JP2927882B2 - 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法 - Google Patents

醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法

Info

Publication number
JP2927882B2
JP2927882B2 JP2106720A JP10672090A JP2927882B2 JP 2927882 B2 JP2927882 B2 JP 2927882B2 JP 2106720 A JP2106720 A JP 2106720A JP 10672090 A JP10672090 A JP 10672090A JP 2927882 B2 JP2927882 B2 JP 2927882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strain
orotidine
orotic acid
bacillus subtilis
monophosphate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2106720A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH044891A (ja
Inventor
知 朝日
宗晴 土居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP2106720A priority Critical patent/JP2927882B2/ja
Publication of JPH044891A publication Critical patent/JPH044891A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2927882B2 publication Critical patent/JP2927882B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、肝臓薬、生化学試薬、あるいは各種ピリミ
ジン系化合物製造の原料物質として有用なオロチン酸お
よびオロチジンの醗酵法による製造法およびその製造法
に用いるバチルス属細菌に関する。
従来の技術 これまで、様々な微生物においてピリミジン要求性変
異株を誘導した場合、ある種の変異株がオロチン酸およ
び/またはオロチジンを生成蓄積することが報告されて
いる(アミノ酸、核酸集談会編、核酸醗酵、p178、講談
社サイエンティフィク(1976))。また、バチルス属細
菌については、バチルス・ズブチリスのウラシル要求株
がオロチン酸およびオロチジンを蓄積すること(日本農
芸化学会誌、第39巻、p118、(1965))ならびにバチル
ス・ズブチリス、バチルス・プミルス、バチルス・リケ
ニフォルミスのウラシル要求株がオロチン酸およびオロ
チジンを蓄積すること[アグリカルチュラル・アンド・
バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.),
52,1479(1988)]が報告されている。しかしながら、
これらの報告によると、蓄積するオロチン酸およびオロ
チジンの量は僅かであり、改善の余地が残されている。
また、一般に醗酵法でオロチン酸および/またはオロチ
ジンを蓄積させる場合は、供試菌としてウラシル要求株
が用いられるため、ウラシル等のピリミジン系化合物ま
たはそれを含有する酵母エキス、酵母菌体、リボ核酸な
どを培地に添加する必要があるが、この際に問題となる
のは、それらの添加量によってオロチン酸および/また
はオロチジンの生産量が大きく変動するために、培地に
添加するウラシル類の濃度を特定の範囲に厳密にコント
ロールする必要があることである。
発明が解決しようとする課題 本発明は、バチルス属細菌を用い、オロチン酸および
/またはオロチジンを収率高く、しかも、菌株の要求物
質であるウラシル等ピリミジン系化合物およびそれを含
有する物質の培地への添加量を制限する必要がない製造
法を提供しようとするものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、バチルス属に属し、ウリジン5′−モ
ノフォスフェート生合成にかかわる代謝制御が解除さ
れ、かつ、オロチン酸フォスフォリボシルトランスフェ
ラーゼを欠損する微生物が培地中に著量のオロチン酸を
生成蓄積すること、ならびにバチルス属に属し、ラウジ
ン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制御
が解除され、かつ、オロチジン5′−モノフォスフェー
トデカルボキシラーゼを欠損する微生物が培地中に著量
のオロチン酸およびオロチジンを生成蓄積すること、さ
らに、これらの菌株を培養するに当たって菌株の要求物
質であるウラシル等ピリミジン系化合物およびそれを含
有する物質の培地への添加量を制限する必要がないこと
を見いだし、この知見に基づきさらに研究を続け、本発
明を完成した。
すなわち、本発明は、(1)バチルス属に属し、ウリ
ジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制
御が解除され、かつ、オロチン酸フォスフォリボシルト
ランスフェラーゼを欠損する微生物を培養し、培養物中
にオロチン酸を生成蓄積させ、これを採取することを特
徴とするオロチン酸の製造法、(2)バチルス属に属
し、ウリジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわ
る代謝制御が解除され、かつ、オロチジン5′−モノフ
ォスフェートデカルボキシラーゼを欠損する微生物を培
養し、培養物中にオロチン酸およびオロチジンを生成蓄
積させ、これを採取することを特徴とするオロチン酸お
よびオロチジンの製造法、(3)ウリジン5′−モノフ
ォスフェート生合成にかかわる代謝制御が解除され、か
つ、オロチン酸フォスフォリボシルトランスフェラーゼ
を欠損するバチルス・ズブチリスおよび(4)ウリジン
5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制御が
解除され、かつ、オロチジン5′−モノフォスフェート
デカルボキシラーゼを欠損するバチルス・ズブチリスで
ある。
本発明における「オロチン酸フォスフォリボシルトラ
ンスフェラーゼ欠損株」ならびに「オロチジン5′−モ
ノフォスフェートデカルボキシラーゼ欠損株」とは、す
でに報告されている方法[アグリカルチュラル・アンド
・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.),53,97(1989)]において、当該酵素活性が0.01
ユニット/mg・タンパク以下の微生物をいう。これらの
欠損株を誘導するには、例えば、紫外線照射、N−メチ
ル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)処
理などの公知の変異操作を施した後、レプリカ操作によ
ってウラシル要求菌を選別することにより、目的とする
菌株を得ることができる。あるいは、ジェイ・ディ・ベ
ーク(J.D.Boeke)らがサッカロマイセス・セレビセー
Saccharomyces cerevisiae)で示した[モレキュラ
ー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mol.Gen.
Genet.),197,345(1984)]方法により5−フルオロ
オロチン酸耐性株として選択することもできる。この方
法でジェイ・ディ・ベーケらはオロチジン5′−モノフ
ォスフェートデカルボキシラーゼ欠損株を直接的に選択
できるとしているが、本発明者らは、この方法でオロチ
ン酸フォスフォリボシルトランスフェラーゼ欠損株も直
接的に選択できることをはじめて見いだした。
オロチン酸はウリジン5′−モノフォスフェート生合
成の中間体であり、また、オロチジンは同じくウリジン
5′−モノフォスフェート生合成の中間体であるオロチ
ジン5′−モノフォスフェートより脱リン酸反応によっ
て生じたものである。これらの物質は前記のごとくウリ
ジン5′−モノフォスフェート生合成酵素の欠損株、具
体的には、オロチン酸フォスフォリボシルトランスフェ
ラーゼ欠損株や、オロチジン5′−モノフォスフェート
デカルボキシラーゼ欠損株の培養物中に蓄積される。従
って、オロチン酸および/またはオロチジンの醗酵生産
を行う場合は、それらの菌株の生育を支えるための物質
としてウラシル等のピリミジン系化合物あるいは、これ
らを含む物質を培地に添加しなくてはならない。この場
合、その添加濃度は厳密に制御されていなければなら
ず、ある濃度以上の添加を行うとオロチン酸および/ま
たはオロチジンの蓄積は、強く抑制されてしまう[日本
農芸化学会誌、第39巻、118(1965)あるいは、[アグ
リカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリ
ー(Agric.Biol.Chem.),52,1479(1988)]。これ
は、ウラシルなどのピリミジン系物質あるいは、その代
謝産物がウリジン5′−モノフォスフェート生合成酵素
のフィードバック阻害あるいは、フィードバックリプレ
ッションなどの代謝制御を行う物質として機能するため
である[バクテリオロジカル・レビューズ(Bacteriol.
Rev.),34,278(1979)]。バチルス・ズブチリスのウ
リジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝
制御としては、ウリジン5′−モノフォスフェート生合
成系の初発酵素であるカルバミルリン酸合成酵素がウリ
ジン5′−モノフォスフェートによってフィードバック
阻害を受けること、ならびに、ウリジン5′−モノフォ
スフェート生合成にかかわる6つの酵素の生成が、ウラ
シルに由来する物質によってフィードバックリプレッシ
ョンを受けることなどが知られている[アグリカルチュ
ラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.
Biol.Chem.),53,97(1989)]。従って、既知の方法
でオロチン酸および/またはオロチジンの醗酵生産を行
う場合は、ウラシル等のピリミジン系化合物あるいは、
これらを含む物質の添加濃度を制御することが不可欠で
あり、特に酵母エキスなどのように、ウラシル等のピリ
ミジン系化合物の含有量が一定でない物質をピリミジン
源として用いる場合は、生産管理が非常に困難となる。
これに対し、ウリジン5′−モノフォスフェート生合成
にかかわる代謝制御の解除された菌株においては、菌株
の要求する量を満たしさえすれば、いかなる量のウラシ
ル等のピリミジン系化合物あるいは、これらを含む物質
を添加してもオロチン酸および/またはオロチジンの蓄
積量は影響を受けず、生産管理は極めて簡潔なものとな
る。さらに、このような菌株ではウリジン5′−モノフ
ォスフェート生合成にかかわる代謝制御が解除されてい
ることにより、オロチン酸および/またはオロチジンの
生産を制御する機構がなくなり、きわめて著量のオロチ
ン酸および/またはオロチジンが蓄積することになる。
ウリジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代
謝制御を解除する方法としてはピリミジンアナログ耐性
株を誘導する方法[アプライド・マイクロバイオロジー
・アンド・バイオテクノロジー(Appl.Microbiol.Biote
chnol.),30,234(1989)]があげられる。ここでいう
ピリミジンアナログとは、ウラシルやシトシン等のピリ
ミジン塩基と類似の構造を有する物質、例えば、6−ア
ザウラシル、2−チオウラシル、5−フルオロウラシ
ル、3−デアザウラシル、5−フルオロシトシンなどや
これらのリボサイドおよびリボタイドなどをいう。
本発明で用いる微生物の具体例としては、バチルス・
ズブチリス(Bacillus subtilis)STA−17E株(IFO 1
5024,FERM P−11402)、バチルス・ズブチリス(Baci
llus subtilis)STA−17F株(IFO 15025,FERM P−1
1403)があげられる。STA−17E株、ならびにSTA−17F株
はバチルス・ズブチリスSTA−17株(IFO 14388,FERM
P−7905)を親株として誘導されたものである。STA−1
7E株はSTA−17株のオロチン酸フォスフォリボシルトラ
ンスフェラーゼ欠損株であり、またSTA−17F株はSTA−1
7株のオロチジン5′−モノフォスフェートデカルボキ
シラーゼ欠損株である。これらの酵素の欠損を除けばST
A−17E株およびSTA−17F株の菌学的性質はSTA−17株の
それと同じである。STA−17株はバチルス・ズブチリスN
o.122株(IFO 14386,FERM P−7908)から公知の変異
処理によりウリジンヌクレオシドフォスフォリラーゼを
欠損しかつピリミジンアナログ耐性を示しウリジン生産
能を有する微生物として誘導されたものである(特開昭
61−104795号)。STA−17株はピリミジンアナログ耐性
変異を有するためにウリジン5′−モノフォスフェート
生合成にかかわる代謝制御か解除された状態にある。
本発明においては、前記した微生物以外にも、種々の
バチルス属細菌を親株として公知の変異処理を施すこと
によりウリジン5′−モノフォスフェート生合成にかか
わる代謝制御が解除され、かつ、オロチン酸フォスフォ
リボシルトランスフェラーゼあるいはオロチジン5′−
モノフォスフェートデカルボキシラーゼを欠損したオロ
チン酸および/またはオロチジン生産能を有する微生物
を容易に誘導することができる。
なお、本明細書におけるIFO番号は財団法人醗酵研究
所(IFO、大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85
号)への寄託番号であり、また、FERM P−番号は工業
技術院微生物工業技術研究所(FRI、茨城県つくば市東
1丁目1番3号)への寄託番号である。
かくして、得られたオロチン酸および/またはオロチ
ジン生産菌の培養には、通常の微生物の培養と同様の方
法が用いられる。すなわち、培地としては炭素源、窒素
源、無機物、金属塩、ウラシル等のピリミジン系化合物
あるいは、それを含む酵母エキス、酵母菌体、リボ核酸
などの物質などのほかに、必要に応じてアミノ酸、ビタ
ミン類などの栄養源を含有する培地が用いられる。例え
ば、炭素源としては、グルコース、シュークロース、ア
ルトース、ソルビトール、でんぷん、でんぷん糖化液、
糖蜜などが用いられる。窒素源としては、ヘプトン、コ
ーン・スチープ・リカー、大豆粉、尿素などの有機窒素
源のほかに、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸などのアンモニウ
ム塩や、アンモニアガス、アンモニア水などの無機窒素
源が、それぞれ単独もしくは混合して用いられる。その
他の栄養源としては、菌の生育に必要なウラシル等のピ
リミジン系化合物あるいは、それを含む酵母エキス、酵
母菌体、リボ核酸などの物質などのほかに、各種の無機
塩類、アミノ酸類、ビタミン類、などが適宜選択の上、
それぞれ単独もしくは混合して用いられる。さらに、培
地には、必要に応じてシリコンオイル、ポリアルキレン
グリコールエーテルなどの消泡剤や界面活性剤などを添
加することができる。培養は通常、振盪あるいは通気撹
拌深部培養等の好気的条件下に行われる。
培地のpHは通常4〜9の範囲が好ましい。培養中にpH
の変動が観察される場合には、これを好ましい範囲に修
正するために、硫酸、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウ
ム、アンモニアガス、アンモニア水等を適宜添加しても
よい。培養温度は、通常、20℃〜45℃の範囲から使用さ
れる微生物の生育およびオロチン酸および/またはオロ
チジンの蓄積に好適な温度が選択される。培養は実質的
にオロチン酸および/またはオロチジン蓄積量が最大に
なるまで行われるが、通常、2日間〜6日間の培養で目
的を達成することができる。
培養物からオロチン酸および/またはオロチジンを分
離、採取するにはすでに公知にされている通常の精製手
段、例えば、沈澱法、イオン交換樹脂や活性炭などによ
るクロマトグラフィー法などの分離精製法が用いられ
る。
実施例 以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明
する。
野生株バチルス・ズブチリスNo.122株(IFO 14386,F
ERM P−7908)から変異処理により、ウリジンヌクレ
オシドフォスフォリラーゼを欠損し、かつ、ピリミジン
アナログ耐性を示し、ウリジン生産能を有する微生物と
して誘導されたバチルス・ズブチリスSTA−17株(IFO
14388,FERM P−7905)(特開昭61−104795号)を50μ
g/mlのNTGで37℃で20分間処理した後、以下に示す基本
培地(A)に、0.1%の5−フルオロオロチン酸と0.005
%のウラシルとを加えた培地に塗抹し37℃で5日間培養
した。
基本培地(A) グルコース 0.5% 硫酸マグネシウム 0.02% 硫酸マンガン 0.005% 硫酸亜鉛 0.005% ビオチン 0.001% チアミン 0.01% リン酸1カリウム 0.6% リン酸2カリウム 1.4% 硫酸アンモニウム 0.2% こはく酸ナトリウム 0.1% 寒天 2.0% (pH7.0) 出現したコロニー(5−フルオロオロチン酸耐性株)
の中から、レプリカ法によって菌株のウラシル要求性を
調べたところ、得られた23株のうち18株がウラシル要求
性変異株であった。一方、対照としてバチルス・ズブチ
リスNo.122株よりSTA−17株に施したものと同様の処理
を行い、5−フルオロオロチン酸耐性株8株を得た。こ
の8株をレプリカ法によって菌株のウラシル要求性を調
べたところ、得られた8株のうち6株がウラシル要求性
変異株であった。これらのウラシル要求株を以下に示す
種培養培地5mlを入れた試験管に植菌し、37℃で8時間
培養した。その培養液を以下に示す生産培地20mlを含む
200ml容フラスコに1mlを植菌し、37℃で3日間培養し
た。培養したウラシル要求株は、いずれもオロチン酸お
よび/またはオロチジンを蓄積した。その中から代表株
としてバチルス・ズブチリス122E株、バチルス・ズブチ
リス122F株、バチルス・ズブチリスSTA−17E株、バチル
ス・ズブチリスSTA−17F株の4株を選択した。これら4
株の培養結果を表1に示す。
種培養培地 マルトース 2.0% ペプトン 1.0% 酵母エキス 0.3% 肉エキス 1.0% pH7.0 生産培地 グルコース 16.0% コーン・スチープ・リカー 4.0% 尿素 2.0% 炭酸カルシウム 0.5% ウラシル 0.005% pH7.0 バチルス・ズブチリス122E株およびバチルス・ズブチ
リス122F株は、バチルス・ズブチリス122株より得られ
た株である。バチルス・ズブチリスSTA−17E株およびバ
チルス・ズブチリスSTA−17F株はバチルス・ズブチリス
STA−17株より得られた株である。
つぎに、これら4株のオロチン酸フォスフォリボシル
トランスフェラーゼ活性ならびにオロチジン5′−モノ
フォスフェートデカルボキシラーゼ活性を調べたところ
[アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミ
ストリー(Agric.Biol.Chem.),53,97(1989)の方法
による]表2に示す結果が得られた。
バチルス・ズブチリス122E株およびバチルス・ズブチ
リスSTA−17E株はオロチン酸フォスフォリボシルトラン
スフェラーゼ欠損株であり、バチルス・ズブチリス122F
株およびバチルス・ズブチリスSTA−17F株はオロチジン
5′−モノフォスフェートデカルボキシラーゼ欠損株で
ある。
つぎに、これら4株のウリジン5′−モノフォスフェ
ート生合成にかかわる代謝制御について調べた[アグリ
カルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー
(Agric.Biol.Chem.),53,97(1989)の方法によ
る]。まず、初発酵素カルバミルリン酸合成酵素のウリ
ジン5′−モノフォスフェート(5mM)による阻害率を
調べた。その結果を表3に示す。
ついで、ウリジン5′−モノフォスフェート生合成に
かかわる6つの酵素の培地中へのウラシルの添加による
リプレッションについて調べた。その結果を表4に示
す。表中の値は、培地中にウラシルを添加した場合の酵
素活性の、無添加時に対する相対値である。
表1、2、3および4から明らかなごとく、バチルス
・ズブチリスSTA−17E株はオロチン酸フォスフォリボシ
ルトランスフェラーゼを欠損し、ウリジン5′−モノフ
ォスフェート生合成にかかわる代謝制御の解除された株
であり、オロチン酸フォスフォリボシルトランスフェラ
ーゼを欠損しているが、ウリジン5′−モノフォスフェ
ート生合成にかかわる代謝制御の解除されていない株で
あるバチルス・ズブチリス122E株と比べて表1に見られ
るようにオロチン酸の蓄積量が大幅に増大している。一
方、バチルス・ズブチリスSTA−17F株はオロチジン5′
−モノフォスフェートデカルボキシラーゼを欠損し、ウ
リジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝
制御の解除された株であり、オロチジン5′−モノフォ
スフェートデカルボキシラーゼを欠損しているが、ウリ
ジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制
御の解除されていない株であるバチルス・ズブチリス12
2F株に比べて表1に見られるようにオロチン酸およびオ
ロチジンの蓄積量が大幅に増大している。
つぎに、オロチン酸および/またはオロチジン生産菌
の要求物質であるところのウラシル等のピリミジン系化
合物あるいは、それを含む物質の培地中の濃度のオロチ
ン酸および/またはオロチジン蓄積に対する影響につい
て調べた。先に得られた4株のオロチン酸および/また
はオロチジン生産株を前記した方法で培養した。この
際、培地中にウラシルをさまざまな濃度で添加した。結
果を表5に示す。
表5にあるようにオロチン酸フォスフォリボシルトラ
ンスフェラーゼを欠損し、ウリジン5′−モノフォスフ
ェート生合成にかかわる代謝制御の解除された株である
バチルス・ズブチリスSTA−17E株は菌株の要求する量を
満たせば、いかなる量のウラシルを添加しても著量のオ
ロチン酸を蓄積する。一方、オロチン酸フォスフォリボ
シルトランスフェラーゼを欠損しているが、ウリジン
5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制御の
解除されていない株であるバチルス・ズブチリス122E株
は、オロチン酸の生産に適したウラシルの添加濃度は50
μg/ml付近に限定されており、それ以上添加すると、オ
ロチン酸の生産は強く抑制される。また、オロチジン
5′−モノフォスフェートデカルボキシラーゼを欠損し
ウリジン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代
謝制御の解除されたバチルス・ズブチリスSTA−17F株
は、菌株の要求する量を満たせば、いかなる量のウラシ
ルを添加しても著量のオロチン酸およびオロチジンが蓄
積される。しかしながら、オロチジン5′−モノフォス
フェートデカルボキシラーゼを欠損しているが、ウリジ
ン5′−モノフォスフェート生合成にかかわる代謝制御
の解除されていない株であるバチルス・ズブチリス122F
株では、オロチン酸およびオロチジンの生産に適したウ
ラシルの添加濃度は50μg/ml付近に限定されており、そ
れ以上添加すると、オロチン酸およびオロチジンの生産
は強く抑制される。
発明の効果 本発明方法によりオロチン酸および/またはオロチジ
ンを高い収率で、しかも、菌株の要求物質であるウラシ
ル等のピリミジン系化合物およびそれを含有する物質の
培地への添加量を制限する必要がなく製造することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:125) (C12P 19/38 C12R 1:125)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バチルス・ズブチリスSTA−17E(FERM P
    −11402)を培養し、培養物中にオロチン酸を生成蓄積
    させ、これを採取することを特徴とするオロチン酸の製
    造法。
  2. 【請求項2】バチルス・ズブチリスSTA−17F(FERM P
    −11403)を培養し、培養物中にオロチン酸を生成蓄積
    させ、これを採取することを特徴とするオロチン酸の製
    造法。
  3. 【請求項3】バチルス・ズブチリスSTA−17F(FERM P
    −11403)を培養し、培養物中にオロチジンを生成蓄積
    させ、これを採取することを特徴とするオロチジンの製
    造法。
  4. 【請求項4】バチルス・ズブチリスSTA−17F(FERM P
    −11403)を培養し、培養物中にオロチン酸およびオロ
    チジンを生成蓄積させ、これを採取することを特徴とす
    るオロチン酸およびオロチジンの製造法。
  5. 【請求項5】バチルス・ズブチリスSTA−17E(FERM P
    −11402)。
  6. 【請求項6】バチルス・ズブチリスSTA−17F(FERM P
    −11403)。
JP2106720A 1990-04-23 1990-04-23 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法 Expired - Fee Related JP2927882B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2106720A JP2927882B2 (ja) 1990-04-23 1990-04-23 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2106720A JP2927882B2 (ja) 1990-04-23 1990-04-23 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH044891A JPH044891A (ja) 1992-01-09
JP2927882B2 true JP2927882B2 (ja) 1999-07-28

Family

ID=14440792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2106720A Expired - Fee Related JP2927882B2 (ja) 1990-04-23 1990-04-23 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2927882B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018207929A1 (ja) 2017-05-12 2018-11-15 株式会社古川リサーチオフィス 動脈血中酸素飽和度の向上剤

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2681736B2 (ja) * 1993-03-09 1997-11-26 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 混合分散用充填材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018207929A1 (ja) 2017-05-12 2018-11-15 株式会社古川リサーチオフィス 動脈血中酸素飽和度の向上剤

Also Published As

Publication number Publication date
JPH044891A (ja) 1992-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0092709B1 (en) Process for producing l-hystidine by fermentation and microorganisms therefor
JP4017975B2 (ja) 5’−キサンチル酸を過剰生産する微生物
EP0188708B1 (en) Method for production of cytidine and/or deoxycytidine
EP0213536B1 (en) Process for producing l-threonine by fermentation
JP2927882B2 (ja) 醗酵法によるオロチン酸および/またはオロチジンの製造法
KR930006994B1 (ko) 우리딘의 제조방법
WO2004050863A1 (en) Microorganism for producing riboflavin and method for producing riboflavin using the same
EP0312912B1 (en) Process for producing orotic acid by fermentation
RU2203948C2 (ru) Штамм бактерий corynebacterium ammoniagenes - продуцент уридин-5'-монофосфата (варианты), способ получения уридин-5'- монофосфата
CN1223674C (zh) 生产核黄素的微生物和利用其生产核黄素的方法
KR880002417B1 (ko) 구아노신의 제조법
EP0098122B1 (en) Processes for producing l-proline by fermentation
KR970002249B1 (ko) 5'-크산틸산(5'-Xanthyl산)을 생성하는 미생물
JP2001057896A (ja) L−リジンの製造法
KR970002252B1 (ko) 5'-크산틸산(5'-Xanthyl산)을 생산하는 미생물
KR900003741B1 (ko) 5'-이노신산(5'-Inosinic Acid)을 생산하는 미생물
WO2006059877A1 (en) Microorganism producing 5'-xanthylic acid and production method of 5'-xanthylic acid using the same
KR900003739B1 (ko) 5'-이노신산(5'-Inosinic Acid)을 생산하는 미생물
KR100330705B1 (ko) 이노신을 생산하는 미생물 및 그를 이용한 이노신의제조방법
KR100330706B1 (ko) 5'-이노신산을 생산하는 미생물 및 그를 이용한5'-이노신산의 제조방법
KR900003742B1 (ko) 5'-이노신산(5'-Inosinic Acid)을 생산하는 미생물
EP0117741B1 (en) Process for producing l-histidine by fermentation and microorganisms for use therein
KR970002250B1 (ko) 5-크산틸산(5'-Xanthyl산)을 생성하는 미생물
KR970010566B1 (ko) 5'-이노신산(5'-lnosinic Acid)을 생산하는 미생물
JPH04158792A (ja) ウラシル系化合物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees