JP2927462B2 - 客 船 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明はSOLASの名で知られている条約で、そのよ
うに定義された客船に関する。

［従来の技術］ 現在よく知られている客船の構造は、一般にデッキと
デッキの下に客室を備えている。

外側の上部構造は、通常、船体の中心線に対して対称
的に長手方向に伸張している。

上部構造のデッキは、普通船体中央と後部において、
開放されている。

［発明が解決しようとする課題］ このようになっているので、該デッキでは、風上、風
下、日陰、又は日向により、各種のリクリエーシヨンへ
の使用が制限される。

最後に、最上部のデッキは、船体の横揺れによって船
客に不快な気分を与え、人が訪れなくなり、従って特別
なレクリエーション用としてはあまり利用できない。

それ故に、この発明の目的は、周知の客船における上
述の欠点をなくすために、前記上部構造に加えて船体の
横方向の重さを横方向について釣合った形で配すること
により、船客のためのレクリエーション活動ができる広
い屋外のスペースをもった船客を提供することにある。

上述の目的の範囲において、重要な目的は前記広いス
ペースにおいて、最高に近い状態でレクリエーション活
動が出来る客船を提供することにある。

すなわちこの発明に係る船は、船体のメインデッキの
両側の船墻において、２つの別個になったフリースペー
ス8,9を設けた非対称的な上部構造３を有する 客船であって、これらのフリースペースは船体５の中
心線を含む垂直な対称面４に対して互いに非対称に配置
され、船首に近いフリースペース８は３方において上部
構造３（例えば船室）の壁により囲まれており、船尾に
近いフリースペース９は少なくとも２方が上部構造３の
壁により囲まれている。上部構造がこのように構成され
ているので、外部船室の占める割合が大きい場合でも、
船客のレクリエーション活動に使用できる広い屋外のス
ペースであるフリースペース8,9が得られる。そして、
これらはすべて船客が気分よく利用できる下部デッキに
あり、炎天や風雨の悪条件の場合でもそのフリースペー
スの上の階を含む上部構造によって保護されている。

この発明のさらなる特徴と利点は、添付図面の限定さ
れない実施例によって示される、特別ではあるが制限的
ではない実施例の詳細な説明によって明らかになるであ
ろう。

［課題を解決するための手段］ 本発明に係る客船は、客船のデッキの両側において、
互いに非対称の位置に舷墻で外側を区画された別個の２
つのフリースペースを配した、非対称の上部構成を備え
る客船であって、前記２つのフリースペースのうちの１
方は船首に近接して配された３方を上部構造により囲ま
れ、前記２つのフリースペースのうちの他方は船尾に近
接して配され少なくとも２方を上部構造により囲まれて
いる。

［作用］ 上述の目的と、以下の記述で明らかになるであろうそ
の他の目的は、デッキの両側において、舷墻で区画され
た互いに非対称的な２つの別個のフリースペースを有
し、船首に近いフリースペースが３方において上部構造
により囲まれ、船尾に近いフリースペースが少なくとも
２方において上部構造により囲まれ、非対称的な上部構
造を有する船客により達成される。

［実施例］ 上述の図面を参照して説明する。参照数字１で示す客
船は、デッキ２に、船体５の前後方向に延びる垂直な対
称面４に関して互いに千鳥状（互い違い的）構造を有す
る非対称の上部構造３を有している。

デッキ２に対して上面から見て実質的にＳ−形状又は
Ｚ−形状平面を持つ上部構造３によって、参照数字8,9
で示す２つの別個のフリースペースが左舷と右舷の舷墻
6,7で区画され設けられている。

前記フリースペース8,9は船体５の中心線を通る垂直
な対称面４に対して千鳥状に配置されている。更に、船
首に近いフリースペース８はその３方を、即ち前方、後
方、及び船体の中心部に近い３方を上部構造３の例えば
船室などの壁により囲まれている。また船尾に近いフリ
ースペース９は少なくとも２方を、即ち前方及び船体の
中心部に近い２方を上部構造３の例えば船室などの壁に
より囲まれている。

上記構造３のこのような配置は、外部客室の占める割
合を大きくすることができるだけでなく、船体の横揺れ
をあまり感じさせないので気分良く利用できるような広
い屋外のスペースを低部デッキに船客のリクリエーショ
ン活動用として提供する。

前記フリースペースは、外界にさらされているが、２
方あるいは３方が上部構造によって囲まれている。従っ
て例えば、風上又は風下にさらされた部分を風向きによ
り、又は日蔭又は日向にさらされた部分を太陽の位置に
より、又は岸壁に面した部分と海に面した部分との岸壁
への繋留の仕方によって、区別して使用することができ
る。

更に、この上部構造３の特殊な配置によって、横方向
の重量の不釣合を減らしたりなくしたりできる。それを
他の解決法でするには、従来の周知の船における補整法
では主な内部重量の再配置を必要とする場合があるかも
知れない。

前記フリースペース８と９の面積については、上部構
造の特殊な構成によって、最適と思われるいくつかの条
件がある。

船体５の左右方向の対称面４に対して横方向（直角）
で、舵軸を通る面を第２図以外の各図でP1で示す;P2は
船体５の上記対称面に対して横方向（直角）で、満水吃
水線面10と船首材の交わる点を通る面を示す。

Ｌは前記２つの面P1とP2の間の空間部分の長さを示
す。

またＢは船の船幅を示す。

Ａは主デッキ２又は外部連続デッキの水平面に投影し
た理論的総面積で、これは船幅Ｂと面P1と面P2間の距離
Ｌを掛けて得られる。この面積Ａは第３図の破線で示す
直方形である。

次に自由に使えるフリースペース8,9についての面積
と、その間の寸法的関係について述べる。

A1は左舷側部分のフリースペース８のデッキ上の面積
を示し、A2は右舷側のフリースペース９のデッキ上の面
積を示す。

左舷側のフリースペース８のデッキ上の面積A1は、大
約フリースペース８の有効平均長さL1とその有効平均幅
B1の積で概算される。

前記左舷側のフリースペース８の面積A1を計算するに
当たって、面P2から前方に、又はP1から後方にそれぞれ
伸張している部分については考慮に入れないものとす
る。

A2で示す右舷側部分のフリースペース９の面積は、大
約フリースペース９の有効平均長さL2とその有効平均幅
B2を掛けて概算される。

前述の部分に用いた符号は下記面積等の関係を示す符
号として適用する。

前述の定義を考慮に入れて、本発明における上部構造
３は特殊な形状を有しているため、面積1AとA2の大きさ
は下記の条件を満たすよう設定するのが好ましい。； 0.80・A2≦A1≦1.25・A2 A1＋A2≧0.20・Ａ B2≧0.3・Ｂそして、 B1≧0.3・Ｂ。

更に、この上部構造３の配置によって、屋外の公共ス
ペースは船の航海中又は碇泊中において、風向きや太陽
の位置或いは岸壁への繋留の方向によって、異なった方
法で利用することができる。

更に、上部構造３の特殊な配置によって、従来の方法
によれば、重量配置の補整のために主要内部重量の再配
置を必要としたような場合でも、そのような再配置なし
に横方向の重量不釣り合いを小さくしたりなくしたりす
ることができる。

フリースペース8,9の形状は、当然前述の制限の範囲
内で、特定の使用目的によって最も適当なものとするこ
とができる。

船体５の中心線を含む対称面４に対する、その平均的
配置に関する上部構造３の非対称は、前記構造体が立面
及び／又は平面における幾何学的形状にも、又例えば横
方向の上部構造３の接続材や、前記上部構造３の内部
材、或いは船首及び船尾部分を構成する構造体の形状に
関係なく達成される。

前述の課題を解決するための手段の記述には符号が付
してあるが、これらの参照記号は発明を理解しやすくす
るためのものであり、従ってこれらの参照記号は、一例
として示しただけであって発明の範囲を制限するもので
はない。

［発明の効果］ この様にすればこの発明は所期の目的を達成すること
になり、得られた船はその上部構造の特殊な配置によっ
て、高いパーセンテージの外部船室とともに船客のリク
エーション活動に利用される広い屋外スペースをデッキ
に設けることができ、しかもこれらは横揺れが少ないの
で気分良く利用でき、外気にさらされているにも拘ら
ず、２方又は３方が前記上部構造に囲まれている下部デ
ッキに設けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は通常の満船状態で浮かぶ船の非要部を省略した
概略側面図； 第２図は船の概略横断面図； 第３図はメインデッキすなわち外部の連続デッキの略
図； 第４図は第３図と同じく、船体の中心を通る対称面に対
して非対称的な、２つの別個のフリースペースの配置
図。 図において、２はデッキ、３は上部構造、８及び９はそ
れぞれフリースペースである。 なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】客船のデッキの両側において、互いに非対
   称の位置に舷墻で外側を区画された別個の２つのフリー
   スペースを配した非対称の上部構成を備える客船であっ
   て、前記２つのフリースペースのうちの１方は船首に近
   接して配され３方を上部構造により囲まれ、前記２つの
   フリースペースのうちの他方は船尾に近接して配され少
   なくとも２方を上部構造により囲まれていることを特徴
   とする客船。
2. 【請求項２】前記非対称の上部構成が、前記船の各側に
   前記の２つのフリースペースがそれぞれ配置されるよ
   う、船体の中心を前後方向に通る垂直な対称面に関し
   て、千鳥状の配置を有する請求項（１）記載の客船。
3. 【請求項３】前記上部構成が、デッキ上において、客船
   の上面から見てＳ−字又はＺ−字型状の平面構成である
   請求項（１）記載の客船。
4. 【請求項４】一方側に位置するフリースペースの平均有
   効長さと幅とを掛け合わせて得られる面積の値が、他方
   側に位置するフリースペースの平均有効長さとその幅と
   を掛け合わせて得られる面積の値の0.80倍から1.25倍で
   ある請求項（１）記載の客船。
5. 【請求項５】前記２つのフリースペースの前記面積の和
   が、船幅に等しい幅と、舵軸と、船首材と満載吃水線と
   交わる点とを通る２つの横断面の間の距離に等しい長さ
   を有する直方形で規定される水平な外方への連続デッキ
   面に投影した、理論的総面積の値の５分の１以上である
   請求項（４）記載の客船。
6. 【請求項６】前記フリースペースの前記平均有効幅が、
   船幅と係数0.3を掛け合わせた値より大きいか又はこれ
   に等しい請求項（１）記載の客船。