以下、本発明を実施例を用いて説明する。
この説明は、理解を容易にする為に、第1,第2,第3のグループに分け、この順に説明する。よって、それぞれのグループにおいて実際の超大規模集積回路への応用が説明される。しかし、これは、これらのグループが全く独立のものを意味するものでないことは、当業者であれば、理解できるであろう。すなわち、これらのグループは、それぞれ組み合せて実施することが技術的に可能である場合には、その組み合わせを当然に示唆しているのである。更に、以下の説明で明らかになるが、第1,第2、及び第3のグループは、互いに排せきしあう技術ではなく、ほとんどの場合、組合せることにより、より相乗的に効果を発揮する技術であることは、当業者であれば、理解しうるであろう。
〔第1グループ〕
以下、本発明の第1のグループの実施例を図面により説明する。以下の説明では正の基準電圧を発生する場合について説明するが、トランジスタの極性等を逆にすることによって負の基準電圧を発生することもできる。
図1(a)に本発明の第1の実施例の回路図を示す。この回路は、NチャネルMOSFET・Q61〜Q63とPチャネルMOSFET・Q64,Q65から成り、VDDは正電圧の外部電源である。NチャネルMOSFETのうち、Q62とQ63は標準しきい値電圧VTEを持つエンハンスメント形FET(以下EMOSと略す)であり、Q61はVTEよりも高いしきい値電圧VTEEを持つエンハンスメント形FET(以下EEMOSと略す)である。以下、この回路の動作を説明する。
PチャネルMOSFET・Q64とQ65とは、ゲートおよびソースを共有しており、いわゆるカレントミラー回路70を構成している。すなわち、Q64のドレイン電流I1とQ65のドレイン電流I2との比が一定になるように動作する。その電流比(ミラー比)は、Q64とQ65との定数比によって定まる。Q61〜Q63の定数が等しく、いずれも飽和領域で動作しているとすると、次の3式が成り立つ。
I1=(βEE/2)・(V1−VTEE)2 …(7)
I1=(βE/2)・(V1−VR−VTE)2 …(8)
I2=(βE/2)・(VR−VTE)2 …(9)
ここでβEEはEEMOS(Q61)のコンダクタンス係数、βEはEMOS(Q62,Q63)のコンダクタンス係数、V1はノード61の電圧である。(7)〜(9)式より、
V1=2VR …(10)
VR=(VTEE−xVTE)/(2−x) …(11)
ただし、
x=(αβE)/(βEE) …(12)
ここでαはカレントミラー回路70のミラー比(I1:I2=α:1)である。特にQ64とQ65の定数が同一の場合はα=1である。このとき、βEE≒βEならば
VR=VTEE−VTE …(13)
となる。すなわち、基準電圧VRとしてEEMOSとEMOSとのしきい値電圧の差の電圧が得られ、これは外部電源VDDの電圧に依存しない安定な電圧である。なお、VRのかわりにV1(=2VR)を基準電圧として用いてもよい。
この基準電圧発生回路の特徴は、前記の従来技術に比べてMOSFETの特性を合せることが容易なことである。Q61〜Q63を飽和領域で動作させるためには、VTEE≧2VTE、すなわちVTEE−VTE≧VTEであればよい。しきい値電圧差VTEE−VTEは従来に比べて小さく(たとえば0.7Vでき、チャネル領域の不純物プロファイルの相違を従来に比べて小さくできるからである。
本発明による回路ではしきい値電圧の温度依存性dVT/dTの差異を小さくできるので、温度に対しても安定な基準電圧を得ることができるが、さらに温度依存性を小さくするにはミラー比αを調整すればよい。次にその方法を説明する。(11)式を温度Tによって微分すると、
dVR/dT=(1/(2−x))・(dVTEE/dT)
−(x/(2−x))・(dVTE/dT)…(14)
したがってdVTEE/dT=x・dVTE/dTとなるようにミラー比αを設定すれば、基準電圧の温度依存性dVR/dT=0にできる。
なお、本回路に用いるMOSFETのチャネル長は、ある程度長い方が望ましい。たとえば、半導体装置の他の回路でチャネル長1μm程度のMOSFETが用いられていたとしても、本回路ではそれよりも長い、たとえば5μm以上のチャネル長のMOSFETを用いるのがよい。(7)〜(9)式では簡単のため、飽和領域のドレイン電流はゲート・ソース間電圧にのみ依存するとしたが、実際にはドレイン・ソース間電圧によっても多少変化する。チャネル長が長いほどこの変化の割合(ドレインコンダクタンス)が小さく、したがって基準電圧の安定度が良くなる。また、短チャネル効果によるしきい値電圧変動を抑えるためにも、チャネル長は長い方がよい。
図1 (a),(b),(c) の回路では、基準電圧を作るためのMOSFET・Q61〜Q63のバックゲートはそれぞれのソースに接続されているが、共通の基板端子に接続するようにしてもよい。しかし、MOSFETのしきい値電圧はバックゲート電圧によって変化するので、その影響を避けるためにはソースに接続した方がよい。
ここで本発明に用いるカレントミラー回路について補足しておく。カレントミラー回路は、図1(a)の実施例に用いられている2個のMOSFETから成る回路に限られない。たとえば、図1(b)または(c)の回路でもよい。これらの回路はそれぞれカスコード形,ウィルソン形という名称で知られている回路である。これらの回路の特徴は、ミラー特性が良いことである。すなわち、図1(a)のカレントミラー回路では、Q64とQ65のドレイン・ソース間電圧の変化によってミラー比αがわずかに変化するが、図1(b)または図1(c)の回路ではその変化量が少ない。したがって、本発明に適用した場合、ミラー比をより正確に設定でき、より安定な基準電圧を得ることができる。また、カレントミラー回路としては、図1(d)に示すような、MOSFETのかわりにバイポーラトランジスタを用いた回路でもよい。以下の実施例では、簡単のため、主として図1(a)のカレントミラー回路を用いた図を掲げてあるが、これらの実施例に図1(b)〜(d)の回路を適用してもよいことは言うまでもない。
図8に本発明の第2の実施例を示す。この回路は図1(a)のQ63を抵抗R61で置き換えたものである。Q61とQ62の定数が等しく、いずれも飽和領域で動作しているとすると、次の3式が成り立つ。
I1=(βEE/2)・(V1−VTEE)2 …(15)
I1=(βE/2)・(V1−VR−VTE)2 …(16)
I2=VR/R61 …(17)
これらの式より、ミラー比α=1,βEE≒βEとして計算すると、
VR=VTEE−VTE …(18)
となり、基準電圧VRとしてEEMOSとEMOSとのしきい値電圧の差の電圧が得られる。
本実施例の特徴は、EEMOSとEMOSとのしきい値電圧の差を、図1(a)の場合よりもさらに小さくできる(原理的にはいくら小さくてもよい)ことである。そのため、MOSFETの特性を合せることがさらに容易である。ただし、通常のMOSプロセスでは、一般に抵抗よりもMOSFETの方が占有面積が小さくできるので、しきい値電圧差がある程度大きくてもよい場合は図1(a)の実施例の方が望ましい。
図9(a)に本発明の他の実施例を示す。図1(a)の実施例との相違点は、電流I1とI2との比を一定に保つ方法にある。図1(a)の場合は、カレントミラー回路70が直接I1とI2の比を一定に保っていたが、本実施例では2組のカレントミラー回路71および72が間接的にこれを実現する。すなわち、4個のNチャネルMOSFETから成るカレントミラー回路71(これは前述のカスコード形である)がI2とI3とを一定比に保つと同時に、2個のPチャネルMOSFETから成るカレントミラー回路72がI3と(I1+I2)とを一定比に保つ。これによりI1とI2との比が一定に保たれる。たとえば、回路71のミラー比をI2:I3=1:1、回路72のミラー比をI3:(I1+I2)=1:2とすれば、I1:I2=1:1となる。
本実施例の特徴は、Q62のドレイン・ソース間電圧がほぼ一定になることである。図1(a)の実施例では、Q62のドレイン(ノード62)の電圧はほぼVDD−|VTP|(VTPはPチャネルMOSFETのしきい値電圧)であり、これは外部電源電圧VDDの変動によって変化する。ドレイン電圧の変化は、ドレインコンダクタンスによるドレイン電流の変化をもたらし、基準電圧VRの変動を招く。それに対して本実施例では、Q62のドレイン電圧は2VRに保たれているので、VDDに対してより安定な基準電圧を得ることができる。
図9(b)の回路の同様な趣旨の実施例である。この回路では、2個のEEMOSから成るカレントミラー回路73がI2とI4とを一定比に保ち、2個のPチャネルMOSFETから成るカレントミラー回路72が、I4と(I1+I2)とを一定比に保つことにより、I1とI2の比が一定に保たれる。
これまでの実施例は、いずれもNチャネルMOSFETのしきい値電圧差を基準とする回路であったが、PチャネルMOSFETのしきい値電圧差を、基準とすることもできる。図10(a),(b)にその例を示す。Q74は標準しきい値電圧VTPを持つPチャネルMOSFETであり、Q73はVTPよりも低い(負で絶対値が大きい)しきい値電圧VTPEを持つPチャネルMOSFETである。Q74とQ73がいずれも飽和領域で動作しているとすると、次の2式が成り立つ。
I1=(βPE/2)・(−V3−VTPE)2 …(19)
I2=(βP/2)・(VR−V3−VTP)2 …(20)
ここでV3はノード63の電圧、βPE,βEはそれぞれQ73,Q74のコンダクタンス係数である。こららの式より、I1:I2=1:1、βPE≒βEとして計算すると、
VR=VTP−VTPE …(21)
となり、基準電圧VRとしてPチャネルMOSFETのしきい値電圧差が得られる。
本実施例は、P形の基板上に形成される半導体集積回路であって安定な基準電圧を必要とするものに組み込むのに好適である。前述のように、基準電圧を作るためのMOSFETのバックゲートはそれぞれのソースに接続することが望ましい。しかし、P形の基板上の半導体集積回路では、NチャネルMOSFETは基板上に直接形成され、そのバックゲートはすべて共通の基板端子に接続されるのが普通である。したがって基板電圧が変動すると、NチャネルMOSFETのしきい値電圧が変化する。それに対して、PチャネルMOSFETはN形のウェル内に形成されるので、各MOSFETのバックゲート(ウェル)をソースに接続することによって、基板電圧変動の影響を受けないようにすることができる。たとえば、DRAMでは、P形の基板を用い、チップ上に設けた基板電圧発生回路で発生した電圧(通常−3V程度)を基板に印加するのが普通である。しかしこの基板電圧は、外部電源電圧の変動やメモリの動作によって変動しやすい。このような場合には、本実施例の回路が特に有効である。逆に、N形の基板上に形成される半導体集積回路では、NチャネルMOSFETのしきい値電圧差を基準とする回路の方がよい。
図10(b)も同様にPチャネルMOSFETのしきい値電圧差を基準とする回路である。これまでの実施例との相違点は、動作点(動作電流)の設定方法にある。これまでの実施例は、基準電圧発生回路内で自動的に動作点が定まる、いわゆるセルフバイアス方式の回路であった。しかし、本回路では、動作点を設定するための回路76が独立に設けられている。動作点設定回路76に流れる電流I5は、主として抵抗R62(MOSFETで置換してもよい)によって定まる。基準電圧発生回路の動作電流I1およびI2は、I5と2組のカレントミラー回路72および75によって定まる。たとえば、回路72のミラー比をI5:(I1+I2)=1:2、回路75のミラー比をI5:I2=1:1とすれば、I1=I2=I5となる。
本回路は、動作点設定回路が独立しているので、セルフバイアス方式の回路よりも、デバイスのばらつきによる動作点の変動が少なく、したがって消費電流のばらつきが少ないという特徴がある。
なお、セルフバイアス方式の回路では、起動回路を付けておくことが望ましい。起動回路とは、回路が望ましくない安定点に陥るのを防止するための回路である。たとえば図9(a)の回路では、望ましい安定点は前述のように正常にVRを発生している状態であり、このときノード63の電圧V3=2VR、ノード64の電圧V4≒VDD−|VTP|である。しかし、これ以外にもI1=I2=0という安定点があり、このときV3=0、V4=VDD、VR=0である。回路がこの安定点に陥るのを防ぐには、たとえば図11に示すような起動回路77を付ければよい。PチャネルMOSFET・Q75,Q76および抵抗R63(MOSFETによって置換してもよい)は電流源を構成している。回路が望ましくない安定点にあるときはV3=0でEEMOS・Q77は非常通状態であるから、ノード60が電流源によって充電される。するとQ78が導通状態になってノード63の電圧を上昇させ、回路を望ましくない安定点から脱出させるように働く。回路が望ましい安定点に到達するとV3がVTEEを越えてQ77が導通状態になり、ノード60の電圧が下がる。するとQ78は非導通状態になり、基準電圧発生回路本体の動作には影響を及ぼさなくなる。
次に、本発明をDRAMに適用した例を示す。図12は、メモリアレーを外部電源電圧VCCよりも低い内部電圧VLで動作させるために、オンチップ電圧リミッタを設けたDRAMの構成図である。内部電圧VLを発生するために、本発明による基準電圧発生回路を用いている。図中、6は本発明による基準電圧発生回路、24は差動アンプ、7aおよび7bはバッファ、30はワード線昇圧回路、2はメモリセルMCを縦横に配列したメモリアレー、33はセンスアンプ、31はワードドライバである。
差動アンプ24と2個の抵抗R21,R22は、基準電圧発生回路6の出力電圧VRから、次式のようにメモリアレーの動作電圧VR′を作るための回路である。
VR′=((R21+R22)/(R22))・VR …(22)
VRは、前述のようにFETのしきい値電圧差を基準としているため、必ずしもメモリアレーの動作電圧として適当な電圧であるとは限らない。そのためにこの回路によってVRからVR′への変換を行っている。たとえば、VR=1V,VR′=3Vならば、R21:R22=2:1とすればよい。また、R21とR22を可変にして、VR′の微調整、いわゆるトリミングができるようにしてもよい。トリミングの方法としては、たとえば前記米国特許に記載されている方法を用いることができる。
バッファ7aおよび7bは、VR′の電流駆動能力を高めるための回路である。バッファは、MOSFET・Q21〜Q24と電流源I25から成る差動アンプと、MOSFET・Q26と電流源I27から成る出力段によって構成されている。なお、7bの構成は7aと同一なので、図では記載を省略してある。この回路は、出力段から差動アンプの入力へフィードバックがかかっているので、出力VL1,VL2の電圧が入力電圧VR′に追随するように動作する。すなわち、電圧値はそのままで駆動能力の大きな出力VL1,VL2を得ることができる。VL1,VL2は、それぞれセンスアンプ,メモリセルのワード線を駆動するのに用いられる。本実施例では、ワード線電圧をメモリアレーの動作電圧(ここではVL1)よりも高くする、ワードブーストと呼ばれる手法を用いている。そのために、ワード線昇圧回路30を設けてある。そのために、ワード線昇圧回路30を設けてある。ただし、30の電源は、外部電源VCCではなく内部電源VL2である。したがって、ワード線駆動信号φXはVL2を基準に昇圧される。ワードドライバ31は、φXとデコーダ出力XDとを受けて、ワード線WLを駆動する。
本実施例に用いられているセンスアンプ33は、PチャネルMOSFET・Q125,Q126とNチャネルMOSFET・Q127,Q128から成る、通常のCMOSセンスアンプである。33は、φSを高レベルに、/φSを低レベルにしてMOSFET・Q136,Q137を導通させることにより、起動される。ただし、Q137のソースは、外部電源VCCではなく内部電源VL1に接続されているので、33は動作することにより、データ線の高レベル側はVL1に、低レベル側は設置電位になる。すなわち、データ線の振幅はVL1に抑えられる。
次に、本発明をDRAMに適用した他の実施例を紹介する。図13は本発明を適用した16MビットDRAMの回路図、図14はチップ内レイアウト図、図15は電圧リミッタ13の詳細レイアウト図である。なお、レイアウト図においては、簡単のため、一部の回路は記載を省略してある。図中、1は半導体チップ、2はメモリアレー、31はワードドライバ、32はロウデコーダ、33はセンスアンプ、34はデータ線プリチャージ回路、35はデータ線選択回路、36Lおよび36Rはスイッチ回路、37はカラムデコーダ、38はメインアンプ、39はデータ出力バッファ、40はデータ入力バッファ、41は書込み回路、42はロウアドレスバッファ、43はカラムアドレスバッファ、44はタイミング発生回路、45はセンスアンプ駆動信号発生回路、46はワード線電圧発生回路、47はデータ線プリチャージ線圧発生回路、48は基板電圧発生回路である。電圧リミッタ回路13の中の6は本発明による基準電圧発生回路、6aは電圧変換回路、7a,7b,7cは駆動回路、4a,4b,4cは接地VSSのボンディングパッド、5a,5bは外部電源電圧VCCのボンディングパッドである。基準電圧発生回路6は外部電源電圧VCC(ここでは5V)に対して安定化された電圧VR(ここでは1.1V)を発生し、電圧変換回路6aはそれぞれVR′(ここでは3.3V)に変換する。駆動回路は、VR′をもとに、メモリアレー用の電源電圧VL1、周辺回路用の電源電圧VL2を発生する。この例では、VL1,VL2の電圧レベルは、ともに3.3Vである。
本実施例の第1の特徴は、周辺回路にも電圧リミッタ回路を適用したことである。VL1は45および47に、VL2は32,37,38,40,41,42,43,44,46,48にそれぞれ供給される。すなわち、データ出力バッファ39以外の回路は内部電源電圧VL1もしくはVL2で動作する。周辺回路をも外部電源電圧VCCよりも低い安定化された電圧VL1で動作させることにより、周辺回路で消費される電力を低減することができ、またその動作を安定化することができる。
本実施例の第2の特徴は、電圧リミッタ回路13を半導体チップの中央に配置したことである。これにより、内部電源電圧VL1,VL2の配線11a,11bのインピーダンスによる電圧降下が小さくなる。そのため、VL1,VL2を電源とする回路の動作が安定かつ高速になる。
本実施例の第3の特徴は、接地配線の方法にある。まず、基準電圧発生回路および電圧変換回路用としては、専用の短い接地配線8を設ける。次に、駆動回路用としては接地配線9aおよび9bを設ける。そして、電圧リミッタ回路用のボンディングパッド4bは、他の回路用のボンディングパッド4a,4cとは別に設ける。これにより、各回路が動作するときに流れる電流によって接地配線上に発生する雑音が、他の回路に悪影響を与えるのを防止できる。特に、基準電圧発生回路および電圧変換回路の接地配線に雑音が生ずると、内部電源電圧VL1,VL2のレベルが変動し、チップ内のほとんどすべての回路に影響を与えるので、この配線8は極力短くし、かつ他の接地配線とは分離しておくことが望ましい。そのためには、ポンディングパッドから別にしておくのが最も望ましいが、ボンディングパッドは共通にして配線の取り出し部から分離するという方式でもよい。また、図には示していないが、メモリアレー用の接地配線も、他の配線とは分離しておくことが望ましい。なぜならば、DRAMでは、センスアンプが増幅動作を行うとき、多数のデータ線(その容量は通常合計数千pF)が同時に充放電され、接地配線に大きな雑音が発生するからである。
本実施例の第4の特徴は、電源配線の方法にある。外部電源電圧VCC用のボンディングパッドは、メモリアレー用の5aと、周辺回路用の5bとで別に設ける。メモリアレー用の駆動回路7aは5aに、周辺回路用の駆動回路7b,7cは5bにそれぞれ近接して配置する。これにより、電源電圧10a,10bでの電圧降下を低減できる。もちろんこの電圧降下分は各駆動回路で吸収するようになっているが、降下分があまりに大きいと吸収しきれなくなり、内部電源電圧VL1もしくはVL2の低下を招くことがある。これを防ぐためには、本実施例のように、配線10a,10bのインピーダンスを小さくすることが望ましい。周辺回路用とメモリアレー用とでボンディングパッドを別に設けたのは、上述の接地の場合と同様、回路が動作するときに流れる電流によって電源電線上に発生する雑音が、他の回路に悪影響を与えるのを防止するためである。基準電圧発生回路および電圧変換回路用の電源は、ここでは5bから配線しているが、もちろん別のボンディングパッドを設けてもよい。
なお、図には示していないが、データ出力バッファ用の接地配線および電源配線も、他の接地配線および電源配線とはそれぞれ分離しておくことが望ましい。なぜならば、データ出力バッファが動作するときには外部負荷(通常数百pF)が充放電されるため、接地配線および電源配線(データ出力バッファは外部電源電圧VCCで直接動作する)に大きな雑音が発生するからである。
以下、本実施例の各部について詳細に説明する。
まず、基準電圧発生回路6について述べる。基準電圧発生回路としては、図1(a)〜(d),図8〜図11に示した回路を用いることができる。ここで、前述のように、基板電位変動の影響を少なくするためには、各MOSFETのバックゲートはそれぞれのソースに接続することが望ましい。たとえば図10(a),(b)の回路では、PチャネルMOSFET・Q73とQ74とのしきい値電圧差が基準電圧VRとなる。この場合は、Q73とQ74としては、たとえば図16(a),(b)に示す構造のPチャネルMOSFETを用いればよい。同図16(a)はレイアウト図、図16(b)は断面図である。図中、101はP形の半導体基板、102はN形のウェル、103はN+拡散層、107はP+拡散層、104はアイソレーション用のSiO2、106はゲートとなる多結晶シリコンもしくは金属、113は層間絶縁膜、108は配線層、115は保護膜、116はコンタクト孔である。ソース拡散層(図の左側のP+拡散層)とNウェルとが、配線層108によって接続されている。この端子が図10(a),(b)の回路図のノード66に相当する。この構造は通常のCMOSプロセスで作ることができる。図17(a),(b)は、ウェルを二重構造にした例である。図中,111はN形の基板、112はP形のウェルである。このように、ウェルを二重構造にして、外側のウェル112の電位を固定(たとえば接地)することにより、基板111とMOSFETのバックゲート102とが静電的にシールドされる。したがって、それらの間の寄生容量を介した干渉雑音を防止でき、基板電位変動の影響をほぼ完全になくすることができる。なお、基板111はたとえば外部電源VCCに接続すればよい。この構造は通常のCMOSプロセスにウェルを形成する工程を一つ追加するだけで作ることができ、比較的低コストで大きな効果が得られる。
図1(a)〜(d)、図8、図9(a),(b)図11の回路では、NチャネルMOSFET・Q61とQ62とのしきい値電圧差が基準電圧となる。これらの回路を用いる場合は、図16(a),(b)または図17(a),(b)において導電形を逆にした構造のNチャネルMOSFETを用いればよい。
基準電圧を発生するための一対のMOSFET図10(a),(b)の場合はQ73とQ74、図1(a)〜(d)、図8、図7(a),(b)、図11の場合はQ61とQ62)のレイアウトパターンは、幾何学的に合同な図形とし、配置する方向も同一にするのが、製造プロセスのばらつきの影響を少なくする意味で望ましい。たとえば、ソース・ドレイン拡散層上のコンタクト孔の配置方法を同一にすることにより、拡散層抵抗の影響を同じにすることができる。また、チャネルの方向を同じにすることにより、結晶面方向による移動度の差の影響をなくすことができる。
次に、電圧変換回路6aについて述べる。電圧変換回路の一実現方法を図18に示す。図中、24は差動増幅器、25はトリミング回路、Q39〜Q47およびQ49はPチャネルMOSFET、F4〜F7はヒューズである。これに関連する実施例が図35,図37,図39(a)で説明されるので、これを参照すれば、一層明らかになるであろう。この回路は、基準電圧VRの定数倍の電圧VR′を発生する。また、製造プロセスなどによるVRのばらつきを補償するための電圧の微調整(トリミング)が可能である。
差動増幅器24の入力端子の一方には、VRが入力され、他方にはVR′をMOSFETQ44〜Q47およびQ39〜Q42によって分割した電圧VR″が帰還されている。24の増幅率が十分大きいとすれば、出力電圧VR′は次式で与えられる。
VR′=((RT1+RT2)/RT2)・VR
ここで、RT1はQ44〜Q47から成る回路を等価的に抵抗とみなしたときの抵抗値、RT2はQ39〜Q42から成る回路を等価的に抵抗とみなしたときの抵抗値である。ヒューズを切断することによりRT1,RT2が変わるので、VR′を調整することができる。VR,VR′の標準値は、前述のようにそれぞれ1.1V,3.3Vであるから、ヒューズを切断しないときはRT1:RT2=2:1としておく。VR>1.1VのときはF4〜F6を切断することによりRT2を大きくし、VR<1.1VのときはF7を切断することによりRT1を大きくして、VR′が標準値から大きくはずれないように調節することができる。
MOSFET・Q49およびQ50はテストモードのときにVR′=0Vとするためのものである。テストモードのときは信号TEがVCCレベルになり、出力VR′は0Vになる。
図18に示した回路は、米国特許第4100437号に記載されている回路に比べて、通常のMOSプロセスで作った場合の占有面積が小さいという利点がある。すなわち、米国特許に記載されている回路では、出力電圧VR′を分割するための素子として、抵抗を用いていたのに対し、図18の回路ではMOSFETを用いている。回路の消費電流を低減するためには、電圧分割用素子の等価抵抗はかなり大きく(数百kΩ程度)なければならない。通常のMOSプロセスでは、抵抗よりもMOSFETの方が、小面積で等価抵抗の大きい素子が得られる。ただし、MOSFETを用いると、そのしきい値電圧の変動によってVR′の特性が変動することが懸念されるが、MOSFETのチャネル幅・チャネル長を十分大きくしてばらつきを抑え、バックゲートをソースに接続して基板電位変動の影響を回避し、さらにしきい値電圧のばらつき分も見込んでヒューズの切断方法を選択することにより、解決できる。なお、このトリミングに用いるMOSFETは、基板電位変動の影響を少なくするため、図16(a),(b)または図17(a),(b)に示した構造にすることが望ましい。
基準電圧VR,VR′の端子には、接地との間に大きな容量のキャパシタを付加しておくのが望ましい。これは、VR,VR′の高周波に対するインピーダンスを低減させ、高周波雑音をバイパスさせるためである。特に、図15のように、VR′の配線12aがやむを得ず他の配線と交差する場合には、電圧リミッタ回路の動作を安定化する(発振を防止する)意味もある。この理由を図19を参照して説明する。
駆動回路7a,7bは、それぞれVR′から電流駆動能力の大きい電圧VL1,VL2を作る。このVL1,VL2自体、あるいはパルス発生回路14のようなVL2を電源として動作する回路の出力(その電圧レベルはVL2)の配線16がVR′の配線が、VR′の配線12aと交差していると、17a〜17cに示すように、配線間の寄生容量CC3を介した帰還ループが生ずる。このループの利得が1(0dB)より大きいと回路は発振し、1より小さくても余裕が少ないと回路動作が不安定になる。これを防止するためには、VR′と接地との間にCC1〜CC3よりも十分大きなキャパシタCR1,CR2を挿入し、ループの利得を十分小さく(たとえば−10dB以下)しておけばよい。
ここで用いるキャパシタの実現方法の一例を図20(a),(b)に示す。図20(a)はレイアウト図、図20(b)は断面図である。図中、101はP形の半導体基板、102はN形のウェル、103はN+拡散層、104はアイソレーション用のSiO2、105はゲート絶縁膜、106はゲートとなる多結晶シリコンもしくは金属、113は層間絶縁膜、108は配線層、115は保護層、116はコンタクト孔である。キャパシタは、通常のMOSキャパシタと同じように、ゲート絶縁膜をはさんで、ゲート106と基板表面102aとの間に形成される。キャパシタ絶縁膜として薄いゲート絶縁膜を用いているために、比較的小面積で大きな静電容量が得られるのが特徴である。ただし、通常のMOSキャパシタと異なる点は、ゲート下にNウェルがあるためにしきい値電圧(フラットバンド電圧)が負であることである。したがって、ゲート側が正になるように一方向の電圧が印加されるかぎり、その収電容量はほとんど一定であるという特徴がある。このキャパシタを作るのに必要な工程は、ウェル形成,アイソレーション領域形成,ゲート絶縁膜形成,ゲート形成,拡散層形成、および配線の各工程であるが、これらはいずれも通常のCMOSプロセスに含まれている工程である。したがって、CMOSプロセスで製造される半導体装置ならば、本キャパシタを作るために特に工程を追加する必要はない。
駆動回路7a,7bの一実現方法を図21(a)に示す。図中、21は差動増幅器であり、MOSFET・Q21〜Q25から成る。22は出力段であり、MOSFET・Q26〜Q27から成る。CLは駆動回路の負荷(メモリアレーもしくは周辺回路)を等価的に1つのキャパシタで表したものである。差動増幅器21の2個の入力端子のうち、一方には基準電圧VR′が入力され、他方には出力段からVL1(VL2)が帰還されている。したがって、この回路はVL1(VL2)がVR′に追随するように動作する。23は21,22から成る帰還増幅器の動作を安定にするための、いわゆる位補償回路である。MOSFET・Q28〜Q30は、駆動回路が非活性状態のとき出力を高インピーダンスにするため、およびテストモードのときにVL1(VL2)をVCCレベルにするためである。すなわち、非活性状態のときはテスト信号TEが低レベル、活性化信号φ1′(φ2′)が低レベルであり、Q26のゲートVCCレベルになり、出力VL1(VL2)が高インピーダンスになる。また、このときはQ25,Q27が非導通状態になるため、回路の消費電力が低減される。テストモードのときは、TEがVCCレベルになり、Q6のゲートが低レベルになり、VCCが直接出力される。駆動回路7cの一実現方法を図21(b)に示す。この回路でも、活性化信号φ3′が低レベルのときは、出力は高インピーダンスになる。なお、この回の位相補償回路は7bのそれで兼用できる(7bと7cは並列に接続されているため)ので、ここには特に位相補償回路は設けていない。
前述のように、駆動回路7aはVL1を、7bと7cとはVL2を発生するための回路である。通常状態では、7cは常に活性化され、7aと7bはメモリが動作状態のときのみ活性化される。そのため、活性化信号φ3′は常にVCCレベル、φ1′とφ2′とはメモリの動作タイミング(タイミングの詳細は後述に従ってVCCレベルになる。テストモードのときは、φ1′,φ2′,φ3′はすべて低レベルになり、テスト信号TEがVCCレベルになる。このときVL1とVL2は共にVCCに等しくなる。これは、外部電源電圧を直接印加して、メモリの動作(たとえばアクセス時間の電源電圧依存性)を調べるのに有効である。電源投入直後はVL1とVL2の立上りを早くするために、φ1′,φ2′,φ3′をすべて活性化することが望ましい。また、後述のように、VL2はワード線電圧VCHおよび基板電圧VBBを発生するのに用いられる。そこで、VCHおよびVBBの電圧レベルが標準値から外れたときにφ2′を活性化するようにすると、これらの電圧の安定度をよくすることができる。なお、活性化信号φ1′,φ2′,φ3′およびテスト信号TEの高レベルをVL2でなくてVCCとしているのは、PチャネルMOSFET・Q28,Q29を確実に非導通状態にするためである。
駆動回路7aと7bとは、電流駆動能力が大きくなければならない。メモリが動作状態のとき、7aと7bとは大きな(数百〜数千pF)負荷容量を駆動する必要があるからである。特に7aは、センスアンプが増幅動作をするとき、多数のデータ線を駆動しなければならない。たとえば、データ線1本の容量を0.3pF、同時に動作するセンスアンプの数を8192とすると、合計の容量は2500pFにもなる。そのため、7a,7bの出力MOSFET・Q26としては、たとえばチャネル幅/チャネル長が3000μm/1.2μm程度のものを用いる。7cは、メモリが待機状態のときにリーク電流を保証する程度の電流駆動能力があればよいので、その出力MOSFETは100μm/1.2μm程度でよい。
接続回路15は、VL1とVL2との電位差が大きくなりすぎないようにするためのものである。VL2とVL1との電位差が大きいと、メモリアレーと周辺回路との間で信号の授受のミスマッチが起こりうるからである。この回路の一例を図22に示す。図中、Q1,Q2,Q5はNチャネルMOSFET、Q4はPチャネルMOSFETである。NチャネルMOSFETのしきい値電圧をVTNとすると、Q1はVL1−VL2>VTNのときに、Q2はVL2−VL1>VTNのときにそれぞれ導通する。したがって、VL1とVL2との電位差はVTN以内に保たれる。Q5のゲートには電源投入直後にのみ高レベルになる信号WKが入力されている。これは特に、VL1とVL2との負荷の時定数が大きく異なる場合に、電位差が生ずるのを防止するのに有効である。Q1,Q2,Q5のいずれも非導通の場合でもコンダクタンスの比較的小さいMOSFET・Q4は導通している。これは、たとえばメモリが待機状態にある間に、VL1=VL2とする役割を果たす。
メモリアレー2内には、MOSFETQ121とキャパシタC122から成る、いわゆる1トランジスタ・1キャパシタ形ダイナミックメモリセルMCijが、ワード線WLiとデータ線DLjとの交点に配置されている。図にはワード線は2本、データ線は1対しか示していないが、実際には縦横に多数配置されている。キャパシタC122の一端PL(プレート)は直流電流に接続する。その電圧レベルは任意であるが、キャパシタC122の耐圧の観点からは、メモリアレーの動作電圧の1/2、すなわちVL1/2が望ましい。
ワードドライバ31は、ロウデコーダ32の出力を受けて、選択されたワード線を駆動する回路である。本実施例では、ワード線電圧をメモリアレーの動作電圧(ここではVL1=3.3V)よりも高くする。いわゆるワード線昇圧方式を採用している。この方式の利点は、メモリセルの蓄積電圧を大きくできることである。そのため、ワード線電圧発生回路46で作られた電圧VCH(VCH>VL1)を選択されたワード線に供給する。
センスアンプ33は、データ線上の微小信号を増幅するための回路であり、NチャネルMOSFET・Q125,Q126から成るフリップフロップと、PチャネルMOSFETQ127,Q128から成るフリップフロップによって構成されている。センスアンプはφSを高レベル、/φSを低レベルとしてMOSFETQ136,Q137を導通状態にすることによって、活性化される。
データ線プリチャージ回路34は、メモリセル読出しに先立って各データ線を所定の電圧VPに設定するための回路である。プリチャージ信号φPを印加することによって、MOSFETQ129〜Q131が導通状態になり、データ線DLj/DLjの電圧はVPに等しくなる。なお、データ線プリチャージ電圧VPは任意の電圧でよいが、データ線充放電電流を低減する観点からは、メモリアレーの動作電圧の1/2、すなわちVL2/2にするのが望ましい。
データ線選択回路35は、カラムデコーダ37の出力φYSを受けて、選択されたデータ線対をMOSFET・Q132,Q133を通して入出力線I/O,/I/Oに接続する回路である。本実施例では、カラムデコーダ37は端に1個だけ配置し、その出力φYSを複数のデータ線選択回路に分配するという、いわゆる多分割データ線と呼ばれる手法を用いている。これはカラムデコーダの占有面積低減に有効である。
本実施例では、センスアンプ33,データ線プリチャージ回路34,データ線選択回路35を左右のメモリアレーで共有する、いわゆるシェアドセンス,シェアドI/Oと呼ばれる手法を採用している。これは、33,34,35を共有することにより、その占有面積を低減するのに有効である。そのため、メモリアレーと33,34,35との間に、スイッチ信号φSHLおよびφSHRによって制御されるスイッチ回路36Lおよび36Rが設けられている。
メインアンプ38,データ出力バッファ39,データ入力バッファ40,書込み回路41は、データの入出力のための回路である。読出しの場合は、センスアンプ33にラッチされているデータが、入出力線,メインアンプ38,データ出力バッファ39を介して、データ出力端子Dontに出力される。書込みの場合は、データ入力端子Dinから入力されたデータが、データ入力バッファ40,書込み回路41を介して入出力線に設定され、さらにデータ線選択回路35,データ線を通してメモリセルに書き込まれる。本実施例では、前述のように、38,40,41は内部電源電圧VL2で動作させて、消費電力の低減と動作の安定化を図っている。データ出力バッファ39のみは、外部インタフェース(ここではTTLコンパチブル)の都合上、外部電源電圧VCC(=5V)で動作されている。
ロウアドレスバッファ42,カラムアドレスバッファ43は、外部アドレス信号Aを受けて、それぞれロウデコーダ32,カラムデコーダ37にアドレス信号を供給する回路である。タイミング発生回路44は、外部制御信号/RAS,/CAS,/WEを受けて、メモリの動作に必要なタイミング信号を発生する回路である。これらの回路も、内部電源電圧でVL2で動作させて、消費電力の低減と動作の安定化を図っている。
ワード線電圧発生回路46は、前述のように、ワード線電圧VCH(ここでは約5V)を発生する回路である(後述のようにこの電圧はスイッチ回路でも使用される)。データ線プリチャージ電圧発生回路47は、データ線プリチャージ電圧VP)(ここでは1.65V)を発生する回路である。基板電圧発生回路48は、半導体基板に印加する電圧VBB(ここでは−2V)を発生する回路である。これらの回路の電源は、VCCではなく、安定化されたVL1もしくはVL2である。そのため、VCCが変化しても出力電圧の変動が少ないという利点がある。
次に、このDRAMの読出しの場合の動作を、図23の動作波形図を参照しながら説明する。
待機状態(/RAS,/CASともに高レベル)のときは、データ線プリチャージ信号φPおよびスイッチ信号φSHL,φSHRがともに高レベル(=VL2)であり、データ線DL,/DLがVPに設定されている。また、センスアンプ駆動信号φSAN,φSAPおよび入出力線I/O,/I/OもVPにプリチャージされている(これらのプリチャージ回路は図13には示されていない)。この状態では、電圧リミッタの駆動回路活性化信号のうち、φ3′のみが高レベル(=VCC)、φ1′,φ2′は低レベルである。したがって、消費電力の小さい待機時用の駆動回路7cのみが活性化されており、これによって内部電源電圧VL2のレベルが保持されている。また、接続回路15を通してVL1のレベルも保持されている。電流駆動能力が大きいが消費電力も大きい7a,7bは非活性状態である。こうすることにより、待機時の消費電力を低減することができる。
/RASが低レベルになると、まず周辺回路用の駆動回路活性化信号φ2′が高レベル(=VCC)になる。これにより、電流駆動能力の大きい7bが活性化され、VL2を電源として動作する周辺回路に大電流を供給できるようになる。プリチャージ信号φPが低レベル(=0V)になり、選択されたメモリアレー側のスイッチ信号(図23の場合はφSHL)はVCHレベルまで昇圧され、反対側のスイッチ信号(図23の場合はφSHR)は0Vになる。φSHLを昇圧するのは、次のような理由による。センスアンプの電圧振幅は後述のようにVL1であるが、φSHLのレベルがVL2であると、データ線の電圧振幅がVL2−VTNに低下し、その結果メモリセルの蓄積電圧もVL2−VTNに低下してしまう(VTNはNチャネルMOSFET・Q123,Q124のしきい値電圧)。φSHLを昇圧することによってこれを防止し、メモリセルの蓄積電圧を確保することができる。
次に、ロウアドレスバッファ42およびロウデコーダ32が動作すると、1本のワード線WLiが選択され、その電圧がVCHになる。WLi上の各メモリセルから各データ線に信号電荷が読出され、データ線の電位が変化する。図18の動作波形は、メモリセルのキャパシタにあらかじめ高電位(≒VL1)が蓄積されていた場合の例であり、データ線DLjの電位がわずかに上昇し、/DLjとの間に電位差を生じている。
センスアンプの動作に先立って、メモリアレー用の駆動回路活性化信号φ1′が高レベル(=VCC)になる。これにより、駆動回路7aが活性化され、VL1を電源として動作するセンスアンプ駆動信号発生回路45に大電流を供給できるようになる。次に、φSが高レベル(=VL2)、/φSが低レベル(=0V)になる。これにより、MOSFET・Q136,Q137が導通状態になり、φSANはQ136を通して接地され、φSAPはQ137を通してVL1に接続される。これによって、データ線DLj/DLj間の微小な電位差が増幅され、一方(図23の場合はDLj)はVL1に、他方(図23は/DLj)は0Vになる。
/CASが低レベルになると、カラムアドレスバッファ43,カラムデコーダ37が動作し、1本のデータ線が選択される。これにより、データ線選択信号φYSが高レベル(=VL2)になり、データ線選択回路35を通してデータ線が入出力線に接続される。センスアンプ33にラッチされていたデータは、入出力線,メインアンプ38,データ出力バッファ39を介して、データ出力端子Dontに出力される。
/RASが高レベルに戻ると、まずワード線WLiが低レベルになり、φS,/φS,φSHL,φSHR,φPが元のレベルに復帰する。メモリアレー用の駆動回路活性化信号φ1′はここで低レベル(=0V)になり、駆動回路7aが非活性状態になる。さらに、/CASが高レベルに戻ると、周辺回路用の駆動回路活性化信号φ2′も低レベル(=0V)になり、駆動回路7bが非活性状態になる。
以上の説明から明らかなように、駆動回路の活性化信号φ1′およびφ2′は、それぞれ必要なときにのみ高レベルになる。すなわち、φ1′はセンスアンプの動作開始直前から/RASが高レベルに戻るまで、φ2′は/RASまたは/CASが低レベルにあるときに、それぞれ高レベルになる。これにより、駆動回路7a,7bで消費される電力の低減が実現できる。
以上説明したように、本実施例によれば、デプリーション形のFETを用いず、エンハンスメント形のFET同士のしきい値電圧差を基準とする基準電圧発生回路を作ることができる。エンハンスメント形のFET同士の特性を合せることはデプリーション形とエンハンスメント形のFETの特性を合せることよりも容易であるから、従来よりも安定な基準電圧を得ることができる。したがって、たとえば前述のメモリLSIの電圧リミッタに適用した場合、より安定な内部電源電圧を発生することができる。
〔第2グループ〕
以下、図面を参照して本発明の第2のグループの実施例を説明する。以下の説明では、主として本発明をMOS技術による半導体装置に適用した例を示すが、本発明は他の半導体装置、たとえばバイポーラやBiCMOS技術による半導体装置にも適用できる。また、外部電源電圧および内部電源電圧は正である場合について述べるが、負である場合でも、トランジスタの極性などを逆にすることによって本発明が適用できる。
まず、第2のグループの基本概念を説明する。
図24に本実施例を示す。図中、VLが電圧リミッタ回路であり、外部電源電圧VCCから内部電源電圧VL1〜VL3(以下、VLi(i=1,2,3)として説明する)を発生する。電圧リミッタ回路VLは、基準電圧発生回路VRと駆動回路B1〜B3(以下Bi(i=1,2,3)として説明する)から成る。基準電圧発生回路VRは、外部電源電圧VCCや温度による変動が少ない安定な電圧VRを発生し、各駆動回路Bi(B1〜B3)は、VRをもとに電流駆動能力の大きい電圧VL1を発生する。各駆動回路Biは、帰還増幅器Aiと相位補償回路Ci(i=1,2,3)から成る。Z1〜Z3は、電圧リミッタ回路VLの負荷となる半導体装置内の回路であり、それぞれVL1〜VL3を電源として動作する。φ1〜φ3は、それぞれ負荷回路Z1〜Z3を制御するタイミング信号である。φ1′〜φ3′は、それぞれφ1〜φ3に同期したタイミング信号である。
本実施例の第1の特徴は、電圧リミッタ回路の負荷となる内部回路をZ1〜Z3の3個の分割し、それに応じて電圧リミッタ回路内の駆動回路もB1〜B3の3個に分割し、それぞれに位相補償を施したことである。一般に、半導体装置内の回路には、容量,抵抗,インダクタンス,非線形素子、あるいはそれらの組合せなど極めて多種・多様なものが含まれる。しかも、それらが半導体チップ上に分散して(すなわち分布定数的に)存在する。そのような複雑な負荷を有する帰還増幅器を安定に動作させるための位相補償は極めて難しい。本実施例のように、負荷回路を種類や大きさに複数個に分割すれば、各負荷回路に適した帰還増幅器および位相補償回路の設計は比較的容易になる。これにより各駆動回路の動作を安定にすることができる。
負荷回路の分割方法としては、例えば下記の方法が考えられる。
〔1〕抵抗性負荷と容量性負荷とに分割する方法。
〔2〕負荷の大きさ(消費電流)によって分割する方法。
〔3〕回路の動作タイミングによって分割する方法。
〔4〕回路の半導体チップ内の物理的位置によって分割する方法。
物理的位置によって分割した場合は、必要に応じて駆動回路B1〜B3を分散配置することが望ましい。
本実施例の第2の特徴は、各駆動回路Biに、各負荷を制御するタイミング信号φiに同期した信号φi′が入力されていることである。一般に、半導体装置内の回路に流れる電流は、動作モードによって大きく変化する。このことは、電源側から見れば、負荷のインピーダンスが変化することを意味する。このような負荷変動に対応できるようにするために、本実施例では、タイミング信号φi′を用いる。φi′によって帰還増幅器Aiや位相補償回路Ciの回路定数を変化させ、常に負荷の動作モードに適応した特性にすることができる。これにより、常に駆動回路の動作を安定にすることができる。
なお、本実施例では、負荷回路Z1〜Z3の動作電圧VL1〜VL3のレベルはすべて等しいとしている。そのため、基準電圧発生回路は1個だけ設け、その出力VRを駆動回路B1〜B3で共通に使用している。負荷回路によって動作電圧が異なる場合は、図25のように基準電圧発生回路を複数個設ければよい。あるいは基準電圧発生回路は1個だけとしておき、駆動回路B1〜B3内に電圧変換機構を設けてもよい。
図26に本発明の他の実施例を示す。本実施例の特徴は、負荷回路Z1の動作モードに対応して複数(ここでは2個)の駆動回路を設け、それらの出力をスイッチで切替えていることである。駆動回路B11,B12にはそれぞれ、Z1の動作に同期したタイミング信号φi′およびその補信号/φi′が入力されている。B11,B12の出力VL11,VL12のうちの一方が、スイッチSWで選択されて、負荷Z1に供給される。φ1′が高レベル、φ1′が低レベルのときは、B11が活性化、B12が非活性化され、スイッチSWはVL11側に接続される。逆に、φ1′が低レベル、/φ1′が高レベルのときは、B11が非活性化、B12が活性化され、スイッチSWはVL12側に接続される。すなわち、2個の駆動回路B11,B12のうちの一方だけが負荷回路Z1に内部電源電圧VL1を供給するのに使用され、他方は切り離された状態にある。
図24の実施例では、負荷の変動に対応するために、駆動回路の回路定数を変えるという方法を採っていた。しかし、負荷のインピーダンスが動作モードによって極めて大きく変化し、単なる回路定数の変更だけでは複数の動作モードで安定に動作させることが困難なことがある。このようなときに本実施例の方法が有効である。各駆動回路は1つの動作モード専用に設計すればよいからである。たとえば、Z1が動作状態にあるときと待機状態にあるときとで、非常に大きな消費電流の変化があるとする。この場合は、駆動回路B11はZ1が動作状態にあるときに、B12はZ1が待機状態にあるときにそれぞれ安定に動作するように、帰還増幅器および位相補償回路を設計しておけばよい。
本実施例では、使用されない方の駆動回路は非活性化しているが、これは必ずしも必要ではない。使用されない方の駆動回路はスイッチによって切り離されるからである。しかし、消費電力を低減するためには非活性状態にしておく方が望ましい。また、スイッチによって駆動回路の出力を切り替えているが、駆動回路が非活性状態のときにその出力が高インピーダンスになるように設計しておけば、スイッチは不要である。
図24の実施例では、駆動回路を分割しているために、内部電源電圧VL1〜VL3の間に電位の差が生じることが懸念される。内部電源電圧間の電位差が大きいと、負荷回路Z1〜Z3相互間に信号の授受がある場合にミスマッチが起こったり、素子が破壊したりすることがある。図27にこれを防止する一方法を示す。簡単のため、負荷および駆動回路を2個に分割した場合について示してある。本実施例では、2個の内部電源電圧同士を2個のNチャネルMOSトランジスタQ1,Q2によって接続している。MOSトランジスタのしきい値電圧をVTHとすると、Q1はVL1−VL2>VTHのときに、Q2はVL2−VL1>VTHのときにそれぞれ導通する。したがって、VL1とVL2との間の電位差はVTH以内に保たれる。
内部電源電圧同士を接続する方法は、図27に示したものに限られない。図28(a)〜(e)にいくつかの例を示す。最も単純な方法は、同図(a)ないし(e)のように、抵抗あるいは等価的に抵抗とみなせる素子によって接続する方法である。同図(d)は、図27と同様に、内部電源電圧間の電位差が一定値を越えないようにする方法である。ここでは、MOSトランジスタのかわりにダイオードD1,D2を用いている。VL1とVL2との間の電位差は、ダイオードのオン電圧以内に抑えられる。同図(e)は、電源投入直後にのみ高レベルになる信号WKを用いて、VL1とVL2とを接続する方法である。これは特に、負荷VL1とVL2との立上りの時定数が大きく異なる場合に、電位差が生じるのを防止するのに有効である。もちろん、図27および図28(a)〜(e)のうちいくつかを組合せた接続方法を採用してもよい。
なお、ここで述べた接続方法は、位相補償を施していない電圧リミッタに対しても有効である。
図24〜図27では簡単のため、負荷回路を単一のインピーダンスZiで表していた。しかし、実際の半導体装置における負荷は図29に示すように、半導体チップ内に分布している場合が多い。このような場合は、分布した負荷の途中あるいは遠い端の部分から増幅器Aiへ帰還をかけてもよい。図の例では、A1へは分布した負荷Z11〜Z19の近端から帰還をかけているが、A2へは負荷Z21〜Z29の中央部から、A3へは負荷Z31〜Z39の遠端からそれぞれ帰還をかけている。こうすることによる利点は、配線のインピーダンスによる内部電源電圧の低下部を補償でき、駆動回路から遠い負荷の動作を安定化できることである。分布した負荷の途中あるいは遠端から帰還をかける場合は、位相補償回路の入力も同じ個所からとることが望ましい。
[帰還増幅器と位相補償回路]
次に、本発明に用いるのに好適な帰還増幅器と位相補償回路について説明する。
図30(a)に帰還増幅器Aiと位相補償回路Ciの一実施例を示す。図中、21は差動増幅器であり、MOSトランジスタQ21〜Q25から成る。22は出力段であり、MOSトランジスタQ26,Q27から成る。差動増幅器21の2個の入力端子のうち、一方には基準電圧VRが入力され、他方には出力段からVLが帰還されている。Ciは位相補償回路であり、抵抗RDとキャパシタCDが直列に接続されている。この回路の帰還をかけないときの小信号等価回路を図30(b)に示す。簡単のため、負荷が単独の容量CLである場合を示してある。ここで、gm1,gm2はそれぞれ差動増幅器、出力段の伝達コンダクタンス、r1,r2はそれぞれ差動増幅器、出力段の出力抵抗、CGは出力段の入力容量(Q26のゲート容量)である。
この回路の周波数特性を図31(a),(b)を用いて説明する。まず位相補償を施さない場合について述べる。図31(a)は位相補償回路がない場合の周波数対利得の関係である。図中、aは差動増幅器21の利得vi′/vi、bは出力段22の利得vo/vi′、cは総合の利得vo/viである。a,bはそれぞれ、f1,f2なる周波数で6dB/octの割合で低下し始める。ここで、
f1=1/(2πCGr1), f2=1/(2πCLr2)
である。この例ではf1>f2であるから、総合の利得c=Vo/Viは、周波数がf2を越えると6dB/octで、さらにf1を越えると12dB/octの割合で低下する。これらの点f2,f1がいわゆるポール周波数である。前述のように、帰還増幅器が安定に動作するためには、12dB/octで低下し始める点(ここではf1)における利得が0dB以下でなければならない。図から明らかなように、f1とf2とが比較的近接していると、この条件が満たされないことが多い。図31(a)では満たされていない。したがって、f1とf2とを十分離すことによって、帰還増幅器を安定化することができる。
ここで位相補償回路Ciを付加すると、周波数特性が図31(b)のようになる。すなわち、差動増幅器21の利得は変わらないが、出力段の利得はP21,Z2,P22の3ヵ所で折れ曲がった特性になる。P21とP22はポール、Z2は零点と呼ばれる点である。これらの点の周波数は次のとおりである。
f21=1/(2π(CDr2+CLr2CDRD))
f22=(CDr2+CLr2CDRD)/(2πCLCDr2RD)
f2=1/(2πCDRD)
この図から明らかなように、f2を差動増幅器のポール周波数f1の近傍に設定することによって、すなわちCDRD≒CGr1とすることによって、総合の利得のf1における折れ曲がりがなくなる。その結果、総合の利得は、周波数がf21を越えると6dB/octで、さらにf22を越えると12dB/octの割合で低下するようになる。ここで、CD=nCGr1/r2、RD=r2/nとしてnを十分大きくすれば、f21とf22とを十分離すことができるので、帰還増幅器を安定化することができる。
図32(a)に帰還増幅器と位相補償回路の他の実施例を示す。この回路では、出力段22の入力と出力との間にキャパシタCFを挿入することによって、位相補償を行っている。この回路の帰還をかけないときの小信号等価回路を図32(b)に、その周波数特性を図33に示す。この場合は、差動増幅器の方の利得が、P11,Z1,P12の3ヵ所で折れ曲がった特性となる。この場合も前実施例と同様、f1≒f2となるように設定し、f11とf12とを十分離すことによって、帰還増幅器を安定化することができる。本実施例の特徴は、位相補償用のキャパシタCFが増幅段の入力と出力との間に挿入されているため、いわゆるミラー効果により見掛けの静電容量が大きくなることである。したがって、実際の静電容量が比較的小さくても位相補償を行うことができるので、キャパシタの占有面積を低減することができる。
ここで図30(a)もしくは図32(a)の位相補償回路に用いるキャパシタについて説明する。これらのキャパシタとしては、静電容量がかなり大きく(通常数百〜数千pF)、しかも電圧依存性の小さいものが必要である。図34(a)に通常のCMOSプロセスでこれを実現する一方法を示す。図中、101はP形の半導体基板、102はN形ウェル、103はN+拡散層、104はアイソレーション用のSiO2、105はゲート絶縁膜、106はゲートである。キャパシタは、通常のMOSキャパシタと同じように、ゲート絶縁膜105をはさんで、ゲート106と基板表面102aとの間に形成される。キャパシタ絶縁膜として薄いゲート絶縁膜を用いているために、比較的小面積で大きな静電容量が得られるのが特徴である。ただし、通常のMOSキャパシタと異なる点は、ゲート下にNウェルがあるために、しきい値電圧が負であることである。これを図34(b)を用いて説明する。横軸はキャパシタに印加する電圧(ゲート側が正)、縦軸は静電容量である。しきい値電圧(フラットバンド電圧)は、静電容量が大きく変化するときの印加電圧V0であるが、V0<0である。したがって、ゲート側が正になるように一方向の電圧が印加されるかぎり、その収電容量はほとんど一定であるという特徴がある。双方向の電圧が印加されうる場合は、図34(a)に示したキャパシタを2個用い、図34(c)のように互いに逆方向に並列接続すればよい。
本実施例のキャパシタを作るのに必要な工程は、ウェル形成,アイソレーション領域形成,ゲート絶縁膜形成,ゲート形成,拡散層形成、および配線の各工程であるが、これらはいずれも通常のCMOSプロセスに含まれている工程である。したがって、CMOSプロセスで作られる半導体装置ならば、本キャパシタを作るために特に工程を追加する必要はない。
また、本発明を適用する半導体装置によっては、積層容量が利用できることがある。たとえば、積層容量をメモリセルのキャパシタとして用いたDARMがそうである。このような場合は、積層容量を位相補償用キャパシタとして用いてもよい。積層容量を用いたDRAMについては、アイ・イー・イー・イー,ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・サーキッツ,第15巻、第4号,第661頁から第666頁,1980年8月(IEEE Journal of Solid-State Circuits,Vol.SC−22,No.3,pp.661−666,Aug.1980)に記述されている。
[基準電圧発生回路]
次に、本発明による電圧リミッタ回路に用いるのに適した基準電圧発生回路について説明する。なお、ここで述べる基準電圧発生回路は、位相補償を施していない電圧リミッタ回路にもちろん用いることができる。また、グループ1で説明した実施例を応用することができることもいうまでもない。
電気リミッタの出力電圧VLは、基準電圧VRを基に作られる。したがって、VRの特性によって、VLの特性を任意に設定できる。半導体装置において電圧リミッタ回路を使用する際には、VLの外部電源電圧VCC依存性が特に重要であるから、VRのVCC依存性に特に留意して設計する必要がある。これに関しては、種々の目的に応じた特性例とその発生法が、特願昭56−57143,特願昭56−168698,特願昭57−220083,特願昭60−261213,特願昭63−8372,特願昭63−125742,米国特許第4100437号などに開示されている。これらの回路が本発明に適用可能なことはいうまでもない。
図24〜図27の実施例では、基準電圧VRを直接駆動回路に入力していた。しかし、基準電圧発生回路で得られる電圧は、必ずしも半導体装置内で用いる内部電源電圧として適当な値であるとは限らない。この場合は電圧の変換が必要になる。また、場合によっては、基準電圧の製造プロセスによるばらつきを補償するために、電圧の微調整、いわゆるトリミングが必要になることがある。電圧の変換およびトリミングの方法としては、前記の米国特許第4100437号に記載されている方法を用いてもよいが、ここでは通常のMOSプロセスで作られる半導体装置に適した方法を紹介する。
図35に回路図を示す。図中、DAは差動増幅器、Q31〜Q43はPチャネルMOSトランジスタ、F1〜F8はヒューズである。VRが入力電圧(基準電圧発生回路の出力)、VR′が出力電圧(駆動回路の入力となる)である。DAの入力端子の一方には、VRが入力され、他方にはVR′をMOSトランジスタQ31〜Q42によって分割したVR″が帰還されている。DAの増幅率が十分大きいとすれば、出力電圧VR′は次式で与えられる。
VR′=((R1+R2)/R2)・VR
ここで、R1はQ31〜Q38から成る回路を等価的に抵抗とみなしたときの抵抗値、R2はQ39〜Q42から成る回路を等価的に抵抗とみなしたときの抵抗値である。ヒューズを切断することによりR1,R2が変わるので、VR′を調整することができる。
具体的なトリミングの方法を図36を用いて説明する。この図は、入力VRと出力VR′との関係を示したものである。図中、dがヒューズを全く切断しないときの特性である。ヒューズF1,F2,F3を順に切断すると、上記R1が大きくなるので、c,b,aで示すようにVR′は高くなる。ヒューズF4,F5,F6を順に切断すると、上記R2が大きくなるので、e,f,gで示すようにVR′は低くなる。したがって、まずVRを観測し、図13を見てVR′が最も目標値VR0′に近くなるように、ヒューズの切断方法を選択すればよい。われわれの目標は、VRが広い範囲でばらついても、VR′がある範囲内VR0′±ΔVR′に入るようにすることである。そのためには、図中に破線で示したように、あるトリミング方法(たとえばa)を採用したときにVR′=VR0′+ΔVR′になるときに、それと隣接するトリミング方法(たとえばb)を採用するとVR′=VR0′−ΔVR′になるように、回路定数(各MOSトランジスタのチャネル幅/チャネル長)を選んでおけばよい。
図37にトリミング回路の他の実施例を示す。出力電圧VR′を低くするときは、図35と同様に、ヒューズF4,F5,F6を順に切断すればよい。図35との相違点は、出力電圧VR′を高くする方法にある。この場合は、まずヒューズF7を切断し(この時点で入出力特性は図36のhのようになるように回路定数を選んでおく)、次にF4,F5,F6を順に切断していけばよい。本回路は、図35の回路よりもヒューズの数が少なく、したがって占有面積を小さくできるという利点がある。
図35および図37に示した回路は、前記米国特許に記載されている回路に比べて、通常のMOSプロセスで作った場合の占有面積が小さいという利点がある。すなわち、米国特許に記載されている回路では、出力電圧VR′を分割するための素子として、抵抗を用いていたのに対し、図35および図37の回路ではMOSトランジスタを用いている。回路の消費電流を低減するためには、電圧分割用素子の等価抵抗はかなり大きく(数百kπ程度)しなければならない。通常のMOSプロセスでは、抵抗よりもMOSトランジスタの方が、小面積で等価抵抗の大きい素子が得られる。ただし、MOSトランジスタを用いると、そのしきい値電圧の変動によってVR′の特性が変動することが懸念されるが、各トランジスタのチャネル幅・チャネル長を十分大きくしてばらつきを抑え、バックゲートをソースに接続して基板電位変動の影響を回避し、さらにしきい値電圧のばらつき分も見込んでヒューズの切断方法を選択することにより、解決できる。
次に、トリミング回路に用いるMOSトランジスタについて、図38(a),(b)によって説明する。前述のように、各トランジスタのバックゲートは、基板電位変動の影響を抑えるために、それぞれのソースに接続することが望ましい。たとえば、基板がP形の場合は、図38(a)に示すようなPチャネルMOSトランジスタを用いればよい。基板がN形の場合は、図38(a)において導電形をすべて逆にしたNチャネルMOSトランジスタを用いればよい。また、図38(b)のように、二重のウェル構造にして、外側のウェル112の電位を固定(ここでは接地)することにより、基板電位変動に対してさらに強くすることができる。
次に、トリミング回路に用いるヒューズについて説明する。ヒューズとしては、たとえば多結晶シリコンなど、半導体メモリの欠陥救済に用いられているものと同じものが利用できる。したがって、欠陥救済回路を有する半導体メモリならば、ヒューズを作るために特に工程を追加する必要はない。ヒューズの切断方法は、レーザ光を用いる方法でも、電気的な方法でもよい。レーザ光を用いる方法には、切断用のトランジスタが不要であるため、占有面積を小さくできるという利点があり、電気的な方法には、高価なレーザ光照射装置を用いなくてもよいという利点がある。
図39(a)にVRからVR′への変換回路の他の実施例を示す。図35あるいは図37の回路との相違点は、PチャネルMOSトランジスタQ48を追加したことである。これにより、出力電圧VR′の最大値はVCC−|VTP|(VTPはPチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧)に抑えられる。これを図39を用いて説明する。この図は、VRとVR′のVCC依存性を示したものである。図35あるいは図37の回路では、VCCが低いときVR′≒VCCである。しかし図39(a)の回路では、Q48の追加により、VCCが低いときVR′=VCC−|VTP|と、|VTP|の分だけ低くなる。
本実施例の利点は、VCCが通常動作状態(たとえば5V)よりもかなり低いとき(たとえば3V)の、内部電源電圧VLの電圧安定度がよいことである。これを図39(c)を用いて説明する。この図は、図30(a)もしくは図32(a)の駆動回路において、VCCが低いときの電力電圧VLと電流ILの関係の一例である。VR′を発生するのに図35あるいは図37の回路を用いた場合は、VCCが低いときはVL≒VR′≒VCCであるから、駆動回路の出力MOSトランジスタ(図30(a)もしくは図32(a)のQ26)のドレイン・ソース間電圧がほとんど0であり、電流駆動能力が小さい。そのため、出力電流(負荷の消費電流)ILが大きくなると、VLが低下してしまう。これに対してVR′を発生するのに図39(a)の回路を用いた場合は、VL≒VR′≒VCC−|VTP|であるから、駆動回路の出力MOSトランジスタのドレイン・ソース間電圧はほぼ|VTP|(この例では0.5V)に等しい。したがって、その電流駆動能力は比較的大きく、VLの低下量は小さい。すなわち、あらかじめVLを少し低く設定しておくことにより、電圧変動量を動作する半導体装置内の回路の、VCCが低いときの動作がより安定になり、VCCに対する動作マージンが大きくなる。
なお、図39(a)の回路Q48も、前述のトリミング回路のMOSトランジスタと同様、基板電位変動の影響を抑えるために、図38(a),(b)に示す構造にしておくのが望ましい。
[チップ内配置・配線]
次に、本発明を実際の半導体チップ内に実装する場合の、回路配置方法、ならびに基準電圧VRや内部電源電圧VLの配線方法について述べる。本発明を適用する半導体装置として、ここではDRAMを例に取り上げるが、もちろん他の半導体装置にも本発明は適用可能である。また、ここで述べる配置・配線方法は、位相補償を施していない電圧リミッタ回路に対しても有効である。
図40に電圧リミッタ回路をDRAMに適用した場合の、望ましい回路配置および配線の一例を示す。図中、1は半導体チップ、2a,2bは微細MOSトランジスタで構成されているメモリアレー、3a,3b,3cは周辺回路である。4,5はそれぞれ接地VGND、外部電源電圧VCC用のボンディングパッド、6は基準電圧発生回路、7a,7b,7c,7dは駆動回路である。6と7a〜7dとにより電圧リミッタ回路を構成している。7a,7b,7cはそれぞれ、周辺回路3a,3b,3cを駆動する内部電源電圧VL1,VL2,VL3を発生する。7dはメモリアレー2a,2bを駆動する内部電源電圧VL4を発生する。
本実施例の特徴は、基準電圧発生回路6と駆動回路7a〜7dとを分離し、基準電圧発生回路は接地電位入力用ボンディングパッドの近傍に、駆動回路はそれぞれの負荷回路の近傍に配置したことである。そのため、接地電位入力用ボンディングパッドから基準電圧発生回路までの接地配線8、および各駆動回路から各負荷回路までの内部電源電圧配線11a〜11dが短くなり、それらのインピーダンスが小さくなる。これにより、配線8上の雑音が減少するので、基準電圧発生回路の接地レベルが安定し、安定な基準電圧VRが得られる。また、配線11a〜11dのインピーダンスによる内部電源電圧VL1〜VL4の電圧降下が減少するので、VL1〜VL4のレベルが安定し、負荷回路の動作が安定になる。
本実施例のもう一つの特徴は、接地配線の方法にある。まず、基準電圧発生回路用としては、専用の短い配線8を設ける。他の回路用としては、配線9a〜9dを設ける。すなわち、各駆動回路とその負荷回路とは共通の線で配線するが、他の駆動回路や負荷回路とは分離する。この配線方式の利点は、各回路が動作するときに流れる電流によって接地配線上に発生する雑音が、他の回路に悪影響を与えるのを防止できることである。特に、基準電圧発生回路の接地配線に雑音が生ずると、すべての内部電源電圧VL1〜VL4のレベルが変動するので、基準電圧発生回路用の接地配線だけは必ず他の接地配線とは分離しておくことが望ましい。また、メモリアレー用の接地配線も他の接地配線と分離しておくことが望ましい。なぜならば、DRAMではセンスアンプが増幅動作を行うとき、多数のデータ線(その容量は通常数千pF)が同時に充放電され、接地配線に大きな雑音が発生するからである。
図41に回路配置および配線の他の実施例を示す。本実施例では、周辺回路3がチップの中央に集中して配置され、さらに接地および外部電源電圧VCC用のボンディングパッド4,5もチップの中央に配置されている。本実施例でも、基準電圧発生回路6は接地電位入力用ボンディングパッドの近傍に、駆動回路7a,7dはそれぞれの負荷回路の近傍に配置されている。
この実施例の利点は、図41から明らかなように、配線長が短くなることである。これにより、外部電源電圧VCCの変動や負荷回路に流れる電流の変動に対して強くなる。すなわち、前実施例では、VCC用ボンディングパッドと各駆動回路との間の配線10が長いため、そのインピーダンスが大きく、負荷回路の消費電流によってVCCのレベルが低下する。もちろんこの低下分は各駆動回路で吸収するようになっているが、低下量があまりに大きいと吸収しきれなくなり、内部電源電圧VLのレベルの低下を招くことがある。これに対して本実施例では、VCC配線10のインピーダンスが小さいので、その分大きな負荷電流を流すことができる。またVCCの低下に対しても強い。
図40もしくは図41において、接地配線の雑音を特に問題にしているのは、基準電圧VRおよび内部電源電圧VLiが接地電位を基準にして発生されるからである。逆に、VR,VLiが外部電源電圧VCCを基準として発生される場合は、VCC配線の雑音の方が問題になる。この場合は、基準電圧発生回路をVCCボンディングパッドの近傍に配置し、VCC用配線を各回路ごとに分離すればよい。
なお、図40もしくは図41に示した配置・配線方法において、基準電圧VRを基準電圧発生回路から各駆動回路まで配線しているが、この配線12にはシールドを施しておくのが望ましい。半導体チップ内の他の回路から雑音を受けてVRが変動するのを防ぐためである。通常の半導体製造プロセスで実現できるシールド方法の例を次に説明する。
図42(a),(b)に、シールドを施した配線の一実施例のそれぞれ平面図および断面図を示す。図中、101は半導体基板、104はSiO2、108は第1の配線層、109a,109b,109cは第2の配線層、113,114は層間絶縁膜、115は保護膜である。109bが基準電圧VRの配線である。その周囲の108,109,109cがシールド用の配線であり、一定電位(ここでは接地)に固定されている。109bの下方に108を設けたことにより基板101との容量結合による雑音を防止でき、左右に109a,109cを設けたことにより隣接する配線(図示せず)との容量結合による雑音を防止できる。図42(c)および(d)は、シールドを施した配線の他の実施例である。本実施例では、VRを第1の配線層108bで配線し、その左右(108a,108c)、下方(106)および上方(109)にそれぞれシールド用配線を設けている。上方にもシールド配線を設けることにより、上方の空間を通した容量結合による雑音をも防止でき、シールドがより効果的になる。
さらに図61(a),(b)のように、コンタクト孔116a,116c、およびスルーホール117a,117cを設けてシールド用配線同士を接続すれば、シールドが完全になる。図61(c),(d)にシールドを施した配線の他の実施例を示す。本実施例では、多結晶シリコン層106がVRの配線である。その下方にはウェル112が形成され、P形拡散層107a,107c、およびコンタクト孔116a,116cを介して、上方の第1の配線層108に接続されている。すなわち、106の周囲を112,107a,116a,108,116c,107cで囲むことによりシールドしている。本実施例の利点は、シールドに第2の配線層を使用していないので、これを図61(c)の109に示すように、他の目的に使用できることである。これは、たとえばVRの配線と他の配線とが交差する部分に使用するのに有効である。
なお、以上のようなシールドにより、VRと接地との間に寄生容量が付くが、これはむしろ好ましい効果をもたらす。この寄生容量は、VR配線の高周波に対するインピーダンスを低減させ、高周波雑音をバイパスさせる、いわゆるデカップリングコンデンサとして働くからである。シールド線だけでは、デカップリングコンデンサとして静電容量が不足の場合は、別にキャパシタと負荷してももちろんさしつかえない。
上の例では、シールド線を固定する電位は接地電位としているが、安定な電位ならば必ずしも接地電位でなくてもよい。しかし、接地電位にするのが、最も簡単であり、しかも上に述べたように寄生容量がデカップリングコンデンサとして働くので望ましい。特に、基準電圧発生回路用の接地配線(図40,図41に示す8の部分)に接続するのが、他の回路の動作によって発生する雑音を避ける意味でよい。前述のようにVRがVCCを基準にして発生される場合は、シールド線はVCCに固定する方がよい。
図43に回路配置および配線の他の実施例を示す。図中、1は半導体メモリチップ、3は周辺回路、7a,7b,7cはそれぞれ内部電源電圧VLを発生する駆動回路、14a,14b,14c,14dは駆動回路の出力を電源として用いて電圧振幅VLのパルスφP1,φP2,φP3,φP4を発生するパルス発生回路、2a,2b,2c,2dはそれぞれφP1,φP2,φP3,φP4によって動作する微細MOSトランジスタを用いたメモリアレーである。なお、ここでは基準電圧発生回路は、記載を省略してある。図44にこれらの回路の動作タイミングを示す。
本実施例の半導体メモリチップ1には単一の外部電源電圧VCC(たとえば5V)が印加されている。駆動回路7a,7b,7cからはVCCから降下させた内部電源電圧VL(たとえば3V)が出力され、パルス発生回路14a,14b,14c,14dにそれぞれ入力されている。そして、パルス発生回路には図44に示すタイミングパルスφTと、アドレス信号aiと逆相の/aiが入力されている。
周辺回路3は、外部アドレス信号Aiを受けて内部アドレス信号aiおよび/aiを、外部制御信号(ここではロウアドレスストローブ信号/RAS,カラムアドレスストローブ/CAS、および書込みエネーブル信号/WE)を受けて内部タイミングパルスφTを発生する。周辺回路は、チップの集積度にはあまり影響しないのであえて微細素子を用いる必要がないこと、および注飛インタフェースの都合により、外部電源電圧VCCで直接動作させているが、もちろん内部電源電圧で動作させてもよい。
メモリはアドレスによって選択されたアレーのみが動作する。この例では、ai=“0”(/ai=“1”)のときアレー2aと2cが選択(2bと2dは非選択)、ai=“1”(/ai=“0”)のときアレー2bと2dが選択(2aと2cは非選択)の状態となる。そのために、選択されたアレー用のパルスのみが出力される。すなわち、図44に示すように、ai=“0”のときは、パルス発生回路14aと14cがタイミングパルスφTによりφP1,φP3を出力してアレー2aと2cを、逆にai=“1”のときは、パルス発生回路14bと14dがタイミングパルスφTによりφP2,φP4を出力してアレー2bと2dを動作させる。
本実施例の特徴は、各駆動回路を各パルス発生回路に近接して配置し、しかもパルス発生回路14bと14cとで駆動回路7bを共有していることである。そのため、図3に比べて配線が短くなり、配線のインピーダンスが小さくなり、これによって発生する雑音のレベルを抑えることができる。また、図4に比べて、駆動回路数が1個減り、これによってチップ占有面積と消費電力の低減が実現できる。しかも、パルス発生回路14bと14cとは同時には動作しないので、駆動回路7bは1個のパルス発生回路のみを駆動できればよく、電流駆動能力を2倍にする必要はない。
パルス発生回路14a〜14dは、たとえば図45(a),(b)に示した回路で実現できる。図45(a)において、51は、PチャネルMOSトランジスタQ51,Q52とNチャネルMOSトランジスタQ53,Q54から成る2入力NAND回路である。この回路の電源はVCCであり、入力はタイミングパルスとアドレス信号ai(または/ai)である。52は、PチャネルMOSトランジスタQ55とNチャネルMOSトランジスタQ56から成るインバータであり、その電源はVLである。aiが“1”(電位VCC)のときにφTが入力されると、内部電源VLの振幅のパルスφPが入力される。なお、ここではNAND回路は外部電源電圧VCCで動作させているが、内部電源電圧VLで動作させてもよい。
図46は、図43の実施例に比べて、駆動回路の数をさらに1個減らした例である。アドレス信号ai,/ai、タイミングパルスφT、およびパルスφP1〜φP4は、図43で説明したものと同じである。
本実施例では、パルス発生回路14aと14bとで駆動回路7aを、14cと14dとで7bをそれぞれ共有している。そのため、図43の実施例に比べて、駆動回路数が1個減り、これによるチップ面積と消費電力を低減できる。ここで図44に示すように、14aと14b、14cと14dとはそれぞれ同時には動作しない。したがって、駆動回路7aと7bとはそれぞれ1個のパルス発生回路のみを駆動できればよく、駆動能力を2倍にする必要はない。
図47は、メモリアレーが8個の分割されている場合に本発明を適用した実施例である。図中、1は半導体チップ、3は周辺回路、2a〜2hはメモリアレー、7a,7bは駆動回路、14a〜14hはパルス発生回路である。本実施例では、8個のアレーのうち2個がアドレス信号ai,ajによって選択され、選択されたアレーのみが動作する。すなわち、aiaj=“00”のときは2aと2e、aiaj=“01”のときは2bと2f,aiaj=“10”のときは2cと2g、aiaj=“11”のときは2dと2hがそれぞれ選択される。そのため、選択されたアレー用のパルスφPk(k=1〜8)のみが出力される。すなわち、図48に示すように、アドレス信号aiaj=“00”のときはパルスφPφ1P5、aiaj=“01”のときはパルスφP2とφP6、aiaj=“10”のときはパルスφP3とφP7、aiaj=“11”のときはパルスφP4とφPがそれぞれ出力される。これらのパルスφPk(k=1〜8)は、φTのタイミングで出力されるパルスであり、その振幅は内部電源電圧VLである。
本実施例では、メモリアレーを動作させるための8個のパルス発生回路で2個の駆動回路7a,7bを共有している。このようにすることにより、駆動回路数を大幅に減らすことができ、占有面積と消費電力の低減を実現することができる。
[DRAMへの適用例]
最後に、本発明をDRAMに適用した例について述べる。図49は本発明を適用したDRAMの構成図である。図中、201は電源電圧(VCC)供給用ボンディングパッドで、外部電源に接続されている。202は差動増幅器、203は内部降圧された電源電圧(VL)の供給線、204はPチャネルMOSセンスアンプの駆動MOSトランジスタ、205はNチャネルMOSセンスアンプの起動MOSトランジスタ、206はPチャネルMOSセンスアンプ、207はNチャネルMOSセンスアンプ、208はメモリセル、209はPチャネルMOSセンスアンプのN形ウェル部、210はセルアレー部とセンスアンプ部を含むメモリブロック、211はXデコーダ、212はYデコーダ、213はショート・プリチャージ信号線、214は電源線VL/2である。電源電圧VCCは、Xデコーダ,Yデコーダ,ゲート保護ならびに信号発生回路などの周辺回路で使う。内部降圧された電源電圧VLは、本実施例の場合、センスアンプ駆動MOSトランジスタ204につながるPチャネルMOSトランジスタのバックゲート(ウェル)とYデコーダの一部に使っている。
センスアンプのようないわゆるCMOS回路の場合、P形の基板を用いると、PチャネルMOSトランジスタはN形のウェル内に形成されるのが普通である。この場合、図50の断面図に示すように、Nウェル(PチャネルMOSトランジスタのバックゲート)の電位は外部電源電圧VCCではなく、そのソースに供給される動作電圧(この場合はVL)とするのが望ましい。この理由を次に述べる。
たとえばVCC=5V,VL1=3Vとすると、データ線プリチャージレベルが1.5Vであるから、センスアンプ起動前、PチャネルMOSトランジスタには1.5Vのバックゲートバイアスがかかり、起動後は0Vになる。図6を参照すると、センスアンプ起動前のしきい値電圧(絶対値)は約0.86V、起動後は約0.57Vである。もしNウェル電圧をVCC(=5V)としていると、各々1.1V,0.92Vとなる。これはVL1とした場合に比較してあまりに大きい。図51は、上記DRAMのセンス系の動作速度を、PチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧に対してプロットした図である。同図からわかるように、0.1Vのしきい値電圧上昇は約2nsの遅延に相当するので、この場合Nウェル電圧をVL1(=3V)とすることで約5ns以上の高速化が実現できることがわかる。超高集積化時代のCMOSLSIは、より動作電圧を下げ、基板(ウェル)濃度を上げる(バックゲートバイアス効果が大きくなる)傾向があるので、上記本発明の効果はさらに重要になる。
ここで、Nウェル電圧をPチャネルMOSトランジスタに供給される内部電源電圧VLと等しくするにあたり、容量結合などによるNウェル電圧の変動が懸念される。図49に示した実施例は、データ線はVL/2にプリチャージされるので、PチャネルMOSトランジスタが動作するとき、ドレイン電圧が上昇するのもと下降するものとが対を成し、雑音はきわめて小さい。したがって、Nウェル電圧の変動によるラッチアップ等の問題は発生しない。
以上、センスアンプを例にとって説明したが、同様の手法は、他のCMOS回路に対しても適用できる。またDRAMに限らず、2種類以上の異なる動作電圧を有するCMOS・LSIならば適用可能である。また、本発明の実施例において、半導体の導電形,電位関係をすべて逆にしても、本発明が成立することは明らかである。
以上説明したように、本発明によれば、電圧リミッタ回路が多くの種類の負荷を駆動する必要があり、また負荷の種類や大きさが動作モードによって変動する場合でも、負荷の種類や動作モードに応じた最適な位相補償が可能になり、電圧リミッタの動作を安定化できる。
また、内部電圧を電源として用いる負荷回路が半導体チップ内に複数個ある場合、各駆動回路から各負荷回路までの配線を短くすることができるので、雑音レベルを低く抑えることができる。また、駆動回路の駆動能力を増加させることなく、回路数を減らすことができるので、占有面積および消費電力を低減することができる。
また、内部降圧された動作電圧を用いるCMOS回路において、ウェル内に形成されているトランジスタのバックゲート(ウェル)の電圧を降圧された電圧と等しくすることにより、回路の高速化が可能になる、超高集積化LSIの高信頼性、高速性を併せて実現することができる。
〔第3グループ〕
上記技術の問題点は、内部電圧を外部から検査する方法について考慮されていないことである。たとえば電圧リミッタを有するメモリLSIの場合、電圧リミッタで発生した内部電圧値が設計値から外れていると、内部回路の動作マージンが狭くなったり、誤動作したりする。しかし、メモリLSIをメモリテスタ等で検査する場合、内部電圧値を知ることができないと、上記のような問題は容易に確かめることができない。
内部電圧端子にパッドを設けて、そのパッドにメモリテスタを接続すれば、外部から内部電圧値を知ることができる。しかしこの方法には次のような問題点がある。
第1に、パッドからメモリテスタまでの配線が受ける雑音によって、測定値に誤差が生ずる。
第2に、メモリテスタの入力インピーダンスによって電圧値が変化することがある。
第3に、メモリテスタはアナログ電圧を測定することになるので、デジタル信号を取扱うよりも測定に時間がかかる。
本実施例の目的は、上記の問題点を解決し、内部電圧を外部からメモリテスタ等で検査することが容易な半導体装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本実施例では、外部から指定された電圧と内部電圧とを比較する手段と、その比較結果を出力する手段を設ける。
外部から指定された電圧と内部電圧とを比較し、その比較結果を出力することにより、外部に取り出す信号はデジタル信号になる。したがって、前述の内部電圧端子から直接取り出す場合に比べて、雑音や測定器の入力インピーダンスの影響を受けにくく、またメモリテスタ等で検査することが容易になる。
以下、図面を参照して本実施例を説明する。以下の説明では、本発明をDRAMに適用した例を示すが、本発明はDRAMに限らず他の半導体装置にも適用できる。
図52に本実施例を示す。これは電圧リミッタを有するDARMである。図中、1は半導体チップ、2はDRAMのメモリアレー、3はDARMの周辺回路、4は電圧リミッタ、5は比較回路、6はマルチプレクサおよび出力バッファ、8はテストエネーブル信号発生回路である。電圧リミッタ4は、外部電源VCCをもとに、VCCよりも低い内部電源VLを発生する。DRAMの周辺回路3は外部電源VCCによって動作するが、メモリアレー2は内部電源VLの電圧を動作する。
本実施例において内部電源VLの電圧を検査する方法について説明する。
比較回路5は、VLと比較用電圧VSとを比較する。本実施例では、VSを入力する端子は、DRAMのデータ端子Dinと兼用であるが、専用の端子でもよいし、他の端子、たとえばアドレス端子の一つと兼用してもよい。比較回路の出力Cは、マルチプレクサおよび出力バッファ6を介して出力される。本実施例では、Cを出力する端子は、DRAMのデータ出力端子Doutと兼用であるが、専用の端子でもよい。
比較出力Cは、VL>VSのときは高レベル、VL<VSのときは低レベルになる。したがって、Dinに印加する比較用電圧VSを変えてDoutを観測することにより、内部電圧VLを知ることができる。
たとえば、外部電源VCCが、
VCCmin≦VCC≦VCCmax …(1)
の範囲で、VLがVLminよりも高くVLmaxよりも低くなければならないとする。これを検査するには、まず、DinにVLminを印加してVCCをVCCminからVCCmaxまで変化させ、Doutが常に高レベルであることを確認する。次に、DinにVCCmaxを印加してVCCをVCCminからVCCmaxまで変化させ、Doutが常に低レベルであることを確認すればよい。
このようにDout端子から出力される信号が高レベルか低レベルというデジタル信号であることが、本発明の特徴である。したがって、アナログ電圧を直接出力する場合に比べて、雑音やメモリテスタの入力インピーダンスによる誤差を避けることができ、メモリテスタで検査することが容易になる。
テストエネーブル信号TEは、VLを検査するモードであるか、通常の読出し/書込みモードであるかを示す信号である。この信号は、比較回路5をエネーブルするた、およびマルチプレクサおよび出力バッファ6を切り替えるために用いられる。TEを入力するための専用の端子を設けてもよいが、本実施例では、TEを発生するための回路8を設けてある。この回路は、DRAMのロウアドレスストローブ信号(/RAS)、カラムアドレスストローブ信号(/CAS)、および書込みエネーブル信号(/WE)が印加されるタイミングの組合せによってTEを発生する。
これを図53(a),(b)を用いて説明する。
DRAMでは、通常の読出し/書込みモードのときは、図53(a)のように、/RASは/CASよりも先に印加される。逆に図53(b)のように、/CASが/RASよりも先に印加され、しかもそのときの/WEが低レベルであったとき、回路8は、VL検査モードの指定であると判断し、TEを発生する。なお、/RAS,/CAS,/WEのタイミングの組合せによって特殊な動作モードを指定する方法については、たとえばアイ・エス・エス・シー・シー,ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ,第18頁から第19頁,1987年2月(ISSCC Digest of Technical Papers, pp.18−19,Feb.1987)あるいは、アイ・エス・エス・シー・シー,ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ,第286頁から第287頁,1987年2月(ISSCC Digest of Technical Papers,pp.286−287,Feb.1987)において論じられている。
ここでVLの検査に用いる専用の信号(VS,C、およびTE)の入出力方法について補足しておく。
これらの信号の専用の端子を設けてもよいことは、上に述べたとおりである。しかし、図1の実施例では、VSの入力端子はDinと、Cの出力端子はDoutとそれぞれ兼用であり、TEは/RAS,/CAS,/WEのタイミングの組合せにより作られる。この方式の利点は、DRAM本来の端子のみを用いてVLを検査できることである。したがって、ウエハ状態での検査だけでなく、パッケージに組立てた後の検査も可能になる。
図54に比較回路5の一例を示す。
図54において、20はVLおよびVSを入力とし、ノード27を出力とする差動増幅器であり、NチャネルMOSトランジスタ21,22,23とPチャネルMOSトランジスタ24,25から成る。30はノード27を入力としCを出力とするインバータであり、NチャネルMOSトランジスタ31とPチャネルMOSトランジスタ32から成る。VLがVSよりも高いときはノード27が低レベル、出力Cが高レベルになる。VLがVSよりも低いときはノード27が高レベル、出力Cが低レベルになる。
比較回路としては単独の差動増幅器でもよいが、本実施例のように差動増幅器の出力をさらにインバータで増幅するようにした方が、出力Cのレベルに確実に高レベル(≒VCC)、低レベル(≒0V)にできるので望ましい。
本回路では、MOSトランジスタ21のゲートにTEが入力されているので、VL検査モードのとき(TEが高レベルのとき)以外は差動増幅器に電流が流れない。これにより通常動作時の消費電力の増加を防止できる。また、通常動作時はPチャネルMOSトランジスタ26が導通しているので、ノード27は高レベルに固定されている。
次に、本発明に用いるマルチプレクサおよび出力バッファ6の実現方法について説明する。
図55はマルチプレクサおよび出力バッファの一例である。図55中、41,42、および49〜52はインバータ、43〜48はNAMDゲート、53および54はNチャネルMOSトランジスタである。この回路は、DRAMのデータ出力doutと比較回路の出力Cのうちの一方を選択して、出力端子Doutに出力する回路である。いずれを選択するかは、TE(前述のテストエネーブル信号)およびOE(DRAMの出力エネーブル信号)によって決定される。TEが高レベル,OEが低レベルのとき(VL検査モードのとき)はCが、TE低レベル、OEが高レベルのとき(読出しモードのとき)は、doutが、それぞれ選択・出力される。TE,OEがともに低レベルのとき(書込みモードもしくは待機状態のとき)は出力端子Doutは高インピーダンスである。
図56に本発明の他の実施例を示す。前実施例との相違点は、比較用電圧としてVS1,VS2の2個が入力されており、比較回路5−1,5−2の2個が設けられていることである。
比較回路5−1は内部電圧VLとVS1とを、5−2はVLとVS2とをそれぞれ比較する。比較出力C1は、VL>VS1のときは高レベル、VL>VS2のときは低レベルになる。比較出力C2は、VL>VS2のときは低レベル、VL<VS2のときは高レベルになる。外部に出力される信号Cは、C1とC2をANDゲート9によって論理積をとった結果である。
本実施例は、データ入力端子と出力端子とが兼用で、4ビット同時に読出し/書込みされる。いわゆる×4ビット構成のDRAMである。そこで、比較用電圧VS1とVS2との入力、および比較結果Cの出力には、4個のデータ入出力端子I/O0〜I/O3のうちの3個を利用している。前実施例のような×1ビット構成DRAMの場合は、たとえばCの出力にはDoutを、VS1,VS2の入力にはDinまたはアドレス端子のうちの2個を利用すればよい。
本実施例の利点は、VLがある範囲内にあるか否かが一度の検査でわかることである。たとえば、VLがVLminよりも高くVLmaxよりも低くなければならないとする。これを検査するには、VS1=VLmin,VS2=VLmaxとすればよい。VLmin<VL<VLmaxのときに限り、Cは高レベルになる。
図57に本発明の他の実施例を示す。
前述の2実施例との相違点は、比較用電圧VSをデジタル信号で指定し、それをDA変換することにより比較用電圧VSをDACで作っていることである。本実施例では、デジタル信号S0〜S3の入力端子はアドレス端子Aiと兼用である。
入力されたデジタル信号は、DAコンバータ10によってアナログ電圧VSに変換される。DAコンバータに与える基準電圧は、VCCでもよいが、専用の電圧VRの方が望ましい。内部電圧VLのVCC依存性を測定できるからである。本実施例ではVRの入力端子は、DRAMのデータ入力端子Dinと兼用である。
本実施例の特徴は、出力だけでなく入力デジタル信号であることである。そのため、前実施例に比べてメモリテスタによるテストがさらに容易になる。なお、本実施例では比較用電圧はVS1個だけであるが、前実施例のように2個にしてもよいことはもちろんである。
次に、本実施例に用いるDAコンバータについて説明する。
図58(a)にDAコンバータの一例を示す。図中、61および62はインバータ、Rおよび2Rは抵抗である。ここではインバータ62の電源は基準電圧VRである。端子S0〜S3からデジタル信号が入力されると、インバータ62の出力電圧は入力信号に応じてVRまたは0Vになる。出力VSの電圧は、
V8=(VR/16)・(8S3+4S2+2S1+1S0) …(2)
で与えられる。ただし、インバータ62の出力インピーダンスは抵抗R,2Rに比べて十分小さいと仮定している。
図58(b)にDAコンバータの他の実施例を示す。図中、71はデコーダ、72はMOSトランジスタ、Rは抵抗である。この回路は、基準電圧VRを抵抗分割した電圧
Vi=(i/16)・Vr (i=0〜15) …(3)
のうち、1つを選択して出力VSとする。この選択は、入力信号S0〜S3をデコーダ71でデコードした信号T0〜T15によって行われる。この回路の特徴は、負荷のインピーダンス(図57の比較回路5の入力インピーダンス)が十分大きければ(図54の回路は、この条件を満たしている)、出力電圧VSはMOSトランジスタ72のオン抵抗の影響を受けないことである。
なお、図58(a),(b)はいずれも4ビットのDA変換器である。しかし、ビット数は、どの程度正確に内部電圧VLを設定する必要があるかにより増減してもよいことは言うまでもない。
図59に本発明の更に他の実施例を示す。本実施例の特徴は、内部電圧VLをAD変換して出力することである。そのため、デジタル信号S0〜S3を記憶するためのレジスタ80が設けられている。以下、本実施例の動作を図60のタイミング図に従って説明する。
/RAS,/CAS,/WEのタイミングの組合せによりテストエネーブル信号TEを発生することは前実施例と同様である。この時点でレジスタ80の内容は、最上位ビットS3のみが“1”、他は“0”という状態に設定される。このとき、比較用電圧VSはVR/2に等しい。このVSと内部電圧VLとを比較した結果、C=1すなわちVL>VR/2ならば、最上位ビットS3はそのまま“1”に保たれ、C=0すなわちVL<VR/2ならばS3は“0”にリセットされる。
次にレジスタのS2が“1”にセットされる。このとき、比較用電圧VSはVR/4または3VR/4である。このVSと内部電圧VLとを比較した結果、C=1ならばS2はそのまま“1”に保たれ、C=0ならばS2は“0”にリセットされる。以下同様にして、S1,S0が順次に決定される。
以上の動作はクロックに同期して行われる。本実施例では/CASをクロックとして用いている。すなわち、まず/CASを/RASよりも先に低レベルにしてVL検査モードを指定する。これによりTEが高レベルになる。次に、/RASは低レベルに保ったまま、/CASを上げ下げすることにより、上記のAD変換が行われる。この間、出力端子Doutには各回の比較結果が順に現れるので、Doutを観測することにより、AD変換の結果を知ることができる。