JP2928417B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、pnダイオード、ショッ
トキーダイオード、バイポーラトランジスタのコレクタ
等の耐圧を向上させる半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置、とりわけ電力用半導体装置
では十分な耐圧の確保が極めて重要である。従来の半導
体装置の製造方法では、イオン注入による衝撃で電極周
辺の半導体基板の表面および内部に欠陥を生じさせ、活
性領域外の領域を全て高抵抗化して耐圧を向上させてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成では、耐圧は数十V程度しか向上せず、半導体
材料で決まる最大耐圧まで向上させることができず、ま
た耐圧はイオン注入のドーズ量に強く依存しているが、
高ドーズ量の場合にはリーク電流が増大し耐圧が劣化す
るという課題を有していた。
【0004】本発明は上記の従来の課題を解決するもの
で、接合のリーク電流を抑制し、半導体材料で決まる最
大耐圧まで向上させ、プロセス余裕度の大きい半導体装
置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の半導体装置の製造方法は、半導体装置の表面
に接合が存在する構造において、接合近傍の電極をマス
クとして自己整合的にイオン注入を行い、その衝撃によ
り接合近傍の低濃度側に欠陥を生じさせ、活性領域以外
を全て高抵抗化するとともに、イオン注入後にその高抵
抗領域内のリーク電流に寄与する欠陥を消失させ、かつ
キャリア補償に寄与する欠陥は残留する300℃以上600℃
以下の熱処理を行うものである。
【0006】
【作用】この構成によって、リーク電流により耐圧を劣
化させる余分な欠陥を消失させ、高抵抗化に寄与する欠
陥だけ残すことで接合の耐圧を半導体材料の持つ最大耐
圧まで向上させることができる。
【0007】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0008】図1は本発明の一実施例における半導体装
置の製造方法を説明するための断面図であり、ガリウム
ひ素(GaAs)ショットキーバリヤダイオードの例につい
て示したものである。図1において、1はショットキー
電極、2は高抵抗領域、3はn-型GaAs層、3aはショッ
トキー接合、4はn+型GaAs層、5はオーミック電極、6
はn-型GaAs層3とn+型GaAs層4とを積層したn-/n+ GaAs
エピ基板(以下基板と称する)である。図1に示すよう
に、基板6の上にショットキー電極1としてチタンとア
ルミの積層膜(Ti/Al膜)を3μmの膜厚で形成してい
る。また基板6の裏面には金ゲルマニウムニッケル−金
(AuGeNi/Au)からなるオーミック電極5を形成してい
る。本実施例における半導体装置の製造方法では、ショ
ットキー電極1をマスクにボロンをドーズ量5X1013c
m-2、加速電圧100kVの条件で注入し、その衝撃により生
じる欠陥によって基板6に高抵抗領域2をショットキー
電極1の周辺に表面から少なくとも100nm以上の深さま
で形成した後、500℃で熱処理を行う。この熱処理によ
り高抵抗領域2におけるリーク電流の原因となる再結合
センタ等の余分な欠陥を消失させる。しかしこの温度で
はキャリア補償に寄与する欠陥は消失しないため高抵抗
領域2は高抵抗のままである。この高抵抗領域2はショ
ットキー接合3aの露出部を覆っている。このような構
造においては、高電圧印加時に電界はこの高抵抗領域2
に沿ってショットキー電極1に対して垂直かつ等間隔に
分布する。その結果電界集中が緩和されるため、基板6
の電離破壊が起こりにくい。したがって、この構造の素
子は良好な耐圧特性を示す。
【0009】図2は本発明の一実施例による半導体装置
の逆バイアス時のリーク電流の温度依存性を示す図であ
り、白丸はイオン注入直後の、黒丸は500℃での熱処理
後の特性をそれぞれ示す。図2に示すように、-40℃以
上の領域で熱処理の効果が現れている。室温付近ではこ
の熱処理によりリーク電流は一桁以上も低減する。
【0010】図3は本発明の一実施例による半導体装置
の耐圧のドーズ量依存性を示す図であり、白丸はイオン
注入直後の、黒丸は500℃での熱処理後の特性をそれぞ
れ示す。図3に示すようにドーズ量の増加にともない耐
圧の向上が見られるが、特にドーズ量5X1013cm-2以上の
素子では熱処理の効果が顕著であり、半導体材料の持つ
耐圧の理想値390Vを示している。
【0011】なお本実施例ではドーズ量に5X1013cm-2
熱処理温度に500℃を採用したが、半導体装置の基板濃
度で決定されるドーズ量以上の注入であって、かつリー
ク電流に寄与する欠陥を消失させ、キャリア補償に寄与
する欠陥は残留する300℃以上600℃以下の熱処理であれ
ば同様の効果を示す。
【0012】また、本発明はpn接合の耐圧向上すなわち
バイポーラトランジスタのベースとコレクタの間の耐圧
向上にも適用できることは言うまでもない。
【0013】
【発明の効果】以上のように本発明は、ショットキー接
合またはpn接合の周囲の低濃度領域に深さが少なくとも
100nm以上の高抵抗領域をイオン注入法とその後の熱処
理を行うことにより形成する構成により、半導体材料で
決まる最大耐圧をもつ優れた半導体装置を実現できるも
のである。このような素子を用いることにより、ばらつ
きが少なく、かつ製作方法の簡便な電力用の高速ショッ
トキーバリヤダイオードやヘテロバイポーラトランジス
タ等が容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における半導体装置の製造方
法を説明するための断面図
【図2】本発明の一実施例による半導体装置の逆バイア
ス時のリーク電流の温度依存性を示す図
【図3】同半導体装置の耐圧のドーズ量依存性を示す図
【符号の説明】
3 n-型GaAs層(低濃度領域) 3a ショットキー接合(接合)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 29/872 H01L 21/331 H01L 29/73 H01L 29/861

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置の表面またはその近傍に形成
    されたpn接合、ショットキー接合等の接合の周囲の低濃
    度領域に、ドーズ量5X1013cm-2以上でイオン注入し、そ
    の後300℃以上600℃以下で熱処理を行うことを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
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