JP2939987B2 - 眼屈折力測定装置 - Google Patents

眼屈折力測定装置

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は眼屈折力測定装置、特に眼位異常も同時に測
定可能とした眼屈折力測定装置に関するものである。
[従来の技術] 従来、眼屈折力測定装置として、被検眼眼底に光源像
を投影し、被検眼瞳像に於ける被検眼眼底からの反射光
束の光量分布より被検眼の眼屈折力を測定する装置が知
られている。
一方、眼科測定には被検眼の斜視、斜位等の眼位異常
を測定するが、斯かる眼位異常を測定するには眼屈折力
測定装置とは別の装置で行っていた。
[発明が解決しようとする課題] 従って、装置が2台必要となり、設備する為の費用が
高価となっていた。又、眼屈折力の測定、眼位異常測定
と2度に亘って測定を行うことになり、測定が煩雑とな
ると共に時間が掛り被検者の負担が大きかったと言う問
題があった。
本発明は、前記した眼屈折力測定装置に於いては眼底
に投影する光源像の角膜反射により輝点像が形成され、
瞳像と共に輝点が得られることに着目し、この輝点像と
瞳中心の位置検出を利用し、被検眼の眼屈折力測定と眼
位異常測定を同一の装置で而も同時に測定し得る様にし
たものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、被検眼眼底に光源像を投影する為の投影系
と、被検眼瞳孔と略共役位置に配置された受光素子と、
該受光素子上に眼底からの光束を受光する為の受光系
と、前記眼底からの光束の一部を遮光する様に前記受光
系の光路内に配置されるエッヂ状の遮光部材と、前記受
光素子に投影される光束の光量分布状態に基づき被検眼
の眼屈折力を演算する演算部とを備えた眼屈折力測定装
置に於いて、被検眼角膜により反射された光束により形
成される輝点像中心位置と前記被検眼像の中心とのずれ
量を検出し被検眼の眼位を測定し得る様構成したことを
特徴としたものである。
[作用] 被検眼瞳像の中心は受光素子の光量分布により求めら
れ、又輝点像中心位置は受光素子の光量を検知すること
で求められ、受光素子上より両位置を演算することでず
れ量が求められる。このずれ量を両眼それぞれについて
求め比較することで被検眼の眼位異常が測定できる。
[実 施 例] 以下図面を参照しつつ本発明の一実施例を説明する。
第1図に於いて、1は光源像を被検眼3の眼底7に投
影する為の投影系であり、2は眼底7により反射された
光束10を受光する為の受光系であり、23は注視目標から
の可視光束を眼底7に投光する為の注視目標系であり、
投影系1及び受光系2は被検眼3に対向して配置され
る。
前記投影系1は、赤外光を出射する光源4及び光源4
からの光束11を被検眼3に向けて反射させる為の第1ハ
ーフミラー5から成り、該投影系1は光源4からの光束
11を瞳孔6を通して眼底7上に光源4の像を形成する様
に投影するもので、被検眼3の眼屈折力が基準ディオプ
ター値(基準屈折力)の場合に眼底7上に光源4の像が
合焦されるように光源4と被検眼3との距離が設定され
ている。
前記受光系2は、対物レンズ8及び受光素子9から成
り、眼底7からの光束10は第1ハーフミラー5を透過し
て受光素子9上に導かれる。
該受光素子9は、赤外光に感度があるエリアCCD、或
は撮像管であり、受光素子9の受光面9aは対物レンズ8
に関して被検眼3の瞳孔6と共役位置に配置される。
前記受光系2の光路内には、第1ハーフミラー5に関
して光源4と共役な位置に対物レンズ8の光軸Oを境界
として光束10の片側を遮光する為のエッヂ状の遮光部材
12を配置する。
前記注視目標系23は注視目標24と該注視目標24からの
光束28を被検眼眼底7に向けて投光結象させるレンズ25
と、該レンズ25からの光束28を投影系1の光軸に向かっ
て反射させる為のミラー26と、測定機の光軸上に配置さ
れ、且被検眼3と第1ハーフミラー5との間に設けら
れ、該光束28の光軸を測定機の光軸と合致させ眼底7に
投光させる可視光反射で赤外光透過の第2ハーフミラー
27から成っている。
ここで、被検眼3と装置との距離が大の時には注視目
標23は1つでもよく、この1つの注視目標を両眼で視準
させる様ににすればよい。又、被検眼3と装置との距離
が接近している場合には、両眼用に2つの注視目標を設
け、この2つの注視目標のそれぞれを片目で視準させる
様にすればよい。
又、前記受光素子9には演算器13が接続され、該演算
器13は受光素子9の受光状態、光量分布よりディオプタ
ー値を演算し、その結果を表示器14に出力する様になっ
ている。
次に上記構成の眼屈折力測定装置に於ける眼屈折力測
定は下記の如く行われる。
先ず、眼屈折力の測定は被検者に注視目標24を注視さ
せ、被検眼3の光軸を固定した状態で行われる。
第2図(A)に示す様に、被検眼3のディオプター値
が基準ディオプター値に比べて負のディオプター値の場
合には、光源4の象は眼底7の前方で結象され、この光
束により照明された眼底7上の内、光軸上の1点で反射
された光束10を考えると、この光束10は遮光部材12の前
方、即ち被検者3側で集光され、対物レンズ8により受
光素子9上に投影される光束の上半分(斜線部分)が遮
光される。一方、第2図(B)に示す様に、被検眼のデ
ィオプター値が基準ディオプター値の場合には、光束10
は遮光部材12上に集光されるもので、光束10は遮光部材
12によって遮られない。
又、第2図(C)に示す様に、被検眼3のディオプタ
ー値が基準ディオプター値より正の場合には、光源4の
像は眼底7の後方で結像するように投影され、前述と同
様に眼底7で反射された光束10は遮光部材12の後方、即
ち受光素子9側で集光され、受光素子9上に投影される
光束10は第2図(A)とは逆の部分の光束(図中では上
半分)が遮光される。
而して、受光面9aに投影される光束は基準ディオプタ
ー値に対して被現眼3のディオプター値の大小、正負に
よって光量分布状態が変化し、この光量分布状態を基に
ディオプター値が求められる。
受光素子9はこの受光面9aに形成される光束の光量分
布を検出する為のものであり、前記演算器13は受器素子
9からの信号を基に、受光面9a上に形成される光束の光
量分布を研修し、基準となるディオプター値に対し被検
眼の眼屈折力が正が負かを判断すると共にその絶対値を
演算し、演算結果を表示器14に出力し、表示器14は求め
られた結果を表示する。
尚、上記実施例では光束分離手段としてハーフミラー
を使用したが、ビームスパリッター、偏光プリズム等種
々の光束分離手段を用いることは勿論である。
又、第3図(A)〜(E)に於いて、受光面9aに形成
される光束の光量分布状態を説明する。
尚、第3図(A)〜(E)に於いて説明を簡略化する
為、光源4の光軸と受光系の光軸とを合致させ且遮光部
材12と対物レンズ8とを一致させている。この為、光源
4と対物レンズ8とは同一位置で重ね合わせて示してお
り、遮光部材12は省略して示している。
第3図(A)〜(E)は被検眼の屈折力Dが基準屈折
力D0に対し負の場合を示しており、以下の説明は眼底か
らの反射光束は全て対物レンズ8によって受光面9a上に
投影されるものとする。
光源4と被検眼瞳孔6との距離をに設定しこの光源
の像が眼底に合焦する被検眼の屈折力を基準屈折力D0
すると である。
第3図(A)は被検眼の屈折力がD(<D0)の場合
の、光軸に対し直角方向にLの長さを有するスリット状
の光源4の軸上の一点S0からの投影光束を示すもので、
点S0の像は一旦、S0′に結像され、被検眼眼底7には、
ぼけた像として投影される。D0−Dが大きくなるに従い
投影される領域7aは広くなる。
第3図(B)は受光系2、及び、被検眼眼底7からの
反射光束の状態を示すものである。
第3図(B)に示す様に、被検眼眼底7上の投影領域
の端部の点I-nからの光束を考えると、この点の像I-n
は被検眼瞳孔から′の距離の位置に結像され、この光
束は対物レンズ8を介して被検眼瞳孔6と共役位置に配
置した受光素子9上に投影される。尚、この′と被検
眼の屈折力Dの関係式は下記の通りである。
一方、この眼底上の一点から発した光束のエッヂ上で
の広がり幅Δは被検眼の瞳径をuとすると、第3図
(B)から明らかな様に であり、第(1)式、第(2)式より となり、被検眼3の屈折力Dと基準屈折力D0との差が大
になるに従い遮光部材12上の広がりは大きくなる。
次に、受光素子9上での光束の広がりについて述べ
る。受光素子9は、被検眼3の屈折力に関係なく常に、
対物レンズ8に関して被検眼瞳孔と共役に配置されてお
り、被検眼瞳孔6の径をu、対物レンズ8の倍率をβと
すると、受光素子9上ではβuの径の領域(被検眼の屈
折力に影響を受けない)に光束が投影される。
又、光軸に対して前記I-nと対称な点Inからの光束も
同様に被検眼瞳孔6から′の位置に像In′を結像した
後、受光素子9上の同じ領域βuに投影される。光源4
を点光源として、遮光部材12が無いものとした時、これ
ら眼底7からの各点I-n、…I0、…In、からの光束の積
分が受光素子9上の光量分布を決めるものである。
ここで、受光素子9上での光量分布について考察する
ため、受光素子9上の光束投影位置の端部位置P-n、す
なわち、光軸を中心とした座標位置 に入射する光束を考えると、この位置に入射する光束は
第3図(C)での斜線Aの範囲の光束に限られることと
なる。又、同様に、光軸に対して、前記のP-n位置と対
称な位置Pnに入射する光束を考えると斜線A′範囲の光
束に限られることになる。してみると、被検眼瞳孔6か
らの距離(光源4と共役位置)の位置に光軸の一方の
光束A′を遮断するエッヂ状の遮光部材12を配置すると
受光素子9上のP-nの位置に入射する光束は遮光部材12
により遮断されず、このP-nの位置から上方の位置にい
くに従って光束は徐々に遮光され、中心P0位置で光束の
半分が遮光され、Pnの位置になると全ての光束が遮断さ
れることとなるものである。従って、エッヂ状の遮光部
材12により受光素子9上には上方に行くにしたがって暗
くなり、Pnの点で光量が0となる一定傾斜の光量分布と
なるものである。
以上の第3図(A)〜(C)では、光源4の光軸上の
一点から発する光束のみを示したが、光源4の端部の一
点S-n(光源の大きさをLとすると の座標位置の点)からの光束を考えると第3図(D)に
示すようになる。この点S-nからの光束は、第3図
(D)に示す被検眼眼底7上のI-n点からIn点の領域に
投影され、このI-n点、In点からの反射光は、前述と同
様に被検眼瞳孔6から′の距離の位置でIn′、In′の
像を結像した後、受光素子9上のβuの径の領域に投影
されるものである。ここで、光源4の端部の点S-nから
発する光束のうち、受光素子9上の光束投影の端部位置
P-nに入射する光束は第3図(D)のBの傾斜領域の光
束となるものである。
又、前記S-nの点と対称な光源4の一点Snからの光束
を考え、そのうち受光素子9上のP-nの点に入射する光
束を考えると第3図(E)のCの斜線領域の光束とな
る。この様に、光源4がある大きさを有するものとして
考えた場合、受光素子9上の一点の光量は、光源4の各
点からの光束の総和として考えなければならない。
第4図(A)は、この考え方に基づき、受光素子9上
のP-nの位置に入射する各光束を重ね合わせて示したも
のであり、光源上のS-nの位置から発する光束のうちP-n
の位置に入射する光束はBの領域であり(第3図(D)
参照)、光源上での位置が上方に行くにしたがってその
光束も上方に移動し、軸上の光源位置S0ではAの領域の
光束となり(第3図(C)参照)、光源上でのSnの位置
ではCの領域の光束となる(第3図(E)参照)。従っ
て、受光素子9上のP-nの点での光量は、これらの光束
の総和として考えられる。
ここで、被検眼瞳孔6からの距離の位置に遮光部材
12を配置した時の受光素子9上の点P-nの光量を示す模
式図を第4図(B)に示す。第4図(B)は光源上の位
置が変化するにしたがって遮光部材12により光束がどの
様に遮光されるかを示すものである。第4図(B)の横
軸は光源上の座標位置、縦軸は光量を示すものであり、
光源上での各点からの光束を考えると、座標位置の (Lは光源の大きさ)点から0点までの光束は遮光部材
12により遮光されず、座標位置の0点を過ぎると徐々に
遮光され、Δ(前述の光束の広がり)の位置で全て光束
が遮断される事になるものである。ここで遮光されない
場合の光源上の各点からの光量をkとして光源上での各
点からの光量の寄与を示したものが第4図(B)であ
り、斜線部の面積が受光素子上のP-nの点の光量値に対
応するものである。この面積値Tは下記のようになる。
同様にして、受光素子上での他の点についても考察す
る。第5図(A)は受光素子上での中心点P0に入射する
光束を第4図(A)と同様に示したものであり、光源上
のS-nの点からの光束の内P0の点に入射する光束はB0
斜線領域、光源上の中心S0の点からはA0の斜線領域、光
源上のSnの点からの光束はC0の斜線領域の光束となるも
のであり、受光素子9の中心に入射する光量は第5図
(B)の斜線領域の面積T0に対応することになる。すな
わち、光源の各点からの受光素子の中心点に入射する光
束を考えると、光源上の座標位置 の位置から の位置までは光束は遮断されず、 位置を過ぎると徐々に光束が遮られ の位置で全ての光束が遮断されることになり、この面積
値を前述と同様に計算すると下記値になる。
同様にして、受光素子上での点Pnに入射する光束の状
態、及びこの点での光量値を第6図(A)、第6図
(B)に示す。第6図(A)において、光源上のS-n
点からの光束の内Pnの点に入射する光束はB′の斜線領
域、光源上の中心S0の点からはA″の斜線領域、光源上
のP-nの点からの光束はC″の斜線領域の光束として示
す。この場合には、第6図(B)に示すように、光源の
各点から受光素子のPnの点に入射する光束を考えると、
光源上の の位置から−Δの位置までは光束は遮光されず、−Δ位
置を過ぎると徐々に光束が遮られ、0の位置で全ての光
束が遮断されることになり、この面積値を計算すると下
記値になる。
これらの式(5)、(6)、(7)の結果からわかる
ように、受光素子9上の光量値は下方から上方にいくに
したがって、光量値は徐々に低くなるものであり、その
受光素子上での光量分布を図示すると第7図に示すよう
に直線的に変化する。
前述の説明に於いては、眼底の一点から発する光束を
考えた場合の遮光部材12上での広がり幅Δが光源の大き
さLの より小さな場合を想定して説明を行ったものである。
然し乍ら の場合、即ち基準ディオプター値D0に対する被検眼のデ
ィオプター値の偏差ΔDが所定量以上の場合には、第10
図に示すような直線変化は示さない。これを第4図ない
し第6図にしたがって説明を行う。前述のように の場合には、第4図(B)、第5図(B)、第6図
(B)はそれぞれ第11図、第12図、第13図、に示す様に
なり、この光量変化は第7図に示す様な直線変化を示さ
ないことになる。
次に、第2図(B)で示す被検眼の屈折力が基準値で
ある場合、第2図(C)で示す被検眼の屈折力が基準値
より正の場合も、前記したと同様に受光素子9上の光量
分布を考察することができ、その場合被検眼の屈折力が
基準値である場合は、第8図に示す如く、均一分布、被
検眼の屈折力が正の場合は第9図で示す様に第7図で示
したものと逆な分布状態となる。
上記した光量分布の傾斜がディオプター値(屈折力)
をそして、傾斜の方向がディオプター値の正負を表わ
す。以下第10図を参照して説明する。
光量分布の傾きを と定義すると、 前記した光束の広がりΔ、即ちボケ量Δは、前記(4)
式より、 よって(8)式より 而して、(10)式は基準ディオプター値D0に対する被検
眼のディオプター値の偏差ΔDと が比例していることを示している。従って、瞳孔径uが
分れば、この瞳孔径uと光量分布より求められる とで被検眼のディオプター値を求めることが可能とな
る。
上述の如く、眼底から反射される光束の光量分布から
被検眼のディオプター値の偏差ΔDを求えることがで
き、更にディオプター値Dは下記式によって求められ
る。
D=D0+ΔD …(11) 尚、上述した光量分布は模式的に表わしており、実際
には第14図(A)で示す眼球の各部分に対応した光量の
分布の変化(第14図(B)参照、第14図(B)で示す光
量分布は基準ディオプター値での光量分布を示してい
る)、即ち角膜の反射により形成される輝点19での光量
の突出ρであるとか、瞳孔6を外れた虹さ彩20部分での
光量の落込みσ等がある。
本実施例では前記光量分布の状態から、具体的には第
14図(c)で示す光量の変化率より輝点19及び瞳孔6の
境界点m、nを求め、この輝点19及び境界点m、nの位
置より瞳孔径uを求め、ついで被検者の両眼の視線方向
を求め、更に斜視についての測定を行うとするものであ
る。
被検眼の視線が正面を向いている時は、輝点19は瞳孔
6の略中心にあり、輝点19と境界点m、nとの位置関係
をみることで視線方向を略特定できる。
ここで、第15図(A)、(B)により、視線方向と輝
点19との関係を説明する。
第15図(A)(B)中、Vは眼球の旋回点に示す。
第15図(A)は被検眼3の視線方向と光軸Oの方向と
が合致している状態を示しており、光束11が角膜21で反
射することにより光源の虚像19が光軸O上に結ばれ、こ
れが前記した輝点である。次に、第15図(B)の如く被
検眼3が旋回点Vを中心にθだけ旋回すると、被検眼3
の視線O′と光軸Oとはやはりθの角度だけずれること
になる。この時、角膜21で反射する光束によって結ばれ
る虚像19′は光軸Oに対してe、瞳孔6の中心に対して
e′ずれる。
従って、輝点(虚像)19が瞳孔6の略中心にあるか否
かを検出すれば、被検眼の視線O′の方向と光学系の光
軸Oの方向とが合致しているか否かを検出することがで
きる。
次に、斜視は、両眼の光軸が同方向に向いていないも
のであり、斜視の測定は両眼についてそれぞれ視線方向
を検出すれば被検者が斜視であるか否かが分り、斜視の
度合については輝点19と瞳孔6の中心とのずれ量e′を
両眼について求め、このずれ量の差を求めればよい。
以下、具体的に説明する。
第16図は本発明の一実施例の概略を示すブロック図で
ある。図中、15は前記した眼屈折力測定装置の光学系、
9は受光素子、13は演算器、14は表示器、16は受光素子
9の映像及び演算処理部の結果を記憶するフレームメモ
リ、17は演算処理部、18はフレームメモリ16、演算処理
部17の同期指令、シーケンス指令を行う制御部である。
以下、第17図〜第21図を参照して該実施例を説明す
る。
尚、前記第10図の光量分布よりディオプター値の偏差
ΔDを求める場合に、輝点の影響がないものとしてい
る。輝点は、測定結果に影響を及ぼすので、測定に際し
ては輝点の影響を除去するのが好ましい。
以下は、輝点の影響を除去することも併せて説明す
る。
先ず被検眼者の、両眼を含む範囲を受光素子9によっ
て撮像し、この映像をフレームメモリ16に取込み記憶す
る。又、この映像は両眼がそれぞれ所定のエリア例えば
右眼が(X1;Y1)に含まれる様に撮像されている。第18
図(B)は(X1;Y1)のエリアを拡大したものである。
前記フレームメモリ16のエリア(X1;Y1)部分の光量
最大な点即ち電位が最大な点を調べる。
エリア(X1;Y1)での電位最大な点が求められれば、
これが輝点19であり、該輝点のフレームメモリ16中のビ
ットの位置から輝点19の位置が求められる。
輝点19が求められると、第19図(B)の如く該輝点を
中心とする輝点近傍の検知エリア(XS;YS)が設定され
る。エッヂと平行なX方向の走査線で検知エリア(XS;Y
S)の境界線と交差する点a点、b点の光量を求め、こ
のa点、b点を直線で近似する。このa点、b点を結ん
だ直線が前記検知エリア(XS;YS)でのX方向の走査線
に於ける輝点19の影響を除去した光量分布を示すもので
ある(第19図(C)参照、尚図中δで示す光量分布は瞳
孔部分をX方向に走査して得られる光量分布曲線を示
す)。
而してa点,b点間の近似直線の式は L={(La−Lb)/Xs}×X+La …(12)となる。
ここで、エッヂと平行な方向に走査することとしたの
は、エッヂと平行な方向では光束の状態が対称であり、
理想的には輝点部分が除き光量分布は均一と考えられる
ので、直線で近似した場合の誤差も少ないからである。
斯かる走査を検知エリア(XS;YS)全域に亘って行
い、検知エリア(XS;YS)について輝点19の影響を除去
した修正値を求める。前記フレームメモリ16の検知エリ
ア(XS;YS)部分についての記憶値を前記修正値に置換
し、この修正値に置換したものを新たに修正映像として
フレームメモリ16に記憶する。
次に、検知エリアを瞳を充分に含む(X2;Y2)に拡大
し(第20図(B))、前記修正映像について該検知エリ
ア(X2;Y2)をY方向(前記エッヂと直角な方向)に走
査して、走査した線上での光量分布を求める。このY方
向の走査線、特に輝点19を通る走査線での光量分布γ
(第20図(c))が前記第10図で示した光量分布に相当
し、ディオプター値算出の基となるものである。
尚、光量分布γより傾斜を求めるについては、種々考
えられるが、例えば第21図に示す如く、最小二乗近似に
より直線を求め、この直線の傾きを求める等が挙げられ
る。
次に瞳孔径u及びその中心位置を求める。
第14図(A)(B)(C)にも示した様に、瞳孔部分
に外れ虹彩部分になると光量が急激に低下する(第20図
(C))。従って、光量分布γの変化率を求めると瞳孔
6と虹彩部分20の境界点m、nで値が突出する。この境
界点m、nの座標位置を前記フレームメモリから読みと
り、演算処理部17で演算すれば瞳孔径u及び瞳孔の中心
位置を求めることができる。
尚、瞳孔の境界点m、nを求める場合、前記遮光部材
12のエッヂの位置如何に拘らず求めることができるが、
エッヂと平行な方向の走査線での光量分布より境界点
m、nを求める様にすれば、エッヂ或は瞼の影響が少な
いので、好都合である。
次に、演算で得られた瞳孔6の中心位置と前に求めた
輝点19の位置とを演算処理部17で比較して前記ずれ量
e′を求める。
このずれ量e′は両眼についてそれぞれ算出し、両眼
についてのずれ量e′、e′を比較する。両眼につ
いてのずれ量e′、e′が共に0か同じであれば正
常、e′−e′=τが所定量を超えるものであれば
斜視であり、この斜視の度合はτの大きさによって判定
できる。
又、斜視方向については、少なくともいずれか一方の
ずれ量e′が0又は所の値以下である時に被検眼3が正
面を向いていると判定する。
而して、前記τの値、視線方向の判定の結果は、前記
表示部14で表示され、検者は斜視であるか否か、又斜視
の程度、ずれ量e′の方向を確認することができると共
に、視線方向の確認も行える。
以上述べた様に、検者は表示部14のτの表示で被検者
の斜視測定を行えると共に表示部14の視線方向の判定表
示を確認しつつ測定を行うことで、測定時期を適確に把
握できると共に測定した時期が適正であったかどうかも
直に判断できる。
更に、測定時期については判定結果を制御部18へフィ
ードバックし、該制御部18が適正時期に眼屈折力測定用
の画像をフレームメモリ16に取込んで光量分布より眼屈
折力の測定を行う様にしてもよい。斯くの如くすれば、
眼屈折力の自動測定が可能となる。
上記実施例は輝点19が瞳孔6の中心にあるかないかを
判断したが、輝点19が虹彩の中心にあるかないかを判断
することによっても同様に斜視の測定を行うことができ
る。
第14図(B)に見られる様に虹彩20の境界部でも著し
い光量変化があり、この光量変化の位置を求めること
で、虹彩20の径、中心位置が求められ、両眼についての
虹彩20の中心位置と輝点19の位置とずれ量を求めること
で斜視の測定を行える。
尚、瞼が虹彩20、或は瞳孔6にかかっている場合、瞼
の影響を受けにくいXY方向の複数の走査線上の光量分布
から虹彩20、瞳孔6の境界位置を求め、求められた点よ
り円(楕円)を演算し、演算により虹彩、瞳孔の径、中
心位置を求め、得られた中心位置と輝点とのずれ量を求
める様にしてもよい。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、眼屈折力の測定と斜
視の測定を同一装置で行え、而も両測定を該装置に於け
る受光素子上に結像された映像を基に測定するので、眼
屈折力の測定と斜視の測定とを同一の光学系で共用でき
構造が複雑となることがなく、更に両測定を平行して同
時期に行えるので測定時間を大幅に短縮し得、操作性の
向上と被検者の負担を軽減することができるという優れ
た効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明が実施される眼屈折力測定装置の基本概
略図、第2図(A)(B)(C)は被検眼のディオプタ
ー値の相違による光束の状態の相違を示す説明図、第3
図(A)(B)(C)(D)(E)は受光及び被検眼眼
底からの反射光束の状態を示す説明図、第4図(A)、
第5図(A)、第6図(A)は受光素子に到達する光源
各点の反射光束の状態を示す説明図、第4図(B)、第
5図(B)、第6図(B)は遮光部材によって遮られた
場合の各光束の光量変化を示す説明図、第7図、第8
図、第9図はディオプター値に対応した受光面での光量
分布状態を示す説明図、第10図は光量分布状態よりディ
オプター値を求める場合の説明図、第11図、第12図、第
13図は遮光部材上での広がり幅Δが光源の1/2の大きさ
より大きな場合の遮光部材によって遮光された場合の各
光束の光量変化を示す説明図、第14図(A)は被検眼の
説明図、第14図(B)は被検眼に対応する光量分布を示
す線図、第14図(C)は光量分布の変化率を示す線図、
第15図(A)(B)は光軸と視線及び輝点の関係を示す
説明図、第16図は本発明の一実施例を示すブロック図、
第17図は該実施例に於けるフローチャート、第18図
(A)は前記眼屈折力測定装置の撮像画面の図、第18図
(B)は被検眼部分を拡大した図、第19図(A)は第18
図(B)と同様被検眼部分の拡大図、第19図(B)は輝
点を含む範囲を示す図、第19図(C)は輝点を通過する
エッヂに対して平行な走査線の光量分布図、第20図
(A)は第18図(B)と同様被検眼部分の拡大図、第20
図(B)は瞳孔を含む走査領域を示す図、第20図(C)
はエッヂに対して直角方向の走査線の光量分布を示す
図、第21図は光量分布より傾斜を近似により求める場合
を示す説明図である。 1は投影系、2は受光系、3は被検眼、4は光源、5は
ハーフミラー、8は対物レンズ、9は受光素子、13は演
算器、14は表示器、16はフレームメモリ、17は演算処理
部、18は制御部を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北尾 郁雄 東京都板橋区蓮沼町75番1号 株式会社 トプコン内 (56)参考文献 特開 平2−185228(JP,A) 特開 昭60−253429(JP,A) 特表 昭63−502642(JP,A) 光学,Vol.18,No.10,pp 545〜546 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 3/103

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検眼眼底に光源像を投影する為の投影系
    と、被検眼瞳孔と略共役位置に配置された受光素子と、
    該受光素子上に眼底からの光束を受光する為の受光系
    と、前記眼底からの光束の一部を遮光する様に前記受光
    系の光路内に配置されるエッヂ状の遮光部材と、前記受
    光素子に投影される光束の光量分布状態に基づき被検眼
    の眼屈折力を演算する演算部とを備えた眼屈折力測定装
    置に於いて、被検眼角膜により反射された光束により形
    成される輝点像中心位置と前記被検眼瞳像の中心とのず
    れ量を検出し被検眼の眼位を測定し得る様構成したこと
    を特徴とする眼屈折力測定装置。
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