JP2928538B2 - 基板処理方法 - Google Patents

基板処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、光化学反応を利用した膜形成やドライエッ
チングなどの基板処理方法に関する。
(従来の技術) 最近の各種半導体装置の微細加工には、反応性イオン
エッチング(RIE)やケミカルドライエッチング(CDE)
などのドライエッチングが多く用いられている。ドライ
エッチングの用途は半導体素子の微細加工に限られな
い。例えば、膜形成を行うための化学気相成長(CVD)
装置において、反応容器内に堆積した不要な汚染膜を除
去する方法としても用いられる。例えば、CVD装置によ
りp型或いはn型の非晶質シリコン(a−Si:H)膜を形
成した場合、その工程で容器内に堆積した膜を除去しな
いと、その後形成する膜にp型,n型の不純物が少なから
ず混入する。この様な場合、膜形成のための前処理とし
て、反応容器内に所定のエッチングガスを導入し、高周
波電力の印加によってこれを分解してエッチング種を得
て容器内の汚染膜を除去することが行われる。
これらのドライエッチング法においては、エッチング
ガスとして殆どの場合ハロゲン系ガスが用いられる。こ
の場合、被処理基板や反応容器内がハロゲン系物質で汚
染されるという問題がある。例えば、フッ素系エッチン
グガスを用いた場合、エッチング過程で腐蝕性の強いフ
ッ酸(HF)が生じる場合があり、これが基板表面に付着
したり、或いは基板表面材料と反応したりする。このエ
ッチング過程で生じたハロゲン系物質はまた、不純物と
して残留してその後の工程で基板内に取り込まれた、配
線金属の腐蝕の原因ともなる。
ハロゲン系ガス以外のエッチングガスを用いるドライ
エッチング法として、水素ガスを高周波放電によりプラ
ズマ化して、非晶質シリコン・カーバイト(a−Si1-XC
X:H:F)をエッチングできることが報告されている(Ja
p.J.Appl.Phys.Vol25,1986,p511〜514,S,Nishikawa et
al)。しかしこの方法では、十分なエッチング速度を得
るためには大きい高周波電力を印加する必要があり、ま
た生成された多数の荷電粒子が被処理基板に大きい損傷
を与える、という問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように従来のドライエッチング法では、ハロゲ
ン系エッチングガスを用いた場合には被処理基板や反応
容器内がハロゲン系物質で汚染され、このような問題の
ない水素ガス・プラズマを用いた場合にも、荷電粒子に
よる損傷が避けられない、といった問題があった。
本発明は、この様な問題を解決した光化学反応を利用
した基板処理方法を提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、反応容器内にエッチングガスとして増感剤
である水銀を含む水素ガスを導入すると共に紫外線を照
射して、光化学反応によって、容器内に載置された基板
の表面或いは容器内の不要な堆積膜などをエッチングす
ることを基本とする。
具体的に本発明は、光化学反応を利用したCVD装置
(すなわち光CVD装置)を用いて膜形成を行う際の前処
理の手段として用いられる。この前処理は、反応容器内
の不要な汚染膜を除去する場合、また反応容器内に載置
された膜形成のための基板の表面を一部エッチングする
場合を含む。
本発明はまた、光CVD装置とは無関係に、シリコン薄
膜基板または単結晶シリコン基板のドライエッチング法
としても用いられる。
(作用) 本発明によるドライエッチング法は、ハロゲン系ガス
を用いない光励起ドライエッチング法である。従って被
処理基板の表面がハロゲン系物質で汚染されたり、或い
は配線金属が腐蝕したりすることがない。特に光CVD装
置での膜形成の前処理として利用した場合には、装置の
構成を何等変更することなく、供給ガスの切り替えのみ
で前処理から膜形成まで連続的に行うことができ、前処
理の結果容器内部、或いは容器内部と同時に基板面が清
浄化されるので、良質の半導体膜などの形成が可能にな
る。
本発明の方法における光励起ドライエッチングの詳細
なメカニズムはまだ解明されていないが、エッチング種
は水素ラジカルである。水素のイオン化エネルギーより
も小さい光子エネルギーの紫外線を用いれば、水素ガス
をプラズマ化してドライエッチングを行う場合の荷電粒
子損傷を防止することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を説明する。
第1図は、一実施例に用いた光CVD装置兼光励起ドラ
イエッチング装置である。反応容器1内にサセプタ2が
設置され、この上に被処理基板3が載置される。基板3
の下には基板加熱用ヒータ4が設けられている。容器内
上部にはランプ室5が設けられ、内部には低圧水銀ラン
プ6が紫外光源として配置されている。水銀ランプ6か
らの紫外光は、石英窓7を介して基板3上に照射される
ようになっている。8は基板の出し入れを行うバルブ、
9は排気バルブ、10はガス導入用バルブである。
このような装置を用いて、膜形成前の前処理としての
光励起ドライエッチングを行うには、反応容器1内を高
真空に排気した後、バルブ10を調整して増感剤として例
えば水銀を含んだ水素ガスを導入し、同時に低圧水銀ラ
ンプ6から紫外線を照射する。これにより水素ラジカル
が生成され、この水素ラジカルによって基板3の表面が
エッチングされ、或いは容器内部の汚染膜のエッチング
除去が行われる。
具体的に第1図の装置を用いて、a−Si:H膜をエッチ
ング条件を種々変化させてドライエッチングした時の実
験データを説明する。実験に用いた試料は、同種の装置
を用いて、原料ガスとしてSiH4ガスを導入し、水銀増感
光CVDによりアンドープのa−Si:H膜を形成したもので
ある。この試料基板の非晶質シリコン膜表面は予め希フ
ッ酸処理により自然酸化膜を除去してから、第1図の装
置内に収容した。エッチングガスとしては、増感剤とし
ての水銀を含んだ水素ガスを用いた。低圧水銀ランプ6
から照射される紫外線の波長184.9nm,253.7nmのうち、2
53.7nmの波長成分の照度は基板上で5〜10mW/cm2の範囲
である。
第2図は、基板温度TSとエッチング速度の関係を測定
したデータである。水素ガス流量は100SCCM、容器内ガ
ス圧力はPg=0.2Torr、石英窓7と基板3間の距離はL
=30mmであり、ガス導入バルブ10の前に配置される水銀
溜(図示せず)の温度はTHG=80℃である。図から明ら
かなように基板温度が低いほど、大きいエッチング速度
が得られている。
第3図は、水素ガス流量とエッチング速度の関係を測
定した結果である。基板温度はTS=24℃、容器内圧力は
Pg=0.2Torr、石英窓7と基板3間の距離はL=30mmで
あり、水銀溜温度はTHG=80℃である。水素ガス流量が
ある程度以上大きくなるとエッチング速度が急激に低下
する傾向が認められる。
第4図は、容器内圧力Pgとエッチング速度の関係を測
定した結果である。水素ガス流量は20SCCM、基板温度は
TS=24℃、石英窓7と基板3間の距離はL=30mmであ
り、水銀溜めの温度はTHG=80℃である。ガス圧約0.1To
rrの近傍でエッチング速度のピークが認められる。
第5図は、石英窓7は基板3間の距離Lとエッチング
速度の関係を測定した結果である。水素ガス流量は20SC
CM、基板温度はTS=24℃、ガス圧はPg=0.1Torr、水銀
溜め温度はTHG=80℃である。光源の距離にはエッチン
グ速度はそれ程大きく依存しないが、距離Lが短くな
り、光強度が強くなれば、エッチング速度は速くなる。
以上のような光励起ドライエッチング工程を、光CVD
による膜形成の前処理として利用した具体的な実施例を
次に説明する。第1図に示す光CVD装置を用いて、まず
所定の基板上にp型またはn型のa−Si:H膜形成を行
う。この工程は、水銀を微量含んだSiH4ガスにシボラン
ガスまたはフォスフィンガスを添加してバルブ10から容
器内に導入し、基板温度,ガス圧力および原料ガス流量
を最適値に設定して水銀ランプ6を点灯することにより
行われる。次いで同じ光CVD装置を用いて別の基板にア
ンドープのa−Si:H膜を形成する。その際、アンドロー
プa−Si:H膜の形成に先立って、光CVD装置内の汚染膜
を除去する前処理を次のようにして行う。反応容器1内
に基板をセットする前にこれを高真空に排気し、水銀を
含んだ水素ガスを適当な流量で導入して水銀ランプ6を
所定時間点灯する。
これにより、容器1内特にサセプタ2周辺の汚染膜はき
れいにエッチング除去される。この様な前処理を行った
後に所定の基板を反応容器1内に設置して、不純物ドー
ピングガスを添加せずSiH4ガスのみを導入し、水銀ラン
プ6を点灯してアンドープa−Si:H膜の形成を行う。
この実施例によれば、不純物ドープa−Si:H膜形成の
工程で汚染された容器内が前処理によって簡単にクリー
ニングされ、従って極めて良質のアンドロープa−Si:H
膜が得られる。アンドープa−Si:H膜の形成に限らず、
p型或いはn型a−Si:H膜を形成する場合にも、前工程
での光CVD装置内の汚染膜を同様の前処理によりエッチ
ング除去することによって、汚染膜からの無用な不純物
混入を防止して所望のa−Si:H膜を得ることができる。
次に、同様の光CVDによりa−Si:H膜を形成する際に
基板自体の前処理を行う実施例を説明する。試料基板と
して既に所定のa−Si:H膜が形成され、その表面に薄い
自然酸化膜が形成されている場合を考える。シリコン自
然酸化膜に対する本発明の水素ガスを用いた光励起ドラ
イエッチングによるエッチング速度は速くない。従って
この実施例では、第1図に示す光CVD装置に連続する前
処理室としてプラズマ処理室を持つシステムを用いて、
まず前処理室に基板をセットしてフッ素系ガスを用いた
プラズマにより自然酸化膜を除去する。これにより基板
上のa−Si:H膜表面の酸化膜は除去されるが、酸化膜に
代ってフッ素を含む汚染膜がa−Si:H膜表面に形成され
る。この試料基板を光CVD装置内に搬送し、これを高真
空に排気してまず先の実施例と同様に水銀を含む水素ガ
スを導入して水銀ランプを点灯するという前処理を行
う。これによりa−Si:H膜表面の汚染膜はエッチング除
去される。続いて導入ガスを切り替えてシランガスおよ
び必要な不純物ドーピングガスを導入し、水銀ランプを
点灯してa−Si:Hに膜形成を行う。
こうしてこの実施例によれば、極めて良好な界面を持
ってa−Si:H膜を積層形成することができる。
この実施例による光励起ドライエッチングによる前処
理では、水素プラズマ処理による場合のような荷電粒子
による損傷はない。このことは次のようなa−Si:H膜の
二種のダイオード形成により実験的に確認されている。
一つの試料は、第1図の光CVD装置で真空を破ることな
く連続的にアンドープa−Si:H膜とp型またはn型a−
Si:H膜を形成して、i−pまたはi−n接合を形成し
た。もう一つの試料は、やはり真空を破ることなく連続
的に、アンドープa−Si:H膜形成後、上記実施例と同様
の水素ガスを用いた光励起ドライエッチングによりその
表面の一部をエッチングする工程を経て、p型またはn
型a−Si:H膜形成を行った。これら二種のダイオードの
逆方向リーク特性を測定した結果、有意差は認められな
かった。即ち水素ガスを用いた光励起ドライエッチング
の前処理によっては接合界面特性が劣化しない。
以上においては、光CVDによるa−Si:H膜の堆積の際
の反応容器内や基板の前処理の実施例を説明したが、同
様の水素ガスを用いた光励起ドライエッチングは、単な
る前処理としてではなく、単結晶シリコン基板のドライ
エッチング法としても有用である。第1図の装置を用い
て、基板3として単結晶シリコン基板を用意し、水銀を
含んだ水素ガスを導入しながら低圧水銀ランプを点灯し
てエッチングを行った結果、エッチング条件によって10
0〜500Å/minのエッチング速度でエッチングできること
が確認された。
この単結晶シリコンのエッチング法も、従来のハロゲ
ン系ガスを用いたドライエッチングにおけるようなハロ
ゲン系物質による汚染がなく、また基板面の荷電粒子に
よる損傷もない。従って単結晶シリコン基板を用いた大
規模集積回路における微細加工技術としても有効であ
り、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
本発明はさらに以下に列記するように種々応用が可能
である。
a−Si:H膜の他、例えばa−SiC:H膜,a−SiN:H膜,a−
SiGe:H膜など他の非晶質半導体膜、また非晶質半導体中
に微結晶が混在する微結晶半導体膜、さらには各種絶縁
膜のエッチングにも有効である。
紫外線光源としては、低圧水銀ランプの他、紫外線レ
ーザ,重水素ランプ,シンクロトロン軌道放射光などが
用いられる。
増感剤として、水銀以外のものを用いることも可能で
ある。水素ガスを直接励起できるフォトンエネルギーを
有する紫外線光源を用いた場合には、必ずしも増感剤を
用いることは必要ない。
実験データで明らかにしたように、エッチング条件を
選択することにより、材料に応じて適当なエッチ速度を
得ることが可能であるが、ガス圧は760Torr以下すなわ
ち減圧下であることが好ましく、また基板温度は1000℃
程度以下に設定すれば良い。
[発明の効果] 以上述べたように本発明の光励起ドライプロセスによ
れば、従来のドライプロセスと異なり、ハロゲン系物質
による汚染および荷電粒子損傷のない状態で、膜形成や
エッチングなどの基板処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に用いた光CVD装置兼ドライ
エッチング装置の構成を示す図、 第2図は第1図の装置を用いてa−Si:H膜エッチングを
行った際の基板温度とエッチング速度の関係を測定した
結果を示す図、 第3図は同じく水素ガス流量とエッチング速度の関係を
測定した結果を示す図、 第4図は同じくガス圧とエッチング速度の関係を測定し
た結果を示す図 第5図は同じく光源窓・基板間の距離とエッチング速度
の関係を測定した結果を示す図である。 1……反応容器、2……サセプタ、3……基板、4……
ヒータ、5……ランプ室、6……低圧水銀ランプ、7…
…石英窓、8……基板出し入れバルブ、9……排気バル
ブ、10……ガス導入バルブ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応容器内に基板を載置して所定の原料ガ
    スを導入すると共に紫外線を照射して、光化学反応によ
    り基板上に膜形成を行う光化学反応を利用した基板処理
    方法において、膜形成までに前記反応容器内に化学反応
    の増感剤である水銀を含む水素ガスを導入すると共に紫
    外線を照射して水素ラジカルを生成し、生成された水素
    ラジカルによって反応容器内の堆積膜または汚染膜を除
    去する前処理を行うことを特徴とする基板処理方法。
  2. 【請求項2】反応容器内に基板を載置して所定の原料ガ
    スを導入すると共に紫外線を照射して、光化学反応によ
    り基板上に膜形成を行うに際し、膜形成に先立って前記
    反応容器内に化学反応の増感剤である水銀を含む水素ガ
    スを導入すると共に紫外線を照射して水素ラジカルを生
    成し、生成された水素ラジカルによって反応容器内に載
    置された基板の表面を一部エッチング除去する前処理を
    行うことを特徴とする基板処理方法。
  3. 【請求項3】反応容器内にシリコン薄膜基板または単結
    晶シリコン基板を載置し、化学反応の増感剤である水銀
    を含む水素ガスを導入すると共に紫外線を照射して水素
    ラジカルを生成し、生成された水素ラジカルによってシ
    リコン薄膜基板または単結晶シリコン基板の表面を一部
    エッチングする工程を有することを特徴とする基板処理
    方法。
  4. 【請求項4】紫外線の光源として低圧水銀ランプを用い
    る請求項1,2または3のいずれかに記載の基板処理方
    法。
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