JP6908940B2 - 鉄分供給剤及び生物育成方法 - Google Patents

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Description

本発明は農作物等に鉄分を供給する鉄分供給剤等に関する。
鉄は地殻中で5番目に豊富に存在するミネラルである。ただ、循環・吸収され難い面があることから、人間を含めた生態系の全体が欠乏状態にあり、これに起因して様々な問題を引き起こすと考えられている。そこで、鉄分を生態系に人為的に供給するという取り組みが始まっている。
本願に係る発明者は、生態系において鉄ミネラルの循環流を作ることを念頭に、鉄分供給方法、鉄分供給物及び植物の栽培方法等について提案を行なった(特許文献1、2参照)。
特開2016−195579号公報 特開2018−50478号公報
しかしながら、上記従来例による場合、液中での鉄とポリフェノール又はフルボ酸など有機酸の接触により液中に鉄分を二価鉄として溶解させて鉄分供給剤を生成する内容になっているものの、水耕栽培用の鉄分供給剤の分野ではよく知られているように水に溶解した状態の鉄分は自然界や畑に存在するリン化合物と容易に反応し水に不溶のリン酸鉄に変化するため有効ではない。また、アルカリ土壌の下では鉄欠乏が発生し易いことから、鉄キレート作用を有する鉄分供給剤が多数開発されているが、EDTA等については、天然物質ではないため有機農業には使用不可である。また、天然物由来の有機酸を用いたものについては、アルカリ土壌下ではキレート効果が失われ、鉄分の吸収が十分とは言えない等の種々の問題が指摘されている。
本発明は上記した背景の下に創作されたものであって、その目的とするところは、環境の制約を受けることなく農作物等に対して鉄分を十分に吸収させることが可能な鉄分供給剤等を提供することにある。
本願に係る鉄分供給剤は、3価のタンニン鉄のコロイド溶液になっている。
上記構成の鉄分供給剤による場合、3価のタンニン鉄のコロイド溶液であることから、リン化合物やリン酸鉄に関する従前の問題が解消され、環境の制約を受けることなく農作物等に対して鉄分を十分に吸収させることが可能になる。この効果はアルカリ土壌の下であっても同様であり、天然物質由来のものであるから有機農業にも利用することも可能となる。
好ましくは、上記鉄分供給剤から水分を除去して得られた乾燥固体又はこれが微細化された粉体にすると良い。
上記形態の鉄分供給剤による場合、再溶解させると元通りのコロイド溶液に戻ることから、上記と同様の効果が得られる。特に水分の除去分だけ小容量化及び軽量化が図られ、保存や持ち運びが容易になるという別の効果が得られる。また、水分制限が必要な農作物への施用も可能となる。
本願に係る生物育成方法は、鉄分供給剤の供給により農産物,魚貝類、海産物、植物、藻類、土壌微生物、又は糠床若しくはパン生地に含まれる微生物その他の生物を育成する内容になっている。
上記内容の生物育成方法による場合、鉄分供給剤を用いて農作物等を育成することから、鉄分の吸収が効果的に行なわれ、これに伴って育成効率が高くなる等の種々の効果が得られる。
好ましくは、 鉄分供給剤の供給の代わりに、鉄又は酸化鉄である第1材料、ポリフェノールである第2材料を田畑、川、湖沼又は海に各々供給し、両材料との間のキレート反応又は錯体反応によりタンニン鉄を生成し、その後の放置により当該タンニン鉄をコロイド分散させ、当該田畑、川、湖沼又は海に存在する生物につき当該タンニン鉄の吸収により育成すると良い。
上記形態の生物育成方法による場合、鉄分供給剤が不要であることから、材料コスト面でメリットがある。
好ましくは、田畑、川、湖沼若しくは海に沈められた固体鉄、鉄分を含む落ち葉その他の有機物、又は鉄分を含む土壁、土壌若しくは地下水を第1材料として活用すると良い。
上記形態の生物育成方法による場合、固体鉄から溶出した鉄分等が第1材料となることから、材料及び作業のコスト面でメリットがある。
固体鉄については、鉄材と炭材とが混合又は組み合わされた水質改善材とするのが一層好ましい。
上記形態の生物育成方法による場合、上記効果に加えて水質改善材の効能を容易に高めることが可能になる。
好ましくは、田畑、川、湖沼若しくは海又はその周辺に存在しており且つ水中にポリフェノールを放出する植物、又はポリフェノールを含む落ち葉、植物残渣、雨水若しくは地下水を第2材料として活用すると良い。
上記形態の生物育成方法による場合、上記植物等から放出されたポリフェノールが第2材料となることから、材料及び作業のコスト面でメリットがある。
本発明の実施形態に係る鉄分供給剤について説明するための説明図である。 同鉄分供給剤を用いて農作物を育成する方法を説明するための概略図である。 同鉄分供給剤を用いて魚貝類を育成する方法を説明するための概略図である。 同鉄分供給剤を用いて植物等を育成する方法を説明するための概略図である。 同方法の変形例を説明するための概略図である。 同方法の他の変形例を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る鉄分供給剤Aは、農産物、魚貝類、植物、藻類、土壌微生物等の生物B(図2〜図4参照)に鉄分を供給するための液体状の鉄供給剤であって、液中で鉄イオンを放出しない性質を有し且つ水に不溶であるタンニン鉄2のコロイド溶液になっている。
なお、栄養学や薬学の分野では、タンニン鉄は水に不溶のため沈殿し、循環しない、生物に吸収されないと考えられているが、本件発明者は種々の実験等を通じてその考えが必ずしも正しいとは言えないことを独自に発見した。本発明はかかる知見に基づいた内容になっている。
タンニン鉄2の濃度については、液体の溶解度、PH等にも左右されるが、5%前後であるのが一般的である。タンニン鉄2のコロイド分散の程度については、1年以上放置しても分離・沈殿しないことを目安にすると良い。
鉄分供給剤Aについてタンニン鉄2のコロイド溶液としたのは下記の理由に基づいている。
タンニン鉄自体は水に不溶であるが、細かい粒子のコロイドになると水中に分散して液体状となる。また、コロイド分散の状態が安定して継続し易い。
タンニン鉄は水中にて鉄イオンを放出することがないことから、鉄イオンに化合し易い元素等が豊富に存在する環境下であっても何らかの鉄化合物が生成され沈殿するということがなくなる。特に鉄やアルミなどの金属化合物と反応し水に不溶である化学物質を作りやすいリン化合物と反応しない。これらの点で、その環境に存在する生物が鉄分を吸収し易くなる。実際に液体状のタンニン鉄は植物や人間に良く吸収されることが判明した。
タンニン鉄は自然由来の物質であり、人体に対する拒否反応がないだけでなく良く吸収されることが明らかにされつつある。また、鉄鍋で調理した茶粥、伽羅蕗、鉄火味噌、紅茶に入れたハチミツ等の調理過程に自然に生成される化合物については、安全性の問題が指摘されたことがない。これらの事実に着目するとタンニン鉄については安全性に何ら問題がないと考えられる。
このように鉄分供給剤Aは、タンニン鉄2のコロイド溶液であることから、鉄イオンを放出しないで植物や人間等に吸収され易く、長い間伝統的な調理文化として使用され安全性も高いことから、自然界の鉄分循環に資する鉄剤として最適であると考えられる。
上記した特徴を有する鉄分供給剤Aを生成する方法については、図1に示されている通り、鉄又は鉄化合物の粉状体である第1材料20とタンニンの粉状体である第2材料30とを容器10内に入れて液体1に混入する。すると、液体1中において第1材料20と第2材料30が溶解して接触し、両材料の間でキレート反応(又は錯体反応)が生じてタンニン鉄2が生成される(化1参照)。その後、これを放置するとタンニン鉄2がコロイド分散される。その結果、容器10内の液体1がタンニン鉄2のコロイド溶液となり、鉄分供給剤Aが生成される。このような鉄分供給剤Aの生成の過程での発酵化防止のために容器10内を攪拌したりバブルエアーを入れて酸素濃度を高めるようにすることが好ましい。
Figure 0006908940
液体1の例としては、蒸留水等が代表的であるが、農業用水、湖沼水、海水等を用いても良い。ただ、この場合の液体のPHについては中性・アルカリ性領域であることが必要になる。タンニン鉄は中性・アルカリ性領域では3価の鉄化合物として存在し水に溶解しないが、酸性領域では2価の化合物として存在し水に溶解し、上記キレート反応が進んでもコロイド溶液とならない。そのため液体1のPHが酸性領域であるときには、PH調整を行う又はタンニン鉄の平均粒子径及び濃度等を調整する等の周知のコロイド分散方法をとると良い。2価の化合物でも使用に問題ないが、土壌PHを変化させる場合があり、調整が必要となる。この点、タンニン酸などを使用すると当初酸性であるが、反応が進みタンニン酸が消費されるに従って、中性・アルカリ性領域となる。
第1材料20の例としては、鉄又は酸化鉄を含有した製鋼スラグ等がある。粉状のものだけでなく鋳鉄等の固体状のものであっても良い(固体鉄:図5中の鉄材21及び図6中の鉄材22参照)。また、容器10を鉄製又は酸化鉄製とし、容器10内から溶出した鉄分を第1材料20として活用する形態でも良い。なお、金属材料ではなく鉄分含有量の多い落ち葉等の有機物、鉄分を含む壁土、鉄分含有量の多い土、鉄分を多く含む地下水を用いても良い。かかる材料を使った場合には、安全性が一層高まることになる。
第2材料30の例としては、天然のキレート剤が代表的であるが、原料コスト面を考慮し、茶殻、コーヒー殻、タマネギの皮若しくはポリフェノールを含む落ち葉、植物残渣、雨水若しくは地下水等を用いることが好ましい。
上記のように生成された鉄分供給剤Aを用いて生物Bを育成する方法(生物育成方法)について図2〜図6を参照して説明する。
図2に示された生物Bは具体的には水耕栽培により育成される野菜等の農作物である。水耕栽培の栽培槽には水と液肥が入れられ、これに鉄分供給剤Aが更に入れられる。このような鉄分供給剤Aの供給により同野菜等が育成される。液肥にはカリウムを始めとした各種ミネラルが大量に含まれているが、このような環境下であっても、鉄分供給剤Aに含有されたタンニン鉄2が沈殿しない。その結果、同野菜等に鉄分が効果的に吸収される。この場合、同野菜等の成長促進、収穫期間の延長、食味の改善等の種々の効果が実証されている。
このような効果を更に高めるには、栽培槽に入れられる水の代わりに活性水Cを用いると良い。この場合の活性水Cとしては、株式会社TAMURA製の商品名ディレカ(登録商標)の活性器により生成された活性水が最適である。
なお、野菜又は米等の農作物を土耕栽培する場合についても、農業用水に鉄分供給剤Aを入れると上記と同様な結果が得られることが実証されている。特に果菜類等を栽培する場合、以下の効果についても確かめられている。まず、生物寿命も延びるため果菜類の収穫可能期間が長くなる。植物の細胞壁が強くなるため腐敗などによるロスも低減できる。完熟させようとすると腐ったり水分が抜けたりするため収穫可能な状態での完熟が難しいとされる赤い完熟万願寺なども50%を超える収穫が可能となる。植物の中には、葉緑素合成酵素、アンモニア態、硝酸態窒素をアミノ酸に合成する酵素、ミトコンドリアの電子伝達系など、多数の酵素反応、生化学反応に鉄分が使用されるため、野菜への鉄分供給は、食味、食感の大幅な改善をもたらす。食味や食感のため通常生食に不敵な野菜や根菜類の葉も生食で美味しくなるため野菜調理の可能性が拡がり、灰汁抜きが不要などの従来にない特長を備えた野菜の栽培が可能となる。細胞膜が強くなり水分が抜けにくくなる、収穫後の経時変化によるエグミが増すことが少ないなどで、収穫後の保存可能期間が長くなる。
図3に示された生物Bは具体的には地上養殖方式により養殖される魚貝類等である。養殖槽には河川水、湖沼水又は海水だけでなく、鉄分供給剤Aが入れられる。養殖槽には多種多様な餌類が投入される。このような環境下であっても鉄分供給剤Aに含有されたタンニン鉄2が沈殿しない。その結果、魚貝類等の生物Bに鉄分が効果的に吸収される。この場合、魚貝類や魚介類の餌になる生物等の成長促進、収穫期間の延長、食味の改善等の種々の効果が得られる。このような効果を高めるには養殖槽に入れられた水の代わりに活性水Cを用いるのが好ましい。鉄分が植物プランクトンを育て、それを動物プランクトンや魚類に食べられ、生物Bの生育に貢献する。また、有害物質である硫化水素の低減にも貢献する。
なお、地上養殖方式だけでなく川、湖沼又は海等に網、コンテナ、いけす等の管理区域を設置して魚貝類を養殖する一般的な養殖方式にも上記と同様に適用可能である。
図4に示された生物Bは、地上bに自然に生育される植物の他、河川a、湖沼e又は海dに自然に生育される魚貝類、藻類、土壌微生物等である。このような生物Bについては、河川aの下流域で生きており、河川aを通じて水分が直接的又は間接的に供給される。そのため、鉄分供給剤Aを河川aに川上位置から投入すると、その一部が河川a、地上b(田畑を含む)、湖沼e又は海dに存在する生物Bに供給される。河川a等には多種多様なミネラルが含まれる。このような環境であっても鉄分供給剤Aに含有されたタンニン鉄2が沈殿しない。その結果、魚貝類や魚介類等の餌になる生物等にも鉄分が効果的に吸収され、その結果、生物Bの育成化が進む。別の見方をすれば、河川aの下流域における生態系の鉄分欠乏状態が解消される。また、たとえアルカリ土壌であったとしても、当該環境を保全することが可能になる。なお、河川や湾内全体の生態系の成長を補助することによるビオトープ型養殖も可能となる。また、放牧地において土壌の鉄分不足が解消され、良質な牧草を生育することも可能になる。
もっとも、鉄分供給剤Aを投入して供給する代わりに、その原料である第1材料20、第2材料30を河川aに各々投入して供給した場合についても上記と同様な結果が得られる。即ち、河川aに川上位置から第1材料20、第2材料30を各々投入すると、その近く又はその下流位置の水中にて鉄分供給剤Aが自然的に生成され、上記形態と全く同様の結果になる。これは、鉄分供給剤A(又は第1材料20、第2材料30)を河川aではなく地上b(田畑を含む)、湖沼e又は海dに投入して供給した場合についても同様である。
上記形態の変形例を図5を参照して説明する。この変形例は、湖沼eに沈められた鉄材21(固体鉄)を第1材料20として活用した例である。本案例では、鉄材21として、炭素繊維と鉄との多層構造体であって、石井商事株式会社製の商品名すーぱーぴーとる(登録商標)の水質改善材を用いている。即ち、鉄材21が湖沼eにその水質改善を目的として沈められており、鉄材21から溶出された鉄分が水中に自然的に放出される。一方、第2材料30を湖沼eの水面から投入すると、鉄材21の近くの水中にてタンニン鉄2のコロイド溶液が自然的に生成され、その結果、湖沼eの土壌微生物・水中の好気性微生物等である生物Bに鉄分が効果的に吸収され、鉄分供給剤Aを用いた場合と同様の結果となる。
なお、上記水質改善材については、鉄炭団子(登録商標)を用いた場合も上記と同様の効果が得られる。また、これらの水質改善材としての効能を高めることも可能になる。このような水質改善材だけでなく、鉄と炭とが混合された又は組み合わされた素材であって対象水の環境を改善可能なものであれば任意に適用可能である。
他の変形例を図6を参照して説明する。この変形例は、湖沼eに植えられており且つ水中にポリフェノール、特にタンニンを多く放出する植物31を第2材料30として活用した例である。植物31の例としてはマングローブ等がある。このような植物31の近くに第1材料20としての鉄材22(固体鉄)を沈めておく。鉄材22の例としては、鋼鉄フラグ等の固まりがある。なお、植物31を植林等する場所については、ポリフェノール、特にタンニンを多く含む落ち葉や植物残渣、あるいは、タンニンの成分が雨水や地下水等とともに流れ込むことが可能である限り、湖沼eの周りあっても良い。
このように鉄材22から溶出された鉄分と植物31から水中に放出されたタンニンの成分との接触によりタンニン鉄2が生成され、その放置によりタンニン鉄2のコロイド溶液が自然的に生成される。その結果、湖沼eの土壌微生物等である生物Bに鉄分が効果的に吸収され、鉄分供給剤Aを用いた場合と同様の結果になる。これは、鉄材22の代わりに図5に示された鉄材21を用いたり、第1材料20を湖沼eの水面に投入した場合についても同様である。
これらの変形例については、鉄材21又は植物31を上手く活用した方法であることから、下記の効果に加えて、実施が容易となりコスト面で一層のメリットがある。なお、湖沼eだけでなく河川a(図4参照)、海d(図4参照)についても同様に適用可能である。これらの場合の鉄材21の例としては鉄橋の柱、漁礁、生け簀、網等が考えられる。
上記した構成の鉄分供給剤Aによる場合、タンニン鉄2のコロイド溶液であることから、鉄に化合し易い元素等が豊富に存在する環境下であっても沈殿することがない。それ故、環境の制約を受けることなく農作物等の生物Bに対して鉄分を十分に吸収させることが可能になる。特に、アルカリ土壌下であっても同様であるだけでなく、天然物質由来のものであるから有機農業にも利用することが可能となる。また、原料コストや生成コストが安く、コスト面でメリットがある。
上記した内容の生物育成方法による場合、鉄分供給剤A等を用いて生物Bを育成していることから、鉄分の吸収が効果的に行なわれ、ひいては生態系において鉄ミネラルの循環流を作ることが可能になる。特に安全性及びコストの面で大きな問題がないことから、人間を含めた生態系の全体が欠乏状態にあり、これに起因して多種多様な問題を引き起こすという従前の課題を解消可能になる。
なお、本発明に係る鉄分供給剤は上記実施形態に限定されず、液中で鉄イオンを放出しない性質を有し且つ水に不溶であるタンニン鉄のコロイド溶液であれば同様に適用可能である。ただ、液体の形態ではなく、鉄分供給剤Aから水分を除去して得られた乾燥固体又はこれが微細化された粉体であっても良い。このような形態の場合、小容量化及び軽量化が図られ、保存や持ち運びが容易になる等の効果が得られる。これは、タンニンと鉄資材とをパッケージ化し、使用現場で鉄分供給剤の液体を作成する形態についても同様である。加えて、食品に混ぜて使用することが可能になり、水分制限が必要な農作物への施用も可能となる。具体的には、上記乾燥固体等をそのまま使用する場合と、水等の液体に入れて再溶解させて元通りにしたものを使用する場合とのどちらでも良く、再溶解が困難なときは、溶解に使用する液体にビタミンC(アスコルビン酸)等を少量入れると良い。
本発明に係る生物育成方法は上記実施形態に限定されず、農産物、魚貝類、海産物、植物、藻類又は土壌微生物等の生物を積極的に育成するという用途だけでなく、例えば、魚貝類を生け簀に入れた状態で運搬/保管する際の鮮度等を維持する用途等にも利用することが可能である。また、鉄分供給剤を供給して糠床又はパン生地等に存在する微生物を育成する用途にも適用可能である。
A 鉄分供給剤
1 液体
2 タンニン鉄
10 第1材料
20 第2材料
B 生物


Claims (7)

  1. 3価のタンニン鉄のコロイド溶液であることを特徴とする鉄分供給剤。
  2. 請求項1の鉄分供給剤から水分を除去して得られた乾燥固体又はこれが微細化された粉体であることを特徴とする鉄分供給剤。
  3. 請求項1又は2の鉄分供給剤の供給により農産物,魚貝類,海産物,植物,藻類,土壌微生物,又は糠床若しくはパン生地に含まれる微生物その他の生物を育成することを特徴とする生物育成方法。
  4. 請求項3記載の生物育成方法において、
    前記鉄分供給材の供給の代わりに、鉄又は酸化鉄である第1材料、ポリフェノールである第2材料を田畑,川,湖沼又は海に各々供給し、両材料との間のキレート反応又は錯体反応によりタンニン鉄を生成し、その後の放置により当該タンニン鉄をコロイド分散させ、当該田畑,川,湖沼又は海に存在する生物につき当該タンニン鉄の吸収により育成することを特徴とする生物育成方法。
  5. 請求項4記載の生物育成方法において、
    前記田畑,川,湖沼若しくは海に沈められた固体鉄、鉄分を含む落ち葉その他の有機物、又は鉄分を含む土壁、土壌若しくは地下水を第1材料として活用することを特徴とする生物育成方法。
  6. 請求項5記載の生物育成方法において、
    前記固体鉄は、鉄と炭素とが混合又は組み合わされた水質改善材であることを特長とする生物育成方法。
  7. 請求項4乃至6記載の生物育成方法において、
    前記田畑,川,湖沼若しくは海又はその周辺に存在しており且つ水中にポリフェノールを放出する植物、又はポリフェノールを含む落ち葉,植物残渣,雨水若しくは地下水を第2材料として活用することを特徴とする生物育成方法。
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