JP2935663B2 - 生分解性を有する抗菌性シート及びその製法 - Google Patents
生分解性を有する抗菌性シート及びその製法Info
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生分解性を有する抗菌性シート及びその製法に係り、こ
の抗菌性シートは例えば皮膚乃至創傷の被覆保護のため
に使用される。
覆保護用抗菌性シートは一般に生分解性を有していな
い。処で、キチンは化学構造がセルロースに類似する多
糖類の一種であり、その脱アセチル化物であるキトサン
は凝血促進作用を有し、古くから医療分野への応用が検
討されてきたが、近年に至りキトサン繊維を用いて作成
された不織布 (綿状物) が創傷被覆材として実用化さ
れ、市販されるに至っており [「ベスキチン (商標)
W」、製造元 : ユニチカ株式会社、発売元 : 森下ルセ
ル株式会社]、又キチン及びキトサンが有している抗菌
性を利用し、これを不織布に固着させてオムツ等の医療
衛生材やシーツ等の寝装材用の素材とすることが提案さ
れている (特開平 4 - 194079 公報)。しかしながら藻
類、殊に微細藻類を有効成分とする皮膚乃至創傷の被覆
保護材に関する報告はなされていない。
人会社は、その社名の一部である「マイクロアルジェ
(Microalgae)」から明らかなように、微細藻類に関する
研究及び利用を業務の一環としている。微細藻類は多糖
類を豊富に含有していることが知られており、微細藻類
が含有している多糖類には上記のキチンやキトサンから
推定して抗菌性を示すものが存在すると考えられ、又多
糖類以外の成分であって創傷等の治療に有効な成分が存
在しているものと推定される。例えば、微細藻類は各種
の不飽和脂肪酸を含有しているが、その内のリノール
酸、リノレン酸及びアラキドン酸はビタミン F として
知られており、ビタミン F は皮膚ビタミンとも称され
る物質であり、皮膚に潤いを与える性質を有しているの
である。更に、微細藻類は植物であり、従って、これを
利用して調製された製剤、例えば創傷等の被覆保護シー
トは、その使用後に微生物による分解、即ち生分解が期
待でき、従って環境に優しいものと云うことができる。
従って、本発明の目的は微細藻類を有効成分とする、生
分解性を有する抗菌性シートを提供することにある。
に含有されている抗菌性物質に関する特定は充分になさ
れていないので、藻体全体を利用すること及び抗菌性シ
ートを直接的に皮膚に当接させる関係上、貼着感が良好
であること等を考慮に入れて検討を重ねた。その結果、
微細藻類の懸濁液とセルロースの懸濁液とを調製し、両
懸濁液を合併し、これに基材としてのグリセリンを添加
し、シート状に成形し、乾燥させることにより得られた
シートは抗菌性を示し且つ生分解性を有していること並
びにセルロースと微細藻類との量比を適切に設定するこ
とにより藻体成分、殊に多糖体がゲル化した場合に適度
な弾力性乃至柔軟性がもたらされ、これによって皮膚へ
の貼着感も良好なものとなし得ることが判明し、本発明
を完成するに至った。
菌性シートは微細藻類の藻体を有効成分とし、セルロー
ス及びグリセリンを担体としていることを特徴としてい
る。
藻類の藻体を乾燥させ、粉砕して得た粉末藻体を酢酸水
溶液に懸濁させ、一方セルロースを水に懸濁させ、両懸
濁液を合併して攪拌し、これにグリセリンを添加して更
に攪拌し、次いで乾燥させることにより調製することが
できる。
類は紅藻であり、血糊藻 [ポルフィリディウム (Porphy
ridium)] に属するものであることが好ましく、殊に好
ましい藻類としては例えばポルフィリディウム・クルエ
ンツム (Porphyridium cruentum) 及びポルフィリディ
ウム・エルギネウム (Porphyridium aerugineum) を挙
げることができる。尚、血糊藻に属する藻類の商業的な
利用は、現在までの処、全くなされていないようであ
る。
することもできるが、原料の安定供給の面から採取して
培養することにより増殖させるのが好ましい。この藻類
も光合成を行って自らのエネルギーとしているので、培
養は光照射の下に液体培地、例えば MKM 培地を用いて
行われる。血糊藻における不飽和脂肪酸、殊にアラキド
ン酸の含有量を増加させるためには培養温度を低めに設
定するのが最良の策であり、又照度を高めることも有効
である。本発明方法を実施する場合に、粉末藻体を懸濁
させる溶液としては 0.5 - 1%酢酸水溶液が適当であ
り、この溶液中に粉末藻体が 5 - 30 重量% 懸濁せしめ
られ、必要であれば均一になるようにホモジナイズされ
る。一方、水に 0.5 - 1.5重量% のセルロース (市販の
微粉末) を懸濁させ、必要であれば均一になるようにホ
モジナイズされる。次いで、粉末藻体とセルロース粉末
とが重量比で 1 :25 - 90 になるように、上記の両懸濁
液を合併して攪拌する。次に、添加された上記のセルロ
ースに対して 50 - 90 重量% に相当する量のグリセリ
ンを添加して均一になるまで混合攪拌する。この混練物
を例えば平板上に流延し、乾燥させれば本発明による抗
菌性シートが得られる。この抗菌性シートはカットされ
て適宜の寸法のものになされた後に包装されることがで
きる。
詳細に且つ具体的に説明する。製造例 市販の MKM 培地、適宜量の硝酸塩及び燐酸塩並びに水
道水を培養容器に入れてポルフィリディウム・クルエン
ツムを pH 7.5、液温 22℃、照度 3500 ルクスの条件で
培養した。充分に増殖した後に遠心分離により藻体を採
取し、凍結乾燥させ、次いで粉砕して粉末藻体を得た。
この粉末藻体を 1% 酢酸水溶液に 20 重量% となるよう
に懸濁させ、この懸濁液が均一になるまでホモジナイズ
した。一方、市販のセルロース微粉末を 0.8重量% とな
るように水に懸濁させ、この懸濁液が均一になるまでホ
モジナイズした。上記の 0.8 重量% セルロース懸濁液
に、該懸濁液が含有しているセルロース量に対して、藻
体の量が 20、50 又は 70 重量% になるように上記の 2
0 重量%藻体懸濁液を添加し、均一になるまで攪拌する
ことにより、3 種類の藻体-セルロース懸濁液を調製し
た。得られた各懸濁液に、該懸濁液が含有しているセル
ロース量に対して 75 重量% に相当する量のグリセリン
を添加し、均一になるまで攪拌した後に、減圧処理によ
り脱泡させた。この攪拌混練物を平板上に流延し、70℃
の加熱空気雰囲気下で 15 時間放置することにより、
藻体含有量が異なる 3 種類のシートを得た。これらの
シートは厚みが 0.3 - 0.5mm であって、何れも弾力性
乃至柔軟性を有しており、藻体含有量の最も高い 70 重
量% 調整シートの柔軟性が最も高かった。
去した液体培地を試験管に導入し、一般生菌含有溶液
(1000 個/ml) を 0.1ml 添加した。一方、製造例により
得られた 3 種類のシートをカットしてそれぞれ 1cm2
のシート片となし、このシート片を上記の試験管内に 1
枚宛投入し、シート片を投入しなかった対照としての
生菌及び培地含有試験管と共に 37℃ において 48時間
に亘り振盪培養を行った。次いで、目視観察を行った
処、対照試験管内の溶液は白濁しており、生菌の増殖し
たことを示しており、一方シート片を投入した各試験管
内の溶液は何れも澄明であり、白濁は認められず、従っ
て製造例により得られたシートは何れも抗菌性を有して
いることが判明した。シートの抗菌性が藻体に含有され
ている多糖体によるものか、アラキドン酸等の不飽和脂
肪酸によるものか、又は他の成分によるものか或いはそ
れらの相乗作用によるものかは判明していない。
ットし、プランター内の土壌中に下半分を埋入し、3 日
毎に観察した。何れのシートも 1 - 2 週間後には土壌
に埋入されていた部分がボロボロとなり、3 - 4 週間後
には原形を留めなくなった。一方、土壌から露出してい
た部分は形状等に変化は認められなかった。従って、製
造例により得られたシートは良好な生分解性を有してい
ることが判明した。尚、土壌中におけるシートの分解速
度は藻体の含有量が高いシートの方が有意に早かった。
量の最も高い 70% 調整シートをカットして 1cm2 のシ
ート片となし、このシート片を成人男女各 10 名のボラ
ンティアの手の甲に載置し、メディカル・テープにて貼
着し、5 時間後に剥離して貼付部分における皮膚の状態
を目視観察すると共に、アンケート調査を行った。その
結果、女性 3 名に関しては、シートを貼付した部分に
若干の赤みが認められたが、痒みや痛みを訴える者は全
くなく、又該シートは肌にしっとりと馴染み貼着感にお
いて極めて良好であることをボランティア全員が表明し
た。
藻体を有効成分とし、担体としてセルロース及びグリセ
リンを含有しているものであるために生分解性を有して
おり、従って棄却する場合に環境を汚染しない。更に、
本発明による抗菌性シートは乾燥状態において適度な弾
力性乃至柔軟性を有しており、従って皮膚への貼着感が
良好であり且つ刺激性が皆無乃至殆どないので皮膚及び
創傷部位の被覆保護用として好適である。
Claims (4)
- 【請求項1】 微細藻類の藻体を有効成分とし、セルロ
ース及びグリセリンを担体としていることを特徴とす
る、生分解性を有する抗菌性シート。 - 【請求項2】 微細藻類が血糊藻 [ポルフィリディウム
(Porphyridium)]に属するものであることを特徴とす
る、請求項 1 に記載の生分解性を有する抗菌性シー
ト。 - 【請求項3】 微細藻類がポルフィリディウム・クルエ
ンツム(Porphyridium cruentum) 又はポルフィリディウ
ム・エルギネウム(Porphyridium aerugineum) であるこ
とを特徴とする、請求項 1 又は 2 に記載の生分解性を
有する抗菌性シート。 - 【請求項4】 微細藻類の藻体を乾燥させ、粉砕して得
た粉末藻体を酢酸水溶液に懸濁させ、一方セルロースを
水に懸濁させ、両懸濁液を合併して攪拌し、これにグリ
セリンを添加して更に攪拌し、シート状に成形し、次い
で乾燥させることを特徴とする、生分解性を有する抗菌
性シートの製法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP8125511A JP2935663B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | 生分解性を有する抗菌性シート及びその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP8125511A JP2935663B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | 生分解性を有する抗菌性シート及びその製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09308680A JPH09308680A (ja) | 1997-12-02 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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-
1996
- 1996-05-21 JP JP8125511A patent/JP2935663B2/ja not_active Expired - Fee Related
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