JPH0447035Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、走行、造波抵抗の少ない双胴船に関
する。

従来の技術 双胴船は、甲板面積が広く取れて旅客や荷物等
を搭載する場所を十分に確保でき、また両胴間の
距離が広いため安定性がよい利点を有する。

そして、従来の双胴船１は、第５図のように水
面から水に没するのに船体２の左右両側の胴体３
が、単胴船の下端部の中央を切断して取り除いた
ような形状をしているものや、船体の両側の胴体
をそれぞれ胴軸線に左右に対称状とした脚状とし
てその下部に断面球形の円柱状の浮力タンクを設
けたりしているものであつた。

考案が解決しようとする問題点 しかし、前者の第５図の双胴船１では、胴体３
の下面が平坦状で、断面が台形状であるため、走
行によつて双胴船がやや浮き上がっても、胴体３
部の走行抵抗は余り減少せず、抵抗が大きいもの
であつた。

また、後者の双胴船では、水中に没している胴
体部分を水の抵抗を少なくするためにスマートな
形状としているが、円柱状の浮力タンクは水上に
上がらず、船体が走行によつて浮き上がつても、
走行抵抗はほとんど変わらないものであつた。

実開昭61−139889号公報には、双胴船の高速走
航時に胴間の大きな波の形成を緩和し、造波抵抗
を軽減させる船型が提案されている。しかし、走
航時に積極的に双胴船を浮揚できるものでなく、
直進性がよくないものであつた。

また、実開昭59−49591号公報には、双胴船に
水平翼を配置して、双胴船を積極的に浮揚させる
ことが開示されている。しかし、水平翼で船体を
浮揚できるものの、水上に浮遊している障害物が
水平翼に衝突すると、水平翼を架設している比較
的強度が低い胴体が損傷しやすいものであつた。
また、胴体間に水平翼を架設しているため、胴体
が破損すると、浸水して双胴船が浮沈するという
危険性があるものであつた。

問題を解決するための手段 本考案は上記のような点に鑑みたもので、上記
の問題を解決するために、双胴船の左右の胴体の
下端部に前部から後部にわたつてボツクスキール
をそれぞれ突設するとともに、上記左右のボツク
スキール間に水平翼を架設したことを特徴とする
走行、造波抵抗の少ない双胴船を提供するにあ
る。

作 用 本考案によれば、双胴船の左右の胴体の下端部
に前部から後部にわたつてボツクスキールをそれ
ぞれ突設していることによつて、ボツクスキール
によつて直進性の向上がはかれて、乗り心地をよ
くできる。

また、上記左右のボツクスキール間に水平翼を
架設したことによつて、水平翼によつて双胴船の
喫水線が下がり、走航抵抗を減少できて高速化が
はかれるものである。そして、万一この水平翼が
浮遊障害物に当たつて変形したり、破損しても、
水平翼をボツクスキール間に架設しているため
に、双胴船の胴体に直接影響を及ぼさずにボツク
スキール部分での損傷ですみ、胴体から浸水して
双胴船が沈没するのを回避できるという安全性を
向上できるとともに、ボツクスキール部分の修理
でもつて、比較的簡単に修復することができる。

実施例 以下、本考案を実施例にもとづいて説明する。

双胴船１は、第１図のように船体２の下部の左
右両側に胴体３を左右対称状に配設している。胴
体３は、第１図、第２図のように下方外側面を造
波抵抗が少なくなるように緩やかな30度の緩傾斜
角αとし、内側面を浮力を増加できて安定性がよ
いようにやや急な45度の急傾斜角βとしてほぼ偏
平状のＶ字状の横断面形状としている。そして、
胴体３のＶ字状に突出した下端部に前部から後部
にわたつて垂直状にボツクスキール４をそれぞれ
突設し、このボツクスキール４の前部と後部のそ
れぞれの内側部に水平翼取着部５を設けて水平翼
６を脱着可能にボルト等の固着具（図示せず）で
固着して両側の胴体３間に架設しているととも
に、水平翼６の中央に垂直翼７を垂設している。
水平翼６は、第３図のように流線型の翼型垂直断
面としているとともに、第１図のように中央部を
やや下方に下げて両側の水平翼をそれぞれ５〜６
度の角度の傾斜面としている。また垂直翼７は、
第１図のように上記水平翼６を接合した中央部の
連結材８を介して垂設していて、第４図のように
流線型の翼型水平断面としているとともに、その
上端を船体２の胴体３間の底面に取着した固定材
９にピン接合等で接続して固着している。

しかして、上記の双胴船１を運航すると、胴体
の下端部に突設したボツクスキール４によつて直
進性の向上がはかれ、船体を安定して走航でき
る。そして、双胴船１の走行とともに水平翼６の
揚力の発生によつて船体２の喫水線が下がり、所
望の運航姿勢を維持させることができる。そし
て、船体２の喫水線が下がり、胴体３が浮上する
と、胴体３の下部が偏平状のＶ字状断面であるた
め、胴体３の浸漬部の体積が急激に減少し、走行
抵抗が少なくなつて高速化がはかれるとともにエ
ネルギーの節約化がはかれる。

そして、たとえ水平翼６に浮遊障害物が当たつ
ても、ボツクスキール４での損傷で防止でき、胴
体３が破損するのを防げて胴体から浸水して双胴
船が沈没するという危険性を回避できる。

また、胴体３の下部の側面部を、第１図、第２
図のように外面側をやや緩やかな傾斜面としてい
るため、波が側面部をくぐるようにして船体によ
つて消波状態となつて造波抵抗をできるだけ減少
でき、また内面側をやや急な傾斜面としているた
め胴体３間の距離を広くでき、直進性の向上をは
かれ、双胴船１の安定性を向上できるものであ
る。

また、垂直翼７によつて重心まわりの水平方向
のモーメントを打ち消すようにでき、双胴船特有
のヨーイング運動やローリング運動を防止できて
直進性を高められ、乗り心地のよい安定した双胴
船１にできるものである。しかも、垂直翼７の補
強によつて水平翼６にかかる荷重を分担でき、水
平翼６で発生した曲げモーメントを打ち消して水
平翼６の中央図での主応力を著しく減少でき、耐
久性を向上できるものである。

なお、本考案の双胴船は、客船、消防艇、作業
船等の従来知られたものに適用できるものであ
る。

考案の効果 以上のように本考案にあつては、船体の安定性
や搭載容量を確保できる双胴船をボツクスキール
によつて直進性の向上がはかれて、乗り心地をよ
くできる。また、水平翼によつて双胴船の喫水線
が下がり、走航抵抗を減少できて高速化がはかれ
る。そして、万一この水平翼が浮遊障害物に当た
つて変形したり、破損しても、水平翼をボツクス
キール間に架設しているために、双胴船の胴体に
直接影響を及ぼさずにボツクスキール部分での損
傷ですみ、胴体から浸水して双胴船が沈没するの
を回避できるという安全性を向上できるととも
に、ボツクスキール部分の修理でもつて、比較的
簡単に修復することができるという顕著な作用効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部省略した正断
面図、第２図は同上の胴体部のやや拡大側断面
図、第３図は同上の水平翼部の側断面図、第４図
は同上の垂直翼部の平断面図、第５図は従来の双
胴船の概略説明図である。 １……双胴船、２……船体、３……胴体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 双胴船の左右の胴体の下端部に前部から後部に
   わたつてボツクスキールをそれぞれ突設するとと
   もに、 上記左右のボツクスキール間に水平翼を架設し
   たことを特徴とする走行、造波抵抗の少ない双胴
   船。