JP2939935B2 - 洗浄剤及びその製造方法 - Google Patents

洗浄剤及びその製造方法

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JP2939935B2 JP26246197A JP26246197A JP2939935B2 JP 2939935 B2 JP2939935 B2 JP 2939935B2 JP 26246197 A JP26246197 A JP 26246197A JP 26246197 A JP26246197 A JP 26246197A JP 2939935 B2 JP2939935 B2 JP 2939935B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に光学機器、精
密機器等の製造工程における油脂洗浄等に有効に使用し
得る洗浄剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学機器、精密機器等の製造工程におい
て、金属部品や半導体部品等の油脂洗浄或いは基板に付
着した液晶の除去には、従来、フロン、トリクロロルエ
タン、塩化メチレン等の溶剤が使用されてきた。しか
し、近年環境汚染等の問題からこれらの溶剤の使用は禁
止される方向にあり、これに対応した様々な代替洗浄剤
の開発が行われている。
【0003】代替洗浄剤は水系と非水系とに大別でき、
中でも水系洗浄剤は人体に対する安全性が高い点で特に
注目されている。特開平6−340897号は、その水
系洗浄剤の一つとして、茶の水乃至熱水抽出物を有効成
分とする脱脂用途の洗浄剤を開示している。かかる茶由
来の洗浄剤は、特に光学機器、精密機器等の製造おける
脱脂洗浄に有効であるばかりか、環境に優しく、しかも
安価に製造することができる点で優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、茶の水
乃至熱水抽出物を原料とした洗浄剤を用いて液晶基板等
の洗浄を行うにあたり、その洗浄対象が液晶注入・封止
後の液晶ガラス基板である場合は、製品品質に全く影響
を与えずに良好な洗浄効果を得ることができる一方、液
晶注入・封止前の工程で茶抽出を原料とした洗浄剤を用
いてガラス基板の洗浄を行った場合、十分な洗浄効果は
得られるものの、製品の液晶画面上で「画面ボケ」とい
う現象が生じ、製品品質の低下を招くおそれがあること
が判明した。
【0005】そこで本発明は、かかる問題点に鑑み、茶
由来の洗浄剤による「画面ボケ」の発生の原因を究明す
ると共にこれを解消し、光学機器や精密機器等の製造工
程においてより一層有効に使用される洗浄剤及びその製
造方法を提供せんとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
解決のため鋭意研究を重ねた結果、茶由来の洗浄剤によ
る「画面ボケ」の原因は茶抽出物中に含まれる金属イオ
ン等の灰分、中でもカリウムイオン及びナトリウムイオ
ンの残留が影響していることを究明した。一般的に茶葉
の灰分(強熱残存無機物)含有量は約5%程度である
が、中でもカリウムは最も多く約40%を占める。具体
的には茶葉にはカリウム2〜2.5重量%、リン0.4
〜0.5重量%、カルシウムが0.2〜0.3重量%、
マグネシウムが0.15〜0.25重量%等が含有され
ており、当然茶の抽出液中に含有される金属イオンとし
てもカリウムイオンが最も多い。このためにカリウムイ
オンの影響が大きくなっているものと考えられる。ま
た、一般的に茶抽出液の品質安定(主にpH調整)を図
るためにL−アスコルビン酸ナトリウムや炭酸水素ナト
リウム等のナトリウム型pH調整剤を添加することが行
われる。このため、茶自体に含有される量は少ないがナ
トリウムイオンの影響が大きいものと考えられる。
【0007】洗浄後の金属イオン乃至灰分、特にカリウ
ムイオン及びナトリウムイオンの残留を防止するには、
洗浄剤中の金属イオン濃度を低下させる必要があるが、
単に洗浄剤の使用濃度を下げたのでは金属イオン濃度と
同様に油脂洗浄の有効成分の一つと考えられるポリフェ
ノールの濃度も低下するため洗浄効果も低下させてしま
う。そのため、洗浄効果を維持しつつ金属イオンの残留
を防止するには、「ポリフェノール濃度/灰分濃度」
比、或いは「ポリフェノール濃度/(カリウムイオン+
ナトリウムイオン)濃度」比を高める必要がある。
【0008】そこで本発明の洗浄剤は、ポリフェノール
濃度/(カリウムイオン+ナトリウムイオン)濃度比を
50以上に調整、或いはポリフェノール濃度/灰分濃度
比を15以上に調整した茶抽出液を有効成分とすること
を特徴とする。このようにポリフェノール濃度/(カリ
ウムイオン+ナトリウムイオン)濃度比或いはポリフェ
ノール濃度/灰分濃度比をかかる範囲に調整すれば、ポ
リフェノール濃度を維持しつつカリウムイオン及びナト
リウムイオン濃度を低減できるから、高濃度で使用して
も金属イオン残留による悪影響を残すことがない。
【0009】ここで、原料として用いる茶は、不発酵
茶、半発酵茶、発酵茶などいずれの茶種をも用いること
もできる。また、茶とは、茶樹のどの部位を含むもので
も良く、葉、茎、芽、種子等のいずれか或いはこれらの
混合物を含む意味である。茶の抽出液とは、温水抽出、
熱水抽出、有機溶媒による抽出、好ましくは茶の温水抽
出乃至熱水抽出を含む意味であり、抽出温度を特に限定
する意ではないが、成分の抽出効率の点からすれば熱抽
出が好ましい。ポリフェノール濃度とは、茶タンニンと
称される、カテキン類を主成分とするポリフェノール成
分の合計濃度である。また、洗浄剤とは、液状タイプは
もちろん、粉状あるいは粒状タイプも包含し、使用時は
これを適当な濃度に溶解または希釈し、用いることがで
きるものを含む意である。
【0010】茶抽出液のポリフェノール濃度/(カリウ
ムイオン+ナトリウムイオン)濃度比、或いはポリフェ
ノール濃度/灰分濃度比を高める手法は、次の3つの方
法が考えられる。一つは、茶抽出液の逆浸透膜処理法で
ある。この方法は、金属イオン類は透過するが、ポリフ
ェノール類は透過しない特性をもつ逆浸透膜を選択し、
加圧濾過する方法である。また一つは、合成吸着剤を用
いた脱塩法である。これは、ポリフェノール類を吸着す
るが、金属イオン類は吸着しない合成樹脂を選択し、こ
れに茶抽出液を接触させる方法であり、効率的な脱塩が
可能である。そしてもう一つは、イオン交換法である。
この方法は、陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜を用
いて茶抽出液をイオン交換することにより、茶抽出液中
のカリウムイオン及びナトリウムイオン等の金属イオン
をその他のイオンに交換させることによりカリウムイオ
ン+ナトリウムイオン濃度乃至灰分濃度を低下させる方
法である。コスト的にはイオン交換樹脂を用いる方がよ
り有利である。以上の3つの方法を比較すると、逆浸透
膜処理法は、逆浸透膜及び装置が高価である。合成吸着
剤を用いた脱塩法は、合成吸着剤からのポリフェノール
類の回収及び合成吸着剤の再生にメタノール等の有機溶
剤が必要となるため、有機溶剤を除去する工程が新たに
必要になるほか、ランニングコストの増大が予想される
等の問題がある。これに対し、イオン交換樹脂によるイ
オン交換法は、イオン交換樹脂および装置が比較的安価
である点でコスト的には優れている。
【0011】そこで本発明者は、イオン交換樹脂による
イオン交換法に着目し、茶の抽出液又は茶の抽出液にナ
トリウム型pH調整剤を加えた溶液、或いはそれらを混
合した溶液を陽イオン交換樹脂、好ましくは強酸性陽イ
オン交換樹脂を用いてイオン交換処理することによりポ
リフェノール濃度/(カリウムイオン+ナトリウムイオ
ン)濃度比を50以上、或いはポリフェノール濃度/灰
分濃度比を15以上に調整し、得られたイオン交換処理
液を有効成分として使用する洗浄剤の製造方法を提供す
る。
【0012】強酸性陽イオン交換樹脂は、1価および2
価以上の陽イオンに対して効率良くイオン交換反応を行
うことができる。カルボキシル基等を陽イオン交換基と
する弱酸性陽イオン交換樹脂を用いることも可能ではあ
るが、カリウムイオンやナトリウムイオン等に対する交
換性能が比較的低いため、強酸性陽イオン交換樹脂の方
が好ましく、中でもNH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂
が特に好ましい。一般的に市販されている陽イオン交換
樹脂は、対イオンとしてナトリウムイオン(Na+ 型)
或いは水素イオン(H+ 型)が結合した状態のものであ
るが、金属イオンの除去の用途にはNa+ 型の如く対イ
オンとして金属イオンを結合した陽イオン交換樹脂は好
ましいとは言えない。一方、H+ 型強酸性陽イオン交換
樹脂は、金属イオンの除去の用途に使用可能であるが、
茶抽出液をH+ 型強酸性陽イオン交換樹脂で処理する
と、抽出液のpHが著しく酸性に傾き、これにより白濁
・沈殿を生じて樹脂を充填したカラム内で目詰まりを起
こす。このような目詰まりを無くすためには、抽出液の
pHを中性に戻して白濁・沈殿を解消させるために金属
イオンを含まないアルカリ水溶液を添加しなければなら
ない。これに対し、NH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂
は、対イオンが非金属イオンであり、しかもイオン交換
処理液のpHが著しく酸性に傾くこともないため、前述
の茶抽出液を接触させても白濁・沈殿を生じることはな
く、かつ茶抽出液中のカリウムイオンやナトリウムイオ
ンその他の金属イオン等を速やかにアンモニウムイオン
と置換して低灰分化及び低カリウム・ナトリウムイオン
化された処理液を得ることができる。しかも、得られた
処理液のポリフェノール濃度は殆ど低下しておらず、洗
浄効果が維持される。
【0013】上記NH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂
は、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂等の強酸性陽
イオン交換樹脂を適当濃度の塩化アンモニウム水溶液に
接触させ、樹脂の対イオンをアンモニウムイオンに置換
させることにより作成することができる。
【0014】かかる強酸性陽イオン交換樹脂としては、
スルホン酸型のものに限定する訳ではないが、スルホン
酸型強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えばダイヤイ
オンSK1B等のSKシリーズ、ダイヤイオンPK20
8等のPKシリーズ(以上、三菱化学社製)、ダウエッ
クス50W・X1等の50Wシリーズ、ダウエックスH
CRシリーズ、ダウエックスHGRシリーズ(以上、ダ
ウケミカル社製)、アンバーライトIR−120B等の
100番台のシリーズ、アンバーライトIR−200C
等の200番台のシリーズ(以上、ローム・アンド・ハ
ース社製)などがある。ただし、これらに限定するもの
ではない。
【0015】NH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂の作成
は、上記の如く塩化アンモニウム水溶液に接触させるほ
か、硫酸アンモニウム水溶液、硝酸アンモニウム水溶液
等と接触させても可能である。ただし、例えばスルホン
酸型陽イオン交換樹脂をアンモニア水に接触させた場
合、アンモニアが揮発性が高く刺激臭を発するため作業
環境上の問題が生じる点に留意すべきである。使用した
陽イオン交換樹脂は、処理後再び塩化アンモニウム水溶
液等と接触させることにより、再生することができる。
【0016】本発明の洗浄剤の製造において、茶抽出液
のイオン交換処理方法としては、陽イオン交換樹脂をカ
ラムに充填し、カラム内に茶抽出液を通液するか、或い
はタンク内等でバッチ式で接触させるなどの方法をとる
ことができるが、前者(カラム式)は連続的かつ効率的
に処理することができる点で好ましい。
【0017】本発明の洗浄剤の製造においては、イオン
交換処理前の茶の抽出液のpHを5〜7に調整するのが
好ましい。pHが5を著しく下回るか、或いはpH7を
著しく越えると白濁が生じ、その傾向は濃厚液で更に顕
著になる。更にNH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂を用
いてイオン交換処理を行う場合は、イオン交換処理前ば
かりでなく、イオン交換処理前から製品完成に至るまで
の全工程の任意の時点において、特に好ましくは該全工
程のすべてにおいて茶抽出液乃至洗浄剤のpHを5〜7
の範囲に調整するのが好ましい。製造工程においてpH
5を著しく下回ると白濁が生じ、pH7を越える環境下
では刺激臭であるアンモニアガスを発生する危険があ
り、その傾向はpHが高く、又抽出液濃度が高いほど顕
著になる。また、本発明における洗浄剤としてのpHも
5〜7の範囲に調整し保持するのが好ましい。かかる範
囲を下回ると白濁が生じ、逆に範囲を上回ると白濁乃至
アンモニアガス発生の危険性が生じ、しかもその傾向は
濃厚液であるほど顕著になるからである。
【0018】なお、上記洗浄剤の製造において、イオン
交換処理前までに微細濾過或いは遠心分離等により混濁
物を除去することが製品品質の向上及び効率的なイオン
交換処理を行う上で好ましい。また、抽出液を一定濃度
まで濃縮することにより一層効率的なイオン交換処理を
行うことができる。
【0019】上記の如く陽イオン交換処理乃至pH調整
した茶抽出液は、そのまま単独で洗浄剤として使用する
ことが可能であるが、例えば必要に応じて界面活性剤を
配合して洗浄力の向上を図ることも、又、防腐剤を配合
してより高い保存性をもたせること等も可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1)本実施例では、茶抽出液を各種陽イオン交
換樹脂でイオン交換処理した場合の効果を検討した。
【0021】イオン交換処理の被処理液として、茶を熱
水抽出後、濃縮、濾過等を施したウーロン茶濃厚液(B
rix値12.0、pH6.0)を用いた。陽イオン交
換樹脂として、H+ 型弱酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤ
イオンWK−10、三菱化学社製)、H+ 型強酸性陽イ
オン交換樹脂(IR−120B)、NH4 + 型強酸性陽
イオン交換樹脂(IR−120B)を用いた。イオン交
換処理は、カラム法により、各種イオン交換樹脂4ml
をガラスカラムに充填し、そこに上記ウーロン茶濃厚液
10mlを通液して行った。
【0022】未処理のウーロン茶濃厚液(対照)及び上
記イオン交換処理により得られた各処理液のカリウムイ
オン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定すると
共に、対照の測定値との比較により各イオン交換処理に
ついてのカリウムイオン減少率を算出した。また、イオ
ン交換後のpHを測定すると共に、イオン交換処理した
処理液の白濁の発生の有無及びカラム内の目詰まりの発
生の有無を観察した。これらの結果は表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】H+ 型強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場
合、カリウムイオンの除去は顕著に行われたが、処理液
のpHは極端に低下すると共に白濁が発生した。カラム
内でも白濁が発生し目詰まりを起こしたために流速が極
端に低下した。H+ 型弱酸性陽イオン交換樹脂を用いた
場合は、カリウムイオンの減少が十分に行われなかっ
た。処理液のpHは5を下回る値になり、僅かに白濁し
たが、カラム通液には問題がなかった。NH4 + 型強酸
性陽イオン交換樹脂を用いた場合は、カリウムイオンの
減少が十分に行われ、しかも処理液のpHはほとんど変
化せず、白濁及びカラムの目詰まり等も発生せず、良好
な状態でイオン交換処理を行うことができた。
【0025】(実施例2)本実施例では、洗浄剤の製造
工程及び製品としての洗浄剤のpH調整・制御の重要性
について検討した。
【0026】イオン交換処理の被処理液は、実施例1と
同様のウーロン茶濃厚液であり、NH4 + 型強酸性陽イ
オン交換樹脂を用いて実施例1と同様の方法でイオン交
換処理を行った。イオン交換処理前のウーロン茶濃厚液
のpH調整による影響(白濁及び臭気)、並びにイオン
交換処理後のウーロン茶濃厚液(処理液)のpH調整に
よる影響(白濁及び臭気)を観察及び測定し、前者の結
果を表2、後者の結果を表3に示した。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】表2、3の結果より、イオン交換処理前及
び処理後のいずれにおいてもpHを5〜7の範囲に調整
した場合は白濁の発生及び臭気の発生はなかった。臭気
については、pHが7.5を越えるとイオン交換処理前
及び処理後の間に差異が見られるようになり、イオン交
換処理前のpH調整ではpH7.5を越えてより高く調
整したものほど本来の茶の香気とは異なる臭気が発生
し、それは刺激臭ではないがやや不快な臭気であった。
他方、イオン交換処理後のpH調整ではpH7.5を越
えてより高く調整したものほどアンモニアガスと思われ
る刺激臭が強くなった。
【0030】(実施例3)本実施例では、イオン交換処
理による茶抽出液の成分組成変化を検討した。
【0031】イオン交換処理の被処理液として、茶を熱
水抽出後、L−アスコルビン酸を添加し、粗濾過、遠心
分離を行い、その後L−アスコルビン酸ナトリウム及び
炭酸水素ナトリウムを添加してpH調整したウーロン茶
抽出液(Brix値3.5、pH5.85)を用いた。
イオン交換処理は、NH4 + 型強酸性陽イオン交換樹脂
(SK1B)を10リットル充填したカラムに、前述の
ウーロン茶抽出液100リットルを通液して行った。こ
のイオン交換処理は、同様の条件下で別々に2回行い、
各処理より処理液、を得た。また、未処理液と処理
液を1:1で混合したもの、及び1:9で混合したも
のを作製し、それぞれ処理液、とした。
【0032】これら処理液及び未処理液につい
て、ポリフェノール濃度、灰分濃度、ナトリウムイオン
及びカリウムイオン合計濃度をそれぞれ測定すると共
に、それぞれについてポリフェノール濃度/灰分濃度比
と、ポリフェノール濃度/(ナトリウムイオン+カリウ
ムイオン合計濃度)比とを算出し、これらの値を下記表
4に示した。なお、ポリフェノール濃度の測定は、緑茶
タンニンの分析法(「茶の分析法」茶業研究報告、第71
号、P43 〜74、1990年) である酒石酸鉄比色定量法によ
り測定した。また、灰分濃度の測定は、直接灰化法(5
25℃、サンプル量:50ml)によりサンプルを灰化
させた時の減量測定からその残存物量を換算し、灰分量
とした。
【0033】ここで、ポリフェノール濃度/灰分濃度比
(表ではA/B)は、洗浄剤有効成分であるポリフェノ
ールの存在量に対して、洗浄剤としては不必要な灰分量
がどの程度まで低減できたを示す値であり、ポリフェノ
ール濃度/(ナトリウムイオン+カリウムイオン合計濃
度)比(表ではA/C)は、灰分の主要成分であるナト
リウムイオンとカリウムイオンの合計量がいかに低減さ
れているかを示すものであるため、いずれも値が高いほ
ど金属残留性が低いことを示す。
【0034】得られた処理液及び未処理液(以
下、これらを「試験洗浄剤」という。)について、それ
ぞれBrix値が0.3になるように希釈調整した後、
以下の洗浄効果を試験した。第1の洗浄効果の試験は、
ガラス板(2cm×5cm)にオイルレッドにより赤く
着色させた液晶1gを塗布したものを被洗浄物として用
い、上記の各試験洗浄剤20リットルを超音波洗浄槽に
入れ、50℃に液温を調整した後、前記被洗浄物をこの
槽に入れ、3分間超音波洗浄した。洗浄後は洗浄剤を排
出後、50℃・20リットルの超純水で前記同様に3分
間超音波洗浄するリンス工程を3回繰り返した。リンス
工程後、被洗浄物を回収し乾燥させ後、観察等により洗
浄効果を評価した。第2の洗浄効果の試験は、実際に上
記の試験洗浄剤を液晶注入前のガラス基板の洗浄に用い
て液晶パネルを製造し、製品品質の劣化、特に画面ボケ
の発生の有無を評価した。また、対照として純水を使っ
て上記同様に洗浄及びリンスを行い、その洗浄効果を評
価し、これらの結果を表4に示した。
【0035】
【表4】
【0036】この結果、処理液(本発明)では、ポ
リフェノール濃度は殆ど変化しなかったが、灰分濃度は
処理前の約10%になり、ナトリウムイオンとカリウム
イオンの合計濃度は1%以下に減少し、十分なイオン交
換処理がなされたことを確認することができた。ポリフ
ェノール濃度/灰分濃度比(表中のA/B)は約10倍
に上昇し、ポリフェノール濃度/(ナトリウムイオン+
カリウムイオン合計濃度)比(表中のA/C)は100
倍以上に上昇しており、金属残留性が低く品質的に向上
した成分組成になった。洗浄効果の点では、処理液
による洗浄効果は未処理液による洗浄効果とほぼ同
等であり、良好であった。液晶パネルの製品品質につい
ては、未処理液を使用した場合は画面ボケという劣化現
象が認められた。処理液ではこのような劣化は認め
られず良好であった。未処理液と処理液を1:1で混
合した処理液では未処理液と同様の現象が見られた
が、未処理液の配合率を10%とした処理液では製品
劣化現象は見られなかった。
【0037】(実施例4)本実施例では、洗浄剤として
の有効成分を検討した。
【0038】水(対照)、緑茶抽出液、及びポリフェノ
ール除去済み緑茶抽出液(以下、これらを洗浄液サンプ
ルという。)を用いて、洗浄効果の比較を行った。ポリ
フェノール除去済み緑茶抽出液は、緑茶を熱水抽出して
得られた抽出液をBrix値1.0に調整し、ポリフェ
ノールを選択的に吸着できるポリビニルピロリドンを添
加してポリフェノール除去を行い、得られた上清をサン
プルとしたものである。
【0039】洗浄試験は、培養試験管(φ21×120
mm)にオイルレッドで着色した液晶50mgを入れ、
乾燥後、各洗浄液サンプルを5ml試験管に入れ、25
℃・3分間超音波洗浄を行い、超音洗浄後試験管内の洗
浄液を廃棄し、10mlの蒸留水で2回リンスを行っ
た。洗浄評価は、試験管内にエタノールを10ml入れ
て超音波処理を行い、残存した液晶を十分に溶解させた
後、吸光度計にて赤色度を測定した。そして、水洗浄試
験区(対照)の残存液晶量を100とし、これに対する
各試験サンプルの液晶残存量の割合(%)をポリフェノ
ール濃度と共に表5に示した。
【0040】
【表5】
【0041】緑茶抽出液の高い洗浄効果に比べ、ポリフ
ェノールを除去したものの洗浄効果は大幅に低下した。
これより、茶抽出液中に含まれるポリフェノールは洗浄
剤としての有効成分の一つであると考えられる。
【0042】
【発明の効果】茶の水抽出物を陽イオン交換樹脂、好ま
しくは強酸性陽イオン交換樹脂、中でもNH4 + 型強酸
性陽イオン交換樹脂によるイオン交換処理により得られ
た低灰分化及び低ナトリウム・カリウム化された茶葉の
抽出液を原料として製造した洗浄剤は、洗浄剤の有効成
分であるポリフェノール濃度を維持しているから、イオ
ン交換処理しない茶抽出液と同様に高い洗浄効果を得る
ことができる。しかも、洗浄後リンス工程に移行したと
き、低灰分化及び低ナトリウム・カリウム化した効果を
発揮し、イオン交換処理されていない洗浄剤に比べて金
属イオン類の残留が抑制され、金属イオン類残留による
各種悪影響を防止することができる。また、更なる洗浄
効果を期待して高濃度で使用することもできる。
【0043】すなわち、本発明の洗浄剤及びその製造方
法によれば、環境に対する安全性が高く、洗浄対象物で
ある精密機器の金属部品や半導体部品あるいはガラス基
板等の油脂洗浄に効果的な洗浄剤を提供することができ
るだけでなく、洗浄対象物に対する洗浄剤由来の金属成
分残留による各種悪影響を防ぐことができる。しかも、
本発明の洗浄剤は低コストで製造でき、かつ安全に製造
することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−47300(JP,A) 特開 平6−340897(JP,A) 特開 平7−228892(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11D 7/44 C11D 3/382

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェノール濃度/(カリウムイオン
    +ナトリウムイオン)濃度比を50以上に調整した茶抽
    出液を有効成分とする洗浄剤。
  2. 【請求項2】 ポリフェノール濃度/灰分濃度比を15
    以上に調整した茶抽出液を有効成分とする洗浄剤。
  3. 【請求項3】 pH5〜7に調整した請求項1又は2に
    記載の洗浄剤。
  4. 【請求項4】 茶抽出液をイオン交換処理することによ
    りポリフェノール濃度/(カリウムイオン+ナトリウム
    イオン)濃度比を50以上、或いはポリフェノール濃度
    /灰分濃度比を15以上に調整して得られたイオン交換
    処理液を有効成分として使用する洗浄剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 ナトリウム型pH調整剤を加えた茶抽出
    液をイオン交換処理することによりポリフェノール濃度
    /(カリウムイオン+ナトリウムイオン)濃度比を50
    以上、或いはポリフェノール濃度/灰分濃度比を15以
    上に調整して得られたイオン交換処理液を有効成分とし
    て使用する洗浄剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 NH4 + 型陽イオン交換樹脂でイオン交
    換処理することを特徴とする請求項4又は5に記載の洗
    浄剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 イオン交換処理前の茶抽出液のpHを5
    〜7の範囲に調整することを特徴とする請求項4〜6の
    いずれかに記載の洗浄剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 イオン交換処理前から製品完成に至るま
    での全工程のすべてにおいて、茶抽出液乃至洗浄剤のp
    Hを5〜7の範囲に調整することを特徴とする請求項4
    〜7のいずれかに記載の洗浄剤の製造方法。
JP26246197A 1997-09-26 1997-09-26 洗浄剤及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2939935B2 (ja)

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