JP2928531B2 - 大規模集積回路 - Google Patents

大規模集積回路

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JP2928531B2
JP2928531B2 JP1063764A JP6376489A JP2928531B2 JP 2928531 B2 JP2928531 B2 JP 2928531B2 JP 1063764 A JP1063764 A JP 1063764A JP 6376489 A JP6376489 A JP 6376489A JP 2928531 B2 JP2928531 B2 JP 2928531B2
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潤 衛藤
規雄 三宅
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田中  均
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、16Mビット以上の記憶容量をも
つ、ダイナミックメモリのような、超大規模集積回路に
関する。
【従来の技術】
半導体集積回路内で、外部電源電圧や温度による変動
の少ない、安定な基準電圧が必要になることがある。LS
Iの電圧リミッタについては、たとえば、アイ・エス・
エス・シー・シー・ダイジェスト・オブ・テクニカル・
ペーパーズ,第272頁から第273頁,1986年2月(ISSCC D
igest of Technical Papers,pp.272−273,Feb.1986)な
どがある。最後の論文において述べられているように、
DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)等のメモ
リLSIにおいては、外部電源電圧よりも低い電圧をLSIチ
ップ上に設けた回路(電圧リミッタ)で発生し、それを
電源として用いることがある。この内部電源電圧は、メ
モリ動作を安定にするために、外部電源電圧や温度によ
る変動の少ない安定した電圧である必要があり、そのた
めには安定な基準電圧が必要である。また、アナログ回
路を内蔵したLSIでは、参照用の電圧として安定した基
準電圧を必要とする場合が多い。 このような要求に応える基準電圧発生回路としては、
たとえば米国特許第3975648号や第4100437号などで提案
されている回路がある。第7図にその回路図を示す。こ
れは、Hチャネルのエンハンスメント形MOSFET(以下EM
OSと略す)とデプリーション形MOSFET(以下DMOSと略
す)とのしきい値電圧の差を利用して、安定な電圧を得
る回路である。図中、Q31がEMOS、Q90,Q92,Q93がDMOSで
あり、VCC,VBBはそれぞれ正電圧,負電圧の外部電源で
ある。EMOSとDMOSとのしきい値電圧の差が出力電圧VR
なる。以下、この回路の動作を説明する。 Q90,Q91に流れる電流をI90,Q92,Q93に流れる電流をI
91とする。4つのMOSFETがいずれも飽和領域で動作して
いるとすると、次の4式が成り立つ。 ここでV99はノード99の電圧、VTE,VTDはそれぞれEMO
S,DMOSのしきい値電圧(VTE>0,VTD<0)、β9091,
β9293はそれぞれQ90,Q91,Q92,Q93のコンダクタンス
係数である。(1)〜(4)式より、 ここでβ90およびβ93が十分に小さいか、あるいはβ
9091=β9392となるように各MOSFETの定数を定め
れば、 VR=VTE−VTD ……(6) となる。すなわち、出力電圧VRとしてEMOSとDMOSとのし
きい値電圧の差の電圧が得られ、これは外部電源VCCやV
BBの電圧に依存しない安定な電圧である。 近年、半導体装置の高集積化が進むにつれて、半導体
素子の微細化に伴う耐圧の低下が問題になってきた。こ
の問題は半導体装置の電源電圧を下げれば解決できる
が、これは外部インタフェースの関係で必ずしも好まし
くない。そこで、外部から印加する電源電圧は従来のま
ま(たとえばTTL(transistor transistor logic)コン
パチブルの場合は5V)としておき、それよりも低い電圧
(たとえば3V)の内部電源を半導体装置内で作るという
方法が提案されている。たとえばアイ・イー・イー・イ
ー,ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・サーキッ
ツ,第22巻,第3号,第437頁から第441頁,1987年6月
(IEEE Journal of Solid−State Circuits,Vol.SC−2
2,No.3,pp.437−441,June 1987)には、この方法をDRAM
(ダイナミックランダムアクセスメモリ)に適用した
例、および外部電源から内部電源を発生するための回路
(電圧リミッタ回路)について記述されている。 第7図(b)に上記文献に記載されている電圧リミッ
タ回路の回路図を示す。図中、VLが電圧リミッタ回路で
あり、基準電圧発生回路VRと駆動回路Bから成る。Zは
電圧リミッタの負荷、すなわち電圧リミッタの出力電圧
VLを電源として動作する回路である。基準電圧発生回路
VRは、外部電源電圧VCCや温度による変動の少ない安定
な電圧VRを発生する。駆動回路Bは、電圧値がVRと同じ
で駆動能力の大きい電圧VLを発生する回路であり、Q106
〜Q111から成る差動増幅器DAと出力MOSトランジスタQ
112から成る。差動増幅器DAの2個の入力端子のうち、
一方にはVRが接続され、他方には出力VLが帰還されてい
るので、この回路は出力VLが入力VRに追随するように動
作する。出力VLの駆動能力は、出力MOSトランジスタQ
112のチャネル幅によって決まる。したがって、Q112
チャネル幅を負荷の消費電流に見合った大きさに設計し
ておけば、安定な内部電源電圧VLを負荷に供給すること
ができる。
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術に基づいて、本発明者らが、具体的
な超大規模集積回路(例えば、DRAMでいえば、16Mbit以
上のLSI)について、詳細に検討したところ、次に詳説
する問題点を発見した。この問題は大きくわけて、基準
電圧発生回路に関するものと、電圧リミッタ回路に関す
るものと、これらのテストに関するものである。 まず、上記第7図(a)に示した従来技術の問題点
は、EMOSとDMOSという性質の異なるデバイスを用いるた
め、それらの特性を合せるのが難しいことである。上の
説明では簡単のため特性が同じとしたが、実際にはコン
ダクタンス係数β,βの温度依存性dβ/dT、しきい値
電圧の温度依存性dVT/dT等の特性がかなり異なる。これ
は以下に述べるような理由により、EMOSとDMOSとのしき
い値電圧差VTE−VTDをかなり大きくしなければならない
からである。 EMOSはゲート・ソース間電圧が0Vのときには確実に非
導通状態にならなければならない。そのためには、その
しきい値電圧VTEは、製造ばらつきやサブスレッショル
ド特性を考慮すると、かなり高く(たとえばVTE≧0.5
V)設定する必要がある。また、DMOSは式(1)および
(4)で示されるように電流源として用いられる場合が
あるので、電流値のばらつきを抑えるためには、そのし
きい値電圧VTDの絶対値はかなり大きく(たとえばVTD
−1.5V)設定しなければならない。したがってVTE−VTD
はかなり大きく(たとえばVTE−VTD≧2V)なり、これは
MOSFETのチャネル領域の不純物プロファイルが大幅に異
なることを意味する。これによって、上で述べたような
MOSFETとしての特性の不一致が生ずる。本発明の1つの
目的は、上記問題点を解決し、ブプリーション形のFET
を用いない基準電圧発生回路を提供することにある。 上記第7図(b)に示す従来技術の第1の問題点は、
電圧リミッタ回路の動作の安定性について考慮されてい
ないことである。一般に、第7図(b)の駆動回路Bの
ような帰還のかかった増幅器は、十分な位相余裕がある
ように設計しなければ、動作が不安定になる。これを第
2図(a),(b)を用いて説明する。帰還をかけない
ときの増幅器の周波数対利得および周波数対位相の関係
が図のようになっていたとすると、利得が0dBになる周
波数において、位相遅れが180゜にどれだけ余裕がある
かを示す数値が、位相余裕である。位相余裕が負であれ
ば帰還増幅器は発振するし、正であっても余裕が小さい
場合、動作が不安定になる。一般に安定に動作するため
には位相余裕は45゜以上必要であると言われている。そ
のためには、周波数対利得の特性が折れ曲がる点(ポー
ル)のうち、2番目の点P2(傾きが6dB/octから12dB/oc
tに変わる点)における利得が0dB以下でなければならな
い。電圧リミッタ回路は、内部回路に安定な内部電源電
圧を供給するのがその使命であるから、発振したり動作
が不安定になったりしてはならないのはもちろんのこと
である。 この問題に対する対策としては、位相遅れを補償する
各種の方法が、たとえばポール・アール・グレイ,ロバ
ート・ジー・マイヤー共著,アナリシス・アンド・デザ
イン・オブ・アナログ・インテグレーテッド・サーキッ
ツ,第2版,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(Pa
ul R.Gray and Robert G.Meyer:Analysys and Design o
f Analog Integrated Circuits,2nd Ed.,John Wiley an
d sons Inc.に示されている。しかし、位相補償を実際
の半導体装置の電圧リミッタ回路に適用するには、次の
ような問題がある。電圧リミッタ回路の負荷となる回路
は、実際の半導体装置の内部回路であり、その中には容
量,抵抗,インダクタンス,非線形素子、あるいはそれ
らの組合せなど極めて多種・多様なものが含まれる。し
かも、それらの負荷が、時間的に一定ではなく、半導体
装置の動作モードによって変化することがある。たとえ
ば、半導体装置が動作状態にあるときに、待機状態にあ
るときとでは、負荷に流れる電流が大きく異なる。これ
によって、第7図(b)の駆動回路Bの出力段のバイア
ス条件が変化し、その結果増幅器全体の周波数特性も変
化する。電圧リミッタ回路を安定に動作させるために
は、このような複雑な性質をもった増幅器が常に安定に
動作するようにする必要がある。それには、従来の位相
補償法だけは不十分である。 上記従来技術の第2の問題点は、半導体チップ上の配
置や配線について配慮されていないことである。特に、
内部電源電圧VLで動作する回路が複数個ある場合の、電
圧リミッタ回路の配置やその出力電圧VLの配線について
は配慮されていなかった。 本発明者らは、上記従来技術を半導体メモリに適用し
た場合、以下に述べるような問題が生ずることを発見し
た。第3図および第4図に上記従来技術を半導体メモリ
に適用した例を示す。第3図において、1は半導体メモ
リチップ全体、3は周辺回路、7は電圧リミッタ回路の
うちの駆動回路(電圧リミッタ回路のうちの基準電圧発
生回路はここでは記載を省略してある)、14a〜14dはパ
ルス発生回路、2a〜2dは微細MOSトランジスタで構成さ
れているメモリマットである。 メモリマットは微細素子を使用しているため、内部電
源電圧VLで動作させる。駆動回路7とパルス発生回路14
a〜14dはこのための回路である。7は内部電源電圧VL
発生し、14a〜14dは振幅VLのパルスφP1〜φP4をそれぞ
れ発生する。この例では、パルス発生回路が14a〜14dの
4個あるのに対して、駆動回路は7の1個だけである。
したがって、この電圧リミッタ回路によって発生した内
部電源電圧VLを各パルス発生回路に供給するためには、
チップの上辺から下辺にわたる長い配線が必要であり、
配線の寄生インピーダンスが大きくなって雑音発生の原
因となる。このインピーダンスを小さくするために配線
幅を太くすると、今度は配線のチップ上の占有面積が増
すという問題が生ずる。 第4図は、第3図における配線が長くなるという問題
を避けるために、各パルス発生回路に対応して1個ずつ
駆動回路7a,7b,7c,7dを設けた例である。こうすれば、
電圧リミッタ回路とパルス発生回路との間の配線長を短
くすることができるが、パルス発生回路数と同じ数(こ
こでは4個)の電圧リミッタ回路が必要となる。したが
って、電圧リミッタ回路のチップ上の占有面積および消
費電流が第3図の場合に比べて増加する。パルス発生回
路の数がさらに大きくなった場合には、電圧リミッタ回
路の占有面積と消費電力の増加は、高集積化,低消費電
力化を目的とする半導体装置にとって重大な問題とな
る。 上記従来技術の第3の問題点は、CMOS回路の動作速度
について考慮されていないことである。この問題を、微
細加工技術の最先端を駆使して製造されるダイナミック
ランダムアクセスメモリ(以下DRAMと略す)を用いて説
明する。 第5図は、Nウェル形CMOS・DRAMの回路ブロック構成
の一部を示す。図中のメモリセルアレー部はP形基板上
にある。センスアンプ部はNチャネルおよびPチャネル
MOSトランジスタから成り、PチャネルMOSトランジスタ
の基板に相当するNウェルは電源電圧に接続されてい
る。 アイ・エス・エス・シー・シー,エフ・エー・エム1
8.6,1984年,第282頁(ISSCC,FAM18.6,1984,p.282)に
おいて論じられているように、MOSトランジスタの寸法
を小さくしてDRAMの集積度を上げて行くと、MOSトラン
ジスタのホットキャリヤによるストレス耐圧の低下など
の問題が生じる。これを防ぐために、集積度向上のため
に微細化が必要なメモリアレーで使用する電源電圧のみ
を、上記ストレス耐圧を考慮して下げることが考えられ
る。これは、たとえばDRAMの周辺回路部(Xデコーダ,Y
デコーダなど)に外部電源電圧VCC,センスアンプを含む
メモリセルアレー部にVCCより低い動作電圧VL(|VL|<|
VCC|)を用いることである。すなわち、第5図中のセン
スアンプのPチャネルMOSトランジスタのソースにつな
がる電圧供給線をVLとし、周辺回路部の電圧供給線をV
CCとする。 しかしながら、CMOS・DRAMにおいて、上述の如くメモ
リアレー部の動作電圧を低くすると、著しく動作速度が
低下することが判明した。詳細な解析の結果、その原因
がPチャネルMOSトランジスタのバックゲートバイアス
効果によるしきい値電圧上昇であることが明らかになっ
た。すなわち、P形基板中のNウェル中に形成されたP
チャネルMOSトランジスタのソースの電位が内部電源電
圧VL、Nウェル(PチャネルMOSトランジスタのバック
ゲート)の電位が外部電源電圧VCCであると、Pチャネ
ルMOSトランジスタにVCC−VLのバックゲートバイアスが
かかり、そのしきい値電圧が上昇する。 第6図は、ゲート長1.2μm、ゲート幅10μmのPチ
ャネルMOSトランジスタのバックゲート(Nウェル)電
圧とソース電圧との差(バックゲートバイアス)に対
し、しきい値電圧をプロットしたものである。この例で
は、バックゲートバイアスが2V印加されると、約0.35V
しきい値電圧が上昇する。現在LSIで多く用いられてい
る電源電圧VCCに対し、たとえばVL=3Vとすると、0.35V
のしきい値電圧上昇は動作電圧の10%を越えており、そ
れがそのまま速度劣化につながる。 本発明の他の1つの目的は、上記第1の問題点を解決
し、動作の安定な電圧リミッタ回路を提供することにあ
る。 本発明の他の目的は、上記第2の問題点を解決し、低
雑音,小占有面積,低消費電力の電圧リミッタ回路を提
供することにある。 本発明の更に他の目的は、上記第3の問題点を解決
し、高速かつ高信頼性のCMOS・LSI(large scale integ
rated aircuit)を提供することにある。 本発明の目的は、上記した他、更に、超大規模集積回
路の実際の構成を提供することにある。 本発明の更に他の目的は、超大規模集積回路の実際の
レイアウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、エンハンスメ
ント形でしきい値電圧の異なる2個のFETを用い、それ
らに一定比の電流を流したときの電位差を取り出して基
準電圧とする。 上記第1の問題を解決するため、本発明では、電圧リ
ミッタが多くの種類の負荷を駆動する必要があるとき
は、電圧リミッタを構成する駆動回路を負荷の種類に応
じて複数個に分割し、それぞれに位相補償を施す。負荷
の種類や大きさが半導体装置の動作モードによって時間
的に変化するときは、各動作モードによって駆動回路や
位相補償回路の回路定数を変化させる。あるいは、各動
作モードごとに個別の駆動回路を設け、それらの出力を
接続して電圧リミッタの出力とする。 上記第2の問題は、電圧リミッタ回路とその出力を電
源として用いるパルス発生回路などの負荷回路とを接近
して配置し、アドレス信号などの制御信号によって選択
/非選択の関係にある複数の負荷回路で1個の電圧リミ
ッタ回路を共有することにより解決される。 上記第3の問題を解決するため、本発明では、CMOS・
LSIにおいてウェル中に形成されたMOSトランジスタのバ
ックゲート(ウェル)電圧を、ソース端に供給される動
作電圧と等しくする。
【作用】
デプリーション形のFETを用いず、エンハンスメント
形でしきい値電圧の異なる2個のFETを用いるので、そ
れらのしきい値電圧の差を、十分小さくできる(原理的
にはいくら小さくてもよい)。したがって、前記従来技
術に比べて2個のFETの特性を合せることは容易であ
り、従来よりもさらに安定な基準電圧を得ることができ
る。 電圧リミッタが多くの種類の負荷を駆動する必要があ
るとき、駆動回路を負荷に応じて複数個に分割し、それ
ぞれに位相補償を施すことによって、負荷の種類に応じ
た最適な位相補償が可能になる。また、半導体装置の動
作モードによって、駆動回路や位相補償回路の回路定数
を変化させたり、各動作モードごとに個別の駆動回路を
設け、それらの出力を接続して電圧リミッタの出力とし
たりすることによって、負荷の変動に対応した最適な位
相補償が可能になる。それによって動作の安定な電圧リ
ミッタ回路を作ることができる。 電圧リミッタ回路とその出力を電源として用いるパル
ス発生回路などの負荷回路とを近接して配置することに
より、これらの間の配線のインピーダンスを小さくする
ことができ、発生する雑音のレベルを抑えることができ
る。また、アドレス信号などの制御信号によって選択/
非選択の関係にある複数の負荷回路で1個の電圧リミッ
タ回路を共有することにより、電圧リミッタ回路の数を
減らすことができる。したがって、該回路の占有面積と
消費電力とを低減することができる。ここで、電圧リミ
ッタ回路は、負荷回路のうち選択状態にある回路だけを
駆動すればよい。したがって、共有することによって電
圧リミッタ回路の電流駆動能力を増加させる必要はな
い。 CMOS・LSIにおいて、ウェル中に形成されたMOSトラン
ジスタは、ウェル電圧を内部電源電圧VLとすることによ
り、バックゲートバイアス効果によるしきい値電圧の上
昇を防ぐことができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。 この説明は、理解を容易にする為に、第1,第2,第3の
グループに分け、この順に説明する。よって、それぞれ
のグループにおいて実際の超大規模集積回路への応用が
説明される。しかし、これは、これらのグループが全く
独立のものを意味するものでないことは、当業者であれ
ば、理解できるであろう。すなわち、これらのグループ
は、それぞれ組み合せて実施することが技術的に可能で
ある場合には、その組み合わせを当然に示唆しているの
である。更に、以下の説明で明らかになるが、第1,第
2、及び第3のグループは、互いに排せきしあう技術で
はなく、ほとんどの場合、組合せることにより、より相
乗的に効果を発揮する技術であることは、当業者であれ
ば、理解しうるであろう。 〔第1グループ〕 以下、本発明の第1のグループの実施例を図面により
説明する。以下の説明では正の基準電圧を発生する場合
について説明するが、トランジスタの極性等を逆にする
ことによって負の基準電圧を発生することもできる。 第1図(a)に本発明の第1の実施例の回路図を示
す。この回路は、NチャネルMOSFET・Q61〜Q63とPチャ
ネルMOSFET・Q64,Q65から成り、VDDは正電圧の外部電源
である。NチャネルMOSFETのうち、Q62とQ63は標準のし
きい値電圧VTEを持つエンハンスメント形FET(以下EMOS
と略す)であり、Q61はVTEよりも高いしきい値電圧VTEE
を持つエンハンスメント形FET(以下EEMOSと略す)であ
る。以下、この回路の動作を説明する。 PチャネルMOSFET・Q64とQ65とは、ゲートおよびソー
スを共有しており、いわゆるカレントミラー回路70を構
成している。すなわち、Q64のドレイン電流I1とQ65のド
レイン電流I2との比が一定になるように動作する。その
電流比(ミラー比)は、Q64とQ65との定数比によって定
まる。Q61〜Q63の定数が等しく、いずれも飽和領域で動
作しているとすると、次の3式が成り立つ。 ここでβEEはEEMOS(Q61)のコンダクタンス係数、β
はEMOS(Q62,Q63)のコンダクタンス係数、V1はノー
ド61の電圧である。(7)〜(9)式より、 V1=2VR ……(10) ここでαはカレントミラー回路70のミラー比(I1:I2
=α:1)である。特にQ64とQ65の定数が同一の場合はα
=1である。このとき、βEE≒βならば VR=VTEE−VTE ……(13) となる。すなわち、基準電圧VRとしてEEMOSとEMOSとの
しきい値電圧の差の電圧が得られ、これは外部電源VDD
の電圧に依存しない安定な電圧である。なお、VRのかわ
りにV1(=2VR)を基準電圧として用いてもよい。 この基準電圧発生回路の特徴は、前記の従来技術に比
べてMOSFETの特性を合せることが容易なことである。Q
61〜Q63を飽和領域で動作させるためには、VTEE≧2
VTE、すなわちVTEE−VTE≧VTEであればよい。しきい値
電圧差VTEE−VTEは従来に比べて小さく(たとえば0.7V
でき、チャネル領域の不純物プロファイルの相違を従来
に比べて小さくできるからである。 本発明による回路ではしきい値電圧の温度依存性dVT/
dTの差異を小さくできるので、温度に対しても安定な基
準電圧を得ることができるが、さらに温度依存性を小さ
くするにはミラー比αを調整すればよい。次にその方法
を説明する。(11)式を温度Tによって微分すると、 したがってdVTEE/dT=x・dVTE/dTとなるようにミラ
ー比αを設定すれば、基準電圧の温度依存性dVR/dT=0
にできる。 なお、本回路に用いるMOSFETのチャネル長は、ある程
度長い方が望ましい。たとえば、半導体装置の他の回路
でチャネル長1μm程度のMOSFETが用いられていたとし
ても、本回路ではそれよりも長い。たとえば5μm以上
のチャネル長のMOSFETを用いるのがよい。(7)〜
(9)式では簡単のため、飽和領域のドレイン電流はゲ
ート・ソース間電圧にのみ依存するとしたが、実際には
ドレイン・ソース間電圧によっても多少変化する。チャ
ネル長が長いほどこの変化の割合(ドレインコンダクタ
ンス)が小さく、したがって基準電圧の安定度が良くな
る。また、短チャネル効果によるしきい値電圧変動を抑
えるためにも、チャネル長は長い方がよい。 第1図(a),(b),(c)の回路では、基準電圧
を作るためのMOSFET・Q61〜Q63のバックゲートはそれぞ
れのソースに接続されているが、共通の基板端子に接続
するようにしてもよい。しかし、MOSFETのしきい値電圧
はバックゲート電圧によって変化するので、その影響を
避けるためにはソースに接続した方がよい。 ここで本発明に用いるカレントミラー回路について補
足しておく。カレントミラー回路は、第1図(a)の実
施例に用いられている2個のMOSFETから成る回路に限ら
れない。たとえば、第1図(b)または(c)の回路で
もよい。これらの回路はそれぞれカスコード形,ウィル
ソン形という名称で知られている回路である。これらの
回路の特徴は、ミラー特性が良いことである。すなわ
ち、第1図(a)のカレントミラー回路では、Q64とQ65
のドレイン・ソース間電圧の変化によってミラー比αが
わずかに変化するが、第1図(b)または第1図(c)
の回路ではその変化量が少ない。したがって、本発明に
適用した場合、ミラー比をより正確に設定でき、より安
定な基準電圧を得ることができる。また、カレントミラ
ー回路としては、第1図(d)に示すような、MOSFETの
かわりにバイポーラトランジスタを用いた回路でもよ
い。以下の実施例では、簡単のため、主として第1図
(a)のカレントミラー回路を用いた図を掲げてある
が、これらの実施例に第1図(b)〜(d)の回路を適
用してもよいことは言うまでもない。 第8図に本発明の第2の実施例を示す。この回路は第
1図(a)のQ63を抵抗R61で置き換えたものである。Q
61とQ62の定数が等しく、いずれも飽和領域で動作して
いるとすると、次の3式が成り立つ。 これらの式より、ミラー比α=1,βEE≒βとして計
算すると、 VR=VTEE−VTE ……(18) となり、基準電圧VRとしてEEMOSとEMOSとのしきい値電
圧の差の電圧が得られる。 本実施例の特徴は、EEMOSとEMOSとのしきい値電圧の
差を、第1図(a)の場合よりもさらに小さくできる
(原理的にはいくら小さくてもよい)ことである。その
ため、MOSFETの特性を合せることがさらに容易である。
ただし、通常のMOSプロセスでは、一般に抵抗よりもMOS
FETの方が占有面積が小さくできるので、しきい値電圧
差がある程度大きくてもよい場合は第1図(a)の実施
例の方が望ましい。 第9図(a)に本発明の他の実施例を示す。第1図
(a)の実施例との相違点は、電流I1とI2との比を一定
に保つ方法にある。第1図(a)の場合は、カレントミ
ラー回路70が直接I1とI2の比を一定に保っていたが、本
実施例では2組のカレントミラー回路71および72が間接
的にこれを実現する。すなわち、4個のNチャネルMOSF
ETから成るカレントミラー回路71(これは前述のカスコ
ード形である)がI2とI3とを一定比に保つと同時に、2
個のPチャネルMOSFETから成るカレントミラー回路72が
I3と(I1+I2)とを一定比に保つ。これによりI1とI2
の比が一定に保たれる。たとえば、回路71のミラー比を
I2:I3=1:1、回路72のミラー比をI3:(I1+I2)=1:2と
すれば、I1:I2=1:1となる。 本実施例の特徴は、Q62のドレイン・ソース間電圧が
ほぼ一定になることである。第1図(a)の実施例で
は、Q62のドレイン(ノード62)の電圧はほぼVDD−|VTP
|(VTPはPチャネルMOSFETのしきい値電圧)であり、こ
れは外部電源電圧VDDの変動によって変化する。ドレイ
ン電圧の変化は、ドレインコンダクタンスによるドレイ
ン電流の変化をもたらし、基準電圧VRの変動を招く。そ
れに対して本実施例では、Q62のドレイン電圧は2VRに保
たれているので、VDDに対してより安定な基準電圧を得
ることができる。 第9図(b)の回路も同様な趣旨の実施例である。こ
の回路では、2個のEEMOSから成るカレントミラー回路7
3がI2とI4とを一定比に保ち、2個のPチャネルMOSFET
から成るカレントミラー回路72が、I4と(I1+I2)とを
一定比に保つことにより、I1とI2の比が一定に保たれ
る。 これまでの実施例は、いずれもNチャネルMOSFETのし
きい値電圧差を基準とする回路であったが、Pチャネル
MOSFETのしきい値電圧差を、基準とすることもできる、
第10図(a),(b)にその例を示す。Q74は標準のし
きい値電圧VTPを持つPチャネルMOSFETであり、Q73はV
TPよりも低い(負で絶対値が大きい)しきい値電圧VTPE
を持つPチャネルMOSFETである。Q74とQ73がいずれも飽
和領域で動作しているとすると、次の2式が成り立つ。 ここでV3はノード63の電圧、βPEはそれぞれ
Q73,Q74のコンダクタンス係数である。これらの式よ
り、I1:I2=1:1、βPE≒βとして計算すると、 VR=VTP−VTPE ……(21) となり、基準電圧VRとしてPチャネルMOSFETのしきい値
電圧差が得られる。 本実施例は、P形の基板上に形成される半導体集積回
路であって安定な基準電圧を必要とするものに組み込む
のに好適である。前述のように、基準電圧を作るための
MOSFETのバックゲートはそれぞれのソースに接続するこ
とが望ましい。しかし、P形の基板上の半導体集積回路
では、NチャネルMOSFETは基板上に直接形成され、その
バックゲートはすべて共通の基板端子に接続されるのが
普通である。したがって基板電圧が変動すると、Nチャ
ネルMOSFETのしきい値電圧が変化する。それに対して、
PチャネルMOSFETはN形のウェル内に形成されるので、
各MOSFETのバックゲート(ウェル)をソースに接続する
ことによって、基板電圧変動の影響を受けないようにす
ることができる。たとえば、DRAMでは、P形の基板を用
い、チップ上に設けた基板電圧発生回路で発生した電圧
(通常−3V程度)を基板に印加するのが普通である。し
かしこの基板電圧は、外部電源電圧の変動やメモリの動
作によって変動しやすい。このような場合には、本実施
例の回路が特に有効である。逆に、N形の基板上に形成
される半導体集積回路では、NチャネルMOSFETのしきい
値電圧差を基準とする回路の方がよい。 第10図(b)も同様にPチャネルMOSFETのしきい値電
圧差を基準とする回路である。これまでの実施例との相
違点は、動作点(動作電流)の設定方法にある。これま
での実施例は、基準電圧発生回路内で自動的に動作点が
定まる、いわゆるセルフバイアス方式の回路であった。
しかし、本回路では、動作点を設定するための回路76が
独立に設けられている。動作点設定回路76に流れる電流
I5は、主として抵抗R62(MOSFETで置換してもよい)に
よって定まる。基準電圧発生回路の動作電流I1およびI2
は、I5と2組のカレントミラー回路72および75によって
定まる。たとえば、回路72のミラー比をI5:(I1+I2
=1:2、回路75のミラー比をI5:I2=1:1とすれば、I1=I
2=I5となる。 本回路は、動作点設定回路が独立しているので、セル
フバイアス方式の回路よりも、デバイスのばらつきによ
る動作点の変動が少なく、したがって消費電流のばらつ
きが少ないという特徴がある。 なお、セルフバイアス方式の回路では、起動回路を付
けておくことが望ましい。起動回路とは、回路が望まし
くない安定点に陥るのを防止するための回路である。た
とえば第9図(a)の回路では、望ましい安定点は前述
のように正常にVRを発生している状態にあり、このとき
ノード63の電圧V3=2VR、ノード64の電圧V4≒VDD−|VTP
|である。しかし、これ以外にもI1=I2=0という安定
点があり、このときV3=0、V4=VDD、VR=0である。
回路がこの安定点に陥るのを防ぐには、たとえば第11図
に示すような起動回路77を付ければよい。PチャネルMO
SFET・Q75,Q76および抵抗R63(MOSFETによって置換して
もよい)は電流源を構成している。回路が望ましくない
安定点にあるときはV3=0でEEMOS・Q77は非常通状態で
あるから、ノード60が電流源によって充電される。する
とQ78が導通状態になってノード63の電圧を上昇させ、
回路を望ましくない安定点から脱出させるように働く。
回路が望ましい安定点に到達するとV3がVTEEを越えてQ
77が導通状態になり、ノード60の電圧が下がる。すると
Q78は非導通状態になり、基準電圧発生回路本体の動作
には影響を及ぼさなくなる。 次に、本発明をDRAMに適用した例を示す。第12図は、
メモリアレーを外部電源電圧VCCよりも低い内部電圧VL
で動作させるために、オンチップ電圧リミッタを設けた
DRAMの構成図である。内部電圧VLを発生するために、本
発明による基準電圧発生回路を用いている。図中、6は
本発明による基準電圧発生回路、24は差動アンプ、7aお
よび7bはバッファ、30はワード線昇圧回路、2はメモリ
セルMCを縦横に配列したメモリアレー、33はセンスアン
プ、31はワードドライバである。 差動アンプ24と2個の抵抗R21,R22は、基準電圧発生
回路6の出力電圧VRから、次式のようにメモリアレーの
動作電圧VR′を作るための回路である。 VRは、前述のようにFETのしきい値電圧差を基準とし
ているため、必ずしもメモリアレーの動作電圧として適
当な電圧であるとは限らない。そのためにこの回路によ
ってVRからVR′への変換を行っている。たとえば、VR
1V,VR′=3Vならば、R21:R22=2:1とすればよい。ま
た、R21とR22を可変にして、VR′の微調整、いわゆるト
リミングができるようにしてもよい。トリミングの方法
としては、たとえば前記米国特許に記載されている方法
を用いることができる。 バッファ7aおよび7bは、VR′の電流駆動能力を高める
ための回路である。バッファは、MOSFET・Q21〜Q24と電
流源I25から成る差動アンプと、MOSFET・Q26と電流源I
27から成る出力段によって構成されている。なお、7bの
構成は7aと同一なので、図では記載を省略してある。こ
の回路は、出力段から差動アンプの入力へフィードバッ
クがかかっているので、出力VL1,VL2の電圧が入力電圧V
R′に追随するように動作する。すなわち、電圧値はそ
のままで駆動能力の大きな出力VL1,VL2を得ることがで
きる。VL1,VL2は、それぞれセンスアンプ,メモリセル
のワード線を駆動するのに用いられる。本実施例では、
ワード線電圧をメモリアレーの動作電圧(ここでは
VL1)よりも高くする、ワードブーストと呼ばれる手法
を用いている。そのために、ワード線昇圧回路30を設け
てある。そのために、ワード線昇圧回路30を設けてあ
る。ただし、30の電源は、外部電源VCCではなく内部電
源VL2である。したがって、ワード線駆動信号φはVL2
を基準に昇圧される。ワードドライバ31は、φとデコ
ーダ出力XDとを受けて、ワード線WLを駆動する。 本実施例に用いられているセンスアンプ33は、Pチャ
ネルMOSFET・Q125,Q126とNチャネルMOSFET・Q127,Q128
から成る、通常のCMOSセンスアンプである。33は、φ
を高レベルに、/φを低レベルにしてMOSFET・Q136,Q
137を導通させることにより、起動される。ただし、Q
137のソースは、外部電源VCCではなく内部電源VL1に接
続されているので、33が動作することにより、データ線
の高レベル側はVL1に、低レベル側は接地電位になる。
すなわち、データ線の振幅はVL1に抑えられる。 次に、本発明をDRAMに適用した他の実施例を紹介す
る。第13図は本発明を適用した16MビットDRAMの回路
図、第14図はチップ内レイアウト図、第15図は電圧リミ
ッタ13の詳細レイアウト図である。なお、レイアウト図
においては、簡単のため、一部の回路は記載を省略して
ある。図中、1は半導体チップ、2はメモリアレー、31
はワードドライバ、32はロウデコーダ、33はセンスアン
プ、34はデータ線プリチャージ回路、35はデータ線選択
回路、36Lおよび36Rはスイッチ回路、37はカラムデコー
ダ、38はメインアンプ、39はデータ出力バッファ、40は
データ入力バッファ、41は書込み回路、42はロウアドレ
スバッファ、43はカラムアドレスバッファ、44はタイミ
ング発生回路、45はセンスアンプ駆動信号発生回路、46
はワード線電圧発生回路、47はデータ線プリチャージ電
圧発生回路、48は基板電圧発生回路である。電圧リミッ
タ回路13の中の6は本発明による基準電圧発生回路、6a
は電圧変換回路、7a,7b,7cは駆動回路、4a,4b,4cは接地
VSSのボンディングパッド、5a,5bは外部電源電圧VCC
ボンディングパッドである。基準電圧発生回路6は外部
電源電圧VCC(ここでは5V)に対して安定化された電圧V
R(ここでは1.1V)を発生し、電圧変換回路6aはそれをV
R′(ここでは3.3V)に変換する。駆動回路は、VR′を
もとに、メモリアレー用の電源電圧VL1、周辺回路用の
電源電圧VL2を発生する。この例では、VL1,VL2の電圧レ
ベルは、ともに3.3Vである。 本実施例の第1の特徴は、周辺回路にも電圧リミッタ
回路を適用したことである。VL1は45および47に、VL2
32,37,38,40,41,42,43,44,46,48にそれぞれ供給され
る。すなわち、データ出力バッファ39以外の回路は内部
電源電圧VL1もしくはVL2で動作する。周辺回路をも外部
電源電圧VCCよりも低い安定化された電圧VL1で動作させ
ることにより、周辺回路で消費される電力を低減するこ
とができ、またその動作を安定化することができる。 本実施例の第2の特徴は、電圧リミッタ回路13を半導
体チップの中央に配置したことである。これにより、内
部電源電圧VL1,VL2の配線11a,11bのインピーダンスによ
る電圧降下が小さくなる。そのため、VL1,VL2を電源と
する回路の動作が安定かつ高速になる。 本実施例の第3の特徴は、接地配線の方法にある。ま
ず、基準電圧発生回路および電圧変換回路用としては、
専用の短い接地配線8を設ける。次に、駆動回路用とし
ては接地配線9aおよび9bを設ける。そして、電圧リミッ
タ回路用のボンディングパッド4bは、他の回路用のボン
ディングパッド4a,4cとは別に設ける。これにより、各
回路が動作するときに流れる電流によって接地配線上に
発生する雑音が、他の回路に悪影響を与えるのを防止で
きる。特に、基準電圧発生回路および電圧変換回路の接
地配線に雑音が生ずると、内部電源電圧VL1,VL2のレベ
ルが変動し、チップ内のほとんどすべての回路に影響を
与えるので、この配線8は極力短くし、かつ他の接地配
線とは分離しておくことが望ましい。そのためには、ボ
ンディングパッドから別にしておくのが最も望ましい
が、ボンディングパッドは共通にして配線の取り出し部
から分離するという方式でもよい。また、図には示して
いないが、メモリアレー用の接地配線も、他の配線とは
分離しておくことが望ましい。なぜならば、DRAMでは、
センスアンプが増幅動作を行うとき、多数のデータ線
(その容量は通常合計数千pF)が同時に充放電され、接
地配線に大きな雑音が発生するからである。 本実施例の第4の特徴は、電源配線の方法にある。外
部電源電圧VCC用のボンディングパッドは、メモリアレ
ー用の5aと、周辺回路用の5bとで別に設ける。メモリア
レー用の駆動回路7aは5aに、周辺回路用の駆動回路7b,7
cは5bにそれぞれ近接して配置する。これにより、電源
配線10a,10bでの電圧降下を低減できる。もちろんこの
電圧降下分は各駆動回路で吸収するようになっている
が、降下分があまりに大きいと吸収しきれなくなり、内
部電源電圧VL1もしくはVL2の低下を招くことがある。こ
れを防ぐためには、本実施例のように、配線10a,10bの
インピーダンスを小さくすることが望ましい。周辺回路
用とメモリアレー用とでボンディングパッドを別に設け
たのは、上述の接地の場合と同様、回路が動作するとき
に流れる電流によって電源電線上に発生する雑音が、他
の回路に悪影響を与えるのを防止するためである。基準
電圧発生回路および電圧変換回路用の電流は、ここでは
5bから配線しているが、もちろん別のボンディングパッ
ドを設けてもよい。 なお、図には示していないが、データ出力バッファ用
の接地配線および電源配線も、他の接地配線および電源
配線とはそれぞれ分離しておくことが望ましい。なぜな
らば、データ出力バッファが動作するときには外部負荷
(通常数百pF)が充放電されるため、接地配線および電
源配線(データ出力バッファは外部電源電圧VCCで直接
動作する)に大きな雑音が発生するからである。 以下、本実施例の各部について詳細に説明する。 まず、基準電圧発生回路6について述べる。基準電圧
発生回路としては、第1図(a)〜(d),第8図〜第
11図に示した回路を用いることができる。ここで、前述
のように、基板電位変動の影響を少なくするためには、
各MOSFETのバックゲートはそれぞれのソースに接続する
ことが望ましい。たとえば第10図(a),(b)の回路
では、PチャネルMOSFET・Q73とQ74とのしきい値電圧差
が基準電圧VRとなる。この場合は、Q73とQ74としては、
たとえば第16図(a),(b)に示す構造のPチャネル
MOSFETを用いればよい。同図第16図(a)はレイアウト
図、第16図(b)は断面図である。図中、101はP形の
半導体基板、102はN形ウェル、103はN+拡散層、107
はP+拡散層、104はアイソレーション用のSiO2、106は
ゲートとなる多結晶シリコンもしくは金属、113は層間
絶縁膜、108は配線層、115は保護膜、116はコンタクト
孔である。ソース拡散層(図の左側のP+拡散層)とN
ウェルとが、配線層108によって接続されている。この
端子が第10図(a),(b)の回路図のノード66に相当
する。この構造は通常のCMOSプロセスで作ることができ
る。第17図(a),(b)は、ウェルを二重構造にした
例である。図中、111はN形の基板、112はP形のウェル
である。このようにウェルを二重構造にして、外側のウ
ェル112の電位を固定(たとえば接地)することによ
り、基板111とMOSFETのバックゲート102とが静電的にシ
ールドされる。したがって、それらの間の寄生容量を介
した干渉雑音を防止でき、基板電位変動の影響をほぼ完
全になくすることができる。なお、基板111はたとえば
外部電源VCCに接続すればよい。この構造は通常のCMOS
プロセスにウェルを形成する工程を一つ追加するだけで
作ることができ、比較的低コストで大きな効果が得られ
る。 第1図(a)〜(d)、第8図、第9図(a),
(b)、第11図の回路では、NチャネルMOSFET・Q61とQ
62とのしきい値電圧差が基準電圧となる。これらの回路
を用いる場合は、第16図(a),(b)または第17図
(a),(b)において導電形を逆にした構造のNチャ
ネルMOSFETを用いればよい。 基準電圧を発生するための一対のMOSFET第10図
(a),(b)の場合はQ73とQ74、第1図(a)〜
(d)、第8図、第7図(a),(b)、第11図の場合
はQ61とQ62)のレイアウトパターンは、幾何学的に合同
な図形とし、配置する方向も同一にするのが、製造プロ
セスのばらつきの影響を少なくする意味で望ましい。た
とえば、ソース・ドレイン拡散層上のコクタクト孔の配
置方向を同一にすることにより、拡散層抵抗の影響を同
じにすることができる。また、チャネルの方向を同じに
することにより、結晶面方向による移動度の差の影響を
なくすことができる。 次に、電圧変換回路6aについて述べる。電圧変換回路
の一実現方法を第18図に示す。図中、24は差動増幅器、
25はトリミング回路、Q39〜Q47およびQ49はPチャネルM
OSFET、F4〜F7はヒューズである。これに関連する実施
例が第35図,第37図,第39図(a)で説明されるので、
これを参照すれば、一層明らかになるであろう。この回
路は、基準電圧VRの定数倍の電圧VR′を発生する。ま
た、製造プロセスなどによるVRのばらつきを補償するた
めの電圧の微調整(トリミング)が可能である。 差動増幅器24の入力端子の一方には、VRが入力され、
他方にはVR′をMOSFETQ44〜Q47およびQ39〜Q42によって
分割した電圧VR″が帰還されている。24の増幅率が十分
大きいとすれば、出力電圧VR′は次式で与えられる。 ここで、RT1はQ44〜Q47から成る回路を等価的に抵抗
とみなしたときの抵抗値、RT2はQ39〜Q42から成る回路
を等価的に抵抗とみなしたときの抵抗値である。ヒュー
ズを切断することによりRT1,RT2が変わるので、VR′を
調整することができる。VR,VR′の標準値は、前述のよ
うにそれぞれ1.1V,3.3Vであるから、ヒューズを切断し
ないときはRT1:RT2=2:1としておく。VR>1.1Vのときは
F4〜F6を切断することによりRT2を大きくし、VR<1.1V
のときはF7を切断することによりRT1を大きくして、
VR′が標準値から大きくはずれないように調節すること
ができる。 MOSFET・Q49およびQ50はテストモードのときにVR′=
0Vとするためのものである。テストモードのときは信号
TEがVCCレベルになり、出力VR′は0Vになる。 第18図に示した回路は、米国特許第4100437号に記載
されている回路に比べて、通常のMOSプロセスで作った
場合の占有面積が小さいという利点がある。すなわち、
米国特許に記載されている回路では、出力電圧VR′を分
割するための素子として、抵抗を用いていたのに対し、
第18図の回路ではMOSFETを用いている。回路の消費電流
を低減するためには、電圧分割用素子の等価抵抗はかな
り大きく(数百kΩ程度)なければならない。通常のMO
Sプロセスでは、抵抗よりもMOSFETの方が、小面積で等
価抵抗の大きい素子が得られる。ただし、MOSFETを用い
ると、そのしきい値電圧の変動によってVR′の特性が変
動することが懸念されるが、MOSFETのチャネル幅・チャ
ネル長を十分大きくしてばらつきを抑え、バックゲート
をソースに接続して基板電位変動の影響を回避し、さら
にしきい値電圧のばらつき分も見込んでヒューズの切断
方法を選択することにより、解決できる。なお、このト
リミングに用いるMOSFETは、基板電位変動の影響を少な
くするため、第16図(a),(b)または第17図
(a),(b)に示した構造にすることが望ましい。 基準電圧VR,VR′の端子には、接地との間に大きな容
量のキャパシタを付加しておくのが望ましい。これは、
VR,VR′の高周波に対するインピーダンスを低減させ、
高周波雑音をバイパスさせるためである。特に、第15図
のように、VR′の配線12aがやむを得ず他の配線と交差
する場合には、電圧リミッタ回路の動作を安定化する
(発振を防止する)意味もある。この理由を第19図を参
照して説明する。 駆動回路7a,7bは、それぞれVR′から電流駆動能力の
大きい電圧VL1,VL2を作る。このVL1,VL2自体、あるいは
パルス発生回路14のようなVL2を電源として動作する回
路の出力(その電圧レベルはVL2)の配線16がVR′の配
線が、VR′の配線12aと交差していると、17a〜17cに示
すように、配線間の寄生容量CC3を介した帰還ループが
生ずる。このループの利得が1(0dB)より大きいと回
路は発振し、1より小さくても余裕が少ないと回路動作
が不安定になる。これを防止するためには、VR′と接地
との間にCC1〜CC3よりも十分大きなキャパシタCR1,CR2
を挿入し、ループの利得を十分小さく(たとえば−10dB
以下)しておけばよい。 ここで用いるキャパシタの実現方法の一例を第20図
(a),(b)に示す。第20図(a)はレイアウト図、
第20図(b)は断面図である。図中、101はP形の半導
体基板、102はN形のウェル、103はN+拡散層、104は
アイソレーション用のSiO2、105はゲート絶縁膜、106は
ゲートとなる多結晶シリコンもしくは金属、113は層間
絶縁膜、108は配線層、115は保護膜、116はコンタクト
孔である。キャパシタは、通常のMOSキャパシタと同じ
ように、ゲート絶縁膜をはさんで、ゲート106と基板表
面102aとの間に形成される。キャパシタ絶縁膜として薄
いゲート絶縁膜を用いているために、比較的小面積が大
きな静電容量が得られるのが特徴である。ただし、通常
のMOSキャパシタと異なる点は、ゲート下にNウェルが
あるためにしきい値電圧(フラットバンド電圧)が負で
あることである。したがって、ゲート側が正になるよう
に一方向の電圧が印加されるかぎり、その収電容量はほ
とんど一定であるという特徴がある。このキャパシタを
作るのに必要な工程は、ウェル形成,アイソレーション
領域形成,ゲート絶縁膜形成,ゲート形成,拡散層形
成,および配線の各工程であるが、これらはいずれも通
常のCMOSプロセスに含まれている工程である。したがっ
て、CMOSプロセスで製造される半導体装置ならば、本キ
ャパシタを作るために特に工程を追加する必要はない。 駆動回路7a,7bの一実現方法を第21図(a)に示す。
図中、21は差動増幅器であり、MOSFET・Q21〜Q25から成
る。22は出力段であり、MOSFET・Q26,Q27から成る。CL
は駆動回路の負荷(メモリアレーもしくは周辺回路)を
等価的に1つのキャパシタで表したものである。差動増
幅器21の2個の入力端子のうち、一方には基準電圧VR
が入力され、他方には出力段からVL1(VL2)が帰還され
ている。したがって、この回路はVL1(VL2)がVR′に追
随するように動作する。23は21,22から成る帰還増幅器
の動作を安定にするための、いわゆる位補償回路であ
る。MOSFET・Q28〜Q30は、駆動回路が非活性状態のとき
出力を高インピーダンスにするため、およびテストモー
ドのときにVL1(VL2)をVCCレベルにするためである。
すなわち、非活性状態のときはテスト信号TEが低レベ
ル、活性化信号φ′(φ′)が低レベルであり、Q
26のゲートVCCレベルになり、出力VL1(VL2)が高イン
ピーダンスになる。また、このときはQ25,Q27が非導通
状態になるため、回路の消費電力が低減される。テスト
モードのときは、TEがVCCレベルになり、Q6のゲートが
低レベルになり、VCCが直接出力される。駆動回路7cの
一実現方法を第21図(b)に示す。この回路でも、活性
化信号φ′が低レベルのときは、出力は高インピーダ
ンスになる。なお、この回の位相補償回路は7bのそれで
兼用できる(7bと7cは並列に接続されているため)の
で、ここには特に位相補償回路は設けていない。 前述のように、駆動回路7aはVL1を、7bと7cとはVL2
発生するための回路である。通常状態では、7cは常に活
性化され、7aと7bはメモリが動作状態のときのみ活性化
される。そのため、活性化信号φ′は常にVCCレベ
ル、φ′とφ′とはメモリの動作タイミング(タイ
ミングの詳細は後述に従ってVCCレベルになる。テスト
モードのときは、φ′,φ′,φ′はすべて低レ
ベルになり、テスト信号TEがVCCレベルになる。このと
きVL1とVL2は共にVCCに等しくなる。これは、外部電源
電圧を直接印加して、メモリの動作(たとえばアクセス
時間の電源電圧依存性)を調べるのに有効である。電源
投入直後はVL1とVL2の立上りを早くするために、
φ′,φ′,φ′をすべて活性化することが望ま
しい。また、後述のように、VL2はワード線電圧VCHおよ
び基板電圧VBBを発生するのに用いられる。そこで、VCH
およびVBBの電圧レベルが標準値から外れたときに
φ′を活性化するようにすると、これらの電圧の安定
度をよくすることができる。なお、活性化信号φ′,
φ′,φ′およびテスト信号TEの高レベルをVL2
なくVCCとしているのは、PチャネルMOSFET・Q28,Q29
確実に非導通状態にするためである。 駆動回路7aと7bとは、電流駆動能力が大きくなければ
ならない。メモリが動作状態のとき、7aと7bとは大きな
(数百〜数千pF)負荷容量を駆動する必要があるからで
ある。特に7aは、センスアンプが増幅動作をするとき、
多数のデータ線を駆動しなければならない。たとえば、
データ線1本の容量を0.3pF、同時に動作するセンスア
ンプの数を8192とすると、合計の容量は2500pFにもな
る。そのため、7a,7bの出力MOSFET・Q26としては、たと
えばチャネル幅/チャネル長が3000μm/1.2μm程度の
ものを用いる。7cは、メモリが待機状態のときにリーク
電流を保証する程度の電流駆動能力があればよいので、
その出力MOSFETは100μm/1.2μm程度でよい。 接続回路15は、VL1とVL2との電位差が大きくなりすぎ
ないようにするためのものである。VL2とVL1との電位差
が大きいと、メモリアレーと周辺回路との間で信号の授
受のミスマッチが起こりうるからである。この回路の一
例を第22図に示す。図中、Q1,Q2,Q5はNチャネルMOSFE
T、Q4はPチャネルMOSFETである。NチャネルMOSFETの
しきい値電圧をVTNとすると、Q1はVL1−VL2>VTNのとき
に、Q2はVL2−VL1>VTNのときにそれぞれ導通する。し
たがって、VL1とVL2との電位差はVTN以内に保たれる。Q
5のゲートには電源投入直後にのみ高レベルになる信号W
Kが入力されている。これは特に、VL1とVL2との負荷の
時定数が大きく異なる場合に、電位差が生ずるのを防止
するのに有効である。Q1,Q2,Q5がいずれも非導通の場合
でも、コンダクタンスの比較的小さいMOSFET・Q4は導通
している。これは、たとえばメモリが待機状態にある間
に、VL1=VL2とする役割を果たす。 メモリアレー2内には、MOSFETQ121とキャパシタC122
から成る、いわゆる1トランジスタ・1キャパシタ形ダ
イナミックメモリセルMCijが、ワード線WLiとデータ線D
Ljとの交点に配置されている。図にはワード線は2本、
データ線は1対しか示していないが、実際には縦横に多
数配置されている。キャパシタC122の一端PL(プレー
ト)は直流電源に接続する。その電圧レベルは任意であ
るが、キャパシタC122の耐圧の観点からは、メモリアレ
ーの動作電圧の1/2、すなわちVL1/2が望ましい。 ワードドライバ31は、ロウデコーダ32の出力を受け
て、選択されたワード線を駆動する回路である。本実施
例では、ワード線電圧をメモリアレーの動作電圧(ここ
ではVL1=3.3V)よりも高くする。いわゆるワード線昇
圧方式を採用している。この方式の利点は、メモリセル
の蓄積電圧を大きくできることである。そのため、ワー
ド線電圧発生回路46で作られた電圧VCH(VCH>VL1)を
選択されたワード線に供給する。 センスアンプ33は、データ線上の微小信号を増幅する
ための回路であり、NチャネルMOSFET・Q125,Q126から
成るフリップフロップと、PチャネルMOSFETQ127,Q128
から成るフリップフロップによって構成されている。セ
ンスアンプはφを高レベル、/φを低レベルとして
MOSFETQ136,Q137を導通状態にすることによって、活性
化される。 データ線プリチャージ回路34は、メモリセル読出しに
先立って各データ線を所定の電圧VPに設定するための回
路である。プリチャージ信号φを印加することによっ
て、MOSFETQ129〜Q131が導通状態になり、データ線DLj/
DLjの電圧はVPに等しくなる。なお、データ線プリチャ
ージ電圧VPは任意の電圧でよいが、データ線充放電電流
を低減する観点からは、メモリアレーの動作電圧の1/
2、すなわちVL1/2にするのが望ましい。 データ線選択回路35は、カラムデコーダ37の出力φYS
を受けて、選択されたデータ線対をMOSFET・Q132,Q133
を通して入出力線I/O,/I/Oに接続する回路である。本実
施例では、カラムデコーダ37は端に1個だけ配置し、そ
の出力φYSを複数のデータ線選択回路に分配するとい
う、いわゆる多分割データ線と呼ばれる手法を用いてい
る。これはカラムデコーダの占有面積低減に有効であ
る。 本実施例では、センスアンプ33,データ線プリチャー
ジ回路34,データ線選択回路35を左右のメモリアレーで
共有する、いわゆるシェアドセンス,ジェアドI/Oと呼
ばれる手法を採用している。これは、33,34,35を共有す
ることにより、その占有面積を低減するのに有効であ
る。そのため、メモリアレーと33,34,35との間に、スイ
ッチ信号φSHLおよびφSHRによって制御されるスイッチ
回路36Lおよび36Rが設けられている。 メインアンプ38,データ出力バッファ39,データ入力バ
ッファ40,書込み回路41は、データの入出力のための回
路である。読出しの場合は、センスアンプ33にラッチさ
れているデータが、入出力線,メインアンプ38,データ
出力バッファ39を介して、データ出力端子Dontに出力さ
れる。書込みの場合は、データ入力端子Dinから入力さ
れたデータが、データ入力バッファ40,書込み回路41を
介して入出力線に設定され、さらにデータ線選択回路3
5,データ線を通してメモリセルに書き込まれる。本実施
例では、前述のように、38,40,41は内部電源電圧YL2
動作させて、消費電力の低減と動作の安定化を図ってい
る。データ出力バッファ39のみは、外部インタフェース
(ここではTTLコンパチブル)の都合上、外部電源電圧V
CC(=5V)で動作されている。 ロウアドレスバッファ42,カラムアドレスバッファ43
は、外部アドレス信号Aを受けて、それぞれロウデコー
ダ32,カラムデコーダ37にアドレス信号を供給する回路
である。タイミング発生回路44は、外部制御信号/RAS,/
CAS,/WEを受けて、メモリの動作に必要なタイミング信
号を発生する回路である。これらの回路も、内部電源電
圧VL2で動作させて、消費電力の低減と動作の安定化を
図っている。 ワード線電圧発生回路46は、前述のように、ワード線
電圧VCH(ここでは約5V)を発生する回路である(後述
のようにこの電圧はスイッチ回路でも使用される)。デ
ータ線プリチャージ電圧発生回路47は、データ線プリチ
ャージ電圧VP)(ここでは1.65V)を発生する回路であ
る。基板電圧発生回路48は、半導体基板に印加する電圧
VBB(ここでは−2V)を発生する回路である。これらの
回路の電源は、VCCではなく、安定化されたVL1もしくは
VL2である。そのため、VCCが変化しても出力電圧の変動
が少ないという利点がある。 次に、このDRAMの読出しの場合の動作を、第23図の動
作波形図を参照しながら説明する。 待機状態(/RAS,/CASともに高レベル)のときは、デ
ータ線プリチャージ信号φおよびスイッチ信号φSHL,
φSHRがともに高レベル(=VL2)であり、データ線DL,/
DLがVPに設定されている。また、センスアンプ駆動信号
φSANSAPおよび入出力線I/O,/I/OもVPにプリチャー
ジされている(これらのプリチャージ回路は第13図には
示されていない)。この状態では、電圧リミッタの駆動
回路活性化信号のうち、φ′のみが高レベル(=
VCC)、φ′,φ′は低レベルである。したがっ
て、消費電力の小さい待機時用の駆動回路7cのみが活性
化されており、これによって内部電源電圧VL2のレベル
が保持されている。また、接続回路15を通してVL1のレ
ベルも保持されている。電流駆動能力が大きいが消費電
力も大きい7a,7bは非活性状態である。こうすることに
より、待機時の消費電力を低減することができる。 /RASが低レベルになると、まず周辺回路用の駆動回路
活性化信号φ′が高レベル(=VCC)になる。これに
より、電流駆動能力の大きい7bが活性化され、VL2を電
源として動作する周辺回路に大電流を供給できるように
なる。プリチャージ信号φが低レベル(=0V)にな
り、選択されたメモリアレー側のスイッチ信号(第23図
の場合はφSHL)はVCHレベルまで昇圧され、反対側のス
イッチ信号(第23図の場合はφSHR)は0Vとなる。φSHL
を昇圧するのは、次のような理由による。センスアンプ
の電圧振幅は後述のようにVL1であるが、φSHLのレベル
がVL2であると、データ線の電圧振幅がVL2−VTNに低下
し、その結果メモリセルの蓄積電圧もVL2−VTNに低下し
てしまう(VTNはNチャネルMOSFET・Q123,Q124のしきい
値電圧)。φSHLを昇圧することによってこれを防止
し、メモリセルの蓄積電圧を確保することができる。 次に、ロウアドレスバッファ42およびロウデコーダ32
が動作すると、1本のワード線WLiが選択され、その電
圧がVCHになる。WLi上の各メモリセルから各データ線に
信号電荷が読出され、データ線の電位が変化する。第18
図の動作波形は、メモリセルのキャパシタにあらかじめ
高電位(≒VL1)が蓄積されていた場合の例であり、デ
ータ線DLjの電位がわずかに上昇し、/DLjとの間に電位
差を生じている。 センスアンプの動作に先立って、メモリアレー用の駆
動回路活性化信号φ′が高レベル(=VCC)になる。
これにより、駆動回路7aが活性化され、VL1を電源とし
て動作するセンスアンプ駆動信号発生回路45に大電流を
供給できるようになる。次に、φが高レベル(=
VL2)、/φが低レベル(=0V)になる。これによ
り、MOSFET・Q136,Q137が導通状態になり、φSANはQ136
を通して接地され、φSAPはQ137を通してVL1に接続され
る。これによって、データ線DLj,/DLj間の微小な電位差
が増幅され、一方(第23図の場合はDLj)はVL1に、他方
(第23図は▲▼)は0Vになる。 ▲▼が低レベルになると、カラムアドレスバッ
ファ43,カラムデコーダ37が動作し、1本のデータ線が
選択される。これにより、データ線選択信号φYSが高レ
ベル(=VL2)になり、データ線選択回路35を通してデ
ータ線が入出力線に接続される。センスアンプ33にラッ
チされていたデータは、入出力線,メインアンプ38,デ
ータ出力バッファ39を介して、データ出力端子Dontに出
力される。 ▲▼が高レベルに戻ると、まずワード線WLi
低レベルになり、φS,▲▼,φSHLSHRが元
のレベルに復帰する。メモリアレー用の駆動回路活性化
信号φ′はここで低レベル(=0V)になり、駆動回路
7aが非活性状態になる。さらに、▲▼が高レベル
に戻ると、周辺回路用の駆動回路活性化信号φ′も低
レベル(=0V)になり、駆動回路7bが非活性状態にな
る。 以上の説明から明らかなように、駆動回路の活性化信
号φ′およびφ′は、それぞれ必要なときにのみ高
レベルになる。すなわち、φ′はセンスアンプの動作
開始直前から▲▼が高レベルに戻るまで、φ
は▲▼または▲▼が低レベルにあるとき
に、それぞれ高レベルになる。これにより、駆動回路7
a,7bで消費される電力の低減が実現できる。 以上説明したように、本実施例によれば、デプリーシ
ョン形のFETを用いず、エンハンスメント形のFET同士の
しきい値電圧差を基準とする基準電圧発生回路を作るこ
とができる。エンハンスメント形のFET同士の特性を合
せることはデプリーション形とエンハンスメント形のFE
Tの特性を合せることよりも容易であるから、従来より
も安定な基準電圧を得ることができる。したがって、た
とえば前述のメモリLSIの電圧リミッタに適用した場
合、より安定な内部電源電圧を発生することができる。 〔第2グループ〕 以下、図面を参照して本発明の第2のグループの実施
例を説明する。以下の説明では、主として本発明をMOS
技術による半導体装置に適用した例を示すが、本発明は
他の半導体装置、たとえばバイポーラやBiCMOS技術によ
る半導体装置にも適用できる。また、外部電源電圧およ
び内部電源電圧は正である場合について述べるが、負で
ある場合でも、トランジスタの極性などを逆にすること
によって本発明が適用できる。 まず、第2のグループの基本概念を説明する。 第24図に本実施例を示す。図中、VLが電圧リミッタ回
路であり、外部電源電圧VCCから内部電源電圧VL1〜VL3
(以下、VLi(i=1,2,3)として説明する)を発生す
る。電圧リミッタ回路VLは、基準電圧発生回路VRと駆動
回路B1〜B3(以下Bi(i=1,2,3)として説明する)か
ら成る。基準電圧発生回路VRは、外部電源電圧VCCや温
度による変動が少ない安定な電圧VRを発生し、各駆動回
路Bi(B1〜B3)は、VRをもとに電流駆動能力の大きい電
圧VL1を発生する。各駆動回路Biは、帰還増幅器Aiと相
位補償回路Ci(i=1,2,3)から成る。Z1〜Z3は、電圧
リミッタ回路VLの負荷となる半導体装置内の回路であ
り、それぞれVL1〜VL3を電源として動作する。φ〜φ
は、それぞれ負荷回路Z1〜Z3を制御するタイミング信
号である。φ′〜φ′は、それぞれφ〜φに同
期したタイミング信号である。 本実施例の第1の特徴は、電圧リミッタ回路の負荷と
なる内部回路をZ1〜Z3の3個の分割し、それに応じて電
圧リミッタ回路内の駆動回路もB1〜B3の3個に分割し、
それぞれに位相補償を施したことである。一般に、半導
体装置内の回路には、容量,抵抗,インダクタンス,非
線形素子、あるいはそれらの組合せなど極めて多種・多
様なものが含まれる。しかも、それらが半導体チップ上
に分散して(すなわち分布定数的に)存在する。そのよ
うな複雑な負荷を有する帰還増幅器を安定に動作させる
ための位相補償は極めて難しい。本実施例のように、負
荷回路を種類や大きさによって複数個に分割すれば、各
負荷回路に適した帰還増幅器および位相補償回路の設計
は比較的容易になる。これにより各駆動回路の動作を安
定にすることができる。 負荷回路の分割方法としては、例えば下記の方法が考
えられる。 抵抗性負荷と容量性負荷とに分割する方法。 負荷の大きさ(消費電流)によって分割する方法。 回路の動作タイミングによって分割する方法。 回路の半導体チップ内の物理的位置によって分割す
る方法。 物理的位置によって分割した場合は、必要に応じて駆
動回路B1〜B3を分散配置することが望ましい。 本実施例の第2の特徴は、各駆動回路Biに、各負荷を
制御するタイミング信号φに同期した信号φ′が入
力されていることである。一般に、半導体装置内の回路
に流れる電流は、動作モードによって大きく変化する。
このことは、電源側から見れば、負荷のインピーダンス
が変化することを意味する。このような負荷変動に対応
できるようにするために、本実施例では、タイミング信
号φ′を用いる。φ′によって帰還増幅器Aiや位相
補償回路Ciの回路定数を変化させ、常に負荷の動作モー
ドに適応した特性にすることができる。これにより、常
に駆動回路の動作を安定にすることができる。 なお、本実施例では、負荷回路Z1〜Z3の動作電圧VL1
〜VL3のレベルはすべて等しいとしている。そのため、
基準電圧発生回路は1個だけ設け、その出力VRを駆動回
路B1〜B3で共通に使用している。負荷回路によって動作
電圧が異なる場合は、第25図のように基準電圧発生回路
を複数個設ければよい。あるいは基準電圧発生回路は1
個だけとしておき、駆動回路B1〜B3内に電圧変換機構を
設けてもよい。 第26図に本発明の他の実施例を示す。本実施例の特徴
は、負荷回路Z1の動作モードに対応して複数(ここでは
2個)の駆動回路を設け、それらの出力をスイッチで切
替えていることである。駆動回路B11,B12にはそれぞ
れ、Z1の動作に同期したタイミング信号φ′およびそ
の補信号▲▼が入力されている。B11,B12の出力V
L11,VL12のうちの一方が、スイッチSWで選択されて、負
荷Z1に供給される。φ′が高レベル、φ′が低レベ
ルのときは、B11が活性化、B12が非活性化され、スイッ
チSWはVL11側に接続される。逆に、φ′が低レベル、
▲▼が高レベルのときは、B11が非活性化、B12
活性化され、スイッチSWはVL12側に接続される。すなわ
ち、2個の駆動回路B11,B12のうちの一方だけが負荷回
路Z1に内部電源電圧VL1を供給するのに使用され、他方
は切り離された状態にある。 第24図の実施例では、負荷の変動に対応するために、
駆動回路の回路定数を変えるという方法を採っていた。
しかし、負荷のインピーダンスが動作モードによって極
めて大きく変化し、単なる回路定数の変更だけでは複数
の動作モードで安定に動作させることが困難なことがあ
る。このようなときに本実施例の方法が有効である。各
駆動回路は1つの動作モード専用に設計すればよいから
である。たとえば、Z1が動作状態にあるときと待機状態
にあるときとで、非常に大きな消費電流の変化があると
する。この場合は、駆動回路B11はZ1が動作状態にある
ときに、B12はZ1が待機状態にあるときにそれぞれ安定
に動作するように、帰還増幅器および位相補償回路を設
計しておけばよい。 本実施例では、使用されない方の駆動回路は非活性化
しているが、これは必ずしも必要ではない。使用されな
い方の駆動回路はスイッチによって切り離されるからで
ある。しかし、消費電力を低減するためには非活性状態
にしておく方が望ましい。また、スイッチによって駆動
回路の出力を切り替えているが、駆動回路が非活性状態
のときにその出力が高インピーダンスになるように設計
しておけば、スイッチは不要である。 第24図の実施例では、駆動回路を分割しているため
に、内部電源電圧VL1〜VL3の間に電位の差が生じること
が懸念される。内部電源電圧間の電位差が大きいと、負
荷回路Z1〜Z3相互間に信号の授受がある場合ミスマッチ
が起こったり、素子が破壊したりすることがある。第27
図にこれを防止する一方法を示す。簡単のため、負荷お
よび駆動回路を2個に分割した場合について示してあ
る。本実施例では、2個の内部電源電圧同士を2個のN
チャネルMOSトランジスタQ1,Q2によって接続している。
MOSトランジスタのしきい値電圧をVTHとすると、Q1はV
L1−VL2>VTHのときに、Q2はVL2−VL1>VTHのときにそ
れぞれ導通する。したがって、VL1とVL2との間の電位差
はVTH以内に保たれる。 内部電源電圧同士を接続する方法は、第27図に示した
ものに限られない。第28図(a)〜(e)にいくつかの
例を示す。最も単純な方法は、同図(a)ないし(e)
のように、抵抗あるいは等価的に抵抗とみなせる素子に
よって接続する方法である。同図(d)は、第27図と同
様に、内部電源電圧間の電位差が一定値を越えないよう
にする方法である。ここでは、MOSトランジスタのかわ
りにダイオードD1,D2を用いている。VL1とVL2との間の
電位差は、ダイオードのオン電圧以内に抑えられる。同
図(e)は、電源投入直後にのみ高レベルになる信号WK
を用いて、VL1とVL2とを接続する方法である。これは特
に、負荷VL1とVL2との立上りの時定数が大きく異なる場
合に、電位差が生じるのを防止するのに有効である。も
ちろん、第27図および第28図(a)〜(e)のうちのい
くつかを組合せた接続方法を採用してもよい。 なお、ここで述べた接続方法は、位相補償を施してい
ない電圧リミッタに対しても有効である。 第24図〜第27図では簡単のため、負荷回路を単一のイ
ンピーダンスZiで表していた。しかし、実際の半導体装
置における負荷は第29図に示すように、半導体チップ内
に分布している場合が多い。このような場合は、分布し
た負荷の途中あるいは遠い端の部分から増幅器Aiへ帰還
をかけてもよい。図の例では、A1へは分布した負荷Z11
〜Z19の近端から帰還をかけているが、A2へは負荷Z21
Z29の中央部から、A3へは負荷Z31〜Z39の遠端からそれ
ぞれ帰還をかけている。こうすることによる利点は、配
線のインピーダンスによる内部電源電圧の低下分を補償
でき、駆動回路から遠い負荷の動作を安定化できること
である。分布した負荷の途中あるいは遠端から帰還をか
ける場合は、位相補償回路の入力も同じ個所からとるこ
とが望ましい。 [帰還増幅器と位相補償回路] 次に、本発明に用いるのに好適な帰還増幅器と位相補
償回路について説明する。 第30図(a)に帰還増幅器Aiと位相補償回路Ciの一実
施例を示す。図中、21は差動増幅器であり、MOSトラン
ジスタQ21〜Q25から成る。22は出力段であり、MOSトラ
ンジスタQ26,Q27から成る。差動増幅器21の2個の入力
端子のうち、一方には基準電圧VRが入力され、他方には
出力段からVLが帰還されている。Ciは位相補償回路であ
り、抵抗RDとキャパシタCDが直列に接続されている。こ
の回路の帰還をかけないときの小信号等価回路を第30図
(b)に示す。簡単のため、負荷が単独の容量CLである
場合を示してある。ここで、gm1,gm2はそれぞれ差動増
幅器、出力段の伝達コンダクタンス、r1,r2はそれぞれ
差動増幅器、出力段の出力抵抗、CGは出力段の入力容量
(Q26のゲート容量)である。 この回路の周波数特性を第31図(a),(b)を用い
て説明する。まず位相補償を施さない場合について述べ
る。第31図(a)は位相補償回路がない場合の周波数対
利得の関係である。図中、aは差動増幅器21の利得vi
/vi、bは出力段22の利得vo/vi′、cは総合の利得vo/v
iである。a,bはそれぞれ、f1,f2なる周波数で6dB/octの
割合で低下し始める。ここで、 である。この例ではf1>f2であるから、総合の利得c=
Vo/Viは、周波数がf2を越えると6dB/octで、さらにf1
越えると12dB/octの割合で低下する。これらの点f2,f1
がいわゆるポール周波数である。前述のように、帰還増
幅器が安定に動作するためには、12dB/octで低下し始め
る点(ここではf1)における利得が0dB以下でなければ
ならない。図から明らかなように、f1とf2とが比較的近
接していると、この条件が満たされないことが多い。第
31図(a)では満たされていない。したがって、f1とf2
とを十分離すことによって、帰還増幅器を安定化するこ
とができる。 ここで位相補償回路Ciを付加すると、周波数特性が第
31図(b)のようになる。すなわち、差動増幅器21の利
得は変わらないが、出力段の利得はP21,Z2,P22の3ヵ所
で折れ曲がった特性になる。P21とP22はポール、Z2は零
点と呼ばれる点である。これらの点の周波数は次のとお
りである。 この図から明らかなように、f2を差動増幅器のポール
周波数f1の近傍に設定することによって、すなわちCDRD
≒CGr1とすることによって、総合の利得のf1における折
れ曲がりがなくなる。その結果、総合の利得は、周波数
がf21を越えると6dB/octで、さらにf22を越えると12dB/
octの割合で低下するようになる。ここで、CD=nCGr1/r
2、RD=r2/nとしてnを十分大きくすれば、f21とf22
を十分離すことができるので、帰還増幅器を安定化する
ことができる。 第32図(a)に帰還増幅器と位相補償回路の他の実施
例を示す。この回路では、出力段22の入力と出力との間
にキャパシタCFを挿入することによって、位相補償を行
っている。この回路の帰還をかけないときの小信号等価
回路を第32図(b)に、その周波数特性を第33図に示
す。この場合は、差動増幅器の方の利得が、P11,Z1,P12
の3ヵ所で折れ曲がった特性になる。この場合も前実施
例と同様、f1≒f2となるように設定し、f11とf12とを十
分離すことによって、帰還増幅器を安定化することがで
きる。本実施例の特徴は、位相補償用のキャパシタCF
増幅段の入力と出力との間に挿入されているため、いわ
ゆるミラー効果により見掛けの静電容量が大きくなるこ
とである。したがって、実際の静電容量が比較的小さく
ても位相補償を行うことができるので、キャパシタの占
有面積を低減することができる。 ここで第30図(a)もしくは第32図(a)の位相補償
回路を用いるキャパシタについて説明する。これらのキ
ャパシタとしては、静電容量がかなり大きく(通常数百
〜数千pF)、しかも電圧依存性の小さいものが必要であ
る。第34図(a)に通常のCMOSプロセスでこれを実現す
る一方法を示す。図中、101はP形の半導体基板、102は
N形ウェル、103はN+拡散層、104はアイソレーション用
のSiO2、105はゲート絶縁膜、106はゲートである。キャ
パシタは、通常のMOSキャパシタと同じように、ゲート
絶縁膜105をはさんで、ゲート106と基板表面102aとの間
に形成される。キャパシタ絶縁膜として薄いゲート絶縁
膜を用いているために、比較的小面積で大きな静電容量
が得られるのが特徴である。ただし、通常のMOSキャパ
シタと異なる点は、ゲート下にNウェルがあるために、
しきい値電圧が負であることである。これを第34図
(b)を用いて説明する。横軸はキャパシタに印加する
電圧(ゲート側が正)、縦軸は静電容量である。しきい
値電圧(フラットバンド電圧)は、静電容量が大きく変
化するときの印加電圧V0であるが、V0<0である。した
がって、ゲート側が正になるように一方向の電圧が印加
されるかぎり、その収電容量はほとんど一定であるとい
う特徴がある。双方向の電圧が印加されうる場合は、第
34図(a)に示したキャパシタを2個用い、第34図
(c)のように互いに逆方向に並列接続すればよい。 本実施例のキャパシタを作るのに必要な工程は、ウェ
ル形成,アイソレーション領域形成,ゲート絶縁膜形
成,ゲート形成,拡散層形成、および配線の各工程であ
るが、これらはいずれも通常のCMOSプロセスに含まれて
いる工程である。したがって、CMOSプロセスで作られる
半導体装置ならば、本キャパシタを作るために特に工程
を追加する必要はない。 また、本発明を適用する半導体装置によっては、積層
容量が利用できることがある。たとえば、積層容量をメ
モリセルのキャパシタとして用いたDRAMがそうである。
このような場合は、積層容量を位相補償用キャパシタと
して用いてもよい。積層容量を用いたDRAMについては、
アイ・イー・イー・イー,ジャーナル・オブ・ソリッド
・ステート・サーキッツ,第15巻,第4号,第661頁か
ら第666頁,1980年8月(IEEE Journal of Solid−State
Circuits,Vol.SC−22,No.3,pp.661−666,Aug.1980)に
記述されている。 [基準電圧発生回路] 次に、本発明による電圧リミッタ回路に用いるのに適
した基準電圧発生回路について説明する。なお、ここで
述べる基準電圧発生回路は、位相補償を施していない電
圧リミッタ回路にもちろん用いることができる。また、
グループ1で説明した実施例を応用することができるこ
ともいうまでもない。 電気リミッタの出力電圧VLは、基準電圧VRを基に作ら
れる。したがって、VRの特性によって、VLの特性を任意
に設定できる。半導体装置において電圧リミッタ回路を
使用する際には、VLの外部電源電圧VCC依存性が特に重
要であるから、VRのVCC依存性に特に留意して設計する
必要がある。これに関しては、種々の目的に応じた特性
例とその発生法が、特願昭56−57143,特願昭56−16869
8,特願昭57−220083,特願昭60−261213,特願昭63−837
2,特願昭63−125742,米国特許第4100437号などに開示さ
れている。これらの回路が本発明に適用可能なことはい
うまでもない。 第24図〜第27図の実施例では、基準電圧VRを直接駆動
回路に入力していた。しかし、基準電圧発生回路で得ら
れる電圧は、必ずしも半導体装置内で用いる内部電源電
圧として適当な値であるとは限らない。この場合は電圧
の変換が必要になる。また、場合によっては、基準電圧
の製造プロセスによるばらつきを補償するために、電圧
の微調整、いわゆるトリミングが必要になることがあ
る。電圧の変換およびトリミングの方法としては、前記
の米国特許第4100437号に記載されている方法を用いて
もよいが、ここでは通常のMOSプロセスで作られる半導
体装置に適した方法を紹介する。 第35図に回路図を示す。図中、DAは差動増幅器、Q31
〜Q43はPチャネルMOSトランジスタ、F1〜F8はヒューズ
である。VRが入力電圧(基準電圧発生回路の出力)、
VR′が出力電圧(駆動回路の入力となる)である。DAの
入力端子の一方には、VRが入力され、他方にはVR′をMO
SトランジスタQ31〜Q42によって分割したVR″が帰還さ
れている。DAの増幅率が十分大きいとすれば、出力電圧
VR′は次式で与えられる。 ここで、R1はQ31〜Q38から成る回路を等価的に抵抗と
みなしたときの抵抗値、R2はQ39〜Q42から成る回路を等
価的に抵抗とみなしたときの抵抗値である。ヒューズを
切断することによりR1,R2が変わるので、VR′を調整す
ることができる。 具体的なトリミングの方法を第36図を用いて説明す
る。この図は、入力VRと出力VR′との関係を示したもの
である。図中、dがヒューズを全く切断しないときの特
性である。ヒューズF1,F2,F3を順に切断すると、上記R1
が大きくなるので、c,b,aで示すようにVR′は高くな
る。ヒューズF4,F5,F6を順に切断すると、上記R2が大き
くなるので、e,f,gで示すようにVR′は低くなる。した
がって、まずVRを観測し、第13図を見てVR′が最も目標
値VR0′に近くなるように、ヒューズの切断方法を選択
すればよい。われわれの目標は、VRが広い範囲でばらつ
いても、VR′がある範囲内VR0′±ΔVR′に入るように
することである。そのためには、図中に破線で示したよ
うに、あるトリミング方法(たとえばa)を採用したと
きにVR′=VR0′+ΔVR′になるときに、それと隣接す
るトリミング方法(たとえばb)を採用するとVR′=V
R0′−ΔVR′になるように、回路定数(各MOSトランジ
スタのチャネル幅/チャネル長)を選んでおけばよい。 第37図にトリミング回路の他の実施例を示す。出力電
圧VR′を低くするときは、第35図と同様に、ヒューズ
F4,F5,F6を順に切断すればよい。第35図との相違点は、
出力電圧VR′を高くする方法にある。この場合は、まず
ヒューズF7を切断し(この時点で入出力特性は第36図の
hのようになるように回路定数を選んでおく)、次に
F4,F5,F6を順に切断していけばよい。本回路は、第35図
の回路よりもヒューズの数が少なく、したがって占有面
積を小さくできるという利点がある。 第35図および第37図に示した回路は、前記米国特許に
記載されている回路に比べて、通常のMOSプロセスで作
った場合の占有面積が小さいという利点がある。すなわ
ち、米国特許に記載されている回路では、出力電圧VR
を分割するための素子として、抵抗を用いていたのに対
し、第35図および第37図の回路ではMOSトランジスタを
用いている。回路の消費電流を低減するためには、電圧
分割用素子の等価抵抗はかなり大きく(数百kπ程度)
しなければならない。通常のMOSプロセスでは、抵抗よ
りもMOSトランジスタの方が、小面積で等価抵抗の大き
い素子が得られる。ただし、MOSトランジスタを用いる
と、そのしきい値電圧の変動によってVR′の特性が変動
することが懸念されるが、各トランジスタのチャネル幅
・チャネル長を十分大きくしてばらつきを抑え、バック
ゲートをソースに接続して基板電位変動の影響を回避
し、さらにしきい値電圧のばらつき分も見込んでヒュー
ズの切断方法を選択することにより、解決できる。 次に、トリミング回路に用いるMOSトランジスタにつ
いて、第38図(a),(b)によって説明する。前述の
ように、各トランジスタのバックゲートは、基板電位変
動の影響を抑えるために、それぞれのソースに接続する
ことが望ましい。たとえば、基板がP形の場合は、第38
図(a)に示すようなPチャネルMOSトランジスタを用
いればよい。基板がN形の場合は、第38図(a)におい
て導電形をすべて逆にしたNチャネルMOSトランジスタ
を用いればよい。また、第38図(b)のように、二重の
ウェル構造にして、外側のウェル112の電位を固定(こ
こでは接地)することにより、基板電位変動に対してさ
らに強くすることができる。 次に、トリミング回路に用いるヒューズについて説明
する。ヒューズとしては、たとえば多結晶シリコンな
ど、半導体メモリの欠陥救済に用いられているものと同
じものが利用できる。したがって、欠陥救済回路を有す
る半導体メモリならば、ヒューズを作るために特に工程
を追加する必要はない。ヒューズの切断方法は、レーザ
光を用いる方法でも、電気的な方法でもよい。レーザ光
を用いる方法には、切断用のトランジスタが不要である
ため、占有面積を小さくできるという利点があり、電気
的な方法には、高価なレーザ光照射装置を用いなくても
よいという利点がある。 第39図(a)にVRからVR′への変換回路の他の実施例
を示す。第35図あるいは第37図の回路との相違点は、P
チャネルMOSトランジスタQ48を追加したことである。こ
れにより、出力電圧VR′の最大値はVCC−|VTP|(VTP
PチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧)に抑えら
れる。これを第39図を用いて説明する。この図は、VR
VR′のVCC依存性を示したものである。第35図あるいは
第37図の回路では、VCCが低いときVR′≒VCCである。し
かし第39図(a)の回路では、Q48の追加により、VCC
低いときVR′=VCC−|VTP|と、|VTP|の分だけ低くな
る。 本実施例の利点は、VCCが通常動作状態(たとえば5
V)よりもかなり低いとき(たとえば3V)の、内部電源
電圧VLの電圧安定度がよいことである。これを第39図
(c)を用いて説明する。この図は、第30図(a)もし
くは第32図(a)の駆動回路において、VCCが低いとき
の出力電圧VLと電流ILの関係の一例である。VR′を発生
するのに第35図あるいは第37図の回路を用いた場合は、
VCCが低いときはVL≒VR′≒VCCであるから、駆動回路の
出力MOSトランジスタ(第30図(a)もしくは第32図
(a)のQ26)のドレイン・ソース間電圧がほとんど0
であり、電流駆動能力が小さい。そのため、出力電流
(負荷の消費電流)ILが大きくなると、VLが低下してし
まう。これに対してVR′を発生するのに第39図(a)の
回路を用いた場合は、VL≒VR′≒VCC−|VTP|であるか
ら、駆動回路の出力MOSトランジスタのドレイン・ソー
ス間電圧はほぼ|VTP|(この例では0.5V)に等しい。し
たがって、その電流駆動能力は比較的大きく、VLの低下
量は小さい。すなわち、あらかじめVLを少し低く設定し
ておくことにより、電圧変動量を少なくしている。これ
により、VLを電源として動作する半導体装置内の回路
の、VCCが低いときの動作がより安定になり、VCCに対す
る動作マージンが大きくなる。 なお、第39図(a)の回路のQ48も、前述のトリミン
グ回路のMOSトランジスタと同様、基板電位変動の影響
を抑えるために、第38図(a),(b)に示す構造にし
ておくのが望ましい。 [チップ内配置・配線] 次に、本発明を実際の半導体チップ内に実装する場合
の、回路配置方法、ならびに基準電圧VRや内部電源電圧
VLの配線方法について述べる。本発明を適用する半導体
装置として、ここではDRAMを例に取り上げるが、もちろ
ん他の半導体装置にも本発明は適用可能である。また、
ここで述べる配置・配線方法は、位相補償を施していな
い電圧リミッタ回路に対しても有効である。 第40図に電圧リミッタ回路をDRAMに適用した場合の、
望ましい回路配置および配線の一例を示す。図中、1は
半導体チップ、2a,2bは微細MOSトランジスタで構成され
ているメモリアレー、3a,3b,3cは周辺回路である。4,5
はそれぞれ接地VGND、外部電源電圧VCC用のボンディン
グパッド、6は基準電圧発生回路、7a,7b,7c,7dは駆動
回路である。6と7a〜7dとにより電圧リミッタ回路を構
成している。7a,7b,7cはそれぞれ、周辺回路3a,3b,3cを
駆動する内部電源電圧VL1,VL2,VL3を発生する。7dはメ
モリアレー2a,2bを駆動する内部電源電圧VL4を発生す
る。 本実施例の特徴は、基準電圧発生回路6と駆動回路7a
〜7dとを分離し、基準電圧発生回路は接地電位入力用ボ
ンディングパッドの近傍に、駆動回路はそれぞれの負荷
回路の近傍に配置したことである。そのため、接地電位
入力用ボンディングパッドから基準電圧発生回路までの
接地配線8、および各駆動回路から各負荷回路までの内
部電源電圧配線11a〜11dが短くなり、それらのインピー
ダンスが小さくなる。これにより、配線8上の雑音が減
少するので、基準電圧発生回路の接地レベルが安定し、
安定な基準電圧VRが得られる。また、配線11a〜11dのイ
ンピーダンスによる内部電源電圧VL1〜VL4の電圧降下が
減少するので、VL1〜VL4のレベルが安定し、負荷回路の
動作が安定になる。 本実施例のもう一つの特徴は、接地配線の方法にあ
る。まず、基準電圧発生回路用としては、専用の短い配
線8を設ける。他の回路用としては、配線9a〜9dを設け
る。すなわち、各駆動回路とその負荷回路とは共通の線
で配線するが、他の駆動回路や負荷回路とは分離する。
この配線方式の利点は、各回路が動作するときの流れる
電流によって接地配線上に発生する雑音が、他の回路に
悪影響を与えるのを防止できることである。特に、基準
電圧発生回路の接地配線に雑音が生ずると、すべての内
部電源電圧VL1〜VL4のレベルが変動するので、基準電圧
発生回路用の接地配線だけは必ず他の接地配線とは分離
しておくことが望ましい。また、メモリアレー用の接地
配線も他の接地配線と分離しておくことが望ましい。な
ぜならば、DRAMではセンスアンプが増幅動作を行うと
き、多数のデータ線(その容量は通常数千pF)が同時に
充放電され、接地配線に大きな雑音が発生するからであ
る。 第41図に回路配置および配線の他の実施例を示す。本
実施例では、周辺回路3がチップの中央に集中して配置
され、さらに接地および外部電源電圧VCC用のボンディ
ングパッド4,5もチップの中央に配置されている。本実
施例でも、基準電圧発生回路6は接地電位入力用ボンデ
ィングパッドの近傍に、駆動回路7a,7dはそれぞれの負
荷回路の近傍に配置されている。 この実施例の利点は、第41図から明らかなように、配
線長が短くなることである。これにより、外部電源電圧
VCCの変動や負荷回路に流れる電流の変動に対して強く
なる。すなわち、前実施例では、VCC用ボンディングパ
ッドと各駆動回路との間の配線10が長いため、そのイン
ピーダンスが大きく、負荷回路の消費電流によってVCC
のレベルが低下する。もちろんこの低下分は各駆動回路
で吸収するようになっているが、低下量があまりに大き
いと吸収しきれなくなり、内部電源電圧VLのレベルの低
下を招くことがある。これに対して本実施例では、VCC
配線10のインピーダンスが小さいので、その分大きな負
荷電流を流すことができる。またVCCの低下に対しても
強い。 第40図もしくは第41図において、接地配線の雑音を特
に問題にしているのは、基準電圧VRおよび内部電源電圧
VL1が接地電位を基準にして発生されるからである。逆
に、VR,VLiが外部電源電圧VCCを基準として発生される
場合は、VCC配線の雑音の方が問題になる。この場合
は、基準電圧発生回路をVCC用ボンディングパッドの近
傍に配置し、VCC用配線を各回路ごとに分離すればよ
い。 なお、第40図もしくは第41図に示した配置・配線方法
において、基準電圧VRを基準電圧発生回路から各駆動回
路まで配線しているが、この配線12にはシールドを施し
ておくのが望ましい。半導体チップ内の他の回路から雑
音を受けてVRが変動するのを防ぐためである。通常の半
導体製造プロセスで実現できるシールド方法の例を次に
説明する。 第42図(a),(b)に、シールドを施した配線の一
実施例のそれぞれ平面図および断面図を示す。図中、10
1は半導体基板、104はSiO2、108は第1の配線層、109a,
109b,109cは第2の配線層、113,114は層間絶縁膜、115
は保護膜である。109bが基準電圧VRの配線である。その
周囲の108,109a,109cがシールド用の配線であり、一定
電位(ここでは接地)に固定されている。109bの下方に
108を設けたことにより基板101との容量結合による雑音
を防止でき、左右に109a,109cを設けたことにより隣接
する配線(図示せず)との容量結合による雑音を防止で
きる。第42図(c)および(d)は、シールドを施した
配線の他の実施例である。本実施例では、VRを第1の配
線層108bで配線し、その左右(108a,108c)、下方(10
6)および上方(109)にそれぞれシールド用配線を設け
ている。上方にもシールド配線を設けることにより、上
方の空間を通した容量結合による雑音をも防止でき、シ
ールドがより効果的になる。 さらに第42図(e),(f)のように、コンタクト孔
116a,116c、およびスルーホール117a,117cを設けてシー
ルド用配線同士を接続すれば、シールドが完全になる。
第42図(g),(h)にシールドを施した配線の他の実
施例を示す。本実施例では、多結晶シリコン層106がVR
の配線である。その下方にはウェル112が形成され、P
形拡散層107a,107c、およびコンタクト孔116a,116cを介
して、上方の第1の配線層108に接続されている。すな
わち、106の周囲を112,107a,116a,108,116c,107cで囲む
ことによりシールドしている。本実施例の利点は、シー
ルドに第2の配線層を使用していないので、これを第42
図(g)の109に示すように、他の目的に使用できるこ
とである。これは、たとえばVRの配線と他の配線とが交
差する部分に使用するのに有効である。 なお、以上のようなシールドにより、VRと接地との間
に寄生容量が付くが、これはむしろ好ましい効果をもた
らす。この寄生容量は、VR配線の高周波に対するインピ
ーダンスを低減させ、高周波雑音をバイパスさせる、い
わゆるデカップリングコンデンサとして働くからであ
る。シールド線だけは、デカップリングコンデンサとし
て静電容量が不足の場合は、別にキャパシタを付加して
ももちろんさしつかえない。 上の例では、シールド線を固定する電位は接地電位と
しているが、安定な電位ならば必ずしも接地電位でなく
てもよい。しかし、接地電位にするのが、最も簡単であ
り、しかも上に述べたように寄生容量がデカップリング
コンデンサとして働くので望ましい。特に、基準電圧発
生回路用の接地配線(第40図,第41図に示す8の部分)
に接続するのが、他の回路の動作によって発生する雑音
を避ける意味でよい。前述のようにVRがVCCを基準にし
て発生される場合は、シールド線はVCCに固定する方が
よい。 第43図に回路配置および配線の他の実施例を示す。図
中、1は半導体メモリチップ、3は周辺回路、7a,7b,7c
はそれぞれ内部電源電圧VLを発生する駆動回路、14a,14
b,14c,14dは駆動回路の出力を電源として用いて電圧振
幅VLのパルスφP1P2P3P4を発生するパルス発
生回路、2a,2b,2c,2dはそれぞれφP1P2P3P4
よって動作する微細MOSトランジスタを用いたメモリア
レーである。なお、ここでは基準電圧発生回路は、記載
を省略してある。第44図にこれらの回路の動作タイミン
グを示す。 本実施例の半導体メモリチップ1には単一の外部電源
電圧VCC(たとえば5V)が印加されている。駆動回路7a,
7b,7cからはVCCは降下させた内部電源電圧VL(たとえば
3V)が出力され、パルス発生回路14a,14b,14c,14dにそ
れぞれ入力されている。そして、パルス発生回路には第
44図に示すタイミングパルスφと、アドレス信号ai
逆相の▲▼が入力されている。 周辺回路3は、外部アドレス信号Aiを受けて内部アド
レス信号aiおよび▲▼を、外部制御信号(ここでは
ロウアドレスストローブ信号▲▼,カラムアドレ
スストローブ▲▼、および書込みエネーブル信号
▲▼)を受けて内部タイミングパルスφを発生す
る。周辺回路は、チップの集積度にはあまり影響しない
のであえて微細素子を用いる必要がないこと、および注
飛インタフェースの都合により、外部電源電圧VCCで直
接動作させているが、もちろん内部電源電圧で動作させ
てもよい。 メモリはアドレスによって選択されたアレーのみが動
作する。この例では、ai=“0"(/ai=“1")のときア
レー2aと2cが選択(2bと2dは非選択)、ai=“1"(/ai
=“0")のときアレー2bと2dが選択(2aと2cは非選択)
の状態となる。そのために、選択されたアレー用のパル
スのみが出力される。すなわち、第44図に示すように、
ai=“0"のときは、パルス発生回路14aと14cがタイミン
グパルスφによりφP1P3を出力してアレー2aと2c
を、逆にai=“1"のときは、パルス発生回路14bと14dが
タイミングパルスφによりφP2P4を出力してアレ
ー2bと2dを動作させる。 本実施例の特徴は、各駆動回路を各パルス発生回路に
近接して配置し、しかもパルス発生回路14bと14cとで駆
動回路7bを共有していることである。そのため、第3図
に比べて配線が短くなり、配線のインピーダンスが小さ
くなり、これによって発生する雑音のレベルを抑えるこ
とができる。また、第4図に比べて、駆動回路数が1個
減り、これによってチップ占有面積と消費電力の低減が
実現できる。しかも、パルス発生回路14bと14cとは同時
には動作しないので、駆動回路7bは1個のパルス発生回
路のみを駆動できればよく、電流駆動能力を2倍にする
必要はない。 パルス発生回路14a〜14dは、たとえば第45図(a),
(b)に示した回路で実現できる。第45図(a)におい
て、51は、PチャネルMOSトランジスタQ51,Q52とNチャ
ネルMOSトランジスタQ53,Q54から成る2入力NAND回路で
ある。この回路の電源はVCCであり、入力はタイミング
パルスとアドレス信号ai(または▲▼)である。52
は、PチャネルMOSトランジスタQ55とNチャネルMOSト
ランジスタQ56から成るインバータであり、その電源はV
Lである。aiが“1"(電位VCC)のときにφが入力され
ると、内部電源VLの振幅のパルスφが出力される。な
お、ここではNAND回路は外部電源電圧VCCで動作させて
いるが、内部電源電圧VLで動作させてもよい。 第46図は、第43図の実施例に比べて、駆動回路の数を
さらに1個減らした例である。アドレス信号ai,▲
▼、タイミングパルスφ、およびパルスφP1〜φ
P4は、第43図で説明したものと同じである。 本実施例では、パルス発生回路14aと14bとで駆動回路
7aを、14cと14dとで7bをそれぞれ共有している。そのた
め、第43図の実施例に比べて、駆動回路数が1個減り、
これによるチップ面積と消費電力を低減できる。ここで
第44図に示すように、14aと14b、14cと14dとはそれぞれ
同時には動作しない。したがって、駆動回路7aと7bとは
それぞれ1個のパルス発生回路のみを駆動できればよ
く、駆動能力を2倍にする必要はない。 第47図は、メモリアレーが8個の分割されている場合
に本発明を適用した実施例である。図中、1は半導体チ
ップ、3は周辺回路、2a〜2hはメモリアレー、7a,7bは
駆動回路、14a〜14hはパルス発生回路である。本実施例
では、8個のアレーのうち2個がアドレス信号ai,aj
よって選択され、選択されたアレーのみが動作する。す
なわち、aiaj=“00"のときは2aと2e、aiaj=“01"のと
きは2bと2f、aiaj=“10"のときは2cと2g、aiaj=“11"
のときは2dと2hがそれぞれ選択される。そのため、選択
されたアレー用のパルスφPk(k=1〜8)のみが出力
される。すなわち、第48図に示すように、アドレス信号
aiaj=“00"のときはパルスφP1とφP5、aiaj=“01"の
ときはパルスφP2とφP6、aiaj=“10"のときはパルス
φP3とφP7、aiaj=“11"のときはパルスφP4とφ
それぞれ出力される。これらのパルスφPk(k=1〜
8)は、φのタイミングで出力されるパルスであり、
その振幅は内部電源電圧VLである。 本実施例では、メモリアレーを動作させるための8個
のパルス発生回路で2個の駆動回路7a,7bを共有してい
る。このようにすることにより、駆動回路数を大幅に減
らすことができ、占有面積と消費電力の低減を実現する
ことができる。 [DRAMへの適用例] 最後に、本発明をDRAMに適用した例について述べる。
第49図は本発明を適用したDRAMの構成図である。図中、
201は電源電圧(VCC)供給用ボンディングパッドで、外
部電源に接続されている。202は差動増幅器、203は内部
降圧された電源電圧(VL)の供給線、204はPチャネルM
OSセンスアンプの起動MOSトランジスタ、205はNチャネ
ルMOSセンスアンプの起動MOSトランジスタ、206はPチ
ャネルMOSセンスアンプ、207はNチャネルMOSセンスア
ンプ、208はメモリセル、209はPチャネルMOSセンスア
ンプのN形ウェル部、210はセルアレー部とセンスアン
プ部を含むメモリブロック、211はXデコーダ、212はY
デコーダ、213はショート・プリチャージ信号線、214は
電源線VL/2である。電源電圧VCCは、Xデコーダ,Yデコ
ーダ,ゲート保護ならびに信号発生回路などの周辺回路
で使う。内部降圧された電源電圧VLは、本実施例の場
合、センスアンプ起動MOSトランジスタ204につながるP
チャネルMOSトランジスタのバックゲート(ウェル)と
Yデコーダの一部に使っている。 センスアンプのようないわゆるCMOS回路の場合、P形
の基板を用いると、PチャネルMOSトランジスタはN形
のウェル内に形成されるのが普通である。この場合、第
50図の断面図に示すように、Nウェル(PチャネルMOS
トランジスタのバックゲート)の電位は外部電源電圧V
CCではなく、そのソースに供給される動作電圧(この場
合はVL)とするのが望ましい。この理由を次に述べる。 たとえばVCC=5V,VL1=3Vとすると、データ線プリチ
ャージレベルが1.5Vであるから、センスアンプ起動前、
PチャネルMOSトランジスタには1.5Vのバックゲートバ
イアスがかかり、起動後は0Vになる。第6図を参照する
と、センスアンプ起動前のしきい値電圧(絶対値)は約
0.86V、起動後は約0.57Vである。もしNウェル電圧をV
CC(=5V)としていると、各々1.1V,0.92Vとなる。これ
はVL1とした場合に比較してあまりに大きい。第51図
は、上記DRAMのセンス系の動作速度を、PチャネルMOS
トランジスタのしきい値電圧に対してプロットした図で
ある。同図からわかるように、0.1Vのしきい値電圧上昇
が約2nsの遅延に相当するので、この場合Nウェル電圧
をVL1(=3V)とすることで約5ns以上の高速化が実現で
きることがわかる。超高集積化時代のCMOSLSIは、より
動作電圧を下げ、基板(ウェル)濃度を上げる(バック
ゲートバイアス効果が大きくなる)傾向があるので、上
記本発明の効果はさらに重要になる。 ここで、Nウェル電圧をPチャネルMOSトランジスタ
に供給される内部電源電圧VLと等しくするにあたり、容
量結合などによるNウェル電圧の変動が懸念される。第
49図に示した実施例は、データ線はVL/2にプリチャージ
されるので、PチャネルMOSトランジスタが動作すると
き、ドレイン電圧が上昇するものと下降するものとが対
を成し、雑音はきわめて小さい。したがって、Nウェル
電圧の変動によるラッチアップ等の問題は発生しない。 以上、センスアンプを例にとって説明したが、同様の
手法は、他のCMOS回路に対しても適用できる。またDRAM
に限らず、2種類以上の異なる動作電圧を有するCMOS・
LSIならば適用可能である。また、本発明の実施例にお
いて、半導体の導電形,電位関係をすべて逆にしても、
本発明が成立することは明らかである。 以上説明したように、本発明によれば、電圧リミッタ
回路が多くの種類の負荷を駆動する必要があり、また負
荷の種類や大きさが動作モードによって変動する場合で
も、負荷の種類や動作モードに応じた最適な位相補償が
可能になり、電圧リミッタの動作を安定化できる。 また、内部電圧を電源として用いる負荷回路が半導体
チップ内に複数個ある場合、各駆動回路から各負荷回路
までの配線を短くすることができるので、雑音レベルを
低く抑えることができる。また、駆動回路の駆動能力を
増加させることなく、回路数を減らすことができるの
で、占有面積および消費電力を低減することができる。 また、内部降圧された動作電圧を用いるCMOS回路にお
いて、ウェル内に形成されているトランジスタのバック
ゲート(ウェル)の電圧を降圧された電圧と等しくする
ことにより、回路の高速化が可能になり、超高集積化LS
Iの高信頼性、高速性を併せて実現することができる。 〔第3グループ〕 上記技術の問題点は、内部電圧を外部から検査する方
法について考慮されていないことである。たとえば電圧
リミッタを有するメモリLSIの場合、電圧リミッタで発
生した内部電圧値が設計値から外れていると、内部回路
の動作マージンが狭くなったり、誤動作したりする。し
かし、メモリLSIをメモリテスタ等で検査する場合、内
部電圧値を知ることができないと、上記のような問題は
容易に確かめることができない。 内部電圧端子にパッドを設けて、そのパッドにメモリ
テスタを接続すれば、外部から内部電圧値を知ることが
できる。しかしこの方法には次のような問題点がある。 第1に、パッドからメモリテスタまでの配線が受ける
雑音によって、測定値に誤差が生ずる。 第2に、メモリテスタの入力インピーダンスによって
電圧値が変化することがある。 第3に、メモリテスタはアナログ電圧を測定すること
になるので、デジタル信号を取扱うよりも測定に時間が
かかる。 本実施例の目的は、上記の問題点を解決し、内部電圧
を外部からメモリテスタ等で検査することが容易な半導
体装置を提供することにある。 上記目的を達成するため、本実施例では、外部から指
定された電圧と内部電圧とを比較する手段と、その比較
結果を出力する手段を設ける。 外部から指定された電圧と内部電圧とを比較し、その
比較結果を出力することにより、外部に取り出す信号は
デジタル信号になる。したがって、前述の内部電圧端子
から直接取り出す場合に比べて、雑音や測定器の入力イ
ンピーダンスの影響を受けにくく、またメモリテスタ等
で検査することが容易になる。 以下、図面を参照して本実施例を説明する。以下の説
明では、本発明をDRAMに適用した例を示すが、本発明は
DRAMに限らず他の半導体装置にも適用できる。 第52図に本実施例を示す。これは電圧リミッタを有す
るDRAMである。図中、1は半導体チップ、2はDRAMのメ
モリアレー、3はDRAMの周辺回路、4は電圧リミッタ、
5は比較回路、6はマルチプレクサおよび出力バッフ
ァ、8はテストエネーブル信号発生回路である。電圧リ
ミッタ4は、外部電源VCCをもとに、VCCよりも低い内部
電源VLを発生する。DRAMの周辺回路3は外部電源VCC
よって動作するが、メモリアレー2は内部電源VLによっ
て動作する。 本実施例において内部電源VLの電圧を検査する方法に
ついて説明する。 比較回路5は、VLと比較用電圧VSとを比較する。本実
施例では、VSを入力する端子は、DRAMのデータ端子Din
と兼用であるが、専用の端子でもよいし、他の端子、た
とえばアドレス端子の一つと兼用してもよい。比較回路
の出力Cは、マルチプレクサおよび出力バッファ6を介
して出力される。本実施例では、Cを出力する端子は、
DRAMのデータ出力端子Doutと兼用であるが、専用の端子
でもよい。 比較出力Cは、VL>VSのときは高レベル、VL<VSのと
きは低レベルになる。したがって、Dinに印加する比較
用電圧VSを変えてDoutを観測することにより、内部電圧
VLを知ることができる。 たとえば、外部電源VCCが、 VCCmin≦VCC≦VCCmax …(1) の範囲で、VLがVLminよりも高くVLmaxよりも低くなけれ
ばならないとする。これを検査するには、まず、DinにV
Lminを印加してVCCをVCCminからVCCmaxまで変化させ、D
outが常に高レベルであることを確認する。次に、Din
VLmaxを印加してVCCをVCCminからVCCmaxまで変化させ、
Doutが常に低レベルであることを確認すればよい。 このようにDout端子から出力される信号が高レベルが
低レベルかというデジタル信号であることが、本発明の
特徴である。したがって、アナログ電圧を直接出力する
場合に比べて、雑音やメモリテスタの入力インピーダン
スによる誤差を避けることができ、メモリテスタで検査
することが容易になる。 テストエネーブル信号TEは、VLを検査するモードであ
るか、通常の読出し/書込みモードであるかを示す信号
である。この信号は、比較回路5をエネーブルとする
た、およびマルチプレクサおよび出力バッファ6を切り
替えるために用いられる。TEを入力するための専用の端
子を設けてもよいが、本実施例では、TEを発生するため
の回路8を設けてある。この回路は、DRAMのロウアドレ
スストローブ信号(▲▼)、カラムアドレススト
ローブ信号(▲▼)、および書込みエネーブル信
号(▲▼)が印加されるタイミングの組合せによっ
てTEを発生する。 これを第53図(a),(b)を用いて説明する。 DRAMでは、通常の読出し/書込みモードのときは、第
53図(a)のように、▲▼は▲▼よりも先
に印加される。逆に第53図(b)のように、▲▼
が▲▼よりも先に印加され、しかもそのときの▲
▼が低レベルであったとき、回路8は、VL検査モー
ドの指定であると判断し、TEを発生する。なお、▲
▼,▲▼▲▼のタイミングの組合せによっ
て特殊な動作モードを指定する方法については、たとえ
ばアイ・エス・エス・シー・シー,ダイジェスト・オブ
・テクニカル・ペーパーズ,第18頁から第19頁,1987年
2月(ISSCC Digest of Technical Papers,pp.18−19,F
eb.1987)あるいは、アイ・エス・エス・シー・シー,
ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ,第286
頁から第287頁,1987年2月(ISSCC Digest of Technica
l Papers,pp.286−287,Feb.1987)において論じられて
いる。 ここでVLの検査に用いる専用の信号(VS,C、およびT
E)の入出力方法について補足しておく。 これらの信号の専用の端子を設けてもよいことは、上
に述べたとおりである。しかし、第1図の実施例では、
VSの入力端子はDinと、Cの出力端子はDoutとそれぞれ
兼用であり、TEは▲▼,▲▼,▲▼の
タイミングの組合せにより作られる。この方式の利点
は、DRAM本来の端子のみを用いてVLを検査できることで
ある。したがって、ウエハ状態での検査だけでなく、パ
ッケージに組立てた後の検査も可能になる。 第54図に比較回路5の一例を示す。 第54図において、20はVLおよびVSを入力とし、ノード
27を出力とする差動増幅器であり、NチャネルMOSトラ
ンジスタ21,22,23とPチャネルMOSトランジスタ24,25か
ら成る。30はノード27を入力としCを出力とするインバ
ータであり、NチャネルMOSトランジスタ31とPチャネ
ルMOSトランジスタ32から成る。VLがVSよりも高いとき
はノード27が低レベル、出力Cが高レベルになる。VL
VSよりも低いときはノード27が高レベル、出力Cが低レ
ベルになる。 比較回路としては単独の差動増幅器でもよいが、本実
施例のように差動増幅器の出力をさらにインバータで増
幅するようにした方が、出力Cのレベルを確実に高レベ
ル(≒VCC)、低レベル(≒0V)にできるので望まし
い。 本回路では、MOSトランジスタ21のゲートにTEが入力
されているので、VL検査モードのとき(TEが高レベルの
とき)以外は差動増幅器に電流が流れない。これにより
通常動作時の消費電力の増加を防止できる。また、通常
動作時はPチャネルMOSトランジスタ26が導通している
ので、ノード27は高レベルに固定されている。 次に、本発明に用いるマルチプレクサおよび出力バッ
ファ6の実現方法について説明する。 第55図はマルチプレクサおよび出力バッファの一例で
ある。第55図中、41,42、および49〜52はインバータ、4
3〜48はNANDゲート、53および54はNチャネルMOSトラン
ジスタである。この回路は、DRAMのデータ出力doutと比
較回路の出力Cのうちの一方を選択して、出力端子Dout
に出力する回路である。いずれを選択するかは、TE(前
述のテストエネーブル信号)およびOE(DRAMの出力エネ
ーブル信号)によって決定される。TEが高レベル,OEが
低レベルのとき(VL検査モードのとき)はCが、TEが低
レベル、OEが高レベルのとき(読出しモードのとき)は
doutが、それぞれ選択・出力される。TE,OEがともに低
レベルのとき(書込みモードもしくは待機状態のとき)
は出力端子Doutは高インピーダンスである。 第56図に本発明の他の実施例を示す。前実施例との相
違点は、比較用電圧としてVS1,VS2の2個が入力されて
おり、比較回路も5−1,5−2の2個が設けられている
ことである。 比較回路5−1は内部電圧VLとVS1とを、5−2はVL
とVS2とをそれぞれ比較する。比較出力C1は、VL>VS1
ときは高レベル、VL<VS1のときは低レベルになる。比
較出力C2は、VL>VS2のときは低レベル、VL<VS2のとき
は高レベルになる。外部に出力される信号Cは、C1とC2
をANDゲート9によって論理積をとった結果である。 本実施例は、データ入力端子と出力端子とが兼用で、
4ビット同時に読出し/書込みされる、いわゆる×4ビ
ット構成のDRAMである。そこで、比較用電圧VS1とVS2
の入力、および比較結果Cの出力には、4個のデータ入
出力端子I/O0〜I/O3のうちの3個を利用している。前実
施例のような×1ビット構成DRAMの場合は、たとえばC
の出力にはDoutを、VS1,VS2の入力にはDinまたはアドレ
ス端子のうちの2個を利用すればよい。 本実施例の利点は、VLがある範囲内にあるか否かが一
度の検査でわかることである。たとえば、VLがVLmin
りも高くVLmaxよりも低くなければならないとする。こ
れを検査するには、VS1=VLmin,VS2=VLmaxとすればよ
い。VLmin<VL<VLmaxのときに限り、Cは高レベルにな
る。 第57図に本発明の他の実施例を示す。 前述の2実施例との相違点は、比較用電圧VSをデジタ
ル信号で指定し、それをDA変換することにより比較用電
圧VSをDACで作っていることである。本実施例では、デ
ジタル信号S0〜S3の入力端子はアドレス端子Aiと兼用で
ある。 入力されたデジタル信号は、DAコンバータ10によって
アナログ電圧VSに変換される。DAコンバータに与える基
準電圧は、VCCでもよいが、専用の電圧VRの方が望まし
い。内部電圧VLのVCC依存性を測定できるからである。
本実施例ではVRの入力端子は、DRAMのデータ入力端子D
inと兼用である。 本実施例の特徴は、出力だけでなく入力もデジタル信
号であることである。そのため、前実施例に比べてメモ
リテスタによるテストがさらに容易になる。なお、本実
施例では比較用電圧はVS1個だけであるが、前実施例の
ように2個にしてもよいことはもちろんである。 次に、本実施例に用いるDAコンバータについて説明す
る。 第58図(a)にDAコンバータの一例を示す。図中、61
および62はインバータ、Rおよび2Rは抵抗である。ここ
でインバータ62の電源は基準電圧VRである。端子S0〜S3
からデジタル信号が入力されると、インバータ62の出力
電圧は入力信号に応じてVRまたは0Vになる。出力VSの電
圧は、 で与えられる。ただし、インバータ62の出力インピーダ
ンスは抵抗R,2Rに比べて十分小さいと仮定している。 第58図(b)にDAコンバータの他の実施例を示す。図
中、71はデコーダ、72はMOSトランジスタ、Rは抵抗で
ある。この回路は、基準電圧VRを抵抗分割した電圧 のうち、1つを選択して出力VSとする。この選択は、入
力信号S0〜S3をデコーダ71でデコードした信号T015
よって行われる。この回路の特徴は、負荷のインピーダ
ンス(第57図の比較回路5の入力インピーダンス)が十
分大きければ(第54図の回路は、この条件を満たしてい
る)、出力電圧VSはMOSトランジスタ72のオン抵抗の影
響を受けないことである。 なお、第58図(a),(b)はいずれも4ビットのDA
変換器である。しかし、ビット数は、どの程度正確に内
部電圧VLを設定する必要があるかにより増減してもよい
ことは言うまでもない。 第59図に本発明の更に他の実施例を示す。本実施例の
特徴は、内部電圧VLをAD変換して出力することである。
そのため、デジタル信号S0〜S3を記憶するためのレジス
タ80が設けられている。以下、本実施例の動作を第60図
のタイミング図に従って説明する。 ▲▼,▲▼,▲▼のタイミングの組
合せによりテストエネーブル信号TEを発生することは前
実施例と同様である。この時点でレジスタ80の内容は、
最上位ビットS3のみが“1"、他は“0"という状態に設定
される。このとき、比較用電圧VSはVR/2に等しい。この
VSと内部電圧VLとを比較した結果、C=1すなわちVL
VR/2ならば、最上位ビットS3はそのまま“1"に保たれ、
C=0すなわちVL<VR/2ならばS3は“0"にリセットされ
る。 次にレジスタのS2が“1"にセットされる。このとき、
比較用電圧VSはVR/4または3VR/4である。このVSと内部
電圧VLとを比較した結果、C=1ならばS2はそのまま
“1"に保たれ、C=0ならばS2は“0"にリセットされ
る。以下同様にして、S1,S0が順次に決定される。 以上の動作はクロックに同期して行われる。本実施例
では▲▼をクロックとして用いている。すなわ
ち、まず▲▼を▲▼よりも先に低レベルに
してVL検査モードを指定する。これによりTEが高レベル
になる。次に、▲▼は位レベルに保ったまま、▲
▼を上げ下げすることにより、上記のAD変換が行
われる。この間、出力端子Doutには各回の比較結果が順
に現れるので、Doutを観測することにより、AD変換の結
果を知ることができる。
【発明の効果】
本発明によれば、内部電圧の検査結果がデジタル信号
で外部に出力されるので、内部電圧を外部からメモリテ
スタなどで検査することが容易になる。 以上本発明によれば、超大規模半導体集積回路を実際
に設けることができ、かつ、これらの特性,安定動作等
も達成することができる。
【図面の簡単な説明】
第7図(a),(b)は従来技術を説明する回路図、第
2図乃至第6図は、本発明者らが発見した問題点を説明
する図、第1図,第8図乃至第23図は、本発明の第1の
グループの実施例を説明する図、第24図乃至第51図は、
本発明の第2のグループの実施例を説明する図、第51図
乃至第60図は、本発明の第3のグループの実施例を説明
する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 清男 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 中込 儀延 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 池永 伸一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 衛藤 潤 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 三宅 規雄 東京都小平市上水本町1450番地 株式会 社日立製作所武蔵工場内 (72)発明者 野田 孝明 東京都小平市上水本町1450番地 株式会 社日立製作所武蔵工場内 (72)発明者 田中 均 東京都小平市上水本町5丁目20番1号 日立超エル・エス・アイ・エンジニアリ ング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−121990(JP,A) 特開 昭63−95653(JP,A) 特開 平1−241091(JP,A) 特開 平2−198096(JP,A) 特開 平2−28362(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11C 11/407

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部電源端子と、上記外部電源端子から供
    給される外部電圧を内部電圧に変換する内部電圧発生回
    路と、上記内部電圧を電源として動作する内部回路とを
    有し、 上記内部電圧発生回路は、基準電圧を発生する基準電圧
    発生回路と、上記基準電圧に基づいて上記内部電圧を出
    力する駆動回路とを含み、 上記駆動回路は、上記基準電圧に基づく信号を一方の入
    力端子に受ける差動増幅器と、上記差動増幅器の出力す
    る信号に基づいてゲートが制御され上記内部電圧を出力
    する出力MOSFETと、上記出力MOSFETの出力に基づく信号
    を上記差動増幅器の他方の入力端子に入力する帰還手段
    と、上記差動増幅器及び上記出力MOSFETの少なくとも一
    方の周波数特性を変更する位相補償回路とを有すること
    を特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】上記位相補償回路は、上記出力MOSFETの出
    力ノードとゲートの間に接続されたキャパシタを含んで
    なることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】上記位相補償回路は、上記出力MOSFETの出
    力ノードと、回路の基準電位点との間に設けられたキャ
    パシタと抵抗との直列回路とを含んでなることを特徴と
    する請求項1記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】外部電源端子と、上記外部電源端子から供
    給される外部電圧を内部電圧に変換する内部電圧発生回
    路と、上記内部電圧を電源として動作する内部回路とを
    有し、 上記内部電圧発生回路は、少なくとも基準電圧を発生す
    る基準電圧発生回路と、上記基準電圧に比例した電圧を
    発生する電圧変換手段とを含み、 上記電圧変換手段は、少なくとも一方の入力端子に上記
    基準電圧が供給される差動増幅器と、上記差動増幅器の
    出力端子と他方の入力端子との間に設けられたフィード
    バック回路とを有し、 上記フィードバック回路は、抵抗素子として動作する並
    列形態の複数のMOSFETと、上記複数のMOSFETの内の所定
    MOSFETを切り離すことにより上記複数のMOSFETの等価抵
    抗を変更するようにされた回路とを有することを特徴と
    する半導体装置
  5. 【請求項5】上記複数のMOSFETは、ウェル内に形成さ
    れ、上記複数のMOSFETはそれぞれのソースがウェルに結
    合されてなることを特徴とする請求項4記載の半導体装
    置。
  6. 【請求項6】外部電源端子と、 上記外部電源端子から供給される外部電圧を内部電圧に
    変換する複数個の内部電圧発生回路と、 上記内部電圧をそれぞれ電源として動作する複数個の内
    部回路と、 上記複数個の内部電圧発生回路のうち少なくとも2個の
    出力同士を接続する接続手段とを備え、 上記接続手段は、所定の電圧にバイアスされたゲートと
    上記2個の出力同士を接続するソース・ドレイン経路と
    を持つ第1MOSFETを含むことを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】上記接続手段は、上記2個の出力同士を接
    続するダイオード接続された第2MOSFETと、上記2個の
    出力同士を上記第2MOSFETとは逆方向に接続するダイオ
    ード接続された第3MOSFETとをさらに含んでなることを
    特徴とする請求項6記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】上記複数個の内部電圧発生回路は、第1内
    部電圧発生回路と、第2内部電圧発生回路と、上記第1
    及び第2電圧発生回路よりも電流供給能力が小さくされ
    るとともに上記第1及び第2内部電圧発生回路が動作停
    止される期間において上記内部電圧を発生する期間を持
    つ第3内部電圧発生回路を含み、 上記第1電圧発生回路と上記第2電圧発生回路の出力同
    士は上記接続手段によって接続され、上記第3電圧発生
    回路の出力は上記第1電圧発生回路の出力に直接に接続
    されることを特徴とする請求項6又は7記載の半導体装
    置。
  9. 【請求項9】上記内部電圧は、上記外部電圧よりも小さ
    な電圧であることを特徴とする請求項1から8のいずれ
    か1に記載の半導体装置。
  10. 【請求項10】上記半導体装置は、複数のダイナミック
    形メモリセルを含むダイナミック形メモリであることを
    特徴とする請求項1から9のいずれか1に記載の半導体
    装置。
  11. 【請求項11】上記半導体装置は、複数のワード線と複
    数のデータ線との交点に設けられた複数のダイナミック
    形メモリセルと、上記複数のデータ線に出力される信号
    をそれぞれに増幅するための複数のセンスアンプを更に
    含み、 上記内部電圧は上記外部電圧よりも小さな電圧であり、
    上記内部回路は上記複数のセンスアンプであることを特
    徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の半導体装
    置。
  12. 【請求項12】複数のワード線と複数のデータ線の交点
    に設けられた複数のメモリセルと、 前記複数のデータ線に出力される信号をそれぞれに増幅
    するための複数のセンスアンプと、 前記複数のワード線の一つを選択するための信号を形成
    するロウデコーダと、 前記ロウデコーダの選択信号を受けて選択されたワード
    線を所定の電圧に駆動するためのワード線駆動回路と、 前記複数のデータ線の一つを選択するための信号を形成
    するカラムデコーダと、 外部電圧から前記外部電圧よりも電圧の小さな内部電圧
    を形成するための内部電圧発生回路と、 前記内部電圧を前記ロウデコーダ及び前記カラムデコー
    ダに供給するための第1電源配線と、 前記内部電圧を前記複数のセンスアンプに供給するため
    の第2電源配線とを備え、 前記内部電圧発生回路は、基準電圧を発生する基準電圧
    発生回路と、前記基準電圧に基づいて前記内部電圧を出
    力し前記第1電源配線に出力ノードが接続される第1駆
    動回路と、前記基準電圧に基づいて前記内部電圧を出力
    し前記第2電源配線に出力ノードが接続される第2駆動
    回路とを含むことを特徴とする半導体装置。
  13. 【請求項13】請求項12において、前記半導体装置は、
    ロウアドレスを受け前記ロウデコーダに供給するロウア
    ドレスバッファと、カラムアドレスを受け前記カラムデ
    コーダに供給するカラムアドレスバッファとを更に有
    し、 前記ロウアドレスバッファ、及び前記カラムアドレスバ
    ッファには、前記第1電源配線を介して前記内部電圧が
    供給されることを特徴とする半導体装置。
  14. 【請求項14】請求項12または13において、前記半導体
    装置は、前記複数のデータ線をプリチャージ電圧にプリ
    チャージするためのプリチャージ回路と、前記プリチャ
    ージ回路に供給される前記プリチャージ電圧を発生する
    プリチャージ電圧発生回路とを更に有し、 前記プリチャージ電圧発生回路には、前記第2電源配線
    を介して前記内部電圧が供給されることを特徴とする半
    導体装置。
  15. 【請求項15】請求項12から14のいずれかにおいて、 前記半導体装置は、前記第1電源配線と前記第2電源配
    線の間に結合された接続手段を更に有し、 前記内部電圧発生回路は、前記基準電圧に基づいて前記
    内部電圧を発生する第3駆動回路を更に有し、 前記第3駆動回路は、前記第1及び第2駆動回路が非動
    作とされる期間に前記第1及び第2電源配線に前記内部
    電圧を供給することを特徴とする半導体装置。
  16. 【請求項16】請求項15において、前記接続手段は、前
    記第1及び第2電源配線の間に接続され、ダイオード接
    続の方向が互いに異なるソースドレイン経路を有する一
    対のMOSFETを含むことを特徴とする半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項12から16のいずれかにおいて、 前記メモリセルのメモリアクセスの開始を指示する信号
    に基づいて、前記第1駆動回路は非動作状態から動作状
    態となって前記内部電圧を出力し、しかる後に前記第2
    駆動回路は非動作状態から動作状態となって前記内部電
    圧を出力することを特徴とする半導体装置。
  18. 【請求項18】請求項17において、前記メモリアクセス
    の開始を指示する信号はロウアドレス・ストローブ信号
    であることを特徴とする半導体装置。
  19. 【請求項19】請求項17または18において、前記第2駆
    動回路は、前記ワード線の選択を開始する信号により非
    動作状態から動作状態となることを特徴とする半導体装
    置。
  20. 【請求項20】請求項12から19のいずれかにおいて、 前記内部電圧発生回路は、前記基準電圧発生回路の出力
    する前記基準電圧を受けて第1基準電圧を出力する電圧
    変換回路を更に有し、 前記電圧変換回路は、前記基準電圧を一方の入力端子に
    受ける第1差動増幅器と、前記第1差動増幅器の出力す
    る信号に基づいてゲートが制御され前記第1基準電圧を
    出力する第1出力MOSFETと、前記第1出力MOSFETの出力
    する前記第1基準電圧を所定の電圧比で分圧して前記第
    1差動増幅器の他方の入力端子に入力する第1帰還手段
    とを有し、 前記第1及び第2駆動回路のそれぞれは、前記第1基準
    電圧を一方の入力端子に受ける第2差動増幅器と、前記
    第2差動増幅器の出力する信号に基づいてゲートが制御
    され前記内部電圧を出力する第2出力MOSFETと、前記第
    2出力MOSFETの出力に基づく信号を前記第2差動増幅器
    の他方の入力端子に入力する第2帰還手段とを有するこ
    とを特徴とする半導体装置。
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