JP2941186B2 - カルシア−チタニア−ジルコニア系耐火材料 - Google Patents

カルシア−チタニア−ジルコニア系耐火材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルシア−チタニア−
ジルコニア系耐火材料に関し、特に浸漬ノズルのアルミ
ナ付着防止材や清浄鋼用耐火物に好適なCaO−TiO2−ZrO
2系耐火材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、浸漬ノズルのアルミナ付着防止材
やタンディッシュの内面被覆、堰又はフィルタ−などの
清浄鋼用耐火物にカルシア質耐火材料が使用されてい
る。これは、カルシア(CaO)自体は高い融点をもつが、
アルミナ(Al2O3)と反応すると低融物が生じるという性
質を利用したものである。
【0003】即ち、浸漬ノズルの内壁にカルシア質耐火
物を使用すると、溶鋼中のAl2O3が付着しても、この付
着物がCaOと反応して低融物を生じ、流出する。また、
タンディッシュの堰やフイルタ−に使用した場合、溶鋼
中のアルミナ介在物はCaOと反応して低融物を生じ、こ
の低融物がカルシア質耐火物中に吸収されるため、鋼の
清浄度が向上する。
【0004】しかしながら、カルシア(CaO)は、水和す
るという欠点を有するため、これを耐火材料として使用
するには耐消化性の改良が必要であり、この点につい
て、従来より種々の改良が試みられている。例えば、特
公昭55−35354号公報には、焼成状態で、酸化第二鉄:2
〜10重量%、マグネシア:1〜5重量%、シリカ:2重量
%以下、残部が不可避の不純物と、カルシアとからなる
耐消化性カルシア・クリンカが開示されている。
【0005】また、特公昭61−21182号公報には、焼成
状態で、二酸化珪素:2重量%以下、酸化第二鉄:0.4〜
1重量%未満、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム
のどちらか1種を0.4〜10重量%及び残部が酸化カルシ
ウムからなる耐消化性カルシア耐火物が開示されてい
る。
【0006】これらの公報に開示されたカルシア質耐火
材料は、カルシアにFe2O3、MgO、SiO2、Al2O3などの添
加物を少量加えて焼成することで、該耐火材料の表面を
耐水和性のある低融物で被覆し、カルシアの耐消化性を
改良するものである。しかし、構成成分の主体がCaO結
晶である以上、水和防止には限界がある。特に、粒の表
面を非水和性物質で被覆したCaO原料は、粒としては耐
消化性に優れているけれども、粉砕後は、内部のCaO結
晶が露出するため耐消化性が低下するなどの欠点を有し
ている。
【0007】従って、粉砕後も耐消化性に優れたカルシ
ア質耐火材料を製造するためには、CaOが水和しないカ
ルシア系化合物にすることが必要である。更に、浸漬ノ
ズルのアルミナ付着防止材や清浄鋼用耐火物としてカル
シア質耐火材料と同様に使用するためには、その材料自
体は、溶鋼と接しても溶融しないだけの高い融点を有
し、しかもAl2O3と反応すると低融物を生じる性質を持
つことが必要である。
【0008】このような条件を満たすカルシア系耐火材
料についても、従来より提案されている。例えば、特公
昭59−19075号公報には、重量比でカルシアを3〜35重量
%含有するカルシウムジルコネ−ト系クリンカ−40〜93
%、黒鉛5〜50%及び金属シリコン2〜13%からなる、連
続鋳造用浸漬ノズルに使用するための耐火材料が開示さ
れている。
【0009】また、特公平2−23494号公報には、重量比
でCaOを16〜35重量%、元素周期律表のIII族及びIV族元
素の酸化物から選ばれた一種又は二種以上を0.5〜5重量
%、鉱物組成としてCaZrO3を主成分とするカルシウムジ
ルコネ−ト系クリンカ−20〜95重量%、黒鉛5〜50重量
%、金属シリコン1重量%以下からなる混合物に有機質
バインダ−を添加し成形後、非酸化性雰囲気で焼成する
ことからなる、連続鋳造用浸漬ノズルに使用するための
耐火材料が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなCaO−ZrO2系耐火材料を浸漬ノズルに使用した場
合、アルミナ付着防止には一定の効果が上がるものの、
Al2O3との反応で生じる低融物が高粘性のために流出し
ない場合があり、アルミナ付着を完全に防止するには至
っていない。また、ZrO2が高価な原料であるため、価格
的見地から、耐火材料としての用途が浸漬ノズル用に限
られているのが現状である。
【0011】上記のような問題を解決するため、本発明
者等は、本発明以前に“CaO/TiO2のモル比が0.8〜1.5
のCaO−TiO2系化合物から構成されるカルシア−チタニ
ア系耐火材料”を提案している(特願平6−250873号参
照)。しかしながら、本発明者等のその後の研究の結
果、既提案の上記CaO−TiO2系耐火材料を浸漬ノズルに
使用した場合、Al2O3との反応で生じる低融物が低粘性
のために流出されやすく、アルミナ付着防止に非常に効
果的である反面、ノズル内壁の溶損速度が増加する傾向
がみられ、このため使用条件によっては浸漬ノズルの耐
用性が低下するという事実を見いだした。
【0012】上記事実から、浸漬ノズルに使用する耐火
物としては、Al2O3が付着せず且つ耐溶損性に優れた特
性を有することが必要であり、そのためには、Al2O3
の反応で適度な粘性を有する低融物が生成する耐火材料
であることが必要である。
【0013】本発明は、主として上記観点に基づいて成
されたものであって、その目的は、第1に、耐火材料自
身は高融点で耐熱性があるが、Al2O3との反応で生じる
低融物が適度な粘性を有する耐火材料を提供することに
あり、第2に、耐消化性に優れた耐火材料を提供するこ
とにあり、第3に、浸漬ノズルや清浄鋼用耐火物などの
原料として優れた効果を発揮する耐火材料を提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、カルシア
(CaO)と他の酸化物との様々な化合物を調べた結果、特
定組成のCaO、TiO2、ZrO2からなる化合物(CaO−TiO2−Z
rO2系耐火材料)は、耐消化性に優れ、この材料自身は高
融点で耐熱性があるが、Al2O3と反応すると低融物が生
成し、しかも該低融物が適度な粘性を有するという事実
を知見し、本発明を完成したものである。
【0015】即ち、本発明に係るCaO−TiO−Z
rO系耐火材料は、CaO、TiO、ZrOの3
成分を主成分とする焼結品又は電融品であって、CaO
が36〜51重量%のCaO−TiO系材料と、Ca
Oが16〜31重量%のCaO−ZrO系材料の組合
せで表現される組成範囲内にあり、且つZrOを1重
量%以上、TiO10重量%以上含むことを特徴と
する。本発明において、「CaO−TiO−ZrO
系耐火材料」とは、「CaO−TiO−ZrO系焼
結耐火材料又はCaO−TiO−ZrO系電融耐火
材料」を意味する。
【0016】以下、本発明を詳細に説明するが、まず、
本発明者等が行った実験について説明する。本発明者等
は、CaO−TiO2−ZrO2系において、遊離CaO結晶が生じる
組成範囲を実験的に求めた。その結果を図1に示す。な
お、図1中の数字はCaO量(wt%)を示し、また、太線は
固溶体の組成範囲を表わす。
【0017】この実験は、純度99%以上のCaCO3、TiO2
及びZrO2の各試薬を様々な比率で混合し、小型の成形体
に成形した後、電気炉中にて1600℃で1時間の焼成を行
い、生成鉱物をX線回折で確認する方法で行った。その
結果、CaO−TiO2−ZrO2系において、遊離CaO結晶が生成
する組成範囲は、3CaO・2TiO2とCaO・ZrO2とを結ぶ線より
もCaO側であることがわかった。
【0018】図2に、CaO−TiO2−ZrO2系において、本
発明に係る耐火材料の組成範囲(斜線部分)を示す。な
お、図2中の数字はCaO量(wt%)を表わす。この図2と
上記図1との比較から、CaO=36〜51重量%のCaO−TiO2
系材料とCaO=16〜31重量%のCaO−ZrO2系材料との組合
せで表現される組成範囲内のCaO−TiO2−ZrO2系材料
は、遊離CaO結晶が含まず、優れた耐消化性を有するこ
とが理解できる。
【0019】本発明における組成範囲の一方の端成分で
ある“CaO=16〜31重量%のCaO−ZrO2系材料”は、この
材料自身高融点で耐熱性を有するが、Al2O3と反応して
低融物が生成する性質をもつことは従来から知られてお
り、前掲の特公昭59−19075号公報や特公平2−23494号
公報に開示されているように、連続鋳造用浸漬ノズルの
アルミナ付着防止材として使用されている。
【0020】また、本発明における組成範囲のもう一方
の端成分である“CaO=36〜51重量%のCaO−TiO2系材
料”については、前記したとおり、本発明者等が既提案
したものであり、この材料も高融点で耐熱性をもち、し
かもAl2O3と反応して低融物が生成する性質を有するも
のである(特願平6−250873号参照)。
【0021】しかしながら、上記CaO−ZrO2系材料とCaO
−TiO2系材料との中間的な組成をもつCaO−TiO2−ZrO2
系材料については、その耐熱性やAl2O3との反応性が知
られていない。そこで、本発明者等は、CaO・TiO2とCaO・
ZrO2の中間的な組成をもつCaO−TiO2−ZrO2系材料につ
いて、その耐熱性及びAl2O3との反応性を実験的に求め
た。その結果を図3に示す。
【0022】この実験は、純度99%以上のCaCO3、Ti
O2、ZrO2、Al2O3の各試薬を様々な比率で混合し、小型
の成形体に成形した後、電気炉中にて1600℃で1時間の
焼成を行い、該成形体の溶融の有無を調査する方法で行
った。上記実験の結果、CaO・TiO2とCaO・ZrO2の中間的な
組成をもつCaO−TiO2−ZrO2系材料は、いずれの組成に
おいても材料自体は1600℃では溶融しないが、図3に示
すように、Al2O3成分との間には液相領域が存在するた
め、Al2O3と反応すると1600℃以下の温度で低融物を生
じることが理解できる。
【0023】ところで、CaO−ZrO2系耐火材料を浸漬ノ
ズルに使用した場合、前記したように、Al2O3との反応
で生じる低融物が高粘性のために流出しない場合があ
り、アルミナ付着を完全に防止するには至っていない。
一方、CaO−TiO2系耐火材料を浸漬ノズルに使用した場
合、同じく前記したように、Al2O3との反応で生じる低
融物が低粘性のために流出されやすく、アルミナ付着防
止に非常に効果的である反面、ノズル内壁の溶損速度が
増加する。
【0024】以上の事実から、耐火材料を浸漬ノズルに
使用する場合、Al2O3が付着せず、且つ耐溶損性に優れ
た耐火材料を製造するためには、Al2O3との反応で適度
な粘性を有する低融物を生じる耐火材料が必要である。
【0025】そこで、本発明者等は、CaO・TiO2とCaO・Zr
O2の中間的な組成をもつCaO−TiO2−ZrO2系材料につい
て、Al2O3との反応で生じる低融物の性質を実験的に調
べた。その結果を図4に示す。この実験は、純度99%以
上のCaCO3、TiO2、ZrO2、Al2O3の各試薬を使用し、CaO
−TiO2−ZrO2系材料とAl2O3との重量比が1:1の混合物
を作製し、これを電気炉中にて1600℃で溶融した後、一
定幅の溝をつけた黒鉛製の樋に流し込み、流れた長さ
(溶流長さ)を測定する方法で行った。この方法では、溶
流長さが長いものほど溶融物の粘性が低いことを意味し
ている。
【0026】上記実験の結果、図4に示すように、CaO・
TiO2とCaO・ZrO2の中間的な組成をもつCaO−TiO2−ZrO2
系材料では、CaO・ZrO2成分が多くなるほどAl2O3との反
応で生じる低融物の粘性が増加することが認められる。
従って、CaO−TiO2−ZrO2系材料では、ZrO2量を調整す
ることにより、Al2O3との反応で生じる低融物の粘性を
使用目的に応じた適度な値に調整することが可能であ
る。
【0027】以上、本発明者等が行った上記各実験結果
を総合して、CaO−TiO2−ZrO2系において“CaO=36〜51
重量%のCaO−TiO2系材料”と“CaO=16〜31重量%のCa
O−ZrO2系材料”の組合せで表現される範囲(前記図2参
照)にある「CaO−TiO2−ZrO2系耐火材料」は、 ・遊離CaO結晶を含まないために耐消化性に優れ、且つ
材料自体は高融点であるが、Al2O3と反応すると「適度
な粘性を有する低融物が生成する」という性質を有する
ことを知見し、更に、 ・ZrO2量を調整することにより、Al2O3との反応で生じ
る低融物の粘性を使用目的に応じた適度な値に調整する
ことができるという事実を見いだし、本発明を完成した
ものであり、特に浸漬ノズルのアルミナ付着防止材や洗
浄鋼用耐火物として好適なCaO−TiO2−ZrO2系耐火材料
に係る本発明を完成したものである。
【0028】特に、本発明に係るCaO−TiO2−ZrO2系耐
火材料は、本発明の組成範囲内(前記図2参照)でZrO2
量を調整することにより、Al2O3との反応で生じる低融
物の粘性を適宜調整することができ、このため、該耐火
材料を浸漬ノズルに使用した場合、アルミナ付着防止効
果と耐溶損性とのバランスをとることが可能であるとい
う顕著な作用効果が生じる。更に、本発明に係る耐火材
料は、従来のCaO−ZrO2系材料や本発明者等の既提案のC
aO−TiO2系材料よりも耐用性に優れた浸漬ノズル用耐火
材料を提供することができる。
【0029】また、TiO2原料はZrO2原料よりも大幅に安
価であるため、本発明に係る耐火材料は、従来のCaO−Z
rO2系材料よりも安価に製造できる利点を有する。例え
ば、市販のZrO2原料は一般に98重量%程度の純度である
が、これと同程度の純度を有するTiO2原料の価格は、Zr
O2原料の約1/3にすぎない。また、本発明に係るCaO−T
iO2−ZrO2系耐火材料は、CaO、TiO2、ZrO2の合量が90重
量%以上の純度であれば良いため、その製造にあたって
は、純度80重量%以上の様々なCaO源とTiO2源が使用可
能である。
【0030】例えば、TiO2原料としては、80重量%以上
の純度をもつ金属チタン製造用又は高純度酸化チタン製
造用のチタンスラグや合成ルチルを使用することがで
き、また、塗料やインク、プラスチック、ゴム等に用い
られるチタン粉末等も使用することができる。このう
ち、チタンスラグや合成ルチルの価格は、純度98重量%
のTiO2原料の約1/2〜1/5であるから、これを単独で又
は他の高純度TiO2原料と併用することで、本発明に係る
耐火材料を非常に安価に製造することができる。
【0031】CaO源としては、Ca(OH)2、CaCO3等が安価
であるところから、これらを単独で又は併用して使用す
るのが好ましく、また、ZrO2源としては、天然バデライ
ト、ジルコンからの精製品、その中間物等を単独で又は
併用して使用することができる。なお、本発明におい
て、TiO2、CaO、ZrO2の各出発原料を特に限定するもの
ではなく、上記した各原料以外に任意に使用できるもの
である。
【0032】本発明に係るCaO−TiO−ZrO
系耐火材料は、前記したとおり、CaO、TiO、Z
rOの3成分を主成分とする焼結品又は電融品であっ
て、CaOが36〜51重量%のCaO−TiO系材
料と、CaOが16〜31重量%のCaO−ZrO
材料の組合せで表現される組成範囲内(前記図2参照)
にあり、且つZrOを1重量%以上、TiO10
重量%以上含むことを特徴とするが、ここで、本発明に
おける各成分の上記限定理由について、まとめて説明す
る。
【0033】(CaO−TiO2系材料中のCaOを36〜51重量%
とする理由)CaOが51重量%を超えると、遊離CaO結晶が
生じるため耐消化性が低下し、一方、36重量%未満で
は、材料自体の耐熱性が低下するので好ましくない。従
って、本発明において、CaO−TiO2系材料中のCaOとして
36〜51重量%が好ましく、より好ましくはCaO=41〜51
重量%である。
【0034】(CaO−ZrO2系材料中のCaOを16〜31重量%
とする理由)CaOが31重量%を超えると、遊離CaO結晶が
生じるため耐消化性が低下し、一方、16重量%未満で
は、Al2O3と反応した場合に低融物が生じ難いので好ま
しくない。従って、本発明において、CaO−ZrO2系材料
中のCaOとして16〜31重量%が好ましく、より好ましく
はCaO=25〜31重量%である。
【0035】(ZrO2を1重量%以上とする理由)ZrO2
少量でも融液の粘性を高める効果をもつが、1重量%未
満では、Al2O3との反応時に生じる低融物の粘性への効
果が明確でない。従って、本発明において、ZrO2を1重
量%以上とするのが好ましく、より好ましくはZrO2=10
重量%以上である。
【0036】(TiO10重量%以上とする理由) TiO量が5重量%未満では、Alとの反応時
に生じる低融物の粘性が高く、低融物が適度な粘性を有
するという特徴を十分に発揮することができない。従っ
て、TiO を5重量%以上とするのが好ましいが、本
発明においては、TiO をより好ましい範囲である1
0重量%以上とするものである。
【0037】なお、本発明に係る耐火材料は、CaO−TiO
2−ZrO2系材料を少なくとも90重量%以上含み、残部が1
0重量%以下であることが好ましい。本発明に係る耐火
材料において、CaO、TiO2、ZrO2成分以外に例えばSi
O2、Al2O3、Fe2O3、MgOなどの酸化物不純物が混入され
ていると、これらの不純物はCaO−TiO2−ZrO2系材料と
反応して低融物を生成することとなり、特にこの不純物
の含有量が10重量%を超えると、低融物の生成量が多く
なり、その結果、CaO−TiO2−ZrO2系材料の耐火度を低
下させるので好ましくない。
【0038】次に、本発明に係る耐火材料の製造法につ
いて説明するが、本発明は、以下の製造法に制限される
ものではない。耐火物の焼結手段として、従来よりロ−
タリ−キルン、シャフトキルン、トンネルキルン等の焼
成設備による焼結法と、電融炉等の溶融設備による電融
法とが知られているが、本発明に係る耐火材料は、その
いずれの方法によっても製造することができ、また、そ
れらを併用することもできる。
【0039】本発明に係る耐火材料を粗粒骨材として使
用する場合、この粗粒骨材を製造する方法としては、Ca
O、TiO2、ZrO2の各原料粉を所定割合で混合し、所望粒
度に造粒した後、この造粒物を1700℃以上の高温度で焼
成するか又は1900℃以上で電融することが好ましく、こ
れにより緻密な骨材を製造することができる。しかし、
CaO、TiO2及びZrO2の反応は、1500℃以下の低温でも生
じるため、本発明に係る耐火材料を微粉骨材として用い
る場合、この微粉骨材を製造する方法として、CaO、TiO
2、ZrO2の各原料の微粉を使用し、この混合物を造粒す
ることなく例えば1700℃以下の低温で焼成する方法によ
って製造することができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施
例に限定されるものではない。
【0041】(実施例1〜4、比較例1〜2)表1の実
施例1〜4及び比較例1〜2に示す化学組成(wt%)とな
るように、CaCO3、TiO2及びZrO2を所定の比率で混合
し、1700℃で焼成した。得られた各試料(実施例1〜
4、比較例1〜2)の生成鉱物を表1に示す。また、各
試料の組成を図2上に図示した。なお、ZrO2成分を含ま
ない比較例1(CaO−TiO2系)は、1700℃焼成時に溶融し
てしまった。
【0042】次に、各試料を粉砕し、この粉砕物を温度
20℃、湿度80%の条件下で1ケ月間放置し、耐消化性を
調べた。また、この粉砕物をAl2O3と1:1の重量比で混
合し、該混合物を1600℃で焼成し、反応物が溶融するか
否かを調べた。それらの結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】ZrO2成分を含まない比較例1(CaO−TiO
2系)は、前記したように、1700℃焼成時に溶融してしま
った。この事実から、比較例1の試料は、耐火度が低す
ぎることが認められた。また、CaO、TiO2、ZrO2の比率
がCaO−TiO2−ZrO2系で3CaO・2TiO2とCaO・ZrO2を結ぶ線
よりもCaO側にある比較例2では、遊離CaO結晶が生成し
たために粉砕物が水和により粉化してしまい、耐消化性
が不十分であった。これに対して、本発明の所定範囲内
の実施例1〜4(図2参照)の各試料は、耐消化性に優
れ、耐火材料自体は高融点であるが、Al2O3と反応する
と低融物を生成することが確認できた。
【0045】(実施例5〜8、比較例3〜4) 本実施例5〜8は、本発明に係るCaO−TiO2−ZrO2系耐
火材料に黒鉛を配合したものを浸漬ノズルに使用した場
合の有効性を立証するための例であって、前記表1の実
施例1〜4の各試料(CaO−TiO2−ZrO2系耐火材料)につ
いて、浸漬ノズルに使用した場合のアルミナ付着性の有
無及び溶損量を試験した。なお、比較例3としてCaO−T
iO2系耐火材料(CaO:45重量%、TiO2:55重量%)、につ
いて、同じく浸漬ノズルに使用した場合のアルミナ付着
性の有無及び溶損量を試験した。また、比較例4として
CaO−ZrO2系耐火材料(CaO:31重量%、ZrO2:69重量%)
【0046】まず、表2に示す比率で黒鉛と配合し、適
量のフェノ−ル樹脂を添加して混練した後、ラバ−成形
により各試験片を作製した。次に、この各試験片を、高
周波誘導炉を用いて溶解させたアルミニウム(Al)を含む
鋼に浸漬し、アルミナ付着性の有無及び溶損量を調べ
た。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2から、CaO−TiO2系耐火材料を使用し
た比較例3では、アルミナ付着がみられなかったが、溶
損量が3.0mmであり、耐溶損性に劣るものであった。
また、CaO−ZrO2系耐火材料を使用した比較例4では、
生成した低融物が高粘性のため流出せずに付着してい
た。
【0049】これに対して、本発明の範囲内である4種
類のCaO−TiO2−ZrO2系耐火材料(実施例1〜4の各試
料:前記表1及び図2参照)を使用した実施例5〜8で
は、いずれも低融物が低粘性のため流出し、アルミナ付
着を防止できることが確認できた。また、この実施例5
〜8では、CaO−TiO2系耐火材料を使用した比較例3よ
りも溶損量が小さく、アルミナ付着防止効果に優れてい
ると共に、耐溶損性にも優れていることが確認できた。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、CaO、T
iO2、ZrO2の3成分を主成分とする特定組成のCaO−TiO2
−ZrO2系耐火材料であって、耐消化性に優れ、この材料
自身は高融点で耐熱性があるが、Al2O3と反応すると低
融物が生成し、しかも該低融物が適度な粘性を有する耐
火材料を提供するものである。そして、本発明に係る耐
火材料は、浸漬ノズルのアルミナ付着防止材や清浄鋼用
耐火物などに好適であり、これらの用途に対し優れた効
果を発揮する耐火材料を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】CaO−TiO2−ZrO2系における鉱物組合せを実験
的に求めた結果を示す図。
【図2】CaO−TiO2−ZrO2系において、本発明の組成範
囲(斜線部)と実施例1〜4及び比較例1〜2の組成を示
した図。
【図3】CaO・TiO2−CaO・ZrO2−Al2O3系における1600℃
での液相生成領域を実験的に求めた結果を示す図。
【図4】CaO・TiO2とCaO・ZrO2の中間的な組成を持つCaO
−TiO2−ZrO2系材料について、Al2O3との反応で生じる
低融物の粘性を実験的に調べた結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−276017(JP,A) 特開 平6−32652(JP,A) 特開 平4−270041(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/00 - 35/22 C04B 35/42 - 35/49 B22D 41/54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシア、チタニア、ジルコニアの3成
    分を主成分とするカルシア−チタニア−ジルコニア系耐
    火材料であって、カルシアが36〜51重量%のカルシ
    ア−チタニア系材料と、カルシアが16〜31重量%の
    カルシア−ジルコニア系材料の組合せで表現される組成
    範囲内にあり、且つジルコニアを1重量%以上、チタニ
    アを10重量%以上含むことを特徴とするカルシア−チ
    タニア−ジルコニア系耐火材料。
  2. 【請求項2】 前記カルシア−チタニア−ジルコニア系
    耐火材料を90重量%以上含み、残部が10重量%以下
    である請求項1記載のカルシア−チタニア−ジルコニア
    系耐火材料。
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