JP2937114B2 - 種結晶保持具 - Google Patents

種結晶保持具

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JP2937114B2
JP2937114B2 JP5886096A JP5886096A JP2937114B2 JP 2937114 B2 JP2937114 B2 JP 2937114B2 JP 5886096 A JP5886096 A JP 5886096A JP 5886096 A JP5886096 A JP 5886096A JP 2937114 B2 JP2937114 B2 JP 2937114B2
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輝郎 和泉
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は種結晶保持具に関
し、より詳細には、半導体材料として使用される単結晶
を育成する際に用いられる、種結晶保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶を育成するには種々の方法がある
が、その一つにチョクラルスキー法(以下、CZ法と記
す)に代表される引き上げ法がある。図3は、従来のC
Z法に用いられる単結晶引き上げ装置の要部を模式的に
示した断面図であり、図中31は坩堝を示している。
【0003】この坩堝31は、有底円筒形状の石英製坩
堝31aと、この石英製坩堝31aの外側に嵌合され
た、同じく有底円筒形状の黒鉛製坩堝31bとから構成
されており、坩堝31は、図中の矢印方向に所定の速度
で回転する、支持軸39に支持されている。この坩堝3
1の外側には、抵抗加熱式のヒータ32、及びヒータ3
2の外側には、坩堝31への熱移動を促進する保温筒4
2が、同心円状に配置されており、坩堝31内には、こ
のヒータ32により溶融させられた単結晶用原料の溶融
液33が、充填されている。
【0004】坩堝31の中心軸上には、引き上げ棒ある
いはワイヤー等からなる引き上げ軸34が吊設されてお
り、この引き上げ軸34の先には、種結晶保持具10を
介して種結晶35が取り付けられている。
【0005】図4(a)は、種結晶35が挿入された状
態の種結晶保持具10と、引き上げ軸34との連結構造
を示した模式的部分断面図であり、(b)は、その底面
図である。
【0006】種結晶35の下部35aは、軸部35bよ
りも細く、下部35aと軸部35bとの間には、テーパ
部35cが形成されている。
【0007】引き上げ軸34の下端部34Aは、本体部
34Bよりも細い円柱形状となっており、下端部34A
の側面には、ネジ溝34aが形成されている。
【0008】種結晶保持具10は、全体的には筒形状を
しており、その下部には、テーパ面10aが形成されて
いる。種結晶保持具10の下部の中空部11aには、種
結晶35が挿入され、上部の中空部11bには、引き上
げ軸34の下端部34Aが取り付けられるようになって
いる。中空部11a途中には、テーパ面11a-1が形成
されており、中空部11aの壁面形状は種結晶35の外
形に合わされており、テーパ面11a-1のテーパ角と種
結晶テーパ部35cのテーパ角とは、同一角度に設定さ
れている。また、中空部11bの上部側壁面には、ネジ
溝10bが形成されている。
【0009】このように構成された種結晶保持具10に
種結晶35を保持させ、種結晶35を保持させた種結晶
保持具10を引き上げ軸34に連結するには、まず種結
晶35を種結晶保持具10の上方から中空部11a内に
挿入する。この時、種結晶35のテーパ部35cが中空
部11aに形成されたテーパ面11a-1と接合すること
により、種結晶35は中空部11aから下方へ脱するこ
となく、種結晶保持具10中に保持される。次に、引き
上げ軸34の下端部34Aに種結晶保持具10の中空部
11bを位置合わせし、引き上げ軸34に形成されたネ
ジ溝34aに、種結晶保持具10に形成されたネジ溝1
0bを螺合させることにより、引き上げ軸34に種結晶
保持具10を連結する。
【0010】種結晶35の溶融液(約1400℃程度)
33への着液時には、種結晶保持具10の先端部もかな
りの高温に晒されるため、種結晶保持具10の形成材料
としては、耐熱性に優れたものを用いる必要がある。ま
た、鉄等の金属では重金属汚染発生の虞があるため、金
属性とすることは困難である。このため、種結晶保持具
10は、高い耐熱性を有するカーボン材やカーボンメッ
シュ(C/C)材等により形成されるのが一般的であ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記した種結晶保持具
10は、従来一般的とされてきた直径約6インチ、重量
が80kg程度の単結晶36の引き上げを行うには、十
分な強度を有していた。しかしながら、近年の半導体デ
バイスの高集積化、低コスト化及び生産性の効率化の要
求に対応して、ウエハの大口径化が要求されてきてお
り、最近では例えば直径約12インチ、重量が300k
g程度の単結晶36の製造が望まれている。この場合、
従来の種結晶保持具10のように、その形成材料がカー
ボン材やC/C材等であると、種結晶保持具10が、引
き上げられる単結晶36の重さに耐えられずに破断し、
単結晶36が落下してしまうといった課題があった。こ
の場合、種結晶保持具10は、引き上げ方向と略平行
に、裂けるように破断してしまうことが多い。また、種
結晶保持具10を金属により構成した場合には、重金属
汚染が発生したり、熱疲労により種結晶保持具1の強度
が早期に劣化し易いといった課題があった。
【0012】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、大重量の単結晶を引き上げる場合であっても、単
結晶の重さに耐えられずに破断するということがなく、
安全に、しかも重金属汚染を発生させることなく、単結
晶を引き上げることができる種結晶保持具を提供するこ
とを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために、本発明に係る種結晶保持具は、少なく
とも種結晶の外周に位置することとなる部分に、金属製
筒体が埋設されていることを特徴としている。
【0014】上記種結晶保持具によれば、少なくとも種
結晶の外周に位置することとなる部分に金属製筒体が埋
設されているため、種結晶にテーパ部が形成され、該テ
ーパ部と接合する種結晶保持具中空部のテーパ面に、大
きな応力が作用したとしても、該応力は、種結晶の外周
に位置する前記金属製筒体により、受け止められること
となる。よって、前記テーパ面における支持力が強化さ
れ、破断の発生を防止することができる。また、前記金
属製筒体は、カーボン材等に埋設されているため、該金
属製筒体が、高温のチャンバ内雰囲気に直接的に晒され
ることがない。よって、前記金属製筒体の金属成分が、
高温により蒸散することがなく、重金属汚染の発生を防
止することができる。また、前記金属製筒体は、前記カ
ーボン材等により断熱されるため、熱疲労による早期の
劣化が防止され、種結晶保持具の初期の強度を長期間維
持することができる。これにより、大重量の単結晶を引
き上げる場合であっても、単結晶の重さに耐えられずに
種結晶保持具が破断するということがなく、安全に、し
かも重金属汚染を発生させることなく、単結晶を引き上
げることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る種結晶保持具
の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、従来
例と同一の機能を有する構成部品には、同一の符号を付
してある。
【0016】図1(a)は、種結晶35が挿入された状
態の、実施の形態に係る種結晶保持具1と引き上げ軸3
4との連結構造を示した、模式的部分断面図であり、
(b)はその底面図である。
【0017】種結晶35、引き上げ軸34の構成に関し
ては、従来の場合と同様であり、ここではその説明を省
略する。
【0018】種結晶保持具1は、下部にテーパ面2Aを
有する形状の本体2と、本体2内に埋設された金属製筒
体3とを含んで構成されている。本体2は、カーボン材
やC/C材等を用いて構成され、金属製筒体3は、タン
グステン(W)やモリブデン(Mo)等の金属により構
成されている。
【0019】本体2下部の中空部2aには、種結晶35
が挿入され、上部の中空部2bには、引き上げ軸34の
下端部34Aが、取り付けられるようになっている。中
空部2a途中には、テーパ面2a-1が形成されており、
中空部2aの壁面形状は、種結晶35の外形に合わされ
ており、テーパ面2a-1のテーパ角θ1 と種結晶35の
テーパ部35cのテーパ角θ2 とは、同一角度に設定さ
れている。また、中空部2bの上部側壁面には、ネジ溝
2cが形成されている。
【0020】また、本体2の下部には、中空部2aを取
り囲むように筒形状の空隙2dが形成され、空隙2dに
金属製筒体3が配置・接合されている。
【0021】本体2への金属製筒体3の接合は、型内に
カーボン材やC/C材と共に金属製筒体3を入れて焼結
させることにより行ってもよいし、空隙2dを有する本
体2を形成しておき、空隙2d内に金属製筒体3を圧入
することにより行ってもよい。
【0022】このように構成された種結晶保持具1の引
き上げ軸34への連結は、従来の場合と同様の方法によ
り行う。
【0023】上記した種結晶保持具1によれば、種結晶
35の外周に位置することとなる部分に金属製筒体3が
埋設されているため、テーパ面2a-1に引き上げ方向と
逆向きに大きな応力が作用したとしても、該応力は金属
製筒体3により受け止められることとなる。よってテー
パ面2a-1における支持力が強化され、破断の発生を防
止することができる。また、金属製筒体3は、本体2内
に埋設されているため、高温のチャンバ内雰囲気に直接
的に晒されることがない。よって金属製筒体3の金属成
分が高温により蒸散することがなく、重金属汚染の発生
を防止することができる。また、金属製筒体3は、本体
2により断熱されるため、熱疲労による早期の劣化が防
止され、種結晶保持具1の初期の強度を長期間維持する
ことができる。これにより、大重量の単結晶36を引き
上げる場合であっても、単結晶36の重さに耐えられず
に、種結晶保持具1が破断するといったことはなく、安
全に、しかも重金属汚染を発生させることなく、単結晶
を引き上げることができる。
【0024】本実施の形態においては、図1に示したよ
うに金属製筒体3の底面3aが露出している場合につい
て説明したが、なんらこれに限定されるものでなく、別
の実施の形態においては、底面3aがカーボン材やC/
C材等からなる本体2により被覆されていてもよい。該
被覆の方法としては、底面3aが本実施の形態の場合よ
りも上方、すなわち本体2内に位置するように金属製筒
体3を型内に配置しておき、カーボン材やC/C材等と
共に焼結させる方法や、図2に示すように、本実施の形
態の場合よりも上方まで空隙2d´を有する本体2′を
用意しておき、金属製筒体3の底面3aが本体2´の底
面よりも上方になるまで金属製筒体3を空隙2d´内に
圧入し、その後凹部2eに、別個形成しておいたカーボ
ン材やC/C材等からなる蓋2fを、圧入する方法等を
採用すればよい。
【0025】また、本実施の形態においては、金属製筒
体3が本体2の下部における中空部2aの外周に埋設さ
れている場合について示したが、何らこれに限定される
ものでなく、別の実施の形態では、より長さの長い金属
製筒体3が本体2の下部のみならず、上部における中空
部2bの外周に至るまで埋設されていてもよい。
【0026】
【実施例及び比較例】以下、実施例及び比較例に係る種
結晶保持具に対して引っ張り試験を行い、平均耐荷重を
求めた結果、前記種結晶保持具を用いて単結晶の引き上
げを行って単結晶の落下回数を調べた結果、及び重金属
汚染発生の有無を調べた結果について説明する。
【0027】実施例、比較例のいずれにおいても、平均
耐荷重(kgf)は、10回の引っ張り試験を行った結
果の平均値を求めたものであり、単結晶の落下回数は、
直径10mmの種結晶を用い、直径約12インチ、長さ
約1000mm、総重量300kg程度の単結晶を30
回引き上げ、種結晶保持具が破断することにより、単結
晶が落下した回数で示した。また、重金属汚染発生の有
無は引き上げ後の坩堝に残った融液を採取し、化学分析
により含有金属濃度を測定した。前記手法により、汚染
状況を調査した理由は、金属の偏析係数が低い事より、
引き上げに伴って、同成分が濃縮され、より明確に評価
が行えるからである。
【0028】実施例、比較例の各々の単結晶の引き上げ
に共通する成長条件を、下記の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】<実施例>実施例では、図1に示した種結
晶保持具1を、以下の条件により作製した。
【0031】本体2の材質:C/C材 金属製筒体3の材質:タングステン 本体2と金属製筒体3との接合:型内に金属製筒体3を
C/C材と共に所定位置に固定し、焼結させることによ
り行った。
【0032】<比較例>比較例では、図4に示した種結
晶保持具10を、以下の条件により作製した。
【0033】種結晶保持具10の材質:C/C材 種結晶保持具10の形成:型内にC/C材を充填して焼
結させることにより行った。
【0034】<実施例及び比較例の試験結果>実施例及
び比較例に係る種結晶保持具を用いて、上記試験を行っ
た結果を下記の表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、比較例に係る種
結晶保持具10の場合、平均350kgfの荷重に耐え
ることができた。これに対して、実施例に係る種結晶保
持具1の場合、平均1500kgfの荷重に耐えること
ができ、その強度は、比較例の場合の4倍強に及んだ。
【0037】また、比較例に係る種結晶保持具10を用
いて単結晶36を引き上げた場合、30回のうち4回
は、単結晶36の引き上げ中に種結晶保持具10が破断
して、単結晶36が落下した。これに対して、実施例に
係る種結晶保持具1を用いて単結晶36を引き上げた場
合、30回の単結晶36の引き上げにおいて、一度も種
結晶保持具1が破断して単結晶36が落下する事故は起
きなかった。
【0038】また、実施例、比較例のいずれの場合も、
重金属汚染の発生は確認されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、種結晶が挿入された状態の、実施の
形態に係る種結晶保持具と引き上げ軸との連結構造を示
した、模式的部分断面図であり、(b)はその底面図で
ある。
【図2】(a)は、種結晶が挿入された状態の、別の実
施の形態に係る種結晶保持具と引き上げ軸との連結構造
を示した、模式的部分断面図であり、(b)はその底面
図である。
【図3】CZ法で使用される、単結晶引き上げ装置の要
部を示した、模式的断面図である。
【図4】(a)は、種結晶が挿入された状態の、従来の
種結晶保持具と引き上げ軸との連結構造を示した、模式
的部分断面図であり、(b)はその底面図である。
【符号の説明】
1、10 種結晶保持具 3 金属製筒体 35 種結晶

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも種結晶の外周に位置すること
    となる部分に金属製筒体が埋設されていることを特徴と
    する種結晶保持具。
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JPH09249490A JPH09249490A (ja) 1997-09-22
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