JP2940155B2 - 4,4’―ビフェニルジカルボン酸の精製法 - Google Patents

4,4’―ビフェニルジカルボン酸の精製法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、耐熱性、かつ、強度に優れたポリエステル
やポリアミド等のポリマーの中間原料として有用な4,
4′−ビフェニルジカルボン酸(以下4,4′−BPDAとい
う)の精製法を提供する。詳しくは、粗4,4′−BPDAを
ジアルカリ塩水溶液となし、これを酸析して高純度4,
4′−BPDA結晶を得る粗4,4′−BPDAの精製法を提供す
る。
[従来の技術] 4,4′−BPDAは、酸化してカルボキシル基に容易に転
化することのできる置換基を4,4′−位に有する4,4′−
ジ置換ジフェニルの酸化により得られる。しかし、酸化
の原料となる4,4′−ジ置換ビフェニルを入手すること
が難しいために、いろいろな4,4′−ジ置換体を経る方
法が従来から提案されている。例えば、p−ブロムトル
エンを脱ブロム二量化して4,4′−ジメチルビフェニル
としこれを酸化する方法、ビフェニルをジエチル化ある
いはジイソピロピル化して酸化する方法、4−エチルビ
フェニルをホルミル化して4−エチルビフェニル−4′
−アルデヒドとしこれを酸化する方法などが挙げられ
る。
また、4,4′−ジ置換ビフェニルの酸化以外にも、ジ
フェン酸もしくはその塩を異性化する方法、p−ハロゲ
ノ安息香酸を脱ハロゲン二量化する方法、4,4′−ジハ
ロゲン化ビフェニルを水および一酸化炭素と反応させて
カルボニル化する方法なども知られている。
しかしながら、これらの方法で得られた4,4′−BPDA
は、通常、反応中間体、副生物、未反応物あるいは反応
に用いた触媒など、不純物を多量に含有している。この
ため、このままではポリマー原料に適さず、通常は精製
を必要とする。
4,4′−BPDAの精製法の従来技術として、 特開昭57−149244号公報、特開平2−235843号公
報、特公平1−33100号公報(特開昭58−85841号公
報)、特開平2−264742号公報記載の方法などが公知
である。
4,4′−BPDAは通常の有機溶媒に対し難溶性であるた
めに再結晶による精製は容易でないが、特定の溶媒を用
いて再結晶する精製法が開示されている。溶媒として上
記のにはジメチルスルホキシドを用いる方法、また、
にはN,N′−ジメチルホルムアミドを用いる方法が提
案されている。しかし、ジメチルスルホキシド、N,N′
−ジメチルホルムアミドの何れにしても、4,4′−BPDA
の溶解度が低く、これらの溶媒を用いるあるいはに
記載の方法は、高価な溶媒を大量に必要とするので、工
業的な精製法になり難いものである。
また、精製法として、4,4′−BPDAをジアルカリ塩水
溶液となし、これを酸析して4,4′−BPDAの結晶を回収
する、いわゆる酸析法が適用できる。しかしながら、酸
析によって得られる4,4′−BPDA結晶は非常に微細で、
結晶の濾過性が極めて悪く、固液分離操作が面倒な上に
分離した結晶も乾燥し難い。また、単に通常の方法で酸
析しただけでは、粗4,4′−BPDAに含まれる様々な不純
物が必ずしも十分に除去できない。このように酸析法に
よる4,4′−BPDAの精製には種々問題がある。
上記のおよびには酸析法の改良方法が開示されて
いる。に記載の方法は、粗4,4′−BPDAをアルカリ水
溶液に溶解してジアルカリ塩水溶液を形成し、これに炭
酸ガスを作用させて析出した4,4′−BPDAのモノアルカ
リ塩結晶を分離する。次いで、モノアルカリ塩結晶を不
均化および酸析によって精製4,4′−BPDAとするもので
ある。この方法によるモノアルカリ塩結晶は、ジアルカ
リ塩水溶液から直接酸析した4,4′−BPDA結晶に比べて
濾過性が良く容易に固液分離できる。しかし、不均化と
酸析によって最終的に得られる4,4′−BPDA結晶からア
ルカリ金属を十分除去できない欠点がある。その上、4,
4′−BPDAのモノナトリウム塩がモノカリウム塩より溶
解度が高いために、モノアルカリ塩の回収率を上げるに
は、水酸化ナトリウムより高価な水酸化カリウムを使用
せざるを得ないという欠点もある。結局、この方法は、
精製結晶のアルカリ金属含量が高いという欠点に加え、
薬剤費が高く、かつ、工程が煩雑で設備費も高くつくと
いう問題を有する。
また、に記載の方法は、粗4,4′−BPDAのジアルカ
リ塩水溶液に水溶性有機溶剤を添加して4,4′−BPDAジ
アルカリ塩結晶を析出させ、次いで分離したジアルカリ
塩結晶を再び水に溶解して酸析によって4,4′−BPDA結
晶を得るものである。しかし、この方法も再結晶化操作
を2回繰り返し工程が煩雑であるばかりでなく、酸析に
よる4,4′−BPDA結晶が微細で濾過性が良くないという
酸析法の欠陥を有するものである。
[本発明が解決しようとする問題点] 本発明は、4,4′−BPDAの酸析精製において酸析で得
られる精製結晶の濾過性が悪く、かつ、不純物が十分に
除去できないという技術的課題を解決し、工業的に極め
て有利な高純度4,4′−BPDAの製造を可能とする精製法
を提供しようとするものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、4,4′−BPDAの酸析精製法における上
記の技術的課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、
4,4′−BPDAジアルカリ塩水溶液を特定の条件の下で酸
析することにより、濾過性に優れ、かつ、高純度の4,
4′−BPDA結晶が得られことを見出し本発明に到達し
た。
4,4′−ビフェニルジカルボン酸をジアルカリ塩水溶
液となし、該4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジアルカ
リ塩水溶液から4,4′−ビフェニルジカルボン酸結晶をP
Hが7〜4、温度150〜300℃の範囲において酸析させる
ことを特徴とする4,4′−ビフェニルジカルボン酸の精
製方法。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の方法は、どのような4,4′−BPDAにも適用で
きるが、特に4,4′−ジ置換ビフェニルの酸化によって
得られる粗4,4′−BPDAの精製に適する。4,4′−BPDA
は、4,4′−位に置換基を有する4,4′−ジ置換ビフェニ
ルの酸化によって容易に得ることができる。4,4′−位
の置換基は、酸化してカルボキシル基に転化できるもの
であればよく、通常は、脂肪族炭化水素基、あるいはこ
れに酸素原子が含まれるものでもよい。例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシ
ル、ホルミル、アセチル基などで、二つの置換基は必ず
しも同一でなくてもよく、これらの組合せでもよい。ま
た、置換基の一つが既にカルボキシル基であってもよ
い。
4,4′−ジ置換ビフェニルの4,4′−BPDAへの酸化は、
酢酸溶媒中でコバルト化合物やマンガン化合物などの重
金属触媒の存在下に高温加圧のもとで酸素含有ガスによ
り行なわる。触媒としてコバルト化合物やマンガン化合
物などの重金属化合物、さらに促進剤として臭素化合物
あるいはアルデヒドやケトン類も用いることができる。
酸化で得られる4,4′−BPDAには、未反応物、酸化中間
体、副生物および反応に用いた触媒などの不純物、他に
原料に由来する不純物が含まれる。
本発明の方法においては、まず4,4′−BPDAをアルカ
リ水溶液に溶解し、4,4′−BPDAジアルカリ塩の水溶液
とする。アルカリとして、ナトリウム、カリウム、リチ
ウムなどのアルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化
ナトリウムあるいは水酸化カリウムが水溶液として用い
られる。水酸化カリウムに比べ4,4′−BPDA溶解度の大
きい水酸化ナトリウムの方がより好ましい。
水酸化アルカリの使用量は、二塩基酸である4,4′−B
PDAに対し塩基として少なくとも当量以上を必要とす
る。アルカリ水溶液の濃度は、塩基の規定濃度として、
1.5N以下、好ましくは0.5〜1.2Nの範囲が適する。アル
カリ濃度が約1N以下では4,4′−BPDAはほぼ量論的に溶
解するが、約1Nを超えて濃くすると、かえって溶解度が
低下して好ましくない。また、アルカリ濃度はあまり薄
くても処理する溶液量が多くなって好ましくない。
4,4′−BPDAジアルカリ塩水溶液における4,4′−BPDA
濃度は、使用するアルカリ水溶液の濃度に応じ5〜15重
量%の範囲で適宜選ぶことができる。
4,4′−BPDAジアルカリ塩水溶液は活性炭を用い吸着
処理することが望ましい。また、活性炭処理に先立ち、
ジアルカリ塩水溶液を濾過して不溶分を除くことができ
る。用いる活性炭は粉末でも粒状でもよく、4,4′−BPD
A当り約1〜50重量%の活性炭をジアルカリ塩水溶液に
加え、約15分〜5時間加熱した後濾過して除く。4,4′
−BPDAジアルカリ塩水溶液は活性炭処理することによっ
て着色成分が除去され、最終的にカラー品質が優れてい
るだけなく、実質的に臭素を含まない高純度の4,4′−B
PDA結晶が得られる。単に酸析精製するだけでは有機臭
素化物を完全に除くことができない。
次に本発明の方法においては、活性炭処理した4,4′
−BPDAジアルカリ塩水溶液を高温において酸析処理し、
4,4′−BPDA結晶を析出させる。本発明の方法により固
液分離に際し濾過性に優れた結晶を得るには、特に酸析
の温度が重要であり、好ましい温度範囲は150〜300℃で
あり、より好ましくは160〜270℃である。酸析温度が前
記の範囲より低いと、析出した結晶が微細で濾過性が悪
く、次工程の固液分離操作が極めて困難となる。また、
前記の範囲を超えて温度を高くすることは、エネルギー
的に不利で好ましくない。
酸析に際し圧力は、その温度における溶液の飽和蒸気
圧以上の加圧を必要とする。当然のことながら、高温に
なればなるほど高圧を要する。
なお、一般に微細結晶は、溶媒中で高温に保持して結
晶を成長させることにより粒径を大きくすることができ
るが、4,4′−BPDA結晶には全くこのような効果が認め
られない。高温で結晶を析出させることによってはじめ
て、粒径の大きい濾過性に優れた結晶を得ることができ
る。
酸析に使用する酸の種類は、有機酸、無機酸のいずれ
であってもよい。無機酸としては、硫酸、硝酸、リン
酸、塩酸などの鉱酸が、また有機酸としては、脂肪族カ
ルボン酸が適し、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが例示
される。用いる酸は、酸析温度が高温であるため、装置
材料を腐食する恐れのないものが望ましい。
酸析に用いる酸の濃度は特に限定されないが、装置材
質の腐食の点から高濃度は避けることが望ましい。
酸析に際しPHは、7〜4の範囲に保持する。4,4′−B
PDAを完全に酸析させて回収するには、当然アルカリを
中和してPHを7以下にする必要がある。しかし、前記範
囲よりPHを低くすると、粗4,4′−BPDAに酸化反応の副
生物として含まれる芳香族カルボン酸類の不純物が精製
結晶に残存し高純度の結晶が得られない。この場合特に
有機酸は、PHの低下を気にすることなく好適に用いるこ
とができる。
酸析の方法は、回分式あるいは流通式の何れでも行う
ことができる。4,4′−BPDAジアルカリ塩水溶液に酸を
添加する方法、あるいは酸にジアルカリ塩水溶液を添加
する方法であってもよい。望ましくは、高圧容器中に当
量のジアルカリ塩水溶液と酸を同時に供給して酸析する
方法がよい。この方法によれば、高温容器内で極端な高
PHあるいは低PHになることが避けられ、装置材質の耐蝕
性の上からも望ましい。
酸析工程で得られた4,4′−BPDA結晶のスラリー液
は、通常の固液分離手段により結晶と母液に分離するこ
とができる。固液分離は高められた温度で行なってもよ
い。分離した結晶は必要に応じ水などの洗浄液を用いリ
ンスあるいはリスラリー洗浄することによってアルカリ
を含む母液を除くことができる。
最後に結晶を乾燥することにより、4,4′−BPDAの高
純度精製結晶を得ることができる。
[実施例] 以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例において、4,4′−BPDAの純度および他のカル
ボン酸の分析はガスクロマトグラフ分析法で、金属は灰
化して原子吸光分光法で、臭素は錠剤成形して蛍光X線
分析法で行なった。
ガスクロマトグラフ分析の分析条件は次のとおりであ
る。なお、試料はリン酸トリメチルを用いメチルエステ
ル化したのちガスクロマトグラフにかける。
カラム:Capillary column (シマズCBPI−S25−0.50) キャリヤーガス:窒素 温度:160℃→270℃(5℃/min) 検出器:水素炎イオン化検出器 結晶粒径の測定には、コールターカウンターモデルTA
−II(Coulter Electronics Inc.)を用い、平均粒径で
示した。
実施例1 精製原料の粗4,4′−BPDAとして、4−エチルビフェ
ニルのホルミル化によって製造された4′−エチルビフ
ェニル−4−アルデヒド(EBPAL)を次の方法により酸
化し、4,4′−BPDAを得た。
攪拌装置、還流冷却装置および加熱装置を有する耐圧
チタン製反応器に下記のごとく触媒を溶解した酢酸800
重量部を仕込んでおき、この中に温度200℃、圧力16.5k
g/cm2Gにおいて空気を吹き込みながら、仕込み液と同じ
触媒の酢酸溶液にEBPALを20重量%濃度に溶解した酸化
原料溶液800重量部を連続的に一定速度で60分間供給し
た。この間排ガスの酸素濃度は5%に保つよう空気を吹
き込み、酸化原料溶液のフィードを止めた後も約20間空
気を吹き込んで酸化反応を終えた。ここでは、触媒とし
て酢酸コバルト4水温、酢酸マンガン4水塩および1,1,
2,2−テトラブロモエタンを酢酸(水分1重量%)に溶
解し、溶媒に対しコバルト/マンガン/臭素=500/500/
1000重量ppmの濃度とした。次いで反応器が冷えてから
取り出した酸化反応スラリーを濾過して分離した結晶を
洗浄処理した後、乾燥して粗4,4′−BPDA結晶を得た。
この4,4′−BPDAは純度96.6%であり、主な不純物と
して、テレフタル酸(TPA)、ビフェニル−4−カルボ
ン酸(BPCA)、4′−エチルビフェニル−4−カルボン
酸(EBPCA)、4′−アセチルビフェニル−4−カルボ
ン酸(AcBPCA)、有機臭素化物などが含まれる。(表1
参照) 上記の粗4,4′−BPDA結晶を1N−水酸化ナトリウム水
溶液に5重量%の濃度に溶解した。この溶液に活性炭粉
末を20重量%加えて還流下60分間加熱した後、冷してか
ら濾過して活性炭を除き、4,4′−BPDAジナトリウム塩
水溶液を調製した。
次に、上記の活性炭処理した4,4′−BPDAジナトリウ
ム塩水溶液を、次のごとく酢酸を用い酸析処理した。攪
拌装置および加熱装置を有する耐圧チタン製反応器に10
重量%酢酸水溶液(約1.7N)750重量部を仕込み、温度2
00℃、圧力20kg/cm2Gにおいて上記4,4′−BPDAジナトリ
ウム塩水溶液750重量部を一定速度で30分間かけて送入
した。反応器を冷却し中から取り出したスラリー液をガ
ラスフィルター(細孔記号4、標準最大孔径10〜16μ
m)を用い減圧濾過して4,4′−BPDA結晶を分離した。
この場合濾過母液は、PH4.5であった。
濾過分離した結晶は、純粋でリスラリー化して濾過す
る洗浄操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄した結晶を
加熱乾燥して精製4,4′−BPDAを35.5重量部得た。精製
結晶の回収率は粗結晶の純度を考慮すると98%であっ
た。精製結晶の平均粒径は47μmであり、一連の固液分
離操作における結晶の濾過性は極めて良好であった。精
製結晶の性状を表1(その1)に示す。
実施例2〜3 実施例1における酸析温度を、各々、実施例2では25
0℃、実施例3では170℃とした以外は、実施例1と全く
同様に行なって精製結晶を得た。固液分離操作における
結晶の濾過性は良好であり、得られた精製結晶を性状は
表1(その1)に示す。
比較例1 実施例1における酸析温度を140℃とした以外は、実
施例1と全く同様に操作した。しかし、酸析結晶は粒径
が細かく、取り出したスラリー液の濾過性が悪く、ガラ
スフィルター(細孔記号4、標準最大孔径10〜16μm)
による減圧濾過に長時間を要した。しかも結晶の洗浄が
十分できなかったために、精製結晶のナトリウム含量が
高かった。得られた精製結晶の性状を表1(その2)に
示す。
因みに室温で酸析を行った場合には、得られたスラリ
ー液はクリーム状となり、実質的に濾過分離できないも
のとなった。
実施例4〜5 実施例1における酸析の酸を、各々、実施例4ではギ
酸(10重量%水溶液、約2.2N)750重量部、および実施
例5ではプロピオン酸(10重量%水溶液、約1.4N)750
重量部を用いた以外は、実施例1と全く同様に行なって
精製結晶を得た。固液分離操作における結晶の濾過性は
良好であった。得られた精製結晶の性状を表1(その
2)に示す。
実施6 実施例1の粗4,4′−BPDAを1N−水酸化ナトリウム水
溶液に7重量%の濃度に溶解し、実施例1と同様に活性
炭処理して4,4′−BPDAジナトリウム塩水溶液を調製し
た。この4,4′−BPDAジナトリウム塩水溶液および10重
量%酢酸水溶液を用い、次のごとく連続的に酸析反応を
行なって4,4′−BPDAの精製結晶を得た。
攪拌装置および加熱装置を備えた耐圧チタン製反応器
に、温度200℃、圧力20kg/cm2Gにおいて上記の活性炭処
理したジナトリウム塩水溶液並びに10重量%酢酸水溶液
を、各々別の供給口から1時間当たり1000重量部の速度
で連続的に供給する一方、酸析した結晶スラリー液を平
均滞留時間が30分の割合で排出口から晶析槽に連続的に
抜き出した。得られた4,4′−BPDAスラリー液を、ポリ
プロピレン製濾布(1,000メッシュ)を備えたバスケッ
ト型遠心分離機(国産遠心機、3,000rpm、1,500G)を用
いて濾過分離すると共に、分離した結晶は純水により洗
浄した。この結晶を加熱乾燥して精製4,4′−BPDAを得
た。精製結晶の回収率は、98%以上であった。精製結晶
の平均粒径は48μmであり、一連の固液分離操作におけ
る結晶の濾過性は極めて良好であった。精製結晶の性状
を表2に示す。
実施例7 実施例6の活性炭処理した4,4′−BPDAジナトリウム
塩水溶液(4,4′−BPDA濃度7重量%)および1N−塩酸
水溶液を用い、実施例6のチタン製反応器において次の
ごとく連続的に酸析反応を行なった。
温度200℃、圧力20kg/cm2Gにおいて反応器に、上記の
4,4′−BPDAジナトリウム塩水溶液を1時間当たり1000
重量部供給する一方、1N−塩酸水溶液を1時間当たり概
略930重量部の割合で、酸析スラリーの濾過母液がPH7以
下4以上を保つよう調節しながら供給した。一方、排出
口からは平均滞留時間30分になるよう酸析スラリー液を
晶析槽に連続的に抜き出した。得られた4,4′−BPDAス
ラリー液について、実施例6と同様に固液分離および洗
浄処理操作処理し、得られた結晶を乾燥して精製4,4′
−BPDAを得た。その性状を表2に示す。
比較例2 実施例7において、1N−塩酸水溶液の供給量の調節を
誤りその供給量が増え、酸析スラリーの濾過母液のPHが
2となった。この場合、得られた酸析結晶のスラリー液
の濾過性は良好であったが、テレフタル酸(TPA)、
4′−アセチルビフェニル−4−カルボン酸(AcBPCA)
などの不純物の精製が十分でなく、4,4′−BPDAの純度
が低いものであった。その性状を表2に示す。
実施例8 実施例6の活性炭処理した4,4′−BPDAジナトリウム
塩水溶液(4,4′−BPDA濃度7重量%)および1N−硫酸
水溶液を用い、実施例7と同様に操作して連続酸析反応
を行ない、4,4′−BPDAの精製結晶を得た。その性状を
表2に示す。
[発明の効果] 本発明の方法によれば、粗4,4′−BPDA結晶を4,4′−
BPDAジアルカリ塩水溶液となし次いで酸析させて精製す
るに際し、温度150〜300℃の高温において酸析すること
により、酸析結晶は固液分離手段の適用できる濾過性に
優れたものとなる。また、酸析時のPHを7〜4に保持す
ることにより、不純物の極めて少ない結晶が得られる。
さらに、粗4,4′−BPDAジアルカリ塩水溶液を活性炭処
理して酸析することにより、実質的に臭素を含まないカ
ラー品質の優れた高純度4,4′−BPDAが得られる。
かかる本発明の方法により製造される高純度4,4′−B
PDAは、ポリマー原料として好適に使用できるものであ
る。
本発明の方法により、高価な溶媒を用いることなく、
工業的に極めて有利に、かつ、容易に高純度4,4′−BPD
Aを製造することができ、本発明の工業的意義は極めて
大きい。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4,4′−ビフェニルジカルボン酸をジアル
    カリ塩水溶液となし、該4,4′−ビフェニルジカルボン
    酸ジアルカリ塩水溶液から4,4′−ビフェニルジカルボ
    ン酸結晶をPHが7〜4、温度150〜300℃の範囲において
    酸析させることを特徴とする4,4′−ビフェニルジカル
    ボン酸の精製方法。
  2. 【請求項2】酸析に用いる酸が脂肪族カルボン酸である
    請求項1に記載の4,4′−ビフェニルジカルボン酸の精
    製方法。
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