JP2938827B2 - 電着画像の製造方法 - Google Patents

電着画像の製造方法

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JP2938827B2 JP9178697A JP9178697A JP2938827B2 JP 2938827 B2 JP2938827 B2 JP 2938827B2 JP 9178697 A JP9178697 A JP 9178697A JP 9178697 A JP9178697 A JP 9178697A JP 2938827 B2 JP2938827 B2 JP 2938827B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、例えば時計用の時刻表示
用記号やバラ文字、あるいは装飾部品等の画像を電着法
によって形成するととも、一連の形成工程において、た
とえば夜光塗料からなる塗膜を形成し、この画像(電着
画像)および塗膜をフィルム等の支持体に同時に転写す
ることができる、時計用表示板等の被着物に貼着する電
着画像の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、例えば、時計用のバラ文字や装飾
部品等の微細で複雑な形状を有する物品としては、電着
法により金属を析出させて得られる電着画像が広く使用
されるようになってきた。
【0003】ところで、時計用の文字盤や指針等には、
視覚性を向上させるために、塗料(たとえば夜光塗料)
などが塗布・印刷されることがある。このような塗料自
体は接着性が低いため、塗料を塗布するに先立ち、塗布
予定面にプライマー処理を施す必要があるため、工程が
複雑化している。
【0004】また、このような夜光塗料の塗布の後、装
飾のために、前述の電着画像を貼着することがあるが、
塗膜と電着画像の位置がずれないようにするため、電着
画像の貼着の際に厳密な位置決めが必要となり、工程
上、非常に煩雑である。
【0005】したがって、塗布予定面にプライマー処理
等の前処理を施すことなく、しかも塗膜と電着画像とを
同時に被着体に転写することができれば、工程の簡素化
が可能になり、そのプロセス的利点は大きい。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題
点に鑑みてなされたものであって、塗膜付の電着画像を
簡便に形成できる電着画像の製造方法を提供することを
目的としている。
【0007】
【発明の概要】上記目的を達成するため、本発明に係る
電着画像の第1の製造方法は、導電性基材表面に、閉鎖
線図形状の電着画像と、該電着画像を囲む線状電着とを
形成し、感圧接着剤層を設けた支持基材の該感圧接着剤
層に、前記電着画像および前記線状電着を前記導電性基
材から剥離転写し、導電性基材を剥離除去した後に、前
記閉鎖線図形状の電着画像内部に塗料を注入または印刷
して塗膜を形成し、前記電着画像、塗膜および前記線状
電着の保持側全面に固着用接着剤層を形成し、前記線状
電着を除去し、前記支持基材から前記電着画像および塗
膜を剥離しつつ、前記固着用接着剤層を介して前記電着
画像および塗膜を被着物の表面に貼付けることを特徴と
している。
【0008】また、本発明に係る電着画像の第2の製造
方法は、導電性基材表面に、閉鎖線図形状の電着画像
と、該電着画像を囲む線状電着と、該線状電着に囲まれ
且つ該電着画像以外の部分に、該線状電着と連結してな
る島状電着を形成し、感圧接着剤層を設けた支持基材の
該感圧接着剤層に、前記電着画像、前記線状電着および
前記島状電着を前記導電性基材から剥離転写し、導電性
基材を剥離除去した後に、前記閉鎖線図形状の電着画像
内部に塗料を注入または印刷して塗膜を形成し、前記電
着画像、塗膜、前記線状電着および前記島状電着の保持
側全面に固着用接着剤層を形成し、前記線状電着および
前記島状電着を除去し、前記支持基材から前記電着画像
および塗膜を剥離しつつ、前記固着用接着剤層を介して
前記電着画像および塗膜を被着物の表面に貼付けること
を特徴としている。
【0009】また、本発明においては、前記導電性基材
が、金属板と、その上に形成された導電性薄膜とからな
ることが好ましい。さらに、前記感圧接着剤層は、紫外
線硬化型感圧接着からなることが好ましい。
【0010】さらにまた、前記閉鎖線図形状の電着画像
内部に塗料を注入または印刷される塗料は、夜光塗料で
あることが好ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明の第1および第2の
実施例を図面を参照して、さらに具体的に説明する。
【0012】第1の実施例では、時計用の時刻表示用記
号を電着画像として、これを時計用表示板(被着物)の
表面に被着するようにした例を示すが、本発明は時計用
の時刻表示用記号に限らず、種々の文字、装飾文字、記
号等の製造に適用することができる。
【0013】まず、図1に示すように、導電性基材1表
面に、閉鎖線図形状の電着画像2と、該電着画像2を囲
む線状電着3と、これらの周囲を囲撓し、ガイド孔4が
設けられたガイド用電着5を形成する。電着画像2の内
部には、後述するように塗料が注入または印刷される。
以下、電着画像2の内部を「開口部2a」と記載するこ
とがある。
【0014】導電性基材1としては、ステンレス鋼等の
金属板、あるいはこのような金属板1a表面に導電性被
膜1bを設けた積層体(以下、多層基材1と呼ぶことも
ある)が用いられる(図2参照)。本発明においては、
特に金属板1a表面に導電性被膜1bを設けた多層基材
を導電性基材1として用いることが好ましい。このよう
な多層基材1を用いることにより、電着画像を支持基材
に転写する際に、電着画像が飛散することを防止するこ
とができる。以下の実施例では、この多層基材1を用い
た場合を例にとって説明する。
【0015】多層基材1の導電性被膜1bは、導電性を
有する可撓性の薄膜である。このような導電性被膜1b
としては、電解メッキ(電着)または無電解メッキによ
って形成される導電性金属薄膜、導電性塗料被膜、導電
性高分子薄膜等が用いられ、好ましくは電着による導電
性金属薄膜が用いられる。導電性被膜1bの膜厚は特に
限定はされないが、通常は10〜50μm、好ましくは
20〜30μm程度である。
【0016】導電性被膜1bは、後の工程において、金
属板1aの表面から剥離される。したがって、導電性被
膜1bの剥離を容易にするために、導電性被膜1bの形
成に先立って、金属板1aの表面に離型処理を施してお
くことが好ましい。離型処理は、たとえば陽極電解によ
る表面酸化、界面活性剤等で金属板1aの表面を処理す
ることにより行なわれる。
【0017】次いで導電性被膜1bの表面に、閉鎖線図
形状の電着画像2と、該電着画像2を囲む線状電着3と
を形成する。電着画像2の形状は、たとえば、円状;楕
円状;三角形、四角形などの多角形状;星型等の何れで
あってもよいが、「閉じている」形状の線図で構成され
ていることを要し、その内部には閉鎖線図形状の電着画
像2で囲まれた開口部2aが形成されている。電着画像
2および線状電着3の形成は、たとえば、特開平3−1
07496号公報に記載されている方法に準じて行われ
る。何ら限定されるものではないが、以下に電着画像2
および線状電着3の一般的な形成方法について説明す
る。
【0018】この例は、時計用の時刻表示用記号を電着
画像として、これを時計用表示板(被着物)の表面に被
着するようにしたもので、先ず、図3に示すように、必
要とするネガまたはポジの電着画像用フォトマスクフィ
ルム6を写真や印刷等によって作成する。
【0019】同図に示すものは、ポジフィルムであり、
このフィルム6には、閉鎖線図形状の目標画像図7と、
この目標画像図7の周囲を囲撓する線状画像図8と、こ
れらの周囲を囲撓する矩形枠状のガイド用画像図9(同
図において斜線で示す)とが黒インク等で描かれている
とともに、このガイド用画像図9の内部の所定の位置に
ガイドマーク10が白抜きで描かれている。線状画像図
8の幅は、目標画像図7の形状、大きさにもよるが、通
常は0.5〜5mm程度である。また、目標画像図7と線
状画像図8との距離は、通常は0.3〜0.5mm程度で
ある。
【0020】一方、図4に示すように、多層基材1の導
電性被膜1bの上面に、液レジスト、ドライフィルムレ
ジストまたは印刷用レジストインク等のフォトレジスト
11を塗布し、焼き付けを行ったものを用意しておく。
【0021】そして、図5に示すように、前記導電性被
膜1bの上にフォトレジスト11を挟んで前記フィルム
6を乗せ、この状態で露光機等による露光を行う(な
お、同図において、フィルム6中の斜線で示す部分は、
前記目標画像図7、線状画像図8及びガイド用画像図9
に相当して光を遮断する部分である)。
【0022】この露光後に現像を行って、露光されなか
ったフォトレジスト11a(図5参照)を除去し、これ
によって、図6に示すように、導電性被膜1bの表面に
前記目標画像図7、線状画像図8及びガイド用画像図9
の形状に沿った形状の導電部12(電着画像対応面とも
言う)を形成する。次いで、必要に応じて導電部12の
表面(電着画像対応面)に離型処理を施す。離型処理を
施しておくと、後に形成される電着画像2および線状電
着3を、導電性被膜1bから容易に剥離できるようにな
る。この離型処理は前記と同様の手法によって行なわれ
る。
【0023】次に、図7に示すように、前記導電部12
の上に電着法(電着画像法)によって金属を析出させ
て、前記目標画像図7の形状に沿った形状の電着画像2
と、線状画像図8の形状に沿った形状の線状電着3と、
ガイド用画像図9の形状に沿ったガイド用電着5とを形
成する。このように、電着画像2の周囲に線状電着3を
形成すると、目標画像図7に対応する部分に析出しよう
とする金属を、線状画像図8に対応する部分に分散でき
るため、目標画像図7に対する過剰な電着が防止され
る。目標画像図7が先鋭な形状であると、通常は、先鋭
な部分に電着物が過剰に析出するため、電着画像が丸み
を帯びる等の欠点があったが、本発明によれば線状電着
3を形成することによって電着画像2に対する過剰な電
着を防止しているため、先鋭な形状の電着画像2を得る
ことができる。
【0024】なお、前記電着画像2は、上面から見ると
円状、多角形状、星型等の閉鎖線図形状を有し、その内
部には、閉鎖線図形状の電着画像2で囲まれた開口部2
aが形成されている。図7では、電着画像2の断面形状
が示されている。また、前記ガイド用電着5の内部に
は、前記ガイドマーク10の形状に沿って貫通するガイ
ド孔(図示せず)が形成される。
【0025】ここに、前記電着画像2、線状電着3およ
びガイド用電着5を形成する金属として、例えばニッケ
ルを使用した場合には、ワット液として硫酸ニッケル液
を使用することにより、導電部12の上にニッケルを電
着させるのであり、この時の電着条件としては、例えば
150mm×150mmの電着有効面積に対して、3A
/dm2 の電流を流すことにより、3時間で100μm
±10μmの電着画像を得ることができる。
【0026】なお、前記ニッケルの他に、金、銀、銅、
鉄または合金等の任意の金属を導電部12上に析出させ
て、電着画像を形成しても良いことは勿論であり、また
電着条件を変えることにより、例えば20〜300μm
位の範囲で、任意の肉厚の電着画像を得ることができ
る。
【0027】次に、図8に示すように、剥離液に浸漬さ
せて導電性被膜1b上のフォトレジスト11を除去し、
図1に示すように、導電性基材1表面に、開口部2aを
有する閉鎖線図形状の電着画像2と、該電着画像2を囲
む線状電着3と、これらの周囲を囲撓し、ガイド孔4が
設けられたガイド用電着5を形成する。前記電着画像2
の表面に、必要に応じて、表面処理としての金属メッキ
や、電着塗装、スプレー塗装、印刷、静電塗装或いは真
空蒸着等の装飾(着色)を施すことができる。
【0028】このようにして、電着法によって導電性基
材1の表面に電着画像2、線状電着3およびガイド用電
着5を形成した後、図9に示すように、これらの画像を
フィルム等の支持基材13の感圧接着剤層14上に転写
する。多層基材1を用いた場合には、導電性被膜1b上
に電着画像が形成されるが、この場合には電着画像を転
写する際に、導電性被膜1bを同時に剥離する。すなわ
ち、導電性被膜1bと金属板1aとの界面で剥離を行
い、電着画像を、導電性被膜1bと支持基材13とで挟
み込みながら剥離する。この結果、電着画像の散乱が防
止されるため、電着画像を歩留り良く製造することがで
きる。また、電着画像および金属板を殆ど変形すること
なく剥離することができるため、電着画像内に応力が残
留せず、被着物に貼付後も変形が起こることはない。さ
らに金属板を繰り返し使用できるという利点もある。ま
た、導電性被膜1bとして表面平滑性の高い膜、たとえ
ば電解メッキ膜(電着膜)等を使用すると、電着画像の
裏面が平滑になり、被着物への貼付が確実に行なえるよ
うになる。しかも表面平滑性の高い導電性被膜1bには
フォトレジストも密着するため、バリの発生を防止する
ことができ、良質の電着画像が得られる。
【0029】前記感圧接着剤層14は、例えば紫外線硬
化型、加熱硬化型、更には経時硬化型の感圧接着剤によ
って形成することができる。ここに、紫外線硬化型の感
圧接着剤の代表例としては、不飽和結合を2以上有する
付加重合性化合物やエポキシ基を有するアルコキシシラ
ンの如き光重合性化合物と、カルボニル化合物や有機硫
黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物の如
き光重合開始剤を配合したゴム系感圧接着剤や、アクリ
ル系感圧接着剤等が挙げられる(特開昭60−1969
56号公報参照)。光重合性化合物、光重合開始剤の配
合量は、それぞれベースポリマ100重量部当り10〜
500重量部、0.1〜20重量部が一般的である。
【0030】なお、アクリル系ポリマには、通例のもの
(特公昭57−54068号公報、特公昭58−339
09号公報等参照)の他、側鎖にラジカル反応性不飽和
基を有するもの(特公昭61−56264号公報参照)
や、分子中にエポキシ基を有するものも用いることがで
きる。
【0031】また、不飽和結合を2個以上有する付加重
合性化合物としては、例えばアクリル酸やメタクリル酸
の多価アルコール系エステルやオリゴエステル、エポキ
シ系やウレタン系化合物等が挙げられる。
【0032】更に、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテルの如き分子中にエポキシ基を1個または2個以上
有するエポキシ基官能性架橋剤を追加配合して架橋効果
を上げることもできる。
【0033】紫外線硬化型の接着剤を用いて感圧接着剤
層14を形成した場合には、紫外線照射処理を可能とす
るために、支持基材13として透明なフィルム等を用い
る必要がある。
【0034】また、加熱硬化型の感圧接着剤の代表例と
しては、ポリイソシアネート、メラミン樹脂、アミン−
エポキシ樹脂、過酸化物、金属キレート化合物の如き架
橋剤や、必要に応じてジビニルベンゼン、エチレングリ
コールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレートの如き多官能性化合物からなる架橋調節剤
等を配合したゴム系感圧接着剤やアクリル系感圧接着剤
等が挙げられる。
【0035】更に、経時硬化型の感圧接着剤としては、
配合した溶剤が経時的に蒸発することによって接着力が
低下するようにしたものが挙げられる。電着画像等
(2、3、5)を導電性薄膜1bとともに、支持基材1
3の感圧接着剤層14に転写した後、図10に示すよう
に、導電性薄膜1bを除去し、電着画像等を露出させる
(以下、この露出面を保持側全面と呼ぶことがある)。
なお、前記感圧接着剤層14を紫外線硬化型の感圧接着
剤で形成した場合には、導電性薄膜1bの除去に先立
ち、感圧接着剤層14に少量の紫外線を照射しておき、
感圧接着剤層14の接着力を低減しておくことが好まし
い。また金属板1aと導電性薄膜1bとの剥離(図9参
照)に先立ち、感圧接着剤層14の接着力を低減してお
くこともできる。すなわち、紫外線硬化型接着剤の接着
力は、2400g/25mm幅と強力なため、ある程度接着
力を低減しておかないと、導電性薄膜1bを感圧接着剤
層14から剥離することが困難になるためである。また
紫外線硬化型接着剤層の接着力の低減を過度に行なう
と、導電性薄膜1bを除去する際に、電着画像等も一緒
に剥離するため、好ましくない。したがって、紫外線照
射後の接着力は、300〜600g/25mm幅程度、好ま
しくは400〜500g/25mm幅程度とすることが望ま
しい。
【0036】次いで図11に示すように、閉鎖線図形状
の電着画像2の内部(開口部2a)に塗料を注入または
印刷し、塗膜2bを形成する。塗料としては、たとえば
夜光塗料、蛍光塗料、各種の一般塗料等が特に制限され
ることなく種々用いられる。特に、電着画像2を時計用
の時刻表示用記号あるいは指針として用いる場合には夜
光塗料、蛍光塗料を用いることが好ましく、特に夜光塗
料が好ましい。
【0037】夜光塗料は、光線を受けたとき、そのエネ
ルギーを吸収し、暗所でりん光を発する。その発光性
は、顔料としてりん光体の粉末を用いることによって生
ずる。りん光体としては亜鉛またはアルカリ土類の硫化
物が用いられる。このような硫化物がりん光性を現すた
めには賦活体と呼ばれる極微量の重金属が必要である。
また、このような硫化物を主成分とする夜光塗料とは別
に、たとえばMAl24 (Mは、Ca、Sr、Baから
選ばれる元素)と、重金属とからなる夜光塗料も知られ
ている。
【0038】蛍光塗料とは、肉眼では見ることができな
い紫外線を吸収して、これを可視の光線に変えて反射す
る塗料をいい、蛍光性の顔料を用いることによって得ら
れる。蛍光性顔料としては、各種の無機または有機蛍光
体が知られている。
【0039】本発明においては、特に制限されることな
く、従来より公知の種々の夜光塗料、蛍光塗料、一般塗
料を用いることができる。このような塗料の注入法は、
特に限定はされないが、一定圧力で塗料を注入すること
ができるインクインジェクターを用いることが好まし
い。このようなインジェクターを用いることにより表面
平滑性に優れた塗膜2bを形成することができる。
【0040】また、塗料を印刷法も特に限定はされず、
シルク印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来
の印刷方法を採用することができる。塗膜2bの膜厚
は、塗布剤の粘度を調製したり、塗料の注入あるいは印
刷を複数回行うことで、適宜に変更することができ、た
とえば、100〜500μm程度の比較的厚い塗膜2b
を製造することができる。したがって、たとえば夜光塗
料を用いた場合であっても、充分な発光性と長寿命を保
証することができる。
【0041】さらに、上記のようにして形成された塗膜
2bは、後述する固着用接着剤層15によって保持さ
れ、被着物へ確実に密着させることができる。次いで、
図12に示すように、電着画像2、塗膜2b、線状電着
3およびガイド用電着5の保持側全面に固着用接着剤層
15を形成する。固着用接着剤層15は、前記感圧接着
剤層14よりも強い接着力を有するものであることが好
ましい。その後、固定用接着剤層15上に離型紙16を
貼付する(図13参照)。次いで、この状態で感圧接着
剤層14の接着力をさらに低減する。
【0042】ここに、前記感圧接着剤層14を紫外線硬
化型の感圧接着剤で形成した場合には、離型紙16を貼
付後、支持基材13に電着画像2の表面側から、即ち電
着画像2の保持側と反対側から、図14に示すように、
紫外線を照射することにより、感圧接着剤層14の接着
力を極めて弱い接着力に変化させる。
【0043】また、感圧接着剤層14を加熱硬化型の感
圧接着剤で形成した場合には、支持基材13に加熱を施
すことにより、更に経時硬化型の感圧接着剤に形成した
場合には、経時変化を与えることにより、感圧接着剤層
14の接着力を極めて弱い接着力に変化させる。
【0044】このような処理により、感圧接着剤層14
の接着力を、100g/25mm幅以下、好ましくは30〜
50g/25mm幅程度に低減することが望ましい。次い
で、離型紙16を除去する。その後、図15に示すよう
に、線状電着3を除去する。線状電着3は、図1に示し
たように、互いに連接しており、連続的に剥離すること
が可能である。この結果、電着画像2に近接する線状電
着3が固着用接着剤15とともに除去されるため、電着
画像2の外側近傍には殆ど固着用接着剤が残存しない。
したがって、電着画像2および塗膜2bを支持基材13
から容易に剥離することができ、また被着物に貼付後の
接着剤のはみ出しを防止できる。なお、直ちに用いない
場合には、図16に示すように固着用接着剤層15側に
離型紙16’を貼り付けておいて使用時、離型紙16’
を剥がして用いる。
【0045】次に、図17に示すように、被着物17の
表面に、電着画像2および塗膜2bの上に塗布された固
着用接着剤15を介して前記電着画像2および塗膜2b
を前記支持基材13から剥離しつつ貼付け固定する。
【0046】ここに、図17〜図18に示すように、被
着物17としての時計用表示板17’を保持している保
持板18にガイドピン19を突設しておき、このガイド
ピン19と前記ガイド用電着5に設けたガイド孔4とを
介して、電着画像2および塗膜2bの時計用表示板1
7’に対する位置決めを行うことができる。
【0047】この時、前述のように、前記感圧接着剤層
14の接着力が低下しているため、弱い接着剤で電着画
像2および塗膜2bを保持しているのと同じ状態とな
り、支持基材13の電着画像保持側に塗布した固着用接
着剤15を介して前記電着画像2および塗膜2bを前記
支持基材13から剥離しつつ時計用表示板(被着物)1
7’の表面に貼付けることができる。
【0048】そして、この感圧接着剤層14と前記固着
用接着剤15との界面の接着力の方が、時計用表示板1
7’と固着用接着剤15との界面における接着力よりも
大きくなるように両接着剤14、15を選択することに
より、固着用接着剤15が時計用表示板17’に付着し
ないようにすることができる。
【0049】例えば、前記感圧接着剤層14を形成する
感圧接着剤として、光重合性化合物及び光重合開始剤を
配合したアクリル系感圧接着剤を使用した場合、固着用
接着剤15として、感圧接着剤層14を形成する感圧接
着剤と同種の接着剤、即ち光重合性化合物及び光重合開
始剤を配合していないアクリル系ベースポリマのみのア
クリル系感圧接着剤を使用し、これを塗布した後、40
℃の雰囲気で9時間熟成させることにより、感圧接着剤
層14と前記固着用接着剤15との界面の接着力の方
が、時計用表示板17’と固着用接着剤15との界面に
おける接合力よりも大きくなるようにすることができ
る。そして固着部以外の接着剤を残さず剥離除去でき
る。このように、前記接着力が低下した後の感圧接着剤
層14と固着用接着剤15との界面における接合力の方
が、被着物17と固着用接着剤15との界面における接
合力よりも大きくなるように両接着剤を選択することに
より、電着画像の裏面のみに接着剤を塗布するといった
面倒な作業をなくして工程の簡素化を図ることもでき
る。
【0050】なお、本発明においては、固着用接着剤層
15を形成する際に、電着画像2よりもやや大きめの開
口部を備えたマスクを介して接着剤を塗布またはスプレ
ーし、電着画像2および塗膜2bの裏面のみに固着用接
着剤層15を形成することもできる。
【0051】以上、主として時計用表示板の製造法を例
にとって、本発明の第1の実施例を説明してきた。とこ
ろで、時計用表示板はその中心部に大面積の空白部を有
する(ここで、空白部とは、線状電着3に囲まれた部分
であって、且つ電着画像2および開口部2a以外の部分
の指し、図1において”20”で示す)。このような空
白部20に対応するフォトレジスト(たとえば図5にお
いて”11”で示される)にピンホールが存在すると、
このピンホールにも電着物が析出してしまい、空白部2
0にも微小な電着物が形成されてしまう。このような微
小な電着物が時計用表示板に転写されてしまうと、著し
くその外観が損なわれることになる。
【0052】本発明に係る電着画像の第2の製造方法
は、空白部20における微小電着物の形成を防止するこ
とを目的としている。本発明の第2の実施例において
は、空白部20に島状電着21を設ける(図19参照)
以外は、第1の実施例とほぼ同様である。島状電着21
は、線状電着3の連結してなり、線状電着3に囲まれ、
かつ電着画像2以外の部分に形成されている。
【0053】島状電着21は、空白部20の中心に形成
され、空白部20の全面積に対して、40〜70%、好
ましくは50〜60%程度の面積比で形成されることが
望ましい。
【0054】本発明に係る電着画像の第2の製造方法に
おいては、導電性基材1表面に、開口部2aを有する閉
鎖線図形状の電着画像2と、線状電着3と、島状電着2
1を形成し、支持基材13の感圧接着剤層14に、電着
画像2、線状電着3および島状電着21を導電性基材1
から剥離転写し、閉鎖線図形状の電着画像2に囲まれた
開口部2aに塗料を注入または印刷して塗膜2bを形成
し、電着画像2、塗膜2b、線状電着3および島状電着
21の保持側全面に固着用接着剤層15を形成し、線状
電着3および島状電着21を除去し、支持基材13から
電着画像2および塗膜2bを剥離しつつ、固着用接着剤
層15を介して電着画像2および塗膜2bを被着物17
の表面に貼付ける。
【0055】このような島状電着21を形成することに
より、空白部20における微小電着物の形成を防止する
ことができる。また島状電着21は線状電着3と連結し
てなるので、線状電着3とともに容易に除去することが
できる。さらに島状電着21によって線状電着3の強度
が向上するため、線状電着3の除去時に、線状電着3の
千切れを防止することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、従来は高度な熟練を要
した、塗膜付電着画像を廉価に製造することができる。
また、電着画像を被着物に貼付する際に、電着画像を支
持基材から容易に剥離することができ、また被着物に貼
付後の接着剤のはみ出しを防止できる。また本発明によ
れば、ピンホール状の微小電着物の形成を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性基材上表面に、電着画像、開口部、線状
電着およびガイド用電着を形成した状態を示す平面図。
【図2】導電性基材(多層基材)の一例を示す断面図。
【図3】電着画像用フォトマスクフィルムの一例を示す
平面図。
【図4】導電性基材表面にフォトレジストを積層した状
態の断面図。
【図5】露光時の状態を示す断面図。
【図6】露光後、現像した状態を示す断面図。
【図7】現像後、電着を施した状態を示す断面図。
【図8】電着後、フォトレジストを除去した状態を示す
断面図。
【図9】電着画像等を導電性被膜とともに、支持基材に
転写保持した状態を示す断面図。
【図10】少量の紫外線を照射した後、導電性被膜を除
去している状態を示す断面図。
【図11】開口部内に塗料を注入または印刷した後の状
態を示す断面図。
【図12】電着画像、塗膜、線状電着、ガイド用電着の
保持側全面に固着用接着剤層を形成した状態を示す断面
図。
【図13】固着用接着剤層に離型紙を貼付けた状態を示
す断面図。
【図14】紫外線照射により、感圧接着剤層の接着力を
低減している状態を示す断面図。
【図15】線状電着を除去した状態を示す断面図。
【図16】線状電着を除去した後、固着用接着剤層に離
型紙を貼付けた状態を示す断面図。
【図17】支持基材を剥離しつつ、被着物に電着画像お
よび塗膜を転写している状態を示す断面図。
【図18】電着画像および塗膜を被着した被着物を示す
斜視図。
【図19】導電性基材上表面に、電着画像、開口部、線
状電着、ガイド用電着および島状電着を形成した状態を
示す平面図。
【符号の説明】
1…導電性基材(多層基材:1a…金属板、1b…導電
性薄膜);2…電着画像; 2a…開口部; 2b…塗
膜 3…線状電着; 4…島状電着; 5…ガイド孔;6…
ガイド用電着; 7…電着画像用フォトマスク; 8…
目標画像図;9…線状画像図; 10…島状画像図;
11…ガイド用画像図;12…ガイドマーク; 13…
フォトレジスト; 14…導電部;15…支持基材;
16…感圧接着剤層; 17…固着用接着剤層;18…
離型紙; 19(19’)…被着物(時計用表示板);
20…保持板; 21…ガイドピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 1/00 341 C25D 1/00 371

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基材表面に、閉鎖線図形状の電着画
    像と、該電着画像を囲む線状電着とを形成し、 感圧接着剤層を設けた支持基材の該感圧接着剤層に、前
    記電着画像および前記線状電着を前記導電性基材から剥
    離転写し、導電性基材を剥離除去した後に、 前記閉鎖線図形状の電着画像内部に塗料を注入または印
    刷して塗膜を形成し、 前記電着画像、塗膜および前記線状電着の保持側全面に
    固着用接着剤層を形成し、 前記線状電着を除去し、 前記支持基材から前記電着画像および塗膜を剥離しつ
    つ、前記固着用接着剤層を介して前記電着画像および塗
    膜を被着物の表面に貼付けることを特徴とする電着画像
    の製造方法。
  2. 【請求項2】導電性基材表面に、閉鎖線図形状の電着画
    像と、該電着画像を囲む線状電着と、該線状電着に囲ま
    れ且つ該電着画像以外の部分に、該線状電着と連結して
    なる島状電着を形成し、 感圧接着剤層を設けた支持基材の該感圧接着剤層に、前
    記電着画像、前記線状電着および前記島状電着を前記導
    電性基材から剥離転写し、導電性基材を剥離除去した後
    に、 前記閉鎖線図形状の電着画像内部に塗料を注入または印
    刷して塗膜を形成し、 前記電着画像、塗膜、前記線状電着および前記島状電着
    の保持側全面に固着用接着剤層を形成し、 前記線状電着および前記島状電着を除去し、 前記支持基材から前記電着画像および塗膜を剥離しつ
    つ、前記固着用接着剤層を介して前記電着画像および塗
    膜を被着物の表面に貼付けることを特徴とする電着画像
    の製造方法。
  3. 【請求項3】前記導電性基材が、金属板と、その上に形
    成された導電性薄膜とからなることを特徴とする請求項
    1または2に記載の電着画像の製造方法。
  4. 【請求項4】前記感圧接着剤層が、紫外線硬化型感圧接
    着からなることを特徴とする請求項1または2に記載の
    電着画像の製造方法。
  5. 【請求項5】前記閉鎖線図形状の電着画像内部に塗料を
    注入または印刷される塗料が、夜光塗料であることを特
    徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電着画像の製造
    方法。
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