JP2930620B2 - 複合嵩高糸 - Google Patents

複合嵩高糸

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JP2930620B2 JP1283044A JP28304489A JP2930620B2 JP 2930620 B2 JP2930620 B2 JP 2930620B2 JP 1283044 A JP1283044 A JP 1283044A JP 28304489 A JP28304489 A JP 28304489A JP 2930620 B2 JP2930620 B2 JP 2930620B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、産業資材用の芯鞘構造の複合嵩高糸に関す
るものである。
<従来技術> 従来より産業用に用いられる嵩高糸の製造方法は数多
く提案されている。その典型的な例は特公昭63−58938
号に示されるように、芯糸と鞘糸の成分となる各々の糸
条を過剰供給しつつ、空気撹乱ノズル内に導き両糸条を
絡ませてループや交絡部を多数形成させた空気嵩高糸
(通常タスラン糸)である。ところが、これらの方法で
得られる嵩高糸はヤング率が低く、衣料用としては使用
出来ても産業用のように寸法安定性が重要となる、例え
ば、帆布,ロープ,ホース,ベルト等の繊維布補強用と
しては不適当であった。
<発明の目的> 本発明の目的は嵩高性と寸法安定性に優れ、特に産業
用として適正な性能を具備する複合嵩高糸を提供するこ
とにある。
<発明の構成・作用> 本発明者等の研究によれば、芯鞘構造の複合嵩高糸に
おいて、特に、該嵩高糸の伸度よりも高い伸度を有する
鞘成分により、従来のタスランにおけるクルノードルー
プとは別異の形態である曲線状のループを形成させるこ
とにより、上記の目的が達成されることが見出された。
かくして、本発明によれば、 ヤング率が(kg/mm2)が600以上で、最大引張荷重時の
伸度が20%以下の芯鞘構造の複合嵩高糸において、 a. 芯糸は実質的に直線状に配列し、他方 b. 鞘糸は、その伸度が該複合嵩高糸全体としての切断
伸度よりも大きく、かつ c. 該鞘糸は該芯糸と部分的に交絡しつつ、その構成単
繊維の大部分は複合糸表面で曲線状の形態を呈し、その
際 d. 芯糸と鞘糸との長さ比が1.4倍以下で、鞘糸が長
く、 e. 該複合糸全体としては5ケ/m〜100ケ/mの範囲の交
絡部を有する ことを特徴とする産業資材用複合嵩高糸 が提供される。
本発明を図面により説明する。第1図は、本発明の産
業資材用複合嵩高糸(以下、単に複合嵩高糸と略記す
る。)の側面拡大模式図であり、第2図は本発明の複合
嵩高糸を製造する工程の一実施態様を示す概略図であ
り、第3図は本発明の複合嵩高糸および比較用糸の糸荷
伸曲線である。
第1図において、〈a〉は芯部を形成する芯糸、
〈b〉は鞘部を形成する鞘糸である。ここで、直線状の
芯糸〈a〉は複合嵩高糸に掛かる引張荷重に対して抗張
体の機能を有する。つまり、芯糸を実質的に直線状に配
列することにより、特に1%伸長時モジュラスを高くす
ることが出来る。引張荷重が複合嵩高糸に掛った時点で
芯糸〈a〉が曲線状であると、その曲線状の繊維が直線
状に引揃って初めて抗張力が働くことになるので、たと
え芯糸〈a〉自体のモジュラスが高いものであっても何
ら役に立たない。ここで、直線状とは構成単繊維本数の
70%以上が糸軸に対して45゜以下の角度で配列している
状態をいう。
本発明の複合嵩高糸は物性的にヤング率が600(kg/mm
2)以上であることが必要である。産業用の中でも特に
寸法安定性を重要な必要特性としている重帆布のうち、
繊維織物を補強し表及び裏面に樹脂加工したトラック用
の幌等では、運送中の風圧,雨,露,雪などの自然環境
の変化等の悪条件又、高速走行中の振動,ハタメキ等の
厳しい外力が加わる。その際、構成糸の寸法安定性が悪
いと幌が変形しそれが原因で荷崩れ,雨漏りなどの問題
を生じる。この様な問題を防止するためにヤング率を高
くすることが寸法安定性から重要である。従来では、繊
維と樹脂の接着性の面から紡績糸が多く使用されている
が、紡績糸のヤング率を高めることは原理的に困難であ
る。すなわち、短繊維を撚糸しながら紡績糸とするた
め、撚糸形態に由来する伸びを直線状の繊維と同等にす
ることは不可能である。但し、紡績糸の有する毛羽は樹
脂と繊維を強固に接着する作用がある為、現在でも一部
使用されている。
さらに、本発明の複合嵩高糸は最大引張荷重時の切断
伸度が20%以下であることが必要である。外力を最終的
に受け止めることの出来る複合嵩高糸の切断伸度が大き
いと寸法安定性の面で好ましくなく、ヤング率を高くす
ることの意味が消失してしまう事が多い。本発明の複合
嵩高糸の一つのポイントは最大引張荷重時の糸伸度が20
%以内(好ましく6%〜15%)としたことにある。ここ
で、該伸度が、6%未満では引張荷重を大部分の芯糸が
受けるまでに各々の繊維が切断し易く、一方この値が20
%を越えると複合嵩高糸が本質的に持っている引張荷重
に対する最大抗張力を発揮する以前に大きな歪みが生
じ、もともとヤング率を上げることの意味が減少するか
らである。言い換えれば、ヤング率と最大引張荷重時の
伸度がバランスして初めて総合的に優れた複合嵩高糸が
得られる。
所で、本発明にあっては、鞘糸〈b〉の切断伸度は、
複合嵩高糸の切断伸度よりも大きくすることが必要であ
る。特に、本発明の複合嵩高糸を産業用として供する場
合、鞘糸〈b〉により紡績糸の毛羽に相当する曲線状部
分の形成を狙い、繊維織物補強材にあって樹脂と繊維と
の接着性を向上させることにある。産業資材、たとえば
トラックの幌は荷物の形状に沿って屈曲を受ける。その
際、幌の表と裏では屈曲の程度が異なる。当然ながら大
きな円を描く外周部と小さな円を描く内周部では樹脂は
もとより繊維の伸び方も違い軟質の樹脂中に多く埋没し
ている鞘糸〈b〉は樹脂の動きに沿って動く必要があ
り、この動きが少ないと硬直した幌となり、取扱性の悪
いものとなるばかりか、硬直した所に集中応力が掛り、
その箇所が優先的に破れたりすることになりかねない。
このような問題を起こさないためにも、鞘糸〈b〉の伸
度を大きくすることにより、構成糸である複合嵩高糸が
動きやすくなって、樹脂と繊維との剥離を少なくするこ
とができる。又これにより樹脂中で鞘糸〈b〉の一部が
切断することを防止でき、接着性の低下を極力押えるこ
とができる。ここで、鞘糸〈b〉の構成単繊維は第1図
に示すように曲線状の形態を呈するが、その際大部分が
アーチ状ループ形状であることが必要である。環状ルー
プが多くなると製織性の低下,織物同志がひっつきあう
いわゆるファスナー現象が発生して取扱性が悪化する。
又、環状ループは形態固定の性質が強く環状ループの中
に樹脂が流れこまず気泡が発生しやすくなる。特に細か
い環状ループが多くなればなるほど気泡が多くなり、こ
の気泡の所から亀裂が入り製品の寿命が途切れる欠点が
あるばかりか、表層部の一部にも環状ループが突出て表
面外観を低下させ、又摩擦などの外力に対しても余計な
抵抗を受けてしまうなど欠点が多い。これに対して、ア
ーチ状ループ形状はアーチそのものに形態固定がそれほ
ど強くなく、それらの間には樹脂が充分に流れ込み易い
ので、気泡を含むこともなく表面に突出することも少な
い。さらに鞘糸〈b〉と芯糸〈a〉の長さ比は鞘糸が1.
4倍以内の長さにしてあり、芯糸と部分的に交絡してい
る事もあって紡績糸の毛羽の役目を完全に果すものであ
る。紡績糸の毛羽端は自由なため樹脂をかかえこむこと
ができず、単に毛羽の接着性に頼るしかない。一方アー
チ状ループ形状では、接着以外に樹脂をかかえこむこと
が出来、繊維と樹脂との界面が外れてもアーチ状ループ
形状の鞘糸〈b〉が切断しない限り、繊維織物補強材と
樹脂とは完全に分離することがない、などの利点があ
る。アーチ状ループ形状の長さ比が1.4倍を越えると芯
糸と離れすぎて樹脂をかかえこむ力が薄れる。この値は
好ましくは1.03〜1.2倍程度が良い。
1.03倍未満では樹脂をかかえこむ量が少なくなる。そ
して、アーチ状ループは互いにバラケている方が、樹脂
をかかえ込む機能が高くなるが、このバラケは鞘糸
〈b〉として異形断面、就中三角断面糸を採用すること
により、更に増大することが判明した。更に、芯糸と鞘
糸は5ケ/m〜100ケ/mの交絡部を有する。これは適度に
芯糸と鞘糸を交絡させることで鞘糸の遊離を防ぐととも
に芯糸と鞘糸とを交絡させることにより、芯糸内部に空
隙が生じるからである。この空隙は、樹脂加工時の樹脂
を芯糸内部にも極力多く浸透させる役目を果す。芯糸が
絞り込み状態にある場合、殆ど空隙が無いと芯糸の内部
への樹脂浸透は難しく芯糸の外層部のみの樹脂付着とな
り接着性が低下する。交絡度は5ケ/m〜100ケ/mが良
い、5ケ/m未満では芯糸と鞘糸の交絡部は殆ど無いに等
しく鞘糸の分離が起こる。又100ケ/mを越えると芯糸と
鞘糸の区別がつきにくく、そのため芯糸の直線状繊維が
少なくなり、逆に曲線状繊維が増加し、1%伸長時の応
力が低下する傾向にある。この交絡数は好ましくは20ケ
/m〜60ケ/mであり、これにより更に応力と接着性のバラ
ンスのとれた範囲にすることが出来る。本発明における
交絡は、第1図に示した様に芯糸が直線状に配列、鞘糸
が曲線状となるものの芯糸と鞘糸が完全に混じり区別が
つかないほど交絡するものではない。少なくとも、芯糸
に加わる応力がスムーズに繊維軸方向に伝達することが
重要で途中でその応力が交絡部に集中するような交絡は
本発明の意図するところではない。繊維軸方向にスムー
ズに応力が伝達するかどうかは、交絡の強さを調べるこ
とによって確認できる。その方法は複合嵩高糸を5cm程
度の長さに切断し、その芯糸を構成する一本の単繊維の
切り口に近い所をピンセットで把持し繊維軸方向に引抜
く、交絡が強いと単繊維の応力弾性回復力を越えて塑性
変形が起きるか、あるいは切断してしまう。この点、本
発明の複合嵩高糸にあっては殆どの単繊維をスムーズに
引抜くことが出来る。
本発明の複合嵩高糸は第2図に示す方法で得ることが
多い。
第2図において、芯糸〈a〉となる原糸(1)と鞘糸
〈b〉となり、曲線状形態特にアーチ状ループ形状を形
成する原糸(2)を用いるが、その際原糸(1)は紡糸
速度を高くして巻き取ったもの、原糸(2)は、原糸
(1)よりもはるかに遅い紡糸速度で巻き取ったものが
好適である。これらを引揃えて原糸(1)の適正延伸倍
率で延伸し、両原糸(1)(2)の間に伸長弾性回復差
が生じる。このとき弾性回復の大きい原糸(1)が芯糸
となり、伸長弾性回復差の小さい原糸(2)がたるんで
鞘糸を形成する。この工程は図に示すように、まず、コ
ットローラ(3)に両原糸(1)(2)を引揃え通す
が、コットローラ(3)の周速がホットローラ(5)の
周速よりも0.5%〜2.0%程度多くなるよう設定し、糸を
コットローラ(3)とホットローラ(5)の間に設けた
インタレースノズル(4)で0.5%〜2.0%の過剰供給さ
れている両原糸(1)(2)を互いに交絡させる。この
交絡は、原糸(1)(2)を同時に同条件で交絡すると
ころに特徴があり、それも0.5%〜2.0%程度の少ない過
剰供給量でタスラン糸等の環状ループを形成させること
なく、延伸後において、伸長弾性回復差をスムーズに形
成させると共に原糸(1)と原糸(2)が単繊維間で混
繊・交絡しあう程度によく交絡させることが必要であ
る。ここで、交絡の程度が少ないと延伸後、芯糸と鞘糸
の分離が大きくなるばかりか鞘糸が集団で、アーチ状ル
ープを形成することがあり好ましくない。あくまでも、
アーチ状ループ形成も単繊維がバラバラに分散した状態
で形成されることが接着性向上又、外観形成からも好ま
しい。
このような延伸工程において、ホットローラ(5)に
数回捲回させ後、延伸ローラー(7)で延伸することに
より伸長弾性回復差を発現させ、芯糸と鞘糸とを形成す
るが、その際ホットローラ(5)の温度を従来の未延伸
糸を延伸する温度よりも高めにすることで(ポリエステ
ル、特にポリエチレンテレフタレート繊維の場合90℃〜
140℃)、中途延伸される原糸(2)を斑なく延伸する
のに役立つ外、収縮率も低くすることが出来、後工程の
収縮トラブルを防止できる。又スリットヒーター(6)
の温度は130℃〜350℃の範囲が良く、この温度は延伸倍
率を高くしたい時、又、収縮率を下げたい時は高めに、
特に延伸倍率や収縮にこだわらない時はやや低めのほう
が原糸(2)の伸度減少を防ぐ効果があるので、出来上
がり目標物性に合わせて調温すればよい。
ここで、延伸倍率は原糸(1)の切断伸度の0.6〜0.8
5倍、好ましくは前記範囲で高い倍率で延伸するほうが
伸長弾性回復率が大きくなるので好ましい。その際原糸
(2)の伸長弾性回復率との差、即ち糸の長さ比を1.4
倍以内になるよう延伸倍率を設定すれば良いが、延伸倍
率だけで調整困難な場合は原糸(1)(2)の組み合わ
せを考慮すればよい。
一般に伸長弾性回復率は紡糸速度差と関係があり、紡
糸速度の低い原糸ほど伸長弾性回復率が小さく、紡糸速
度の高い原糸ほど伸長弾性回復率も大きい。ただし、紡
糸速度が高くなると延伸倍率が高くとれなくなる傾向に
あり、原糸の組合せは目標物性値に合わせて組み合わせ
れば良い。第3図の(イ)は、本発明の複合嵩高糸(後
掲の実施例の糸)の荷伸曲線であって、切断伸度10%近
傍で最大引張荷重を示す。これに対して、(ロ)(ハ)
は比較用に用いた紡績糸及びタスラン糸の例である。特
に、(ハ)のように芯糸,鞘糸とも連続フィラメントで
あって、撹乱ノズル内に芯糸を2.5%〜10%又鞘糸を10
%〜50%過剰供給してループや交絡を形成させた空気嵩
高糸(通称タスラン糸)はヤング率が低く寸法安定性が
良いとは言えない。このようにして作る空気嵩高糸は過
剰供給の両糸を絡ませて糸形状にしたものであるから全
面的又は部分的にも鞘糸は勿論のこと、芯糸も曲線状の
所が多く混繊し外力に対して伸びる原因となる。仮に、
芯糸の供給量を少なくすると交絡部が安定的に形成せ
ず、かえって伸びを大きくする原因となる。交絡部の個
数を上げ安定加工しようと圧縮空気の圧力を上げたりす
ると部分的にきつく絡まった交絡部を形成しかねず、こ
の交絡部は結節部となって糸自体の強度を大幅に低下さ
せる原因となってヤング率を上げた効果が大幅に薄れ
る。
第4図は、本発明の他の工程を示すもので、ここで
は、供給原糸(1)(2)の使用とコットローラ
(3),インタレース(4)を経てホットローラ(5)
及びスリットヒータ(6)まで装置は第2図と同じであ
るが、延伸ローラ(7)の代りに段付ローラ(9)を用
い、インタレースノズル(4)を段付ローラ(9)の近
くに設置したものである。この場合、段付延伸ローラ
(9)で延伸を終了した糸条をインタレースノズル
(4)で軽く交絡し無撚,無糊で製織し得る複合嵩高糸
を得ることを目的としている。しかも、ここでは、芯糸
に対して鞘糸の離れすぎを防止でき、大きく離れた鞘糸
があると製織工程での開口不良をまねき無撚もしくは無
糊又は両方省略した無撚,無糊の製織が困難となる。交
絡の程度はインタレースノズル圧を調整するか、段付延
伸ローラ(9)の小径ローラの直径を変えて弛緩率を調
整すれば良いが、通常は8%以内に、又伸長弾性回復率
の強い場合では、12%程度までの弛緩率にすれば良い。
しかし、あまり弛緩率が高くなると芯糸と鞘糸と交絡が
きつく絞り芯糸の直線性が、損われるので芯糸の直線形
態を観察しながら条件設定すればよい。
本発明において、産業資材用途に用いる複合嵩高糸の
芯糸と鞘糸の構成比率(重量比)は、ヤング率が600kg/
mm2以上で、その際芯糸が通常の固有粘度(0.6前後)の
ポリエステルから成る場合は、芯糸比率60%以上、高い
固有粘度(0.8前後)のポリエステルから成る場合でも
芯糸比率として55%以上が必要である。更に高いヤング
率を必要とする場合は、芯糸比率は65%以上必要であ
り、他方アーチループ効果から鞘糸比率は少くとも5
%、好ましくは10%以上必要である。
ここで、芯糸に使用する原糸はポリエステル、就中ポ
リエチレンテレフタレートが好適で、糸の状態でのポリ
マー固有粘度は、通常の0.6前後のものでもよいが、
[η]の高い0.7〜1.1のものが、嵩高糸の強度・ヤン
グ率を高く出来、産業資材用途には好ましい。特に0.8
〜1.0が好ましく、1.1を越えると原糸の紡糸性が難しく
なる。
一方、鞘糸は、ポリエステルの普通[η](通常0.65
以下)の糸で十分であるが、耐熱性等を向上したい場合
は、[η]が高い程好ましい。また、耐摩耗性を向上
したい場合は鞘糸をポリアミドにしてもよい。
<発明の効果> 本発明の複合嵩高糸は、芯糸を極力直線状に配し引張
荷重に対してすみやかに抗張力が働くようにし、鞘糸の
アーチ状ループ形態でもって、接着性及びスパナイズ外
観を持たせたことを特徴としたもので、寸法安定性に特
に優れた性質を有する複合嵩高糸である。具体的に説明
すると、例えば540デニールの紡績糸の荷伸曲線では、
第3図(ロ)にも示したように、糸強度5.0g/d,切断伸
度30%,その時の単繊維強度7g/d,単繊維伸度15%,カ
ット長32mm,撚数400回/mでヤング率(kg/mm2)が300と
低く、同じく比較用にタスラン糸の荷伸曲線(ハ)で
は、芯糸400デニール,108フィラメント(単繊維強度9g/
d,単繊維伸度20%,[η]=0.90)と鞘糸にポリエス
テル長繊維150デニール72フィラメント(単繊維強度9g/
d,単繊維伸度23%,[η]=0.64)を用い、芯糸の過
剰供給量3%,鞘糸の過剰供給量30%としタスランノズ
ル(デュポンタスランノズルタイプT−44),圧縮空気
圧5.0kg/cm2,巻取速度100m/分で得たタスラン糸は590デ
ニール糸強度6.8g/d,切断伸度25%であった。この糸は
環状ループ,アーチ状ループ形状を多数形成すると共に
交絡度160ケ/mであり、ヤング率も450(kg/mm2)と低
く、紡績糸もタスラン糸もヤング率が低く、本発明の目
的糸とは大きく離れたものであり、帆布加工する以前の
問題をかかえていた。本発明によれば、これらの欠点が
一掃される。本発明の複合嵩高糸の用途上の特徴は単に
PVC加工帆布に限らず、アーチ状ループ形状からくる毛
羽同等の良好な触感又摩擦に対する軽減効果,熱に対す
る良好な放熱効果,ヤング率が高いことによる伸びの防
止等の利用で帆布はもとよりロープ,ミシン糸,魚網も
適用できることにある。
次に本発明に用いた測定値は、次の様にして測定し
た。
(1) ヤング率 引張荷重測定器(テンシロンUTM−II型)を用いてJI
S.L−1074−65によって行った。
ヤング率(kg/mm2)=(9×100×ρ×W)/D W=1%伸長時の荷重(g) D=デニール(de) ρ=密度(g/cm3) (2) 複合嵩高糸の引張強度と伸度 引張荷重測定器(テンシロンUTM−II型)を用いてJI
S.L−1074−64により測定した。
糸強度(g/d)は、引張荷重測定器で切断時の荷重を
測定し、これを5回繰り返し、その平均荷重を求め、デ
ニールで割って求めた。
糸強度=荷重/デニール(g/d) (3) 糸芯と鞘芯の長さ比 複合嵩高糸のデニール当たりに1/30gの荷重を吊る
し、複合嵩高糸の中間域において5cmの間隙でマークを
付けた後、芯糸の単繊維10本、及び鞘糸の単繊維10本を
引き抜き、芯糸及び鞘糸の単繊維デニールの1/30gの荷
重を吊るし、各々マーク間の長さを測定する。芯糸単繊
維の10本の長さの平均、又鞘糸単繊維10本の長さの平均
を芯糸及び鞘糸の平均長さとし鞘糸の平均長さを芯糸の
平均長さで割って求める。
長さ比=鞘糸単繊維の平均長さ/芯糸単繊維の平均長さ (4) 交絡度 糸のデニールの1/30の荷重を付け吊るし、50cm間隔で
マークを付け、その間の交絡部の数を測定その際、フッ
クドロップ法で行う。荷重は糸のデニールの1/10の荷重
で行い、10回の繰り返しで平均個数をだしその平均個数
を2倍してケ/mとして表す。
(5) 糸の固有粘度[η] オルソクロロフェノール100mlに対して糸1.2gの割合
で、温度130℃で溶解し、オストワルド粘度計を用いて
温度25℃で測定した。
実施例1 紡糸速度2800m/minで紡糸したポリエステル1300デニ
ール、120フィラメント、固有粘度[η]F0.90、切断伸
度160%の原糸(1)と、紡糸速度1000m/minで紡糸した
ポリエステル90デニール、72フィラメント度[η]F0.6
4、切断伸度350%の原糸(2)を第2図の工程を用い、
次の条件で延伸した。コットローラ(3)の周速度333m
/分、ホットローラ(5)の周速度328m/分、温度120
℃、インタレースノズル(4)の圧縮空気圧5kg/cm2
スリットヒーター〈b〉の温度300℃、延伸倍率2.2倍、
延伸ローラ(7)の周速度792m/分で得られた複合嵩高
糸(9)は第1図に示す糸形態をしたものであった。こ
の複合嵩高糸(9)は642デニール、192フィラメント、
ヤング率850kg/mm2、最大引張荷重5136g、強度8g/d、そ
の時の伸度9%、その時の糸荷伸曲線は(第3図イ)で
あった。芯糸に対する鞘糸の長さ比は1:1.08で交絡度は
20ケ/mであった。
この複合嵩高糸をタテ密度44(本/吋)、ヨコ密度41
(本/吋)で平織とし、繊維織物補強材とした。この繊
維織物補強材をPVC樹脂で樹脂加工し、PVC加工帆布とし
た後、スコット耐揉テスター3kg荷重500回でテストを行
った後、剥離程度を観察した。特に繊維織物補強材と樹
脂の間で剥離はなく接着性は良好であった。更に、この
帆布を幅3cm,長さ30cmにカットし、試験長20cmで引張荷
重測定機を用いて荷伸曲線を測定した。1本当たり強度
は8.3g/dと加工前よりも強度が向上していることが判っ
た。これは、鞘糸が樹脂中にあって強度に寄与したと考
えられる。又、その時の切断伸度は、15%であり生糸よ
りも伸度が増加しているのは織物クリンプにより見掛け
の伸度が増加したことによる。
実施例2 紡糸速度2500m/minで紡糸したポリエステル700デニー
ル、192フィラメント、固有粘度[η]F0.85、切断伸度
180%の原糸(2)と紡糸速度1300m/minで紡糸したポリ
エステル280デニール、72フィラメント(三角断面)、
固有粘度[η]F0.80、切断伸度240%の原糸(2)を第
2図の工程を用いて次の条件で延伸した。
コットローラ(3)の周速度333m/分、ホットローラ
(5)の周速度328m/分、温度90℃、インタレースノズ
ル(4)の圧縮空気圧3kg/cm2、スリットヒーター
(6)の温度240℃、延伸倍率2.3倍段付延伸ローラー
(9)の周速度725m/分で延伸した後、インターレース
ノズル(4)に通し圧縮空気圧2kg/cm2、その時の弛緩
率3%、段付延伸ローラ(9)の小径の部に巻回した後
巻き取って複合嵩高糸を得た。この嵩高糸は第1図に示
す形態糸と殆ど変わらず、交絡度がやや多くなったもの
である。複合嵩高糸は430デニール264フィラメント、ヤ
ング率900g/mm2、最大引張荷重2130g、強度5g/d、伸度
8%、芯糸に対する鞘糸の長さ比1:1.2交絡度80ケ/mで
あった。この複合嵩高糸(11)をタテ密度55(本/
吋)、ヨコ密度53(本/吋)で製織し繊維織物補強材と
した。この繊維織物補強材をPVC樹脂加工を行いPVC加工
帆布とした後、スコット耐揉テスター3kg荷重500回でテ
ストを行った後、剥離程度を観察した。繊維織物補強材
と樹脂の間で剥離は殆どなく接着良好であった。なお、
PVCの付着量は110%でありピンホールもなく外観もネッ
プや突出毛羽が全くなく、又紡績糸特有のツヤ消しの光
沢に比べ光沢の強い特徴あるPVC加工帆布が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の複合嵩高糸の側面拡大模式図である。
aは芯糸、bは鞘糸である。 第2図は本発明の複合嵩高糸を製造する工程の一実施態
様を示す概略図である。1は芯糸を形成する原糸、2は
鞘糸を形成する原糸、3はコットローラ、4はインタレ
ースノズル、5はホットローラ、6はスリットヒータ
ー、7は延伸ローラー、8はワインダー、9は得られた
複合嵩高糸である。 第3図は種々の糸の荷伸曲線を示すグラフである。 イ、本発明の複合嵩高糸(642d) ロ、比較に用いた540dの紡績糸 ハ、比較に用いた590dのタスラン糸 第4図は本発明の複合嵩高糸を製造する他の一実施態様
を示す概略図である。4はインタレースノズル、10は得
られた複合嵩高糸である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D03D 15/00 D03D 15/00 C (72)発明者 関 正 大阪府大阪市中央区南本町1丁目6番7 号 帝人株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−102436(JP,A) 特開 昭59−179836(JP,A) 特開 昭62−299529(JP,A) 特開 平1−239111(JP,A) 特公 昭63−58938(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D02G 3/00 - 3/38 D01F 6/62 D03D 1/00 D03D 15/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヤング率が(kg/mm2)が600以上で、最大
    引張荷重時の伸度が20%以下の芯鞘構造の複合嵩高糸に
    おいて、 a. 芯糸は実質的に直線状に配列し、他方 b. 鞘糸は、その伸度が該複合嵩高加工糸全体としての
    切断伸度よりも大きく、かつ c. 該鞘糸は該芯糸と部分的に交絡しつつ、その構成単
    繊維の大部分は複合糸表面で曲線状の形態を呈し、その
    際 d. 芯糸と鞘糸との長さ比が1.4倍以下で、鞘糸が長
    く、 e. 該複合糸全体としては5ヶ/m〜100ヶ/mの範囲の交
    絡部を有する ことを特徴とする産業資材用複合嵩高糸。
  2. 【請求項2】該芯糸がポリエステルフィラメントであ
    る、請求項1記載の産業資材用複合嵩高糸。
  3. 【請求項3】該ポリエステルフィラメントの[η]
    0.7〜1.1である、請求項2記載の産業資材用複合嵩高
    糸。
  4. 【請求項4】該鞘糸の構成単繊維による曲線状の形態の
    半数以上がアーチ状ループである、請求項1記載の産業
    資材用複合嵩高糸。
  5. 【請求項5】該鞘糸が異形断面の単繊維で構成された請
    求項1記載の産業資材用複合嵩高糸。
  6. 【請求項6】該異形断面の形状が三角断面である、請求
    項5記載の産業資材用複合嵩高糸。
  7. 【請求項7】ヤング率が(kg/mm2)が600以上で、最大
    引張荷重時の伸度が20%以下の芯鞘構造の複合嵩高糸に
    おいて、 a. 芯糸は実質的に直線状に配列し、他方 b. 鞘糸は、その伸度が該複合嵩高加工糸全体としての
    切断伸度よりも大きく、かつ c. 該鞘糸は該芯糸と部分的に交絡しつつ、その構成単
    繊維の大部分は複合糸表面で曲線状の形態を呈し、その
    際 d. 芯糸と鞘糸との長さ比が1.4倍以下で、鞘糸が長
    く、 e. 該複合糸全体としては5ヶ/m〜100ヶ/mの範囲の交
    絡部を有する ような産業資材用複合嵩高糸を実質的に構成糸として配
    したことを特徴とする帆布。
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