JP2940912B2 - 感圧複写紙用顕色剤組成物 - Google Patents
感圧複写紙用顕色剤組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、感圧複写紙用の顕色剤組成物に関するもの
であり、さらに詳しくは、顕色剤としての芳香族カルボ
ン酸多価金属系顕色剤の改良に関するものである。 (従来の技術) 感圧複写紙はノーカーボン紙とも称せられ、筆記、タ
イプライター等、機械的または衝撃的圧力によって発色
し、同時に複数枚の複写を取ることのできる複写紙であ
って、転移タイプと称するもの、あるいは単体発色紙と
称されるもの等があるが、その発色機構は電子供与性の
無色色素と電子受容性の顕色剤との発色反応に基くもの
である。電子受容性顕色剤として、(1)USP2,712,507
に開示されている酸性白土、アタパルガイド等の無機固
体酸類、(2)特公昭40−9309に開示されている置換フ
エノールおよびジフエノール類、(3)特公昭42−2014
4に開示されているp−置換フエノール−ホルムアルデ
ヒド重合体、(4)特公昭49−10856および特公昭52−1
327等に開示されている芳香族カルボン酸金属塩等が提
案され、一部は既に実用化されている。 このような感圧複写紙用顕色剤を含有させてなる顕色
シートが備えるべき性能として、シート製造直後および
長期保存後にも変わらない優れた発色性、保存時および
日光等の輻射線暴露時に黄変が少ないことおよび発色画
像が堅牢で輻射線、水または可塑剤により容易に消失ま
たは退色しないこと等が挙げられる。 従来提案されている顕色剤を塗工したシートは性能的
に一長一短がある。例えば、無機固体酸類は安価である
が、保存時に空気中のガス、水分を吸着して紙面の黄変
や発色性能の低下を生じ、置換フエノール類は発色性が
不十分で発色画像の濃度が低い。p−置換フエノールホ
ルムアルデヒド重合体としてもつぱら用いられているp
−フェニルフエノール−ノボラック樹脂は発色性は優れ
ているが、塗工紙が日光照射または保存中(殊に、空気
中の窒素酸化物)に黄変し易く、且つ有機溶剤類との接
触により発色像が容易に褪色するという欠点を有する。 最近に到りこのような顕色剤にかわる種々の面で優れ
た性質を有する芳香族カルボン酸の多価金属塩が注目さ
れるようになった。 芳香族カルボン酸の多価金属塩を用いた感圧複写紙
は、発色像が経時的に変色または褪色し難い、光や
空気中のガス成分によっても紙面が黄変し難い、顕色
能力が高い等の優れた性能を有している。しかしなが
ら、発色像の耐光堅牢度が悪く、光照射による顕色
能力の低下が大きいという欠点を有している。 光照射による顕色能力の低下を防止する手段として、
サリチル酸誘導体、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、
ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体等の有機系紫外線
吸収剤との混合微粒子を使用する方法が提案されている
(特開昭57−191087号公報)。しかし、この方法によっ
て光照射による顕色能力の低下は改善できるものの、発
色像の耐光堅牢度の改良には効果がなかった。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は上記の欠点を改良した性能のすぐれた
感圧複写用顕色剤組成物をを提供することにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した
結果、本発明を完成するに至ったものである。 即ち、本発明は芳香族カルボン酸の多価金属塩、お
よびニッケル錯体系消光剤を含有してなる感圧複写紙
用顕色剤組成物である。 本発明で用いる芳香族カルボン酸としては各種の芳香
族カルボン酸が使用できる。具体的には、安息香酸、p
−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフ
タル酸、3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、
3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、3−
メチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、5−
tert−ブチルサリチル酸、3−フェニルサリチル酸、3
−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α,α−
ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−オク
チルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、
3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリ
チル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α−ジメチル
ベンジル)サリチル酸、3−(4′−α′,α′−ジメ
チルベンジル)フェニル−5−(α,α−ジメチルベン
ジル)サリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サ
リチル酸、3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)サリ
チル酸、3−(α−メチルベンジル)−5−(α,α−
ジメチルベンジル)サリチル酸などを挙げることができ
る。これらの中でサリチル酸の誘導体がより好ましく用
いられる。 用いられる芳香族カルボン酸の多価金属塩としては、
マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マ
ンガン、亜鉛、錫が挙げられる。これらの中で亜鉛が特
に好ましく用いられる。 本発明の顕色剤組成物は、このような芳香族カルボン
酸の多価金属塩とともにニッケル錯体系消光剤とを含有
させてなるものである。 ニッケル錯体系消光剤としては、例えば、ニッケルジ
メチルジチオカーバメイト、ニッケルジエチルジチオカ
ーバメイト、ニッケルジブチルジチオカーバメイト、ニ
ッケルイソプロピルキサンテート、(2,2′−チオビス
(4−t−オクチルフェノラート))−n−ブチルアミ
ンニッケル(II)、(2,2−チオビス(4−t−オクチ
ルフェノラート))−2−エチルアミンニッケル(I
I)、(2,2−スルホンビス(4−t−ノニルフェノラー
ト))−ニッケル(II)、ビス(1,2−ジチオフェノラ
ート)ニッケル−テトラ−n−エチルアンモニウム、ビ
ス(1−メチル−3,4−ジチオフェノラート)ニッケル
−テトラ−n−ブチルアンモニウム、ビス(3,4,6−ト
リクロル−−1,2−ジチオフェノラート)ニッケル−テ
トラ−n−ブチルアンモニウム、ビス(1−チオ−2−
ナフトラート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム、ビス(4−クロル−o−フェニレンジアミノ)ニ
ッケル、ビス(ジイミノサクシノニトリロ)ニッケル、
ビス(シス−1,2−ビス(p−メトキシフェニル)エチ
レン−1,2−ジチオラート)ニッケル、パラトルエンス
ルホン酸ニッケルまたはドデシルベンゼンスルホン酸ニ
ッケル等の油溶性ニッケル錯体または塩が挙げられる。 本発明の芳香族カルボン酸の多価金属塩(以下、
成分と言う)、およびニッケル錯体系消光剤(以下、
成分と言う)を含有してなる感圧複写紙用顕色剤組成
物を製造するには、種々の方法が挙げられる。 すなわち、(1)、成分と成分とを加熱混融させ
る方法、(2)、成分と成分とを共通の溶剤に溶解
したあと溶剤を除去する方法、(3)、成分と成分
とを相溶する第三物質とともに加熱混融する方法、また
は(4)、粉体で混合する方法等が挙げられる。 これらの方法の中で、(3)の方法、すなわち、成
分と成分とを相溶する第三物質とともに加熱混融する
方法が最も一般に用いられる。このような成分と成
分に相溶性のある高分子としては、特公55−1195号公報
に記載されているような各種重合体、具体的にはスチレ
ン系重合体、α−メチルスチレン系重合体、ブタジェン
系重合体、酢酸ビニル系重合体、(メタ)アクリル酸エ
ステル系重合体等が例示される。 本発明の顕色剤組成物において成分と成分との配
合割合は、成分100重量部に対して、成分0.1〜20重
量部、好ましくは0.3〜10重量部である。 本発明の顕色剤組成物を用いて顕色剤シートを製造す
るときは、本発明の顕色剤組成物のほか、既知の顕色
剤、すなわち、活性白土等の無機固体、フェノール−ホ
ルムアルデヒド樹脂等の有機重合体等と併用することは
何ら差支えない。更に亜鉛、マグネシウム、アルミニウ
ム、鉛、チタン、カルシウム、コバルト、ニッケル、マ
ンガンおよびバリウムから成る群から選ばれた多価金属
の酸化物、水酸化物または炭酸塩の少なくとも1種以上
とを併用してもよい。 本発明の感圧複写用顕色剤組成物を用いて顕色シート
を調製する方法としては、(1)顕色剤組成物の水性懸
濁液を用いた水性塗料を紙等の支持体に塗布する方法、
(2)抄紙時に顕色剤組成物を漉き込む方法、(3)顕
色剤組成物を有機溶剤に溶解または顕濁したものを支持
体に塗布する方法等がいずれも使用できる。 塗料を作成するに際しては、カオリン粘土類、炭酸カ
ルシウム、でん粉、合成および天然ラテックス等を配分
して適当な粘土、塗工適性を有する塗料とする。塗料に
おいて顕色剤成分が占める割合は全固型分中の5〜70%
が望ましく、顕色剤の成分の割合が5%以下では十分な
発色性を発揮しえず、また70%以上では顕色シートの紙
面特性が低下する。塗料の塗布量は乾燥重量で0.5g/cm2
以上、好ましくは1〜10g/cm2である。 本発明の感圧複写紙用顕色剤組成物は、顕色剤成分お
よび塗料の塗布量が少なくてすみ、また塗料の濃度、粘
土等を比較的広範囲に変えられることから、オンマシン
塗工、オフマシン塗工いずれも可能となり、性能上のみ
ならず感圧紙製造工程上からも大きなメリットが生ず
る。 (作用と効果) 本発明は、芳香族カルボン酸の多価金属塩にニッケル
錯体系消光剤を含有させてなる感圧複写紙用顕色剤組成
物を提供する。 本発明の感圧紙用顕色剤組成物を用いる顕色シートは
光および空気中の窒素酸化物等のガスによる黄変性もな
く、又、光および可塑剤等に対して発色像が安定で、か
つ、光暴露によっても顕色シートの顕色能力の低下がな
く、光黄変性がより一層低減される。 これらの性質のため、従来品では不適であった用途へ
の利用拡大が可能となり、その実用上の意義は極めて大
きいものである。 (実施例) 以下、本発明の方法を実施例により詳細に説明する。 実施例1 3,5−ジ(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸
亜鉛塩100重量部、低分子量ポリスチレン(三洋化成ハ
イマーST−95)20重量部およびビス−(1−チオ−2−
ナフトラート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム2重量部を180℃に加熱混融したのち冷却して淡褐
色の樹脂状組成物(A)を得た。 実施例2 トルエン1600重量部中にα−チメルスチレン重合体
(平均分子量1100)1000重量部を溶解し、更に3−シク
ロヘキシル−5−(α,α′−ジメチルベンジル)サリ
チル酸亜鉛塩600重量部および〔2,2−チオビス(4−te
rt−オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッ
ケル(II)(商品名 サイアソルブ1084−−アメリカン
サイアナミド社製)20部を溶解した。溶媒を蒸発留去し
て淡色の樹脂状組成物(B)を得た。 実施例3 3−α,α′−ジメチルベンジルサリチル酸亜鉛塩10
0重量部、スチレンブチルアクリレート共重合体100重量
部およびニッケルジブチルチオカーバメイト3部を200
℃迄加熱混融して淡緑黄色樹脂状組成物(C)を得た。 実施例4 ビス−(1−チオ−2−ナフトラート)ニッケル−テ
トラ−n−ブチルアンモニウムに変えてドデシルベンゼ
ンスルホン酸ニッケルを同量用いた以外は実施例1と同
様にして淡色の樹脂状組成物(D)を得た。 比較例1〜3 ニッケル錯体消光剤を用いなかった以外は対応する番
号の実施例と同様にして、淡色の樹脂状組成物(E)〜
(G)を得た。 比較例4 〔2,2−チオビス(4−tert−オクチルフェノラー
ト)〕−n−ブチルアミンニッケル(II)に変えて2−
(2−′ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール(商品名チヌビン320−−日本チバ
ガイギー社製)を同量用いた以外は実施例−2と同様に
して淡色の樹脂状組成物(H)を得た。 試験例 実施例および比較例で得た顕色剤組成物を少量の高分
子アニオン系界面活性剤の存在下に湿式微粉砕して、固
形分40重量%の水性懸濁液とした(平均粒子径2.5
μ)。 次に、この懸濁液を用いて下記組成の水性塗液(固形
分30重量%)を調製した。 固形分の重量比 軽質炭酸カルシウム 100 顕色剤組成物 15 澱粉バインダー 8 合成ゴムラテックス 8 この水性塗液をメイヤーバーコーターを用いて40g/m2
の上質紙に乾燥時塗布量が6g/m2となるように塗布乾燥
し、顕色シートを作成した。 これらの顕色シートを用いて性能試験をおこなった。 性能測定方法は以下の方法によった。 (1).発色速度および濃度(20℃、65%RHの恒温恒湿
室内で実施) クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を主たる感
圧色素とする市販の青発色用上紙(神崎製紙製NW−40
T)を用い、実施例で得られた顕色シート(下用紙)の
両塗布面を対向させて重ね合わせ、電子タイプライター
で打刻発色させる。 打刻後30秒後および24時間後の反射率をTSS型ハンタ
ー比色計(アンバフイルター使用)で測色しY値で表示
する。 (2).発色像の耐光堅牢度 (1)の方法で発色させた顕色シートを屋外の太陽光
に直接暴露し(10時間)試験験後の発色像を、ハンター
比色計(アンバフィルター使用)で測色して表示した。
試験前後の差が小さいほど発色像の光による褪色が少な
く好ましい。 (3).顕色能力の光による衰退の程度 前項で作成した顕色シートを屋外の太陽光に直接暴露
し(10時間)、その後(1)と全く同じ方法でタイプラ
イター発色テストを行い顕色能力の残存の程度を調べ
た。 ○ 十分に発色能力が維持されている。 △ 発色能力がかなり低下する。 × 全く発色能力を失う。 (4)顕色シートの光黄変性 (3)と同じ方法で屋外の太陽光に暴露し(10時
間)、顕色シート面の黄変傾向を調べる、試験前、試験
後の反射率値(ブルーフィルター使用)で測色した。反
射率が大きく、かつ試験前後の差が小さい程、顕色シー
トの光黄変傾向が少ない。 結果を表−1に示す。
であり、さらに詳しくは、顕色剤としての芳香族カルボ
ン酸多価金属系顕色剤の改良に関するものである。 (従来の技術) 感圧複写紙はノーカーボン紙とも称せられ、筆記、タ
イプライター等、機械的または衝撃的圧力によって発色
し、同時に複数枚の複写を取ることのできる複写紙であ
って、転移タイプと称するもの、あるいは単体発色紙と
称されるもの等があるが、その発色機構は電子供与性の
無色色素と電子受容性の顕色剤との発色反応に基くもの
である。電子受容性顕色剤として、(1)USP2,712,507
に開示されている酸性白土、アタパルガイド等の無機固
体酸類、(2)特公昭40−9309に開示されている置換フ
エノールおよびジフエノール類、(3)特公昭42−2014
4に開示されているp−置換フエノール−ホルムアルデ
ヒド重合体、(4)特公昭49−10856および特公昭52−1
327等に開示されている芳香族カルボン酸金属塩等が提
案され、一部は既に実用化されている。 このような感圧複写紙用顕色剤を含有させてなる顕色
シートが備えるべき性能として、シート製造直後および
長期保存後にも変わらない優れた発色性、保存時および
日光等の輻射線暴露時に黄変が少ないことおよび発色画
像が堅牢で輻射線、水または可塑剤により容易に消失ま
たは退色しないこと等が挙げられる。 従来提案されている顕色剤を塗工したシートは性能的
に一長一短がある。例えば、無機固体酸類は安価である
が、保存時に空気中のガス、水分を吸着して紙面の黄変
や発色性能の低下を生じ、置換フエノール類は発色性が
不十分で発色画像の濃度が低い。p−置換フエノールホ
ルムアルデヒド重合体としてもつぱら用いられているp
−フェニルフエノール−ノボラック樹脂は発色性は優れ
ているが、塗工紙が日光照射または保存中(殊に、空気
中の窒素酸化物)に黄変し易く、且つ有機溶剤類との接
触により発色像が容易に褪色するという欠点を有する。 最近に到りこのような顕色剤にかわる種々の面で優れ
た性質を有する芳香族カルボン酸の多価金属塩が注目さ
れるようになった。 芳香族カルボン酸の多価金属塩を用いた感圧複写紙
は、発色像が経時的に変色または褪色し難い、光や
空気中のガス成分によっても紙面が黄変し難い、顕色
能力が高い等の優れた性能を有している。しかしなが
ら、発色像の耐光堅牢度が悪く、光照射による顕色
能力の低下が大きいという欠点を有している。 光照射による顕色能力の低下を防止する手段として、
サリチル酸誘導体、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、
ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体等の有機系紫外線
吸収剤との混合微粒子を使用する方法が提案されている
(特開昭57−191087号公報)。しかし、この方法によっ
て光照射による顕色能力の低下は改善できるものの、発
色像の耐光堅牢度の改良には効果がなかった。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は上記の欠点を改良した性能のすぐれた
感圧複写用顕色剤組成物をを提供することにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した
結果、本発明を完成するに至ったものである。 即ち、本発明は芳香族カルボン酸の多価金属塩、お
よびニッケル錯体系消光剤を含有してなる感圧複写紙
用顕色剤組成物である。 本発明で用いる芳香族カルボン酸としては各種の芳香
族カルボン酸が使用できる。具体的には、安息香酸、p
−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフ
タル酸、3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、
3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、3−
メチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、5−
tert−ブチルサリチル酸、3−フェニルサリチル酸、3
−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α,α−
ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−オク
チルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、
3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリ
チル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α−ジメチル
ベンジル)サリチル酸、3−(4′−α′,α′−ジメ
チルベンジル)フェニル−5−(α,α−ジメチルベン
ジル)サリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サ
リチル酸、3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)サリ
チル酸、3−(α−メチルベンジル)−5−(α,α−
ジメチルベンジル)サリチル酸などを挙げることができ
る。これらの中でサリチル酸の誘導体がより好ましく用
いられる。 用いられる芳香族カルボン酸の多価金属塩としては、
マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マ
ンガン、亜鉛、錫が挙げられる。これらの中で亜鉛が特
に好ましく用いられる。 本発明の顕色剤組成物は、このような芳香族カルボン
酸の多価金属塩とともにニッケル錯体系消光剤とを含有
させてなるものである。 ニッケル錯体系消光剤としては、例えば、ニッケルジ
メチルジチオカーバメイト、ニッケルジエチルジチオカ
ーバメイト、ニッケルジブチルジチオカーバメイト、ニ
ッケルイソプロピルキサンテート、(2,2′−チオビス
(4−t−オクチルフェノラート))−n−ブチルアミ
ンニッケル(II)、(2,2−チオビス(4−t−オクチ
ルフェノラート))−2−エチルアミンニッケル(I
I)、(2,2−スルホンビス(4−t−ノニルフェノラー
ト))−ニッケル(II)、ビス(1,2−ジチオフェノラ
ート)ニッケル−テトラ−n−エチルアンモニウム、ビ
ス(1−メチル−3,4−ジチオフェノラート)ニッケル
−テトラ−n−ブチルアンモニウム、ビス(3,4,6−ト
リクロル−−1,2−ジチオフェノラート)ニッケル−テ
トラ−n−ブチルアンモニウム、ビス(1−チオ−2−
ナフトラート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム、ビス(4−クロル−o−フェニレンジアミノ)ニ
ッケル、ビス(ジイミノサクシノニトリロ)ニッケル、
ビス(シス−1,2−ビス(p−メトキシフェニル)エチ
レン−1,2−ジチオラート)ニッケル、パラトルエンス
ルホン酸ニッケルまたはドデシルベンゼンスルホン酸ニ
ッケル等の油溶性ニッケル錯体または塩が挙げられる。 本発明の芳香族カルボン酸の多価金属塩(以下、
成分と言う)、およびニッケル錯体系消光剤(以下、
成分と言う)を含有してなる感圧複写紙用顕色剤組成
物を製造するには、種々の方法が挙げられる。 すなわち、(1)、成分と成分とを加熱混融させ
る方法、(2)、成分と成分とを共通の溶剤に溶解
したあと溶剤を除去する方法、(3)、成分と成分
とを相溶する第三物質とともに加熱混融する方法、また
は(4)、粉体で混合する方法等が挙げられる。 これらの方法の中で、(3)の方法、すなわち、成
分と成分とを相溶する第三物質とともに加熱混融する
方法が最も一般に用いられる。このような成分と成
分に相溶性のある高分子としては、特公55−1195号公報
に記載されているような各種重合体、具体的にはスチレ
ン系重合体、α−メチルスチレン系重合体、ブタジェン
系重合体、酢酸ビニル系重合体、(メタ)アクリル酸エ
ステル系重合体等が例示される。 本発明の顕色剤組成物において成分と成分との配
合割合は、成分100重量部に対して、成分0.1〜20重
量部、好ましくは0.3〜10重量部である。 本発明の顕色剤組成物を用いて顕色剤シートを製造す
るときは、本発明の顕色剤組成物のほか、既知の顕色
剤、すなわち、活性白土等の無機固体、フェノール−ホ
ルムアルデヒド樹脂等の有機重合体等と併用することは
何ら差支えない。更に亜鉛、マグネシウム、アルミニウ
ム、鉛、チタン、カルシウム、コバルト、ニッケル、マ
ンガンおよびバリウムから成る群から選ばれた多価金属
の酸化物、水酸化物または炭酸塩の少なくとも1種以上
とを併用してもよい。 本発明の感圧複写用顕色剤組成物を用いて顕色シート
を調製する方法としては、(1)顕色剤組成物の水性懸
濁液を用いた水性塗料を紙等の支持体に塗布する方法、
(2)抄紙時に顕色剤組成物を漉き込む方法、(3)顕
色剤組成物を有機溶剤に溶解または顕濁したものを支持
体に塗布する方法等がいずれも使用できる。 塗料を作成するに際しては、カオリン粘土類、炭酸カ
ルシウム、でん粉、合成および天然ラテックス等を配分
して適当な粘土、塗工適性を有する塗料とする。塗料に
おいて顕色剤成分が占める割合は全固型分中の5〜70%
が望ましく、顕色剤の成分の割合が5%以下では十分な
発色性を発揮しえず、また70%以上では顕色シートの紙
面特性が低下する。塗料の塗布量は乾燥重量で0.5g/cm2
以上、好ましくは1〜10g/cm2である。 本発明の感圧複写紙用顕色剤組成物は、顕色剤成分お
よび塗料の塗布量が少なくてすみ、また塗料の濃度、粘
土等を比較的広範囲に変えられることから、オンマシン
塗工、オフマシン塗工いずれも可能となり、性能上のみ
ならず感圧紙製造工程上からも大きなメリットが生ず
る。 (作用と効果) 本発明は、芳香族カルボン酸の多価金属塩にニッケル
錯体系消光剤を含有させてなる感圧複写紙用顕色剤組成
物を提供する。 本発明の感圧紙用顕色剤組成物を用いる顕色シートは
光および空気中の窒素酸化物等のガスによる黄変性もな
く、又、光および可塑剤等に対して発色像が安定で、か
つ、光暴露によっても顕色シートの顕色能力の低下がな
く、光黄変性がより一層低減される。 これらの性質のため、従来品では不適であった用途へ
の利用拡大が可能となり、その実用上の意義は極めて大
きいものである。 (実施例) 以下、本発明の方法を実施例により詳細に説明する。 実施例1 3,5−ジ(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸
亜鉛塩100重量部、低分子量ポリスチレン(三洋化成ハ
イマーST−95)20重量部およびビス−(1−チオ−2−
ナフトラート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム2重量部を180℃に加熱混融したのち冷却して淡褐
色の樹脂状組成物(A)を得た。 実施例2 トルエン1600重量部中にα−チメルスチレン重合体
(平均分子量1100)1000重量部を溶解し、更に3−シク
ロヘキシル−5−(α,α′−ジメチルベンジル)サリ
チル酸亜鉛塩600重量部および〔2,2−チオビス(4−te
rt−オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッ
ケル(II)(商品名 サイアソルブ1084−−アメリカン
サイアナミド社製)20部を溶解した。溶媒を蒸発留去し
て淡色の樹脂状組成物(B)を得た。 実施例3 3−α,α′−ジメチルベンジルサリチル酸亜鉛塩10
0重量部、スチレンブチルアクリレート共重合体100重量
部およびニッケルジブチルチオカーバメイト3部を200
℃迄加熱混融して淡緑黄色樹脂状組成物(C)を得た。 実施例4 ビス−(1−チオ−2−ナフトラート)ニッケル−テ
トラ−n−ブチルアンモニウムに変えてドデシルベンゼ
ンスルホン酸ニッケルを同量用いた以外は実施例1と同
様にして淡色の樹脂状組成物(D)を得た。 比較例1〜3 ニッケル錯体消光剤を用いなかった以外は対応する番
号の実施例と同様にして、淡色の樹脂状組成物(E)〜
(G)を得た。 比較例4 〔2,2−チオビス(4−tert−オクチルフェノラー
ト)〕−n−ブチルアミンニッケル(II)に変えて2−
(2−′ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール(商品名チヌビン320−−日本チバ
ガイギー社製)を同量用いた以外は実施例−2と同様に
して淡色の樹脂状組成物(H)を得た。 試験例 実施例および比較例で得た顕色剤組成物を少量の高分
子アニオン系界面活性剤の存在下に湿式微粉砕して、固
形分40重量%の水性懸濁液とした(平均粒子径2.5
μ)。 次に、この懸濁液を用いて下記組成の水性塗液(固形
分30重量%)を調製した。 固形分の重量比 軽質炭酸カルシウム 100 顕色剤組成物 15 澱粉バインダー 8 合成ゴムラテックス 8 この水性塗液をメイヤーバーコーターを用いて40g/m2
の上質紙に乾燥時塗布量が6g/m2となるように塗布乾燥
し、顕色シートを作成した。 これらの顕色シートを用いて性能試験をおこなった。 性能測定方法は以下の方法によった。 (1).発色速度および濃度(20℃、65%RHの恒温恒湿
室内で実施) クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を主たる感
圧色素とする市販の青発色用上紙(神崎製紙製NW−40
T)を用い、実施例で得られた顕色シート(下用紙)の
両塗布面を対向させて重ね合わせ、電子タイプライター
で打刻発色させる。 打刻後30秒後および24時間後の反射率をTSS型ハンタ
ー比色計(アンバフイルター使用)で測色しY値で表示
する。 (2).発色像の耐光堅牢度 (1)の方法で発色させた顕色シートを屋外の太陽光
に直接暴露し(10時間)試験験後の発色像を、ハンター
比色計(アンバフィルター使用)で測色して表示した。
試験前後の差が小さいほど発色像の光による褪色が少な
く好ましい。 (3).顕色能力の光による衰退の程度 前項で作成した顕色シートを屋外の太陽光に直接暴露
し(10時間)、その後(1)と全く同じ方法でタイプラ
イター発色テストを行い顕色能力の残存の程度を調べ
た。 ○ 十分に発色能力が維持されている。 △ 発色能力がかなり低下する。 × 全く発色能力を失う。 (4)顕色シートの光黄変性 (3)と同じ方法で屋外の太陽光に暴露し(10時
間)、顕色シート面の黄変傾向を調べる、試験前、試験
後の反射率値(ブルーフィルター使用)で測色した。反
射率が大きく、かつ試験前後の差が小さい程、顕色シー
トの光黄変傾向が少ない。 結果を表−1に示す。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭62−214988(JP,A)
特開 昭57−191087(JP,A)
特開 昭49−13154(JP,A)
特開 昭61−22984(JP,A)
特開 昭53−31405(JP,A)
特開 昭53−85613(JP,A)
特公 昭64−5553(JP,B2)
特公 昭61−4356(JP,B2)
特公 昭52−1327(JP,B2)
米国特許3313770(US,A)
英国特許3215717(GB,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
B41M 5/124 - 5/165
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.芳香族カルボン酸の多価金属塩、およびニッケ
ル錯体系消光剤を含有してなる感圧複写紙用顕色剤組成
物。 2.芳香族カルボン酸の多価金属塩がサリチル酸誘導体
の多価金属塩である特許請求の範囲第1項記載の感圧複
写紙用顕色剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61097994A JP2940912B2 (ja) | 1986-04-30 | 1986-04-30 | 感圧複写紙用顕色剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61097994A JP2940912B2 (ja) | 1986-04-30 | 1986-04-30 | 感圧複写紙用顕色剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62255182A JPS62255182A (ja) | 1987-11-06 |
JP2940912B2 true JP2940912B2 (ja) | 1999-08-25 |
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ID=14207219
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61097994A Expired - Fee Related JP2940912B2 (ja) | 1986-04-30 | 1986-04-30 | 感圧複写紙用顕色剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2940912B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3313770A (en) | 1961-12-11 | 1967-04-11 | American Cyanamid Co | Polyethylene and polypropylene compositions containing nickel amine complexes of bis-phenol sulfides as light stabilizers |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57191087A (en) * | 1981-05-21 | 1982-11-24 | Kanzaki Paper Mfg Co Ltd | Pressure-sensitive copying paper |
JPS614356A (ja) * | 1984-06-19 | 1986-01-10 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電話機 |
JPS645553A (en) * | 1987-06-29 | 1989-01-10 | Shinto Paint Co Ltd | Deodorizing composition |
-
1986
- 1986-04-30 JP JP61097994A patent/JP2940912B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US3313770A (en) | 1961-12-11 | 1967-04-11 | American Cyanamid Co | Polyethylene and polypropylene compositions containing nickel amine complexes of bis-phenol sulfides as light stabilizers |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62255182A (ja) | 1987-11-06 |
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