も、ZnO中子は完全に
分解,消失しており、精度良くZnO中子形状の内部空間
が形成されていた。 表1に、中子にZnOを用い、図1中
の実線で示された焼結プログラムにおいて、 保持温度
X(℃)を800(℃)として、様々なセラミックスの焼結を
試みた場合の内部空間の様子を示している。
【0030】
【表1】
【0031】[実施例2]平均粒径0.5(μm)のZrO2粉末
に、 平均粒径0.5(μm)のY2O3を3(mol%)と、平均粒径
0.5μmのZnO粉末をそれぞれ5,10,20(mol%)とを添加
した混合粉末を、直径20(mm)、厚さ5(mm)に成形した。
それらの混合粉末成形体を、実施例1と同様に実線で示
された焼結プログラムにて、図1中の保持温度Xを1000
(℃)とし、焼結温度を1500(℃)として焼結を行った。
ZnOを5,10,20(mol%)添加したいずれの試料に
おいても、 残留ZnOは確認されず、ZnO粉末形状の空孔
が均一に分布した多孔質セラミックスを得た。 水銀ポ
ロシメーターにて開気孔率を測定した結果、次ぎの表2
のようになった。
【0032】
【表2】
【0033】[実施例3]実施例3は、実施例1と同じよ
うにして作製した成形体を、図1の破線で示す焼結プロ
グラムにより焼結を行った。即ち、中子を分解するため
の予備焼結を含まない焼結プログラムにて、焼結温度を
1500(℃)として焼結体を作製した。 ZnO中子は分解,消
失し、ZnO中子形状の内部空間が形成された。しかしな
がら、セラミックス粉末が固くなり過ぎないうちに中子
を分解,消失する実線の実施例1の方が、破線の実施例
3の方よりも、生産性などの点から有利であった。
【0034】上記実施例3は、最初からセラミックス粉
末の焼結温度で、中子の分解,消失と同時にセラミック
ス粉末の焼結を実施するものである。したがって、本製
造方法は、例えば、セラミックス粉末が粒子間固相拡散
を開始する温度とセラミックス粉末の焼結温度とが近い
場合に適用されることが望ましいと言える。
【0035】
【発明の効果】本発明により、セラミックスの焼結体内
部に、任意形状の空間を比較的精度良く、簡便なプロセ
スで得ることができる。即ち、特に、カーボンを含まな
い中子を利用することが可能であり、トータルとして生
産性に優れたセラミックスの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例のセラミックスの製造方
法を示す図である。
【図2】本発明による一実施例のセラミックス粉末成形
体を示す断面図である。
【図3】本発明による一実施例の内部空間付きセラミッ
クスを示す断面図である。
【図4】本発明による他の実施例のセラミックス粉末成
形体を示す断面図である。
【図5】本発明による他の実施例の内部空間付きセラミ
ックスを示す断面図である。
【図6】本発明による別の実施例のセラミックス粉末成
形体を示す断面図である。
【図7】本発明による別の実施例の内部空間付きセラミ
ックスを示す断面図である。
【図8】代表的な酸化物のエリンガムを示す図である。
【符号の説明】
1…セラミックス粉末成形体、2…無機材料中子、3…
セラミックス焼結体、4…内部空間、5…セラミックス
粉末、6…粉末状中子、7…混合粉末成形体、8…セラ
ミックス多孔体、9…空孔、10…セラミックス成形体
または焼結体。
フロントページの続き (72)発明者 宮田 素之 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 千葉 秋雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 金井 恒行 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B28B 7/34 C04B 38/00 304 C04B 38/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス粉末からなる成形体の内部の
    所望位置に所望形状の中子を配置して、前記成形体を焼
    結する過程中に該中子を消失させて内部空間付きセラミ
    ックスを作製するセラミックスの製造方法において、 前記中子を、前記セラミックス粉末の焼結温度よりも低
    い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する無機材
    料から選定し、前記セラミックス粉末の粒子間固相拡散
    開始温度より高い温度で前記中子を分解,消失すること
    を特徴とするセラミックスの製造方法。
  2. 【請求項2】セラミックス粉末からなる成形体の内部の
    所望位置に所望形状の中子を配置して、前記成形体を焼
    結する過程中に該中子を消失させて内部空間付きセラミ
    ックスを作製するセラミックスの製造方法において、 前記中子を、前記セラミックス粉末の焼結温度よりも低
    い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する無機材
    料から選定し、 前記セラミックス粉末の粒子間固相拡散開始温度より高
    く前記焼結温度よりも低い範囲の温度で、前記中子を分
    解,消失し、その後に、前記焼結温度で前記セラミック
    ス粉末を焼結することを特徴とするセラミックスの製造
    方法。
  3. 【請求項3】セラミックス粉末と粉末状の中子とを混合
    して混合粉末状の成形体を作成し、該成形体を焼結する
    過程にて前記中子を消失して内部空間付きセラミックス
    を作製するセラミックスの製造方法において、 前記中子を、前記セラミックス粉末の焼結温度よりも低
    い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する無機材
    料から選定し、前記セラミックス粉末の粒子間固相拡散
    開始温度より高い温度で前記中子を分解,消失すること
    を特徴とするセラミックスの製造方法。
  4. 【請求項4】セラミックス粉末と粉末状の中子とを混合
    して混合粉末状の成形体を作成し、該成形体を焼結する
    過程にて前記中子を消失して内部空間付きセラミックス
    を作製するセラミックスの製造方法において、 前記中子を、前記セラミックス粉末の焼結温度よりも低
    い温度の範囲にて還元分解する温度特性を有する無機材
    料から選定し、 前記セラミックス粉末の粒子間固相拡散開始温度より高
    く前記焼結温度よりも低い範囲の温度で、前記中子を分
    解,消失し、その後に、前記焼結温度で前記セラミック
    ス粉末を焼結することを特徴とするセラミックスの製造
    方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    おいて、前記セラミックス粉末の材料は、ZrO2,ZrC,Al2
    O3,AlN,サイアロン,SiO2,TiO2,Si3N4,SiC,TiNまたはTiC
    のうちの少なくとも1種類を主成分とする材料であり、
    前記中子の材料はZnOであることを特徴とするセラミッ
    クスの製造方法。
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