JP2941628B2 - シームレス缶 - Google Patents

シームレス缶

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JP2941628B2
JP2941628B2 JP32044693A JP32044693A JP2941628B2 JP 2941628 B2 JP2941628 B2 JP 2941628B2 JP 32044693 A JP32044693 A JP 32044693A JP 32044693 A JP32044693 A JP 32044693A JP 2941628 B2 JP2941628 B2 JP 2941628B2
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幸子 町井
憲一郎 中牧
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶用被覆金属板及びそ
れから形成されたシームレス缶に関するものであり、よ
り詳細には炭酸飲料の泡吹き出しを有効に防止でき、し
かも耐腐食性に優れた絞り缶等及びその製造に用いる被
覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】金属素材の缶内面となる側にポリエチレ
ンテレフタレート(PET)の如き熱可塑性樹脂フィル
ムを積層したラミネート材を用いて、シームレス缶を製
造することについては、既に多くの提案がなされてい
る。 例えば、特開昭60−170532号公報、特開
昭60−172637号公報には、金属素材の少なくと
も容器内面となるべき面にPETのような配向性熱可塑
性樹脂フィルムが密着された素材を、該樹脂の適性延伸
温度において、ポンチとダイスとの間で絞りしごき加工
に付し、該フィルム層に分子配向を付与することを特徴
とする絞りしごき缶の製造方法が記載されている。
【0003】最近に至って、特開平3−98844号公
報には、金属素材と該金属素材の少なくとも缶内面とな
る側に直接或いは接着用プライマーを介して設けられた
エチレンテレフタレート単位を主体とし他のエステル単
位の少量を含む融点が170乃至252℃の共重合ポリ
エステルフィルムとの積層体の絞り乃至絞り−しごき成
形で形成され、該共重合ポリエステルフィルムはアンチ
ブロッキング剤粒子を含有するフィルムであって、該ア
ンチブロッキング剤粒子はフィルム表面より下に埋没さ
れていることを特徴とするシームレス缶が記載されてい
る。
【0004】PET等の延伸フィルムには、フィルムへ
の加工性やハンドリング性を向上させ、且つフィルム同
士の密着傾向を解消するため、シリカ等のアンチブロッ
キング剤粒子が一般に含有されている。このアンチブロ
ッキング剤粒子はフィルム表面に微小突起を形成させ、
この突起によりアンチブロッキング作用を奏するもので
ある。
【0005】アンチブロッキング剤粒子を含有するフィ
ルムのラミネートを、しごき加工や高度の深絞り加工等
に賦すると、突出したアンチブロッキング剤粒子の部分
に応力集中が生じ、フィルムに微細なピンホール、クラ
ック、或いは更に破断等の欠陥が生じるが、前述した提
案は表面に突出したアンチブロッキング剤を溶融によっ
てフィルム表面下に埋没させることにより、上記欠点を
防止しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知の
PETラミネート絞り缶に炭酸飲料等を充填密封する場
合には、耐腐食性及び開封安定性等の点で未だ解決すべ
き問題があることがわかった。即ち、前記提案による
と、絞り成形時の傷乃至被覆欠陥の発生は確かに防止さ
れるがフィルム表面が溶融されるためフィルムの分子配
向が消失し、腐食成分に対するバリアー性が低下し、被
膜下腐食(アンダーフィルムコロージョン)が発生する
のである。
【0007】一方公知の二軸延伸ポリエステルフィルム
のラミネート鋼板から製造した缶に炭酸飲料を充填し密
封した絞り缶を開封すると、内容物が開口から泡となっ
て外部に吹出すと共に、内容物が所謂気抜した物となる
という欠点があることがわかった。
【0008】従って、本発明の目的は、炭酸飲料を充填
した場合の泡吹き現象が抑制され、しかも耐腐食性にも
優れた缶用被覆金属板及びシームレス缶を提供するにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、缶の内
面側となるポリエステルフィルム層は粒径0.01乃至
0.7μmのアンチブロッキング剤(但し、チタン系ア
ンチブロッキング剤を除く)を含有し且つ少なくとも表
面が一軸方向あるいは二軸方向に分子配向されていると
共に原子間力顕微鏡で視野100μm×100μmの缶
体内表面から粗い部分を選び出し、この部分について測
定した突起部の大きいものの3点平均値高さ(H)が
0.20μm以下であることを特徴とする炭酸飲料用
ームレス缶が提供される。
【0010】上記シームレス缶において、缶内表面側と
なるポリエステルフィルム層は、原子間力顕微鏡(AF
M)で視野100μm×100μmの缶体内表面から粗
い部分を選び出し、この部分について測定した凹部の大
きいものの3点平均値深さ(D)が0.02μm以下で
あることが好ましい。 AFMによる3点平均値高さ
(H)を0.20μm以下、特に0.15μmに制御す
るためには、ポリエステルフィルム中に含有させるアン
チブロッキング剤として、前述の粒径範囲内のものを用
いることが必要であるが、特に、粒径0.05乃至0.
7μm、特に0.07乃至0.5μmの範囲にあるもの
を用いるのがよい。
【0011】
【作用】
【0012】本発明は、シームレス缶の製造に用いる積
層体の内面側ポリエステル層が少なくとも表面が二軸方
向に分子配向されており、しかもAFMで視野100μ
m×100μmの表面について測定した突起部の大きい
ものの3点平均値高さ(H)が0.20μm以下である
ものであれば、炭酸飲料充填密封缶の開封を行った場合
にも、泡の吹出し現象が有効に防止されると共に、優れ
た耐腐食性も得られるという発見に基づくものである。
原子間力顕微鏡(AFM)とは、測定すべき表面と測定
すべきピンとの間の原子間斥力を利用して、表面の凹凸
状態を精密且つ微細に電気的に測定し得る顕微鏡であ
り、平滑な二軸延伸フィルム表面に介在する微小凹凸を
も精度よく検出することができる。
【0013】図1は公知の二軸延伸ポリエステルラミネ
ート鋼板を絞り成形して製造した絞り缶の底部について
ポリエステル層表面を測定した原子間力顕微鏡によるデ
ィスプレイ図であり、図2は本発明の絞り缶の底部につ
いてポリエステル層表面を測定した原子間力顕微鏡によ
るディスプレイ図である。これらの図から表面の凹凸の
程度がくっきりと測定されていることがわかる。即ち、
二軸延伸ポリエステルフィルムには、これに配合されて
いるアンチブロッキング剤粒子が外面に露出していない
場合にも尚微小な凹凸が存在し、この凹凸、特に突起部
の存在が泡の吹き出しに重大な影響を与えることがわか
った。
【0014】添付図面、図3は、種々の二軸延伸ポリエ
ステルフィルムラミネート鋼板から、フィルムが内面側
となるように絞り−再絞り成形して、再絞り成形に際し
て缶胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化した絞り缶(詳
細は後述する例参照)について、突起部の3点平均値高
さ(H)と炭酸飲料充填缶の泡吹きの程度の評価とを対
応させて示したものであり、Aは二重巻締部から20m
mのハイトの位置、Bは缶底部の位置で3点平均値高さ
(H)を求めたものである。また図中の線は所定の泡評
価が得られる範囲を示している。評価基準 ◎:泡が開口部から外に出ない。 ○:吹き出した泡が缶蓋の一部を濡らす。 △:吹き出した泡が缶蓋の全面を濡らす。 ×:吹き出した泡が缶蓋の縁を越えて流れ出る。
【0015】また図3において、各泡評価に対応する缶
は同一のものであるが、泡評価の悪いものでは側壁部の
高い位置では、缶底部に比して突起部の高さがより高く
なっているのに対して、泡評価のよいものでは、側壁部
の高い位置でも缶底においても突起部の高さが殆んど同
じ低いレベルにあることが明らかである。これは、缶底
部では絞りに際し塑性流動を殆んど生じていないのに対
して、側壁部の高い部分では、ポリエステル層も軸方向
には引き伸されるが、周方向には圧縮されるように塑性
流動を生じており、この塑性流動が元のフィルム表面の
突起寸法が一定以上になると突起寸法が拡大されること
を示している。この傾向は、缶側壁部に対して曲げ伸ば
しによる薄肉化を行った場合乃至しごきによる薄肉化を
行った場合に特に顕著である。
【0016】この結果によると、従来公知の二軸延伸ポ
リエステルフィルムラミネート鋼板を絞り成形から製造
した絞り缶では、突起部の3点平均高さ(H)が概して
0.45μm以上であり、激しい泡吹きを生じるが、3
点平均高さ(H)を0.20μm以下、特に0.15μ
m以下とすることにより開封時の泡吹きを有効に抑制で
きることがわかる。
【0017】絞り缶内面の二軸延伸ポリエステルフィル
ムの突起部が泡吹き現象と密接に関連するという事実
は、多くの試験の結果、現象としてはじめて見出された
ものであるが、本発明者らは次のように推測している。
即ち、上記絞り缶に炭酸飲料を内容物として充填する
と、内面の突起が核となって微細な炭酸ガスの気泡が生
成していると考えられる。この状態で開封を行うと、圧
力減少により気泡の生長が急激に起り、開口部から外へ
吹き出すものと思われる。炭酸ガス気泡生成の核として
の作用は内面の突起の寸法と密接に関連しており、この
寸法が前述した0.20μmでは核としての作用がなく
なり、泡吹きが抑制されるものと思われる。内面ポリエ
ステル層表面では突起部の寸法と凹部の寸法との間には
お互いに関連があり、突起部の高さが大きいものでは、
凹部の深さも大きい。
【0018】図4は、図3と同様の再絞り成形に際して
側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化した絞り缶について凹
部の3点平均値深さ(D)と炭酸飲料充填缶の泡吹きの
程度の評価とを対応させて示したものであり、やはり3
点平均値深さ(D)が0.020μm以下、特に0.0
15μm以下となるものでは、やはり泡吹きを有効に抑
制できることが明らかである。本発明において、二軸延
伸ポリエステルフィルムの表面の3点平均値高さ(H)
を0.20μm以下、3点平均値深さ(D)を0.02
μm以下に抑制するには、該フィルム中に配合するアン
チブロッキング剤の粒径を0.01乃至0.7μm、特
に0.05乃至0.5μmの範囲にするのがよい。
【0019】図5において、Aは缶底部の位置での用い
るアンチブロッキング剤(シリカ)の粒径とフィルム表
面の3点平均値高さ(H)との関係、Bは缶底部の位置
でのアンチブロッキング剤(シリカ)の粒径と3点平均
値深さ(D)との関係を示したものであり、アンチブロ
ッキング剤の粒径を0.7μm以下、特に0.5μm以
下とすることにより、H及びDを本発明で規定した範囲
に抑制し得ることがわかる。尚、アンチブロッキング剤
の粒径が0.05μmよりも小さいと、フィルムのブロ
ッキングが生じ、作業性が低下するので好ましくない。
また、ポリエステルフィルム表面における凹凸の程度
は、製膜時の条件及び熱接着時の条件でも変化する。一
般に表面配向の程度が大きいと、突起部の高さが高くな
る傾向があり、また熱接着時の温度が高いと突起部の高
さが低くなる傾向があるので、これらの条件も本発明の
要件が満足されるように設定する。
【0020】本発明によれば、ポリエステルフィルムの
二軸分子配向がそのまま保持されているので、炭酸飲料
のような腐食傾向の大きい内容物に対しても優れたバリ
アー性が得られ、アンダーフィルムコロージョンが防止
されると共に、開封時の泡吹き現象も有効に防止される
という優れた利点がある。
【0021】
【発明の好適態様】
ラミネート材 本発明に用いるラミネート材の一例を示す図6におい
て、このラミネート材1は、金属素材2、該金属素材の
缶内面となる側に設けられた接着用プライマー層3、及
びこのプライマー層を介して設けられたポリエステルフ
ィルム層4から成っている。本発明に用いるラミネート
材の他の一例を示す図7において、このラミネート材1
は金属素材2とこの金属素材に対して直接熱接着された
ポリエステルフィルム層4から成っている。このポリエ
ステルフィルム層4においては、金属素材1に接する極
く表層4aのみが溶融されて接着されており、残りの大
部分の層4bでは二軸延伸による分子配向が実質上その
まま保持されている。本発明では、金属素材としては各
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
【0022】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
板の表裏において、異なったメッキ乃至表面処理を行う
こともできる。好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロ
ム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/m2
金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム換
算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このもの
は塗膜乃至フィルム密着性と耐腐食性との組合せに優れ
ている。表面処理鋼板の他の例は、0.1乃至11.2
g/m2 錫メッキ量を有するブリキ板である。このブリ
キ板は、金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg
/m2 となるような重クロム酸処理或はクロム酸処理或
はクロム酸/リン酸処理が行われていることが望まし
い。
【0023】軽金属板としては、所謂純アルミニウム板
の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
0乃至1.5重量%、Mg:0.0乃至5重量%、Z
n:0.01乃至0.3重量%、Cu:0.01乃至
0.25重量%、及びCr:0.01乃至0.25重量
%、残部がAlの組成を有するものである。これらの軽
金属板も、塗膜乃至フィルム密着性と耐食性の観点より
表面処理を行うことが望ましく、これらの表面処理とし
て、クロム処理、ジルコニウム処理、リン酸処理、アル
マイト処理、アクリル酸処理等がある。このうちで金属
クロム換算で、クロム量が5乃至300mg/m2 とな
るようなクロム酸処理或はクロム酸/リン酸処理が行わ
れていることが望ましい。
【0024】金属板の素板厚(A)は、金属の種類、容
器の用途或はサイズによっても相違するが、一般に0.
10乃至0.50mmの厚みを有するのがよく、この内
でも表面処理鋼板の場合には、0.10乃至0.40m
mの厚み、また軽金属板の場合には0.15乃至0.5
0mmの厚みを有するのがよい。用いるポリエステル
は、エチレンテレフタレート単位を主体とするものであ
るが、ホモポリエステルでもよいが、他のエステル単位
の少量を含むコポリエステルが好適である。一般に共重
合ポリエステル中の二塩基酸成分の70モル%以上、特
に75モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ジオー
ル成分の70モル%以上、特に75モル%以上がエチレ
ングリコールから成り、二塩基酸成分及び/又はジオー
ル成分の1乃至30モル%、特に5乃至25モル%がテ
レフタル酸以外の二塩基酸成分及び/又はエチレングリ
コール以外のジオール成分から成ることが好ましい。
【0025】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,
6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の
1種又は2種以上が挙げられる。
【0026】用いるポリエステルは、フィルムを形成す
るに足る分子量を有するべきであり、このためには固有
粘度(I.V.)が0.55乃至1.9dl/g、特に
0.65乃至1.4dl/gの範囲にあるものが望まし
い。更にポリエステル中のジエチレングリコール単位の
含有量が1.5モル乃至5.0モル%の範囲内にあるこ
とが、表面配向を維持し、フィルムの塑性変形の際の突
起の拡大を抑制する上で望ましい。ポリエステル融点は
170乃至252℃、特に210乃至252℃の範囲に
あるのが好ましい。
【0027】フィルム中に含有させるアンチブロッキン
グ剤としては、粒径が前述した範囲内にあるものであれ
ば任意のもの(但し、チタン系アンチブロッキング剤を
除く)、例えばシリカ系、炭酸カルシウム系、アルミナ
系、シリカアルミナ系クレイ系、ゼオライト系等の無
機系アンチブロッキング剤:架橋樹脂粒子等の有機系ア
ンチブロッキング剤を用いることができる。入手の容易
さの点では、非晶質シリカが有利に使用できる。アンチ
ブロッキング剤の含有量が一般に0.01乃至3.0重
量%、特に0.03乃至0.5重量%の範囲内である。
【0028】本発明においては第1成分として粒径が
0.05μm乃至0.5μmであるアンチブロッキング
剤粒子を0.01乃至2.5重量%含有し、かつ第2成
分として粒径が第1成分より0.2μm以上大きく、
0.7μm未満の範囲にあるアンチブロッキング剤粒子
を0.005乃至2.0重量%の範囲内で含有するアン
チブロッキング剤粒子の複合系を採用することもでき
る。ポリエステルフィルムは、二軸延伸されていること
が重要である。二軸配向の程度は、偏光蛍光法、複屈折
法、密度勾配管法密度等で確認することができるが、本
発明においては、ポリエステルフィルムは、1.345
g/cm3 乃至1.395g/cm3 の範囲の密度を有
するように分子配向されていることが望ましい。また、
フィルムの厚みは、腐食成分に対するバリヤー性と加工
性との兼ね合いから、5乃至50μm、特に12乃至4
0μmの厚みを有することが望ましい。
【0029】本発明において、ポリエステルフィルムは
単層の形で用いることもできるし、多層の積層フィルム
の形で用いることもできる。後者の積層フィルムの場
合、金属板側のフィルム層は通常のポリエステル層であ
り、容器内面側のフィルム層が粒径0.01乃至0.5
μmのアンチブロッキング剤を含有するポリエステル層
であるのがよい。厚みの比は20:80乃至80:20
内にあるのがよい。フィルムの接着性を高めるために、
二軸延伸ポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理
しておくことが一般に望ましい。コロナ放電処理の程度
は、そのぬれ張力が44dyne/cm以上となるよう
なものであることが望ましい。この他、フィルムへのプ
ラズマ処理、火えん処理等のそれ自体公知の接着性向上
表面処理やウレタン樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等
の接着性向上コーティング処理を行っておくことも可能
である。フィルムと金属素材とを直接熱接着させる場合
には、金属素材をポリエステルの融点近傍又は、それ以
上の温度に予備加熱し、この加熱された金属素材とフィ
ルムとを積層し、圧着させた後、これを急冷してラミネ
ートとする。また、接着プライマーを用いて両者を熱接
着させることもできる。
【0030】本発明に用いる接着プライマーは、金属素
材とポリエステルフィルムとの両方に優れた接着性を示
すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー
塗料の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムア
ルデヒドから誘導されるレゾール型フェノール−アルデ
ヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成る
フェノール−エポキシ系塗料であり、特にフェノール樹
脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至5:95重量比、
特に40:60乃至10:90の重量比で含有する塗料
である。接着プライマー層は、一般に0.3乃至5μm
の厚みに設けるのがよい。ポリエステルフィルムの熱接
着は、ポリエステルの融点より35℃低い温度から40
℃高い温度迄の温度で行うことが好ましい。またラミネ
ートロールの表面温度はポリエステルの融点より180
℃低い温度から70℃低い温度迄の温度で行うことが表
面の分子配向を保持する上で好ましい。
【0031】絞り、薄肉化絞り乃至絞り−しごき加工 上記のラミネート材は、それ自体公知の手段により絞り
加工、薄肉化絞り乃至絞り−しごき加工に賦されるが、
この場合、次の条件を用いることが好ましい。先ず、絞
り加工、薄肉化絞り加工乃至絞り−しごき加工は、ポリ
エステルの適正延伸温度、特にガラス転移温度以上融解
温度以下の温度で行うことが好ましい。即ち、この温度
範囲では、ポリエステルは上記成形時に塑性流動して軸
方向に有効に分子配向され、特に曲げ伸ばしによる薄肉
化絞り加工、或いは絞り−しごき加工に於いて、ラミネ
ート材の薄肉化が有効に行われる。また、上記加工はポ
ンチとダイスとの組合せを用いて行われるが、ポンチと
しては、平均粗さ(Ra)が0.01乃至3μm、特に
0.1乃至2μmの側面を有するポンチを用いること
が、加工後のカップの抜け性の点で好ましい。粗さのパ
ターンは、一般にドット状(ディンプル状)のものが好
ましい。
【0032】本発明のシームレス缶体は、前述したラミ
ネート材を用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製
造される。即ち、このラミネートを円板等の形状に剪断
し、これを絞りポンチと絞りダイスとの間で一段或いは
多段の絞り加工に賦する。この絞り成形工程では、肉厚
を均一化するためカップ側壁部の上方部分に軽度のしご
きを加えたり、軸方向に絞りダイスのダイラジアス等の
選定により、引張力を加えて曲げ伸ばしによる側壁の薄
肉化を行ってよい。曲げ伸ばしによる薄肉化の詳細は、
本発明者らによる特開平1−35004号公報に記載さ
れている。深絞り缶の場合、絞り加工は、1段乃至多段
で行うことができ下記式 (式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポ
ンチ径である。)で定義される絞り比RD は一段では
1.2乃至2.5の範囲にあるのがよい。
【0033】また曲げ伸ばしの場合には、缶の側壁部の
薄肉化の程度は素板厚(tB )の5乃至45%、特に5
乃至40%程度となるように、即ち厚みの残留率が、5
5乃至95%、特に60乃至95%となるように薄肉化
するのが有効である。そして上記絞り成形に加えて、し
ごき成形を附加するのが薄肉化の点で有効である。
【0034】しごき加工は、一段乃至多段で行うことが
でき、下記式 式中tO はしごき加工前のラミネート材の厚みであり、
I はしごき加工後のカップの側壁部の厚みである。で
定義されるしごき率(RI )は1段としてのしごき加工
で5〜40%にあるのが良い。多段しごきの場合には、
最初の方のしごきで、できるだけしごき率を大きく取
り、加工後のカップの抜け性より最後のしごきリングで
のしごき率を3乃至20%の範囲であるのが良い。
【0035】上記成形で得られる絞りカップは、必要に
よりトリミング、潤滑剤の揮発、外面印刷等の工程を通
った後、ネッキング、フランジング加工を行って缶蓋と
の巻締を行う缶体とする。尚、上記成形によって缶内面
となるポリエステルフィルム層は、少なくとも表面が一
軸あるいは二軸方向に分子配向されている。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。本明細書に挙げる容器特性の評価、測定方法は
次の通りである。
【0037】(1)表面の突起形状の測定 A. サンプリング/測定部位 被覆金属板は金属板の圧延方向と直交する方向を縦7m
m、横7mmサンプリングした金属板の圧延方向の突起
形状を測定する。容器の底部は、外周から25mm内側
に入った金属板の圧延方向と直交する方向を、縦7m
m、横7mmサンプリングした。金属板の圧延方向の突
起形状を測定する。容器の側壁部は、二重巻締部から
0mmのハイトの部分で、金属板の圧延方向と直交する
方向を、縦7mm、横7mmサンプリングした。缶ハイ
ト方向と直交する方向の突起形状を測定する。
【0038】B. 突起部の高さ(H) 上記サンプルを原子間力顕微鏡(AFM)、デジタルイ
ンスツルメント社製Nano Scope AFM II
型で測定した。観察視野(縦100μm×横100μ
m)の中に突起部のある部位を選び出し、表面観察す
る。このときの表面形状の3次元情報(縦、横、高さの
長さ)を入力する。上記の視野の中から突起部を高い方
から3点選ぶ。選んだ各突起部について、縦、横とも突
起部の約5倍の長さに拡大した画像を出力する。図8に
示す様に、突起部の形状曲線の据の左右を2つの直線で
近似してその交点をa,bとし、a,bを結んでベース
ラインとした。突起部の最高部からベースラインまでの
距離を突起部の高さとする。このようにして得られた3
点平均値高さをHとした。
【0039】C. 凹部の深さ(D) 前記測定と同様に、原子間力顕微鏡の観察視野(縦10
0μm、横100μm)の中から凹部を深い方から3点
選ぶ。選んだ各凹部について、縦、横とも凹部の約5倍
の長さに拡大した画像を出力する。図9に示す様に凹部
の形状曲線の据の左右を2つの直線で近似してその交点
をc,dとし、c,dを結んでベースラインとした。凹
部の最低部からベースラインまでの距離を凹部の深さと
する。このようにして得られた3点平均値深さをDとし
た。 D.二軸配向性の測定 二軸配向結晶の有無の確認には、一般にX線回折法、偏
光蛍光法、、複屈折法、赤外分光法等が用いられる。こ
こでは屈折率による面配向係数の測定の方法を用いた。
面配向係数はアッペ屈折率計を用い、光源はナトリウム
D線、中間液はヨウ化メチレン、温度は25℃の測定条
件で測定したフィルムの各方向の屈折率値より、次式で
算出する。 面配向係数=( x y )/2− z X :ポリエステルフィルムの縦方向の屈折率 y :ポリエステルフィルムの横方向の屈折率 z :ポリエステルフィルムの厚み方向の屈折率 各実施例、比較例では、二軸配向結晶の有無と参考とし
て面配向係数を示した。
【0040】(2)泡吹きの評価 コーラ飲料を巻締充填した缶を室温に戻し、40分静置
したのち開缶し、泡吹きの程度を、明細書本文記載の評
価基準により判定した。11缶開缶をし、多数をしめる
評価をその試料の評価とした。
【0041】(3)耐食性 シームレス缶にコーラ飲料を充填巻締し、37℃の条件
下で長期保存し、缶内面の腐食状態、孔食漏洩を観察す
る。
【0042】実施例1 素板厚0.18mm、調質度DR−9のティンフリース
チール(TFS)板の両面に粒径0.5μmのシリカを
0.15重量%含有する、厚み25μmの二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレート/イソフタレート(イソフタル
酸12モル%共重合、融点229℃)共重合ポリエステ
ルフィルムを熱ラミネートし、直ちに水冷することによ
り、有機被覆金属板を得た。この被覆金属板にパーム油
を塗布し、二段絞り成形法で缶体を作成した。一段目絞
り工程で直径170mmの円板を打ち抜き、次いで絞り
比約1.8のフランジ付きカップを成形する
【0043】さらに、二段目絞り工程で絞り比約1.4
3のフランジ付きカップを成形する。この絞りカップを
常法に従い開口端縁部のトリミング、フランジング加工
を行って径66mm、高さ95mmのシームレス缶を作
成した。 表1にこの缶体の特性及び評価を示す。 泡吹き
は有効に防止され、しかも、耐食性に良好な容器が得ら
れた。
【0044】実施例3 粒径0.05μmのシリカを0.15重量%含有する、
厚み10μmのポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート(イソフタル酸7モル%共重合、融点235℃)
フィルム(A層)と粒径2.3μmのシリカを0.1重
量%含有する、厚み15μmのポリエチレンテレフタレ
ート/イソフタレート(イソフタル酸12モル%共重
合、融点229℃)フィルム(B層)の2層からなる総
厚み25μmの共押出し二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レート共重合ポリエステルフィルムのB層面とティンフ
リースチール(TFS)の板の両面とを熱ラミネートす
る点を除いては、実施例1と同様にして表1に示す特性
を有する深絞り缶を作成した。泡吹きは有効に防止さ
れ、しかも、耐食性に優れたシームレス缶が得られた。
【0045】比較例1 粒径0.8μmの炭酸カルシウムを0.10重量%含有
する、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート/イソフタレート(イソフタル酸5モル%共重合、
融点247℃)を使用した点を除いては実施例1と同様
にして表1に示す特性を有するシームレス缶を作成し
た。缶内面ポリエステルフィルムの表面の突起部の高さ
Hが本発明の範囲外である本例の缶体では、吹き出した
泡が缶蓋の全面を濡らし、容器として不適であった。
【0046】比較例2 粒径1.5μmのカオリンを0.10重量%含有する、
厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/
アジペート(アジピン酸12モル%共重合、融点230
℃)を使用した点を除いては、実施例1と同様にして表
1に示す特性を有するシームレス缶を作成した。缶内面
のポリエステルフィルムの表面の突起部の高さHおよび
凹部の深さDが本発明の範囲外である本例の缶体では、
吹き出した泡が缶蓋の縁を越えて流れ出た。
【0047】比較例3 粒径0.3μmのシリカを4.00重量%を含有する点
を除いては実施例1と同様にして表1に示す特性を有す
るシームレス缶を作成した。缶内面ポリエステルフィル
ムの表面凹部の深さDが本発明の範囲外である本例の缶
体では、吹き出した泡が缶蓋の全面を濡らし、シームレ
ス缶として不適であった。
【0048】実施例4 ポリエステルフィルムの接着プライマー塗料を次の様に
作成した。ビスフェノールAを重量比で75%、pクレ
ゾールを重量比で25%からなる混合フェノールホルム
アルデヒドとを塩基性触媒の存在下に反応、精製、溶媒
に溶解して、レゾール型フェノールホルムアルデヒド樹
脂の溶液を製造した。ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エピコート1009)溶液と上記クレゾール型フェノ
ールホルムアルデヒド樹脂溶液とを固形分重量比が7
0:30の量比で混合し、予備縮合させて、接着プライ
マー塗料を作成した。
【0049】粒径0.1μmのシリカを0.15重量%
含有する、厚み20μmの二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレート/セバケート(セバチン酸9モル%共重合、融
点229℃)共重合ポリエステルフィルムの片面に前記
接着プライマー塗料を固形分として10mg/dm2
塗布量となる様に塗布し、60℃で乾燥させた。素板厚
0.15mm、調質度DR−9のTFS板の両面に、前
記共重合フィルムをTFS材と接着プライマーとが接す
るように供給して、熱ラミネートし、直ちに水冷し、被
覆金属板を作成した。この被覆金属板にグラマーワック
スを塗布し、直径187mmの円板に打抜き、常法に従
い、浅絞りカップに成形した。この絞り工程における絞
り比は1.4である。
【0050】次いで第1次、第2次、第3次再絞り工程
では、絞りカップを側壁部を曲げ伸ばしによって薄肉化
する再絞り成形を行った。この時の第1次乃至第3次の
再絞り工程の成形条件は次のとおりである。 第1次再絞り比 1.25 第2次再絞り比 1.25 第3次再絞り比 1.25 再絞りダイス 作用コーナー部 0.40mm 曲率半径(Rd) このようにして再絞り成形された深絞りカップの諸特性
は以下の通りである。 カップ径 66mm カップ高さ 140mm 側壁厚み変化率 −20% この後、常法に従って、ドーミング成形を行い、グラマ
ーワックスを蒸発させた後、トリミングを行い、外面印
刷及び焼付けを行った。次いでネックイン−フランジ加
工を施し、シームレス缶を作成した。表1にこの缶体の
特性及び評価を示す。泡吹きは有効に防止され、しか
も、耐食性に優れたシームレス缶が得られた。
【0051】実施例5 粒径0.15μmのシリカを0.2重量%と粒径0.4
5μmのシリカを0.05重量%含有する、厚み16μ
mの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレ
ート(イソフタル酸12モル%共重合、融点229℃)
共重合ポリエステルフィルムを使用した点を除いては、
実施例4と同様にして、表1に示す特性を有する薄肉化
シームレス缶を作成した。泡吹きは有効に防止され、し
かも、耐食性に優れたシームレス缶が得られた。
【0052】実施例6素板厚 0.19mm、調質度T−5のTFS板の両面に
実施例4と同様のフィルムをラミネートした被覆金属板
にグラマーワックスを塗布し、直径166mmの円板に
打抜き、常法に従い絞りカップを成形した。この絞り比
は1.65である。次いで第1次、第2次、第3次の再
絞り工程では、第1次及び第2次の工程で絞りカップを
側壁部を曲げ伸ばしによって薄肉化する再絞り成形と同
時に、しごき成形を行う再絞り−しごき成形を行った。
そして第3次の再絞り工程では、底部を成形するドーミ
ングを行った。 条件は次の通りである。 第1次再絞り比 1.23 第2次再絞り比 1.24 再絞りダイス 作用コーナー部曲率半径(Rd) 0.40mm ポンチとダイスのクリアランス 第1次再絞り−しごき成形 0.137mm 第2次再絞り−しごき成形 0.137mm
【0053】このようにして薄肉化再絞り−しごき成形
されたシームレス缶の諸特性は、以下の通りである。 カップ径 66mm カップ高さ 126mm 側壁厚み変化率 −35% この後、常法に従って、グラマーワックスを蒸発させた
後、トリミングを行い、外面印刷及び焼付けを行った。
次いでネックイン−フランジ加工を施し、シームレス缶
を作製した。表1にこの缶体の特性及び評価を示す。泡
吹きは防止され、しかも、耐食性に優れたシームレス缶
が得られた。
【0054】実施例7 板厚0.30mm、調質度T−2.5の冷延鋼板の両面
に公知の方法で2.8g/m2 の錫めっきを施し、その
上層に公知の重クロム酸中での陰極処理により7.0m
g/m2 のクロム水和酸化物層からなる皮膜を形成させ
た。この表面処理鋼板を215℃に加熱し、その片面に
粒径0.5μmのシリカを0.15重量%含有する厚み
25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソ
フタレート(イソフタル酸20%共重合、融点216
℃)共重合ポリエステルフィルムを熱ラミネートし、直
ちに水冷することにより、有機被覆金属板を得た。この
有機被覆板をポリエステルフィルム面がシームレス缶内
面になるように、下記に示す成形条件で絞りしごき加工
を実施した。
【0055】・成形条件 有機被覆金属板を約140mmの径に打ち抜き、常法に
従い絞りポンチと絞りダイスの間で内径が約87mmの
コップ状に成形する。次いでこのカップをディンプル形
状(深さ1μm)の表面を有するしごきポンチと、しご
きダイスとの組合せでしごき加工をした。この缶胴の諸
寸法を以下に示す。 胴壁部厚み 0.105mm 缶胴内径 65.7mm 缶胴高さ 124mm 得られたDI缶について潤滑剤の除去、洗浄、乾燥、外
面印刷後195℃で焼き付け、その後ネッキング、フラ
ンジング加工を実施し、絞り−しごき缶を作成した。表
1にこの缶体の特性及び評価を示す。泡吹きは有効に防
止され、しかも、耐食性に良好なシームレス缶が得られ
た。
【0056】比較例4 実施例4で作成した有機被覆金属板を更に250℃に加
熱、水冷し、ポリエステルフィルム中にアンチブロッキ
ング剤粒子をフィルム表面中に埋没させた被覆金属板を
作った。この被覆金属板を使用した点を除いて、実施例
4と同様にして、表1に示す特性を有するシームレス缶
を作成した。本缶体のフィルム層はラミ時の未配向乃至
非晶質構造が絞り成形後の熱処理により結晶化乃至は白
化していた。経時後の缶体はフィルム下のUFC(アン
ダーフィルムコロージョン)があり、シームレス缶とし
て不適であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、金属板とポリエステル
フィルムとの積層体から絞り成形、薄肉化絞り成形乃至
絞り−しごき成形から成るシームレス缶を製造するに際
し、缶の内面となるポリエステルフィルム層として、粒
径0.01乃至0.7μmのアンチブロッキング剤(但
し、チタン系アンチブロッキング剤を除く)を含有し且
つ少なくとも表面が一軸方向あるいは二軸方向に分子配
向され、しかも原子間力顕微鏡で測定した突起部の高さ
が0.20μm以下であるものを用いることにより、炭
酸飲料を充填、密封し、開封したときの泡吹き現象を有
効に防止し、しかもアンダーフィルムコロージョンをも
有効に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】二軸延伸ポリエステルラミネート鋼板から製造
した公知の絞り缶についてポリエステル層表面を測定し
た原子間力顕微鏡によるディスプレイ図である。
【図2】本発明の絞り缶についてポリエステル層表面を
測定した原子間力顕微鏡によるディスプレイ図である。
【図3】種々のポリエステルラミネートから製造した薄
肉化絞り缶について、缶内面の突起部の3点平均値高さ
(H)と炭酸飲料缶の泡吹きの程度とを対応させて示し
たグラフである。
【図4】図3と同じ薄肉化絞り缶について缶内面の凹部
の3点平均値深さ(D)と炭酸飲料缶の泡吹きの程度と
を対応させて示したグラフである。
【図5】用いるアンチブロッキング剤の粒径とフィルム
表面の3点平均値高さ(H)及び3点平均値深さ(D)
との関係を示したグラフである。
【図6】本発明に用いる積層体の一例の断面構造を示す
断面図である。
【図7】本発明に用いる積層体の他の例の断面構造を示
す断面図である。
【図8】本発明で規定する突起高さ(H)の求め方を示
す図である。
【図9】本発明で規定する凹部深さ(D)の求め方を示
す図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 金属基体 3 接着用プライマー層 4 ポリエステル層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今津 勝宏 神奈川県横浜市泉区和泉町6205−1 (56)参考文献 特開 平4−261826(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 15/08 B21D 22/20 B21D 51/18 B21D 51/26 B32B 27/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶の内面側となるポリエステルフィルム
    層は粒径0.01乃至0.7μmのアンチブロッキング
    剤(但し、チタン系アンチブロッキング剤を除く)を含
    有し且つ少なくとも表面が一軸方向あるいは二軸方向に
    分子配向されていると共に原子間力顕微鏡で視野100
    μm×100μmの缶体内表面から粗い部分を選び出
    し、この部分について測定した突起部の大きいものの3
    点平均値高さ(H)が0.20μm以下であることを特
    徴とする炭酸飲料用シームレス缶。
  2. 【請求項2】 原子間力顕微鏡で視野100μm×10
    0μmの缶体内表面から粗い部分を選び出し、この部分
    について測定した凹部の大きいものの3点平均値深さ
    (D)が0.02μm以下であることを特徴とする請求
    項1記載の炭酸飲料用シームレス缶。
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