JP2935583B2 - エレベータ用インバータの速度制御装置 - Google Patents

エレベータ用インバータの速度制御装置

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JP2935583B2
JP2935583B2 JP3068121A JP6812191A JP2935583B2 JP 2935583 B2 JP2935583 B2 JP 2935583B2 JP 3068121 A JP3068121 A JP 3068121A JP 6812191 A JP6812191 A JP 6812191A JP 2935583 B2 JP2935583 B2 JP 2935583B2
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裕二 神崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレベータ用インバー
タによる誘導電動機の速度制御装置に係り、特に速度制
御系のオープンループ制御においてすべり周波数により
速度補正する速度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近のエレベータは原動機に誘導電動機
を採用し、この誘導電動機を可変電圧・可変周波数(V
VVF)になるインバータによって駆動するものが多
い。このような誘導電動機とインバータを組み合わせた
エレベータ駆動装置において、誘導電動機の速度制御
は、一般的には低速エレベータには電圧形インバータに
よるオープンループ制御が採用され、中・高速エレベー
タには速度検出器を設けた速度フィードバック制御が採
用されている。
【0003】このうち、オープンループ速度制御方式
は、速度パターンに従ってインバータの出力周波数さら
には出力電圧を制御することによって該速度パターンに
一致する加速,定速及び減速を得ようとする。この制御
方式では速度検出器を不要にして低コストになると共に
速度検出系の故障に対するバックアップ手段を不要にす
るが、電動機速度すなわちエレベータ乗車かごの速度さ
らには昇降距離データを与える速度検出系を持たないた
めに負荷変動によって着床精度を悪くする。
【0004】この問題を解消する速度制御方式として、
インバータ主回路の直流電流から電動機の負荷トルクを
検出し、この負荷トルクから電動機のすべり周波数を求
め、このすべり周波数で速度指令を補正すると共に昇降
距離を求めるものがある(例えば、特開平1−2521
93号公報)。
【0005】さらに、該提案では速度指令の補正を複数
回で行なうのに一次遅れを持たせたすべり周波数検出を
行なうことで検出のバラツキやノイズによる誤った補正
を防止する方法が開示される。
【0006】また、他の提案として、電動機の低速運転
時に大きい負荷トルクでの必要な駆動力を得るためのト
ルクブースト補正を行うのに、負荷トルクの変化分を上
述の提案と同様に直流電流からトルク検出して補正する
ものがある(例えば特開平1−268479号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】インバータの直流電流
からすべり周波数を求めるのに、従来は直流電流から誘
導電動機の負荷トルクを求め、このトルクからずべり周
波数を求めている。
【0008】しかしながら、誘導電動機が発生したトル
クをエレベータのかご動作に伝えるまでの機械系での静
止摩擦トクルに変動があり、このトクル変動によってエ
レベータの運転開始時など出力周波数の低いときにイン
バータの直流電流と誘導電動機の発生トクルとの間の比
例関係が変り、低速での負荷検出においては、正確な速
度検出及び着床精度を得るのを難しくする。
【0009】なお、エレベータ運転開始時の追従性を高
めるために、インバータの出力周波数の低いときに出力
電圧を増加させるトルクブーストを行なう場合、静止摩
擦トルクに打ち勝つだけのトルクブースト量を与えよう
とするが、静止摩擦トルクが変動することからトルクブ
ースト量を常時適正にすることはできない。
【0010】本発明の目的は、静止摩擦トルクの変動に
影響されることなくインバータの直流電流からすべり周
波数を求めて負荷変化に対して速度補正する速度制御装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題の解
決を図るため、誘導電動機の負荷変化分をインバータの
直流電流検出値から検出し、この検出値からすべり周波
数を求め、このすべり周波数を速度指令に加減算するこ
とによって負荷変化分を補正した速度制御を行なうオー
プンループ制御方式のエレベータ用インバータにおい
て、前記誘導電動機の無負荷励磁時における前記直流電
流検出値と該誘導電動機の定速運転時における該直流電
流検出値との差から前記すべり周波数に比例した値を求
める電流/すべり変換演算手段を備えたことを特徴とす
る。
【0012】
【作用】上記構成になる本発明によれば、インバータ直
流電流と定速運転時の負荷トルクとの比例関係を利用す
ることで直流電流検出信号から直接にすべり周波数を求
める。これにより、低速運転時の負荷測定における静止
摩擦トルクの変動に影響されることなくすべり周波数を
求める。
【0013】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示す装置構成図
である。交流電源1の交流電力は整流器2によって直流
電力に変換され、コンデンサ3によって平滑される。こ
の直流電力は電圧形インバータ主回路4によって出力周
波数及び電圧が制御された交流電力に変換されてエレベ
ータの原動機になる誘導電動機5に供給される。インバ
ータ主回路4の運転周波数及び電圧の制御は、制御装置
6からの電圧・周波数制御信号に従ってベースドライブ
回路7に周波数とパルス幅制御されたゲートパルスを求
め、このゲートパルスにより主回路スイッチのオン・オ
フ制御が行なわれる。
【0014】制御装置6はマイクロコンピュータ構成に
され、速度指令演算部8と電流/すべり変換演算部9と
電圧・周波数指令演算部10とを備え、速度指令をすべ
り周波数f(s)で補正することで電動機速度を速度指
令に一致させる。速度指令演算部8は、エレベータに定
められた加減速度を持ちかつ昇降距離(階床移動距離)
に応じた定速度時間を持つ速度パターンを算出発生す
る。電圧・周波数指令演算部10は速度パターンに従っ
た速度指令にすべり周波数f(s)を加減算した値から
インバータ運転周波数及び電圧を求める。
【0015】電圧/すべり変換演算部9は、電流検出器
11と電流検出回路12によるインバータ直流電流検出
信号から負荷トルクを検出することなく直接にすべり周
波数f(s)を求める。電流検出器11は例えばホール
素子電流検出器やシャント抵抗にされる。電流検出回路
12は、例えば図2に示すように、演算増幅器OPとC
Rフィルタ素子で構成され、直流電流検出信号の入力に
比例させる可変抵抗器VRのゲイン調整と高調波やノイ
ズ分を除去するコンデンサCのフィルタ機能を持つ。
【0016】電流/すべり変換演算部9による演算は、
電流検出信号をA/D変換してディジタル値で取込み、
この電流検出値から次式 f(s)={(励磁電流のA/D変換値)−(定速運転
でのA/D変換値)}×すべり補正係数k の演算によってすべり周波数f(s)を求める。この演
算は、電動機の運転速度一定(定速)時にはインバータ
直流電流と電動機の発生トルクが比例するという特性を
利用するもので、電動機の無負荷運転時の直流電流を予
め求めておき、すべり補正係数kを設定しておくことで
定速時の電流検出値を取込むことですべり周波数f
(s)を求める。この演算はノイズや検出のバラツキを
除くために複数回行なうこと、さらにノイズの影響を少
なくするためにフィルタによって一次遅れを持たせるこ
とによって一層正確なすべり周波数f(s)を求めるこ
とができる。
【0017】以下、すべり周波数f(s)の演算を具体
的に説明する。
【0018】図3は電流検出回路12の入出力特性を示
し、電流検出器11からの入力に対して電流検出出力が
比例関係にある。この特性は電流検出器11に10A/
4V(3.5A/1.4V)のものを用い、電動機は10
0%トルク相当の定速負荷をかけたときに直流電流が
3.5A流れるものを用いたときの電流検出入力が1.4
Vになり、そのときの電流検出出力が1.75Vにな
る。また、無負荷励磁時には電流検出入力が0.5Vに
なり、そのときの電流検出出力3.03Vになる。ま
た、停止時(電流零)には3.75V出力となる。
【0019】この特性になる電流検出信号に対し、電流
/すべり変換演算部9のA/D変換器は、その入力範囲
を0〜5Vとし、フルスケール2046のディジタル値
に変換するとき、停止時と無負荷励磁時及び定速100
%負荷時には夫々下記表のように変換出力になる。
【0020】
【表1】
【0021】この表の結果から、前述の式によりすべり
周波数f(s)の算出は、100%負荷トルクを定速運
転とするときには f(s)=(1239−716)×(1/100)=
5.23(ヘルツ) となり、補正係数k=1/100に設定するときには1
00%負荷で5.23ヘルツのすべり周波数を得ること
ができる。また、エレベータの定速運転が100%負荷
にないときもその電流から比例したすべり周波数を求め
ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上までのように、インバータの電流検
出値から誘導電動機の負荷トルクを演算することなく、
直接にすべり周波数f(s)を求め、これを速度指令の
補正量とすることにより、オープンループ制御の電圧型
インバータにおいても負荷の影響を補償した速度制御が
可能となる。しかも、負荷測定を一定速の運転中に行な
うことで静止摩擦の変動による速度検出精度への影響が
無くなり、正確な速度検出及び着床精度を得ることがで
きる。さらに、負荷トルクへの変換演算を不要にするこ
とから制御装置の演算処理を容易にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す装置構成図、
【図2】実施例における電流検出回路の回路図、
【図3】電流検出回路の特性図。
【符号の説明】
4…インバータ主回路、5…誘導電動機、6…制御装
置、7…ベースドライブ回路、8…速度指令演算部、9
…電流/すべり変換演算部、10…電圧・周波数指令演
算部、11…電流検出器、12…電流検出回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02P 21/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機の負荷変化分をインバータの
    直流電流検出値から検出し、この検出値からすべり周波
    数を求め、このすべり周波数を速度指令に加減算するこ
    とによって負荷変化分を補正した速度制御を行なうオー
    プンループ制御方式のエレベータ用インバータにおい
    て、前記誘導電動機の無負荷励磁時における前記直流電
    流検出値と該誘導電動機の定速運転時における該直流電
    流検出値との差から前記すべり周波数に比例した値を求
    める電流/すべり変換演算手段を備えたことを特徴とす
    るエレベータ用インバータの速度制御装置。
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JP5298367B2 (ja) * 2008-07-09 2013-09-25 富士電機株式会社 誘導電動機の制御装置

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