JP2917462B2 - 4,4’―ジフェニルジカルボン酸の精製方法 - Google Patents
4,4’―ジフェニルジカルボン酸の精製方法Info
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- JP2917462B2 JP2917462B2 JP21396390A JP21396390A JP2917462B2 JP 2917462 B2 JP2917462 B2 JP 2917462B2 JP 21396390 A JP21396390 A JP 21396390A JP 21396390 A JP21396390 A JP 21396390A JP 2917462 B2 JP2917462 B2 JP 2917462B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は4,4′−ジフェニルジカルボン酸(以下、4,
4′−DDCAと略記する)の精製方法に関する。更に詳し
くは、本発明は粗4,4′−DDCAを塩基と反応させて塩を
析出させ、析出した塩を分離し、分解して遊離酸に戻す
ことによる4,4′−DDCAの精製方法に関する。
4′−DDCAと略記する)の精製方法に関する。更に詳し
くは、本発明は粗4,4′−DDCAを塩基と反応させて塩を
析出させ、析出した塩を分離し、分解して遊離酸に戻す
ことによる4,4′−DDCAの精製方法に関する。
[従来の技術] 4,4′−DDCAは、耐熱性や高強度といった優れた物理
的性質を示すポリエステル樹脂やポリアミド樹脂など、
さらには高機能性樹脂として注目されている液晶ポリマ
ーを製造するための原料モノマーとして有用な物質であ
る。
的性質を示すポリエステル樹脂やポリアミド樹脂など、
さらには高機能性樹脂として注目されている液晶ポリマ
ーを製造するための原料モノマーとして有用な物質であ
る。
従来、4,4′−DDCAの製造方法としては、 (1)フェナントレンを酸化して得られるジフェン酸
(2,2′−ジフェニルジカルボン酸)もしくはその塩を
異性化する方法、 (2)p−ハロゲノ安息香酸を脱ハロゲン二量化する方
法、 (3)p−ハロゲノトルエンを脱ハロゲン二量化して4,
4′−ジメチルビフェニルとなし、これを酸化する方
法、 (4)4,4′−ジアルキルビフェニルまたはその酸化中
間体を分子状酸素により酸化する方法、 などが知られている。
(2,2′−ジフェニルジカルボン酸)もしくはその塩を
異性化する方法、 (2)p−ハロゲノ安息香酸を脱ハロゲン二量化する方
法、 (3)p−ハロゲノトルエンを脱ハロゲン二量化して4,
4′−ジメチルビフェニルとなし、これを酸化する方
法、 (4)4,4′−ジアルキルビフェニルまたはその酸化中
間体を分子状酸素により酸化する方法、 などが知られている。
ところが、これらの方法で得た粗4,4′−DDCAは、未
反応物、反応中間体、副生成物、着色物質、さらには合
成反応に用いた触媒の金属成分などの不純物を多量に含
有し、ポリマー原料として使用するには品質が不十分で
あり、精製してこのような不純物を除去する必要があっ
た。
反応物、反応中間体、副生成物、着色物質、さらには合
成反応に用いた触媒の金属成分などの不純物を多量に含
有し、ポリマー原料として使用するには品質が不十分で
あり、精製してこのような不純物を除去する必要があっ
た。
しかし、4,4′−DDCAは種々の有機溶媒に溶け難いの
で、再結晶法や再沈殿法による精製が困難である。ま
た、溶解し得たとしても溶解に多量の溶媒が必要となる
ので、経済的に不利である。そのため、現状では、酸析
法で4,4′−DDCAを分離し、これを多量の煮沸メタノー
ルで処理して実用に供している。しかし、この方法で処
理された4,4′−DDCAは、その不純物含有量が依然とし
て高いため、その改良が望まれていた。
で、再結晶法や再沈殿法による精製が困難である。ま
た、溶解し得たとしても溶解に多量の溶媒が必要となる
ので、経済的に不利である。そのため、現状では、酸析
法で4,4′−DDCAを分離し、これを多量の煮沸メタノー
ルで処理して実用に供している。しかし、この方法で処
理された4,4′−DDCAは、その不純物含有量が依然とし
て高いため、その改良が望まれていた。
4,4′−ジフェニルジカルボン酸のその他の精製方法
としては、粗4,4′−DDCAをアルカリ水溶液に溶解して
4,4′−DDCAのジアルカリ塩水溶液を生成させ、その水
溶液を濾過した後、炭酸ガスを作用させて析出した4,
4′−DDCAのモノアルカリ塩を分離し、洗浄後、不均化
または酸析により精製4,4′−DDCAを遊離回収する方法
(特開昭58−85841号公報)、およびジメチルスルホキ
シドを溶媒として粗4,4′−DDCAを再結晶または再沈殿
させて精製する方法(特開昭57−149244号公報)も提案
されている。
としては、粗4,4′−DDCAをアルカリ水溶液に溶解して
4,4′−DDCAのジアルカリ塩水溶液を生成させ、その水
溶液を濾過した後、炭酸ガスを作用させて析出した4,
4′−DDCAのモノアルカリ塩を分離し、洗浄後、不均化
または酸析により精製4,4′−DDCAを遊離回収する方法
(特開昭58−85841号公報)、およびジメチルスルホキ
シドを溶媒として粗4,4′−DDCAを再結晶または再沈殿
させて精製する方法(特開昭57−149244号公報)も提案
されている。
しかし、特開昭58−85841号公報の方法は工程が複雑
なので設備費が高くなるという問題がある。
なので設備費が高くなるという問題がある。
また、特開昭57−149244号公報の方法は、再結晶特媒
として用いるジメチルスルホキシドの使用量が、4,4′
−DDCA1重量部に対して7〜25重量部と多量を必要とす
る上、ジメチルスルホキシドが140℃以上で分解するの
で高温での使用が制限され、またこの溶媒が比較的高価
である等の欠点がある。
として用いるジメチルスルホキシドの使用量が、4,4′
−DDCA1重量部に対して7〜25重量部と多量を必要とす
る上、ジメチルスルホキシドが140℃以上で分解するの
で高温での使用が制限され、またこの溶媒が比較的高価
である等の欠点がある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、従来の上記精製法の欠点を克服し、
安価で容易に入手できる材料を用いて、簡単な工程で高
品質の4,4′−DDCAを高収率で回収できる4,4′−DDCAの
精製方法を提供することである。
安価で容易に入手できる材料を用いて、簡単な工程で高
品質の4,4′−DDCAを高収率で回収できる4,4′−DDCAの
精製方法を提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、ポリマー原料として好適な高品質の4,
4′−DDCAを効率的に得ることのできる精製方法につい
て鋭意検討した。
4′−DDCAを効率的に得ることのできる精製方法につい
て鋭意検討した。
その結果、2塩基酸である粗4,4′−DDCAを塩基性有
機溶剤であるモノエタノールアミン(以下、MEAと略記
する)に溶解して反応させ、両者の塩を形成させた場
合、MEAの反応挙動は、ジフェニルジカルボン酸(特
に、4,4′−DDCA)とジフェニルモノカルボン酸との間
で顕著な差を示し、4,4′−DDCAと選択的に安定な塩を
形成するばかりでなく、ジフェニルジカルボン酸の異性
体間においても、2,2′一体などの他の異性体に比べて
4,4′−DDCAと選択的に安定なMEA塩を形成するという予
想外の知見を得た。
機溶剤であるモノエタノールアミン(以下、MEAと略記
する)に溶解して反応させ、両者の塩を形成させた場
合、MEAの反応挙動は、ジフェニルジカルボン酸(特
に、4,4′−DDCA)とジフェニルモノカルボン酸との間
で顕著な差を示し、4,4′−DDCAと選択的に安定な塩を
形成するばかりでなく、ジフェニルジカルボン酸の異性
体間においても、2,2′一体などの他の異性体に比べて
4,4′−DDCAと選択的に安定なMEA塩を形成するという予
想外の知見を得た。
さらに研究を進めた結果、粗4,4′−DDCAとMEAとの
反応による4,4−DDCAのMEA塩(以下、単にMEA塩と呼ぶ
ことがある)の形成は、MEA中のスラリー状態のままで
も十分に進行すること、およびMEAと相溶性である
が、4,4′−DDCAおよび生成したMEA塩を溶解し難い有機
溶媒を希釈剤として使用すると、この希釈剤存在下での
撹拌操作により、反応成分間の接触がよくなり、MEA塩
形成反応が円滑に進行する上、MEAの使用量が低減し
て、MEA塩の溶解損失が抑制できることを見出し、本発
明を完成した。
反応による4,4−DDCAのMEA塩(以下、単にMEA塩と呼ぶ
ことがある)の形成は、MEA中のスラリー状態のままで
も十分に進行すること、およびMEAと相溶性である
が、4,4′−DDCAおよび生成したMEA塩を溶解し難い有機
溶媒を希釈剤として使用すると、この希釈剤存在下での
撹拌操作により、反応成分間の接触がよくなり、MEA塩
形成反応が円滑に進行する上、MEAの使用量が低減し
て、MEA塩の溶解損失が抑制できることを見出し、本発
明を完成した。
ここに、本発明は、「粗4,4′−ジフェニルジカルボ
ン酸(4,4′−DDCA)をモノエタノールアミン(MEA)と
溶液状又はスラリー状で反応させて該カルボン酸のモノ
エタノールアミン塩を生成させ、析出した塩を分離して
水で分解した後、酸析により4,4′−ジフェニルジカル
ボン酸を遊離させて回収することを特徴とする、4,4′
−ジフェニルジカルボン酸の精製方法」を要旨とする。
ン酸(4,4′−DDCA)をモノエタノールアミン(MEA)と
溶液状又はスラリー状で反応させて該カルボン酸のモノ
エタノールアミン塩を生成させ、析出した塩を分離して
水で分解した後、酸析により4,4′−ジフェニルジカル
ボン酸を遊離させて回収することを特徴とする、4,4′
−ジフェニルジカルボン酸の精製方法」を要旨とする。
好適態様にあっては、粗4,4′−DDCAとMEAとの反応
を、MEAと相溶性で、かつ4,4′−DDCAおよびMEA塩を溶
解し難い有機溶媒の存在下又は不存在下に行う。
を、MEAと相溶性で、かつ4,4′−DDCAおよびMEA塩を溶
解し難い有機溶媒の存在下又は不存在下に行う。
分離したMEA塩は、水で分解する前に、必要であれば
この塩を溶解し難い有機溶剤で洗浄することができる。
この塩を溶解し難い有機溶剤で洗浄することができる。
[作用] 以下、本発明をその作用と共に詳細に説明する。
本発明の原料に供する粗4,4′−DDCAは、いかなる方
法で製造されたものでもよく、例えば、前述の(1)〜
(4)の方法などで製造したものを用いることができ
る。
法で製造されたものでもよく、例えば、前述の(1)〜
(4)の方法などで製造したものを用いることができ
る。
本発明においては、まず粗4,4′−DDCAとMEAとを、溶
液状又はスラリー状で撹拌接触させることによって反応
させる。これにより4,4′−DDCAのMEA塩が容易に生成す
る。
液状又はスラリー状で撹拌接触させることによって反応
させる。これにより4,4′−DDCAのMEA塩が容易に生成す
る。
上述したように、MEAは4,4′−DDCAと選択的に反応し
てMEA塩を形成し、この塩はMEA中での溶解度が比較的小
さく、かつMEA中で安定なため、冷却すると大部分がMEA
から析出する。一方、不純物である他のジフェニルジカ
ルボン酸の異性体類(例、2,2′−DDCA)やジフェニル
モノカルボン酸類はMEAと反応して塩を形成するが、生
成した塩は安定性に乏しく、大部分がMEA中に溶解し、
冷却しても溶液状態にとどまる。それにより、4,4′−D
DCAと不純物との分離が可能になる。
てMEA塩を形成し、この塩はMEA中での溶解度が比較的小
さく、かつMEA中で安定なため、冷却すると大部分がMEA
から析出する。一方、不純物である他のジフェニルジカ
ルボン酸の異性体類(例、2,2′−DDCA)やジフェニル
モノカルボン酸類はMEAと反応して塩を形成するが、生
成した塩は安定性に乏しく、大部分がMEA中に溶解し、
冷却しても溶液状態にとどまる。それにより、4,4′−D
DCAと不純物との分離が可能になる。
反応剤のMEAの使用量は、粗4,4′−DDCAを中和するに
足りる量、即ち、化学量論的には粗4,4′−DDCA中の4,
4′−DDCAに対して2倍モル以上であればよいが、反応
時の接触効率や上述した不純物の分離効果を考慮する
と、4,4′−DDCAの3倍モル以上が好ましい。
足りる量、即ち、化学量論的には粗4,4′−DDCA中の4,
4′−DDCAに対して2倍モル以上であればよいが、反応
時の接触効率や上述した不純物の分離効果を考慮する
と、4,4′−DDCAの3倍モル以上が好ましい。
この量が2倍モル未満では、MEA塩形成に寄与するMEA
量が不足して、4,4′−DDCAを実質的に完全にMEA塩に転
化させることができず、最終的に回収される精製4,4′
−DDCAの純度および回収率が著しく低下する。
量が不足して、4,4′−DDCAを実質的に完全にMEA塩に転
化させることができず、最終的に回収される精製4,4′
−DDCAの純度および回収率が著しく低下する。
MEA量が多い場合には、粗4,4′−DDCAとMEAとを混合
して加熱攪拌すると、均一溶液を形成する。これを室温
まで冷却すると、4,4′−DDCAのMEA塩が選択的に析出す
る。粗4,4′−DDCAを完全に溶解させるのに必要なMEAの
量は、粗4,4′−DDCAの純度や溶解温度により異なる
が、粗4,4′−DDCAに対してほぼ1〜3重量倍(モル比
で約4〜12倍)以上である。
して加熱攪拌すると、均一溶液を形成する。これを室温
まで冷却すると、4,4′−DDCAのMEA塩が選択的に析出す
る。粗4,4′−DDCAを完全に溶解させるのに必要なMEAの
量は、粗4,4′−DDCAの純度や溶解温度により異なる
が、粗4,4′−DDCAに対してほぼ1〜3重量倍(モル比
で約4〜12倍)以上である。
MEA量が多すぎると、塩形成に消費されない未反応のM
EA量が増え、MEAの回収コストが増大する上、MEAは溶媒
でもあるため、MEA量が多いほどMEAに溶解するMEA塩の
量が増大し、4,4′−DDCAの損失を招く。その意味でMEA
の使用量は、粗4,4′−DDCAに対して6重量倍以下が適
当である。
EA量が増え、MEAの回収コストが増大する上、MEAは溶媒
でもあるため、MEA量が多いほどMEAに溶解するMEA塩の
量が増大し、4,4′−DDCAの損失を招く。その意味でMEA
の使用量は、粗4,4′−DDCAに対して6重量倍以下が適
当である。
上記の如く比較的多量のMEAを使用して4,4′−DDCAを
MEA中の溶液状態で反応させてMEA塩を形成する代わり
に、粗4,4′−DDCAの完全溶解に必要な量より少量のMEA
を使用し、4,4′−DDCAをスラリー状態でMEAと反応させ
てMEA塩を形成することもできる。この方法は、上述し
た多量のMEAの使用に伴う弊害を避けることができる点
で有利であり、溶液状態で反応させた場合に比べて精製
物を高い収率で回収することができる。
MEA中の溶液状態で反応させてMEA塩を形成する代わり
に、粗4,4′−DDCAの完全溶解に必要な量より少量のMEA
を使用し、4,4′−DDCAをスラリー状態でMEAと反応させ
てMEA塩を形成することもできる。この方法は、上述し
た多量のMEAの使用に伴う弊害を避けることができる点
で有利であり、溶液状態で反応させた場合に比べて精製
物を高い収率で回収することができる。
ただし、MEA塩形成工程でMEAの使用量がある程度以下
に減少すると、別の有機溶媒を存在させない場合には反
応媒質の量が少なくなりすぎて、粗4,4′−DDCAとMEA
との接触が悪く、反応が不完全で終わり、4,4′−DDCA
の純度、回収率とも低下し、また生成したMEA塩のス
ラリーの粘度が高くなり、MEA塩に付着するMEA液(これ
には不純物が溶解している)の量が多くなるため、MEA
塩の分離操作が因難となり、分離したMEA塩の純度も低
下する、という問題を生ずる。
に減少すると、別の有機溶媒を存在させない場合には反
応媒質の量が少なくなりすぎて、粗4,4′−DDCAとMEA
との接触が悪く、反応が不完全で終わり、4,4′−DDCA
の純度、回収率とも低下し、また生成したMEA塩のス
ラリーの粘度が高くなり、MEA塩に付着するMEA液(これ
には不純物が溶解している)の量が多くなるため、MEA
塩の分離操作が因難となり、分離したMEA塩の純度も低
下する、という問題を生ずる。
このような場合には、MEAと相溶性を有するが、4,4′
−DDCAおよびMEA塩を溶解し難い有機溶媒を希釈剤とし
て使用することにより、上記の問題を避けることができ
る。即ち、かかる希釈剤の共存により、スラリー状での
反応成分間の接触が改善されて反応が円滑に進行し、反
応収率が向上すると共に、スラリーの粘度が低下するの
で、MEA塩の分離も容易となる。
−DDCAおよびMEA塩を溶解し難い有機溶媒を希釈剤とし
て使用することにより、上記の問題を避けることができ
る。即ち、かかる希釈剤の共存により、スラリー状での
反応成分間の接触が改善されて反応が円滑に進行し、反
応収率が向上すると共に、スラリーの粘度が低下するの
で、MEA塩の分離も容易となる。
希釈剤としては、MEAと相特性を有し、4,4′−DDCAお
よびMEA塩を溶解し難い任意の有機溶媒を使用すること
ができる。好適な有機溶媒の例としては、炭素数1〜4
のアルコール類やハロゲン化炭化水素を挙げることがで
きる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、t−ブタノール、ジクロロメタン、1−クロ
ロプロパン、2−クロロプロパン、クロロホルム、四塩
化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、
1,1−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,
1−トリクロロエタン等が例示される。
よびMEA塩を溶解し難い任意の有機溶媒を使用すること
ができる。好適な有機溶媒の例としては、炭素数1〜4
のアルコール類やハロゲン化炭化水素を挙げることがで
きる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、t−ブタノール、ジクロロメタン、1−クロ
ロプロパン、2−クロロプロパン、クロロホルム、四塩
化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、
1,1−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,
1−トリクロロエタン等が例示される。
これらの希釈剤はMEA塩形成に特に影響を及ぼさない
ので、その使用量は特に制限されないが、あまり多すぎ
ると経済的に不利である。好ましい希釈用有機溶媒の使
用量は、粗4,4′−DDCAに対して重量比で0.5〜4倍量の
範囲内である。
ので、その使用量は特に制限されないが、あまり多すぎ
ると経済的に不利である。好ましい希釈用有機溶媒の使
用量は、粗4,4′−DDCAに対して重量比で0.5〜4倍量の
範囲内である。
一般に、MEAの使用量が4,4′−DDCAに対して1重量倍
(約4倍モル)以下の場合には、このような希釈剤を用
いることが特に好ましいが、MEAの使用量がそれ以上の
場合(溶液状での反応も含む)にも、MEA塩の溶解損失
を抑制するために上記のような希釈用溶媒を使用するこ
とができる。
(約4倍モル)以下の場合には、このような希釈剤を用
いることが特に好ましいが、MEAの使用量がそれ以上の
場合(溶液状での反応も含む)にも、MEA塩の溶解損失
を抑制するために上記のような希釈用溶媒を使用するこ
とができる。
反応温度は特に制限されない。MEAの使用量にもよる
が、温度が100℃近くなると4,4′−DDCAはMEAに溶解し
易くなる。溶液状態で反応させる場合、MEAの使用量が
上記適正範囲内であれば、反応温度は一般に100〜150℃
の範囲内が好ましい。この場合の反応時間は、粗4,4′
−DDCAがMEA中に完全に溶解すれば十分であり、スラリ
ー状での反応に比べて一般に反応時間は短くてよい。
が、温度が100℃近くなると4,4′−DDCAはMEAに溶解し
易くなる。溶液状態で反応させる場合、MEAの使用量が
上記適正範囲内であれば、反応温度は一般に100〜150℃
の範囲内が好ましい。この場合の反応時間は、粗4,4′
−DDCAがMEA中に完全に溶解すれば十分であり、スラリ
ー状での反応に比べて一般に反応時間は短くてよい。
スラリー状で反応させる場合には、4,4′−DDCAをMEA
に溶解させる必要がないので、反応温度は通常は100℃
以下、例えば、40〜90℃で十分である。この場合の反応
時間は、温度や反応成分間の接触状況にもよるが、通常
は30分〜数時間程度である。
に溶解させる必要がないので、反応温度は通常は100℃
以下、例えば、40〜90℃で十分である。この場合の反応
時間は、温度や反応成分間の接触状況にもよるが、通常
は30分〜数時間程度である。
希釈用の有機溶媒を共存させる場合には、この溶媒の
沸点以下の温度が好ましい。そうすれば、この溶媒の自
生圧が発生せず、加圧容器を使用する必要がないので、
設備費が安くすみ、また反応提作も容易となる。
沸点以下の温度が好ましい。そうすれば、この溶媒の自
生圧が発生せず、加圧容器を使用する必要がないので、
設備費が安くすみ、また反応提作も容易となる。
こうして、4,4′−DDCAのMEA塩を含有する溶液又はス
ラリーが得られる。これを冷却してMEA塩を可及的に析
出させた後、これから公知の固液分離法、例えば、濾
過、遠心分離、遠心沈降などの方法でMEA塩を分離す
る。
ラリーが得られる。これを冷却してMEA塩を可及的に析
出させた後、これから公知の固液分離法、例えば、濾
過、遠心分離、遠心沈降などの方法でMEA塩を分離す
る。
粗4,4′−DDCAに含まれていた4,4′−DDCA以外のジフ
ェニルジカルボン酸の異性体およびジフェニルモノカル
ボン酸類は、上述したようにMEA塩を形成しても、大部
分がMEA中で溶解状態にとどまる。これに対して、4,4′
−DDCAのMEA塩はMEA単独あるいはMEAと上記有機溶剤と
の混合媒質中での溶解度が小さく、優先的に析出物とな
る。こうして、不純物を溶解状態に残したまま、4,4′
−DDCAのMEA塩を分離することができる。この点が、本
発明の重要な特徴である。
ェニルジカルボン酸の異性体およびジフェニルモノカル
ボン酸類は、上述したようにMEA塩を形成しても、大部
分がMEA中で溶解状態にとどまる。これに対して、4,4′
−DDCAのMEA塩はMEA単独あるいはMEAと上記有機溶剤と
の混合媒質中での溶解度が小さく、優先的に析出物とな
る。こうして、不純物を溶解状態に残したまま、4,4′
−DDCAのMEA塩を分離することができる。この点が、本
発明の重要な特徴である。
分離したMEA塩は、有機不純物および無機不純物を殆
ど含有しない高品質の4,4′−DDCAとMEAとから形成され
る塩であるが、塩に付着するMEAは十分に除去しておく
ことが望ましい。
ど含有しない高品質の4,4′−DDCAとMEAとから形成され
る塩であるが、塩に付着するMEAは十分に除去しておく
ことが望ましい。
MEAが付着していると、次工程でMEA塩を分解するため
に水に溶解させた時、付着したMEA中に溶解していた有
機不純物および無機不純物が溶出して、酸析法で析出す
る4,4′−DDCAを汚染することになる。
に水に溶解させた時、付着したMEA中に溶解していた有
機不純物および無機不純物が溶出して、酸析法で析出す
る4,4′−DDCAを汚染することになる。
この分離したMEA塩に付着するMEAを除去する方法とし
ては、MEA塩を溶解し難い有機溶剤で洗浄するのがよ
い。
ては、MEA塩を溶解し難い有機溶剤で洗浄するのがよ
い。
使用する溶剤としては、上に希釈用有機溶媒として列
挙した、炭素数1〜4のアルコール類およびハロゲン化
炭化水素のいずれもが適する。ただし、水溶性であるア
ルコール類の方が、次工程のMEA塩の水中での分解時に
水に溶け、容易に除去できることから、実際的には好ま
しい。
挙した、炭素数1〜4のアルコール類およびハロゲン化
炭化水素のいずれもが適する。ただし、水溶性であるア
ルコール類の方が、次工程のMEA塩の水中での分解時に
水に溶け、容易に除去できることから、実際的には好ま
しい。
洗浄操作は、使用溶剤の沸点以下でMEA塩と溶剤とを
攪拌混合した後、塩を固液分離する。洗浄用の溶剤の使
用量は、MEA塩量に対して0.5重量倍以上あればよく、好
ましくは1〜6重量倍である。このような洗浄操作によ
り、本発明の精製効果を一層高めることができる。
攪拌混合した後、塩を固液分離する。洗浄用の溶剤の使
用量は、MEA塩量に対して0.5重量倍以上あればよく、好
ましくは1〜6重量倍である。このような洗浄操作によ
り、本発明の精製効果を一層高めることができる。
MEA塩を分離した濾液や洗浄後の洗浄液からは、再使
用のためにMEAや溶媒を回収することができる。
用のためにMEAや溶媒を回収することができる。
次に分離したMEA塩を分解して4,4′−DDCAを遊離させ
る。MEA塩は熱に対して安定であるので、加熱して熱分
解を起こさせることが困難である。しかし、この塩は水
で容易に分解(解離)して4,4′−DDCAイオンとなり、
しかもこのイオンはMEAが溶けている水溶液中でも高い
溶解度を示し、4,4′−DDCAイオンの高濃度の溶液を得
ることができることが判明した。従って、本発明におい
ては、MEA塩を水で分解し、溶解させる方法を採用する
ことによって、MEA塩生成後の処理を極めてスムースに
行うことができる。これも本発明の大きな特徴の一つで
ある。
る。MEA塩は熱に対して安定であるので、加熱して熱分
解を起こさせることが困難である。しかし、この塩は水
で容易に分解(解離)して4,4′−DDCAイオンとなり、
しかもこのイオンはMEAが溶けている水溶液中でも高い
溶解度を示し、4,4′−DDCAイオンの高濃度の溶液を得
ることができることが判明した。従って、本発明におい
ては、MEA塩を水で分解し、溶解させる方法を採用する
ことによって、MEA塩生成後の処理を極めてスムースに
行うことができる。これも本発明の大きな特徴の一つで
ある。
水の使用量は、MEA塩を完全に溶解させるには、室温
でも3重量倍以上あればよいが、水が少ないと、次工程
で酸析により4,4′−DDCAが遊離して生ずる水スラリー
濃度が高くなりすぎ、粘度が上昇し、析出した結晶の分
散性や濾過性が悪くなる。これを防ぐには、MEA塩に対
して10重量倍以上の水を使用することが適当である。
でも3重量倍以上あればよいが、水が少ないと、次工程
で酸析により4,4′−DDCAが遊離して生ずる水スラリー
濃度が高くなりすぎ、粘度が上昇し、析出した結晶の分
散性や濾過性が悪くなる。これを防ぐには、MEA塩に対
して10重量倍以上の水を使用することが適当である。
このようにMEA塩の溶解度が高いことから、水による
分解は室温で十分に可能であるが、温度は特に限定され
ない。分解は、MEA塩が水中に溶解すれば完了してい
る。
分解は室温で十分に可能であるが、温度は特に限定され
ない。分解は、MEA塩が水中に溶解すれば完了してい
る。
その後、得られた水溶液に硫酸または塩酸のような鉱
酸を加えてpHを2〜3程度に調整することにより酸析を
行う。この酸析により、MEA塩の水中での解離により生
成した4,4′−DDCAイオンは遊離の4,4′−DDCAに転化
し、水溶液から析出する。
酸を加えてpHを2〜3程度に調整することにより酸析を
行う。この酸析により、MEA塩の水中での解離により生
成した4,4′−DDCAイオンは遊離の4,4′−DDCAに転化
し、水溶液から析出する。
ここで、酸析操作を行う前に、MEA塩の水溶液中に不
溶物質があれば、濾過などにより除去すればよい。ま
た、この水溶液の着色が著しい場合には、活性炭を添
加、加熱して脱色処理すればよい。勿論、水溶液の着色
が少ない場合には、活性炭を使用せず、そのまま酸析操
作を行ってもよい。
溶物質があれば、濾過などにより除去すればよい。ま
た、この水溶液の着色が著しい場合には、活性炭を添
加、加熱して脱色処理すればよい。勿論、水溶液の着色
が少ない場合には、活性炭を使用せず、そのまま酸析操
作を行ってもよい。
酸析も室温でごく短時間に完了する。こうしてpH2〜
3の酸析により沈澱として遊離させた高品質の4,4′−D
DCAは、上述したような適当な手段で固液分離後、水な
どで洗浄し、乾燥して、回収する。
3の酸析により沈澱として遊離させた高品質の4,4′−D
DCAは、上述したような適当な手段で固液分離後、水な
どで洗浄し、乾燥して、回収する。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、%は特に指定しない限り重量%であ
る。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、%は特に指定しない限り重量%であ
る。
なお、製品の純度および不純物の含有量の分析は以下
の方法に従って行った。
の方法に従って行った。
(1)4,4′−DDCAの純度 高速液体クロマトグラフ分析法により、以下のいずれ
かの条件下で分析した。
かの条件下で分析した。
条件A(実施例1〜5で使用) カラム:Bio Fine RPC−PO(内径6mm×長さ150mm) カラム温度:40℃ 溶離液:メタノール/0.3M 酢酸アンモニウム(70/30容
量比) 流速:0.5ml/min 検出波長:254nm 内部標準物質:マレイン酸 試料:7mg/7ml[DMF],1μl注入 条件B(実施例6〜9で使用) カラム:Zorbax ODS(内径4.6mm×長さ25cm) 移動相:メタノール/0.1%リン酸水溶液(60/40→100/0
勾配溶離) 流速:1.0ml/min 検出波長:254nm 内部標準物質:マレイン酸 試料:30mg/30ml[DMF],2μl注入 (2)重金属(コバルト、マンガン)の分析 灰化−ICP法 (3)アルカリ金属(ナトリウム、カリウム)の分析 灰化−原子吸光法 (4)臭素分析 石英管燃焼−イオンクロマトグラフ法 実施例1 p−ブロモ安息香酸40g、5%水酸化ナトリウム水溶
液480gおよびメタノール200mlを1容ガラス製オート
クレーブ中に仕込み、これに触媒として5重量%パラジ
ウム担持カーボン(エヌ・イー・ケムキャット社製品)
を5g加えた後、攪拌下、90℃で3時間反応させた。
量比) 流速:0.5ml/min 検出波長:254nm 内部標準物質:マレイン酸 試料:7mg/7ml[DMF],1μl注入 条件B(実施例6〜9で使用) カラム:Zorbax ODS(内径4.6mm×長さ25cm) 移動相:メタノール/0.1%リン酸水溶液(60/40→100/0
勾配溶離) 流速:1.0ml/min 検出波長:254nm 内部標準物質:マレイン酸 試料:30mg/30ml[DMF],2μl注入 (2)重金属(コバルト、マンガン)の分析 灰化−ICP法 (3)アルカリ金属(ナトリウム、カリウム)の分析 灰化−原子吸光法 (4)臭素分析 石英管燃焼−イオンクロマトグラフ法 実施例1 p−ブロモ安息香酸40g、5%水酸化ナトリウム水溶
液480gおよびメタノール200mlを1容ガラス製オート
クレーブ中に仕込み、これに触媒として5重量%パラジ
ウム担持カーボン(エヌ・イー・ケムキャット社製品)
を5g加えた後、攪拌下、90℃で3時間反応させた。
次に、この反応液を濾過して触媒を除去し、濾液から
メタノールを留去後、硫酸を加えてpHを約2.0に調整す
ることにより4,4′−ジフェニルジカルボン酸(4,4′−
DDCA)の結晶を酸析させた。酸析後、濾別した結晶を蒸
留水で十分に洗浄し、乾燥することにより粗4,4′−DDC
Aを21.7g得た。この粗製物の純度は92.84%であり、そ
のナトリウムおよび臭素元素の含有量はそれぞれ75ppm
および1300ppmであった。
メタノールを留去後、硫酸を加えてpHを約2.0に調整す
ることにより4,4′−ジフェニルジカルボン酸(4,4′−
DDCA)の結晶を酸析させた。酸析後、濾別した結晶を蒸
留水で十分に洗浄し、乾燥することにより粗4,4′−DDC
Aを21.7g得た。この粗製物の純度は92.84%であり、そ
のナトリウムおよび臭素元素の含有量はそれぞれ75ppm
および1300ppmであった。
この粗4,4′−DDCA 20gを40gのMEAに加え、135℃まで
攪拌下に加熱して完全に溶解させた。次に、得られた溶
液をゆっくり攪拌しながら30℃まで冷却してMEA塩を析
出させた。
攪拌下に加熱して完全に溶解させた。次に、得られた溶
液をゆっくり攪拌しながら30℃まで冷却してMEA塩を析
出させた。
この析出したMEA塩を濾別分離した後、これにメタノ
ール40gを加えて室温(20℃)で攪拌混合して洗浄し、
再び濾別した。
ール40gを加えて室温(20℃)で攪拌混合して洗浄し、
再び濾別した。
こうして洗浄したMEA塩を室温で300gの蒸留水に溶解
させた後、得られたMEA塩の水溶液に硫酸を加えてpHを
約2.0に調整し、4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。こ
の結晶を濾別後、水で十分に洗浄し、乾燥することによ
り、精製4,4′−DDCAが16.06g得られた。
させた後、得られたMEA塩の水溶液に硫酸を加えてpHを
約2.0に調整し、4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。こ
の結晶を濾別後、水で十分に洗浄し、乾燥することによ
り、精製4,4′−DDCAが16.06g得られた。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.99%であり、またそ
のナトリウムおよび臭素の含有量はそれぞれ1ppm以下お
よび5ppm以下であった。
のナトリウムおよび臭素の含有量はそれぞれ1ppm以下お
よび5ppm以下であった。
また粗4,4′−DDCAに対する回収率(精製収率)は86.
5%であった。
5%であった。
実施例2 p−クロルトルエン76gを10%水酸化カリウム水溶液5
05gおよびメタノール300gと共に1容ガラス製オート
クレーブ内に仕込み、これに触媒として5重量%パラジ
ウム担持カーボン(エヌ・イー・ケムキャット社製品)
を9g加えた後、攪拌下、120℃で6時間反応させて、4,
4′−ジメチルビフェニルを合成した。
05gおよびメタノール300gと共に1容ガラス製オート
クレーブ内に仕込み、これに触媒として5重量%パラジ
ウム担持カーボン(エヌ・イー・ケムキャット社製品)
を9g加えた後、攪拌下、120℃で6時間反応させて、4,
4′−ジメチルビフェニルを合成した。
次にこの反応液を濾過して触媒を除去し、メタノー
ル、副生物のトルエンおよび未反応物のp−クロルトル
エンを留去した後、析出した結晶をベンゼンで再結晶
し、遠心分離して乾燥することにより、4,4′−ジメチ
ルビフェニル(純度99.5%)31.65gを得た。
ル、副生物のトルエンおよび未反応物のp−クロルトル
エンを留去した後、析出した結晶をベンゼンで再結晶
し、遠心分離して乾燥することにより、4,4′−ジメチ
ルビフェニル(純度99.5%)31.65gを得た。
この4,4′−ジメチルビフェニル26.78gを酢酸コバル
ト4水塩6.10g、酢酸マンガン4水塩6.00g、臭化カリウ
ム11.66gおよび酢酸241gと共に0.5l容チタン製オートク
レーブ内に仕込み、200℃で30kg/cm2ゲージの圧力を保
ちながら、空気を毎時180lの割合で4時間送入して酸化
反応を行った。
ト4水塩6.10g、酢酸マンガン4水塩6.00g、臭化カリウ
ム11.66gおよび酢酸241gと共に0.5l容チタン製オートク
レーブ内に仕込み、200℃で30kg/cm2ゲージの圧力を保
ちながら、空気を毎時180lの割合で4時間送入して酸化
反応を行った。
酸化反応終了後、反応生成物を濾過、水洗、乾燥し、
粗4,4′−DDCA34.77gを得た。
粗4,4′−DDCA34.77gを得た。
この粗4,4′−DDCAは、純度が96.15%であり、酸化中
間体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.03%および2.39%含有していた。また、この粗製物中
には、コバルト、マンガン、カリウムがそれぞれ66pp
m、60ppm、80ppm、さらに臭素が610ppm含まれていた。
間体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.03%および2.39%含有していた。また、この粗製物中
には、コバルト、マンガン、カリウムがそれぞれ66pp
m、60ppm、80ppm、さらに臭素が610ppm含まれていた。
この粗4,4′−DDCA 30gをMEA60gに加え、138℃まで攪
拌下に加熱して完全に溶解させた。次に、得られた溶液
をゆっくり攪拌しながら30℃まで冷却してMEA塩を析出
させた。
拌下に加熱して完全に溶解させた。次に、得られた溶液
をゆっくり攪拌しながら30℃まで冷却してMEA塩を析出
させた。
この析出したMEA塩は濾別分離後、これにメタノール6
0gを加えて室温(20℃)で攪拌混合して洗浄した後、再
び濾別分離した。
0gを加えて室温(20℃)で攪拌混合して洗浄した後、再
び濾別分離した。
こうして洗浄したMEA塩を室温で400gの蒸留水に溶解
させた後、MEA塩の水溶液に硫酸を添加してpHを約2.0に
調整し、4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶
を濾別した後、水で十分に洗浄し、乾燥することによ
り、精製4,4′−DDCAが23.82g得られた。
させた後、MEA塩の水溶液に硫酸を添加してpHを約2.0に
調整し、4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶
を濾別した後、水で十分に洗浄し、乾燥することによ
り、精製4,4′−DDCAが23.82g得られた。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.95%であり、酸化中
間体は検出されず、コバルト、マンガン、カリウムの金
属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量も5ppm
以下であった。
間体は検出されず、コバルト、マンガン、カリウムの金
属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量も5ppm
以下であった。
また、4,4′−DDCAの回収率は82.5%であった。
実施例3 4,4′−ジイソプロピルビフェニルを実施例2と同様
にして、酢酸コバルト4水塩、酢酸マンガン4水塩、臭
化カリウムの存在下、酢酸中で空気酸化することによっ
て、粗4,4′−DDCAを得た。
にして、酢酸コバルト4水塩、酢酸マンガン4水塩、臭
化カリウムの存在下、酢酸中で空気酸化することによっ
て、粗4,4′−DDCAを得た。
この粗4,4′−DDCAは、純度68.40%であり、酸化中間
体の4′−イソプロピルビフェニル−4−カルボン酸を
13.96%含有し、また、金属元素のコバルト、マンガ
ン、カリウムをそれぞれ120ppm、150ppm、280ppm、さら
に臭素を1600ppm含有していた。
体の4′−イソプロピルビフェニル−4−カルボン酸を
13.96%含有し、また、金属元素のコバルト、マンガ
ン、カリウムをそれぞれ120ppm、150ppm、280ppm、さら
に臭素を1600ppm含有していた。
この粗4,4′−DDCA 30gとMEA90gを用いて、実施例2
と同様の操作で精製を行い、精製4,4′−DDCAが16.15g
得られた。
と同様の操作で精製を行い、精製4,4′−DDCAが16.15g
得られた。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.78%であり、酸化中
間体が0.12%濃度まで減少し、コバルト、マンガンおよ
びカリウムの金属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭
素含有量が5ppm以下であった。
間体が0.12%濃度まで減少し、コバルト、マンガンおよ
びカリウムの金属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭
素含有量が5ppm以下であった。
また、4,4′−DDCAの回収率は78.5%であった。
実施例4 試薬4,4′−DDCA(和光純薬製品、純度99.48%)と試
薬4−ジフェニルカルボン酸(和光純薬製品、純度99.3
2%)との重量比で1:1混合物30gをMEA60gに加え、攪拌
しながら130℃まで加熱して溶解させた後、30℃に冷却
してMEA塩を析出させた。
薬4−ジフェニルカルボン酸(和光純薬製品、純度99.3
2%)との重量比で1:1混合物30gをMEA60gに加え、攪拌
しながら130℃まで加熱して溶解させた後、30℃に冷却
してMEA塩を析出させた。
この反応混合物を濾別分離することにより得たMEA塩1
1.87gをメタノール20gで2回洗浄した後、蒸留水200gに
溶解させてMEA塩を分解した。次に、硫酸を加えてこの
水溶液のpHを約2.0に調整して結晶を析出させ、結晶を
濾別し、水で十分に洗浄した後、乾燥して、10.88gの結
晶を得た。
1.87gをメタノール20gで2回洗浄した後、蒸留水200gに
溶解させてMEA塩を分解した。次に、硫酸を加えてこの
水溶液のpHを約2.0に調整して結晶を析出させ、結晶を
濾別し、水で十分に洗浄した後、乾燥して、10.88gの結
晶を得た。
この結晶の組成は、4,4′−DDCA 99.0%、4−ジフェ
ニルカルボン酸1.0%であった。この時の4,4′−DDCAの
回収率は72.3%である。
ニルカルボン酸1.0%であった。この時の4,4′−DDCAの
回収率は72.3%である。
この結晶組成と回収率から明らかなように、ジフェニ
ルジカルボン酸(4,4′−DDCA)とジフェニルモノカル
ボン酸(4−ジフェニルカルボン酸)との間でMEAが示
す反応挙動には大きな差があり、MEAはジフェニルジカ
ルボン酸と選択的に安定な塩を形成することがわかる。
ルジカルボン酸(4,4′−DDCA)とジフェニルモノカル
ボン酸(4−ジフェニルカルボン酸)との間でMEAが示
す反応挙動には大きな差があり、MEAはジフェニルジカ
ルボン酸と選択的に安定な塩を形成することがわかる。
実施例5 試薬4,4′−DDCA(和光純薬製品、純度99.48%)と試
薬2,2′−ジフェニルジカルボン酸(2,2′−DDCA)(和
光純薬製品、純度99.84%)との重量比で1:1の混合物40
gをMEA80gに加え、攪拌しながら136℃で完全に溶解させ
た後、30℃に冷却してMEA塩を析出させた。
薬2,2′−ジフェニルジカルボン酸(2,2′−DDCA)(和
光純薬製品、純度99.84%)との重量比で1:1の混合物40
gをMEA80gに加え、攪拌しながら136℃で完全に溶解させ
た後、30℃に冷却してMEA塩を析出させた。
この反応混合物を濾別分離することにより得たMEA塩2
3.36gをメタノール30gで3回洗浄した後、蒸留水300gに
溶解させてMEA塩を分解した。次に、硫酸を加えてこの
水溶液のpHを約2.0以下にして結晶を析出させ、濾別
後、水で十分に洗浄した後、乾燥することにより、16.1
6gの結晶を得た。
3.36gをメタノール30gで3回洗浄した後、蒸留水300gに
溶解させてMEA塩を分解した。次に、硫酸を加えてこの
水溶液のpHを約2.0以下にして結晶を析出させ、濾別
後、水で十分に洗浄した後、乾燥することにより、16.1
6gの結晶を得た。
この結晶の組成は、4,4′−DDCA 99.63%、2,2′−DD
CA 0.37%であった。また、4,4′−DDCAの回収率は81.2
%であった。
CA 0.37%であった。また、4,4′−DDCAの回収率は81.2
%であった。
この結果から、MEAはジフェニルジカルボン酸の異性
体間においても、4,4′一体と選択的に安定な塩を形成
することが明らかである。
体間においても、4,4′一体と選択的に安定な塩を形成
することが明らかである。
実施例6 p−ブロモ安息香酸20.1g、10%水酸化カリウム水溶
液163g、メタノール100ml、および5重量%パラジウム
担持カーボン2.5gを使用して、実施例1と同様に反応お
よび処理して、粗4,4′−DDCAを12.14g得た。この粗4,
4′−DDCAの純度は95.9%であり、そのカリウムおよび
臭素の含有量はそれぞれ62ppmおよび1240ppmであった。
液163g、メタノール100ml、および5重量%パラジウム
担持カーボン2.5gを使用して、実施例1と同様に反応お
よび処理して、粗4,4′−DDCAを12.14g得た。この粗4,
4′−DDCAの純度は95.9%であり、そのカリウムおよび
臭素の含有量はそれぞれ62ppmおよび1240ppmであった。
この粗4,4′−DDCA 10gをMEA7.3gとメタノール20gの
混合液に加え、60℃加温下、スラリー状態で1時間撹拌
混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリーを
室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、これ
にメタノール20gを加えて室温で攪拌混合して洗浄し、
再び濾別した。この洗浄操作を2回繰り返した後、洗浄
したMEA塩を室温で100gの蒸留水に溶解させ、得られたM
EA塩の水溶液に塩酸を加えてpHを約2.0に調整し、4,4′
−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶を濾別後、塩素
イオンが検出されなくなるまで水で十分に洗浄し、乾燥
することにより、精製4,4′−DDCAを8.86g得た。
混合液に加え、60℃加温下、スラリー状態で1時間撹拌
混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリーを
室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、これ
にメタノール20gを加えて室温で攪拌混合して洗浄し、
再び濾別した。この洗浄操作を2回繰り返した後、洗浄
したMEA塩を室温で100gの蒸留水に溶解させ、得られたM
EA塩の水溶液に塩酸を加えてpHを約2.0に調整し、4,4′
−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶を濾別後、塩素
イオンが検出されなくなるまで水で十分に洗浄し、乾燥
することにより、精製4,4′−DDCAを8.86g得た。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.9%であり、そのカ
リウムおよび臭素の含有量はそれぞれ1ppm以下および5p
pm以下であった。また、粗4,4′−DDCAに対する回収率
(精製収率)は92.3%であった。
リウムおよび臭素の含有量はそれぞれ1ppm以下および5p
pm以下であった。また、粗4,4′−DDCAに対する回収率
(精製収率)は92.3%であった。
即ち、スラリー状でMEAと反応させることにより、同
様の粗4,4′−DDCAを溶液状で反応させた実施例1に比
べて、精製収率が向上した。
様の粗4,4′−DDCAを溶液状で反応させた実施例1に比
べて、精製収率が向上した。
実施例7 4,4′−ジメチルビフェニル26.78gを酢酸コバルト4
水塩3.66g、酢酸マンガン4水塩3.60g、臭化カリウム3.
50gおよび酢酸241gと共に0.5l容チタン製オートクレー
ブ内に仕込み、200℃で30kg/cm2ゲージの圧力を保ちな
がら、空気を毎時180lの割合で4時間送入して酸化反応
を行った。酸化反応終了後、反応生成物を濾別し、酢酸
および水で洗浄した後、乾燥して粗4,4′−DDCAを34.20
g得た。
水塩3.66g、酢酸マンガン4水塩3.60g、臭化カリウム3.
50gおよび酢酸241gと共に0.5l容チタン製オートクレー
ブ内に仕込み、200℃で30kg/cm2ゲージの圧力を保ちな
がら、空気を毎時180lの割合で4時間送入して酸化反応
を行った。酸化反応終了後、反応生成物を濾別し、酢酸
および水で洗浄した後、乾燥して粗4,4′−DDCAを34.20
g得た。
この粗4,4′−DDCAは、純度が93.80%であり、酸化中
間体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.55%および3.87%含有していた。また、この粗製物
は、コバルト、マンガン、カリウムおよび臭素を、それ
ぞれ58ppm、53ppm、70ppmおよび480ppm含有していた。
間体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.55%および3.87%含有していた。また、この粗製物
は、コバルト、マンガン、カリウムおよび臭素を、それ
ぞれ58ppm、53ppm、70ppmおよび480ppm含有していた。
この粗4,4′−DDCA 30gをMEA21.4gとメタノール60gと
の混合液に加え、60℃加温下、スラリー状態で1時間攪
拌混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリー
を室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、こ
れにメタノール30gを加えて室温で攪拌混合してから濾
別する洗浄操作を4回繰り返した。
の混合液に加え、60℃加温下、スラリー状態で1時間攪
拌混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリー
を室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、こ
れにメタノール30gを加えて室温で攪拌混合してから濾
別する洗浄操作を4回繰り返した。
洗浄したMEA塩を室温で600gの蒸留水に加えて撹拌下
で溶解させて、MEA塩を分解した。得られたMEA塩の水溶
液中に不溶物質が少量認められたので、No.5Cの濾紙を
用いて不溶物質を濾去した。その後、濾液に撹拌下で塩
酸をpH2になるまで少しづつ添加して、4,4′−DDCA結晶
を遊離析出させた。この結晶を濾別した後、水で十分に
洗浄し、乾燥して、白色の精製4,4′−DDCAを25.35g得
た。
で溶解させて、MEA塩を分解した。得られたMEA塩の水溶
液中に不溶物質が少量認められたので、No.5Cの濾紙を
用いて不溶物質を濾去した。その後、濾液に撹拌下で塩
酸をpH2になるまで少しづつ添加して、4,4′−DDCA結晶
を遊離析出させた。この結晶を濾別した後、水で十分に
洗浄し、乾燥して、白色の精製4,4′−DDCAを25.35g得
た。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.9%であり、酸化中
間体は検出されず、コバルト、マンガン、カリウムの金
属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量は5ppm
以下であった。
間体は検出されず、コバルト、マンガン、カリウムの金
属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量は5ppm
以下であった。
この時の4,4′−DDCAの回収率は90%であり、同様の
粗4,4′−DDCAを溶液状でMEAと反応させた実施例2に比
べて精製収率は高かった。
粗4,4′−DDCAを溶液状でMEAと反応させた実施例2に比
べて精製収率は高かった。
実施例8 0.5l容チタン製オートクレーブ内に触媒として酢酸コ
バルト4水塩8.20g、酢酸マンガン4水塩8.10g、臭化カ
リウム7.90gおよび酢酸カリウム6.50gを酢酸250gと共に
仕込み、200℃に昇温させた後、圧力を30kg/cm2ゲージ
に保持しつつ空気を毎時180lの割合で供給しながら4,
4′−ジイソプロピルビフェニル78.5gを4時間かけて装
入し、原料の装入終了後、空気をさらに1時間供給して
酸化反応を行った。酸化反応終了後、反応生成物を濾別
し、酢酸および水で洗浄した後、乾燥して粗4,4′−DDC
Aを72.92g得た。
バルト4水塩8.20g、酢酸マンガン4水塩8.10g、臭化カ
リウム7.90gおよび酢酸カリウム6.50gを酢酸250gと共に
仕込み、200℃に昇温させた後、圧力を30kg/cm2ゲージ
に保持しつつ空気を毎時180lの割合で供給しながら4,
4′−ジイソプロピルビフェニル78.5gを4時間かけて装
入し、原料の装入終了後、空気をさらに1時間供給して
酸化反応を行った。酸化反応終了後、反応生成物を濾別
し、酢酸および水で洗浄した後、乾燥して粗4,4′−DDC
Aを72.92g得た。
この粗4,4′−DDCAは、純度が93.1%であり、金属元
素のコバルト、マンガン、カリウムをそれぞれ80ppm、7
5ppm、90ppm含有し、さらに臭素を760ppm含有してお
り、茶色に着色していた。
素のコバルト、マンガン、カリウムをそれぞれ80ppm、7
5ppm、90ppm含有し、さらに臭素を760ppm含有してお
り、茶色に着色していた。
この粗4,4′−DDCA 30gをMEA60gとエタノール60gとの
混合液に加え、75℃加温下、スラリー状態で1時間撹拌
混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリーを
室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、これ
にエタノール30gを加えて室温で攪拌混合してから濾別
する洗浄操作を4回繰り返した。
混合液に加え、75℃加温下、スラリー状態で1時間撹拌
混合して、MEA塩を形成させた。次に、このスラリーを
室温に冷却してから濾過してMEA塩を分離した後、これ
にエタノール30gを加えて室温で攪拌混合してから濾別
する洗浄操作を4回繰り返した。
洗浄したMEA塩の色は淡褐色であった。このMEA塩に室
温で600gの蒸留水を加え、撹拌下で溶解させて、MEA塩
を分解した。得られた水溶液に粉末活性炭1.5gを添加し
て60℃の加温下で1時間撹拌を続けた後、No.5Cの濾紙
で活性炭を除去し、無色透明の濾液を得た。その後、濾
液に撹拌下で塩酸をpH2になるまで少しづつ添加して、
4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶を濾別し
た後、水で十分に洗浄し、乾燥して、白色の精製4,4′
−DDCAを25.43g得た。
温で600gの蒸留水を加え、撹拌下で溶解させて、MEA塩
を分解した。得られた水溶液に粉末活性炭1.5gを添加し
て60℃の加温下で1時間撹拌を続けた後、No.5Cの濾紙
で活性炭を除去し、無色透明の濾液を得た。その後、濾
液に撹拌下で塩酸をpH2になるまで少しづつ添加して、
4,4′−DDCA結晶を遊離析出させた。この結晶を濾別し
た後、水で十分に洗浄し、乾燥して、白色の精製4,4′
−DDCAを25.43g得た。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.9%であり、コバル
ト、マンガン、カリウムの金属元素の含有量はいずれも
1ppm以下、臭素含有量は5ppm以下であった。
ト、マンガン、カリウムの金属元素の含有量はいずれも
1ppm以下、臭素含有量は5ppm以下であった。
この時の4,4′−DDCAの回収率も91%と高かった。
実施例9 4,4′−ジメチルビフェニルを実施例7と同様にして
酸化して、粗4,4′−DDCAを34.33g得た。
酸化して、粗4,4′−DDCAを34.33g得た。
この粗4,4′−DDCAは、純度93.86%であり、酸化中間
体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.96%および3.39%含有していた。また、この粗製物
は、コバルト、マンガン、カリウムおよび臭素を、それ
ぞれ54ppm、52ppm、67ppmおよび510ppm含有していた。
体の4′−メチルビフェニル−4−カルボン酸および
4′−ホルミルビフェニル−4−カルボン酸をそれぞれ
1.96%および3.39%含有していた。また、この粗製物
は、コバルト、マンガン、カリウムおよび臭素を、それ
ぞれ54ppm、52ppm、67ppmおよび510ppm含有していた。
この粗4,4′−DDCA 30gをMEA60gに加え、60℃加温
下、スラリー状態で1時間撹拌混合して、MEA塩を形成
させた。次に、このスラリーを室温に冷却してから濾過
してMEA塩を分離した後、これにメタノール30gを加えて
室温で攪拌混合してから濾別する洗浄操作を4回繰り返
した。
下、スラリー状態で1時間撹拌混合して、MEA塩を形成
させた。次に、このスラリーを室温に冷却してから濾過
してMEA塩を分離した後、これにメタノール30gを加えて
室温で攪拌混合してから濾別する洗浄操作を4回繰り返
した。
洗浄したMEA塩について、その後実施例7と同様に水
での分解、不溶物質の除去、酸析および水洗を行い、乾
燥後に精製4,4′−DDCAを24.07g得た。
での分解、不溶物質の除去、酸析および水洗を行い、乾
燥後に精製4,4′−DDCAを24.07g得た。
この精製4,4′−DDCAの純度は99.9%であり、酸化中
間体は検出されず、コバルト、マンガン及びカリウムの
金属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量は5p
pm以下であった。
間体は検出されず、コバルト、マンガン及びカリウムの
金属元素の含有量はいずれも1ppm以下、臭素含有量は5p
pm以下であった。
この時の4,4′−DDCAの回収率は85.4%であった。
[発明の効果] 本発明の精製方法によれば、安価で容易に入手できる
MEAを用いて、粗4,4′−DDCAと反応させることにより、
4,4′−DDCAが選択的にMEAと安定な塩を形成するという
予想外の作用を効果的に利用して、粗4,4′−DDCAから
ポリマー原料グレードの高純度の4,4′−DDCAを収率よ
く回収することができる。
MEAを用いて、粗4,4′−DDCAと反応させることにより、
4,4′−DDCAが選択的にMEAと安定な塩を形成するという
予想外の作用を効果的に利用して、粗4,4′−DDCAから
ポリマー原料グレードの高純度の4,4′−DDCAを収率よ
く回収することができる。
また、精製操作も、粗4,4′−DDCAをMEAと反応させ、
形成されたMEA塩を分離し、水で分解後、酸析するとい
う比較的単純な操作であり、容易に実施することができ
る。
形成されたMEA塩を分離し、水で分解後、酸析するとい
う比較的単純な操作であり、容易に実施することができ
る。
また、本発明は、MEAとの塩の形成を利用して精製す
るため、溶剤(MEAおよび必要に応じて希釈溶媒)の使
用量が従来法に比べて非常に少量で済み、経済的であ
る。この利点は、粗4,4′−DDCAをスラリー状でMEAと反
応させる場合に特に顕著である。
るため、溶剤(MEAおよび必要に応じて希釈溶媒)の使
用量が従来法に比べて非常に少量で済み、経済的であ
る。この利点は、粗4,4′−DDCAをスラリー状でMEAと反
応させる場合に特に顕著である。
なお、スラリー状でMEA塩を形成する場合、MEAの使用
量が低減されるため、MEA塩の溶解損失を抑制すること
ができ、精製4,4′−DDCAの回収率が一層高まる。ま
た、これに加えて、希釈用の有機溶媒の存在下でMEAと
反応させると、粘度が低下して、反応が円滑に進行し、
4,4′−DDCAの精製収率の改善と共に、操作性も改善さ
れる。
量が低減されるため、MEA塩の溶解損失を抑制すること
ができ、精製4,4′−DDCAの回収率が一層高まる。ま
た、これに加えて、希釈用の有機溶媒の存在下でMEAと
反応させると、粘度が低下して、反応が円滑に進行し、
4,4′−DDCAの精製収率の改善と共に、操作性も改善さ
れる。
従って、本発明の方法は工業的規模での4,4′−DDCA
の精製に利用することができる。4,4′−DDCAは、これ
まで工業化可能な有効な精製法がなかったため、多量の
煮沸メタノールで処理する程度で不純物をある程度含有
するまま使用していたが、本発明により精製した4,4′
−DDCAをポリマー原料として使用することにより、4,
4′−DDCAから得られるポリエステル、ポリアミドおよ
び液晶ポリマーといった高性能ポリマーの品質および特
性をさらに向上させることができるものと期待される。
の精製に利用することができる。4,4′−DDCAは、これ
まで工業化可能な有効な精製法がなかったため、多量の
煮沸メタノールで処理する程度で不純物をある程度含有
するまま使用していたが、本発明により精製した4,4′
−DDCAをポリマー原料として使用することにより、4,
4′−DDCAから得られるポリエステル、ポリアミドおよ
び液晶ポリマーといった高性能ポリマーの品質および特
性をさらに向上させることができるものと期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 63/33 C07C 51/42 C07C 51/41
Claims (3)
- 【請求項1】粗4,4′−ジフェニルジカルボン酸をモノ
エタノールアミンと溶液状又はスラリー状で反応させて
該カルボン酸のモノエタノールアミン塩を生成させ、析
出した塩を分離して水で分解した後、酸析により4,4′
−ジフェニルジカルボン酸を遊離させて回収することを
特徴とする、4,4′−ジフェニルジカルボン酸の精製方
法。 - 【請求項2】粗4,4′−ジフェニルジカルボン酸とモノ
エタノールアミンとの反応を、モノエタノールアミンと
相溶性で、かつ4,4′−ジフェニルジカルボン酸および
そのモノエタノールアミン塩を溶解し難い有機溶媒の存
在下に行う、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】分離したモノエタノールアミン塩を、水で
分解する前に、この塩を溶解し難い有機溶剤で洗浄す
る、請求項1又は2記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2-62916 | 1990-03-14 | ||
JP6291690 | 1990-03-14 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03279347A JPH03279347A (ja) | 1991-12-10 |
JP2917462B2 true JP2917462B2 (ja) | 1999-07-12 |
Family
ID=13214058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21396390A Expired - Fee Related JP2917462B2 (ja) | 1990-03-14 | 1990-08-13 | 4,4’―ジフェニルジカルボン酸の精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2917462B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4839501B2 (ja) * | 1999-05-26 | 2011-12-21 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 高純度芳香族ポリカルボン酸の製造方法 |
JP2007169237A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Teijin Ltd | 6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の精製方法 |
-
1990
- 1990-08-13 JP JP21396390A patent/JP2917462B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03279347A (ja) | 1991-12-10 |
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