JP2934162B2 - 繊維強化プラスチック中空ロッドと端部拡大用クサビの組合せ体 - Google Patents

繊維強化プラスチック中空ロッドと端部拡大用クサビの組合せ体

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JP2934162B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
中空ロッドと該中空ロッドの端部拡大用のクサビとの組
合せ体、および前記クサビを打ち込んで端部を拡大した
繊維強化プラスチック中空ロッドをセメント、コンクリ
ート、モルタル等の水硬性物質やその他の被補強材料中
に配設して水硬性物質などの被補強材料の補強を行う方
法に関するものであり、本発明による場合は被補強材料
中における繊維強化プラスチック中空ロッドの定着性が
向上し、該中空ロッドが被補強材料から抜けたり離脱す
るのを効果的に防止し、被補強材料の補強を長期に亙っ
て強固に行うことができる。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチックロッドを鉄筋や鋼
材などの代替としてセメント、コンクリート、モルタル
等の水硬性物質などの補強材として用いることが従来か
ら行われている。そしてその場合には、繊維強化プラス
チックロッドとして、長さ方向に引き揃えられた多数の
補強繊維に樹脂を含浸して固めた小径の丸棒状で中実の
繊維強化プラスチックロッドが従来使用されている。し
かしながら、そのような従来の中実の繊維強化プラスチ
ックロッドは、単独では引張強力などの機械的強度が充
分ではなく、しかも水硬性物質などとの接着性にも劣っ
ており、そのため被補強材料中に埋設して使用している
うちに、破損、水硬性物質などからの抜けや剥離を生
じ、補強材として充分に機能しない。
【0003】そこで、前記した従来の丸棒状の中実繊維
強化プラスチックロッドにおける強度不足や耐抜け性を
改善するために、該丸棒状の中実繊維強化プラスチック
ロッドを複数本束ねて使用したり、一本のロッドの径を
大きくすることが一般に行われている。しかし、そのい
ずれの場合も、繊維強化プラスチックの使用量の増加や
ロッドの重量増加を招き、その結果、土木工事や建築工
事などで水硬性物質中に繊維強化プラスチックロッドを
埋設する際の作業負担が大幅に増し、しかも重量の大き
い繊維強化プラスチックロッドで補強された構築物の重
量増を招いている。その上、中実繊維強化プラスチック
ロッドの製造に当たって価格の高い繊維強化プラスチッ
クを多量に使用するため、繊維強化プラスチックロッド
自体の価格が高くなり、それが土木工事や建築工事を行
う際の材料費や工事費が上昇するという欠点がある。
【0004】また、前記した中実の繊維強化プラスチッ
クロッドが水硬性物質などの被補強材料から抜けたり剥
離するのを防止するために、ロッドの表面に砂、金剛
砂、ガラス粉末、セラミックス粉末などの固体粒子を付
着させて水硬性物質等との接着性を向上させる方法が提
案されている(特開平1−146047号公報)。しか
しながら、そのような従来の中実の繊維強化プラスチッ
クロッドでは、表面に固体粒子を付着させても、ロッド
の水硬性物質からの抜けや剥離が充分に防止できず、水
硬性物質に埋設したロッドを例えば10tonf以上の
引張強力で引っ張ると、抜けたり剥離してしまって充分
な補強作用を示さない。しかも、中実の繊維強化プラス
チックロッドの表面に付着した固体粒子は、大きな引張
強力がかかるとロッド表面から脱落して、水硬性物質と
の接着性向上に寄与しなくなるという欠点がある。
【0005】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者らは、
水硬性物質などとの接着性に優れていて大きな外力がか
かっても水硬性物質などからの抜けや剥離がなく、しか
も軽量であってロッドの埋設作業などが行い易く、その
上繊維強化プラスチックの使用量が従来の繊維強化プラ
スチックロッドと同程度またはそれよりも少なくてすむ
ような、高性能の繊維強化プラスチックロッドを開発す
ることを目的として研究を行ってきた。その結果、ロッ
ドを中実の繊維強化プラスチックロッドとせずに、ロッ
ドの外周部分のみに繊維強化プラスチックを70%以下
の占有率で存在させた中空の構造にし、しかも該ロッド
の表面に高さが0.2mm以上の凸部を存在させると、
水硬性物質などとの接着性が向上した、例えば10to
nf以上の大きな引張強力がかかっても水硬性物質から
抜けたり剥離したりせず、且つ軽量で、機械的強度など
にも優れる繊維強化プラスチック中空ロッドが得られる
ことを見出した。
【0006】そして、本発明者らが上記の知見に基づい
て更に研究を進めたところ、前記した繊維強化プラスチ
ック中空ロッドをそのまま水硬性物質などに埋設する代
わりに、繊維強化プラスチック中空ロッドの端部にその
円周部に沿って等間隔に切り込みを設けておき、そこに
特定の形状および/または寸法を有するクサビを打ち込
んで該中空ロッドの端部を拡大させると、繊維強化プラ
スチック中空ロッドにおける端部拡大時の歪みや拡大さ
れた端部の折れなどが防止されてロッドの端部が均一に
拡大されること、そしてそれにより得られた端部が拡大
された繊維強化プラスチック中空ロッドを水硬性物質な
どに埋設すると繊維強化プラスチック中空ロッドが一層
安定した状態で水硬性物質などの中に強固に定着して、
例えば20tonf以上の極めて大きな引張強力がかか
っても水硬性物質などからの繊維強化プラスチック中空
ロッドの抜けや剥離が一層効果的に防止できることを見
出した。
【0007】更に、本発明者らが上記した知見に基づい
てより詳細な検討を行った結果、上記した特定の形状お
よび/または寸法を有するクサビは、ロッド横断面にお
ける繊維強化プラスチック部分の占有率が70%以下で
あって且つロッド表面に0.2mm以上の凸部を有する
上記した特定の繊維強化プラスチック中空ロッドに対し
てだけではなく、繊維強化プラスチック部分が外周部分
に存在する繊維強化プラスチックロッドであればその端
部の拡大を極めて均整に行うことができて、繊維強化プ
ラスチック中空ロッドの定着性の向上に寄与することが
判明した。
【0008】 したがって、本発明は上記した種々の知
見に基づいて完成されたものであり、本発明は、繊維強
化プラスチック中空ロッドと該中空ロッドの端部拡大用
のクサビとの組合せ体であって、 (I)前記クサビが、 (i)円錐台形部(A)を備えるか、或いは円錐台形部
(A)と該円錐台形部(A)の小径の円形端面に連なる
円柱形ガイド部(B)を備え; (ii)前記円錐台形部(A)の小径の円形端面の直径が
繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径と等しい
かまたは該端部の内径よりも小さく; (iii)前記円錐台形部(A)の大径の円形端面の直径
が繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径よりも
大きく;そして、 (iv)前記円柱形ガイド部(B)を備えるクサビでは該
円柱形ガイド部(B)の直径が前記円錐台形部(A)の
小径の円形端面の直径と等しく; 且つ下記の式(1)〜(4);
【0009】
【数3】 [上記式中、 θ =円錐台形部(A)の傾斜辺の延長線によって形成
される先端角 D1=円錐台形部(A)の大径の円形端面の直径 D2=円錐台形部(A)の小径の円形端面および円柱形
ガイド部(B)の直径 L1=円錐台形部(A)の大径の円形端面と小径の円形
端面との間の距離 r =繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径] を満足するクサビであり;そして、 (II)前記繊維強化プラスチック中空ロッドが、 (v)該中空ロッドの長さ方向に引き揃えられた多数本
の強化用繊維に樹脂を含浸し固化してなる繊維強化プラ
スチック部分が該中空ロッドの外周部分に存在する繊維
強化プラスチック中空ロッドであって;且つ、 (vi)該中空ロッドの一方または両方の端部に、その円
周に沿って該端部を4〜8等分する下記の式(5)を満
足する長さ(L2)の切り込みを有する繊維強化プラス
チック中空ロッドである;
【0010】
【数4】 L1 ≧ L2 ≧ 2/3L1 (5) [上記式中、L1=円錐台形部(A)の大径の円形端面
と小径の円形端面との間の距離、L2=繊維強化プラス
チックロッドの端部の切り込みの長さ]ことを特徴とす
る、繊維強化プラスチック中空ロッドと該中空ロッドの
端部拡大用のクサビとの組合せ体である。
【0011】 本発明は、前記繊維強化プラスチック中
空ロッドが、該中空ロッドの任意の横断面において該繊
維強化プラスチック部分の占める断面積の割合が該中空
ロッドの最大外周より求めた断面積の70%以下であ
り、且つ該中空ロッドの表面に高さが0.2mm以上の
凸部が存在する繊維強化プラスチック中空ロッドであ
る、前記した組合せ体を好ましい態様として包含する。
【0012】 さらに、本発明は、繊維強化プラスチッ
ク中空ロッドを用いて被補強材料を補強する方法であっ
て、前記した本発明の繊維強化プラスチック中空ロッド
とクサビとの組合せ体であって且つ該繊維強化プラスチ
ック中空ロッドの一方または両方の端部に該クサビを打
ち込んで一方または両方の端部を拡大した組合せ体を、
被補強材料中に設置して補強を行うことを特徴とする、
繊維強化プラスチック中空ロッドによる被補強材料の補
強方法である。
【0013】そこで、本発明のクサビ、およびそのクサ
ビを用いる繊維強化プラスチック中空ロッド(以下、繊
維強化プラスチックを「FRP」および繊維強化プラス
チック中空ロッドを「FRP中空ロッド」という)の端
部の拡大方法について詳細に説明する。本発明のクサビ
の形状を、図1の外観図および図2の断面図[図1のク
サビを円錐台形部(A)の大径の円形端面1および小径
の円形端面2に対してそれら2つの円形端面の中心を通
って直角に切断した断面図]により示すと、本発明のク
サビは、図1の(a)および図2の(a)に示すような
円錐台形部(A)を備えるクサビ(以下このクサビを
「クサビ」という)、或いは図1の(b)および図2
の(b)に示すような円錐台形部(A)と該円錐台形部
(A)の小径の円形端面2に連なる円柱形ガイド部
(B)を備えるクサビ(以下このクサビを「クサビ」
という)である[上記の要件(i)]。
【0014】そして、本発明のクサビまたはクサビ
においては、円錐台形部(A)の小径の円形端面2の直
径(D2)がFRP中空ロッドの端部の内径(r)と等
しいかまたは該内径(r)よりも小さくなっており[上
記の要件(ii)]、且つ前記円錐台形部(A)の大径の
円形端面1の直径(D2)がFRP中空ロッドの端部の
内径(r)よりも大きくなっている[上記の要件(ii
i)]。
【0015】また、円柱形ガイド部(B)を有するクサ
ビにおいては、円柱形ガイド部(B)の直径が前記円
錐台形部(A)の小径の円形端面2の直径と等しくなっ
ている[円錐台形部(A)の小径の円形端面2の直径お
よび円柱形ガイド部(B)の直径をD2で表わす][上
記の要件(iv)]。
【0016】そして、上記した本発明のクサビまたは
クサビを、図3に示すような一方または両方の端部に
その円周に沿って等間隔の切り込み3を有するFRP中
空ロッド(C)の一方または両方の端部に打ち込むと
[なお図3の(a)はFRP中空ロッド(C)の端部の
外観図、(b)はFRP中空ロッド(C)の端部の正面
図、(c)はFRP中空ロッド(C)の端部を長さ方向
に見た図である]、図4に示すように、クサビおよび
クサビの円錐台形部(A)によってFRP中空ロッド
(C)の切り込み3を入れた端部が均整に外方に拡がっ
て、端部の切り込みにより形成された各切り込み片4の
折れや破断などを生ずることなく均等に拡張される。そ
して、前記にようにして端部が均等に拡張されたFRP
中空ロッド(C)を、水硬性物質などの被補強材料中に
設置(埋設)した場合には、その拡張された端部によっ
てFRP中空ロッド(C)が被補強材料中に強固に且つ
均整のとれた状態で定着されて、被補強材料から抜けた
り剥離したりすることが効果的に防止されて、極めて高
い補強作用を長期に亙って維持する。
【0017】特に、円錐台形部(A)の小径の円形端面
2に連なる円柱形ガイド部(B)を有する図1の(b)
および図2の(b)に示すクサビでは、その円柱形ガ
イド部(B)の存在によって円錐台形部(A)の中心線
とFRP中空ロッド(C)の中心線とが一致した状態で
FRP中空ロッド(C)の端部の内側をガイドされなが
ら円錐台形部(A)が前進するため、クサビの傾きや
位置ずれなどが効果的に防止されて、FRP中空ロッド
(C)の端部にクサビが正確に打ち込むことができる
ので、FRP中空ロッド(C)の端部の拡大を一層均一
に行うことができる。
【0018】それに対して、円錐台形部(A)を有する
本発明のクサビまたはクサビを使用する代わりに、
例えば図5の(a)で示すような従来汎用されている円
錐台形部(A)を持たないクサビをFRP中空ロッド
(C)の端部に打ち込んだ場合には、図5の(b)に示
すように、FRP中空ロッド(C)の切り込み3を入れ
た端部が不均一に拡大される結果、切り込み片4の歪
み、折れ、破断などが生じ易い。しかも、端部が不均一
に拡大されたそのようなFRP中空ロッド(C)を水硬
性物質などの被補強材料中に配設しても均整のとれた安
定状態で定着されず、十分な補強作用を示すことができ
ない。
【0019】 本発明の組合せ体に用いるクサビおよ
びクサビにおいては、それらの円錐台形部(A)およ
びガイド部(B)が、下記の式(1)〜(4)を満足す
る形状および寸法を有している。
【0020】
【数5】 [上記式中、 θ =円錐台形部(A)の傾斜辺の延長線によって形成
される先端角 D1=円錐台形部(A)の大径の円形端面1の直径 D2=円錐台形部(A)の小径の円形端面2および円柱形
ガイド部(B)の直径 L1=円錐台形部(A)の大径の円形端面1と小径の円形
端面2との間の距離 r =FRP中空ロッド(C)の端部の内径]
【0021】クサビおよびクサビにおいて、先端角
θ[すなわちクサビおよびクサビの円錐台形部
(A)を大径の円形端面1および小径の円形端面2に対
してそれら2つの円形端面1,2の中心を通って直角に
切断した図2の断面図における円錐台形部(A)の傾斜辺
の延長線によって形成される先端角]が、上記の式
(1)を満足せずに5°よりも小さいと、クサビまた
はクサビをFRP中空ロッド(C)の端部に打ち込ん
だ場合に該ロッドの端部の拡がりが小さくなるので、F
RP中空ロッド(C)の端部を充分に拡大して被補強材
料中での定着性を向上させるためにクサビまたはクサ
ビの長さをかなり長くしなければならず、クサビの長
さがあまりに長いと作業性、施行上の制約などから現実
的な利用が困難になる。一方、先端角θが15°を超え
ると、FRP中空ロッド(C)の端部の拡がりが大きく
なってその水硬性物質中などでの定着性は向上するが、
FRP中空ロッド(C)がその端部で大きな歪みを受け
ることになってFRP中空ロッド(C)中のFRPの直
線性、FRP中空ロッド(C)の拡大された端部での強
度などが失われるようになる。FRP中空ロッド(C)
を構成する強化用繊維は一般的は高モジュラス、高強力
であって延性に乏しいものが多いので、FRP中空ロッ
ド(C)が引っ張り応力を受けたときに、その先端のあ
まりに大きく拡大された端部が弱点となって低いレベル
の負荷にしか耐えられなくなる。
【0022】 FRP中空ロッド(C)の端部にクサビ
またはクサビを打ち込む時に、クサビまたはクサ
ビの大径の円形端面1がFRP中空ロッド(C)の端
面に一致するまでクサビを打ち込むのが、打ち込まれた
クサビの抜け防止などの点から望ましく、かかる点でク
サビの長さを所定の範囲にする。クサビを打ち込んで端
部を拡大したFRP中空ロッド(C)を被補強材料中に
強固に定着させるためには、クサビの先端角θが小さい
場合はクサビの長さを長くする必要があり、一方先端角
θが大きい場合はクサビの長さは短くてよいが、上記し
たようにクサビの長さが長過ぎると作業性などが悪くな
る。また、クサビの長さが短すぎると先端角θを大幅に
大きくしなければならず端部を拡大されたFRP中空ロ
ッド(C)の端部の強度低下などを招く。したがって、
クサビおよびクサビの先端角θを上記の式(1)を
満足する範囲内の角度にすると共に、クサビおよびク
サビにおける円錐台形部(A)の大径の円形端面1と小
径の円形端面2との間の距離(L1)[以下これを「円
錐台形部(A)の長さL1」ということがある]が、上
記の式(2)を満足するようにする。
【0023】クサビおよびクサビの円錐台形部
(A)の長さL1が2D1よりも短いと、クサビを打ち込
んだFRP中空ロッド(C)を水硬性物質などに埋め込
んだときに外力などがかかると、クサビまたはクサビ
がFRP中空ロッド(C)から絞り出されて抜けたり
する恐れがある。一方、クサビおよびクサビの円錐
台形部(A)の長さL1が5.5D1よりも長いと、クサ
ビをFRP中空ロッド(C)の端部に打ち込む際の作業
性の低下、施行性の悪化などを招き易い。
【0024】 クサビおよびクサビの円錐台形部
(A)における大径の円形端面1の直径D1、並びに小
径の円形端面2とガイド部(B)の直径D2は、クサビ
を打ち込むFRP中空ロッド(C)の内径rとの相対関
係で決まり、上記の式(3)および(4)を満足するよ
うにして、それらの直径を決める。円錐台形部(A)に
おける大径の円形端面1の直径D1が0.4r+D2より
も小さいと、クサビを打ち込んだ時にFRP中空ロッド
(C)の端部の拡がりが小さくなってFRP中空ロッド
(C)の被補強材料中における定着性が向上しにくくな
る。円錐台形部(A)の大径の円形端面1の直径D1
上限値は特に制限されないが、円錐台形部(A)の長さ
1を上記の式(2)の範囲内の長さとした場合に、D1
≦L1/3とするのが、FRP中空ロッド(C)の端部
の過度の拡大による端部の脆弱化などを招くことがなく
なる。
【0025】また、円錐台形部(A)の小径の円形端面
2の直径D2を上記の式(4)に示した範囲にしてお
く。円錐台形部(A)の小径の円形端面2の直径D2
FRP中空ロッド(C)の内径rよりも大きければ当然
ながらクサビまたはクサビがFRP中空ロッド
(C)の端部に挿入できなくなる。円錐台形部(A)の
小径の円形端面2の直径D2がFRP中空ロッド(C)
の内径rよりも大幅に小さいと、クサビまたはクサビ
をFRP中空ロッド(C)の端部に打ち込む際にズレ
やブレなどが生じてクサビの中心とFRP中空ロッド
(C)の中心を合わせにくくなり、FRP中空ロッド
(C)の端部を均一に拡大することが困難になる。その
ため、FRP中空ロッド(C)の内径rの大きさに応じ
て、円錐台形部(A)の小径の円形端面2の直径D2
FRP中空ロッド(C)の内径rよりも1〜5mm程度
小さくしておくのがクサビの打ち込み易さ、クサビのズ
レやブレなどの防止の点から好ましく、FRP中空ロッ
ド(C)の内径rよりも1〜3mm程度小さくしておく
のがより好ましい。その場合に、FRP中空ロッド
(C)の内径rが小さく、したがってそれに応じて径の
小さなクサビまたはクサビを用いる際には円錐台形
部(A)の小径の円形端面2の直径D2をFRP中空ロ
ッド(C)の内径rよりも僅かに小さくしておく(内径
rと直径D2の差を1mm以内にしておく)と、ズレや
ブレなどを生ずることなくクサビまたはクサビをF
RP中空ロッド(C)の端部に中心を合わせて正確に打
ち込むことができる。
【0026】クサビにおいては、円錐台形部(A)の
小径の円形端面2に連なって設けたガイド部(B)の直
径を円錐台形部(A)の小径の円形端面2の直径D2
等しくしておくのが、クサビの円錐台形部(A)の中
心線とFRP中空ロッド(C)の中心線との一致がより
容易になって、クサビのガイド部(B)によって円錐
台形部(A)が極めて均整にFRP中空ロッド(C)の
端部に打ち込まれ、しかもクサビの製作も容易に行え
る。ガイド部(B)の長さL3の長さは、D2≦L3≦2
2の範囲にしておくのが、良好なガイド作用およびク
サビの打ち込み作業上から望ましい。
【0027】クサビおよびクサビの材質は、FRP
中空ロッド(C)の端部に確実に打ち込むことができ且
つ耐久性のあるものであればいずれでもよく特に制限さ
れず、例えば金属、木材、プラスチック、セメント組成
物などから形成することができる。特に、プラスチック
からなるクサビが、成形によって所望のサイズのクサビ
を容易に製造することができる点から好ましい。
【0028】 FRP中空ロッド(C)の端部にクサビ
をそのままやみくもに打ち込んだ場合にはFRP中空ロ
ッド(C)の端部に無秩序な裂け目を生じて端部が均整
に拡大しないので、これを避けるためにFRP中空ロッ
ド(C)の端部にその円周に沿って等間隔の切り込みを
予め設けておいて、クサビの打ち込みを行うのがよい。
その場合の端部の切り込みは、FRP中空ロッド(C)
の端部がその円周に沿って4〜8等分に分割されるよう
にして設ける。FRP中空ロッド(C)の端部の分割数
が4よりも少ないと切り込み片4の大きさが大きくなり
過ぎて、クサビを打ち込んだ時に端部の拡大に無理が生
じて、各切り込み片での歪みむらが生ずると同時に屈曲
・拡大されにくくなる。そして、歪みむらを生じた端部
を有するFRP中空ロッド(C)を被補強材料中に埋め
込んだ場合には、外部から引張負荷などがかかると、切
り込み片の歪みむらを生じた屈曲部に応力が集中してそ
の部分で破断を生ずる。一方、FRP中空ロッド(C)
の端部の分割数が8よりも大きいと、各切り込み片4が
小さくなり過ぎて、均等な切り込み片4を形成するため
の端部の切り込み作業に極めて多大の注意や熟練が必要
になる。
【0029】また、FRP中空ロッド(C)の端部に設
ける切り込み3の長さL2は、下記の式(5);
【0030】
【数6】 L1 ≧ L2 ≧ 2/3L1 (5) [式中、L1は円錐台形部(A)の長さを示す] を満足する範囲の長さである。切り込み3の長さL2
2/3L1よりも短いと、切り込み3を入れたFRP中
空ロッド(C)の端部をクサビまたはクサビで拡大
する際に、端部に無理がかかって均整な拡大が行われに
くくなったり、クサビの打ち込み時に切り込み片4の破
損などが生じ易くなる。一方、切り込み3の長さL2
1よりも長いと、クサビまたはクサビを打ち込ん
だ際にクサビの大径の円形端面2とFRP中空ロッド
(C)の端部とがきちんと一致せず、しかもクサビま
たはクサビがFRP中空ロッド(C)の打ち込まれた
端部に安定した状態で強固に固定されず、被補強材料中
に埋設する前または埋設してから、FRP中空ロッド
(C)から抜け易くなる。
【0031】 本発明で使用するFRP中空ロッド
(C)は、水硬性物質やその他の被補強材料の補強を目
的として被補強材料中に配設して使用される中空のFR
Pロッドであって且つロッドの長さ方向に引き揃えられ
た多数本の強化用繊維に樹脂を含浸し固化してなるFR
P部分がロッドの外周部分に存在するFRP中空ロッド
てあればいずれでもよい。ロッドの横断面図で示すと、
例えば図6の(a)に示すようなFRP部(FRP層)
5のみからなる単層構造の中空ロッド、図6の(b)に
示すようなFRP部(FRP層)5の内側に他の管状層
6を有する2層構造の中空ロッド、図6の(c)に示す
ようなFRP部(FRP層)5の内側に他の管状層6お
よび7を有する3層構造の中空ロッドなどを挙げること
ができる。
【0032】 そのうちでも、本発明では、FRP中空
ロッド(C)として、そのFRP部(FRP層)5が中
空ロッドの外周部に存在し、該FRP部(FRP層)が
ロッドの長さ方向に引き揃えられた多数本の強化用繊維
に樹脂を含浸し固化してなるFRPによって形成されて
いて、且つFRP中空ロッド(C)の任意の横断面にお
いてFRP部(FRP層)5の占める断面積の割合[以
下これを(FRP層占有断面積率」という)がFRP中
空ロッド(C)の最大外周(図6における直径R3)よ
り求めた断面積の70%以下であり、しかもロッドの表
面に高さ(ロッド円形表面からの突出高さ)が0.2m
m以上の凸部が存在する、FRP中空ロッドを使用する
のが好ましい。
【0033】 FRP部5がロッドの外周部に存在し、
該FRP部5がロッドの長さ方向に引き揃えられた多数
本の強化用繊維を有し、FRP層占有断面積率が70%
以下で且つロッド表面に高さが0.2mm以上の凸部を
有する上記のFRP中空ロッド(C)は、それ自体で大
きな機械強度を有し、しかも水硬性物質などの被補強材
料との接着性に優れていて、水硬性物質などに埋設した
際に10tonf以上の引張強力で引っ張っても被補強
材料からの抜けや剥離がなく、被補強材料中に安定に且
つ強固に定着して被補強材料を効果的に補強することが
できるという優れた特性を有しているが、そのようなF
RP中空ロッド(C)に対して、その一方または両方の
端部に上記したクサビまたはクサビを打ち込んで端
部を拡大させて水硬性物質などの被補強材料中に埋め込
む本発明の方法による場合は、その被補強材料中におけ
る定着性が一層向上して、例えば20tonf以上の極
めて大きな引張強力でロッドを引っ張っても、被補強材
料から抜けたり剥離したりせずに被補強材料を強固に補
強することができる。
【0034】ロッド表面に高さが0.2mm以上の凸部
を有する上記したFRP中空ロッド(C)では、例えば
図7の(a)〜(c)に示すように、FRP中空ロッド
の表面に、繊維、繊維束、糸、紐および/またはその他
の線状材料8をロッド表面に沿って綾状[図7の
(a)]または螺旋状[図7の(b)]に巻き付ける
か、布帛または網状体9をロッド表面に付着させるか
[図7の(c)]、或いはそれらの併用によって凸部を
形成しておくのが特に好ましい。FRP中空ロッド
(C)の表面に巻き付けられた線状材料8によって連続
した凸部がロッドの表面に形成され、或いはFRP中空
ロッド表面に付着させた布帛や網状体9を構成する繊維
や糸(網目、織目、網目など)によってFRPロッドの
表面に凸部(凹凸)が形成される。
【0035】FRP中空ロッド(C)のFRP部(FR
P層)5における強化用繊維としては、従来のFRPロ
ッドで用いられている強化用繊維のいずれもが使用で
き、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系
繊維、ポリエステル系繊維、アラミド系繊維、アクリル
系繊維、ポリオレフィン系繊維などの有機繊維、および
ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維を用いることがで
きる。強化用繊維は1種類のみを使用しても2種以上を
併用してもよい。また、強化用繊維の太さなども特に制
限されないが、一般に、単繊維繊度が約0.1〜100
デニール程度の繊維を使用するのが好ましい。特に、ポ
リビニルアルコール系繊維を用いたFRP中空ロッド
(C)は、ロッド中のポリビニルアルコール系繊維が水
硬性物質中に含まれるアルカリなどの成分に侵されにく
く、しかも水硬性物質との親和性および接着性に優れて
いるので、FRP中空ロッド(C)を水硬性物質の補強
材として用いる場合は強化用繊維としてポリビニルアル
コール系繊維を用いるのが好ましい。
【0036】また、FRP中空ロッド(C)のFRP部
(FRP層)5を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂
および熱可塑性樹脂のいずれもが使用でき特に制限され
ず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹
脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェ
ニルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂
が好ましく用いられる。そのうちでも、エポキシ樹脂が
成形性の点からより好ましく用いられる。また、FRP
層5を構成する樹脂は、従来のFRPで用いられている
各種の添加剤、例えば安定剤、充填剤などを含有してい
てもよい。
【0037】FRP部(FRP層)5における強化用繊
維の割合は、体積含有率で、40〜90vol%である
のが好ましく、50〜80vol%であるのがより好ま
しい。FRP層4における強化用繊維の体積含有率が4
0vol%よりも低いと、強化用繊維が不足してFRP
中空ロッド(C)に充分な機械的強度などを付与するこ
とができにくくなり、一方90vol%を超えると、樹
脂と強化用繊維との接着が悪くなってやはりFRP中空
ロッド(C)の機械的強度、特に引張強力が低下する。
【0038】FRP中空ロッド(C)の最大径(図6に
おけるR3)は特に制限されず、FRP中空ロッド
(C)の用途、使用方法などに応じて適宜調節すること
ができるが、前記した本発明の目的を充分に達成するた
めには、その最大径R3を約20mm〜50mm程度に
するのが好ましい。
【0039】また、FRP中空ロッド(C)が、図6の
(b)や(c)に示すような中空の多層構造ロッドであ
る場合には、FRP層5の内側に存在する管状層6,7
は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリエステル、ポリオレフィン、その他の樹脂材料;各
種鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料;
ガラス、セラミックスなどの無機材料などから形成する
ことができる。
【0040】また、ロッド表面に凸部を有する前述の図
7に示すようなFRP中空ロッド(C)では、凸部を形
成するのに用いる線状材料8、布帛または網状体9を構
成する素材の種類は特に制限されないが、FRP中空ロ
ッド(C)のFRP部(FRP層)5との接着性に優
れ、且つFRP中空ロッド(C)の表面に施し易い素材
を選択して使用するのがよい。特に、FRP中空ロッド
(C)のFRP部(FRP層)5を構成する強化用繊維
と同種または類似した合成樹脂や無機繊維、それらを束
ねたもの、それらからなる糸、紐などの線状材料8を使
用すると、FRP中空ロッド(C)と線状材料8との接
着が強固に行われるロッド表面に強固な凸部が形成され
る。また、ロッド表面への線状材料8の巻き付け、或い
は布帛または網状体9の付着のいずれの場合も、FRP
中空ロッド(C)のFRP層5の樹脂を凸部を形成する
線状材料8、布帛または網状体9の一部または全部に浸
透させて、FRP中空ロッド(C)のFRP層の固化
(硬化)と凸部用材料の固化(固定)をその樹脂で一体
に行うとFRP中空ロッド(C)の表面に凸部を一層強
固に結合させることができる。
【0041】FRP中空ロッド(C)の端部へのクサビ
またはクサビの打ち込みは、中空のロッドにクサビ
を打ち込む従来法と同様の方法で人手でまたは機械を用
いて行うことができ、特に制限されない。FRP中空ロ
ッド(C)の端部にクサビまたはクサビを打ち込ん
で端部の拡大されたFRP中空ロッド(C)を水硬性物
質などの被補強材料中に配設して補強を行うが、その場
合にFRP中空ロッド(C)の端部へのクサビまたは
クサビの打ち込みは、FRP中空ロッド(C)の配設
現場で直接行っても、または工場やその他の場所で予め
行っておいてもよい。
【0042】一方または両方の端部にクサビまたはク
サビを打ち込んで端部を拡大したFRP中空ロッド
(C)は、軽量であり、引張強力に代表される機械的強
度が高く、セメント、モルタル、コンクリートなどの水
硬性物質やその他の被補強材料との接着性が良好であ
り、しかも端部が均整に拡大されていることによって被
補強材料中に強固に且つ安定した状態で定着され、抜け
たり、剥離することがないので、例えば、盛土の補強、
法面の補強、アースアンカー、鉄筋代替品などとして土
木工事や建築工事などにおける水硬性物質の補強材とし
て、被補強材料の補強に極めて有効に使用することがで
き、それらの被補強材料を長期に亙って安定して且つ強
固に補強することができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例により本発明について具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら制限されない。以
下の例中、FRP中空ロッド(C)の引張強力、FRP
中空ロッド(C)のFRP層における繊維体積含有率、
凸部高さ、FRP中空ロッド(C)のコンクリート接着
力は、以下のようにして測定または評価した。
【0044】[FRP中空ロッド(C)の引張強力]図
8に示す装置を使用して、JIS K7113「プラス
チックの引張試験方法に準じて次のようにして測定し
た。なお、図8において、CはFRP中空ロッド
(C)、10は固定基材、11は座金、12は座金、1
3はセンターホールジャッキ、14は油圧ゲージ、15
は油圧ポンプおよび16は定着治具を示す。FRP中空
ロッド(C)の両端を固定基材10および定着治具16
で固定する。次いで、油圧ポンプ15を用いて加圧する
ことによって、定着治具16を座金11とともに移動さ
せて(図8の向かって右側方向に移動)、FRP中空ロ
ッド(C)に引張力をかけ、FRP中空ロッド(C)が
破断した際の油圧ポンプ15にかけた圧力(tonf)
を油圧ゲージ14で読み取ってFRP中空ロッド(C)
の引張強力とする。
【0045】[FRP部分における繊維体積含有率]下
記の式(i)に示すように、FRP中空ロッド(C)の
単位長さ当たりの繊維重量(W1)(g/m)を繊維の比
重(ρ1)で除して単位長さ当たりの繊維の体積(V1)
(cc/m)を求め、またFRP中空ロッド(C)の単
位長さ当たりのFRP層(繊維+樹脂)の重量(W2
(g/m)と硬化樹脂の比重(ρ2)から下記の式(i
i)によって単位長さ当たりの樹脂の体積(V2)(cc
/m)を求め、前記で求めた単位長さ当たりの繊維の体
積(V1)(cc/m)および単位長さ当たりの樹脂の
体積(V2)(cc/m)から、下記の式(iii)によっ
てFRP部分における繊維体積含有率を求めた。
【0046】
【数7】 V1=W1/ρ1 (i) V2=(W2−W1)/ρ2 (ii) 繊維体積含有率(%)={V1/(V1+V2)}×100 (iii)
【0047】[凸部高さ]実施例で得られたFRP中空
ロッド(C)をロッドの長さ方向に直角に切断し、切断
面の円周から外方に突出する凸部の高さをノギスを用い
て測定した。
【0048】[コンクリート接着力]一方の端部にクサ
ビを打ち込んて端部を拡大したFRP中空ロッド
(C)の拡大された端部側を、普通セメントを用いて製
造されたコンクリート(圧縮強度210kg/cm2
スランプ15cm;JIS A 5308に記載の標準
品)中に、30cmの深さに埋め込んでコンクリートを
固めた後、コンクリートの外側に突出しているロッド部
分を把持して、垂直方向[FRP中空ロッド(C)の長
さ方向]に、FRP中空ロッド(C)が破断するかまた
はコンクリートから抜けるまで引っ張って、抜けずに破
断したかまたは抜けたかを調らべると共に破断した際ま
たは抜けた際の引張強力を測定して、コンクリート接着
力の評価を行った。
【0049】《実施例 1》 (1) ポリビニルアルコール繊維[(株)クラレ製
「ビニロン7901」](ヤーンデニール1800d/
1000f)を2520本束ねて、エポキシ樹脂(油化
シェルエポキシ社製「エピコート807」)と硬化剤
(油化シェルエポキシ社製「エピキュアZ」)を10
0:22の重量比で混合したエポキシ樹脂組成物の液に
含浸し、これを150℃に加熱された塩化ビニル樹脂パ
イプ(外径20mm、内径16mm)の周りに、ポリビ
ニルアルコール繊維が塩化ビニル樹脂パイプの長さ方向
に平行になるように且つその厚さが均一になるように引
き揃えてFRPの未硬化被覆層を形成した。 (2) 次に、前記と同じポリビニルアルコール繊維3
本を60回/mの割合で予め撚糸しておいた繊維束2本
を用いて、上記(1)で形成されたFRPの未硬化被覆
層の表面に、張力を加えながら図7の(a)に示すよう
に綾状に巻き付けた後(巻き付け用の1本の繊維束にお
ける隣り合う螺旋間の間隔15mm)、150℃に30
分間保ってエポキシ樹脂組成物を硬化させて、表面に凸
部を有する図6の(b)の断面構造を有する2層構造の
FRP中空ロッド(C)[FRP中空ロッド(C)の直
径R3=36mm、FRP層占有断面積率=63%、F
RP層における繊維体積含有率=58vol%、凸部高
さ=0.2mm、引張強力=30〜35tonf]を得
た。 (3) 上記(2)で得たFRP中空ロッド(C)を
1.8mの長さに切断したものを複数本準備して、それ
ぞれのFRP中空ロッド(C)の一方の端部に、下記の
表1に示す分割数および切り込み長さ(L2)で等間隔
に切り込みを形成した。
【0050】(4) 一方、下記の表1に示す各部寸法
を有する、ガイド部(B)付きの鉄製のクサビ[図1
の(b)および図2の(b)のクサビ]を準備し、各々
のクサビを上記の(3)で準備した端部に切り込みを
有するFRP中空ロッド(C)の端部に、クサビの大
径の円形端面1がFRP中空ロッド(C)の端面と完全
に一致するまでハンマーを用いて人手によって打ち込ん
で、FRP中空ロッド(C)の端部を拡大させ、その際
の端部の拡大状態を目視により観察した。 (5) 上記(5)で端部を拡大したそれぞれのFRP
中空ロッド(C)をコンクリート中に上記のようにして
埋め込んで、そのコンクリート接着力を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりで
あった。
【0051】
【表1】
【0052】上記の表1の結果から、クサビの円錐台形
部(A)およびガイド部(B)の各部の寸法を上記した
数式(1)〜(4)の範囲にすると共に、FRP中空ロ
ッド(C)の端部に形成する切り込み数を4〜8にし
て、切り込みの長さL2を上記の式(5)の範囲にする
と、FRP中空ロッド(C)の端部の拡大が切り込み片
4の破損や折れなどを生ずることなく円滑に行われるこ
と、しかもそのようにして端部を均一に拡大されたFR
P中空ロッド(C)を水硬性物質中に埋設した場合には
水硬性物質中での定着性が向上して、水硬性物質からの
抜けが生じないことがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明の上記したFRPロッド(C)と
クサビ(クサビまたはクサビ)との組合せ体による
場合は、クサビまたはクサビを用いてFRP中空ロ
ッド(C)の端部を拡大した際に、FRP中空ロッド
(C)の端部の拡大が端部の破損や折れなどを生ずるこ
となく均整に且つ円滑に行われ、しかもそのようにして
端部を均整に拡大されたFRP中空ロッド(C)を水硬
性物質などの被補強材料中に配設した場合には、被補強
材料中での定着性が向上して、被補強材料からの抜けが
生じず、FRP中空ロッド(C)によって被補強材料を
長期に亙って強固に且つ安定して補強することができ
る。
【0054】 特に、本発明の組合せ体では、クサビ
(クサビまたはクサビ)が上記した式(1)〜
(4)を満足する寸法を有し、しかもFRP中空ロッド
(C)がロッドの長さ方向に引き揃えられた多数本の強
化用繊維に樹脂を含浸し固化してなるFRP部が外周部
に存在するFRP中空ロッドであって且つ該中空ロッド
の一方または両方の端部にその円周に沿って該端部を4
〜8等分する上記の式(5)を満足する長さ(L2)の
切り込みを有していることによって、上記した均整な端
部の拡大および被補強材料中における定着性の向上が極
めて良好に行われる。そして、本発明の組合せ体におい
て、FRP中空ロッド(C)として、上記した要件に加
えて、さらに該中空ロッドの任意の横断面においてFR
P層占有断面積率が70%以下のものを用いた場合、ま
たロッドの表面に高さが0.2mm以上の凸部が存在す
るものを用いた場合には、被補強材料中での定着性およ
び補強効果が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組合せ体に用いるクサビの外観を示す
図である。
【図2】図1に示すクサビをその円錐台形部(A)の大
径の円形端面および小径の円形端面に対してそれら2つ
の円形端面の中心を通って直角に切断した断面図であ
る。
【図3】端部にその円周に沿って等間隔の切り込みを有
するFRP中空ロッド(C)の一方の端部を示す図であ
る。
【図4】図3に示すFRP中空ロッド(C)の端部に図
1のクサビを打ち込んだ場合の図である。
【図5】切り込みを入れたFRP中空ロッドの端部に従
来のクサビを打ち込んだ場合の図である。
【図6】本発明の組合せ体に用いるFRP中空ロッド
(C)の横断面の例を示す図である。
【図7】本発明の組合せ体で好ましく用いられるロッド
表面に凸部を有するFRP中空ロッド(C)の外観を示
す図である。
【図8】本発明の実施例においてFRP中空ロッド
(C)の引張強力の測定に用いた測定装置を示す図であ
る。
【符号の説明】
A 円錐台形部 B ガイド部 C FRP中空ロッド 1 円錐台形部(A)の大径の円形端面 2 円錐台形部(A)の小径の円形端面 3 FRP中空ロッド(C)の端部の切り込み 4 FRP中空ロッド(C)の端部の切り込み片 5 FRP部(FRP層) 6 他の管状層 7 他の管状層 8 線状材料 9 布帛または網状体 10 固定基材 11 座金 12 座金 13 センターホールジャッキ 14 油圧ゲージ 15 油圧ポンプ 16 定着治具
フロントページの続き (72)発明者 福田 厚生 東京都港区赤坂2−4−1 株式会社テ ノックス内 (72)発明者 吉田 茂 東京都港区赤坂2−4−1 株式会社テ ノックス内 (72)発明者 上 周史 東京都港区赤坂2−4−1 株式会社テ ノックス内 (72)発明者 小沢 潔 東京都港区赤坂2−4−1 株式会社テ ノックス内 (72)発明者 馬屋原 光郎 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 山本 忠之 東京都中央区日本橋3丁目8番2号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 日笠 純一 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 曽根 勲 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 浜田 敏裕 東京都中央区日本橋3丁目8番2号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 松尾 信次 東京都中央区日本橋3丁目8番2号 株 式会社クラレ内 (56)参考文献 特開 昭61−257562(JP,A) 特開 平6−207445(JP,A) 特開 平5−212715(JP,A) 実開 平1−96927(JP,U) 実公 昭41−10348(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04C 5/02 - 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック中空ロッドと該中
    空ロッドの端部拡大用のクサビとの組合せ体であって、 (I)前記クサビが、 (i)円錐台形部(A)を備えるか、或いは円錐台形部
    (A)と該円錐台形部(A)の小径の円形端面に連なる
    円柱形ガイド部(B)を備え; (ii)前記円錐台形部(A)の小径の円形端面の直径が
    繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径と等しい
    かまたは該端部の内径よりも小さく; (iii)前記円錐台形部(A)の大径の円形端面の直径
    が繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径よりも
    大きく;そして、 (iv)前記円柱形ガイド部(B)を備えるクサビでは該
    円柱形ガイド部(B)の直径が前記円錐台形部(A)の
    小径の円形端面の直径と等しく; 且つ下記の式(1)〜(4); 【数1】 [上記式中、 θ =円錐台形部(A)の傾斜辺の延長線によって形成
    される先端角 D1=円錐台形部(A)の大径の円形端面の直径 D2=円錐台形部(A)の小径の円形端面および円柱形
    ガイド部(B)の直径 L1=円錐台形部(A)の大径の円形端面と小径の円形
    端面との間の距離 r =繊維強化プラスチック中空ロッドの端部の内径] を満足するクサビであり;そして、 (II)前記繊維強化プラスチック中空ロッドが、 (v)該中空ロッドの長さ方向に引き揃えられた多数本
    の強化用繊維に樹脂を含浸し固化してなる繊維強化プラ
    スチック部分が該中空ロッドの外周部分に存在する繊維
    強化プラスチック中空ロッドであって;且つ、 (vi)該中空ロッドの一方または両方の端部に、その円
    周に沿って該端部を4〜8等分する下記の式(5)を満
    足する長さ(L2)の切り込みを有する繊維強化プラス
    チック中空ロッドである; 【数2】L1 ≧ L2 ≧ 2/3L1 (5) [上記式中、L1=円錐台形部(A)の大径の円形端面
    と小径の円形端面との間の距離、L2=繊維強化プラス
    チックロッドの端部の切り込みの長さ]ことを特徴とす
    る、繊維強化プラスチック中空ロッドと該中空ロッドの
    端部拡大用のクサビとの組合せ体。
  2. 【請求項2】 前記繊維強化プラスチック中空ロッド
    が、該中空ロッドの任意の横断面において該繊維強化プ
    ラスチック部分の占める断面積の割合が該中空ロッドの
    最大外周より求めた断面積の70%以下であり、且つ該
    中空ロッドの表面に高さが0.2mm以上の凸部が存在
    する繊維強化プラスチック中空ロッドである請求項1の
    組合せ体。
  3. 【請求項3】 繊維強化プラスチック中空ロッドを用い
    て被補強材料を補強する方法であって、請求項1または
    2の繊維強化プラスチック中空ロッドとクサビとの組合
    せ体であって且つ該繊維強化プラスチック中空ロッドの
    一方または両方の端部に該クサビを打ち込んで一方また
    は両方の端部を拡大した組合せ体を、被補強材料中に設
    置して補強を行うことを特徴とする、繊維強化プラスチ
    ック中空ロッドによる被補強材料の補強方法。
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