JP2927143B2 - 熱間圧延用ロール材 - Google Patents
熱間圧延用ロール材Info
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Description
耗性に優れた熱間圧延用ロール材に関する。
ト化および高級化指向に対応するため、単位ロール当た
りの圧延量の拡大、すなわち熱間圧延製品の製造時にお
ける圧延スケジュールの弾力化が可能な耐摩耗性に優れ
た圧延ロールの開発・実用化が推進されている。
C:1.5〜2.5 %、V:4.5〜8.0 %を含有する高炭素高バ
ナジウム系耐摩耗材からなる熱間圧延用ロールの製造法
が提案されている。この高炭素高バナジウム系耐摩耗材
からなる熱間圧延用ロールは、圧延使用層に高硬度のM
C型炭化物を分散させたことに特徴を有し、従来のNi−
グレン鋳鉄材または高クロム鋳鉄材等を用いた耐摩耗鋳
鉄ロールに比較して、5〜15倍程度の極めて優れた耐摩
耗性を備えている。
上圧延機の中・後段にこのロールを用いた場合には、単
位ロール当たりの圧延量を、従来の圧延ロールの5倍以
上に増加でき、それによって圧延スケジュールの大幅な
拡大を図ることが可能となり、直接的に圧延コストを低
減できるとともに、製鋼工程における製造ロットの集約
化等により鉄鋼材の製造コストを大幅に低減できる。
経験によれば、ロール表面に黒皮と称される酸化皮膜が
形成しやすく、それによってロール肌荒れが促進され、
その優れた耐摩耗性を十分に発揮できない場合があるこ
とが判明した。例えば熱間仕上圧延機の前段に、このロ
ールを用いた場合には、黒皮の剥離が起因の肌荒れ発生
により、その優れた特徴である耐摩耗性を充分に発揮で
きないままにロール組替えをせざるを得ず、所期の目的
である圧延スケジュールの大幅な拡大が図れないという
問題を有している。
ム鋳鉄材等による熱間圧延用ロールの表面に形成される
黒皮は、圧延使用中の被圧延材のスケールの移着あるい
は/およびロールの自己酸化によって生成し、ロール基
地の欠落ち・塑性流動等の損傷に伴って剥離することが
知られている。しかし、高炭素高バナジウム系耐摩耗ロ
ールにおける黒皮の形成および剥離のメカニズムについ
ては、いまだ明らかにされておらず、さらには、黒皮の
剥離による肌荒れの発生を軽減できる本質的な方策の提
言もなされていない。
る高炭素高バナジウム系ロールに発生する黒皮の剥離に
起因した肌荒れを解消し、熱間仕上げ圧延機の前段に用
いた場合にあっても圧延スケジュールの大幅な拡大を可
能とする熱間圧延用ロール材を提供することを目的とす
る。
解決するためには、まず高炭素高バナジウム系耐摩耗材
による熱間圧延用ロールの黒皮の形成・剥離のメカニズ
ムを解明する必要があると考えた。
段に使用された高クロム鋳鉄ロールおよび高炭素高バナ
ジウム系耐摩耗ロールの黒皮性状を詳細に調査した結
果、両ロールの黒皮性状に大きな差異があることを見い
出した。表1は、調査を実施したロールの化学組成であ
り、表2に両ロールの圧延量、摩耗量および黒皮性状の
差異をまとめる。
クロム鋳鉄ロール対比で約3倍の圧延量であるが、摩耗
量は約1/3 倍であるので約8倍強の耐摩耗性を有してい
るが、調査の対象としたのは、このような圧延に使用し
た結果、黒皮剥離に起因する肌荒れが発生し、圧延継続
不可と判定されたロールである。両ロールの黒皮性状を
調査した結果、次のような知見を得た。
果、両ロールの黒皮とも同じくロール成分を含有してい
るので、黒皮は被圧延材のスケールとロールの自己酸化
成分が混合、反応して形成したものと考えられる。 しかしながら、両ロールの表層部断面を観察した結
果、両ロールの性状に大きな差異があることが判明し
た。
合、反応物 (黒皮) のほゞ単一相がロール基地表面に形
成されており、かつ黒皮とロール基地との結合性が良
く、黒皮の剥離はロール基地の損傷によって発生する。
それに対して、高炭素高バナジウム系耐摩耗性ロールの
場合には、前記の混合、反応物 (黒皮) の他に、その直
下、すなわちロール基地表層にロールの自己酸化層が形
成しており、ロール基地の著しい損傷がない場合にも自
己酸化層と黒皮との界面で黒皮の剥離が発生する。
性ロールにおいては、耐摩耗性が飛躍的に大である一方
で自己酸化速度も大なために、圧延使用中に自己酸化層
が生成し、これがために黒皮とロール基地との結合力が
劣化し黒皮の剥離による肌荒れが発生する。
速度よりも小さく、具体的にはロールの自己酸化能を従
来の上記高炭素高バナジウム系耐摩耗性ロール材の1/2
以下、好ましくは1/3 以下に抑制すれば自己酸化層の形
成を解消し黒皮剥離による肌荒れ発生を著しく軽減でき
る。
ついて、自己酸化能という観点から各添加元素を評価す
ると、むしろWが自己酸化しにくく、一方Moは容易に酸
化してしまう傾向がみられ、これらを考慮して鋼組成を
適正な範囲に限定すれば、ロールの自己酸化能を大幅に
抑制でき、黒皮の剥離が起因となる肌荒れを解消できる
ことを知り、本発明を完成した。
量%で、 C:1.5 〜2.5 %、 Si:1.2 %未満、 Mn:1.2 %以下、 Cr:1.5 〜6.0 %、 Mo:2.0 %以下、 W:1.0 %超10.0%以下、 V:4.5 〜7.0 %、 かつ、下記式(1) 〜(2) を満足し、 5.0 ≧Mo+0.5W≧1.5 ・・・(1) W≧Mo ・・・(2) さらに所望により、Co:5.0 %以下を含有し、 残部Feおよび不可避的不純物 より成る鋼組成を有する耐摩耗性および、黒皮剥離に対
する耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール材である。
詳細に説明するが、上記のような成分系に限定した理由
をまず説明する。なお、本明細書において「%」は特に
ことわりがない限り、「重量%」である。
5 〜7.0 %としたのは、C含有量およびV含有量が、そ
れぞれ1.5 %未満、4.5 %未満では粒状で高硬度のMC
型炭化物の生成量が不足し、圧延スケジュールを大幅に
拡大できる程度に向上することができないからである。
た鋳塊の凝固組織の均質性が劣化するからである。ま
た、V含有量を7.0 %以下としたのは、7.0 %超である
と鋳塊の凝固組織の均質性が劣化するとともに酸化能が
増大するためであり、好ましくは6.5 %以下とするのが
よい。
常の鋼材と同様1.2 %未満含有される。また、MnはSiと
同様の目的で、通常の鋼材と同様1.2 %以下まで含有さ
れる。
5.0 % これらの元素(Cr 、Mo、W) は焼入性および焼戻し軟化
抵抗の増大に有効であり、耐摩耗性および耐熱性の付与
のために添加される。
れぞれ、1.5 %以上および 1.5%以上としているのは、
実際のロールに行われる熱処理 (焼入れ、高温焼戻し)
でHS70 以上の高硬度を実現させるためであり、Wの効
果がMoの 0.5倍であるからである。
の硬さを得るためには (0.3 Cr+Mo+0.5W) 含有量を3.
1 %以上にすることが好ましい。Cr含有量および (Mo+
0.5W) 含有量を、それぞれ、6.0 %以下および5.0 %以
下としたのは、それぞれ6.0 %超、5.0 %超であると、
粗大共晶炭化物の晶出量が増大し耐熱衝撃性が劣化する
からである。特に、 (Mo+0.5W) 含有量を4.0 %以上と
する場合には、Cr含有量を 5.0%以下とすることが好ま
しい。
有量をW含有量以下とすることにより、ロールの事故酸
化能を著しく抑制し、黒皮剥離の起因となる自己酸化層
の形成を解消でき、耐肌荒れ性が大幅に改善できる。こ
の場合、Mo含有量が2.0 %超、かつW含有量よりも多い
場合には自己酸化能の改善は認められない。
おいては、耐摩耗性および耐熱性の改善のために、Cr、
Mo、Wの添加がなされているが、前述の如くそれらの性
能に対するMoの寄与が著しく大であるので合金添加コス
トの観点から2.0 %超添加されている。また、Mo含有量
あるいは (Mo+0.5W) 含有量が比較的少ない場合には、
それらの性能に対する寄与の小さいCrを、比較的多量
に、例えば6.0 %超添加しているのが通常である。
囲は、上記従来の合金設計とは異なり、自己酸化能の著
しい抑制を図るという観点から最適範囲を設定したもの
である。
要に応じ5.0 %以下で添加する。Co含有量を5.0 %以下
としたのは、5.0 %超では焼入性が悪くなり耐摩耗性お
よび耐凹み性が劣化するためである。さらに、HS 75 以
上の硬さを得るためには4.5%未満の添加が好ましい。
様のMC型炭化物を形成するNbおよびTiや、焼入性の増
大に効果のあるNi等を通常添加される範囲内で添加して
もよい。
ルの製造に当たっては、ESR 法および肉盛溶接法等の溶
製法により得られた鋳塊を、熱処理により硬度をHS 70
以上、好ましくはHS 75 以上に調整して耐摩耗性の維持
が可能になるようにする必要がある。次に、実施例によ
って本発明の効果についてさらに具体的に説明する。
の高炭素高バナジウム耐摩耗材 (比較材) 、本発明によ
るロール材について高温酸化能評価試験および実際のロ
ールに採用されている熱処理による硬さ測定を行った。
高温酸化能評価試験は実際の圧延ラインを想定した条件
下におけるロールの自己酸化をシミュレートする条件で
実施した。
延材との接触弧内で約750 ℃にも達するとされており、
かつロール水冷などで蒸気雰囲気にさらされているの
で、高温酸化試験は、あらかじめ765 ℃に加熱した炉中
で、かつ20%O2+80%N2の混合ガスを80℃に加熱した水
の中を通すことによって得られた水蒸気を含む酸化雰囲
気中で行った。また、酸化時間は16分であり、これは通
常の圧延スケジュールにおけるロールと被圧延材との接
触時間の5〜10倍に相当する。
位表面積当たりの酸化増量で評価した。熱処理硬さ測定
は、1050℃×10分の加熱後、実体に即した冷却速度で冷
却した後、500 ℃以上の焼戻しを行って得られる最高硬
さで評価した。
に酸化増量に対するMo、Wの各含有量の影響については
図1にグラフで示す。図中の添字は酸化増量(mg/cm2)
を示す数字であり、斜線領域が本発明の範囲である。表
4および図1の結果より、本発明にかかるロール材は従
来より使用されてきている高炭素高バナジウム材より自
己酸化能の改善が著しいことがわかる。
ールを使用することにより、高硬度化およびMC型炭化
物の分散による耐摩耗性の向上とともに、自己酸化能の
抑制による黒皮剥離に起因する肌荒れの解消が可能とな
り、圧延スケジュールの大幅な拡大が得られ、鉄鋼材の
製造コストを大幅に低減する等、その効果は大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C:1.5 〜2.5 %、 Si:1.2 %未満、 Mn:1.2 %以下、 Cr:1.5 〜6.0 %、 Mo:2.0 %以下、 W:1.0 %超10.0%以下、 V:4.5 〜7.0 %、 かつ、下記式(1) 〜(2) を満足し、 5.0 ≧Mo+0.5W≧1.5 ・・・(1) W≧Mo ・・・(2) 残部Feおよび不可避的不純物 より成る鋼組成を有する耐摩耗性および、黒皮剥離に対
する耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール材。 - 【請求項2】 重量%で、 Co:5.0 %以下をさらに含有する請求項1記載の熱間圧
延用ロール材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12598993A JP2927143B2 (ja) | 1993-05-27 | 1993-05-27 | 熱間圧延用ロール材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12598993A JP2927143B2 (ja) | 1993-05-27 | 1993-05-27 | 熱間圧延用ロール材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06330236A JPH06330236A (ja) | 1994-11-29 |
JP2927143B2 true JP2927143B2 (ja) | 1999-07-28 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12598993A Expired - Fee Related JP2927143B2 (ja) | 1993-05-27 | 1993-05-27 | 熱間圧延用ロール材 |
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JP (1) | JP2927143B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-27 JP JP12598993A patent/JP2927143B2/ja not_active Expired - Fee Related
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