JP2935455B2 - マリモ糸状体の培養方法 - Google Patents

マリモ糸状体の培養方法

Info

Publication number
JP2935455B2
JP2935455B2 JP31048297A JP31048297A JP2935455B2 JP 2935455 B2 JP2935455 B2 JP 2935455B2 JP 31048297 A JP31048297 A JP 31048297A JP 31048297 A JP31048297 A JP 31048297A JP 2935455 B2 JP2935455 B2 JP 2935455B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
marimo
filament
culturing
filaments
cultivating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31048297A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11137109A (ja
Inventor
勇 若菜
雅俊 津野
衛 前林
敏尚 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AKANCHO
HOTSUKAIDO DENRYOKU KK
Original Assignee
AKANCHO
HOTSUKAIDO DENRYOKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AKANCHO, HOTSUKAIDO DENRYOKU KK filed Critical AKANCHO
Priority to JP31048297A priority Critical patent/JP2935455B2/ja
Publication of JPH11137109A publication Critical patent/JPH11137109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2935455B2 publication Critical patent/JP2935455B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Seaweed (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マリモ糸状体の
培養方法に関し、特に、色調に優れた大量のマリモ糸状
体を培養槽内で迅速に培養する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マリモは、北海道北部、北海道東部、青
森県東部、富士山周辺および富山県などの限られた湖沼
に分布する緑藻類の一種で、特に、阿寒湖に分布するも
のは国の特別天然記念物に指定されている。また、19
94年発行の水産庁における「日本の希少な野生水生生
物に関する基礎資料」によれば、絶滅危惧種に指定され
ており、1997年環境庁発表の「レッドデータリスト
植物編」で「絶滅危惧−I類」に指定されている貴重な
水生植物である。
【0003】そこで、種々のマリモ糸状体の培養方法が
検討されているが、文献1:特別天然記念物「阿寒湖の
マリモ」調査研究事業報告書(平成5年度版)、マリモ
研究(Marimo Res.)3、pp.55〜58
(1994)、阿寒町教育委員会編には、マリモ糸状体
の培養方法における、主として、マリモ糸状体の生長率
に及ぼす培養液中の海水濃度の影響について検討されて
いる。
【0004】すなわち、培養液として、天然海水と蒸留
水とを所定の比率で混合し、培養液中の海水濃度を段階
的に変えて、100mlの培養瓶中で、マリモ糸状体を
培養し、マリモ糸状体の生長(成長)率を測定したもの
である。
【0005】より具体的には、以下の工程を用いてマリ
モ糸状体を培養した。
【0006】(1)マリモ糸状体(原藻)の予備培養工
程 マリモ糸状体(原藻)を、阿寒湖から採取した天然湖水
中で10〜14日、予備的に培養した。
【0007】(2)マリモ糸状体の培養工程 100mlの培養瓶中、培養液(培地)80mlに対し
てマリモ糸状体を12mgの割合で移植し、定期的に光
を照射して光合成を行わせマリモ糸状体を培養した。な
お、培養液の温度を18℃、光周期を16L:8D、光
量子束密度(照射光の強度)を30μE/m2 /sec
としてマリモ糸状体を培養した。
【0008】その結果、図3に示すように海水濃度1/
16程度のものを培養液に使用した場合に、30日間の
培養で、約185%のマリモ糸状体の生長率が得られ
た。したがって、海水濃度がマリモ糸状体の生長率を促
進することが推定されている。また、同時に、培養した
マリモ糸状体の色調が薄くなるという現象も見られてお
り、マリモ糸状体の細胞における葉緑体密度の低下の可
能性が、問題点として指摘されている。
【0009】なお、図3はマリモ糸状体の生長率を示す
図であり、横軸に海水濃度(−)が取ってあり、縦軸に
生長率(%)を取って示してある。ここで、横軸に示す
海水濃度は、海水を重量換算で蒸留水を用いて何倍に希
釈したかを示すものである。例えば、海水濃度1は、使
用した天然海水(蒸留水による希釈なし)そのものであ
り、海水濃度0は、蒸留水そのものであり、海水濃度1
/16とは、天然海水1重量部に対して、蒸留水を15
重量部添加した場合に相当する濃度である。また、縦軸
に示す生長率とは、培養後のマリモ糸状体の湿潤重量
(Wa)と培養前のマリモ糸状体の湿潤重量(Wb)と
差であるマリモ糸状体の増加重量(Wa−Wb)に対す
る、培養前のマリモ糸状体の湿潤重量(Wb)の比率
((Wa−Wb)×100/Wb)をいう。したがっ
て、生長率が100%というときには、培養後のマリモ
糸状体の湿潤重量が、培養前のマリモ糸状体の湿潤重量
の2倍に変化していることを意味している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
マリモ糸状体の培養方法において、上述したように、海
水濃度がマリモ糸状体の生長率に一定の影響を及ぼすこ
とは判明してきたが、それ以外のマリモ糸状体の生長率
への影響因子については、明確なデータがなく、現在も
マリモ糸状体の最適な培養方法が種々検討されている状
態である。
【0011】また、上述したマリモ糸状体の培養方法
は、100ml(ミリリットル)スケ−ルの培養瓶を対
象としたものであり、100リットル程度の規模の培養
槽内、具体的には、100リットルに近い培養槽の規模
から、100リットルをはるかに超える1000リット
ル規模の培養槽(以下、100リットル規模の培養槽内
と称する場合がある。)でのマリモ糸状体の大量培養方
法については、何ら検討されておらず、ましてやかかる
大規模な培養槽内でのマリモ糸状体の生長率や色調への
影響因子については何ら把握されておらず、未だ、マリ
モ糸状体の大量培養方法として確立されたものはない。
【0012】そのため、色調に優れたマリモ糸状体を、
100リットル規模の培養槽内で大量に、しかも迅速に
培養することができるマリモ糸状体の培養方法の出現が
望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、培養槽内に
おいてマリモ糸状体を培養する方法であって、培養槽に
おけるリン含有量(全リンとも称する場合がある。)を
0.2〜10.0mg/l(ppmと使用する場合もあ
る。以下、同様である。)の範囲内の値とし、かつ、培
養液中のチッソ含有量(全チッソとも称する場合があ
る。)を0.2〜10.0mg/lの範囲内の値とする
ことを特徴とする。
【0014】培養液中のリン含有量およびチッソ含有量
はどちらもマリモ糸状体の培養速度や色調に密接に関係
するため、このような範囲に培養液中のリン含有量およ
びチッソ含有量をそれぞれ制御することにより、マリモ
糸状体が枯渇することなく、マリモ糸状体に適度な栄養
成分を補充して、100リットル規模の培養槽内であっ
ても、大量に、しかも速く色調に優れたマリモ糸状体を
培養することができる。
【0015】すなわち、培養液中のリン含有量および培
養液のチッソ含有量が、それぞれ0.1mg/l未満で
は、所定の速いマリモ糸状体の生長(成長)速度が得ら
れず、一方で、これらのリン含有量およびチッソ含有量
が50mg/lを超えると、マリモ糸状体の生長(成
長)を妨げる付着藻類等が繁殖し、逆にマリモ糸状体が
枯渇するおそれがある。
【0016】そのため、マリモ糸状体の速い成長速度
と、マリモ糸状体の枯渇性とのバランスがより良好な観
点から、培養液中のリン含有量およびチッソ含有量をそ
れぞれ、0.2〜10.0mg/lの範囲内の値とする
のがより好ましく、最適には、リン含有量を0.5〜
1.5mg/lの範囲内の値とし、チッソ含有量を1.
0〜5.0mg/lの範囲内の値とするのが最適であ
る。
【0017】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
を実施するにあたり、培養液中のリン含有量およびチッ
ソ含有量のうち少なくとも一つを制御するための培養液
補充手段を培養槽に対して設けてあるのが好ましい。
【0018】このように培養液中のリン含有量およびチ
ッソ含有量のうち少なくとも一つを制御するための培養
液補充手段が培養槽に対して設けてあれば、マリモ糸状
体の生長に伴って、培養液中のリン含有量およびチッソ
含有量が減少した場合に、所定のリン成分およびチッソ
成分を培養液中に添加することができる。したがって、
培養液中のこれらのリン含有量およびチッソ含有量を常
に一定にして、100リットル規模の培養槽内であって
も、より確実に色調に優れたマリモ糸状体を大量かつ迅
速に培養することができる。
【0019】なお、培養液補充手段を用いて、リン成分
およびチッソ成分を培養液中に添加するにあたり、培養
液中のリン含有量およびチッソ含有量をバッチ式で測定
し、培養液中のこれらの含有量が所定範囲よりも少ない
(減少していた)場合に、不足している量のリン成分や
チッソ成分を培養液中に添加することもできる。
【0020】また、リン濃度センサおよびチッソ濃度セ
ンサを用いて、培養液中のリン含有量およびチッソ含有
量を連続的に測定し、培養液中のこれらの含有量が所定
範囲よりも少ない(減少していた)場合に、培養液補充
手段を用いて不足している量のリン成分やチッソ成分を
培養液中に添加することもできる。
【0021】さらには、培養液補充手段を用いて、所定
濃度のリン成分およびチッソ成分を含む新たな培養液を
一定速度で培養槽に添加して、マリモ糸状体の培養に伴
いリン成分およびチッソ成分が一定量消費された培養液
を一定速度で培養槽からオーバーフローさせて、結果と
して、培養液中のこれらの成分の含有量を所定範囲に制
御することもできる。
【0022】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、リン含有量に換算されるリンが、水溶
液中でリン酸イオン(PO4 3- )を生成可能な物質に起
因しているのが好ましい。
【0023】リンは、一般にリン酸態リンと溶存態リン
の形で培養液中に含まれている。このうちリン酸態リン
におけるリン酸イオン(PO4 3- )は、直接的にマリモ
糸状体に吸収されやすいため、マリモ糸状体の生長をよ
り速くすることができるためこの発明に使用して好適で
ある。
【0024】なお、水溶液中でリン酸イオン(PO
4 3- )を生成可能な物質としては、より具体的には、N
aH2 PO4 ・2H2 O、Na2 HPO4 ・12H2
等が該当する。
【0025】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、チッソ含有量に換算されるチッソが、
水溶液中で硝酸イオン(NO3 -)、亜硝酸イオン(NO
2 -)またはアンモニアイオン(NH4 +)を生成可能な物
質に起因しているのが好ましい。
【0026】チッソは、一般に硝酸性チッソ、亜硝酸性
チッソ、アンモニア性チッソおよび有機性チッソの形で
培養液中に含まれているが、硝酸性チッソにおける硝酸
イオン(NO3 -)、亜硝酸性チッソにおける亜硝酸イオ
ン(NO2 -)またはアンモニア性チッソにおけるアンモ
ニアイオン(NH4 +)は、直接的にマリモ糸状体に吸収
されやすいため、これらのチッソを含むイオンがあると
マリモ糸状体の生長をより速くすることができるためで
ある。
【0027】なお、水溶液中で硝酸イオン(NO3 -)を
生成可能な物質としては、具体的にNaNO3 (硝酸ナ
トリウム)やKNO3 (硝酸カリウム)等であり、水溶
液中で亜硝酸イオン(NO2 -)を生成可能な物質とは、
具体的にNaNO2 (亜硝酸ナトリウム)、KNO2
(亜硝酸カリウム)、NH4 NO2 (亜硝酸アンモニウ
ム)等であり、水溶液中でアンモニアイオン(NH4 +
を生成可能な物質とは、具体的にNH4 Cl(塩化アン
モニウム)、NH4 NO2 (亜硝酸アンモニウム)等で
ある。
【0028】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養液中の塩分の濃度を0.03〜
1.8重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
【0029】培養液中の塩分の濃度はマリモ糸状体の培
養速度に影響するため、このような範囲に培養液中の塩
分の濃度を制御することにより、マリモ糸状体の生長速
度を速めて、100リットル規模の培養槽内であっても
大量に色調に優れたマリモ糸状体を培養可能とするため
である。
【0030】したがって、マリモ糸状体の生長速度がよ
り速まる観点から、培養液の塩分濃度を0.05〜1.
0重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、最適
には、培養液の塩分濃度を0.1〜0.5重量%の範囲
内の値とすることである。
【0031】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養液中の塩分が、NaCl、MgS
4 、Na2 SO4 、MgCl2 、KClおよびCaC
2からなるグループから選択された少なくとも一つの
塩分に起因していることが好ましい。
【0032】これらの塩分であれば、マリモ糸状体の生
長速度を容易に速めて、100リットル規模の培養槽内
であっても、色調に優れたマリモ糸状体を大量に培養す
ることが可能となり、また、これらの塩であれば、安価
で、入手も容易なためである。
【0033】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、マリモ糸状体に対して、300〜40
00lux(≒8〜106μE/m2 /sec)の範囲
内の照度の光を、照射するのが好ましい。
【0034】このような範囲の照度の光であれば、マリ
モ糸状体における付着藻類の繁殖を抑制しつつ、マリモ
糸状体の光合成速度、すなわち生長速度を速めることが
できるためである。
【0035】すなわち、マリモ糸状体における付着藻類
の光合成速度は、付着藻類の種類によっても変わるが、
一般に4000〜26000luxの範囲内に、光合成
速度が飽和して増加しなくなる飽和点(飽和領域)を有
している。一方、マリモ糸状体における光合成速度が飽
和して増加しなくなる飽和点は、マリモ糸状体の大きさ
によっても変わるが、一般に1800〜7000lux
の範囲内である。また、マリモが生長するのに必要とす
る最小限の光は、マリモ糸状体の大きさによって変わる
が、300〜1200Luxの範囲内である。
【0036】したがって、300〜4000luxの範
囲内の照度の光であれば、付着藻類の光合成速度、すな
わち生長速度を抑制しつつ、一定のマリモ糸状体の光合
成速度(生長速度)を得ることができる。
【0037】よって、マリモ糸状体における付着藻類の
繁殖の抑制と、マリモ糸状体の光合成速度(生長速度)
とのバランスがより良好な観点から、および水槽内での
マリモ糸状体同士の自己被陰による光量の減少を考慮し
て、3000〜4000lux(≒80〜106μE/
2 /sec)の範囲内の照度の光を照射することがよ
り好ましい。
【0038】なお、上述した光の照度は、培養槽の上部
付近、例えば、この培養槽内における培養液面の直上で
測定した値を意味する。
【0039】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、マリモ糸状体に対して、300〜40
00luxの範囲内の照度の光を、1日当たり2〜24
時間の範囲内の照射時間で以て照射するのが好ましい。
【0040】このような範囲の照射時間であれば、マリ
モ糸状体における付着藻類の繁殖を抑制しつつ、マリモ
糸状体の光合成速度、すなわち生長速度を速めることが
できるためである。
【0041】したがって、マリモ糸状体における付着藻
類の繁殖の抑制と、マリモ糸状体の光合成速度(生長速
度)とのバランスがより良好な観点から、3000〜4
000luxの範囲内の照度の光を、1日当たり12〜
24時間の範囲内で以て照射するのがより好ましい。
【0042】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養液の温度を、15〜35℃の範囲
内の値とすることが好ましい。
【0043】このような範囲に培養液の温度を制御する
ことにより、マリモ糸状体における付着藻類の繁殖を抑
制しつつマリモ糸状体の生長速度を速めて、100リッ
トル規模の培養槽内であっても、色調に優れたマリモ糸
状体を大量かつ迅速に培養することができるためであ
る。
【0044】したがって、マリモ糸状体における付着藻
類の繁殖抑制と、マリモ糸状体の生長速度とのバランス
がより良好な観点から、培養液の温度を、20〜30℃
の範囲内の値とすることが好ましい。
【0045】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養液のpHを6.0〜9.0の範囲
内の値とすることが好ましい。
【0046】このような範囲に培養液のpHを制御する
ことにより、マリモ糸状体における付着藻類の繁殖を抑
制しつつ、マリモ糸状体の生長速度を速めて、100リ
ットル規模の培養槽内であっても色調に優れたマリモ糸
状体を大量かつ迅速に培養することができるためであ
る。
【0047】したがって、マリモ糸状体における付着藻
類の繁殖抑制と、マリモ糸状体の生長速度とのバランス
がより良好な観点から、培養液のpHを6.5〜8.0
の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0048】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養槽に、マリモ糸状体および培養液
の攪拌手段を設けてあるのが好ましい。
【0049】マリモ糸状体は培養液よりも重いので培養
槽内の底部に沈みやすく、したがって、マリモ糸状体が
沈んで重なって(丸まって)しまうと、マリモ糸状体全
体に照射される光量が減少し、マリモ糸状体の光合成速
度が著しく減少する。また、このように培養槽内の底部
にマリモ糸状体が沈んで重なって(丸まって)しまう
と、マリモ糸状体に吸収されなかっった光が培養槽内の
壁に光があたりやすくなり、そこで付着藻類等が繁殖し
やすくなるという問題もある。
【0050】したがって、培養槽にマリモ糸状体および
培養液の攪拌手段が設けてあれば、培養槽内でマリモ糸
状体が底部に沈む(丸まる)ことを有効に防止すること
ができ、さらには、培養液がマリモ糸状体と均一に攪拌
混合され、培養液中の栄養成分がマリモ糸状体に十分行
き渡るという効果を得ることができる。
【0051】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養槽に、マリモ糸状体および培養液
の攪拌手段として、エアレーション装置および攪拌羽根
の両方あるいはいずれか一方を設けてあるのが好まし
い。
【0052】このようにエアレーション装置を用いて培
養槽内のマリモ糸状体および培養液を攪拌すれば、マリ
モ糸状体を攪拌手段により損傷させることなくこのマリ
モ糸状体を緩やかに回転(移動)させることができる。
したがって、マリモ糸状体全体に均一に光を照射するこ
とができるとともに、マリモ糸状体に培養液における栄
養成分(二酸素炭素および酸素も含む)を有効に供給す
ることができる。
【0053】また、エアレーション装置を用いて培養槽
内のマリモ糸状体および培養液を攪拌すれば、空気を培
養液中に吹き込むこととなり、空気中に含まれた二酸化
炭素を培養液中に溶解(吸収)させることができる。そ
のため、エアレーション装置を用いれば結果として、培
養液のpHを好ましい範囲(pH6.0〜9.0)に調
整することにも役立つ。但し、エアレーション装置によ
り激しく空気を培養液中に吹き込むと、逆に培養液中に
溶解していた二酸化炭素が空気中に飛散しやすくなるた
め、マリモ糸状体を緩やかに回転(移動)させる程度に
空気を培養液中に吹き込むことが肝要である。
【0054】さらには、エアレーション装置により、マ
リモ糸状体における付着藻類の繁殖も抑制することがで
き、マリモ糸状体の生長速度を速めて、100リットル
規模の培養槽内で以て、マリモ糸状体をより有効に培養
することもできる。
【0055】なお、この発明において、エアレーション
装置とは、空気を培養液内に吹き込み、一定の水流を生
じさせる機能を有するものと定義され、具体的に、エア
ー源が接続された散気管(ユニホース)が好ましい。
【0056】一方、攪拌手段が攪拌羽根(攪拌モータ付
き)であれば、攪拌羽根に連結してある攪拌モータにお
ける回転数を調節するだけで、マリモ糸状体および培養
液の攪拌状態を調節することができる。また、攪拌羽根
(攪拌モータ付き)は、設備として簡易であり安価な
上、容易に取り外して清掃等が可能であり、メンテナン
ス費用も安価な点で良い。そして、さらに攪拌羽根(攪
拌モータ付き)で以て攪拌すると、培養液中に溶解して
いた二酸化炭素が、空気中に飛散しやすいという問題も
ない。
【0057】なお、培養液の攪拌手段として、上述した
エアレーション装置および攪拌羽根の両方を培養槽内に
設ければ、培養槽内のマリモ糸状体および培養液をより
効率よく攪拌することができ、上述したようなエアレー
ション装置および攪拌羽根(攪拌モータ付き)の両方の
攪拌効果やpH調整効果を得ることができる。
【0058】但し、この発明において、かかる培養液の
攪拌手段、例えばエアレーション装置による空気の吹き
込みや攪拌羽根のpH調整効果では不十分な場合には、
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )等のpH調整剤を
培養液中に別途添加したり、あるいはエアレーション装
置を用いて培養液中に、空気の代わりにあるいは空気と
ともに、所定量の二酸化炭素を吹き込むのも好ましい。
【0059】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養槽に循環路を設けて、培養液を循
環するのが好ましい。
【0060】このように循環路を設けて培養液を循環す
ることにより、マリモ糸状体における付着藻類の繁殖を
効率的に抑制できるためである。また、培養液を循環す
ることにより、培養槽内のマリモ糸状体および培養液に
対する攪拌効果を得ることもでき、マリモ糸状体の生長
速度をより速めることができる。
【0061】また、培養槽に循環路を設けると、循環路
の途中から容易に培養液を採取したり、あるいは、循環
路の途中に、リン濃度センサ、チッソ濃度センサ、pH
センサおよび二酸化炭素センサ等を容易に取り付けるこ
ともできる。したがって、これらのセンサを用いて、培
養液中のリン含有量、チッソ含有量、pH値(水素イオ
ン濃度)および二酸化炭素量をそれぞれ連続的に測定
し、これらの値(含有量)を管理することも容易とな
る。
【0062】なお、培養液の循環の程度(以下、循環速
度と称する。)は、1〜100回転/日の割合で以て、
培養槽中の培養液を循環させるのが好ましい。
【0063】このような範囲の培養液の循環速度であれ
ば、マリモ糸状体における付着藻類の繁殖を抑制するこ
とができるとともに、特別な循環ポンプも必要とせず、
また、培養液を攪拌しすぎてマリモ糸状体の生長速度を
低下させるおそれが少ないためである。
【0064】したがって、マリモ糸状体における付着藻
類の繁殖抑制とマリモ糸状体の生長速度とのバランスが
より良好な観点から、培養液の循環速度を8〜80回転
/日の範囲内の値にするのがより好ましい。
【0065】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、循環路の途中に、培養液を循環するた
めの濾過フィルタおよび紫外線殺菌装置の双方あるいは
いずれか一方を設けてあるのが好ましい。
【0066】このように循環路の途中に、培養液を循環
するための濾過フィルタおよび紫外線殺菌装置の双方あ
るいはいずれか一方を設けてあると、マリモ糸状体への
付着藻類を滅少させることができ、結果としてマリモ糸
状体の生長をより促進することができるためである。
【0067】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、培養槽の底部をロート状にしてあるの
が好ましい。
【0068】このように培養槽の底部をロート状に成型
あるいは加工すると、マリモ糸状体がロート状の底部の
斜めの壁(底面の一部)に沿って回転(移動)しやすく
なり、すなわち、培養槽の上から下、あるいは逆に下か
ら上に向かってマリモ糸状体が回転(移動)しやすい。
また、培養槽の底部をロート状にしてあると、前述した
エアレーション装置や循環路をロート状の底部に設け
て、マリモ糸状体および培養液の優れた攪拌効果や循環
効果を得ることができ、結果として、マリモ糸状体の生
長速度をより速めることができる。
【0069】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、マリモ糸状体の培養前および培養中の
双方の時期あるいはいずれか一方の時期に、このマリモ
糸状体を小片化する工程を含むことが好ましい。
【0070】培養槽内でマリモ糸状体が生長するとマリ
モ糸状体が塊状になりやすいという問題がある。そし
て、マリモ糸状体が塊状になると、このマリモ糸状体の
内部まで到達(透過)する光量が減少し、マリモ糸状体
全体として光合成速度が著しく減少する。したがって、
マリモ糸状体を、小片化する工程を含むことにより、マ
リモ糸状体全体に光を照射することができ、マリモ糸状
体の光合成速度を低下させることがない。また、培養液
がマリモ糸状体と均一に攪拌混合され、培養液中の栄養
成分がマリモ糸状体に十分行き渡るという効果も得られ
る。
【0071】なお、マリモ糸状体の小片化とは、マリモ
糸状体を例えば直径0.5〜1.0cm程度の小片(不
定形の塊状で良い。)にすることを意味する。
【0072】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、マリモ糸状体を塩分の濃度が0.4〜
3.6重量%の塩水に1〜10日間浸漬した後、このマ
リモ糸状体を培養槽内で培養するのが好ましい。
【0073】このように、比較的塩分濃度が濃い塩水に
所定時間浸漬することにより(塩水処理工程)、浸透圧
変化を利用して、マリモ糸状体に付着あるいは混入して
いる付着藻類等を有効に滅少させることができる。した
がって、このように塩水処理工程を設けることにより、
これらの付着藻類等の繁殖を抑制して、マリモ糸状体の
生長を促進させることができる。
【0074】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、上述した塩水処理工程の前に、さらに
マリモ糸状体を、塩分濃度が0.04〜0.4重量%の
塩水に浸漬する塩水馴化工程を含むことが好ましい。
【0075】マリモ糸状体は一般に天然のものを湖沼か
ら採取して用いるため、いきなり培養槽内の培養液にマ
リモ糸状体を浸漬すると、浸透圧の変化によりマリモ糸
状体の細胞が損傷するおそれがある。
【0076】したがって、このようにマリモ糸状体を培
養槽内で培養する前に、特定塩分濃度(0.04〜0.
4重量%)の塩水馴化工程を経ることにより、マリモ糸
状体の細胞損傷を著しく低下することができる。
【0077】なお、かかる塩水馴化工程の時間として
は、1〜300時間程度も実施すれば十分であるが、こ
の塩水馴化工程の時間は、塩分濃度に応じて1時間未満
であっても良く、また、逆に300時間を超えるもので
あっても良い。
【0078】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、マリモ糸状体の培養液による培養後
に、この培養後のマリモ糸状体を培養液よりも低い塩分
濃度の塩水に浸漬する淡水馴化工程を設けるのが好まし
い。
【0079】一般に、一定の大きさに培養したマリモ糸
状体は、その後は、淡水で生育させることとなる。しか
しながら、培養液からいきなり淡水に移すと浸透圧の変
化によって、マリモ糸状体の細胞内に水分が急速に浸透
し、いわゆる原形質吐出が生じてマリモ糸状体の細胞が
破裂して細胞が死滅するおそれがある。したがって、こ
のようにマリモ糸状体の培養後に淡水馴化工程を設け
て、培養液よりも低い塩分濃度の塩水に培養後のマリモ
糸状体を浸漬した後に培養後のマリモ糸状体を淡水に移
せば、マリモ糸状体における浸透圧の変化が小さくな
り、マリモ糸状体の細胞が破裂することが無く、従っ
て、細胞が死滅するおそれを著しく低減することができ
る。
【0080】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
の実施にあたり、淡水馴化工程において、培養液よりも
低い塩分濃度の塩水を複数用意しておき、培養後のマリ
モ糸状体を、より低い塩分濃度の塩水に順次に浸漬する
のが好ましい。
【0081】このように構成すれば、マリモ糸状体の培
養後の淡水馴化工程において、培養後のマリモ糸状体を
より低い塩分濃度の塩水に順次に浸漬することにより、
培養後のマリモ糸状体を淡水に移しても、浸透圧の変化
によってマリモ糸状体の細胞が死滅するおそれをさらに
著しく低減することができる。
【0082】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
においては、マリモ糸状体を培養する前工程として、こ
のマリモ糸状体を洗浄する工程と、洗浄済のマリモ糸状
体を、後工程での塩水処理に対する馴化処理工程と、そ
の後におけるマリモ糸状体の塩水処理工程とを含ませる
のが好適である。
【0083】このように構成すれば、マリモ糸状体にゴ
ミ等の生長を阻害する付着物を除去できるので、マリモ
糸状体の生長を一層はやめることが出来ると共に、上述
した培養の所要の効果を効率よく達成出来る。
【0084】また、この発明のマリモ糸状体の培養方法
においては、このマリモ糸状体の培養後に、このマリモ
糸状体を収穫する工程と、収穫したこのマリモ糸状体
を、後工程での淡水処理に対する馴化処理工程と、その
後における淡水処理工程とを含ませるのが好適である。
【0085】このように構成すれば、特に馴化処理によ
り、生長したマリモ糸状体は、塩水から淡水へと、順次
に、馴れていくので、マリモ糸状体の細胞の破裂を抑制
出来、従って、細胞の死滅を低減出来るとともに、上述
した培養の所要の効果を効率よく達成出来る。
【0086】
【発明の実施の形態】以下、この発明のマリモ糸状体の
培養方法における実施の形態を、実施例に基づいてさら
に詳細に説明する。但し、言うまでもないが、マリモ糸
状体の培養方法における実施方法の概略を説明したもの
であり、この発明の範囲は特に理由なく以下の説明に何
ら限定されるものではない。
【0087】(実施例1)以下に示す(A)〜(G)の
工程にしたがい、容積が100リットルの培養槽(アル
テミア水槽102)を用いて、マリモ糸状体(北海道の
シラルトロ湖産のマリモ糸状体、マリモ原藻とも称す
る。)の大量培養を行った。
【0088】(A)マリモ糸状体(原藻)の洗浄工程 上記マリモ糸状体を淡水(地下水)を用いて洗浄しつ
つ、このマリモ糸状体に混じっているマリモ糸状体以外
の付着藻類や枯死した水草の小片やドロなどをピンセッ
ト等を用いて可能な限り除去した。マリモ糸状体に付着
している付着藻類等は、マリモ糸状体の生長を著しく阻
害することが確認されているためである。
【0089】(B)マリモ糸状体(原藻)の塩水処理に
対する馴化処理工程 次に、淡水で洗浄したマリモ糸状体を、1/16濃度
(約0.2重量%の塩分濃度)の人工海水を入れた容器
に1週間浸漬した(塩水処理に対する馴化処理工程)。
【0090】マリモ糸状体をいきなり塩水処理すると
(後述する(C)工程)、周囲の環境水の塩分濃度が急
激に変わり、それにつれてマリモ糸状体における浸透圧
も変化するため、マリモ糸状体の細胞が損傷(破壊)を
受ける場合がある。そこで、この塩水処理に対する馴化
処理工程は、マリモ糸状体における急激な浸透圧の変化
を防止して、マリモ糸状体の細胞における損傷(破壊)
を有効に防止するものである。
【0091】なお、塩水処理に対する馴化処理工程にお
ける人工海水の温度(水温)は約20℃とし、エアレー
ション処理はせず、直射光(1000lux以下)が当
たらない条件で、この馴化処理工程を実施した。
【0092】また、人工海水は、水に、所定量のNaC
l、MgSO4 ・7H2 O、KCl、CaCl2 ・2H
2 O、NaNO3 、NaH2 PO4 ・2H2 O、Na2
HPO4 ・12H2 O、NaSiO3 ・H2 Oを添加し
て作成した。また、人工海水の塩分濃度は、サリノメー
ターを用いて測定した。
【0093】(C)マリモ糸状体(原藻)の塩水処理工
程 次に、塩水処理に対する馴化処理工程を経たマリモ糸状
体を、1/4濃度(約0.8重量%の塩分濃度)の上記
塩分等から作成した人工海水を入れた容器に、5日間浸
漬した(塩水処理工程)。比較的高い濃度の塩水(汽水
とも称する。)に、マリモ糸状体を浸漬することによ
り、浸透圧変化を利用してマリモ糸状体に付着している
付着藻類等を、死滅させて除去するためである。
【0094】なお、人工海水の温度(水温)は20℃と
し、エアレーション処理を行い(マリモ糸状体がゆっく
り回転する程度)、さらに、ハロゲンランプを用いて、
このマリモ糸状体に対して光を照射した条件(照度:人
工海水の水面付近で3000〜4000lux、照明時
間:14時間/日)で、この塩水処理工程を実施した。
【0095】また、この塩水処理工程後、さらに、1/
16濃度(約0.2重量%の塩分濃度)の人工海水を用
いて塩水処理工程を経たマリモ糸状体を洗浄し、マリモ
糸状体(原藻)の培養工程を実施する直前に、洗浄した
マリモ糸状体を家庭用洗濯機を用いて、2分間脱水処理
しておいた(回転数:約1000rpm)。
【0096】(D)マリモ糸状体(原藻)の培養工程 次に、図1に示すような培養装置100を用いて、マリ
モ糸状体(原藻)の培養を行った。図1に示す100リ
ットル規模のマリモ糸状体の培養装置100は、容積が
100リットルの培養槽としてのアルテミア水槽102
と、攪拌手段としてのエアレーション装置(散気管)1
04と、マリモ糸状体の光合成を生じさせるためのハロ
ゲンランプ106とから基本的に構成されている。した
がって、底部102bがロート状に成型(加工)された
アルテミア水槽102に、培地(培養液)として、以下
の表1に示すような濃度のリンおよびチッソ等を含んだ
人工海水134を入れ、そこに上記(C)工程で脱水処
理したマリモ糸状体を載置してこのマリモ糸状体を培養
することができる。
【0097】
【表1】
【0098】そして、この培養装置100の例では、エ
アレーション装置としての散気管104からは一定量の
空気を吹き出すことができ、マリモ糸状体を適当に攪拌
し、緩やかに回転(移動)させながら培養することがで
きるようになっている。すなわち、マリモ糸状体は緩や
かに回転(移動)しながら、人工海水134中に浮いた
ような状態にあり、したがって、マリモ糸状体全体に対
して、ハロゲンランプ106の光を均一に当てることが
できる。
【0099】また、散気管104から一定量の空気を人
工海水134に吹き込むことにより、空気中の二酸化炭
素を人工海水134に吸収させることができ、エアレー
ション装置としての散気管104は、人工海水134の
pHを所定の好ましい範囲(pH6.0〜9.0)に調
整することにも役だつ。
【0100】また、この培養装置100の例では、アル
テミア水槽102の底部102bがロート状に成型(加
工)してあるため、マリモ糸状体がロート状の底部10
2bにおける斜めの壁(底面の一部)に沿って回転(移
動)しやすい。すなわち、アルテミア水槽102の上か
ら下、あるいは逆に下から上に向かってマリモ糸状体が
回転しながら、ロート状の底部102bにおける斜めの
壁に沿って移動しやすい。したがって、マリモ糸状体全
体に対して、ハロゲンランプ106の光をより均一かつ
十分に照射することができる。
【0101】また、このようにアルテミア水槽102の
底部102bをロート状に成型してあると、前述したエ
アレーション装置104や後述する循環路110をロー
ト状の底部102bに容易に設けることができ、マリモ
糸状体および人工海水(培養液)134の優れた攪拌効
果や循環効果を得て、マリモ糸状体の生長速度をより速
めることができる。
【0102】また、この培養装置100の例では、培養
液補充手段132が設けてあり、この培養液補充手段1
32は、基本的にケミカルタンク108と、培養液補充
用管120と、濃度センサ126と、培養液濃度制御部
128と、電磁弁130とから構成してある。
【0103】従って、人工海水134中のリン濃度およ
びチッソ濃度を濃度センサ126によりそれぞれモニタ
し、培養液濃度制御部128がこれらのリン成分および
チッソ成分の濃度が所定範囲(リン含有量:0.2〜1
0.0mg/l、チッソ含有量:0.2〜10.0mg
/l)よりも減少したと判断した場合には、培養液補充
用管120の途中に設けてある電磁弁130を開け、ケ
ミカルタンク108から培養液補充用管120を介し
て、不足しているリン成分およびチッソ成分をアルテミ
ア水槽102に補充することができるようになってい
る。
【0104】なお、アルテミア水槽102中の人工海水
134の量が多くなりすぎたり、あるいは、リン成分お
よびチッソ成分の濃度等が多くなりすぎた場合にこれら
の濃度の濃い人工海水134をアルテミア水槽102外
に排出するための、排出部124および排出用フィルタ
122が設けてある。
【0105】また、この培養装置100の例では、培養
液を循環するための循環路110が設けてあり、培地と
しての人工海水134は、ポンプ112により、アルテ
ミア水槽102におけるロート状の底部102bの最も
窪んだ箇所に取り付けてある循環路110を通って出て
いき、このアルテミア水槽102の上部に設けてある循
環路出口118を介して、このアルテミア水槽102に
循環する(戻る)ことができるようになっている。図1
中、循環路110における人工海水134の流れを矢印
で示してある。したがって、人工海水134を循環させ
ることにより、マリモ糸状体に対して、新鮮な人工海水
134、ひいては栄養成分を常に供給することができる
ようにしてある。
【0106】そして、この循環路110の途中には、濾
過用フィルタ(例えば、カ−トリッジフィルタ)114
と、紫外線殺菌装置(例えば、10WオゾンレスGL放
電管、紫外線照射度約6500μW/cm2 )116と
が設けてある。したがって、マリモ糸状体に付着してい
た付着藻類や原生動物等を、人工海水134を循環する
過程で濾過用フィルタ114により有効に除去したり、
あるいは、紫外線殺菌装置116により滅菌することが
できるようになっている。すなわち、循環路110の途
中に濾過用フィルタ(カ−トリッジフィルタ)114と
紫外線殺菌装置116とを設けることにより、これらの
付着藻類や原生動物等の繁殖を防ぎ、マリモ糸状体の生
長を阻害することがないようにしてある。
【0107】このように構成した培養装置100におい
て、上記(C)工程で脱水処理したマリモ糸状体を、
1.0g/1000mlの密度になるように、すなわち
100リットルの培養装置100のアルテミア水槽10
2に、合計100gのマリモ糸状体を収容し、このマリ
モ糸状体の培養を開始した。なお、マリモ糸状体の培養
条件は、以下のとおりであった。
【0108】 人工海水濃度(塩分濃度):0.336重量% 人工海水温度:20〜24℃ 人工海水の循環速度:最大79.2回転/日 照度:培養液の直上で、3000〜4000lux 照射時間:14時間/日 エアレーション:マリモ糸状体がゆっくり回転する程度 培養時間:2月 そして、マリモ糸状体の培養を継続すると、マリモ糸状
体の生長に伴い、小片同士が絡み合って塊状となる場合
がある。そうすると、塊状のマリモ糸状体の内部にまで
ハロゲンランプ106の光がいきわたらず、極端にマリ
モ糸状体の生長が遅くなる。よって、マリモ糸状体の小
片同士が絡み合って塊状となった場合には、ピンセット
等を用いて可能な限り小片化する(直径約0.5〜1.
0cm)のが良い。
【0109】(E)マリモ糸状体の収穫工程 マリモ糸状体を約2月(60日)培養したところ、培養
前には100.0gであったマリモ糸状体の湿重量が、
培養後には218gと、約2.2倍に湿重量が増加して
いた。そこで、アルテミア水槽102からこの生長した
マリモ糸状体を収穫し、このアルテミア水槽102にお
けるマリモ糸状体の培養を終了した。また、収穫したマ
リモ糸状体は白化(緑色が薄くなる現象)しておらず、
優れた濃緑の色調を有するマリモ糸状体であり、天然マ
リモと実質的に同様の色調であった。
【0110】なお、約1月(30日)培養したところで
(中間段階)、マリモ糸状体の湿重量を測定したとこ
ろ、マリモ糸状体の湿重量は174gに増加しており、
中間段階でも約1.7倍にマリモ糸状体の湿重量は増加
していたことが確認されている。
【0111】図2に上記マリモ糸状体の湿重量変化を実
線M1で以て示す。横軸には経過日数(日)を取って示
してあり、縦軸には、湿重量(g)を取って示してあ
り、得られたデータを黒塗りの丸印(三箇所)で示して
ある。この図から、容易に理解できるように、マリモ糸
状体の湿重量は、経過日数(日)にほぼ比例して大きく
なり、約2月の培養で約2.2倍にマリモ糸状体は生長
している。よって、同時に実施した比較例1〜比較例3
におけるほとんどマリモ糸状体の湿重量増加が見られな
い(図2に実線M3〜M5で示される)結果と比べる
と、この発明のマリモ糸状体の大量培養方法によれば、
100リットル規模の培養槽であっても、色調に優れた
マリモ糸状体を迅速に培養することができることが容易
に理解できる。
【0112】なお、実施例1のマリモ糸状体の培養を終
了した後、すぐに、同一の条件でマリモ糸状体の大量培
養を繰り返したところ、大変再現性の良い結果が得られ
た。すなわち、マリモ糸状体を約2月、実施例1と同様
の条件で再び培養したところ、湿重量が100gであっ
たものが約220gと、約2.2倍にマリモ糸状体の湿
重量は増加していた。また、この例でも、マリモ糸状体
は白化(緑色が薄くなる現象)することなく、優れた濃
緑の色調を有するマリモ糸状体が得られた。
【0113】よって、実施例1において、所定濃度範囲
のリン成分およびチッソ成分を含む人工海水を使用した
ためと推定されるが、色調に優れたマリモ糸状体を10
0リットル規模の培養槽内で、大量かつ迅速に培養する
ことができることが確認された。
【0114】(F)マリモ糸状体の淡水に対する馴化処
理工程 次に、人工海水(培養液)よりも低い塩分濃度の塩水を
3種類(すなわち、0.17重量%、0.08重量%、
および0.04重量%の各塩水)用意しておき、培養後
の収穫したマリモ糸状体を、0.17重量%塩水に4
日、0.08重量%塩水に4日、および0.04重量%
塩水に4日と、より低い塩分濃度の塩水に順次に浸漬し
た。
【0115】これは、培養後の収穫したマリモ糸状体
を、いきなり培養液である人工海水(塩分濃度0.33
6重量%)から淡水に移すと、マリモ糸状体内の浸透圧
の急激な変化により、細胞内に水分が急速に浸透し、原
形質吐出が生じて細胞が死滅するおそれがあるためであ
る。よって、マリモ糸状体を淡水に移す前に、このマリ
モ糸状体を培養液よりも低い塩分濃度の塩水に、しか
も、例えば1/2ずつというように段階的に、より低い
塩分濃度の塩水に浸漬することにより、マリモ糸状体内
の原形質吐出を有効に防止するものである。
【0116】(G)マリモ糸状体の淡水処理工程 最後に、培養後の収穫したマリモ糸状体を、ピンセット
等を用いて適当な大きさの小片に取り分けた。それか
ら、これらのマリモ糸状体の小片を淡水に移してマリモ
糸状体の培養を終了した。
【0117】(実施例2)実施例1の人工海水における
リン含有量やチッソ含有量を約半分にして(表1に、実
施例2における培養液中のリン含有量およびチッソ含有
量をそれぞれ示す。)、実施例1の(A)〜(G)の工
程(条件)にしたがい、容積が100リットルの培養槽
を用いて、マリモ糸状体(北海道のシラルトロ湖産)の
大量培養を約2月間行った。
【0118】但し、実施例2においては、人工海水13
4中のリン濃度およびチッソ濃度を濃度センサ126に
よりそれぞれモニタしながらも、培養液濃度制御部12
8がこれらのリンおよびチッソの濃度(含有量)が所定
範囲の値(リン含有量:0.2〜10.0mg/l、お
よびチッソ含有量:0.2〜10.0mg/l)になる
ように、培養液補充用管120の途中に設けてある電磁
弁130を適宜開けて、一定速度(約10リットル/
日)でケミカルタンク108からリンおよびチッソを含
む新たな培養液(人工海水)をアルテミア水槽102に
補充した。
【0119】したがって、アルテミア水槽102中の人
工海水134の量が一定速度で増加し、このアルテミア
水槽102から一定量の人工海水134がオーバーフロ
ーして、排出部124および排出用フィルタ122か
ら、アルテミア水槽102の外に流出するようにしてあ
る。すなわち、マリモ糸状体が生長に伴い人工海水13
4中のリン成分およびチッソ成分を一定量消費しても、
これらリン成分およびチッソ成分を含む新たな培養液
(人工海水)をアルテミア水槽102に補充しているた
め、リンおよびチッソ含有量を所定範囲内の値(リン含
有量:0.2〜10.0mg/l、およびチッソ含有
量:0.2〜10.0mg/l)に容易に制御すること
ができる。
【0120】そして、このようにしてマリモ糸状体を培
養したところ、マリモ糸状体の湿重量につき、培養前は
100gであったものが、培養後には約200gとな
り、約2月間の間に約2.0倍に湿重量が増加してい
た。
【0121】また、約1月間培養したところで(中間段
階)、マリモ糸状体の湿重量を測定したところ、平均約
150gのマリモ糸状体が得られており、約1.5倍に
マリモ糸状体の湿重量は増加していたことが確認されて
いる。
【0122】この結果を、図2に実施例1のデータ等と
ともに、実線M2で以て示す。この図から、容易に理解
できるようにマリモ糸状体の湿重量は経過日数(日)に
ほぼ比例して大きくなり、若干、実施例1の結果と比較
すると実施例2におけるマリモ糸状体の湿重量の増加割
合は少ないものの、同時に実施した比較例1〜3の結果
と比べると、実施例2におけるマリモ糸状体の生長速度
がかなり速いことがわかる。
【0123】また、マリモ糸状体の色調についても、優
れた濃緑の色調を有するマリモ糸状体が得られており、
実施例2におけるマリモ糸状体の色調は、実施例1で収
穫されたマリモ糸状体あるいは天然マリモと実質的に同
等であった。
【0124】よって、実施例2においても、所定濃度の
リンおよびチッソを含む人工海水を使用したためと推定
されるが、色調に優れたマリモ糸状体を100リットル
規模の培養槽内で、大量かつ迅速に培養することができ
ることが確認された。
【0125】(比較例1)実施例1の人工海水の代わり
に岩塩水(表1に、培養液中のリン含有量およびチッソ
含有量を示す。)を用いたほかは、実施例1に示す
(A)〜(G)の工程にしたがって、実施例1と同様の
条件で、容積が100リットルの培養槽を用いて、マリ
モ糸状体(北海道のシラルトロ湖産のマリモ糸状体)の
大量培養を約2月間行った。その実験結果を、図2に実
施例1のデータ等とともに実線M3で以て示す。
【0126】この図から、容易に理解できるように、マ
リモ糸状体の湿重量は、培養前は100gであったが、
約2月の培養後でも平均約111gであって顕著な湿重
量の増加は見られなかった。なお、約1月間培養したと
ころでも(中間段階)、マリモ糸状体の湿重量の顕著な
増加は見られていないことが確認されている。
【0127】さらに、同様の条件でマリモ糸状体の大量
培養を再度約2月間行ったが、同様にマリモ糸状体の湿
重量の顕著な増加は見られなかった。
【0128】よって、培養液中のリン含有量およびチッ
ソ含有量が少ないためと推定されるが、岩塩水を用いて
は、大量かつ迅速にマリモ糸状体を培養することは困難
であることが確認された。また、比較例1で収穫された
マリモ糸状体と、実施例1で収穫されたマリモ糸状体と
を比較すると、この例で得られたマリモ糸状体の色調は
若干緑色が薄い感があった。
【0129】(比較例2)比較例1の岩塩水の半分の塩
分濃度の岩塩水(表1に、培養液中のリン含有量および
チッソ含有量を示す。)を用いたほかは比較例1と同
様、すなわち、実施例1に示す(A)〜(G)の工程に
したがって、実施例1と同様の条件で、容積が100リ
ットルの培養槽を用いて、マリモ糸状体(北海道のシラ
ルトロ湖産のマリモ糸状体)の大量培養を約2月間行っ
た。結果を、図2に実施例1のデータ等とともに実線M
4で以て示す。
【0130】この図から、容易に理解できるように、マ
リモ糸状体の湿重量は、培養前には100gであった
が、約2月の培養後でも約104g程度であって顕著な
湿重量の増加は見られなかった。なお、約1月間培養し
たところでも(中間段階)、マリモ糸状体の湿重量の顕
著な増加は見られていないことが確認されている。
【0131】さらに、同様の条件でマリモ糸状体の大量
培養を約2月間行ったが、同様にマリモ糸状体の湿重量
の顕著な増加は見られなかった。
【0132】よって、比較例1の岩塩水の塩分濃度を約
半分に低下させても、培養液中のリン含有量およびチッ
ソ含有量が少ないためと推定されるが、岩塩水を用いて
大量かつ迅速にマリモ糸状体を培養することは困難であ
ることが確認された。また、比較例2で収穫されたマリ
モ糸状体と、実施例1で収穫されたマリモ糸状体とを比
較すると、この例で得られたマリモ糸状体の色調は若干
緑色が薄い感があった。
【0133】(比較例3)実施例1の人工海水の代わり
に地下水(表1に、培養液中のリン含有量およびチッソ
含有量を示す。)を用いたほかは、実施例1に示す
(A)〜(G)の工程にしたがって、実施例1と同様の
条件で、容積が100リットルの培養槽を用いて、マリ
モ糸状体(北海道のシラルトロ湖産のマリモ糸状体)の
大量培養を約2月間行った。その実験結果を、図2に実
施例1のデータ等とともに実線M5で以て示す。
【0134】この図から、容易に理解できるように、マ
リモ糸状体の湿重量は、培養前には100gであった
が、約2月の培養後でも約100gと顕著な増加は見ら
れなかった。なお、約1月間培養したところでも(中間
段階)、マリモ糸状体の湿重量の顕著な増加は見られて
いないことが確認されている。
【0135】よって、培養液中のリン含有量およびチッ
ソ含有量が少ないためと推定されるが、地下水を用いて
は、大量かつ迅速にマリモ糸状体を培養することは困難
であることが確認された。また、比較例3で収穫された
マリモ糸状体と、実施例1で収穫されたマリモ糸状体と
を比較すると、この例で得られたマリモ糸状体の色調は
若干緑色が薄い感があった。
【0136】
【発明の効果】この発明のマリモ糸状体の培養方法によ
れば、培養槽内においてマリモ糸状体を培養する方法に
おいて、培養槽の培養液中のリン含有量を、0.2〜1
0.0mg/lの範囲内の値とし、かつ、培養液中のチ
ッソ含有量を、0.2〜10.0mg/lの範囲内の値
としたことにより、色調に優れたマリモ糸状体を100
リットル規模の培養槽内で大量かつ迅速に培養すること
ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のマリモ糸状体の培養方法の説明に供
する、100リットル規模の培養槽置の構成模式図であ
る。
【図2】この発明のマリモ糸状体の培養方法における、
マリモ糸状体の湿重量変化を説明するための、経過日数
−湿重量特性曲線図である。
【図3】従来方法におけるマリモ糸状体の生長率の説明
に供する図である。
【符号の説明】
100:培養装置 102:アルテミア水槽(培養槽) 104:散気管(エアレーション装置) 106:ハロゲンランプ 108:ケミカルタンク 110:循環路 112:マグネットポンプ 114:カートリッジフィルタ 116:紫外線(UV)殺菌装置 118:循環路出口 120:培養液補充用管 122:排出用フィルタ 124:排出部 126:濃度センサ 128:培養液濃度制御部 130:電磁弁 132:培養液補充手段 134:人工海水(培養液)
フロントページの続き (72)発明者 前林 衛 北海道江別市対雁2ー1 北海道電力株 式会社総合研究所内 (72)発明者 山口 敏尚 北海道江別市対雁2ー1 北海道電力株 式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−121126(JP,A) 特開 昭49−41187(JP,A) 特開 平5−56725(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01G 33/00 C12M 1/00 A01H 4/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養槽内においてマリモ糸状体を培養す
    る方法において、 前記培養槽における培養液中のリン含有量を0.2〜1
    0.0mg/lの範囲内の値とし、かつ、チッソ含有量
    を0.2〜10.0mg/lの範囲内の値としたことを
    特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマリモ糸状体の培養方
    法において、前記培養槽に、前記培養液中のリン含有量
    およびチッソ含有量のうち、少なくとも一つを制御する
    ための培養液補充手段を設けてあることを特徴とするマ
    リモ糸状体の培養方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のマリモ糸状体
    の培養方法において、前記リン含有量に換算されるリン
    が、水溶液中でリン酸イオン(PO4 3- )を生成可能な
    物質に起因していることを特徴とするマリモ糸状体の培
    養方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマ
    リモ糸状体の培養方法において、前記チッソ含有量に換
    算されるチッソが、水溶液中で硝酸イオン(NO3 -)、
    亜硝酸イオン(NO2 -)またはアンモニアイオン(NH
    4 +)を生成可能な物質に起因していることを特徴とする
    マリモ糸状体の培養方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマ
    リモ糸状体の培養方法において、前記培養液中の塩分の
    濃度を0.03〜1.8重量%の範囲内の値とすること
    を特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のマリモ糸状体の培養方
    法において、前記培養液中の塩分が、NaCl、MgS
    4 、Na2 SO4 、MgCl2 、KClおよびCaC
    2 からなるグループから選択された少なくとも一つの
    塩分であることを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のマ
    リモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体に対
    して、300〜4000lux(≒8〜106μE/m
    2 /sec)の範囲内の照度の光を照射することを特徴
    とするマリモ糸状体の培養方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のマ
    リモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体に対
    して、1日当たり2〜24時間の範囲内で以て、光を照
    射することを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のマ
    リモ糸状体の培養方法において、前記培養液の温度を1
    5〜30℃の範囲内の値とすることを特徴とするマリモ
    糸状体の培養方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    マリモ糸状体の培養方法において、前記培養液のpHを
    6.0〜9.0の範囲内の値とすることを特徴とするマ
    リモ糸状体の培養方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記培養槽に、前
    記マリモ糸状体および前記培養液の攪拌手段を設けてあ
    ることを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のマリモ糸状体の培
    養方法において、前記培養液の攪拌手段が、エアレーシ
    ョン装置および攪拌羽根の両方あるいはいずれか一方で
    あることを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記培養槽に循環
    路を設けて、前記培養液を循環することを特徴とするマ
    リモ糸状体の培養方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のマリモ糸状体の培
    養方法において、前記循環路の途中に、濾過フィルタお
    よび紫外線殺菌装置の双方あるいはいずれか一方を設け
    て、前記培養液を循環することを特徴とするマリモ糸状
    体の培養方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記培養槽の底部
    をロート状としてあることを特徴とするマリモ糸状体の
    培養方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体
    の培養前および培養中の双方の時期あるいはいずれか一
    方の時期に、該マリモ糸状体を小片化する工程を含むこ
    とを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体
    を塩分の濃度が0.4〜3.6重量%の塩水に、1〜1
    0日間浸漬した後、該マリモ糸状体を、前記培養槽内で
    培養することを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のマリモ糸状体の培
    養方法において、前記マリモ糸状体を前記塩水に浸漬前
    に、前記マリモ糸状体を塩分の濃度が0.04〜0.4
    重量%の塩水に浸漬することを特徴とするマリモ糸状体
    の培養方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体
    の培養後に、該培養後のマリモ糸状体を培養液よりも低
    い塩分濃度の塩水に浸漬する淡水馴化工程を設けること
    を特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のマリモ糸状体の培
    養方法において、前記淡水馴化工程が、培養液よりも低
    い塩分濃度の塩水が複数種用意してあり、該培養後のマ
    リモ糸状体を、より低い塩分濃度の塩水に順次に浸漬す
    るものであることを特徴とするマリモ糸状体の培養方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    のマリモ糸状体の培養方法において、前記マリモ糸状体
    を培養する前工程として、 前記マリモ糸状体を洗浄する工程と、 洗浄済の前記マリモ糸状体を、後工程での塩水処理に対
    する馴化処理工程と、 その後における前記マリモ糸状体の塩水処理工程とを含
    むことを特徴とするマリモ糸状体の培養方法。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載のマリモ糸状体の培
    養方法において、 前記マリモ糸状体の培養後に、 前記マリモ糸状体を収穫する工程と、 収穫した該マリモ糸状体を、後工程での淡水処理に対す
    る馴化処理工程と、 その後における淡水処理工程とを含むことを特徴とする
    マリモ糸状体の培養方法。
JP31048297A 1997-11-12 1997-11-12 マリモ糸状体の培養方法 Expired - Fee Related JP2935455B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31048297A JP2935455B2 (ja) 1997-11-12 1997-11-12 マリモ糸状体の培養方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31048297A JP2935455B2 (ja) 1997-11-12 1997-11-12 マリモ糸状体の培養方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11137109A JPH11137109A (ja) 1999-05-25
JP2935455B2 true JP2935455B2 (ja) 1999-08-16

Family

ID=18005772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31048297A Expired - Fee Related JP2935455B2 (ja) 1997-11-12 1997-11-12 マリモ糸状体の培養方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2935455B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090151240A1 (en) * 2004-04-20 2009-06-18 National University Corporation Kagoshima University Algae intensive cultivation apparatus and cultivation method
KR100866985B1 (ko) * 2008-07-04 2008-11-05 주식회사 이시스 미생물 배양장치 및 방법
JP2012023978A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Hitachi Plant Technologies Ltd 光合成微生物培養装置および光合成微生物培養方法
WO2016006680A1 (ja) * 2014-07-10 2016-01-14 オリンパス株式会社 細胞培養システム
JP6558597B2 (ja) * 2017-02-01 2019-08-14 ルーテック株式会社 沈水植物と共存する糸状藻類の増殖抑制方法
KR101856678B1 (ko) * 2018-03-08 2018-05-14 바이오시스템이엔지(주) 광생물반응기
KR102011245B1 (ko) * 2019-03-08 2019-08-14 전라남도 수산식물 바이오 가로수 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11137109A (ja) 1999-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5611947B2 (ja) 野菜および魚類生産のためのアクアポニック施設
CN1875691A (zh) 一种植物快速繁育方法
US4926795A (en) Method of reinstating acceptable flavor to off-flavor catfish by treatment with peroxide additives
WO2000040081A1 (fr) Dispositif d'alimentation pour poissons et crustaces
CA1319574C (en) Scallop aquaculture
JP2935455B2 (ja) マリモ糸状体の培養方法
JP2006320292A (ja) 海苔の養殖方法
JP7276772B2 (ja) 海藻育成方法および海藻育成装置
US20020023876A1 (en) Algal and nutrient control system and method for a body of water
CN105016524A (zh) 一种清除漂浮刚毛藻的方法
JP2019162066A (ja) 養殖方法および養殖設備
JP6908940B2 (ja) 鉄分供給剤及び生物育成方法
JPH03198728A (ja) 海苔の酸処理方法
KR101957022B1 (ko) 모자반류 접합자를 자연석인 현무암에 부착 및 생장시켜 바다숲을 조성하는 신규 바다숲 조성방법
US11330774B2 (en) Hydroponic culture method for plant in high salinity environment
CN102449175A (zh) 使用苔藓植物的原丝体的金属回收方法
Stanton et al. Hatching, motility, and infectivity of root-knot nematode (Meloidogyne javanica) following exposure to sodium hypochlorite
CN107751057B (zh) 一种大型溞食物链式单缸保种培养方法
CN113711880A (zh) 一种烟草漂浮育苗拔株膜下移栽方法
JP3766335B2 (ja) 海苔育成用組成物
JP3841336B2 (ja) 植物プランクトンの利用方法
JPS5995828A (ja) のり採苗法
CN109874704A (zh) 一种虎斑乌贼苗种饵料驯化的方法
JP2020065508A (ja) 休眠ゾウリムシ含有乾燥植物の製造方法
Yeo et al. Germination of seed of dwarf spikerush (Eleocharis coloradoensis)

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990518

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090604

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees