JP2942168B2 - ブラスト加工における加工パターンの拡大方法及び装置 - Google Patents

ブラスト加工における加工パターンの拡大方法及び装置

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JP2942168B2 JP7916395A JP7916395A JP2942168B2 JP 2942168 B2 JP2942168 B2 JP 2942168B2 JP 7916395 A JP7916395 A JP 7916395A JP 7916395 A JP7916395 A JP 7916395A JP 2942168 B2 JP2942168 B2 JP 2942168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然の珪砂(サンド)、
アルミナや炭化珪素の粉末、ガラスビーズ、微小鋼球等
から成る研磨材を空気などの流体と共に噴射ノズルから
高速で噴射して被加工物を梨地等の模様に加工し、また
ガラス、シリコンウェハー等の精密彫刻加工、プラズマ
ディスプレーのリブの彫刻加工、また塗装の前処理など
の表面処理、表面加工を行うブラスト(吹付け)加工に
おいて、前記噴射ノズルから噴射する研磨材により被加
工物の表面の研磨材噴射面の形状や大きさ、(本明細書
において「加工パターン」という。)を拡大する方法及
び装置に関する。特に、サクション式ブラスト加工にお
ける加工パターンの拡大方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来、この種のブラスト加工装置のサクシ
ョン式噴射ノズルは、例えば図7に示すような噴射ノズ
ル10において、ノズルボディ11は、ブラスト加工装
置の回収タンクから研磨材ホース31を介して研磨材導
入口24に連通して研磨材が誘導される略円筒容器状の
研磨材誘導室12が形成され、この研磨材誘導室12の
前端部には円錐状に絞られた円錐内面16が形成され、
この円錐内面16に貫通するノズル14を設けている。
そして、前記円錐内面16の内側に、研磨材誘導室12
の後方から挿入された空気噴射管13の先端部が配置さ
れている。この空気噴射管13は図示せざる圧縮空気供
給源にホース32を介して連通されており、比較的高圧
の圧縮空気が送られる。
【0003】15はホルダで、内周面にテーパ部を備え
た円筒形状をなし、ホルダ15の内周のテーパ部でノズ
ル14の外周のテーパ部を外嵌し、ホルダ15の外周に
設けたネジ部でノズルボディ11に螺着することにより
ノズル14をノズルボディ11に固定する。
【0004】前記空気噴射管13の先端から圧縮空気を
ノズル14へ向けて噴射すると、研磨材誘導室12内が
負圧になるので、この負圧により図示せざる回収タンク
の研磨材が研磨材ホース31を経て研磨材誘導室12へ
吸引される。研磨材誘導室12内の研磨材は、前記円錐
内面16と空気噴射管13の外周の環状の間隙部分に誘
導され、空気噴射管13の空気流に乗って、ノズル14
から外部へ円錐状に拡散しながら噴射され、図8に示す
ように被加工物の表面にほぼ円形状の加工パターンが形
成される。なお、本明細書において、ブラスト加工の有
効な加工幅(本明細書において単に、「加工幅」とい
う。)とは、図8に示すように、加工パターンの最大加
工深さの1/2の位置における被加工面の形状を面積な
いし長径及び短径の長さを言う。
【0005】ブラスト加工は作業者が手動で噴射ノズル
を操作して被加工物の表面へ研磨材を噴射する場合と、
ブラスト加工装置を加工ラインに設けて噴射ノズル又は
被加工物を機械的に移動して被加工物の表面へ研磨材を
噴射する場合があり、前者あるいは後者のいずれの場合
においても、噴射ノズルから被加工物の表面迄の噴射距
離をほぼ一定に保ちながら、図9に示すように、被加工
物Wの表面の加工パターンを先の加工パターンに隣接し
て同図矢印の方向に所謂ジグザグ状に徐々に移動させる
ように噴射ノズル又は被加工物を移動する。例えば、前
者は被加工物を固定しこの被加工物に対して噴射ノズル
を手動で移動する。後者は次の二通りの方法がある。一
つは被加工物を図9のX方向において図9紙面の右方向
へ移動させ、噴射ノズルを図9のY方向において図9紙
面の上下方向へ移動させて、加工パターンをジグザグ状
に徐々に自動的に移動させる。二つ目は被加工物を固定
し、噴射ノズルを図9のX方向において図9紙面の左方
向へ、およびY方向において図9紙面の上下方向へジグ
ザグ状に徐々に自動的に移動させる。図9の二点鎖線で
示すような被加工物のブラスト加工面は先の円形状の加
工パターンに隣接する加工パターンが重なりながら満遍
なくブラスト加工される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法でブラスト
加工を経済的、効率的に行うためには研磨材の噴射距
離、噴射角度、噴射圧力、研磨材と空気の混合比(濃
度、噴射量)などの加工条件の適切な調整を必要とす
る。例えば、噴射圧力が高ければ高いほど加工能率が向
上し、また噴射圧力を高くすれば噴射距離も遠くなるの
で研磨材の拡散面積も広くなるため単位あたりの研磨時
間を短縮することができる。
【0007】しかし、噴射圧力を高くすれば加工能率が
向上する反面、研磨材及び噴射ノズル等の損耗は急激に
増加するので、ただ噴射圧力を増加すればよいというも
のではない。したがって、この種の噴射ノズルによる研
磨材の拡散面積には限界があり、ブラスト加工の効率を
向上させることが難しいという問題点があった。
【0008】さらに、従来のブラスト加工によると研磨
材噴射流の研磨材の密度分布状態は加工パターンの中央
部分が濃くて他の周囲部分が薄いため、被加工物に形成
される加工パターンは該部の窪みの中央部分が深く加工
されるが、他の周囲部分が浅く加工され、加工パターン
の直径に対する中央部分と周囲部分の深さの変化率が大
きくなり、つまり加工パターンの加工深さ方向の曲率半
径が小さいものであった。そのため、加工パターンの直
径に対する加工幅の割合が小さくなるので、被加工物の
ブラスト加工面の加工深さをできるだけ均一にしかも満
遍なく加工するには、先の加工パターンに隣接する加工
パターンの重なり寸法を大きくして加工パターンの浅い
部分をさらに深くしなければならず、必然的にブラスト
加工効率が低下するという問題点があった。
【0009】なお、被加工物のブラスト加工面の加工深
さを均一にしようとして、たとえ先の加工パターンに隣
接する加工パターンの重なり寸法を大きくし、さらに繰
り返しブラスト加工をしたとしても、加工パターンの加
工幅が小さく又加工深さ方向の曲率半径が小さいため
に、被加工物のブラスト加工面の加工深さを均一にする
ことが難しいという問題点があった。
【0010】したがって、ブラスト加工面の品質とブラ
スト加工効率の両方を共に向上させることが難しいとい
う問題点があった。
【0011】また、加工パターンの加工幅が小さい場
合、噴射ノズル又は被加工物の送り速度を増大しなけれ
ばブラスト加工効率を向上させることができない。例え
ば、加工幅が小さい加工パターンでブラスト加工効率を
2倍に増大するには、被加工物又は噴射ノズルの送り速
度を2倍にする必要がある。しかし、被加工物又は噴射
ノズルの送り速度をあまり増大すると所望のブラスト加
工効果を得られないので限界がある。限界に達した場
合、それ以上のブラスト加工効率の向上を図ることは難
しいという問題点があった。
【0012】〔目的〕本発明は叙上の問題点を解決する
ために開発されたもので、ブラスト加工の加工パターン
内での加工深さ方向の曲率半径を大きくし、且つ加工パ
ターンの加工幅を広くしてブラスト加工効率を向上さ
せ、しかもブラスト加工面での加工深さを均一にしてブ
ラスト加工面の品質を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のブラスト加工における加工パターンの拡大
方法は、圧縮空気供給源に連通する空気噴射管13の空
気噴射方向前方のメインノズル42と空気噴射管13の
間の研磨材供給源に連通する研磨材誘導室12より空気
噴射管13の空気流とこの空気流により吸引された研磨
材を吸引するサクション式噴射ノズルにより、研磨材誘
導室12内の研磨材を空気流と共にメインノズル42よ
り被加工物へ噴射するブラスト加工方法において、前記
メインノズル42の研磨材噴射流の中心線αを介して対
向する位置から前記研磨材噴射流の中心線αに対してほ
ぼ同位置へ向けて二の空気流を噴射することによりメイ
ンノズル42の研磨材噴射流を幅狭で細長の流体断面に
変形したことを特徴とする。
【0014】また、メインノズル42から噴射した直後
の研磨材噴射流はあまり拡散していないので、研磨材噴
射流を効果的に幅狭で細長の流体断面に変形するという
点で、前記メインノズル42の研磨材噴射流の中心線α
に対してメインノズル42の研磨材噴射口18の近傍の
ほぼ同位置へ向けて二の空気流を噴射することが望まし
い。
【0015】さらに、前記二の空気流の噴射方向をメイ
ンノズル42の研磨材噴射方向に対して15〜90°の
範囲内で同一の傾き角度θを成し、前記二の空気流の圧
力を1〜8kg/cm2の範囲内にすることが望ましい。
【0016】さらに、前記二の空気流の圧力は2〜8kg
/cm2が好ましく、二の空気流の傾き角度は、より好まし
くは30°〜90°で、特に好ましくは二の空気流の圧
力が3kg/cm2で、傾き角度が60°のとき、研磨材噴射
流を効果的に、幅狭で細長の流体断面に変形して加工パ
ターンをより一層拡大する。
【0017】本発明の他の加工パターンの拡大方法は、
前述したサクション式噴射ノズルによるブラスト加工方
法において、前記メインノズル42の研磨材噴射方向前
方に、メインノズル42の研磨材噴射流を幅狭で細長の
断面形状を画定する空間へ導入し、且つ前記空間の長辺
又は長径に相当する両側面より外部の空気を吸入して前
記研磨材噴射流を前記空間の断面形状に拡散・変形す
ることを特徴とする。
【0018】また、メインノズル42から噴射した直後
の殆ど拡散していない研磨材噴射流に対して前記外部の
空気を導入することになり、その結果、研磨材噴射流を
効果的に、幅狭で細長の流体断面に変形するという点
で、前記メインノズルの研磨材噴射口の近傍より外部の
空気を導入することがとくに望ましい。
【0019】さらに、前記幅狭で細長の断面形状を画定
する空間の長辺又は長径に相当する両側面からメインノ
ズル42の研磨材噴射流の中心線αで対称位置に外部の
空気を吸入し、前記外部の空気をメインノズルの研磨材
噴射流の中心線αに対してほぼ同位置に向けて導入せし
めることができる。
【0020】本発明のブラスト加工における加工パター
ンの拡大装置は、圧縮空気供給源に連通する空気噴射管
13の空気噴射方向前方にメインノズル42を備え、空
気噴射管13とメインノズル42間に研磨材供給源に連
通する研磨材誘導室12を備えて成るサクション式噴射
ノズルを備えるブラスト加工装置において、前記メイン
ノズル42から噴射した研磨材噴射流の中心線αを介し
て対向する位置に2個のサブノズル43を配設すると共
に、前記各サブノズル43の空気流の中心線βがメイン
ノズル42の研磨材噴射流の中心線αに対してほぼ同位
置で交差して成ることを特徴とする。
【0021】さらに、二のサブノズル43,43の空気
流の中心線βがそれぞれ、メインノズル42の研磨材噴
射方向に対して互いに同一の傾き角度θを成すように設
け、さらに二のサブノズル43,43をメインノズル4
2の研磨材噴射流の中心線αで対称位置に設けること
は、二のサブノズル43,43の先端から研磨材噴射流
までの噴射距離が同じで、傾き角度θが同じであるた
め、サブノズル43,43に供給する圧縮空気を同じ圧
力で噴射することにより、二のサブノズル43,43の
空気流はメインノズル42の研磨材噴射流に対して対称
位置からほぼ同じ作用を与えることになるので、メイン
ノズルの研磨材噴射流を効果的に幅狭で細長の流体断面
に変形でき、また各サブノズル43,43の空気流の圧
力を容易に調整できるという点で、特に望ましい。
【0022】また、前記2個のサブノズル43の空気流
の中心線βがそれぞれ、メインノズル42の研磨材噴射
方向に対して15〜90°の範囲内で互いに同一の傾き
角度を成すように設け、前記傾き角度を好ましくは30
°〜90°の範囲内で設け、特に好ましくは60°とす
る。
【0023】本発明の他の加工パターンの拡大装置は、
前述したサクション式噴射ノズルを備えたブラスト加工
装置において、前記メインノズル42の研磨材噴射流の
前方に幅狭で細長の断面形状を成す空間を画定し、且つ
前方端に研磨材を噴出する開口54を備えた研磨材拡散
室52を設け、該研磨材拡散室52の長辺又は長径を成
す両側壁58,58に、外気に連通する吸気孔53,5
3を設けたことを特徴とする。
【0024】また、前記両側壁58,58に適当な位置
に複数個の吸気孔53を設けることもできるが、吸気孔
は研磨材拡散室52の長辺又は長径を成す両側壁58,
58にメインノズル42の研磨材噴射口18の近傍に位
置し、又メインノズル42の研磨材噴射流の中心線αで
対称に位置することが、吸気孔53,53より吸入した
空気流をメインノズル42の研磨材噴射口18の付近の
研磨材噴射流に導入させてメインノズル42の研磨材噴
射流の流体断面を効果的に幅狭で細長に拡散・変形する
という点で、望ましい。
【0025】
【作用】本発明の加工パターンの拡大装置においては、
圧縮空気供給源より供給した圧縮空気を空気噴射管13
からメインノズル42に向けて噴射すると、研磨材誘導
室12内が負圧になるため、回収タンクの研磨材が研磨
材誘導室12へ吸引される。研磨材誘導室12内の研磨
材は、空気噴射管13の先端とメインノズル42の間隙
部分に誘導され空気噴射管13の空気流に乗ってメイン
ノズル42から円錐状に拡散する研磨材噴射流となって
噴射する。しかし、2個のサブノズル43,43から噴
射する二の空気流がそれぞれ、前記メインノズル42の
研磨材噴射流の中心線αで対称となる二の側方から前記
中心線αに対してほぼ同位置へ向けて噴射するので、メ
インノズル42の円錐状の研磨材噴射流はサブノズル4
3,43の二の空気流の圧力により二の側方から加圧さ
れる状態になるため、研磨材噴射流の噴射方向に直交す
る方向での研磨材噴射流の断面(本明細書において、単
に「流体断面」という。)で幅狭で細長の断面形状に変
形されて拡散しながら噴射する。したがって、被加工物
の表面に形成される加工パターンは、従来の円形状の加
工パターンの加工幅より長い加工幅を有し且つ加工深さ
方向の曲率半径が大きい形状となる。噴射ノズル40を
研磨材噴射流の幅狭で細長の流体断面の長手方向に直交
する方向に移動させることにより、加工パターンの長い
加工幅でブラスト加工することになるので、被加工物は
従来より広い加工幅で効率よくしかも均一な加工深さの
ブラスト加工面として加工される。
【0026】本発明の他の加工パターンの拡大装置にお
いては、メインノズル42の研磨材噴射流が円錐状に拡
散しながら噴射し、研磨材拡散室52の長辺又は長径の
両側壁58,58に衝突して変向する。また、研磨材が
研磨材拡散室52へ噴射されると、この研磨材噴射流に
より研磨材拡散室52内が負圧になり吸気孔53,53
から外部の空気が空気流となって研磨材拡散室52内へ
吸入される。吸気孔53,53の二の空気流はメインノ
ズルの研磨材噴射流を挟むように加圧し且つ研磨材噴射
流に導入され、研磨材噴射流を幅狭で細長の流体断面に
変形し開口54から拡散しながら被加工物の表面に向け
て噴射される。したがって、被加工物の表面の加工パタ
ーンは幅狭で細長の形状となり、この加工パターンの長
手方向の加工幅は、従来の円形状の加工パターンの加工
幅より長くなる。前記加工パターンの長手方向に直交す
る方向に噴射ノズル40を徐々に移動させることによ
り、加工パターンの長手方向の加工幅でブラスト加工す
ることになり、被加工物は効率よくブラスト加工され
る。
【0027】
【実施例】以下に、本発明のブラスト加工における加工
パターンの拡大方法及び装置の実施例について図面を参
照して説明する。
【0028】〔噴射ノズル〕図1において、40は噴射
ノズルで、ノズルボディ11及び該ノズルボディ11内
の各部材及び構造は、図7に示す従来の噴射ノズル10
に該当する部分と同様である。
【0029】ノズルボディ11は、回収タンク70(図
5)から研磨材ホース31を介して研磨材導入口24に
連通して研磨材が誘導される略円筒容器状の研磨材誘導
室12が形成され、この研磨材誘導室12の前端部には
円錐状に絞られた円錐内面16が形成されている。前記
円錐内面16の内側に、研磨材誘導室12の後方から挿
入された空気噴射管13の先端部が配置されている。こ
の空気噴射管13はネジ37でノズルボディの後部に固
定されている。また、空気噴射管13は図示せざる圧縮
空気供給源にホース32を介して連通されており、比較
的高圧の圧縮空気が送られ、空気噴射管13の先端から
空気流が噴射する。なお、空気噴射管13の先端の外周
には研磨材の衝撃による磨耗を防ぐために空気噴射管カ
バー17が外装されている。
【0030】42はメインノズルで、空気噴射管13の
空気噴射方向前方に位置してノズルボディ11の先端に
設けられ、前記円錐内面16に貫通して研磨材誘導室1
2に連通するもので、メインノズル42の研磨材噴射口
18から研磨材噴射流を噴射する。
【0031】なお、図1に示すように、本明細書におい
て、メインノズル42のノズル径の中心線αを単に「中
心線α」又は「メインノズル42の中心線α」と称し、
メインノズル42の研磨材噴射流に擬制した中心線を、
「研磨材噴射流の中心線α」と称する。
【0032】さらに、後述するサブノズル43の場合
も、サブノズル43のノズル径の中心線を単に、「中心
線β」、又は「サブノズル43の中心線β」と称し、サ
ブノズル43の空気流に犠制した中心線を「サブノズル
43の空気流の中心線β」と称する。
【0033】43はサブノズルで、詳細は図1に示し、
メインノズル42の研磨材噴射流の中心線αに対して側
方から前記中心線αへ向けて空気流を噴射するもので、
2個のサブノズル43,43を設けている。この2個の
サブノズル43,43はメインノズル42の中心線αを
介して対向する位置に配設し、前記中心線αで対称とな
る位置に設けられ、各サブノズル43,43の空気噴射
方向がそれぞれ、メインノズル42の研磨材噴射流の中
心線αに対して同一の傾き角度θで設けられ、メインノ
ズル42の中心線αと各サブノズル43,43の空気流
の中心線βとが傾き角度θをなして交差する。
【0034】本実施例では傾き角度θが60°である。
したがって、2個のサブノズル43,43から噴射され
る二の空気流はメインノズル42の研磨材噴射流の中心
線αに対してほぼ同位置に向けて噴射され、しかも、本
実施例では前記二の空気流はメインノズル42の研磨材
噴射口18の近傍の同位置に向けて噴射するよう構成し
ている。
【0035】なお、前記傾き角度θは60°に限定され
ず、5〜90°の範囲内で設定することができる。
【0036】〔ブラスト加工装置〕上記の噴射ノズル4
0は、図5及び図6に示すようなエア式の吸込式ブラス
ト加工装置に装着される。
【0037】以下、ブラスト加工装置について説明する
と、図5及び図6において、61はキャビネットで、被
加工物Wを出し入れする投入口63を備え、キャビネッ
ト61内に前記投入口63から投入した被加工物Wに研
磨材を噴射する噴射ノズル40を設ける。
【0038】また、前記キャビネット61の下部にはホ
ッパ68が設けられ、ホッパ68の最下端は導管65を
介してキャビネット61の上部に設置された研磨材回収
用の回収タンク70の上部に連通する。
【0039】回収タンク70はいわゆるサイクロンで、
粉塵を研磨材から分離する装置であり、図5に示すよう
に、上部に円筒形状を成す円筒部と、下部に下方に向け
て徐々に狭くなる円錐状を成す円錐部とから成り、回収
タンク70の円筒部の上部の側壁に流入口73を設け、
この流入口73に連通管75を介して前記導管65の先
端を連結する。前記連通管75の軸線方向は円筒部の横
断面円形を成す内壁面の接線方向に位置しているので、
連通管75から回収タンク70内へ流入した気流は円筒
部の内壁に沿って回りながら降下してゆく。
【0040】回収タンク70の円錐部の下端は噴射ノズ
ル40から噴射する研磨材の噴射量を調整する研磨材調
整器78を備え、この研磨材調整器78に噴射ノズル4
0を連通している。
【0041】一方、回収タンク70の上端壁面の略中央
には連結管74が設けられ、この連結管74は排出管6
7を介してダストコレクタ66に連通している。
【0042】ダストコレクタ66は排風機69を回転し
ダストコレクタ66内の空気を外気へ放出している。こ
の排風機69によりブラスト加工装置60のキャビネッ
ト61、導管65、回収タンク70内の空気を吸引し、
各部がそれぞれ負圧になり、また図示せざる圧縮空気供
給源から供給された空気が研磨材と共に噴射ノズル40
から噴射されるので、キャビネット61から順に導管6
5、回収タンク70、ダストコレクタ66へ気流が流れ
る。
【0043】〔加工パターンの拡大の加工例〕上記のブ
ラスト加工装置を用いて、被加工物Wを投入口63から
キャビネット61内へ投入し、表1に示す加工条件で、
研磨材を噴射ノズル40より被加工物Wの表面へ噴射し
てブラスト加工を行った。
【0044】
【表1】
【0045】図示せざる圧縮空気供給源について説明す
ると、一般に、コンプレッサによって一定圧に圧縮され
た空気は空気中の油と混じり合っているが、これらの圧
縮空気と油はパイプを経てレシーバタンクへ送り込ま
れ、このレシーバタンク内の特殊セパレータで空気中の
油が完全に分離されて清浄な圧縮空気のみが外部へ送り
出される。
【0046】上記の圧縮空気供給源から圧縮空気をホー
ス32を経て噴射ノズル40の空気噴射管13へ供給し
空気噴射管13の先端から空気流を高速で噴射する(図
1)。この高速空気流が前方のメインノズル42内へ送
られると研磨材誘導室12内が負圧となるので、この負
圧により回収タンク70の研磨材が研磨材ホース31を
経て噴射ノズル40の研磨材誘導室12へ吸い込まれ
る。研磨材誘導室12内の研磨材は、円錐内面16と空
気噴射管13の外周の環状の間隙部分に誘導され、空気
噴射管13の空気流に乗って、メインノズル42から外
部へ円錐状に拡散しながら噴射される。
【0047】しかし、図1において、2個のサブノズル
43,43から3kg/cm2の圧力で噴射する二の空気流が
それぞれ、前記メインノズル42の研磨材噴射流の中心
線αで対称となる二の側方から傾き角度60°で研磨材
噴射流の中心線αに対してほぼ同位置へ向けて噴射する
ため、メインノズル42の円錐状の研磨材噴射流は二の
側方からの二の空気流の噴射圧力で挟まれるような状態
で加圧されるので、幅狭で細長の流体断面に変形する。
つまり、メインノズル42の研磨材噴射流はサブノズル
43の空気噴射方向に直交する方向で且つメインノズル
42の研磨材噴射流の噴射方向に直交する方向に広が
り、一方、サブノズル43,43の空気噴射方向に僅か
に狭くなるように変形する。その後、研磨材噴射流は研
磨材噴射方向前方に進むにつれて幅狭で細長の流体断面
の形状が拡散しながら噴射する。
【0048】その結果、被加工物Wの表面に形成される
加工パターンは、図2に示すように楕円形状となり、こ
の楕円形状の加工パターンの最も広い部分の加工幅(本
明細書において「長軸加工幅」と称する。)と、加工パ
ターンの最も狭い部分の加工幅(本明細書において「短
軸加工幅」と称する。)となって表れる。
【0049】本実施例の楕円形状の加工パターンの長軸
加工幅は、従来の円形状の加工パターンの加工幅より長
くなった。
【0050】なお、本実施例では図2に示すように、加
工パターンの中央の最も深い部分の加工深さが1.5m
mになった時にブラスト加工を停止し、加工幅〔加工深
さが0.75mm(中央の最も深い部分の加工深さの1
/2の位置)における形状の幅寸法〕を測定したとこ
ろ、このときの加工パターンは楕円形状の長軸加工幅が
34.84mmで、短軸加工幅が11.39mmであっ
た。ちなみに、サブノズル43から空気流を噴射しない
ときの円錐状の研磨材噴射流による加工パターン(従来
の加工パターン)の加工幅は13.2mmであるので、
本実施例の楕円形状の加工パターンの長軸加工幅は従来
に比して約2.6倍も拡大している。
【0051】したがって、表1のブラスト加工条件で、
噴射ノズル40を固定して被加工物を自動的に移動して
噴射ノズルから被加工物の表面迄の噴射距離をほぼ一定
に保ちながら、図9と同様に、前記楕円形状の加工パタ
ーンの長軸に直交する方向に被加工物Wの表面の先の加
工パターンに隣接して徐々に移動させてブラスト加工し
たところ、従来の2.5倍の速さで効率よくブラスト加
工され、しかもブラスト加工面の加工深さが均一に加工
された。
【0052】なお、サブノズル43の傾き角度θ及びサ
ブノズルの空気流の圧力を種々変化させ、前述した実施
例と同様に加工パターンの中央の最も深い部分の加工深
さが1.5mmになった時にブラスト加工を停止し、加
工パターンの長軸及び短軸加工幅を測定したところ、各
加工条件下での加工パターンはそれぞれ、表2に示す加
工幅のデータ(単位;mm)が得られた。
【0053】ただし、表2中で、「長軸」とは長軸加工
幅を示し、「短軸」とは短軸加工幅を示す。
【0054】
【表2】
【0055】なお、表2では傾き角度θが90°の場
合、及びサブノズル43の空気流の圧力が3kg/cm2より
高い場合のデータを示していないが、加工パターンを拡
大する点で、傾き角度θが90°においても有効であ
り、空気流の圧力が8kg/cm2までは有効であった。
【0056】表2より、サブノズル43の空気流の圧力
が1kg/cm2のとき、傾き角度θが15°では加工パター
ンの加工幅の拡大が観られないが、傾き角度θが30°
以上では加工パターンは拡大している。
【0057】したがって、サブノズル43の空気流の圧
力が1kg/cm2のとき、サブノズル43の傾き角度θは3
0°〜90°であることが望ましい。ちなみに、傾き角
度θが75°のとき、加工パターンの長軸加工幅は2
2.78mmで特に良好な結果を示した。
【0058】また、サブノズル43の空気流の圧力が2
kg/cm2及び3kg/cm2のとき、傾き角度θが15°以上で
加工パターンの加工幅は拡大している。
【0059】したがって、サブノズル43の空気流の圧
力が2〜8kg/cm2のとき、サブノズル43の傾き角度θ
は15°〜90°であることが望ましい。
【0060】なお、表2のうち、サブノズル43の空気
流の圧力が3kg/cm2で、傾き角度θが60°のとき、加
工パターンの長軸加工幅は34.84mmで特に良好な
結果を示した。
【0061】なお、メインノズルの研磨材噴射流を幅狭
で細長の流体断面に効果的に変形するには、二のサブノ
ズル43,43の空気流が研磨材噴射流に対してほぼ同
圧力で作用することが望ましい。そのためには前述した
実施例のように、二のサブノズル43,43をメインノ
ズル42の研磨材噴射流の中心線αで対称位置に設け
る。すなわち、二のサブノズル43,43の空気流の中
心線βがそれぞれ、メインノズル42の研磨材噴射方向
に対して互いに同一の傾き角度θを成すように設けるこ
とは、二のサブノズル43,43の先端から研磨材噴射
流までの噴射距離が同じで、しかも傾き角度θが同じで
あるためメインノズルの研磨材噴射流に対するサブノズ
ルの空気流の噴射角が同じになるので、サブノズル4
3,43に同圧の圧縮空気を供給して噴射すればメイン
ノズル42の研磨材噴射流に対してほぼ同じ作用を与え
ることができるという点で特に望ましい効果が得られ
る。しかし、各サブノズル43,43の空気流はそれぞ
れ別々に噴射圧力を調整してもよいので、必ずしも本実
施例のようにサブノズル43,43の傾き角度θが同一
である必要がなく、又研磨材噴射流の中心線αで対称位
置である必要がなく、特に限定されない。
【0062】以上のようにブラスト加工すると、噴射ノ
ズル40から噴射された研磨材は被加工物Wに衝突した
ときの衝撃で被加工物の表面から剥離した破片や破砕し
た再使用不可能な研磨材や他の塵埃を含む粉塵が発生し
再使用可能な研磨材中に混入する。噴射された研磨材お
よびこのとき発生した粉塵は、キャビネット61の下部
のホッパ68に落下し、導管65内に生じている気流に
よって導管65を経て流入口73から回収タンク70へ
送られる。流入口73から流入した気流は回転気流とな
って遠心力により円筒部の内壁面に沿って回りながら降
下し、円錐部へ到達すると、円錐部は下方へ向けて徐々
に狭くなっているので、気流の回転半径が小さくなり、
それに伴って回転速度が徐々に大きくなりながら降下す
る。研磨材と粉塵は気流に乗って降下する。気流は円錐
部の下端近くに達すると、反転して方向転換し上昇気流
となり回収タンク70の中心部を小さく回転しながら上
昇し、回収タンク70の上端壁の連結管74から排出管
67を経てダストコレクタ66へ流れる。しかし、前記
回転気流に乗って円錐部の下端近くに降下した研磨材と
粉塵のうち粉塵のみが方向転換し上昇気流に乗って上昇
するが、研磨材は上昇せず円錐部の下部で回転気流と共
に旋回し、徐々に回収タンク70の下部に落下し集積さ
れる。一方、粉塵は前記上昇気流と共に連結管74から
排出管67を経てダストコレクタ66へ送られてダスト
コレクタ66に集積され、清浄な空気がダストコレクタ
66の上部に設けられた排風機69から放出される。
【0063】〔他の加工パターンの拡大装置〕図3及び
図4において、40aは噴射ノズルで、ノズルボディ1
1及び該ノズルボディ11内の各部材及び構造は、図7
に示す従来の噴射ノズル10の各部材に該当する部分と
同様である。
【0064】42はメインノズルで、前述した実施例と
同様であり、噴射管13の空気噴射方向前方に位置して
ノズルボディ11の先端に設けられ、メインノズル42
の研磨材噴射口18から研磨材噴射流を噴射する。
【0065】52は研磨材拡散室で、メインノズル42
の研磨材噴射流の噴射方向に直交する方向に幅狭で細長
の断面長方形を成す空間を有する直方体形状の箱体から
なり、この研磨材拡散室52の後方端面の略中央に連通
孔55を設け、この連通孔55の内周面にネジ穴57を
設け、該ネジ穴57でメインノズル42の外周に螺着
し、メインノズル42の研磨材噴射口18を前記連通孔
55に臨ませている。一方、研磨材拡散室52の前方端
面は全面を開口している。但し、メインノズル42と研
磨材拡散室52との連結方法はこの実施例に限定され
ず、また研磨材拡散室52は本実施例の幅狭で細長の断
面長方形を成す空間を有するものに限定されず、例えば
幅狭で細長の断面楕円形状や他の断面形状(例えば、円
弧や他の曲線や直線等の組合わせでなる形状)を成す空
間を画定するものであってもよい。
【0066】さらに、研磨材拡散室52は断面長方形の
長辺を成す両側壁58,58に外気に連通する吸気孔5
3,53を設けている。本実施例では前記吸気孔53,
53は断面長方形であるが、円形や他の形状でも良く、
特にこの形状に限定されない。なお、前記両側壁58,
58に適当な位置に複数個の吸気孔53を設けることも
できるが、本実施例のようにメインノズル42の研磨材
噴射口18の近傍に位置し、且つメインノズル42の研
磨材噴射流の中心線αで対称に位置することは、吸気孔
53,53より流入した空気流をメインノズル42の研
磨材噴射口18の付近の研磨材噴射流に噴射させてメイ
ンノズル42の研磨材噴射流の流体断面を効果的に幅狭
で細長に拡散・変形するという点で、望ましい。
【0067】メインノズル42から円錐状に拡散しなが
ら噴射する研磨材噴射流は研磨材拡散室52の断面長方
形の長辺を成す両側壁58,58に衝突して変向し拡散
する。さらに、メインノズルの研磨材噴射流が研磨材拡
散室52へ噴射されることにより研磨材拡散室52内が
負圧になるので、研磨材拡散室52の外部の空気が吸気
孔53,53から研磨材拡散室52内へ吸引され空気流
となって流入し、メインノズルの研磨材噴射流が吸気孔
53,53の二の空気流の圧力で挟まれるような状態で
加圧され且つ前記外部の空気が研磨材噴射流に導入さ
れ、研磨材拡散室52内の研磨材噴射流の流体断面が幅
狭で細長の断面形状に変形され開口54から研磨材噴射
方向前方に拡散しながら噴射される。したがって、被加
工物Wの表面に形成される加工パターンは幅狭で細長の
形状となり、この加工パターンの長手方向の加工幅は、
従来の円形状の加工パターンの加工幅より長くなる。前
述した実施例と同様に前記加工パターンの長手方向に直
交する方向に噴射ノズル40を徐々に移動させることに
より、加工パターンの長手方向の加工幅でブラスト加工
することになり、被加工物は効率よくブラスト加工され
る。
【0068】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0069】(1)本発明の加工パターンの拡大方法及
び装置では、メインノズルの噴射圧力を必要以上に高く
することなく、通常の噴射圧力で加工パターンの加工幅
を拡大することができたので、研磨材及び噴射ノズル等
の損耗を増加させる等の悪影響を及ぼすことなく、ブラ
スト加工効率を向上させることができた。ちなみに、従
来ではブラスト加工効率を向上させるためにメインノズ
ルの噴射圧力を高くした結果、研磨材及び噴射ノズル等
の早期の損耗を増加させる等の悪影響を及ぼしていた。
【0070】(2)加工パターンの加工深さ方向の曲率
半径を大きくできたので、加工パターンの長手方向の長
さに対する加工幅のしめる割合が大きくなるため、被加
工物のブラスト加工面の加工深さを従来に比してより均
一に加工することができ、ブラスト加工面の品質の向上
を図ることができた。
【0071】(3)上記の(1)及び(2)項の理由
で、本発明の加工パターンの拡大方法及び装置では、ブ
ラスト加工面の品質とブラスト加工効率の両方を共に向
上させることができた。
【0072】(4)メインノズルの研磨材噴射流の中心
線を介して対向する位置から前記研磨材噴射流の中心線
に対してほぼ同位置へ向けて二の空気流を噴射すること
によりメインノズルの研磨材噴射流を幅狭で細長の流体
断面に変形したので、その結果、従来の円形状の加工パ
ターンの加工幅より長い加工幅を有し且つ加工深さ方向
の曲率半径が大きい形状となる加工パターンを被加工物
の表面に形成できた。従って、噴射ノズルを研磨材噴射
流の幅狭で細長の流体断面の長手方向に直交する方向に
移動させることにより、加工パターンの長い加工幅で効
率よくブラスト加工でき、しかも均一な加工深さのブラ
スト加工面を得ることができた。
【0073】(5)二のサブノズルの空気流の中心線が
それぞれ、メインノズルの研磨材噴射方向に対して互い
に同一の傾き角度を成すように設け、さらに二のサブノ
ズルをメインノズルの研磨材噴射流の中心線で対称位置
に設けたので、二のサブノズルの先端から研磨材噴射流
までの噴射距離が同じで、メインノズルの研磨材噴射流
に対する二のサブノズルの空気流の噴射角が同じであ
る。したがって、サブノズルに供給する圧縮空気を同じ
圧力で噴射することにより、容易に研磨材噴射流に対す
る二の空気流の作用をほぼ同じにすることができるの
で、メインノズルの研磨材噴射流を効果的に幅狭で細長
の流体断面に変形できた。
【0074】(6)メインノズルの研磨材噴射流の中心
線に対してメインノズルの研磨材噴射口の近傍のほぼ同
位置へ向けて二のサブノズルの空気流を噴射したので、
メインノズルから噴射した直後の殆ど拡散していない研
磨材噴射流に対して前記二の空気流を噴射することにな
るため、研磨材噴射流を効果的に幅狭で細長の流体断面
に変形することができた。
【0075】(7)メインノズルの研磨材噴射方向前方
に、研磨材噴射方向に直交する方向に幅狭で細長の断面
形状を成し且つ研磨材噴射方向前方端に研磨材を噴出す
る開口を備えた研磨材拡散室を設け、該研磨材拡散室の
長辺又は長径を成す両側壁に、外気に連通する吸気孔を
設けたので、メインノズルの研磨材噴射流が研磨材拡散
室の長辺又は長径の両側壁に衝突して変向することと、
二の吸気孔から流入する空気流が研磨材噴射流の中心線
に向けて噴射することの両方の作用により、研磨材噴射
流は研磨材拡散室内で幅狭で細長の流体断面に拡散・変
形し開口から噴射され、加工パターンの加工幅を拡大で
きた。したがって、被加工物を効率よくブラスト加工で
きた。
【0076】(8)吸気孔はメインノズルの研磨材噴射
口の近傍に位置し、且つメインノズルの研磨材噴射流の
中心線で対称位置に設けたので、吸気孔より流入した空
気流をメインノズルの研磨材噴射口の付近の研磨材噴射
流に噴射させてメインノズルの研磨材噴射流の流体断面
を効果的に幅狭で細長に拡散・変形することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用する噴射ノズルの全体を
示す断面図である。
【図2】本発明の実施例における加工パターンの平面及
び縦断面を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例に使用する噴射ノズルの要
部断面を示す正面図である。
【図4】本発明の他の実施例に使用する噴射ノズルの要
部断面を示す側面図である。
【図5】本発明の実施例に使用するブラスト加工装置の
全体を示す正面図である。
【図6】本発明の実施例に使用するブラスト加工装置の
全体を示す左側面図である。
【図7】従来例に使用する噴射ノズルの全体を示す断面
図である。
【図8】従来例における加工パターンの平面及び縦断面
を示す図である。
【図9】従来例における被加工物のブラスト加工面に対
する加工パターンの移動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 噴射ノズル 11 ノズルボディ 12 研磨材誘導室 13 空気噴射管 14 ノズル 15 ホルダ 16 円錐内面 17 空気噴射管カバー 18 研磨材噴射口 31 研磨材ホース 32 ホース 37 ネジ 40,40a 噴射ノズル 42 メインノズル 43 サブノズル 52 研磨材拡散室 53 吸気孔 54 研磨材噴射口 55 連通孔 57 ネジ穴 58 側壁 60 ブラスト加工装置 61 キャビネット 65 導管 66 ダストコレクタ 67 排出管 68 ホッパ 69 排風機 70 回収タンク 73 流入口 74 連結管 75 連通管 78 研磨材調整器

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮空気供給源に連通する空気噴射管の空
    気噴射方向前方のメインノズルと空気噴射管の間の研磨
    材供給源に連通する研磨材誘導室より空気噴射管の空気
    流とこの空気流により吸引された研磨材を吸引するサク
    ション式噴射ノズルにより、研磨材誘導室内の研磨材を
    空気流と共にメインノズルより被加工物へ噴射するブラ
    スト加工方法において、 前記メインノズルの研磨材噴射流の中心線を介して対向
    する位置から前記研磨材噴射流の中心線に対してほぼ同
    位置へ向けて二の空気流を噴射することによりメインノ
    ズルの研磨材噴射流を幅狭で細長の流体断面に変形した
    ことを特徴とするブラスト加工における加工パターンの
    拡大方法。
  2. 【請求項2】前記メインノズルの研磨材噴射流の中心線
    に対してメインノズルの研磨材噴射口の近傍のほぼ同位
    置へ向けて二の空気流を噴射した請求項1記載のブラス
    ト加工における加工パターンの拡大方法。
  3. 【請求項3】前記二の空気流の噴射方向をメインノズル
    の研磨材噴射方向に対して15〜90°の範囲内で同一
    の傾き角度を成し、前記二の空気流の圧力を1〜8kg/c
    m2の範囲内にした請求項1又は2記載のブラスト加工に
    おける加工パターンの拡大方法。
  4. 【請求項4】前記二の空気流の圧力は好ましくは2〜8
    kg/cm2で、二の空気流の傾き角度は好ましくは30°〜
    90°で、特に好ましくは二の空気流の圧力が3kg/cm2
    で、傾き角度が60°である請求項1〜3のいずれか一
    つに記載のブラスト加工における加工パターンの拡大方
    法。
  5. 【請求項5】圧縮空気供給源に連通する空気噴射管の空
    気噴射方向前方のメインノズルと空気噴射管の間の研磨
    材供給源に連通する研磨材誘導室より空気噴射管の空気
    流とこの空気流により吸引された研磨材を吸引するサク
    ション式噴射ノズルにより、研磨材誘導室内の研磨材を
    空気流と共にメインノズルより被加工物へ噴射するブラ
    スト加工方法において、 前記メインノズルの研磨材噴射方向前方に、メインノズ
    ルの研磨材噴射流を幅狭で細長の断面形状を画定する空
    間へ導入し、且つ前記空間の長辺又は長径に相当する両
    側面より外部の空気を吸入して前記研磨材噴射流を前記
    空間の断面形状に拡散・変形することを特徴とするブラ
    スト加工における加工パターンの拡大方法。
  6. 【請求項6】前記メインノズルの研磨材噴射口の近傍よ
    り外部の空気を導入せしめた請求項5記載のブラスト加
    工における加工パターンの拡大方法。
  7. 【請求項7】前記幅狭で細長の断面形状を画定する空間
    の長辺又は長径に相当する両側面からメインノズルの研
    磨材噴射流の中心線で対称位置に外部の空気を吸入し、
    前記外部の空気をメインノズルの研磨材噴射流の中心線
    に対してほぼ同位置に向けて導入せしめた請求項5又は
    6記載のブラスト加工における加工パターンの拡大方
    法。
  8. 【請求項8】圧縮空気供給源に連通する空気噴射管の空
    気噴射方向前方にメインノズルを備え、空気噴射管とメ
    インノズル間に研磨材供給源に連通する研磨材誘導室を
    備えて成るサクション式噴射ノズルを備えるブラスト加
    工装置において、 前記メインノズルから噴射した研磨材噴射流の中心線を
    介して対向する位置に2個のサブノズルを配設すると共
    に、前記各サブノズルの空気流の中心線がメインノズル
    の研磨材噴射流の中心線に対してほぼ同位置で交差して
    成ることを特徴とするブラスト加工における加工パター
    ンの拡大装置。
  9. 【請求項9】前記2個のサブノズルの空気流の中心線が
    それぞれ、メインノズルの研磨材噴射方向に対して15
    〜90°の範囲内で互いに同一の傾き角度を成すように
    設け、前記傾き角度を好ましくは30°〜90°範囲内
    で設け、特に好ましくは60°にした請求項8記載のブ
    ラスト加工における加工パターンの拡大装置。
  10. 【請求項10】前記2個のサブノズルをメインノズルの
    研磨材噴射流の中心線に対して対称位置に設けた請求項
    8又は9記載のブラスト加工における加工パターンの拡
    大装置。
  11. 【請求項11】前記各サブノズルの空気流の中心線がメ
    インノズルの研磨材噴射流の中心線に対してメインノズ
    ルの研磨材噴射口の近傍のほぼ同位置で交差した請求項
    8、9又は10記載のブラスト加工における加工パター
    ンの拡大装置。
  12. 【請求項12】圧縮空気供給源に連通する空気噴射管の
    空気噴射方向前方にメインノズルを備え、空気噴射管と
    メインノズル間に研磨材供給源に連通する研磨材誘導室
    を備えて成るサクション式噴射ノズルを備えるブラスト
    加工装置において、 前記メインノズルの研磨材噴射流の前方に幅狭で細長の
    断面形状を成す空間を画定し、且つ前方端に研磨材を噴
    射する開口を備えた研磨材拡散室を設け、該研磨材拡散
    室の長辺もしくは長径の両側壁に、外気に連通する吸気
    孔を設けたことを特徴とするブラスト加工における加工
    パターンの拡大装置。
  13. 【請求項13】前記研磨材拡散室の吸気孔がメインノズ
    ルの研磨材噴射口の近傍に位置してなる請求項12記載
    のブラスト加工における加工パターンの拡大装置。
  14. 【請求項14】前記研磨材拡散室の両側壁の吸気孔がメ
    インノズルの中心線で対称に位置してなる請求項12又
    は13記載のブラスト加工における加工パターンの拡大
    装置。
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