JP2937602B2 - 熱伝導性複合金属酸化物およびその使用 - Google Patents

熱伝導性複合金属酸化物およびその使用

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JP2937602B2
JP2937602B2 JP2326192A JP2326192A JP2937602B2 JP 2937602 B2 JP2937602 B2 JP 2937602B2 JP 2326192 A JP2326192 A JP 2326192A JP 2326192 A JP2326192 A JP 2326192A JP 2937602 B2 JP2937602 B2 JP 2937602B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な酸化マグネシウ
ム系固溶体である熱伝導性酸化物およびその製造方法、
該酸化物を樹脂および/またはゴム類に配合してなる熱
伝導性樹脂および/またはゴム組成物に関する。さらに
詳しくは、パワートランジスター、サイリスタ、整流
器、トランス、ヒーター、IC等の発熱性電子部品およ
び電気部品等から発生する熱を放熱フィン等に効率良く
伝熱させる耐水性および熱伝導性に優れた酸化マグネシ
ウム系固溶体、および該固溶体を配合してなる耐水性の
改善された放熱性樹脂および/またはゴム組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】約1100℃以上に焼成された酸化マグ
ネシウムは、死焼マグネシアとも呼ばれ、高融点(約2
800℃)、高電気絶縁性、低誘電体損失、高透光性、
高熱伝導性、無毒性等の特徴ある物性を有している。こ
の物性を生かして、耐熱容器、耐熱部品、断熱材、IC
基板、ナトリウムランプ容器、シーズヒーター、樹脂お
よびゴムの充填材、研磨材等に用いられる。
【0003】しかし酸化マグネシウムは、水または水蒸
気により徐徐に侵されて水和し、水酸化マグネシウムに
変化する。このため上記した種々の優れた物理的特性が
失われる。この課題を解決するため、1600℃以上2
800℃未満で焼成する方法(特開昭61−85474
号公報)、酸化マグネシウムの表面を有機シリケート化
合物で表面処理後熱処理して酸化マグネシウム表面にシ
リカ被膜を形成する方法(特開昭62−288114号
公報)、水酸化マグネシウムを約5〜500μmにスプ
レードライヤーで造粒後焼成することにより焼結が高度
に進んだ酸化マグネシウム(低い比表面積)を生成さ
せ、さらにこの後酸化マグネシウムの表面を有機シリケ
ート化合物で表面処理した後、熱処理して酸化マグネシ
ウムの表面にシリカの被膜を形成させる方法(特開平2
−212314号公報)等が提案されてきた。この中で
も特開平2−212314号公報に開示された方法が最
も有効である。
【0004】しかし上記方法においても、室温付近での
耐水和性は良好であるが、高温、長時間の暴露、例えば
120℃以上、特に150℃以上になると時間経過と共
に水和が進行する。このため、例えばIC封止剤として
多用されているエポキシ樹脂に熱伝導性改良剤として使
用すると、約120℃、約2kg/cm2のプレッシャ
ークッカーテスト条件下で急速に水和が起こって使用で
きない等の問題を生じる。
【0005】本発明は、酸化マグネシウムの欠点である
水和性を著しく改善し、かつ熱伝導性に優れた新規な化
合物、該化合物の製造方法、および該化合物を配合した
熱伝導性樹脂および/またはゴム組成物の提供を目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1) Mg1-x2+ xO (1) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
範囲の数を示す)で表され、かつBET比表面積が4m
2/g以下の酸化マグネシウム系固溶体である複合金属
酸化物からなる熱伝導性酸化物を提供する。
【0007】さらに本発明は、樹脂および/またはゴム
100重量部に対して上記式(1)の複合金属酸化物を
21〜400重量部含有することを特徴とする熱伝導性
樹脂および/またはゴム組成物を提供する。
【0008】本発明はさらに Mg1-x2+ x(OH)2
(1) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
範囲の数を示す)で表される酸化マグネシウム系固溶体
を、約1100℃以上、好ましくは約1200℃〜16
00℃で焼成することを特徴とする熱伝導性複合金属酸
化物の製造方法を提供する。
【0009】本発明者は、酸化マグネシウムの欠点であ
る水和性不良を克服すべく鋭意研究に努めてきた。その
結果、酸化マグネシウムの水和性不良は、酸化マグネシ
ウム固有の物性に起因するものであり、酸化マグネシウ
ムである限りこの欠点を著しく改善することは困難であ
ると考えるに至り、さらに研究を進めた。
【0010】その結果、本発明者が先に発明した下記式
(3) Mg1-x2+ x(OH)2 (3) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
範囲の数を示す)の水酸化マグネシウム系固溶体を約1
000℃好ましくは約1200〜1600℃の高温で焼
成して得られる酸化マグネシウム系固溶体が、酸化マグ
ネシウムの有する高電気絶縁性、高融点、高熱伝導性等
の特徴を殆ど損なうことなく、かつ酸化マグネシウムの
重大な欠点である水和性を著しく改善できることを見い
だし本発明を完成した。その上この固溶体は、酸化マグ
ネシウムよりも易焼結性であることをも見いだした。こ
のことは、酸化マグネシウムよりも低温で緻密な焼結体
が得られることを意味する。
【0011】本発明の高耐水和性の熱伝導性酸化マグネ
シウム系固溶体は、酸化マグネシウムと同じ結晶構造を
有し、このものの粉末X線回折パターンは酸化マグネシ
ウムと実質的に同じであり、M2+O(M2+は式(1)の
2+と同じ意味を表す)等他のいかなる化合物の回折パ
ターンも現れない。酸化マグネシウムにM2+Oが固溶し
ているため、その固溶量と固溶したM2+の種類によりわ
ずかに回折角度がシフトする。M2+Oの固溶量xが大き
くなるほど、耐水和性および焼結性が向上する傾向にあ
る。しかし、xが0.5以上になると熱伝導性が低下す
る。
【0012】式(1)の酸化マグネシウム系固溶体は、
酸化マグネシウムに比して耐水和性が優れると共に、耐
酸性も改善される。その傾向は、Mg1-xNixOおよび
Mg1-xCoxOで特に顕著である。Mg1-xZnxOは、
酸化マグネシウムよりも白色度が高く、樹脂および/ま
たはゴムに配合した場合に、顔料を用いて各種の色に自
由に着色できるという利点を有する。従って、式(1)
で表される酸化マグネシウム系固溶体の中でも特に好ま
しいのは、式(2) Mg1-x1 2+ xO (2) (式中、M1 2+はNi2+、Co2+およびZn2+の少なく
とも一種を示し、xは式(1)と同じ意味を表す)で表
される酸化マグネシウム系固溶体である。
【0013】本発明の酸化マグネシウム系固溶体の2次
粒子径は、特別に大きな制約はないが、好ましくは約
0.5〜500μm、特に好ましくは約5〜100μm
の範囲である。これらの2次粒子径の調節は、公知の方
法を用いて、本発明の酸化マグネシウム系固溶体の前駆
物質である式(3)の水酸化マグネシウム系固溶体の合
成時に種添加反応を行って、直径約50μm以下のほぼ
球形に凝集させ造粒する方法、水酸化マグネシウム系固
溶体のスラリーをスプレードライヤーを用いて、バイン
ダーを添加しまたは添加しないで、造粒乾燥する方法等
によって実施できる。樹脂および/またはゴムに高充填
する場合程、粘度が上昇する傾向にあるので、そのぶん
2次粒子径の大きなものを用いるのが好ましい。
【0014】BET比表面積が小さくなる程、酸化マグ
ネシウム系固溶体の結晶が大きくなる傾向にあり、結晶
が大きくなる程耐水和性が向上し、熱伝導性も向上する
傾向にあるので、BET比表面積は約4m2/g以下、
好ましくは1m2/g以下、特に好ましくは0.2m2
g以下である。
【0015】本発明の熱伝導性酸化マグネシウム系固溶
体は、メトキシシラン、エトキシシラン等のアルコキシ
シラン、メチルアルコール、エチルアルコール等のアル
コール、水および塩酸、硝酸等の酸の混合液と接触させ
てアルコキシシランで表面被覆した後、約500〜90
0℃で焼成して、酸化マグネシウム系固溶体の表面にケ
イ酸金属塩セラミックを約0.1〜3重量%形成させ
て、耐水和性を更に改善してもよい。
【0016】本発明の酸化マグネシウム系固溶体は、熱
伝導性充填剤としてそのまま用いることができる。ま
た、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、リン酸エ
ステル、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等の
カップリング剤、および多価アルコールと脂肪酸のエス
テル類からなる群から選ばれた表面処理剤の少なくとも
一種により表面処理して用いてもよい。
【0017】表面処理剤による式(1)の酸化マグネシ
ウム系固溶体の表面コーティング処理は、それ自体公知
の乾式または湿式法により実施できる。例えば乾式法と
しては、酸化マグネシウム系固溶体の粉末をヘンシェル
ミキサー等の混合機による十分撹拌下に表面処理剤を液
状、エマルジョン状、固形状で加え、加熱または非加熱
下に十分に混合すればよい。湿式法としては、酸化マグ
ネシウム系固溶体のアルコール等のスラリーに該表面処
理剤を液状またはエマルジョン状で加え、約100℃ま
での温度で機械的に十分混合すればよい。表面処理剤の
量は、酸化マグネシウム系固溶体の重量に基づいて約
0.1〜5重量%とするのが好ましい。
【0018】本発明の酸化マグネシウム系固溶体の製造
は、本発明者の発明に係る式(3)の水酸化マグネシウ
ム系固溶体を(特願平3−36816号)、約1100
℃以上、好ましくは約1200〜1600℃の温度で、
約0.5〜20時間大気、ヘリウム、酸素、窒素等の非
還元性雰囲気下で、ロータリーキルン、トンネル炉、マ
ッフル炉等の焼成装置を用いて焼成することで製造でき
る。焼成温度が約1100℃よりも低くなると耐水和性
が不十分となり、また約1600℃を超えると硬くなり
過ぎて強度の粉砕が必要となり、経済的でない。また結
晶に傷が付き易くなり、耐水和性の改善効果も向上しな
くなる傾向にある。
【0019】本発明で用いられる樹脂およびゴムの例と
しては、例えばポリエチレン、エチレンと他のα−オレ
フィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル
酸エチルまたはアクリル酸メチルとの共重合体、ポリプ
ロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合
体、ポリブテン−1、ポリスチレン、スチレンとアクリ
ロニトリル、エチレンとプロピレンジエンゴムまたはブ
タジエンとの共重合体、酢酸ビニル、ポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリエーテル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂、EPD
M、SBR、NBR、ブチルゴム、イソプレンゴム、ク
ロロスルホン化ポリエチレン、シリコンゴム、フッ素ゴ
ム等が例示される。
【0020】本発明において、樹脂および/またはゴム
に対する式(1)の酸化マグネシウム系固溶体の配合量
は、樹脂および/またはゴム100重量部に対して、式
(1)の酸化マグネシウム系固溶体を約21〜400重
量部、好ましくは約40〜300重量部である。式
(1)の酸化マグネシウム系固溶体の配合量が、上記範
囲よりも少ないと熱伝導性の改良が不十分となり、また
上記範囲を超えると機械的強度が低下するという不利益
が生じる。
【0021】樹脂および/またはゴムと式(1)の酸化
マグネシウム系固溶体との混合、混練方法には特別の制
約はなく、両者を均一に混合しうる任意の混合手段を適
宜採用できる。例えば、一軸または二軸押出機、ロー
ル、バンバリーミキサー等である。成形方法にも特別の
制約はなく、樹脂および/またはゴムの種類、所望成形
品の種類等に応じてそれ自体公知の成形手段を任意に採
用できる。例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、プ
レス成形、回転成形、カレンダー成形、シートフォーミ
ング成形、トランスファー成形、積層成形、真空成形等
である。
【0022】本発明の熱伝導性樹脂および/またはゴム
組成物は、上記成分以外にも慣用の他の添加剤を配合し
てもよい。このような添加剤としては、例えば酸化防止
剤、紫外線吸収剤、加硫剤、加硫促進剤、帯電防止剤、
顔料、滑剤、架橋剤等が例示される。
【0023】以下実施例に基づき、本発明をより詳細に
説明する。 実施例1 塩化マグネシウムと塩化ニッケルの混合水溶液(Mg2+
=1.0モル/リットル、Ni2+=0.1モル/リット
ル、20℃)10リットルを、容量20リットルの反応
容器に入れ、撹拌下に2.0モル/リットルの水酸化カ
ルシウム(20℃)5リットルを約5分間で加えて反応
させ、全量添加後さらに20分間撹拌を継続した。得ら
れた沈澱を減圧下に濾過、水洗後水に分散させ、スプレ
ードライヤーを用いて造粒乾燥した。乾燥物の粉末X線
回折パターンは、水酸化マグネシウムのそれと実質的に
同じであった。化学組成は、Mg0.9Ni0.1(OH)2
であった。この乾燥物をカンタル炉で1200℃で2時
間大気雰囲気下で焼成した。焼成物は柔らかく、乳鉢で
ほぐした後、100メッシュの篩で篩過した。このもの
の化学組成は、Mg0.9Ni0.1Oであった。平均2次粒
子径、耐水和性、耐酸性等の測定結果を表1に示す。
【0024】本実施例および以下の各例における化学組
成等の測定方法は次の通りである。 化学組成:キレート滴定法により測定、 平均2次粒子径:マイクロトラック法により測定、 耐水和性:100℃の沸騰水中に5時間浸漬後の重量増
加比率を測定、 耐酸性:pHスタットを用いて、pH3、37℃で20
0mgの試料と1N−HClとを反応させ、1.0ミリ
リットルの1N−HClが消費されるまでの時間を測
定、 BET比表面積:液体窒素吸着法により測定。
【0025】実施例2 実施例1において、Mg2+=0.8モル/リットル、N
2+=0.3モル/リットルの混合水溶液を用いた他は
実施例1と同様に操作した。乾燥物は水酸化マグネシウ
ムと実質的に同じX線回折パターンを示し、化学組成は
Mg0.7Ni0.3(OH)2であった。乾燥物を実施例1
と同じ条件で焼成し、評価した。化学組成はMg0.7
0.32であった。評価結果を表1に示す。
【0026】実施例3 実施例1において、混合水溶液として塩化マグネシウム
と硝酸亜鉛(Mg2+=1.07モル/リットル、Zn2+
=0.03モル/リットル)を用いた他は実施例1と同
様に操作した。乾燥物は水酸化マグネシウムと実質的に
同じX線回折パターンを示した。化学組成はMg0.97
0.03(OH)2であった。乾燥物を実施例1と同じ条
件で焼成し、評価した。化学組成はMg0.97Zn0.03
2であった。評価結果を表1に示す。
【0027】実施例4 実施例1において、混合水溶液として塩化マグネシウム
と塩化第2銅(Mg2+=1.05モル/リットル、Cu
2+=0.05モル/リットル)を用いた他は実施例1と
同様に操作した。乾燥物は水酸化マグネシウムと実質的
に同じX線回折パターンを示した。化学組成はMg0.95
Cu0.05(OH)2であった。乾燥物を実施例1と同じ
条件で焼成し、評価した。化学組成はMg0.95Cu0.05
Oであった。評価結果を表1に示す。
【0028】実施例5 脱酸素処理した塩化マグネシウムと塩化第1コバルトの
混合水溶液(Mg2+=1.0モル/リットル、Co2+
0.1モル/リットル、15℃)2リットルを容量5リ
ットルの窒素ガス置換した反応容器に入れ、撹拌下に同
じ脱酸素処理した2.0モル/リットルの水酸化ナトリ
ウム水溶液(15℃)2リットルを約1分間で加え、非
酸化条件下に反応させた。反応物を窒素雰囲気中で脱
水、水洗、乾燥した。乾燥物は水酸化マグネシウムと実
質的に同じX線回折パターンを示し、化学組成はMg
0.9Co0.1(OH)2であった。乾燥物をヘリウム雰囲
気中、1300℃で2時間焼成した。焼成物の化学組成
はMg0.9Co0.1Oであった。評価結果を表1に示す。
【0029】実施例6 実施例5において、混合水溶液として塩化マグネシウム
と塩化第1鉄(Mg2+=1.0モル/リットル、Fe2+
=0.1モル/リットル)を用いた他は実施例5と同様
に操作した。乾燥物は水酸化マグネシウムと実質的に同
じX線回折パターンを示し、化学組成はMg0.9Fe0.1
(OH)2であった。乾燥物を実施例5と同じ条件で焼
成した。焼成物の化学組成はMg0.9Fe0.1Oであっ
た。評価結果を表1に示す。
【0030】実施例7 実施例5において、混合水溶液として塩化マグネシウム
と塩化マンガン(Mg2+=1.0モル/リットル、Mn
2+=0.1モル/リットル)を用いた他は実施例5と同
様に操作した。乾燥物は水酸化マグネシウムと実質的に
同じX線回折パターンを示し、化学組成はMg0.9Mn
0.1(OH)2であった。乾燥物を実施例5と同じ条件で
焼成した。焼成物の化学組成はMg0.9Mn0.1Oであっ
た。評価結果を表1に示す。
【0031】比較例1 実施例1において、混合水溶液の代わりに1.1モル/
リットルの塩化マグネシウム水溶液を用いた他は実施例
1と同様に操作した。焼成物の化学組成はMgOであっ
た。評価結果を表1に示す。
【0032】実施例8 実施例3で得られた固溶体Mg0.97Zn0.03Oの100
gをテトラエトキシシラン3.5g、エチルアルコール
250ミリリットル、水20ミリリットルおよび塩酸2
0ミリリットルの混合液に加え、約70℃で5分間十分
撹拌し、濾過後、800℃で2時間焼成した。得られた
シリカ処理固溶体の評価結果を表1に示す。
【0033】 表1 粉末X線回折 BET比 耐水和性 耐酸性 平均2次 パターン 表面積 (%) (分) 粒子径(μm) 実施例1 A 0.15 0.27 60 24.3 実施例2 A 0.09 0.16 110 26.1 実施例3 A 0.30 4.1 10 20.6 実施例4 A 0.28 2.5 15 18.4 実施例5 A 0.10 0.90 36 1.2 実施例6 A 0.10 1.6 21 2.6 実施例7 A 0.10 1.9 18 2.1 比較例1 A 0.48 5.6 7 20.8 実施例8 A 0.28 0.38 18 22.5 注:Aは、粉末X線回折パターンが実質的に酸化マグネ
シウムと同じであることを示す。 BET比表面積の単位はm2/gである。
【0034】実施例9 耐衝撃性ポリプロピレン100重量部に対し、0.2重
量部の酸化防止剤(0.1重量部のIrganox10
10と0.1重量部のWeston626)および実施
例1で得られた酸化マグネシウム系固溶体とを表2に示
す配合部数で均一に混合後、押出機を用いて約230℃
で溶融混練し、ペレットを作成した。このペレットを真
空乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥後、射出成形機
を用いて長さ15mm、幅10mm、厚み2mmの板に
230℃で成形した。この成形板を5枚重ねて非定常熱
線法により300°Kでの熱伝導率を測定した。測定結
果を表2に示す。
【0035】実施例10、比較例2 実施例9において、熱伝導性充填剤として比較例1で得
られた酸化マグネシウム(比較例2)および実施例3で
得られた酸化マグネシウム系固溶体(実施例10)を用
いた他は実施例9と同様に操作して成形板を得た。この
物の熱伝導率測定結果を表2に示す。
【0036】 表2 熱伝導性充填剤の配合量 50 100 150 300 実施例9 0.18 0.30 0.42 0.53 0.95 比較例2 0.18 0.30 0.43 0.54 0.96 実施例10 0.18 0.30 0.43 0.54 0.96 注:熱伝導率の単位はKcal/m・h・℃ 熱伝導性充填剤の配合量は、樹脂100重量部に対する
部数。
【0037】実施例11 EPDMゴムおよび実施例1で得られた酸化マグネシウ
ム系固溶体を下記配合で、オープンロールを用いて混練
後、150℃で20分間混練した。混練後を用いて厚さ
のシートを作成した。得られたシートについての機
械強度と熱伝導率を測定した結果を表3に示す。 EPDM 100重量部 ZnO 5重量部 ステアリン酸 1重量部 ジクミルパーオキサイド(架橋剤) 2.7重量部 Mg0.9Ni0.1O(実施例1) 変量
【0038】 表3 Mg0.9Ni0.1Oの配合量(重量部) 0 50 100 引張破断強度(Kgf/cm2) 105 98 95 伸び(%) 150 160 170 熱伝導率(Kcal/m,h,℃) 0.20 0.31 0.45
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、新規な酸化マグネシウ
ム系固溶体である熱伝導性酸化物、該酸化物の製造方
法、および該酸化物を配合した熱伝導性ゴムおよび/ま
たは樹脂組成物が提供される。本発明によれば、耐水和
性、耐酸性が著しく改善された酸化マグネシウム系固溶
体である熱伝導性複合金属酸化物、および該酸化物を配
合した熱伝導性ゴムおよび/または樹脂組成物が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C01G 49/00 C01G 49/00 C08K 3/22 C08K 3/22 C08L 21/00 C08L 21/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂および/またはゴム100重量部に
    対して式(1) Mg1-x2+ xO (1) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
    2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
    の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
    範囲の数を示す)で表され、かつBET比表面積が4m
    2/g以下の酸化マグネシウム系固溶体である熱伝導性
    複合金属酸化物を21〜400重量部含有することを特
    徴とする熱伝導性樹脂および/またはゴム組成物。
  2. 【請求項2】 式(1)の酸化マグネシウム系固溶体
    が、式(2) Mg1-x1 2+ xO (2) (式中、M1 2+はNi2+、Co2+およびZn2+の少なく
    とも一種を示し、xは式(1)と同じ意味を表す)の複
    合金属酸化物である請求項1記載の熱伝導性樹脂および
    /またはゴム組成物。
  3. 【請求項3】 式(1)の酸化マグネシウム系固溶体
    が、ケイ素の酸化物で被覆処理されてなる請求項1記載
    の樹脂および/またはゴム組成物。
  4. 【請求項4】 式(1) Mg1-x2+ xO (1) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
    2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
    の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
    範囲の数を示す)で表され、かつBET比表面積が4m
    2/g以下の酸化マグネシウム系固溶体からなる熱伝導
    性複合金属酸化物。
  5. 【請求項5】 式(3) Mg1-x2+ x(OH)2 (3) (式中、M2+はMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu
    2+およびZn2+からなる群から選ばれた二価金属イオン
    の少なくとも一種を示し、xは0.001<x<0.5の
    範囲の数を示す)で表される水酸化マグネシウム系固溶
    体を、約1100℃以上で焼成することを特徴とする熱
    伝導性複合金属酸化物の製造方法。
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